(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042894
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】メタ系アラミド製品用ベンゾエート系染料キャリアを有する配合物
(51)【国際特許分類】
C09B 67/44 20060101AFI20161206BHJP
D06P 1/44 20060101ALI20161206BHJP
D06P 1/42 20060101ALI20161206BHJP
D06P 3/24 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
C09B67/44 C
D06P1/44 Z
D06P1/42 Z
D06P1/44 B
D06P3/24 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-533570(P2014-533570)
(86)(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公表番号】特表2014-532123(P2014-532123A)
(43)【公表日】2014年12月4日
(86)【国際出願番号】US2012054850
(87)【国際公開番号】WO2013048736
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年8月20日
(31)【優先権主張番号】61/540,703
(32)【優先日】2011年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・ティー・ギャンブル
(72)【発明者】
【氏名】フェリペ・エイ・ドネイト
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ・ジェイ・ワスコウィツェ
【審査官】
前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−162883(JP,A)
【文献】
特開昭59−199876(JP,A)
【文献】
特開昭50−095036(JP,A)
【文献】
特開昭51−078885(JP,A)
【文献】
特開平07−003662(JP,A)
【文献】
特開昭58−113252(JP,A)
【文献】
特開平02−229280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06P 1/00
D06P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.カチオン性染料;
B.グリコールエーテルベンゾエート及びグリコールベンゾエートのうちの少なくとも1つ;
C.水;並びに
D.任意にアニオン性界面活性剤、を含む、水性染料配合物。
【請求項2】
6〜8のpHを有する、請求項1に記載の染料配合物。
【請求項3】
前記グリコールエーテルベンゾエートが式
R1−O−(CH2CH(R2)O)n−R3
のものであり、式中、R1はC1〜10アルキル基、フェニル基又はベンジル基であり、R2は水素、メチル又はエチルのいずれかであり、R3−は、安息香酸からのO=C−C6H5であり、かつnは1〜3である、請求項1に記載の染料配合物。
【請求項4】
前記染料が0.05〜5重量%の量で存在し、前記グリコールエーテルベンゾエート及びグリコールベンゾエートのうちの少なくとも1つが3〜6重量%の量で存在し、前記水が脱イオン水である、請求項3に記載の染料配合物。
【請求項5】
前記グリコールエーテルベンゾエートが、1−メトキシ−2−プロピルベンゾエート、2−プロポキシエチルベンゾエート、2−ブトキシエチルベンゾエート、2−(2−フェノキシエトキシ)エチルベンゾエート及び2−(2−フェノキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエトキシベンゾエートのうちの少なくとも1つであり;並びに前記グリコールベンゾエートがジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールベンゾエート及びトリメチレングリコールジベンゾエートのうちの少なくとも1つである、請求項4に記載の染料配合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタ系アラミド製品、例えば、繊維、布地、及び同様物に関する。一態様では、本発明は、メタ系アラミド製品を染色することに関するものであり、かつ他の態様では、本発明は、ベンゾエート系キャリアの使用を通してメタ系アラミド製品の染色を促進することに関する。
【背景技術】
【0002】
メタ系アラミド製品、例えば、NOMEX(商標)及びCONEX(商標)(いずれもポリメタフェニレンイソフタル酸アミドであり、メタフェニレンジアミン及び塩化イソフタロイルの反応により生成される。それぞれデュポン及び帝人が製造)などの繊維は、主としてその難燃性から各種用途で使用されている。製品の疎水性に起因し、これらの製品には染料分子を容易に浸透させることができず、一般的な水性染浴で染色することが困難である。
【0003】
染料の浸透を促進させるためには、キャリア(しばしば染色助剤又は溶媒と呼ばれる)を使用し製品を膨潤させ、染料を入り込み易くさせなければならない。最初に一般的に使用されたキャリアはアセトフェノンであるが、このキャリアは臭気及び毒性という問題から使用が忌避されるようになり、他のキャリアが代替として導入され又は提案されるようになった。例えば、米国特許第2005/0014435(A1)号には、染色助剤としてCYNDAE C−45(Bozzetto,Inc.から入手可能である)を配合した染浴によるアラミド系繊維の染色法が記載される。日本国特許第60162883号には、ポリアミド系繊維用の染浴における、グリコールエーテル(トリエチレングリコールモノフェニルエーテル)の使用が記載される。国際公開第2006/122887(A2)号には、染浴調製における他のグリコールエーテル(1−フェノキシ−2−プロパノール)の使用が記載される。米国特許第2002/0144362(A1)号には、ポリアミド系繊維用染料キャリアとして、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン(イソホロンとしても既知)が記載される。この特許文献は、染料キャリアとしてアルキルケトン及びN−アルキルフタルイミドにも言及している。米国特許第6,132,476号には、染料キャリアとしてのベンジルアルコール、N−アルキルピロリドン、N,N−ジアルキル−ベンズアミド、並びにアリールエーテルの使用が記載される。米国特許第6,840,967号には、染料キャリアとしての、エチレングリコールフェニルエーテル、並びに各種アミド及びアミン類の使用が記載される。日本国特許第08134370(A2)号には、染料キャリアとしての、幾種類かのグリコールエーテル、すなわちジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、並びにジエチレングリコールモノベンジルエーテルの使用が記載される。ブチルベンゾエートは、T.Vigo著、「布地の加工法及び特性−製造、染色、仕上げ及び性能(Textiles Processing and Properties−Preparation,Dyeing, Finishing, and Performance)」、エルゼビア出版、1994年、布地科学及び技術(Textile Science and technology)第11巻、第137頁において染料キャリアとして言及されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの数多くの及び各種染料キャリアの特定及び使用法の提案にも関わらず、アセトフェノンと性能が対等であり、かつアセトフェノンの使用に関連する臭気及び毒性にまつわる課題を有さないメタ系アラミド製品、特に繊維、と共に使用するための新規染料キャリアを特定することは、未だ関心事のままである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、グリコールエーテルベンゾエート、グリコールベンゾエート並びにメチルベンゾエートは、中性pH又はその付近でのメタ系アラミド製品の染色を促進する。アニオン性界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなどの添加により、これらのベンゾエートの性能は向上する。
【0006】
一実施形態では、本発明は、水性染料配合物であって、
A.カチオン性染料;
B.グリコールエーテルベンゾエート、グリコールベンゾエート、及びメチルベンゾエートのうちの少なくとも1つ;
C.水;並びに
D.任意にアニオン性界面活性剤、を含む、水性染料配合物である。
一実施形態では、染料配合物はpH6〜8を有する。一実施形態では、水は脱イオン水である。
【0007】
一実施形態では、本発明はメタ系アラミド製品の染色法であり、この方法は、メタ系アラミド製品を染料配合物と接触させる工程であって、染料配合物が、
A.カチオン性染料;
B.グリコールエーテルベンゾエート、グリコールベンゾエート、及びメチルベンゾエートのうちの少なくとも1つ;
C.水;並びに
D.任意にアニオン性界面活性剤、を含み、
この配合物がpH6〜8を有する、工程を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
本開示の数値範囲は近似的なものであり、したがって、別途記載のない限り範囲外の値も含み得る。数値範囲には、より小さい値及びより大きい値を含み、1単位ずつ増分させたすべての値を包含し、但し、任意のより小さい値及び任意のより大きい値の間は少なくとも2単位で分割される。例えば、組成、物理特性又は例えば分子量などのその他の特性が100〜1,000である場合、100、101、102などのすべての各値、並びに100〜144、155〜170、197〜200などの下位範囲が明白に列挙される。1未満の値を含む範囲、又は1を超える小数部分を含む値(例えば、1.1、1.5など)については、1単位は適宜0.0001、0.001、0.01又は0.1となるものと考えられる。10未満(例えば、1〜5)の単一の桁数を含む範囲については、1単位は典型的には0.1になるものと考えられる。これらは、具体的に意図される事柄を例示するだけのものであり、記載の下限値及び上限値間に存在し得るすべての数値の組み合わせが本開示に明示的に記載されているものとみなされる。数値範囲は、本開示内で、特に染浴成分の相対量に関し提供される。
【0009】
「含む(comprising)」、「含有する(including)」、及び「有する(having)」などの用語は、任意の追加の成分、工程、又は手順の存在を、これらが具体的に開示されていようといまいと除外することを意図しない。何らかの疑念が生じるのを避けるため、用語「含む」の使用を通して請求するすべての組成、溶液又は染浴、プロセスなどは、相反する記載のない限りは1つ以上の追加の工程、装置又は要素の一部、及び/又は材料を含有し得る。対照的に、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」は、任意の範囲に続く任意の他の成分、工程、又は手順の引用を除外するが、但し、これらは操作性に関し本質的なものではない。用語「からなる(consisting of)」は、明確に記述又は掲載されていない任意の成分、工程又は手順を除外する。別途記載のない限り、用語「又は」は、掲載された個々の要素並びに任意の組み合わせを指す。
【0010】
染料キャリア
本発明の実施に使用される染料キャリアとしては、メチルベンゾエート、グリコールベンゾエート、及びグリコールエーテルベンゾエートが挙げられる。
【0011】
アルキレングリコールジベンゾエートとしても既知のグリコールベンゾエートは、典型的には、2つのベンゼン基を架橋する、炭素原子が2〜10個の(例えば、C
6H
5−(C=O)−O−)、より典型的には炭素原子が2〜6個の、及び更により典型的には炭素原子が2〜4個のアルキレン基(例えば、−CH
2CH
2−)を有する。代表的なグリコールベンゾエートとしては、ジエチレングリコールモノ及びジベンゾエート、ジプロピレングリコールモノ及びジベンゾエート、トリエチレングリコールベンゾエート、並びにトリメチレングリコールジベンゾエートが挙げられる。
【0012】
本発明の実施に使用されるグリコールエーテルベンゾエートは、式
R1−O−(CH2CH(R2)O)n−R3
のものであり、式中、R1はC
1〜10アルキル基、フェニル基又はベンジル基であり、R
2は水素、メチル又はエチルのいずれかであり、R
3−は、安息香酸からのO=C−C
6H
5であり、かつnは1〜3である。代表的なグリコールエーテルベンゾエートとしては、1−メトキシ−2−プロピルベンゾエート、2−プロポキシエチルベンゾエート、2−ブトキシエチルベンゾエート、2−(2−フェノキシエトキシ)エチルベンゾエート、並びに2−(2−フェノキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエトキシベンゾエートが挙げられる。
【0013】
本発明のベンゾエートは、単独で、あるいはもう1つのベンゾエート並びに/あるいは1つ以上の他のグリコール類及び/又は1つ以上のアルコールの組み合わせと組み合わせて使用することができる。代表的なブレンドとしては、プロピレングリコールジベンゾエートのブレンド、又はジプロピレングリコールベンゾエートのブレンド、又はプロピレングリコールモノベンゾエートのブレンド、又はプロピレングリコールジベンゾエート及びジプロピレングリコールベンゾエートのブレンド、並びに同様物が挙げられる。対象とする1つの市販のブレンドはBENZOFLEX(商標)284可塑剤であり、この可塑剤は、1,2−プロパンジオール及びジベンゾエートのブレンドとしてEastman Chemical Companyから入手可能であり、典型的にはポリ塩化ビニルと併用される。対象とする別のブレンドは、メチルベンゾエート及びVELATE(商標)368(2−エチルヘキシルベンゾエートであり、これもEastman Chemical Companyから入手可能である)のブレンドである。VELATE(商標)368は、典型的にはペイント塗料に使用される。
【0014】
一実施形態では、本発明のメチルベンゾエート、グリコールベンゾエート及び/又はグリコールエーテルベンゾエート系染料キャリアは、1つ以上のアニオン性界面活性剤と組み合わせて使用する。本発明の実施において、ベンゾエート系キャリアによる染料のアラミド系繊維への送達を促進させる、任意のアニオン性界面活性剤を使用することができる。代表的なアニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルスルホネート(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム)、並びにダウ・ケミカルから入手可能の各種DOWFAX(商標)アニオン性界面活性剤である。
【0015】
染料配合物中のグリコールエーテルベンゾエート、グリコールベンゾエート、及び/又はアルキルベンゾエートの量は、典型的には3〜6重量%(wt%)、より典型的には3.5〜5重量%である。存在する場合、界面活性剤の量は、典型的には1〜4重量%、より典型的には1.5〜3重量%である。
【0016】
カチオン性染料
各種カチオン性染料を本発明の実施に使用することができ、かつ採用される染色プロセス及び染色する製品に応じ、異なるカチオン性染料が好ましい場合がある。
【0017】
代表的なカチオン性染料(しばしば塩基性染料と呼ばれる)としては、ASTRAZON(商標)オリーブグリーンBL及びASTRAZON(商標)オレンジ3RL(それぞれ、ベーシックグリーン6及びベーシックオレンジ27としても知られ、かつてはいずれもVerona Dyestuffsにより製造されていた)並びにベーシックイエロー21、ベーシックブルー41、及びベーシックレッド18(英国染料染色学会(Society of Dyers and Colourists)(Dean House、Piccadilly、Bradford、ヨークシャー、英国)により出版されている「カラーインデックス」第3版で更に特定される)が挙げられる。同様にカチオン性染料として有用なものは、商品名BASACRYL(商標)でBASF Corporationにより市販のRed GL、Yellow 5GL、Blue X−3GL−300、及びRed FBである。水性配合物にはこのような染料のうち任意の組み合わせを含有させることができる。
【0018】
染料配合物の染料量は大幅に変更することもできるが、染料は典型的には0.05〜5重量%、より典型的には0.1〜1重量%の量で存在する。
【0019】
染料配合物
本発明に使用される染料配合物は、(A)カチオン性染料、(B)グリコールエーテルベンゾエート、グリコールベンゾエート、及びメチルベンゾエートのうちの少なくとも1つ、(C)水、好ましくは脱イオン水、並びに(D)任意にアニオン性界面活性剤、を含む、水性配合物である。一実施形態では、本発明に使用される染料配合物は、(A)カチオン性染料、(B)グリコールエーテルベンゾエート、グリコールベンゾエート、及びメチルベンゾエートのうちの少なくとも1つ、(C)水、並びに(D)任意にアニオン性界面活性剤、から本質的になる、水性配合物である。染料配合物は染色条件下で溶液又は分散体のいずれかであり得る。
【0020】
各種添加剤を染料配合物に存在させることができ、これらとしては、1つ以上の塩類、例えば、硝酸ナトリウム若しくは塩化ナトリウム、及び/又は乳化剤、及び/又はアニオン性界面活性剤以外の界面活性剤、及び/又は紫外線吸収剤、及び/又はpH調整剤、及び/又は他のグリコール類、例えば、メトキシトリグリコール、及び/又は加工助剤、並びに同様物などの成分が挙げられる。これらの添加剤は当該技術分野において周知であり、使用する場合には、一般的な量及び一般的な手法で使用される。
【0021】
配合物のpHは、典型的には6〜8であり、より典型的には6.3〜6.8である。染料配合物の温度は、特に浸漬式染浴として使用する場合には、典型的には120℃〜170℃、より典型的には130℃〜150℃である。
【0022】
染料配合物の大部分は言うまでもなく水である。各種理由のため、例えば、輸送、保存などのために、染料配合物が濃縮物であることが望ましく、従って水の量を減少させる場合、相対的に配合物の他の成分量の割合は増加する。使用の準備をする際、濃縮物には、他の成分が望ましい濃度になるまで単に水を添加し、希釈する。
【0023】
メタ系アラミド製品は、本発明の染料配合物及び従来の染色プロセスを用い染色することができる。一実施形態では、製品、例えば、繊維は、従来の染色条件下で、染料を浸透させ、繊維に付着させるのに十分な時間にわたって染料配合物の染浴に浸漬し、次に染浴から取り出し乾燥させる。一実施形態では、繊維は円筒形容器の内部アセンブリ(繊維を保持するように設計)に取り付け、この容器に染料配合液を充填し又は一部充填して密閉し、次に適切な染色温度に染浴を加熱するよう設計された装置に又は装置内にこの容器を配置し、所望の程度にまで染色作用を生じさせるのに必要な時間にわたって容器を回転させる(典型的には、数時間単位で測定する)。染色サイクルの終了時に、繊維は容器から回収し、乾燥させる。他の実施形態では、典型的な浸漬条件以外の、同様に染料を製品に浸透させかつ付着させることのできる方法及び条件下で、染料配合物を製品に適用することができる。
【0024】
本発明は、メタ系アラミド繊維又は他のこのような製品の染色に特に有用であるものの、本発明は、他のアミド系ポリマー、例えば、パラアラミド系ポリマー、例えば、KEVLAR(商標)、及びポリアミドポリマー、例えば、ナイロン(商標)、などが挙げられるがこれらに限定されないポリマーから製造された製品の染色にも有用である。
【実施例】
【0025】
メタ系アラミド繊維(デュポンからのNOMEX(商標))の染色に使用される装置により、わずか約20ミリリットル(mL)の染料溶液及び採寸値3センチメートル(cm)×3cmのNOMEX(商標)布片を用い、12種の各染料溶液及び布片を同時に評価することができた。装置は、回転式の組立品として構成した。バネ式クランプを備えた6つのブラケットを包含する中心軸を、オーブン内の真鍮製ブッシュ軸受に固定する。軸の一端は、オーブン外部の、変速モーターを取り付けた軸受を通って突出する。ブラケットには、採寸長さ約6インチ及び厚み1インチのステンレス鋼製アンプルを各々2つずつ保持させることができる。アンプルの一端にはスウェージロック圧縮継手を取り付け、他端は封じきり、100〜160℃の範囲下での試験にあたり(>)1000ポンド/平方インチ(psig)超のゲージ圧で評価した。ブラケットに取り付ける際、アンプルは上下に回転させて、適切に混合し、布片を均一に染色した。試験は140℃かつ50rpmで実施した。
【0026】
すべての試験は過剰量の染料の存在下で実施した。0.1重量%ベーシックブルー#3(pH6.3)(0.1N NaOHにより調整)を含有している染料水溶液母液を調製し、すべての試験に使用した。典型的な実験では、アンプルをホルダー内部の実験室用化学天秤に配置し、18.81g染料溶液、次に0.80g1−メトキシ−2−プロピルベンゾエート、及び0.40gラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を秤量した。重量0.19gのNOMEX(商標)布片をアンプルに挿入し、次に万力で固定し、スウェージロック継手により密閉した。最終的に染浴には4% 1−メトキシ−2−プロピルベンゾエート及び2% SLSを含有させた。所望の溶媒及び界面活性剤を用い、この手順を次のアンプルに繰り返した。界面活性剤を使用した場合、界面活性剤の最終濃度は2重量%に維持した。すべてのアンプルに満杯に計量し、重量を記録した。
【0027】
充填したアンプルをホルダに配置し、バネ式クランプで固定した。オーブンの電源を入れ、140℃に設定した。モーターの電源を入れ、50rpmに設定した。タイマーは1時間27分に設定した。時間経過後、オーブンは50℃に冷却し、耐熱性手袋及びその他の保護具を着用した実験者がアンプルを取り出した。氷を入れたバケツにアンプルを置き、室温まで冷却した後、水分を拭き取って再計量し、内容物がまったく失われていないことを確認して、アンプルを開けた。
【0028】
ピンセットにより布片を取り出し、それぞれ、30mL脱イオン水を入れた1オンスのガラス瓶に入れ、適切にラベルを付けた。瓶を密封し、実験室用振盪機に10分間置き、次に振盪機から回収し、開封し、すすぎ水を廃棄した。すすぎ水が青色染料残渣を何ら含有しなくなるまでこの手順を少なくとも2回繰り返した。次に布片を瓶から取り出し、紙タオルにより軽く叩いて乾燥させ、ラベルしたアルミニウム製秤量皿に置き、次にこれを40℃のオーブンに配置して40分間乾燥させた。時間経過後、布片はオーブンから取り出し、プラスチック皿に置きカバーをした。染色したNOMEX(商標)成分の色味は露光により退色してしまう恐れがあることから、プラスチック皿には光を当てないよう注意を払った。
【0029】
Hunter Lab ULTRASCAN(商標)Vis測色計を使用して、L、a、b座標系にて、染色した布片の色味を測定した。製造元より提供された10度視野/D65光源下拡散度8°の白色タイルにより、測色計を較正した。位置取りを補助するよう設計されたマスクを取り付けた4.25×4.25インチ黒色セラミックタイルの中央に、NOMEX(商標)の未染色の布片を置き、この布片をタイル上に保持した。複数回読み取りを行い、結果を平均した。色の読み取りを行うことができるように、未染色の布片を染色布片のうちの1つと取り替えた。すべての布片に対しこの手順を繰り返した。結果を次の表に要約する。
【0030】
【表1-1】
【表1-2】
【0031】
Hunter色度図により、L、a及びb座標を有する格子を単位として色を求めた。a及びbの尺度には正〜負の範囲がある。aが負になるほどサンプルは緑色味を帯びるようになり、正になるほどサンプルは赤色味を帯びるようになる。同様にして、bが負になるほどサンプルの色合いは青色味を帯び、値が正になるほど色合いは黄色味を帯びるようになる。Lスケールには0(黒)〜100(白)の範囲がある。L値が低くなるほど色合いは暗くなり、色の深みが良好になる。したがって、L値が低いほど、繊維への染料の浸透が改善されたことの指標となる。
【0032】
表中のデータから見ることができる通り、未染色の布片(実施例1)は、染色性の乏しさを示す(未染色のサンプルに見込まれる通りの)非常に高いL値(81.34)及び正のb値を有した。溶媒又は界面活性剤を用いずに染料溶液を使用した場合(実施例2)、L値43.4の、ある程度の染色がもたらされた。2%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を染料溶液に加えた場合(実施例3)、染料の浸透には改善がみられず、実際の所、L値60.8により示される通り、染料の浸透は悪化していた。染料助剤としても周知の1−フェノキシ−2−プロパノールを2%(実施例4)又は4%濃度(実施例5)で染料溶液に加えた場合、それぞれ、L値36.5及び30.95により示される通り、染色性能が向上していた。この溶媒をSLS又はDOWFAX(商標)2A1と組み合わせた場合には、実際の所、性能はより乏しくなっていた(実施例6〜8)。
【0033】
1−フェノキシ−2−プロパノールにより得られるものと匹敵する32.39という低L値により証明される通り、4%グリコールエーテルベンゾエートを含有している染浴液(実施例9、13、14、18、19)により、良好な染色性能が提供された事が分かる。驚くべきことに、30.0未満という低L値により示される通り、これらのグリコールエーテルベンゾエートをSLSと組み合わせることで(実施例12、17、及び22)、1−フェノキシ−2−プロパノール対照により得られるものよりも色の深みが改善された。DOWFAX(商標)2A1又はMTGを加える事で生じた作用は少なかったのに対し、非イオン性界面活性剤TERGITOL(商標)15−S−40を加えた場合には、実際の所、有害な作用が生じた。BENZOFLEX(商標)284(Eastman Chemical Companyのグリコールジベンゾエート及びモノベンゾエートのブレンド)、VELATE(商標)368(Eastman Chemical Companyのベンゾエートエステル)、並びにメチルベンゾエートについても、良好な染料キャリアであることが示される。
以下に、本願発明に関連する発明の態様を列挙する。
[態様1]
A.カチオン性染料;
B.グリコールエーテルベンゾエート、グリコールベンゾエート、及びメチルベンゾエートのうちの少なくとも1つ;
C.水;並びに
D.任意にアニオン性界面活性剤、を含む、水性染料配合物。
[態様2]
6〜8のpHを有する、態様1に記載の染料配合物。
[態様3]
前記グリコールエーテルベンゾエートが式
R1−O−(CH2CH(R2O)n−R3
のものであり、式中、R1はC1〜10アルキル基、フェニル基又はベンジル基であり、R2は水素、メチル又はエチルのいずれかであり、R3−は、安息香酸からのO=C−C6H5であり、かつnは1〜3である、態様1に記載の染料配合物。
[態様4]
前記染料が0.05〜5重量%の量で存在し、前記グリコールエーテルベンゾエート、グリコールベンゾエート、及びメチルベンゾエートのうちの少なくとも1つが3〜6重量%の量で存在し、前記水が脱イオン水である、態様3に記載の染料配合物。
[態様5]
前記グリコールエーテルベンゾエートが、1−メトキシ−2−プロピルベンゾエート、2−プロポキシエチルベンゾエート、2−ブトキシエチルベンゾエート、2−(2−フェノキシエトキシ)エチルベンゾエート及び2−(2−フェノキシ−1−メチルエトキシ)−1−メチルエトキシベンゾエートのうちの少なくとも1つであり;並びに前記グリコールベンゾエートがジエチレングリコールモノ及びジベンゾエート、ジプロピレングリコールモノ及びジベンゾエート、トリエチレングリコールベンゾエート及びトリメチレングリコールジベンゾエートのうちの少なくとも1つである、態様4に記載の染料配合物。
[態様6]
前記アニオン性界面活性剤が1〜4重量%の量で存在する、態様5に記載の染料配合物。
[態様7]
前記アニオン性界面活性剤が直鎖アルキルスルホネートである、態様6に記載の染料配合物。
[態様8]
メタ系アラミド製品の染色法であって、該方法が、前記メタ系アラミド製品を染料配合物と接触させる工程であって、該染料配合物が、
A.カチオン性染料;
B.グリコールエーテルベンゾエート、グリコールベンゾエート、及びメチルベンゾエートのうちの少なくとも1つ;
C.水;並びに
D.任意にアニオン性界面活性剤、を含み、
前記染料配合物がpH6〜8を有する、工程を包含する、方法。
[態様9]
前記製品を前記染料配合物の染浴に浸漬させる、態様8に記載の方法。
[態様10]
態様8に記載の方法により染色されたメタ系アラミド製品。
[態様11]
繊維の形態の態様10に記載の製品。