【実施例】
【0021】
試験方法
界面張力の測定
試験燃料の水に対する界面張力を、DuNoyリング引き上げ法により、Kruss Laboratory Desktop Software version 2.0.0.2207を動かすKruss K12 hardware bios version 4.04を使用して測定した。DuNoyリング浸漬を、火炎処理したKruss標準プラチナリング及びソフトウェアデフォルト浸漬パラメータで行った。MilliQ system社の18MO抵抗を有するRO脱イオン水をこれらの試験に使用した。
【0022】
厚さ測定
膜厚を、厚さスナップゲージ(Mitutoyo社、オーロラ、イリノイ)のフットとペデスタルとの間にサンプルを据えることで測定した。
【0023】
フレージャー測定
フレージャー透過性値は、試験サンプルをまたいだ水柱12.7mmの差圧低下での1分あたりの立方フィート/平方フィートサンプル面積の空気流量である。透気度を、試験サンプルを、直径17.2cm(面積232平方センチメートル)の円形開口部をもたらす環状ガスケットを備えたフランジ付き取付具に固締することで測定した。サンプル取付具の上流側を、乾燥圧縮空気源と一列で流量計と接続した。サンプル取付具の下流側は大気に開放された。サンプルを通る流量を測定し、フレージャー数として記録した。
【0024】
バブルポイント測定
バブルポイント及び平均流れ孔径(mean flow pore size)を、Capillary Flow Porometer(モデル:CFP 1500 AEXL、Porous Materials社、イサカ、N.Y.)を使用して、ASTM F31 6−03の一般的な教示に従って測定した。サンプル膜をサンプルチャンバに入れ、表面張力19.1ダイン/cmを有するSilWick Silicone Fluid(Porous Materials社から入手可能)で濡らした。サンプルチャンバの下部クランプは直径2.54cm、厚さ3.175mmの多孔質金属ディスクインサート(Mott Metallurgical社、ファーミントン、コネチカット、40マイクロメートル多孔質金属ディスク)を有し、サンプルチャンバの上部クランプは直径3.175mmの孔を有した。Capwin software version 6.74.70を使用して、以下のパラメータを、すぐ下の表で指定した通りに設定した。
【0025】
【表1】
【0026】
燃料水分離試験
サンプルを、mahew tools社のダイパンチ及びポリエチレンカッティングボードを使用して1インチ外径にダイカットした。単層サンプルをAdvantec PP25フィルターホルダー(Sterlitech社、ケント、ワシントンから入手可能)に又は多層サンプルを改良型Advantec PP25フィルターホルダーに、
図1のステンレススチールキャップスクリュークロージャーで装填した。具体的には、図示の試験構成において、サンプル(図示したように、不織布10はePTFEラミネート11に隣接しているが、環状ガスケット12によって隔てられている)は、ステンレススチールクロージャー15、サポートスクリーン16(Advantec 540101)及びアウトレットベース17(Advantec 540103)間にキャップスクリュー18によって固締される。インレットキャップ(Advantec 540102)及びOリング(Advantec 540107)は試験サンプル上に配置される。多層サンプルの場合、GORE(登録商標)GR Sheet Gasketing(W.L. Gore and Associates社、ニューアーク、DEから入手可能)の環状ガスケットを使用してサンプルを、1.5mmを越える厚さに積層した層間のガスケットでシールした。次に、サンプルフィルターホルダー20を
図2に図示の装置に取り付けた。ビーカー24内の燃料に沈めたチューブ23を装着したフィルターホルダー20を三方バルブ22(Coleparmer EW-3120080、Coleparmer社、ヴァーノンヒルズ、イリノイから入手可能)に取り付けた。バルブ22を水を充填した蓄圧器26(Integrated Dispensing solutions PNs 8880297及び8880365、Integrated Dispensing Solutions社、アゴーラヒルズ、カリフォルニアから入手可能)及びディーゼルを充填したシリンジ21(Coleparmer EW073964)に連結した。蓄圧器26に、100psiのハウス圧縮空気27を送り込むmarsh bellowframタイプ41レギュレータ28(Coleparmer、P/N:EW6882522)を使用して圧縮空気で手動で加圧し、圧力を、レギュレータ横のデジタル表示の圧力計29を使用してモニタし、同時に4kgまで測定でき、0.1gまで読み取れる電子天秤25で質量出力をモニタした。三方バルブ22をシリンジ21及びフィルターホルダー20に対して開放するが、水の入った蓄圧器26に対して閉鎖した。次に、サンプルに、水に対する界面張力=21mN/m、粘度3.02センチポイズ、密度=0.829g/cm
3(Shell Service Station社から購入、#57543696405、エルクトン、メリーランド)を有する10mlのディーゼル燃料を手動でフラッシングした。次に、三方バルブ22を水の入った蓄圧器26及びフィルター20に対して開放し、ディーゼルシリンジ21に対して閉鎖した。次に、レギュレータ28を使用して、水の入った蓄圧器26を、圧縮空気27で1.5psiまで加圧した。観察される質量増加に基づき連続した水流を示さなかったサンプルは、この試験に合格したとみなされた。連続した水量を示したサンプルは不合格とみなされた。
【0027】
粒子詰まり試験
夾雑物及びダストへの生涯を通じての実際の曝露をシミュレーションするために、濾過材サンプルに、0.35リットルのダストスラリーを使用して定圧4PSIで負荷をかけた。15分後にこのダストスラリーの濾過が完了していないことは、フィルターが目詰まりしていることを示す。フィルターに、
図3の装置で負荷をかけた。試験ダストスラリーを、まず界面活性剤グリセロールモノオレエートPN G1017 CAS 25496−72−4(Spectrum Chemical社、ガーデナ、カリフォルニアから入手可能)を濃度1000ppmで、水に対する初期界面張力=21mN/m、粘度3.02センチポイズ、密度=0.829g/cm
3(Shell Service Station社から入手可能、#57543696405、エルクトン、メリーランド)を有する、試験燃料貯留部31内のディーゼル燃料に溶解させることで生成し、試験燃料貯留部31は、テフロンマグネチック撹拌子33を備えたガラスビーカー32を含んでなり、これらは全てマグネチック撹拌プレート34上にある。次に、150mgのISO A1細粒グレード試験ダストであるPowder Technology Incorporated社のグレードISO 12103−1(Powder Technology Incorporated社、バーンズヴィル、ミネソタから入手可能)を界面活性剤含有燃料に懸濁させた。界面活性剤は、試験ダストを安定させ、また凝集を防止するために必要である。Malvern Insitec L(Malvern Instruments社、ウェストボロー、マサチューセッツから入手可能)を使用した体積粒径分布の別々の光散乱測定は、製造業者が公表している分布(http://www.powdertechnologyinc.com/products/test-dust/test-dust.php).に合致した液体懸濁粒径分布を示す。試験ダストを、ベントスクリューに代わるルアーアダプタomega FT612及びストップコックomega FT6021(Omega社、スタンフォード、コネチカットから入手可能)を備えた円形47 mm Pall/Gellman 2220サンプルフィルターホルダー30(Optics Planet社、ノースブルック、イリノイから入手可能)に投入した。この試験のために、サンプルを
図4に図示するように構築した。2mmの極薄THVの3枚のディスク44を外径1 7/8インチ、内径3/16インチにダイカットした。厚さ0.25mmの両面テープMcMastercarr 77185824(McMasterCarr社、プリンストン、ニュージャージーから入手可能)の2枚のディスクを、外径1 7/8インチ、内径1 3/16インチにダイカットした。以下の積層物も、上から下に向かって:THV44、テープ、不織布フィルター層41、Oリング43、THV44、ePTFEラミネート42、テープ、THV44から形成した。使用したOリングは、McMastercarr社、パーツ番号9262K689のmetric buna-NOリング、幅2mm、内径35.5mmであった。次に、サンプル全体を、S/N番号3393−696のプレス、Carver油圧ユニットモデル#3393内に配置した。サンプルを2枚の金属プレート間に配置し、次にプレス内に配置した。サンプルに1000lbsの付加を1分間にわたってかけた。サンプルをプレスから速やかに取り外した。サンプルを、金属プレート上で1〜2分間にわたって冷却した。次に、サンプルをプレートから取り外した。次に、シールが上部THV層と下部THV層との間に見られた。THVの仕様はTHV ultra thin 221 Dureflex Roll No.-U8CFQ03914、プロダクトPT9101A NTB NATS、P/O 10624266、S/O 40989(Bayer Material Science社、ワトリー、マサチューセッツから入手可能である)であった。次に、この複合材サンプルを、インレット47及びアウトレット48を備えたフィルターホルダー46内に配置した。プレスを175°Fまで加熱した。このやり方で準備したサンプルのサンプル形状を
図4に示す。不織布層とePTFEラミネート層との分離距離は、全てのサンプルにおいて1.5mmより大きいことに留意されたい。単層サンプルの場合、内径1 3/16インチのGORE(登録商標)GR Sheet Gasketing(W.L. Gore and Associates社、ニューアーク、DEから入手可能)の環状ガスケットをサンプルのシールに使用した。ダスト燃料スラリーを、3.5Lのガラスビーカー32において持続的に撹拌しながら懸濁させ、これを加圧可能なペイントタンク内に配置した。タンクを、100PSIのハウス圧縮空気35を送り込むbellowframタイプ41レギュレータColeparmer:EW6882522で加圧した。圧力を、圧力計39を使用してモニタした。フィルターホルダー30をタンクに、内径1/4インチの編組ナイロン強化PVCチューブによりインラインスタティックミキサー37(Coleparmer、EW0466714)と共に取り付けた。フィルター1/316インチ直径フィルター面積(16.48ミリグラム/平方センチメートル)を通した150mgのダストの試験液の濾過を目詰まりなく完了したサンプルは試験に合格したとみなされた。目詰まりを起こさずに完了しなかったサンプルは不合格であるとみなされた。
【0028】
粒子清浄度試験
サンプルフィルターに、MIL PRF‐5606H Super Clean石油ベース油圧油Royco 756(Anderson Specialty Chemical社、ハノーバー、NJから入手可能)中のISO A3試験ダストPowder Technology IncorporatedグレードISO 12103−3のスラリーで負荷をかけた。試験ダストを流体中に、濃度100mg/mlで分散させ、粒子詰まり試験で使用したものと同じ装置をここでも使用して流体を2psiの圧力で濾過した。この試験のために、ラミネート及び不織布サンプルを外径1 7/8又は1.5インチ及び内径1 3/16環状ガスケットにダイカットした。ダスト濃度は、典型的なISO 22/21/18 ISOコーディング(例えば、Debra Wilfong, Andrew Dallas, Chuanfang Yang, Philip Johnson, Karthik Viswanathan, Mike Madsen, Brian Tucker and John Hacker, Donaldson Company, EMERGING CHALLENGES OF FUEL FILTRATION in FILTRATION volume 10 no 2, 2010, pp 105-1 15 ISSN 1479-0602)の約1000ガロンの一般的なディーゼル燃料で予測される典型的なダスト負荷を表す。ベース流体及びこれらの試験で得られた濾液を、South West Research Institute(サンアントニオ、テキサス)で、承認された標準粒子清浄度試験ISO 4406−固形粒子の汚染レベルをコードする方法により分析した。サンプルの粒子計数分析は、PAMAS HCB LD 50/50粒子カウンター(PAMAS USA社、タルサ、オクラホマから入手可能)を使用して行った。
【0029】
水詰まり試験
図5を参照するが、ePTFEラミネート52及び不織布層51を含むサンプルを外径1.75インチのディスクにダイカットした。厚さ0.25mmのポリエチレン両面接着性McMastercarr 77185824(McMasterCarr社、プリンストン、ニュージャージーから入手可能)を積層させ、外径1.75インチ、内径1.5インチ及び様々な厚さの環状ガスケット53にダイカットした。ePTFE−ガスケット−不織布(ePTFE面上流)の積層体を、燃料を流し込むステンレススチールPall/Gelman 2220ホルダー55の下半分において組み立て、ホルダー55を締めて閉じた。次に、
図5に示すサンプルホルダー55を含水燃料エマルション負荷試験装置に取り付け、空気を除去し且つ流れが60ml/分で燃料だけの流れと平衡となるように準備した。次に、サンプルに一定流量60ml/分で、燃料水界面張力を13mN/mに低下させるためにグリセロールモノオレエートを添加した、水に対する初期界面張力=21mN/m、粘度3.02センチポイズ、密度=0.829g/cm
3(Shell Service Station社、#57543696405、エルクトン、メリーランドから購入)を有するディーゼル燃料中の濃度約2000ppm(カール・フィッシャー滴定で測定)の微細乳化水を持続的に添加して負荷をかけた。全ての試験したサンプルを観察して、混濁した供給流を取り込み(典型的なカール・フィッシャー滴定値約2000ppm水)、透明で鮮やかな濾液(典型的なカール・フィッシャー値100ppm下)を生じることで証明される優れた水分離を得た。乳化水の負荷開始からの時間及び試験フィルターをまたいでの差圧を最高15分間にわたってモニタした。差圧における5psi上昇によって示されるサンプルの目詰まりが観察されたら、試験を終了した。
【0030】
燃料中微細水エマルションを、差圧45psiで運転し、ギアポンプ(Coleparmer S7300404)での高rpmポンプ輸送によって供給される、開口部0.8mmのキャリブレートしたオリフィスWater Emulsifying Device Assembly TS16332-SD(International Filter Testing Services [IFTS]社、スプリングフィールド、NJから入手可能)の先の30ゲージニードルを通した水の注入により、ISO 16332と同様のやり方で製造した。その小さなあと流れを、ポンプで調節する一定流れでのフィルター負荷試験に使用した(Cole Parmer masterflex 751810ヘッド)。負荷試験対象物の液滴サイズは、12〜28μm(Dv 50体積平均直径=12.23μm、D[3][2]ザウター直径4.570μm、Dv 90体積直径=28.83)であることが、フィルターホルダーの上流面上のベントラインから0.5mm光学距離フローセルを備えたMalvern Insitec L粒径分析装置へと流れをそらすことで求められた。分析は、ソフトウェアRT Sizer version 7.4を使用して、ディーゼル燃料に関しては入力屈折率1.44、水に関しては0.00+01iとすることで行われた。サンプルは、試験時間15分後に目詰まりを起こしていなければ試験に合格したとみなされた。15分以内に目詰まりを起こしたサンプルは不合格であるとみなされた。
【0031】
SAEJ 1488乳化水燃料分離試験
(2010年10月22日改訂)
SAE J1488を、SouthWest Research Institute、サンアントニオ、テキサスで行った。試験はSAE規格文書に記載されているが、簡単に説明すると、フィルターに、エマルションを生成するための遠心分離ポンプを利用したエマルション製造ループから得られるあと流れからの一貫した水エマルションで負荷をかける。試験中、上流側及び下流側の含水量をカール・フィッシャー滴定により求め、分離を、溶解している水のバックグラウンドについて補正した、測定された上流側及び下流側での含水量に基づいて計算する。試験は150分間にわたって行われる。あるいは下流側の含水量が上流側の含水量に達するまで行われる。試験を規格に従って行い、ただし負荷試験対象物の含水量は1500〜2000ppmであった。加えて、試験を、流量160L/Hで行い、使用した試験燃料は、燃料水界面張力を9±1mN/mに低下させるために約800〜1000ppmでグリセロールモノオレエートを添加したクレイ処理超低硫黄ディーゼル燃料であった。また、負荷試験対象物の液滴サイズは、0.5mm光学距離フローセルを備えたMalvern Insitec L粒径分析装置を使用して2〜10μmであると測定された(Dv 50体積平均直径=3.45
μm、D[3][2]ザウター直径2.17
μm、Dv 90体積直径=8.48)。分析は、ソフトウェアRT Sizer version 7.4を使用して、ディーゼル燃料に関しては入力屈折率1.44、水に関しては0.00+01iとすることで行われた。
【0032】
粘度測定
粘度を、UL低体積スピンドル及びチューブアクセサリーと共にBrookfield DVII+粘度計を使用して測定した。粘度を、温度22.5℃、100RPMの場合についてセンチポイズ(cP)で報告する。粘度を、事前にトルクが許す最大RPMで測定にかけられたサンプルについて、100RPMで5分後に読み取った。
【0033】
サンプル材料
実施例1
ディスクを、湿式マイクロガラス及びポリエステルスパンボンドを含んでなる濾過材であるLydall Lypore 9221-A/Aを含んでなる不織布濾過材層からダイカットした。Lypore 9221-A/Aは、製造業者公表の平均流れ孔径6mm、48lbs/3000平方フィート坪量、16ミル厚さ、水柱15mmの空気流抵抗を特徴とする。ディスクを膜ラミネート(パーツ番号LM 10406、W.L. Gore & Associates社、ニューアーク、デラウェアから入手可能)からダイカットし、この膜ラミネートはポリエステル不織布に接着させた微孔質ePTFE膜である。得られたePTFEラミネートは1フレージャーの透気度、厚さ0.19mm、1平方メートルあたり77グラムの坪量、PMIで求めたバブルポイント11.4psi及びPMIで求めた最大孔径0.9マイクロメートルを有する。材料を各サンプルホルダーに、各試験で説明されるように上流−不織布−ガスケット−ePTFEラミネート−下流の構成で固定した。
【0034】
実施例2
ディスクを、メルトブロー微細繊維PBTであるJohns Manville DW40014003及びフェノールホルムアルデヒド樹脂で硬化させたポリエステルマイクロファイバーとセルロースマイクログラス湿式複合材とを含んでなるAhlstrom 220-PSFFL-A濾過材を含んでなる不織布濾過材層からダイカットした。材料は、約166lb/3000フィート
2の坪量、36ミル厚さ、1.2フレージャー透気度及び60psi
の硬化した材料の破裂強度の製造業者公表規格を有する。ディスクを、実施例1に記載の微孔質ePTFE膜ラミネートからダイカットした。材料を各サンプルホルダーに、各試験で説明されるように上流−不織布−ガスケット−ePTFEラミネート−下流の構成で固定した。
【0035】
実施例3
ディスクを、メルトブローポリプロピレン微細繊維30グラム/平方メートル坪量及び50g/m
2メルトブローポリエステルとフェノール樹脂を染み込ませた湿式セルロース紙層とを含んでなるNeenah Gessner K13B50A濾過材を含んでなる不織布濾過材層からダイカットした。Neenah Gessner K13B50Aは、13mm平均流れ孔径、285グラム/平方メートル坪量、0.75mm厚さ及び200パスカルでの空気流8L/m
2を特徴とする。ディスクを、実施例1に記載の多孔質ePTFE膜ラミネートからダイカットした。材料を各サンプルホルダーに、各試験について説明されるように上流−不織布−ガスケット−ePTFEラミネート−下流の構成で固定した。
【0036】
実施例4
ディスクを、各パーツ番号がそれぞれDW 6014003、DW 6014044
、DW 406であるJohns Mannville社のポリエステル不織布の3層を含んでなる不織布濾過材層からダイカットした。ディスクを、実施例1に記載の微孔質ePTFE膜ラミネートからダイカットした。材料を各サンプルホルダーに、各試験について説明されるように上流−不織布−ガスケット−ePTFEラミネート−下流の構成で固定した。
【0037】
実施例5
ディスクを、実施例1に記載のLydall Lypore 9221-A/Aを含んでなる不織布濾過材層からダイカットした。ディスクを、W.L, Gore & Associates社(ニューアーク、デラウェア)から入手可能な、微孔質ePTFE膜ラミネートパーツ番号LXP10029 L♯9493412からダイカットした。ePTFEラミネートは、ポリエステルスパンボンド及びメルトブローポリプロピレン層を含んでなる不織布上のePTFEの複合材である。得られたePTFEラミネートは、3フレージャーの透気度、厚さ0.85mm、坪量273グラム/平方メートル、PMIで求めたバブルポイント4.2psi及びPMIで求めた最大孔径2.5マイクロメートルを有する。材料を各サンプルホルダーに、各試験について説明したように上流−不織布−ガスケット−ePTFEラミネート−下流の構成で固定した。
【0038】
実施例6
ディスクを、実施例1に記載のLydall Lypore 9221-A/Aを含んでなる不織布濾過材層からダイカットした。ディスクを、W.L. Gore & Associates(ニューアーク、デラウェア)から入手可能な、微孔質ePTFE膜ラミネートパーツ番号LXP10029 L♯9493314からダイカットした。このePTFEラミネートは、ポリエステルスパンボンド及びメルトブローポリプロピレン層を含んでなる不織布上のePTFEの複合材である。得られたePTFEラミネートは、3.2フレージャーの透気度、厚さ0.85mm、坪量259グラム、PMIで求めたバブルポイント3.58psi及びPMIで求めた最大孔径3マイクロメートルを有する。材料を各サンプルホルダーに、各試験について説明したように上流−不織布−ガスケット−ePTFEラミネート−下流の構成で固定した。
【0039】
実施例7〜8
ディスクを、実施例3に記載のNeenah Gessner K13B50Aを含んでなる不織布濾過材層からダイカットした。ディスクを、実施例1に記載の微孔質ePTFE膜ラミネートからダイカットした。材料を各サンプルホルダーに、各試験について説明したように上流−不織布−ガスケット−ePTFEラミネート−下流の構成で固定した。
【0040】
実施例9
プロトタイプの濾過装置は、環状プリーツパックに配置されたAhlstrom 220PSFFLA不織布濾過材を含んでなる第1濾過材層と、不織布プリーツパックの内側に嵌め込まれた環状プリーツパック状の実施例5のePTFEラミネートを含んでなる第2疎水性層とを含んでなった。Ahlstrom 220PSSFL-Aの外方環状プリーツパック(
図6のA)はプリーツ高さ106mm、プリーツ深さ7.5mm及びプリーツ数55を有し、ポッティング後有効面積は0.065平方メートルであった。微孔質ePTFE膜ラミネートの内方プリーツバック(
図6のB)は、プリーツ高さ85mm、プリーツ深さ13.5mm、プリーツ数56を有し、ポッティング後の有効面積は0.103平方メートルであった。プリーツパックは、エポキシ(JB社のquick weld)を使用してシームシールされた。組み立てた装置は、層1と層2との3mmのV/SA分離を、
図6に図示の層間最小分離に基づいて有する。装置全体は
図6のように組み立てられた。装置の中実構成要素(A、B以外の
図6Bにおけるハッシュ線の構成要素)は、透明樹脂であるSomos Watershed 11120(DSM社)からステレオリソグラフィにより形成され、プリーツパックは各キャップに、二成分ポリウレタンでのポッティングによりシールされた。
図6における寸法は、図における内方プリーツパック(C=5.6cm)の下部エンドキャップの寸法を基準とする。VitonOリングを使用して、外方シェルのシール並びに中実外方シェル60へのプリーツパックAのインレット63及びアウトレット64エンドキャップのはめ合いシールを達成した。この実施例における流路は、インレット63−A−B−アウトレット64である。
【0041】
比較例1
ディスクを、Lydall Lypore 9221-A/Aを含んでなる不織布濾過材層から(実施例1において上述したように)ダイカットした。
【0042】
比較例2
ディスクを、Johns Manville DW6014003メルトブロー微細繊維
PBT及びAhlstrom 220PSFFL-Aを含んでなる不織布濾過材層から(実施例2において上述したように)ダイカットした。
【0043】
比較例3
ディスクを、メルトブローポリプロピレン微細繊維30グラム/平方メートル坪量及びNeenah Gessner K13B50Aを含んでなる不織布濾過材層から(実施例3において上述したように)ダイカットした。
【0044】
比較例4
市販の2段水フィルター分離装置Mahle KL490を得た。フィルターは、中実内方コアにおいて開口部にシールされた内方ウーヴンスクリーン濾過材と共にプリーツ加工された外方
のコアレッサー機能を有する不織布濾過材を含んでなる。外方プリーツ濾過材は約0.07平方メートルであり、80個の高さ3.5cmのプリーツをプリーツ深さ1.5cmで有する。濾過材は、微細繊維ポリエステル不織布と湿式セルロース不織布との多層複合材を含んでなる厚さ約1.13mmの複合材である。エレメントコア上のウーヴン濾過材は疎水性スクリーンであり、繊維直径30マイクロメートル、厚さ60マイクロメートル、1インチあたり約282ピックの約20マイクロメートルのメッシュ開口部及びフッ素コーティングを施した表面仕上げを有する。この実施例においては、直径1.4インチのディスクを、不織布
のコアレッサー機能を有する濾過材の第1層からダイカットした。
【0045】
比較例5
市販の2段水フィルター分離装置Mahle KL228を得た。フィルターは、中実内方コアにおいて開口部にシールされた内方ウーヴンスクリーン濾過材と共にプリーツ加工された外方
のコアレッサー機能を有する不織布濾過材を含んでなる。外方プリーツ濾過材は約0.178平方メートルであり、146個の高さ3.5cmのプリーツをプリーツ深さ1.75cmで有する。濾過材は、微細繊維ポリエステル不織布と湿式セルロース不織布との多層複合材を含んでなる厚さ約1.13mmの複合材である。エレメントコア上のウーヴン濾過材は疎水性スクリーンであり、繊維直径25マイクロメートル、厚さ50マイクロメートル、1インチあたり約363ピックの約20マイクロメートルのメッシュ開口部及びフッ素コーティングを施した表面仕上げを有する。この実施例においては、ディスクを、不織布
のコアレッサー機能を有する濾過材の第1層からダイカットした。
【0046】
比較例6
市販の2段水フィルター分離装置Beck-Arnley 043-1057を得た。フィルターは、中実内方コアにおいて開口部にヒートシールされた内方ウーヴンスクリーン濾過材と共にプリーツ加工された外方
のコアレッサー機能を有する不織布濾過材を含んでなる。外方プリーツ濾過材は約0.11平方メートルであり、78個の高さ4cmのプリーツをプリーツ深さ1.75cmで有する。濾過材は、微細繊維ポリエステル不織布と湿式セルロース不織布との多層複合材を含んでなる厚さ約0.64mmの複合材である。エレメントコア上のウーヴン濾過材は疎水性スクリーンであり、繊維直径53マイクロメートル、厚さ70マイクロメートル、1インチあたり約131ピックの約88マイクロメートルのメッシュ開口部及びフッ素コーティングを施した表面仕上げを有する。この実施例においては、ディスクを、不織布
のコアレッサー機能を有する濾過材の第1層からダイカットした。
【0047】
比較例7
比較例4に記載の
Mahle KL490の一片を、Gore-Tex(登録商標)GRシートの環状ガスケット(外径1インチ、内径0.25インチ)を使用してフィルターホルダーに取り付けた。
【0048】
比較例8
ウーヴンポリエステルスクリーンSpectrapore P/N:145832、メッシュサイズ15マイクロメートル(Spectrum Labs社、ランチョドミンゲス、CAから入手可能)の47mmディスク。このスクリーンを米国特許第5462586号明細書に記載されているような、パーフルオロヘプタンPF5070(3M社、ミネアポリス、ミネソタ)に溶解させたフルオロアクリレートポリマーの溶液でディップコーティングし、1時間にわたって100°でオーブン乾燥させてから試験した。
【0049】
比較例9〜14
ディスクを、Neenah Gessner K13B50Aを含んでなる不織布濾過材層から(実施例3において上述したように)ダイカットした。材料を各サンプルホルダーに、上流−不織布−ガスケット−ePTFEラミネート−下流の構成で固定した。
【0050】
比較例15
ディスクを、多孔質ePTFE膜ラミネート、パーツ番号LM 10406から(実施例1において上述したように)ダイカットした。
【0051】
比較例16
ディスクを、Mahle KL490からの不織布
のコアレッサー機能を有する濾過材の第1層から(比較例4において上述したように)ダイカットした。ディスクを、微孔質ePTFE膜ラミネートLM 10406から、実施例1において上述したようにダイカットした。材料を各サンプルホルダーに、各試験について説明したように上流−不織布−ガスケット−ePTFEラミネート−下流の構成で固定した。
【0052】
比較例17
ディスクを、比較例6に記載のBeck-Arnely 043-1057からの不織布
のコアレッサー機能を有する濾過材の第1層からダイカットした。ディスクを、実施例1において上述したように、微孔質ePTFE膜ラミネートLM 10406からダイカットした。材料を各サンプルホルダーに、各試験について説明したように上流−不織布−ガスケット−ePTFEラミネート−下流の構成で固定した。
【0053】
比較例18
ディスクを、実施例4において上述したように不織布濾過材からダイカットした。
【0054】
クロスフロー試験結果についての考察
W.L. Gore & Associates社(ニューアーク、デラウェア)から入手可能な実施例1に記載の微孔質ePTFE膜ラミネートをFiltration Solutions Incorporated社(ハケッツタウン、NJ)に供給した。ラミネートを、外径1.5インチの螺旋巻きクロスフローモジュールFiltration Solutions Incorporated PN SM1.5-10、フィルター面積0.21m
2に作製した。サンプルを製造業者が推奨する動作条件下でクロスフローについて、ISO 19438規格に従ってSouthWest Research Instituteにて、クロスフロー速度2.7L/分及び下流ポンプによって1L/mまで制限された透過水流量で試験した。ISO 19438試験により、Mil-H PRF試験流体に懸濁させた50mg/mlの
ISO12103−1において規定されるISO12103−A3ダストでフィルタに負荷をかける。膜表面を流れるクロスフローにも関わらず、モジュールは10分未満ですぐに目詰まりを起こし、実施例5で詳細に記載した構成の市販のフィルターMahle KL 228のダスト保持容量の1/10未満であった。
【0055】
水分離試験の結果の考察
実施例1〜6及び比較例1〜9に記載のサンプルを、上記の水分離試験において評価した。試験の結果を以下の表Iに示す。
【0056】
【表2】
【0057】
表1からわかるように、実施例1〜6に記載の不織布層、固定分離距離及び微孔質疎水性膜を含んでなる本発明の複合材は透水に耐えるため、水から燃料が分離される。対照的に、比較例1〜8は透水に耐えず、水を燃料から分離することもしない。より具体的には、比較例1〜3は、不織布層単独では透水に耐えないことを示す。さらに、比較例4〜
8は、その疎水性にも関わらず、市販のフィルター及び疎水性ウーヴンスクリーンの
コアレッサー機能を有する濾過材は透水にも耐えず、水を燃料から排除もしないことを示す。
【0058】
水詰まり試験の結果の考察
実施例7〜8及び比較例3、
9〜14に記載のサンプルを、上記の水詰まり試験において評価した。試験の結果を下の表2に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
表2は、不織布層、1.5mmを越えるV/SA分離及び微孔質疎水性膜を含んでなる実施例7〜8の本発明の複合材が水詰まりを起こさないことを示す。対照的に、1.5mm未満の体積面積分離距離を有する比較例9〜14に記載の同様の複合材は水詰まりを起こす。さらに、比較例3は、不織布層単独では水を通し、この試験において目詰まりしないことを示す。このため、記載の本発明の複合材に関して、疎水性フィルムと不織布との分離距離が水詰まりの回避に極めて重要であることは明らかである。
【0061】
粒子詰まり試験の結果の考察
実施例1〜4及び比較例1、2、3、4、6、15、16、17に記載のサンプルを、上記の粒子詰まり試験において評価した。試験の結果を以下の表IIIに示す。
【0062】
【表4】
【0063】
表3は、実施例1〜4に記載の、不織布層、固定体積/面積分離距離及び微孔質疎水性膜を含んでなる本発明の複合材が耐久性のある粒子濾過をもたらし、また実際に生涯を通じて粒子に曝露されるディーゼル燃料を表す粒子負荷試験物によって目詰まりを起こさないことを示す。対照的に、比較例16、17は目詰まりを起こし、これは典型的な
コアレッサー機能を有する濾過材の複合材が本発明の不織布と同じように機能して目詰まりを防止したり、耐久性があり且つ信頼性の高い分離を行ったりしないことを示す。比較例15は、疎水性微孔質ePTFE膜単独の概念は目詰まりを起こし、耐久性のある分離を行わないことを示す。比較例1〜5は、本発明の不織材料単独も従来技術のコアレッサ単独も、観察された目詰まり挙動及び耐久性の喪失に関係ないことを示すコントロールである。
【0064】
粒子清浄度試験の結果の考察
比較例1、2、3、4及び18に記載のサンプルを、上記の粒子清浄度試験において評価した。試験の結果を以下の表4に示す。
【0065】
【表5】
【0066】
比較例1、2、3及び18の濾過材をePTFEなしで試験し、ISO 4406清浄度レベル17/15/11以上(例えば、1300個より少ない粒子/ml>4μm、320個より少ない粒子/ml>6μm、20個より少ない粒子>14μmを有する)を有する濾液が得られ、これは濾過材が大きい粒子に関して実質的に粒子フリーであり、燃料清浄度が製造試験流体に匹敵する又はそれより高いことを示す。対照的に、比較例4は、本発明の複合材の不織布の粒子清浄度要件を満たさない従来技術の典型的なコアレッサ材料を示し、典型的な濾過していないディーゼル燃料、例えば
ISO清浄度コード22/21/17となる(例えば、Debra Wilfong, Andrew Dallas, Chuanfang Yang, Philip Johnson, Karthik Viswanathan, Mike Madsen, Brian Tucker and John Hacker, Donaldson Company, EMERGING CHALLENGES OF FUEL FILTRATION in FILTRATION volume 10 no 2, 2010, pp 105-115 ISSN 1479-0602を参照のこと)。
【0067】
乳化燃料水分離試験についての考察
SAE J1488燃料水分離試験を、実施例9に記載の本発明の複合材装置並びに比較例4及び比較例5に記載の市販のフィルターMahle KL490及びMahle KL228で行った。表5は平均水分離効率を示し、
図7は試験時間の関数としての試験において求められる水分離効率を示す。
図7からわかるように、本発明の複合材は、試験時間を通じて耐久性のある高い水分離効率を示すのに対して比較例はすぐに水を通してしまい、試験を終わらせるポイントである、有意ではないとみなされる水分離レベルにまで急速に劣化した。さらに、本発明の
実施例9を使用して達成された分離結果は、プロトタイプへの混濁した燃料投入物及びアウトレットでの透明で鮮やかな燃料の直接の観察から明白であった。
【0068】
【表6】