(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却部は、空気の取り入れを行う吸気口と、送風用ファンと、送風用ファンからの風を混合物調製部に導く送風ダクトと、混合物調製部を経由した風を混合物調製部よりも上側に設けられた排気口に導く排気ダクトとを備え、
前記制御部は、上記送風用ファンによる気流の方向に対して前記回転機構の回転方向が対向するように上記回転機構の回転方向を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の混合物生成装置。
前記制御部は、前記送風用ファンによる気流の方向に対して前記回転機構の回転方向が対向するように上記回転機構の回転方向を制御することを特徴とする請求項8記載の混合物生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について
図1〜
図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0018】
本実施の形態では、混合物生成装置として、例えば、混合抽出用原料としての乳児用の粉ミルクと加熱した液体とを自動で混合して混合物としてのミルクを生成する調乳器について説明する。尚、本実施の形態では、混合物生成装置としての粉末乳調乳装置について説明するが、本発明の混合物生成装置においては、必ずしもこれに限らない。例えば、混合抽出用原料としてのとしての挽きコーヒー豆に加熱した液体を注いで混合物としてのコーヒーを自動で生成する混合物生成装置としてのコーヒーメーカーに適用することができる。その他、混合抽出用原料としての茶葉に加熱した液体を注いで混合物としての日本茶又は紅茶を自動で生成する混合物生成装置としての茶メーカーに適用することができる。
【0019】
本実施の形態の混合物生成装置としての粉末乳調乳装置1Aの構成について、
図1の(a)(b)〜
図3に基づいて説明する。
図1の(a)は、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Aの構成を示す断面図である。
図1の(b)は、上記粉末乳調乳装置1Aの調乳用ポッド4の構成を示す平面図である。
図2は、上記粉末乳調乳装置1Aの供給配管10に接続されているフロート式逆止弁11の構成を示す概略断面図である。
図3は、上記粉末乳調乳装置1Aの冷却部30の構成を示す断面図である。
【0020】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Aは、
図1の(a)(b)に示すように、筐体としての装置本体2と、液体を貯留する容器3と、混合物調製部としての調乳用ポッド4とから構成されている。
【0021】
上記容器3は、筐体としての装置本体2の上部に配置されていると共に、装置本体2に対して着脱可能となっている。容器3には、調乳に用いるための液体Lが貯留される。液体Lとして、例えば、水道水の他、赤ちゃん用の飲用水、純水又は天然水といった赤ちゃんが飲むのに適した水等が挙げられる。また、容器3の下部には給水弁3aが設けられており、本体から取り外したときには給水弁3aが閉まる。このため、容器3を装置本体2から取り外して水道から給水すること、及び給水後持ち運びをすることができる。その後、容器3を装置本体2に設置すると給水弁3aは開き、供給配管10及びヒーター12に液体Lが供給される。
【0022】
ここで、容器3の側面には水量を把握できるように目盛りが付けられており、ユーザーは、この目盛を用いて調乳量を調節することができる。なお、目盛りは容器3の内側側面に付けてもよいし、容器3を透明にして外側から確認できるようにしてもよい。
【0023】
また、容器3には、例えば図示しない活性炭やイオン交換膜からなるフィルタ等を設置し、注がれた液体L内の不純物や塩素、バクテリアや細菌、イオン系金属類等の成分を除去可能とする構成としてもよい。さらに、液体Lを長時間貯留することを想定して、例えば紫外線照射装置等の殺菌装置を容器3の上部に設置してもよい。これにより、貯留する液体Lに紫外線を照射し、殺菌することができる。
【0024】
装置本体2の略中央付近の載置部2aには調乳用ポッド4が載置できるようになっており、この調乳用ポッド4にて湯と飲料原料としての粉ミルクPMとの調製混合といった生成作業が行われる。
【0025】
装置本体2における調乳用ポッド4の下方には、ユーザーが粉末乳調乳装置1Aを操作するための操作パネル6が設けられている。この操作パネル6は、装置本体2の各部の動作を制御する制御部7に接続されている。
【0026】
上記装置本体2の内部には、容器3に貯留された液体Lを供給するための供給配管10と、供給配管10の出口側に設けられ、かつ後述する液体加熱部としてのヒーター12にて加熱沸騰された液体Lを煮沸状態から70℃の間の温度に調製する温度調節部であるロート状容器としてのファンネル20と、調乳用ポッド4を冷却する冷却部30と、調乳用ポッド4内の撹拌子4aを回転させるためのモーター5と、調乳用ポッド4内のミルクMの温度を測定するサーミスタTMとが設けられている。
【0027】
上記供給配管10は、容器3に貯留された液体Lが通る流路となっている。供給配管10には、液体Lの容器3への逆流を防ぐフロート式逆止弁11と、供給された液体Lを加熱して煮沸殺菌するための加熱供給部としてのヒーター12と、加熱された液体Lをファンネル20に分散して噴き出させる散水ノズル13とが備えられている。このため、容器3に貯留された液体Lは、該容器3から供給配管10の内部においてフロート式逆止弁11を経由してヒーター12の入口へと流入され、ヒーター12の出口からは散水ノズル13へ流出される。
【0028】
供給配管10の材質としては、例えばSUS等の金属配管やシリコンやテフロン(登録商標)系の樹脂配管等の配管を使用することができる。好ましくは、食品用途の供給に適した例えばシリコン系の部材を選定することが望ましい。本実施の形態では、供給配管10として、例えば内径φ10mmのシリコンチューブを使用している。チューブの材質や内径等のサイズは任意に設定することができる。また、各パーツとの接続は、チューブのサイズ等に適した任意の固定方法を選択することができる。
【0029】
フロート式逆止弁11は、液体Lのヒーター12から容器3への逆流を防止する機能、及び液体Lの供給をフロート式逆止弁11の水位レベルで止める機能を有している。具体的な構成としては、
図2に示すように、内径の小さい小径配管部11aの下に内径の大きい大径配管部11bを有していると共に、大径配管部11bには小径配管部11aの内径よりも大きい外形からなる浮子11cが設けられている。
【0030】
上記フロート式逆止弁11では、容器3から液体Lが注入されると、その流れによって浮子11cが下がる。そして、液体Lがフロート式逆止弁11の水位まで満たされると、浮子11cが浮き、小径配管部11aを塞ぐので、供給配管10から容器3への逆流が防止されるものとなっている。
【0031】
ヒーター12は、本実施の形態では、
図1の(a)に示すように、例えばU字状の配管形状となっており、供給配管10の一部を周囲から覆うように形成されている。ヒーター12には、例えば、ニクロム線が内蔵されており、ミルク生成用の液体Lを加熱して煮沸させ、殺菌し、散水ノズル13へ供給する機能を有している。具体的には、以下のとおりである。
(1)容器3から液体Lがフロート式逆止弁11を通して供給配管10におけるU字状のヒーター12に覆われた部分へ流入する。
(2)供給配管10におけるU字状のヒーター12に覆われた部分へ流入された液体Lは、フロート式逆止弁11が取り付けられている高さまで液体Lで満たされる。
(3)ヒーター12による加熱が開始されると、液体Lは沸騰し、その蒸気圧でヒーター12から押し上げられる。
(4)ヒーター12の入口側にはフロート式逆止弁11があるため、逆側のヒーター12出口からのみ液体Lが押し出され、該液体Lは供給配管10を経由して散水ノズル13に供給される。
(5)ヒーター12に覆われた部分の供給配管10の液体Lが減少することによって、ヒーター12に覆われた部分の供給配管10の内部の圧力が低下し、フロート式逆止弁11が開く。この結果、(1)に戻って加熱前の液体Lが流入する。
【0032】
尚、本実施の形態のヒーター12には、図示しない温度センサーが設置されており、ヒーター12の加熱温度を常に測定できるようになっている。
【0033】
以上の(1)〜(5)が、液体Lが容器3から無くなるまで繰り返され、ヒーター12にて加熱された液体Lが順次ファンネル20に圧送される。供給配管10の内部に液体Lが無くなると、ヒーター12からの熱が外部に伝わり難くなり、ヒーター12自体の温度が液体Lの沸騰温度以上まで上昇し易くなる。この結果、この上限となる温度を設定して検知することによって、ヒーター12の加熱が停止できるようになっている。
【0034】
散水ノズル13は、加熱されて圧送されてきた液体Lを分散して噴き出す機能を有している。散水ノズル13の先端である下側の壁面には、複数の小さい穴や細いスリットが形成されている。そして、穴やスリットのサイズを変えることによって、液体Lをシャワー状からより細かい霧状まで分散させることができる。液体Lが細かく分散されると表面積が増大するので、ファンネル20の空間内に存在する空気との熱交換が促進される。この結果、液体Lの温度が下がることになる。
【0035】
ファンネル20は、散水ノズル13によって分散して温度低下した液体Lを集め、下部に設けた出口から下方に設けられた調乳用ポッド4に液体Lを滴下する。下部に設ける出口は、例えば、径が1mm〜3mm程度であり、孔数が1個〜5個程度であり得る。本実施の形態では、下部に設ける出口として、内径φ1mmの孔を5個設けている。
【0036】
したがって、散水ノズル13及びファンネル20は、ヒーター12にて加熱沸騰された液体Lを冷ます第1の温度調節部として機能している。
【0037】
上記ファンネル20の下側には、調乳用ポッド4が装置本体2の載置部2aに載置される。調乳用ポッド4は、予め内部にセットしておいた乾燥粉末乳つまり粉ミルクPMとミルク生成用の煮沸済の液体Lとを調製混合することにより、ミルクMを生成するものである。
【0038】
本実施の形態の調乳用ポッド4では、調乳用ポッド4の内部に粉ミルクPMと液体Lとを撹拌混合するための撹拌子4aを設けて使用する。
【0039】
撹拌子4aは、内部に磁石が配されており、磁石の表面を樹脂で覆った形態となっている。表面に用いる樹脂は、食品用に適した樹脂を用いることが好ましく、例えば、前述した供給配管10の材質と同様のシリコン、テフロン(登録商標)系やポリプロピレンなどを用いることが望ましい。
【0040】
撹拌子4aの形状としては、細長い繭状のもの、八角棒状のもの、円盤状のもの、風車の羽根状のものなど様々なもので対応可能である。本実施の形態では、細長い繭上のものを用いている。
【0041】
上記撹拌子4aの磁石は、調乳用ポッド4の下方の装置本体2の内部に配置されるモーター5の回転軸に配置された図示しない磁石と対になっており、モーター5の動作に対応して撹拌子4aが回転することになる。
【0042】
モーター5は上述のように磁石を具備しており、モーター5が回転することで磁石が回転する。この磁石の回転によって、撹拌子4aが回転する。すなわち、モーター5は撹拌子4aを回転させる機能を有している。したがって、撹拌子4a及びモーター5は、本発明の回転機構としての機能を有している。
【0043】
本実施の形態のモーター5は、粉末乳調乳装置1Aの動作における、調乳用ポッド4へ液体Lを滴下する動作とは独立して制御される。すなわち、液体Lの滴下時にモーター5が動いていてもよいし、停まっていてもよい。加えて、モーター5の回転方向及び回転速度は可変となっており、後述するように、ミルクMを生成する際に制御部7により適時制御される。これにより、モーター5の制御を介して撹拌子4aの回転方向と回転速度とが制御される。
【0044】
ここで、モーター5への給電系統には電流検知回路が設けられていることが好ましい。撹拌子4aが設置されていない状態でミルクMを生成する場合や、撹拌子4aが何らかの異常によりモーター5の磁石との位置ずれを起こした場合には、モーター5への負荷が減少する。この負荷の減少を電流検知回路によって検出することにより、粉末乳調乳装置1Aの動作の異常を検出することができる。
【0045】
冷却部30は、
図3に示すように、送風用のファン32と、吸気口31と、送風ダクト33aと排気ダクト33bとからなるダクト33と、排気口34とから構成され、液体L及び混合後のミルクMを冷ます第2の温度調節部として機能している。
【0046】
ファン32は、調乳用ポッド4内にあるミルクMを目的の温度まで空冷するための送風機能を有している。
図3に示すように、ファン32は装置本体2内部に配置され、上流側には空気を吸い込むための吸気口31が設けられ、下流側には調乳用ポッド4に空気を噴き出すための送風ダクト33aが設けられている。吸気口31には図示しないフィルタが設けられており、内部に埃や異物等が入り込まないようになっている。また、調乳用ポッド4の下流側には空気を装置本体2の外部へ吐き出すための排気口34を有する排気ダクト33bが設けられている。
【0047】
すなわち、ダクト33は、送風ダクト33aと排気ダクト33bとの途中に空間部33cを有しており、空間部33cに調乳用ポッド4が配されている。この空間部33cは、開放された空間からなっているので、調乳用ポッド4が挿入可能となっている。
【0048】
送風ダクト33aは、調乳用ポッド4に対して横又は下方から風が当たるように開口されていると共に、調乳用ポッド4の下流側の排気ダクト33bは、調乳用ポッド4の横又は上方から抜けていくように配されて排気口34に接続されている。
【0049】
本実施の形態では、ダクト33の調乳用ポッド4よりも下流側の排気ダクト33bは、調乳用ポッド4内に注がれる加熱された液体Lや調乳されたミルクMから発生する湯気が結露し易い環境になっている。このため、
図3に示すように、ファン32を調乳用ポッド4の上流に配置し、排気ダクト33b内部で結露した水滴が調乳用ポッド4内に滴り落ちないように、結露水落下防止部としてのダクト返し部33dを設けた構成としている。すなわち、ダクト返し部33dは、筒状の排気ダクト33bの入り口端部を内側に折り返して形成されており、排気ダクト33b内部で結露した水滴がダクト返し部33dにて溜められるようになっている。
【0050】
本実施の形態の冷却部30では、このような構成とすることによって、調乳用ポッド4の上側の開口部4bの上側に空気の流れができ、調乳用ポッド4の内部から熱気が引き寄せられて抜け易くなる。この結果、対流によるミルクMからの放熱が促進される。逆に、送風を止めた場合、調乳用ポッド4内の空間が熱溜りとなってしまうため、ミルクMからの放熱がされ難い状態となる。
【0051】
ここで、調乳用ポッド4内に存在するミルクMに風を直接当てると素早く冷やすことができる。しかしながら、風をミルクMに直接当てると、埃等の異物をミルクMに入れてしまう可能性が高くなる。埃等は、ミルクMに触れると表面張力によりミルクM中にトラップされて取り込まれてしまう。このため、赤ちゃんに飲ませる飲み物を作る方法としては非常に不適切である。そこで、本実施の形態では、上述のようなミルクMに風を直接当てない構成としている。すなわち、調乳用ポッド4側面からの放熱と、調乳用ポッド4上部の熱溜りを抜くことによる放熱との二つの放熱によって、ミルクの冷却を実現している。
【0052】
また、ファン32による冷却過程は、撹拌子4aによる撹拌工程と同時に行うことによって、より冷却し易くなる。この原理について、
図4の(a)(b)に基づいて説明する。
図4の(a)は、撹拌子4aが停止している状態での調乳用ポッド4内部の液面状態を示す断面図である。
図4の(b)は、撹拌子4aが回転動作している状態での調乳用ポッド4内部の液面状態を示す断面図である。
【0053】
図4の(a)に示すように、撹拌子4aが停止している状態での調乳用ポッド4内部の液面状態は水平である。これに対して、
図4の(b)に示すように、撹拌子4aが回転動作していると、遠心力により外側の液面が上昇し、中央部は下降する。このような状態となることによって、ミルクMと調乳用ポッド4内面との接触面積及びミルクMの表面積がいずれも増加する。このため、ミルクMの放熱面積が増加し、ミルクMが冷え易くなる。また、このような液面の変化があるため、調乳用ポッド4のサイズはミルクMの調乳量よりも十分大きくしておく必要がある。
【0054】
ここで、撹拌子4aの回転速度をできる限り大きくし、ミルクMと調乳用ポッド4内面との接触面積及びミルクMの表面積ができる限り大きくなるようにすることによって、ミルクMをさらに素早く冷やすことができる。しかしながら、回転速度を大きくするとミルクMのしぶきやうねり等が発生し易くなり、ミルクM内に気泡が多量に取り込まれてしまう。気泡を含有するミルクMは、授乳時に赤ちゃんの胃内に入る空気を増大させる。その結果、赤ちゃんから大きなげっぷが出易くなり、げっぷが未だ上手くできない赤ちゃんにおいては、げっぷの拍子にミルクMを吐き戻し易くなる。そのようなミルクMの吐き戻しは、赤ちゃんへの再度の授乳又は頻繁な授乳を必要とし、母親等の授乳する者の負担を非常に増大させる。したがって、気泡を大量に含むミルクMを生成する方法は、赤ちゃんに与えるミルクMを作る方法としては非常に不適切である。そこで、ミルクMへの気泡の含有を軽減可能な混合物生成方法が望まれる。
【0055】
具体的には、ミルクMへの気泡の含有を軽減方法として、本実施の形態では、冷却部30による冷却過程は、撹拌子4aによる撹拌過程と同時に行い、かつ撹拌子4aの回転方向とファン32の送風による気流の方向とを対向させている。これによって、ミルクMをより冷却し易くすると共に、気泡の含有を軽減することができるものとなっている。
【0056】
この原理について、
図5の(a)(b)に基づいて説明する。
図5の(a)は、粉末乳調乳装置1Aにおける調乳用ポッド4の撹拌子4aが回転動作している状態での内部の放熱及び消泡の様子を示すものであって、撹拌子4aの回転方向とファン32の送風による気流の方向とが対向し混合されている状態(以後、「向流混合状態」と記す)を示す断面図である。
図5の(b)は、撹拌子4aの回転方向とファン32の送風による気流の方向とが同じ方向の状態(以後、「並流混合状態」と記す)を示す断面図である。
【0057】
すなわち、
図5の(a)に示すように、本実施の形態における向流混合状態では、撹拌子4aの回転方向と前記ファン32の送風による気流の方向とが対向している。これにより、撹拌中のミルクMの液面に当たる風速が、撹拌子4aの回転速度に、ファン32による気流の風速を加えたものに増大する。この結果、ミルクMの液面とファン32の送風による気流との熱交換が促進される。また、ミルクMの撹拌によって調乳用ポッド4内に僅かに生じる気流と、ファン32の送風による気流とがぶつかり、調乳用ポッド4内の熱い空気が乱されると共に、調乳用ポッド4の上方へと送られる。調乳用ポッド4の上方に送られた熱気は、ファン32の送風による気流と合流して排気ダクト33bへと順次送られる。この結果、混合中に発生した湯気や熱気の除去が促進される。したがって、ミルクMと空気との熱交換が促進され、より速くミルクMを冷却することができる。
【0058】
また、本実施の形態における向流混合状態では、撹拌子4aの回転方向とファン32の送風による気流の方向とが対向していることによって、
図5の(b)に示す並流混合状態に比べて、混合中に発生した気泡の消泡が促進される。これは、ファン32の送風による気流が、ミルクMの液面の気泡とぶつかって気泡に圧力を及ぼすと共に、気泡を動かすことによって気泡同士の摩擦等が生じ気泡が弾け易くなるためである。
【0059】
したがって、本実施の形態では、気泡含有量の少ないミルクMを生成することができる。
【0060】
次に、
図1の(a)に示すサーミスタTMは、調乳用ポッド4内の液体L又はミルクMの温度を間接的に計測するためのものである。調乳用ポッド4内のミルク温度とサーミスタTMでの計測温度を予め計測しておくことにより、ユーザー側で出来上がりのミルク温度を設定しておくことが可能となる。これにより、サーミスタTMで検知した温度から調乳完了の判断を行い、音又はランプ表示によりユーザーに出来上がりを知らせる。
【0061】
また、調乳用ポッド4内のミルク温度の推移からミルク量を予測することができ、ミルクMと調乳用ポッド4内面との接触面積及びミルクMの表面積ができる限り大きくなるように、撹拌子4aの回転速度を設定することが可能である。
【0062】
ここで、サーミスタTMは、調乳用ポッド4外表面の温度から内部の液体L又はミルクMの温度を確認することになる。このため、サーミスタTMを調乳用ポッド4に当接させてサーミスタTMと調乳用ポッド4との伝熱を確実にするための板ばねや、調乳用ポッド4と装置本体2との位置関係を一定とするための位置決めピンやガイドを設けておくことが望ましい。
【0063】
また、出来上がったミルクMは哺乳瓶に移して赤ちゃんに与えることになる。このため、音又はランプ表示によりユーザーに出来上がりを知らせる場合には、授乳の目安である40℃よりも高めの温度、目安としては45℃前後で検知するように設定しておくことが望ましい。
【0064】
上記構成の粉末乳調乳装置1Aを用いて調乳を行う場合の各部の動作を、
図6に基づいて説明する。
図6は、上記粉末乳調乳装置1Aの調乳時における制御部7によるヒーター12及び撹拌子4aの回転の制御動作を示すフローチャートである。
【0065】
粉末乳調乳装置1Aを用いた調乳では、
図6に示すように、まず始めに、容器3に所望の調乳量の水を供給する(S1)。このとき、装置本体2に設置された容器3に水を供給してもよいし、装置本体2から取り外された容器3に水を供給した後、容器3を装置本体2に設置してもよい。
【0066】
次に、操作パネル6を操作して、粉末乳調乳装置1Aの運転を開始する。運転が開始されると、操作パネル6からの指令を受けた制御部7は、ヒーター12への通電を開始すると共に、冷却部30を駆動させ、かつモーター5を始動させて撹拌子4aの回転を開始する(S2)。尚、このときのファン32の送風による気流の方向と撹拌子4aの回転方向とは対向するようになっている。
【0067】
次いで、ヒーター12により供給配管10の水が加熱され、沸騰する。沸騰した水が、供給配管10、散水ノズル13、ファンネル20の順に通過し、調乳用ポッド4へと供給され、給湯が開始(以降、「給湯開始」と記す)される(S3)。このとき、制御部7は、モーター5の回転数、つまり撹拌子4aの回転速度を予め設定された例えば1700〜1800rpm等の設定値Aとする。尚、設定値Aは必ずしもこれに限らない。また、制御部7は、サーミスタTMによって調乳用ポッド4の温度推移、つまりミルクMの温度推移を測定することにより、調乳用ポッド4への給湯量を検知するように制御する。このサーミスタTMによるミルクMの温度推移に基づく給湯量の検知については、後述する。
【0068】
次に、給湯途中においては、制御部7は、給湯量の増加に伴って、撹拌子4aの回転速度が設定値Aから例えば3000〜4000rpm等の設定値Bへと徐々に増加するように制御する(設定値A<設定値B)(S4)。尚、設定値Bは必ずしもこれに限らない。すなわち、制御部7は、サーミスタTMによって計測した調乳用ポッド4内のミルクMの温度に基づき、給湯量を推定し、給湯量の増加に伴って撹拌子4aの回転数が増加するように制御する。
【0069】
続いて、始めに容器3内に貯留した水が全て調乳用ポッド4へ給湯される(以降、「給湯終了」と記す)と、制御部7はヒーター12への通電を停止させる一方、撹拌子4aの回転速度は設定値Bを維持する(S5)。
【0070】
その後、撹拌子4aの回転速度を設定値Bとした状態で、ミルクの冷却が行われ(S6)、調乳が完了する。
【0071】
以下に、サーミスタTMによるミルクMの温度推移に基づく給湯量の検知について説明する。まず、予め次のようなデータを測定しておく。すなわち、容器3に様々な量の水を秤量して粉末乳調乳装置1Aを運転したときの、調乳用ポッド4の温度推移をサーミスタTMにて測定する。これにより、ある調乳量のミルクを生成するときの調乳用ポッド4の温度推移を示すデータが得られる。このデータと、粉末乳調乳装置1Aの動作時にサーミスタTMが測定する温度推移とから、その時のミルクMの量を予測することが可能となる。
【0072】
したがって、粉末乳調乳装置1Aの運転中の調乳用ポッド4の温度をサーミスタTMにて測定することによって、ミルク量を推定することができ、この推定したミルク量をもとに、制御部7は、撹拌子4aの回転速度を制御することができる。このとき、撹拌子4aの回転速度は、撹拌子4aの回転によって調乳用ポッド4内のミルクMの液面が変化したときに、調乳用ポッド4の外にミルクMが溢れ出さない範囲内でできるだけ大きくなるような値に制御することができる。
【0073】
本実施の形態にて混合物を生成し、その冷却を行うと、サーミスタTMにより測定したミルクMの温度推移より、ミルク量を推定し、ミルク量が増加するにつれて、撹拌子4aの回転速度を増加させたため、ミルクMと調乳用ポッド4内面との接触面積及びミルクMの表面積が大きくすることができる。この結果、ミルクMの冷却速度を速くすることができる。
【0074】
このように、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Aでは、供給される液体Lを加熱する液体加熱部としてのヒーター12と、混合物原料としての粉ミルクPMにヒーター12にて加熱された液体Lを加えて混合物としてのミルクMを調製する混合物調製部としての調乳用ポッド4とを備えている。そして、調乳用ポッド4の内部にて粉ミルクPMと液体Lとを回転させて混合する回転機構としての撹拌子4aと、調乳用ポッド4に送風して該調乳用ポッド4を冷却する冷却部30と、調乳用ポッド4の内部のミルクMの温度を検知する温度計測器としてのサーミスタTMと、撹拌子4aを制御する制御部7とが設けられている。制御部7は、サーミスタTMにて検知したミルクMの温度に応じて撹拌子4aの回転を変化させる。
【0075】
上記の構成によれば、粉末乳調乳装置1Aは、供給される液体Lを加熱するヒーター12と、粉ミルクPMにヒーター12にて加熱された液体Lを加えてミルクMを調製する調乳用ポッド4とを備えている。この種の粉末乳調乳装置1Aでは、調乳用ポッド4にて調製されたミルクMは熱いので、適度の温度に冷ます必要がある。
【0076】
本実施の形態では、調乳用ポッド4に送風して該調乳用ポッド4を冷却する冷却部30が設けられているが、従来、調乳用ポッド4への送風だけでは、調乳用ポッド4を効率よく冷却することはできなかった。
【0077】
そこで、本実施の形態では、調乳用ポッド4の内部にて粉ミルクPMと液体Lとを回転させて混合する撹拌子4aを設けている。この結果、調乳用ポッド4への送風に加えて、撹拌子4aにより調乳用ポッド4の内部の粉ミルクPMと液体Lとを撹拌混合するので、送風のみによる冷却よりも効率よくミルクMを冷却することができる。
【0078】
ところで、撹拌子4aによる回転について、例えば給湯開始から飲時に最適な温度まで冷却するまで一定にしたのでは、十分に早く冷却することができないことが実験により確認できている。
【0079】
そこで、本実施の形態では、調乳用ポッド4の内部のミルクMの温度を検知するサーミスタTMと、上記撹拌子4aを制御する制御部7とが設けられており、制御部7は、サーミスタTMにて検知したミルクMの温度に応じて撹拌子4aの回転を変化させる。
【0080】
すなわち、調乳用ポッド4に液体Lを給湯し始めたころは、液体Lの温度が高い状態であり、かつ液体量も少ないので、撹拌子4aの回転は低速であることが好ましい。しかし、調乳用ポッド4の内部の液体量が徐々増加するに伴って、液体Lの温度はさらに上昇するので、撹拌子4aの回転を高速にすることが好ましい。
【0081】
また、撹拌子4aの回転を高速にすることによって、ミルクMと調乳用ポッド4の内面との接触面積及びミルクMの表面積を大きくすることができる。この結果、ミルクMの冷却速度をさらに速くすることができる。
【0082】
したがって、調乳用ポッド4を冷却部30にて冷却する場合に、冷却時間の短縮化を図り得る粉末乳調乳装置1Aを提供することができる。
【0083】
また、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Aでは、制御部7は、ヒーター12にて加熱された液体Lの供給に伴う調乳用ポッド4のミルクMの量の増加に伴って撹拌子4aの回転速度を増大させるように制御すると共に、調乳用ポッド4への液体Lの供給の終了後には、撹拌子4aの回転速度が予め設定された第1設定回転速度となるように制御し、かつミルクMの温度が所定の値を下回るまで第1設定回転速度を保つように制御する。
【0084】
これにより、調乳用ポッド4内のミルクMの量が増加するに伴って、撹拌子4aの回転速度が増大するため、ミルクMと調乳用ポッド4内面との接触面積及びミルクMの表面積を大きくすることができ、ミルクMの冷却速度を速くすることができる。また、給湯終了後、ミルクMを冷却する過程において、ミルクMの冷却速度を任意に選択することができる。早く冷却したい場合には、第1設定回転速度を高く設定すればよいし、相対的に遅く冷却したい場合には、第1設定回転速度を低く設定すればよい。
【0085】
したがって、調乳用ポッド4の内部のミルクMを、効率よく冷却し得る粉末乳調乳装置1Aを提供することができる。また、ミルクMの冷却の速度を調節することができる。
【0086】
また、本実施の形態における粉末乳調乳装置1Aでは、冷却部30は、空気の取り入れを行う吸気口31と、送風用ファンとしてのファン32と、ファン32からの風を混合物調製部としての調乳用ポッド4に導く送風ダクト33aと、調乳用ポッド4を経由した風を調乳用ポッド4よりも上側に設けられた排気口34に導く排気ダクト33bとを備えている。制御部7は、ファン32による気流の方向に対して回転機構としての撹拌子4aの回転方向が対向するよう撹拌子4aの回転方向を制御する。
【0087】
上記の構成によれば、粉末乳調乳装置1Aは、空気の取り入れを行う吸気口31と、送風用ファンとしてのファン32と、ファン32からの風を調乳用ポッド4に導く送風ダクト33aと、調乳用ポッド4を経由した風を調乳用ポッド4よりも上側に設けられた排気口34に導く排気ダクト33bとを備える冷却部30を有している。
【0088】
これにより、冷却部30では、ファン32によって吸気口31から空気を取り入れ、送風ダクト33aから調乳用ポッド4に吐き出す。これにより、調乳用ポッド4の上部の蒸気が排気ダクト33bに排出され、その後、排気口34から外部に排気される。したがって、蒸気が排気ダクト33bを通して直ちに外部に排出されるので、効率よく冷却することが可能となる。
【0089】
また、本実施の形態における粉末乳調乳装置1Aでは、制御部7は、ファン32による気流の方向に対して回転機構としての撹拌子4aの回転方向が対向するよう撹拌子4aの回転方向を制御する。
【0090】
これにより、例えば撹拌子4a及び撹拌子4aを回転させるモーター5からなるスターラー等の回転機構にて、調乳用ポッド4における粉ミルクPMと液体Lとを回転させて混合するので、粉ミルクPMと液体Lとを効率よく混合することができる。
【0091】
また、回転機構にて粉ミルクPMと液体Lとを回転させているので、回転時には液体が渦流となり、液体における調乳用ポッド4の内壁面への接触面積が増大する。一方、調乳用ポッド4の側面又は下方からは冷却部30からの送風が来ているので、調乳用ポッド4の冷却が促進される。そして、回転機構による回転方向と、ファン32による気流の方向とが対向していることにより、ミルクMと空気との熱交換が促進され、かつ混合中に発生した気泡の消泡が促進される。したがって、より速くミルクMを冷却することができると共に、気泡含有量の少ないミルクMを生成することができる。
【0092】
したがって、調乳用ポッド4の回転機構と冷却部30からの送風による相乗効果により、調乳用ポッド4をさらに効率よく空冷し、生成したミルクの気泡含有量を少なくし得る粉末乳調乳装置1Aを提供することができる。
【0093】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について
図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0094】
前記実施の形態1の粉末乳調乳装置1Aでは、制御部7は、給湯終了後は、撹拌子4aの回転速度を給湯開始時の設定値Aより大きい設定値Bを最後まで維持してミルクMを冷却していた。これに対して、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Bにおいては、給湯終了後は、一定時間までは給湯開始時の設定値Aより大きい設定値Bを維持しているが、一定時間経過後は、徐々に撹拌子4aの回転速度を低下している点が異なっている。
【0095】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Bの制御部7における調乳の制御動作の特徴について、以下に説明する。尚、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Bの構成は、前記実施の形態1の粉末乳調乳装置1Aと同じであるので、粉末乳調乳装置1Bの構成の説明は省略する。
【0096】
すなわち、前記実施の形態1の粉末乳調乳装置1Aでは、制御部7は、制御部7は、給湯終了後は、撹拌子4aの回転速度を給湯開始時の設定値Aより大きい設定値Bを最後まで維持してミルクMを冷却していた。
【0097】
この場合、ミルク混合時の撹拌子4aの回転速度が大きい程、ミルクMのしぶきやうねりによって出来上がりのミルクM内に気泡が含有し易くなる。
【0098】
すなわち、撹拌子4aの回転速度をできる限り大きくし、ミルクMと調乳用ポッド4内面との接触面積及びミルクMの表面積ができる限り大きくなるようにすることによって、ミルクMをさらに素早く冷やすことができる。しかしながら、撹拌子4aの回転速度を大きくするとミルクMのしぶきやうねり等が発生し易くなり、ミルクM内に気泡が多量に取り込まれてしまう。気泡を含有するミルクMは、授乳時に赤ちゃんの胃内に入る空気を増大させる。その結果、赤ちゃんから大きなげっぷが出易くなり、げっぷが未だ上手くできない赤ちゃんにおいては、げっぷの拍子にミルクMを吐き戻し易くなる。そのようなミルクMの吐き戻しは、赤ちゃんへの再度の授乳又は頻繁な授乳を必要とし、母親等の授乳する者の負担を非常に増大させる。したがって、気泡を大量に含むミルクMを生成する方法は、赤ちゃんに与えるミルクMを作る方法としては非常に不適切である。
【0099】
そこで、本実施の形態では、給湯終了後は、一定時間までは給湯開始時の設定値Aより大きい設定値Bを維持しているが、一定時間経過後は、徐々に撹拌子4aの回転速度を低下し、最終的に回転速度0rmpまで低下させる。
【0100】
これによって、ミルクMのしぶきやうねりを低減することができるため、出来上がりのミルクMにおいて、気泡の含有を軽減することができる。
【0101】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Bを用いて調乳を行う場合の各部の動作を、
図7に基づいて説明する。
図7は、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Bの調乳時における制御部7によるヒーター12及び撹拌子4aの回転の制御動作を示すフローチャートである。
【0102】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Bを用いた調乳では、
図7に示すように、まず始めに、容器3に所望の調乳量の水を供給する(S11)。このとき、装置本体2に設置された容器3に水を供給してもよいし、装置本体2から取り外された容器3に水を供給した後、容器3を装置本体2に設置してもよい。
【0103】
次に、操作パネル6を操作して、粉末乳調乳装置1Bの運転を開始する。運転が開始されると、操作パネル6からの指令を受けた制御部7は、ヒーター12への通電を開始すると共に、冷却部30を駆動させ、かつモーター5を始動させて撹拌子4aの回転を開始する(S12)。尚、このときのファン32の送風による気流の方向と撹拌子4aの回転方向とは対向するようになっている。
【0104】
次いで、ヒーター12により供給配管10の水が加熱され、沸騰する。沸騰した水が、供給配管10、散水ノズル13、ファンネル20の順に通過し、調乳用ポッド4へと供給され、給湯が開始(以降、「給湯開始」と記す)される(S13)。このとき、制御部7は、モーター5の回転数、すなわち、撹拌子4aの回転速度を予め設定された例えば1700〜1800rpm等の設定値Aとする。尚、設定値Aは必ずしもこれに限らない。
【0105】
次に、給湯途中においては、制御部7は、給湯量の増加に伴って、撹拌子4aの回転速度が設定値Aから例えば3000〜4000rpm等の設定値Bへと徐々に増加するように制御する(設定値A<設定値B)(S14)。尚、設定値Bは必ずしもこれに限らない。すなわち、制御部7は、サーミスタTMによって計測した調乳用ポッド4内のミルクMの温度に基づき、給湯量を推定し、給湯量の増加に伴って撹拌子4aの回転数が増加するように制御する。
【0106】
続いて、始めに容器3内に貯留した水が全て調乳用ポッド4へ給湯される(以降、「給湯終了」と記す)と、制御部7はヒーター12への通電を停止させる一方、撹拌子4aの回転速度は設定値Bを維持する(S15)。
【0107】
その後、制御部7は、給湯終了から一定時間までは設定値Bを維持するが、一定時間経過後は撹拌子4aの回転速度を設定値Bから0まで低下させる(S16)。そして、この状態でミルクの冷却が行われ(S17)、調乳が完了する。
【0108】
このように、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Bでは、制御部7は、調乳用ポッド4への液体Lの供給の終了後には、撹拌子4aの回転速度を所定の時間一定に保持した後、回転速度を徐々に減少させるように制御する。
【0109】
それにより、生成したミルクMの冷却中のうねりやしぶきを減少することができるため、出来上がりのミルクMにおいて、気泡の含有量を低下させることができる。加えて、撹拌子4aの回転速度が遅い程、撹拌子4aとモーター5の磁石との位置ずれは生じ難くなるため、ミルクMの冷却中に撹拌子4aの位置ずれにより撹拌子4aが暴れて、ミルクMが調乳用ポッド4の外へとこぼれ出ることを防止することができる。
【0110】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について
図8及び
図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1及び実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0111】
前記実施の形態1の粉末乳調乳装置1A及び実施の形態2の粉末乳調乳装置1Bでは、制御部7は、撹拌子4aの回転速度を給湯初期から比較的大きくなるように制御していた。これに対して、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Cでは、制御部7は、気泡の混入を考慮して、給湯初期では撹拌子4aの回転速度を小さくする一方。給湯終了後は大きくなるように制御している点が異なっている。
【0112】
尚、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Cの構成は、前記実施の形態1の粉末乳調乳装置1A及び実施の形態2の粉末乳調乳装置1Bと同じであるので、粉末乳調乳装置1Cの構成の説明は省略する。
【0113】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1CにおけるミルクMの生成過程と、冷却部30及び撹拌子4aの回転によるミルクMの冷却過程とについて、
図8の(a)(b)に基づいて説明する。
図8の(a)は、粉末乳調乳装置1Cにおける調乳用ポッド4の撹拌子4aの回転方向とファン32の送風方向とが同じ方向の場合の、調乳時の内部の状態を示すものであって、給湯の初期段階の状態を示す断面図である。
図8の(b)は、給湯完了後の状態を示す断面図である。
【0114】
前記実施の形態1及び実施の形態2にて説明したように、撹拌子4aの回転速度をできる限り大きくし、ミルクMと調乳用ポッド4内面との接触面積及びミルクMの表面積を最大とすることによって、ミルクMを素早く冷やすことができる。しかしながら、混合初期段階(給湯中)では、給湯される湯と撹拌されるミルクMとファン32の送風により取り除かれる熱気とがぶつかりあうため、撹拌子4aの回転速度が大きい場合は、ミルクMのしぶきやうねり等が発生し易くなり、ミルクM内に気泡が取り込まれてしまう。混合初期段階(給湯中)に含有した気泡は、給湯完了後の向流混合状態において、実施の形態1で述べた理由によりある程度は消泡されるが、完全に無くすことはできない。気泡を含有するミルクは赤ちゃんが吐き戻し易くなるため、赤ちゃんに与える飲み物を作る方法としては非常に不適切である。
【0115】
このため、本実施の形態では、
図8(a)に示すように、混合初期段階(給湯中)において撹拌子4aの回転数を小さく設定する。これにより混合初期段階(給湯中)での給湯される湯と撹拌されるミルクMとファン32の送風により取り除かれる熱気とのぶつかりが軽減され、混合初期段階(給湯中)に発生する気泡の軽減が可能となる。また、
図8(b)に示すように、ミルクMの冷却過程において、給湯完了後に撹拌子4aの回転数を増加させ、向流混合状態にてミルクMと空気との熱交換を促進させる。この結果、ミルクMを速く冷却することができる。
【0116】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Cを用いて調乳を行う場合の各部の動作を、
図9に基づいて説明する。
図9は粉末乳調乳装置1Cの調乳時における制御部7によるヒーター12、撹拌子4aの回転、及び冷却部30の制御動作を示すフローチャートである。
【0117】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Cを用いた調乳では、
図9に示すように、まず始めに、容器3に所望の調乳量の水を供給する(S21)。このとき、装置本体2に設置された容器3に水を供給してもよいし、装置本体2から取り外された容器3に水を供給した後、容器3を装置本体2に設置してもよい。
【0118】
次に、操作パネル6を操作して、粉末乳調乳装置1Bの運転を開始する。運転が開始されると、操作パネル6からの指令を受けた制御部7は、ヒーター12への通電、ファン32の運転を開始すると共に、モーター5を始動させて撹拌子4aの回転を開始する(S22)。
【0119】
次いで、ヒーター12によりヒーター12部の水が加熱され、沸騰する。沸騰した水が、供給配管10、散水ノズル13、ファンネル20の順に通過し、調乳用ポッド4へと供給され、給湯が開始される(S23)。このとき、制御部7は、モーター5の回転数、つまり撹拌子4aの回転速度を予め設定された設定値Cに設定する。ここで、設定値Cは、給湯初期においてミルクMにうねりやしぶきが殆ど発生しないような、例えば250〜350rpm等の小さな値が設定されている。尚、設定値Cは、必ずしもこの値に限らない。
【0120】
このように、設定値Cで制御される撹拌子4aの回転速度は小さいので、ミルクMにうねりやしぶきが殆ど発生せず、ミルクMに生成する気泡が抑制される。また、撹拌子4aの回転方向とファン32からの送風される気流の方向とが対向する向流混合状態となっている。このため、さらに気泡の発生が抑制される。
【0121】
続いて、始めに容器3内に貯留した液体Lが全て調乳用ポッド4へ給湯されると、制御部7はヒーター12への通電を停止させる一方、撹拌子4aの回転速度を例えば700〜800rpm等の設定値Dに増加させる(S24)。尚、設定値Dは、必ずしもこの値に限らない。このとき、設定値Dは、設定値Cよりも大きな値となっているが、ミルクMにうねりやしぶきが余り発生しないような適度な値となっている。
【0122】
これにより、ミルクMの調乳用ポッド4内面との接触面積及びミルクMの表面積が大きくなることによって、ミルクMの冷却が促進される。一方、ミルクMのうねりやしぶきをあまり発生させないため、気泡の生成は抑制される。さらに、このときも撹拌子4aの回転方向とファン32から送風される気流とは向流混合状態となっている。このため、気泡の消泡が行われ、生成するミルクMの気泡含有量が更に低減する。
【0123】
その後、これらの状態を維持して、ミルクの冷却が行われ(S25)、調乳が完了する。
【0124】
したがって、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Bによって、「乳児用乾燥粉末乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」に順守した上で、ミルクMを生成し、かつ調乳から任意温度までの冷却を素早く自動で行うこと、及びミルクMの気泡含有量を低減することができる。
【0125】
このように、本実施の形態における粉末乳調乳装置1Cでは、制御部7は、ヒーター12にて加熱された液体Lが調乳用ポッド4に供給され始めてから供給が終了するまでの間、撹拌子4aの回転速度が予め設定された第2設定回転速度としての例えば250〜350rpm等の小さな設定値Cとなるように制御し、液体Lの供給が終了後には、撹拌子4aの回転速度を予め設定され、かつ上記第2設定回転速度である設定値Cよりも大きい第3設定回転速度としての700〜800rpm等の設定値Dとなるように制御する。
【0126】
これにより、給湯の初期においてはミルクMに発生する気泡を低減することができ、給湯完了後にはミルクMと空気との熱交換を促進させ、ミルクMを速く冷却することができる。また、ミルクMの気泡の消泡が行われることによって、気泡含有量の少ないミルクMを生成することができる。
【0127】
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について
図10及び
図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜実施の形態3と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜実施の形態3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0128】
前記実施の形態3の粉末乳調乳装置1Cでは、制御部7は、粉末乳調乳装置1Bの動作開始から終了まで、撹拌子4aの回転方向をファン32の送風方向と対向させ、向流混合状態となるように制御した。しかしながら、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Dでは、混合初期段階は並流混合状態、給湯終了後冷却中は向流混合状態となるように制御する点が異なっている。
【0129】
尚、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Dの構成は、前記実施の形態1〜実施の形態3と同じである。したがって、粉末乳調乳装置1Dの構成の説明は、省略する。
【0130】
本実施の形態におけるミルクMの生成過程と冷却部30及び撹拌子4aの回転によるミルクMの冷却過程とについて、
図10の(a)(b)に基づいて説明する。
図10の(a)は、粉末乳調乳装置1Cにおける調乳時の調乳用ポッド4の内部の状態を示すものであって、撹拌子4aの回転方向とファン32の送風方向とが同じ方向の給湯の初期段階の状態を示す断面図である。
図10の(b)は、撹拌子4aの回転方向とファン32の送風方向とが対向している給湯完了後の状態を示す断面図である。
【0131】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Dでは、
図10の(a)に示すように、混合初期段階(給湯中)では、給湯される湯と撹拌されるミルクMとファン32の送風により取り除かれる熱気とがぶつかり合うように、並流混合状態になるように撹拌子の回転方向を設定しておく。そして、
図10の(b)に示すように、制御部7は、給湯完了後に撹拌子の回転方向を反転させるように制御する。これによって、混合初期段階(給湯中)での撹拌されるミルクMとファン32の送風により取り除かれる熱気とのぶつかりが軽減され、混合初期段階(給湯中)に発生する気泡が軽減可能となる。
【0132】
また、本実施の形態では、混合初期段階(給湯中)では並流混合状態であるため、給湯量が少なく非常に濃度が高く粘り気の多いミルクMに対してもファン32の送風により取り除かれる熱気が撹拌子4aの回転を支援することができる。この結果、撹拌子4aの確実な回転によるミルクMの混合が可能となる。また、給湯初期においては、ミルクMの温度は70℃以上でなくてはならないため、あまり冷却し過ぎない方がよい。本実施の形態においては、撹拌子4aの回転方向とファン32の送風方向とは並流混合状態であるため、ミルクMの温度が下がり過ぎることがない。そして、この方法においても、給湯完了後には並流混合状態が向流混合状態となり、ミルクMと空気との熱交換を十分に促進することができるため、ミルクMを冷却することができる。
【0133】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Dを用いて調乳を行う場合の各部の動作を、
図11に基づいて説明する。
図11は、粉末乳調乳装置1Dの調乳時における制御部7によるヒーター12、撹拌子4aの回転、及び冷却部30の制御動作を示すフローチャートである。
【0134】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Dを用いた調乳方法では、
図11に示すように、まず始めに、容器3に所望の調乳量の水を供給する(S31)。このとき、装置本体2に設置された容器3に水を供給してもよいし、装置本体2から取り外された容器3に水を供給した後、容器3を装置本体2に設置してもよい。
【0135】
次に、操作パネル6を操作して、粉末乳調乳装置1Dの運転を開始する。運転が開始されると、操作パネル6からの指令を受けた制御部7は、ヒーター12への通電、ファン32の運転を開始すると共に、モーター5を始動させ撹拌子4aの回転を開始する(S32)。
【0136】
次いで、ヒーター12によりヒーター12部の水が加熱され、沸騰する。沸騰した水が、供給配管10、散水ノズル13、ファンネル20の順に通過し、調乳用ポッド4へと供給され、給湯が開始される(S33)。このとき、制御部7は、モーター5の回転数、つまり撹拌子4aの回転速度を予め設定された設定値Cに設定する。ここで、設定値Cは、給湯初期においてミルクMにうねりやしぶきが殆ど発生しないような、例えば250〜350rpm等の小さな値が設定されている。尚、設定値Cは、必ずしもこの値に限らない。
【0137】
このように、設定値Cで制御される撹拌子4aの回転速度は小さいので、ミルクMにうねりやしぶきが殆ど発生せず、ミルクMに生成する気泡が抑制される。また、このとき、撹拌子4aの回転方向とファン32からの送風される気流の方向とが並流混合状態となっている。このため、給湯量が少なく非常に濃度が高く粘り気の多いミルクMにおいて、ファン32の送風が撹拌子4aの回転を支援し、確実な撹拌ができる。また、給湯初期のミルクMの温度を70℃以上に保ち易い。
【0138】
続いて、始めに容器3内に貯留した水が全て調乳用ポッド4へ給湯されると、制御部7はヒーター12への通電を停止させる一方、撹拌子4aの回転速度を例えば700〜800rpm等の設定値Dに増加させると共に、回転方向を逆転させる(S34)。尚、設定値Dは、必ずしもこの値に限らない。このとき、設定値Dは設定値Cよりも大きな値となっているが、ミルクMにうねりやしぶきが余り発生しないような適度な値となっている。これにより、ミルクMの調乳用ポッド4内面との接触面積及びミルクMの表面積が大きくなることによって、ミルクMの冷却が促進される。一方、ミルクMのうねりやしぶきをあまり発生させないため、気泡の生成は抑制される。また、撹拌子4aの回転方向が逆になったことにより、撹拌子4aの回転方向とファン32から送風される気流とは向流混合状態となる。このため、気泡の消泡が行われ、生成するミルクMの気泡含有量が更に低減する。
【0139】
その後、これらの状態を維持して、ミルクの冷却が行われ(S35)、調乳が完了する。
【0140】
したがって、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Dによって、「乳児用乾燥粉末乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」に順守した上で、ミルクMを生成し、かつ調乳から任意温度までの冷却を素早く自動で行うこと、及びミルクMの気泡含有量を低減することができる。
【0141】
〔実施の形態5〕
本発明のさらに他の実施の形態について
図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜4と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜4の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0142】
前記実施の形態1〜4の粉末乳調乳装置1A〜1Dにおいては、ヒーター12にて加熱され、調乳用ポッド4へと供給される液体Lは、調乳用ポッド4上方の空間から粉ミルクPM又はミルクMへと直接供給されていた。これに対して、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Dでは、液体Lは調乳用ポッド4の内壁面を伝って粉ミルクPM又はミルクMへと穏やかに供給される点が異なっている。
【0143】
本実施の形態の混合物生成装置としての粉末乳調乳装置1Fの構成について、
図12に基づいて説明する。
図12は、本実施の形態における混合物生成装置としての粉末乳調乳装置1Dの調乳用ポッド4周辺を示す断面図である。
【0144】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Fでは、
図12に示すように、ヒーター12にて加熱され、ファンネル20を通過して調乳用ポッド4へと供給される液体Lは、調乳用ポッド4の内壁面を伝って調乳用ポッド4内に供給される。これにより、液体Lが調乳用ポッド4に穏やかに供給されるため、ミルクMのしぶきやうねりが発生しづらくなる。このため、ミルクMの気泡の生成が低減される。
【0145】
ここで、上記の構成は、ファンネル20から調乳用ポッド4への液体Lの滴下口と、調乳用ポッド4の中心とを互いに異なる位置にずらして調乳用ポッド4を設置し、かつ調乳用ポッド4が少し重力方向に対して傾いた状態で設置することによって達成される。
【0146】
或いは、ファンネル20から調乳用ポッド4の内壁面へと液体Lを伝わらせるガイドのようなものが設けられていてもよい。又は、ファンネル20からの吐出口の位置を、調乳用ポッド4の中心の上方ではなく調乳用ポッド4の壁面近傍の位置にあるように、装置がなっていてもよい。
【0147】
〔実施の形態6〕
本発明のさらに他の実施の形態について
図13、
図14、及び
図17に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜3と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0148】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Gは、前記実施の形態1〜3の粉末乳調乳装置1A〜1Cに対して、
図13に示すように、冷却部40が、送風用ファンとしてのファン42と、該ファン42からの風を混合物調製部としての調乳用ポッド4に導く送風ダクト43と、調乳用ポッド4を経由した風を調乳用ポッド4よりも上側に設けられた排気口44bに導く排気ダクト44とを備えており、液体加熱部としてのヒーター12にて加熱された液体Lは排気ダクト44内を経由して、又は排気ダクト44内にて吐出されて調乳用ポッド4に流入される点が異なっている。
【0149】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Gの構成について、
図13の(a)(b)に基づいて説明する。
図13の(a)は、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Gの構成を示す断面図である。
図13の(b)は、上記粉末乳調乳装置1Gの調乳用ポッド4の構成を示す平面図である。
【0150】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Gは、
図13の(a)(b)に示すように、散水ノズル13及びファンネル20は設けられておらず、ヒーター12にて加熱された液体Lは、排気ダクト44内にて供給配管10から吐出され、調乳用ポッド4へと滴下するようになっている。尚、必ずしも排気ダクト44内にて供給配管10から吐出される必要はなく、ヒーター12にて加熱された液体Lが排気ダクト44内を経由して、調乳用ポッド4に流入されていともよい。
【0151】
また、本実施の形態では、冷却部40は、調乳用ポッド4に対して横、斜め上方、又は上方から風が当たるように開口された送風ダクト43と、調乳用ポッド4の中央部の斜め上方又は上方から風が抜けていくように配されて排気口44bに接続された排気ダクト44とを備えている。
【0152】
詳細には、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Gでは、
図13の(a)に示すように、ヒーター12にて加熱沸騰された液体Lは、供給配管10を通過して、後述する排気ダクト44内にて供給配管10から吐出される。すなわち、散水ノズル13とファンネル20とは設けられていない。
【0153】
また、冷却部40は、
図13の(a)に示すように、送風用のファン42と、吸気口41と、送風ダクト43と、送風ダクト出口43aと、排気ダクト44と、排気ダクト入口44aと、排気口44bとから構成され、液体L及び混合後のミルクMを冷ます温度調節部として機能している。
【0154】
上記ファン42は装置本体2内部に配置され、ファン42の上流側には空気を吸い込むための吸気口41が設けられている。一方、ファン42の下流側には調乳用ポッド4に空気を噴き出すための送風ダクト43が設けられている。吸気口41には図示しないフィルタが設けられており、内部に埃や異物等が入り込まないようになっている。また、調乳用ポッド4よりも下流側には空気を装置本体2の外部へ吐き出すための排気口44bを有する排気ダクト44が設けられている。
【0155】
送風ダクト出口43aは、調乳用ポッド4に対して横、斜め上方、又は上方から風が当たるように開口されていると共に、調乳用ポッド4よりも下流側の排気ダクト入口44aは、調乳用ポッド4の中央部の斜め上方又は上方から風が抜けていくように配されている。
【0156】
本実施の形態の排気ダクト入口44aは、
図13の(a)に示すように、調乳用ポッド4の開口部4bと対向している装置本体2の内面に形成されている。排気ダクト44の排気口44bは、装置本体2の天面に形成された開口部にてなっている。
【0157】
排気ダクト44は、排気ダクト入口44aから流入する風を、装置本体2内を貫通して排気口44bへと導くように形成されている。排気ダクト44の壁面の一部には、供給配管10が通過する孔が設けられている。供給配管10は、排気ダクト44内まで延びて、排気ダクト44内にて液体Lを吐出するようになっている。
【0158】
尚、排気ダクト44は装置本体2の天面よりも上部に突出して形成されていてもよい。その場合、装置本体2の天面よりも上部に突出した排気ダクト44の排気口44bは、重力方向に対して略平行又は装置本体2の天面と向かい合うように形成されることが好ましい。すなわち、装置本体2の天面よりも上部に突出した排気ダクト44は、曲がった後に排気口44bへと接続されている。これにより、外部からの埃や異物が、排気口44bから調乳用ポッド4内へと落下することが抑制できる。
【0159】
或いは、排気ダクト44の側面には、ファン42から風が送り込まれる孔が開いていてもよい。該孔は、送風ダクト出口43aとは別の孔として、ファン42から送風される風の排気ダクト44への入口となる。この場合には、ファン42からの風は大部分が送風ダクト出口43aから調乳用ポッド4へと送り込まれると共に、一部は排気ダクト44へと送り込まれる。このとき、排気ダクト44へと送り込まれる風の方向は、排気ダクト44内における旋回流の方向と同じ方向になっている。これにより、排気ダクト44内の気体の排出を促進することができる。
【0160】
また、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Gにおいては、装置本体2の載置部2aに載置された調乳用ポッド4の開口部4bと、排気ダクト入口44aが形成されている装置本体2の内面との間の空間が殆ど無いことが好ましい。すなわち、該開口部4bと排気ダクト44が形成されている面との間の距離が、1cm以下であることが好ましい。
【0161】
これにより、調乳用ポッド4内に流入する気体の殆どがファン42から送り込まれる。また、調乳用ポッド4内の気体が排気ダクト44を通らずに粉末乳調乳装置1Gの外部へと放出されることが減少する。すなわち、冷却部40への、ファン42からの送風以外の気体の混入が減少すると共に、調乳用ポッド4内の気体の殆どが排気ダクト44へと送り込まれる。したがって、効果的に調乳用ポッド4内に気流を起こすことができると共に、調乳用ポッド4内の気体を、排気ダクト44を通じて効果的に排出することができる。
【0162】
したがって、ミルクMと空気との熱交換が促進され、より速くミルクMを冷却することができる。
【0163】
本実施の形態の冷却部40では、上述のような構成とすることによって、調乳用ポッド4内に空気の流れができ、調乳用ポッド4の内部から熱気が引き寄せられて抜け易くなる。この結果、対流によるミルクMからの放熱が促進される。逆に、送風を止めた場合、調乳用ポッド4内の空間が熱溜りとなってしまうため、ミルクMからの放熱がされ難い状態となる。
【0164】
また、前記実施の形態1〜3と同様に、ファン42による冷却過程は、撹拌子4aによる攪拌工程と同時に行うことによって、より冷却し易くなる。
【0165】
尚、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Gの構成は、上記液体Lの吐出部及び上記冷却部40の構成を除いて、前記実施の形態1〜3と同じである。したがって、粉末乳調乳装置1Gの液体Lの吐出部及び冷却部40以外の構成の説明は、省略する。
【0166】
上記の構成を備えた本実施の形態の粉末乳調乳装置1GにおけるミルクMの冷却の促進効果、及びミルクMへの気泡の含有を軽減効果について、
図17の(a)及び
図17の(d)に基づいて説明する。
図17の(a)は、粉末乳調乳装置1Gの調乳用ポッド4の撹拌子4aが回転動作している状態における、調乳用ポッド4内部の放熱及び消泡の様子を示すものであって、冷却部40の、ファン42により送風ダクト出口43aから調乳用ポッド4内に送られた風が、撹拌子回転動作によるミルクMの流れ方向に対して対向旋回した後、排気ダクト入口44aへと排出される状態(以後、「対向旋回流混合状態」と記す)を示す断面図である。
図17の(d)は、比較例としての粉末乳調乳装置1Zの調乳用ポッド4の撹拌子4aが回転動作している状態における、調乳用ポッド4内部の放熱及び消泡の様子を示すものであって、粉末乳調乳装置1Zの冷却部40の、ファン42により送風ダクト出口43aから調乳用ポッド4内に送られた風が、調乳用ポッド4内で対向旋回せずに排気ダクト入口44aへと一方向に排出される状態(以後、「一方向混合状態」と記す)を示す断面図である。
【0167】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Gでは、冷却部40による冷却過程は、撹拌子4aによる撹拌過程と同時に行い、かつ撹拌子4aの回転方向とファン42の送風による気流の方向とを対向旋回させている。これによって、ミルクMをより冷却し易くすると共に、気泡の含有を軽減することができるものとなっている。
【0168】
すなわち、
図17の(a)に示すように、本実施の形態における対向旋回流混合状態では、撹拌子4aの回転方向と前記ファン42の送風による気流の方向とが対向旋回している。これにより、撹拌中のミルクMの液面に当たる風速が、撹拌子4aの回転速度に、ファン32による気流の風速を加えたものに増大するし、また比較の
図17の(d)のような一方向混合状態と比べ、風とミルクとが接触する経路を十分にとることが可能である。その結果、ミルクMの液面とファン42の送風による気流との熱交換が促進される。また、調乳用ポッド4内の熱気は、前記ファン42の送風による気流と合流して排気ダクト入口44aへと順次送られる。この結果、混合中に発生した湯気や熱気の除去が促進される。したがって、ミルクMと空気との熱交換が促進され、より速くミルクMを冷却することができる。
【0169】
また、本実施の形態における対向旋回流混合状態では、撹拌子4aの回転方向とファン42の送風による気流の方向とが対向旋回していることによって、
図17の(d)に示す一方向混合状態に比べて、混合中に発生した気泡の消泡が促進される。これは、ファン42の送風による気流が、ミルクMの液面の気泡とぶつかって気泡に圧力を及ぼすと共に、気泡を動かすことによって気泡同士の摩擦等が生じ気泡が弾け易くなるためである。
【0170】
したがって、本実施の形態では、気泡含有量の少ないミルクMを生成することができる。
【0171】
また、本実施の形態では、
図13及び
図17の(a)に示すように、ヒーター12にて加熱された液体Lは、供給配管10にて排気ダクト44内まで引き込まれ、排気ダクト44内で吐出されて調乳用ポッド4に流入される。このため、ヒーター12から給湯された湯が排気ダクト44内を通る際に、ファン42から送られた排気ダクト44内を通る風との熱交換が促進される。したがって、調乳用ポッド4内に供給される湯の温度を低下させることができる。
【0172】
このように、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Gでは、冷却部40は、ファン42と、ファン42からの風を調乳用ポッド4に導く送風ダクト43と、調乳用ポッド4を経由した風を調乳用ポッド4よりも上側に設けられた排気口44bに導く排気ダクト44とを備えている。そして、ヒーター12にて加熱された液体Lは排気ダクト44内を経由して、又は排気ダクト44内にて吐出されて調乳用ポッド4に流入される。
【0173】
これにより、調乳用ポッド4内に空気の流れができ、調乳用ポッド4の内部から熱気が引き寄せられて抜け易くなる。この結果、対流によるミルクMからの放熱が促進される。
【0174】
また、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Gでは、制御部7は、ファン42による気流の方向に対して撹拌子4aの回転方向が対向するように撹拌子4aの回転方向を制御する。
【0175】
これにより、撹拌子4aの回転方向とファン42の送風による気流の方向とを対向旋回させることで、ミルクMをより冷却し易くすると共に、気泡の含有を軽減することができる。
【0176】
すなわち、本実施の形態における対向旋回流混合状態では、撹拌子4aの回転方向とファン42の送風による気流の方向とが対向旋回している。これにより、撹拌中のミルクMの液面に当たる風速が、撹拌子4aの回転速度に、ファン32による気流の風速を加えたものに増大するし、風とミルクとが接触する経路を十分にとることが可能である。その結果、ミルクMの液面とファン42の送風による気流との熱交換が促進される。また、調乳用ポッド4内の熱気は、ファン42の送風による気流と合流して排気ダクト入口44aへと順次送られる。この結果、混合中に発生した湯気や熱気の除去が促進される。したがって、ミルクMと空気との熱交換が促進され、より速くミルクMを冷却することができる。
【0177】
また、撹拌子4aの回転方向とファン42の送風による気流の方向とが対向旋回していることによって、ファン42の送風による気流が、ミルクMの液面の気泡とぶつかって気泡に圧力を及ぼすと共に、気泡を動かすことによって気泡同士の摩擦等が生じ気泡が弾け易くなるため、混合中に発生した気泡の消泡が促進される。
【0178】
また、ヒーター12にて加熱された液体Lは、排気ダクト44内を経由して、又は排気ダクト44内にて吐出されて調乳用ポッド4に流入される。このため、ヒーター12から給湯された湯が排気ダクト44内を通る際に、ファン42から送られた排気ダクト44内を通る風との熱交換が促進される。したがって、調乳用ポッド4内に供給される湯の温度を低下することができる。
【0179】
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0180】
例えば、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Gにおける排気ダクト44においても、前記実施の形態1〜3と同様に、排気ダクト44内にダクト返し部44cが設けられていてもよい。このことについて、
図14に基づいて説明する。
図14は、粉末乳調乳装置1Gの冷却部40の構成を示す断面図である。
【0181】
排気ダクト44は、調乳用ポッド4内に注がれる加熱された液体Lや調乳されたミルクMから発生する湯気が結露し易い環境になっている。このため、
図14に示すように、排気ダクト44内部で結露した水滴が調乳用ポッド4内に滴り落ちないように、結露水落下防止部としてのダクト返し部44cを設けた構成としている。すなわち、ダクト返し部44cは、筒状の排気ダクト入口44a端部を内側に折り返して形成されており、排気ダクト44内部で結露した水滴がダクト返し部44cにて溜められるようになっている。
【0182】
ここで、ダクト返し部44cは、図示しないが、排気ダクト入口44aに着脱可能な、取り付けダクト返し部材として備えられていてもよい。該取り付けダクト返し部材は、例えば、排気ダクト入口44aに嵌合するような形にて形成されており、排気ダクト入口44aに固定できるようになっていることが好ましい。これにより、ミルクMの調乳終了後に、上記取り付けダクト返し部材を取り外し、溜まった結露水の廃棄及び該取り付けダクト返し部材の洗浄をすることができる。したがって、より衛生的にミルクMを生成することができる。
【0183】
〔実施の形態7〕
本発明のさらに他の実施の形態について
図15及び
図17の(b)に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態6と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態6の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0184】
前記実施の形態6の粉末乳調乳装置1Gにおいては、ヒーター12にて加熱された液体Lは、排気ダクト44内にて供給配管10から吐出され調乳用ポッド4へと滴下していた。これに対して、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Hでは、ヒーター12にて加熱された液体Lは、散水ノズル13へと流入し、排気ダクト44内にて散水ノズル13から吐出されて調乳用ポッドへと滴下する点が異なっている。
【0185】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Hの構成について、
図15の(a)(b)に基づいて説明する。
図15の(a)は、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Hの構成を示す断面図である。
図15の(b)は、上記粉末乳調乳装置1Hの調乳用ポッド4の構成を示す平面図である。
【0186】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Hでは、
図15の(a)(b)に示すように、ヒーター12にて加熱された液体Lは、供給配管10を通して、該供給配管10の先端に取り付けられた散水ノズル13へと流入し、排気ダクト44内にて散水ノズル13から吐出されて調乳用ポッドへと滴下するようになっている。
【0187】
ここで、本実施の形態では、散水ノズル13は、排気ダクト44の壁面の一部に設けられた穴から、排気ダクト44内に延びている。ここで、散水ノズル13は、供給配管10に対して取り外し可能な構造となっていることが好ましい。これにより、散水ノズル13を供給配管10から取り外して洗浄することができる。したがって、より衛生的にミルクMを調乳することができる。
【0188】
また、散水ノズル13と供給配管10とは、互いの材質が異なるものであってもよい。装置本体2内部に格納される供給配管10には、ステンレスやポリプロピレンのような安価な材質を用い、外気に触れる散水ノズル13には、テフロン(登録商標)のような腐食や紫外線劣化の無い材質を用いることができる。これにより、製造コストを安くすることができる。
【0189】
尚、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Hの構成は、上記散水ノズル13の構成を除いて、前記実施の形態6と同じである。したがって、粉末乳調乳装置1Gの散水ノズル13以外の構成の説明は省略する。
【0190】
上記構成の粉末乳調乳装置1HにおけるミルクMの生成過程と、冷却部40及び撹拌子4aの回転によるミルクMの冷却過程とについて、
図15の(a)(b)及び
図17の(b)に基づいて説明する。
図17の(b)は、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Hの冷却部40の、ファン42により送風ダクト出口43aから調乳用ポッド4内に送られた風が、撹拌子回転動作によるミルクMの流れ方向に対して対向旋回した後、排気ダクト入口44aへと排出される状態を示す断面図である。
【0191】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Hでは、
図15の(a)(b)に示すように、ヒーター12にて加熱沸騰された液体Lは、供給配管10を通過して、散水ノズル13へと流入する。その後、液体Lは、排気ダクト44内にて散水ノズル13から吐出される。散水ノズル13は、前記実施の形態1〜5と同様に、加熱されて圧送されてきた液体Lを分散して噴き出す機能を有している。
【0192】
散水ノズル13から噴出された液体Lは、排気ダクト44内を通って調乳用ポッド4へと供給される際に、
図15の(a)及び
図17の(b)に示すように、排気ダクト入口44aから排気ダクト44内を通って排気口44bへと向かう風と接触する。このとき、散水ノズル13から噴出された液体Lと、排気ダクト44内の風とが熱交換し、液体Lの温度が下がる。また、液体Lが散水ノズル13にて細かく分散されることによって、表面積が増加するため、液体Lと排気ダクト44内の風との熱交換が促進される。このため、調乳用ポッド4内に供給される液体Lの温度を低下することができる。したがって、本実施の形態7では、本実施の形態6に比べ、より速くミルクMを飲み頃の温度まで冷却することができる。
【0193】
また、前記実施の形態6と同様に、ファン42による冷却過程は、撹拌子4aによる攪拌工程と同時に行うことによって、より冷却し易くなる。
【0194】
また、前記実施の形態6と同様に、ミルクMへの気泡の含有を軽減する方法として、本実施の形態では、冷却部40による冷却過程は、撹拌子4aによる撹拌過程と同時に行い、かつ撹拌子4aの回転方向とファン42の送風による気流の方向とを対向旋回させている。これによって、ミルクMをより冷却し易くすると共に、気泡の含有を軽減することができるものとなっている。
【0195】
本実施の形態における対向旋回流混合状態では、
図17の(b)に示すように、撹拌子4aの回転方向と前記ファン42の送風による気流の方向とが対向旋回している。これにより、撹拌中のミルクMの液面に当たる風速が、撹拌子4aの回転速度に、ファン32による気流の風速を加えたものに増大する。その結果、ミルクMの液面とファン42の送風による気流との熱交換が促進される。また、調乳用ポッド4内の熱気は、前記ファン42の送風による気流と合流して排気ダクト入口44aへと順次送られる。この結果、混合中に発生した湯気や熱気の除去が促進される。したがって、ミルクMと空気との熱交換が促進され、より速くミルクMを冷却することができる。
【0196】
このように、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Hでは、ヒーター12にて加熱沸騰された液体Lは、供給配管10を通過して、散水ノズル13へと流入する。その後、液体Lは、排気ダクト44内にて散水ノズル13から吐出される。ここで、散水ノズル13は、加熱されて圧送されてきた液体Lを分散して噴き出す機能を有している。
【0197】
これにより、散水ノズル13から噴出された液体Lと、排気ダクト44内の風とが熱交換し、液体Lの温度が下がる。また、液体Lが散水ノズル13にて細かく分散されることで表面積が増加するため、液体Lと排気ダクト44内の風との熱交換が促進される。このため、調乳用ポッド4内に供給される液体Lの温度を低下することができる。したがって、本実施の形態7では、実施の形態6に比べ、より速くミルクMを飲み頃の温度まで冷却することができる。
【0198】
〔実施の形態8〕
本発明のさらに他の実施の形態について
図16及び
図17の(c)に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態7と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態7の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0199】
前記実施の形態7の粉末乳調乳装置1Hでは、調乳用ポッド4が載置部2aに載置された状態において、排気ダクト44の入口である排気ダクト入口44aは、調乳用ポッド4の開口部4bと対向する装置本体2の内面に形成されていた。これに対して、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Iでは、排気ダクト入口44aは、調乳用ポッド4の上方ではなく調乳用ポッド4内の空間に配されている点が異なっている。
【0200】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Iの構成について、
図16の(a)(b)に基づいて説明する。
図16の(a)は、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Iの構成を示す断面図である。
図16の(b)は、上記粉末乳調乳装置1Iの調乳用ポッド4の構成を示す平面図である。
【0201】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Iは、
図16の(a)(b)に示すように、排気ダクト入口44aは、調乳用ポッド4の上方ではなく調乳用ポッド4内の空間に配されている。
【0202】
尚、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Iの構成は、上記排気ダクト44及び排気ダクト入口44aの構成を除いて、前記実施の形態7と同じである。したがって、粉末乳調乳装置1Iの排気ダクト44及び排気ダクト入口44a以外の構成の説明は省略する。
【0203】
上記構成の本実施の形態の粉末乳調乳装置1IにおけるミルクMの生成過程と、冷却部40及び撹拌子4aの回転によるミルクMの冷却過程とについて、
図16の(a)(b)及び
図17の(c)に基づいて説明する。
図17の(c)は、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Iの冷却部40の、ファン42により送風ダクト出口43aから調乳用ポッド4内に送られた風が、撹拌子回転動作によるミルクMの流れ方向に対して対向旋回した後、調乳用ポッド4内に設けられた排気ダクト入口44aへと排出される状態を示す断面図である。
【0204】
本実施の形態の粉末乳調乳装置1Iでは、
図16の(a)(b)に示すように、調乳用ポッド4が載置部2aに載置された状態において、排気ダクト入口44aは、調乳用ポッド4内の空間に配されている。すなわち、本実施の形態における排気ダクト44は、装置本体2の天面に設けられた排気口44bと、調乳用ポッド4内の空間に設けられた排気ダクト入口44aとの間に形成された、例えば円筒形状のパイプとしてなっている。該パイプの材質は、例えば、装置本体2と同じ材質である。
【0205】
本実施の形態における排気ダクト44は、更に換言すれば、前記実施の形態7における排気ダクト入口44aの位置から、調乳用ポッド4内へと突出している。
【0206】
ここで、排気ダクト44の、調乳用ポッド4内へと突出した部分については、散水ノズル13が配置されている方向へとスライドできるようになっていることが好ましい。これにより、載置部2aに調乳用ポッド4を載置する際に、装置本体2から突出した排気ダクト44が邪魔になり難くなる。上記スライドさせる方法としては、例えば、排気ダクト44を形成するパイプ全体を、装置本体2の天面から突出するように上方にスライドさせることが挙げられる。そのようにスライドするとき、散水ノズル13と干渉しないように、例えば排気ダクト44を形成するパイプの一部に切り込みが入っていればよい。
【0207】
前記実施の形態7と同様に、ファン42による冷却過程は、撹拌子4aによる攪拌工程と同時に行うことによって、より冷却し易くなる。
【0208】
また、前記実施の形態7と同様に、ミルクMへの気泡の含有を軽減する方法として、本実施の形態では、冷却部40による冷却過程は、撹拌子4aによる撹拌過程と同時に行い、かつ撹拌子4aの回転方向とファン42の送風による気流の方向とを対向旋回させている。これによって、ミルクMをより冷却し易くすると共に、気泡の含有を軽減することができるものとなっている。さらに、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Iでは、排気ダクト入口44aが調乳用ポッド4内の空間に設けられていることにより、よりミルクMの冷却及び気泡の消泡が促進される。
【0209】
すなわち、
図17の(c)に示すように、本実施の形態では、排気ダクト入口44aが調乳用ポッド4内に配されているため、ファン42により送風ダクト出口43aから調乳用ポッド4内に送られた風とミルクMとが接触する経路をさらに十分にとることができる。その結果、ミルクMの液面とファン42の送風による気流との熱交換及びミルクM内に生じる気泡の消泡が促進される。
【0210】
したがって、本実施の形態8では、実施の形態7に比べ、気泡含有量が少なく、より速くミルクMを飲み頃の温度まで冷却することができる。
【0211】
このように、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Iでは、排気ダクト入口44aが調乳用ポッド4内に設けられている。
【0212】
これにより、ファン42により送風ダクト出口43aから調乳用ポッド4内に送られた風とミルクMとが接触する経路をさらに十分にとることができる。その結果、ミルクMの液面とファン42の送風による気流との熱交換及びミルクM内に生じる気泡の消泡が促進される。
【0213】
したがって、気泡含有量が少なく、より速くミルクMを飲み頃の温度まで冷却することができる。
〔確認実験結果〕
本発明の粉末乳調乳装置にて生成するミルクの冷却速度及びミルク内の気泡の量について、確認実験を行った結果を以下に説明する。
【0214】
(確認実験1)
本確認実験1では、実施の形態1の粉末乳調乳装置1Aに対応して、制御部7は、給湯開始と共に撹拌子4aの回転を開始し、撹拌子回転数を設定値Aとしての1750rpmに制御した。そして、給湯開始から給湯が終了するまでの90秒間に撹拌子回転数を設定値Aとしての1750rpmから設定値Bとしての3730rpmに増加するように制御した。その後、制御部7は、撹拌子4aの回転数を、ミルク温度が45℃になるまで3730rpmに維持するように制御して、ミルクMを撹拌し続けた。
【0215】
このときの実験条件は、室温25℃、供給水温25℃、供給水量240ccとし、粉ミルクPM33gを調乳用ポッド4内にセットした後、ヒーター12に900Wの電力をかけ、給湯速度160cc/minにて調乳用ポッド4内に湯を供給しつつ、粉ミルクPMと湯とを混合することにより、調乳を行った。
【0216】
また、評価項目として、ミルクM内の気泡の重さを測定した。ミルクM内の気泡の重さの測定については、生成したミルクMが授乳に適した温度まで冷却された後、ミルクM内の気泡の量を次のように調べた。すなわち、茶こしのようなメッシュ状の金具を用いて、気泡を含有するミルクMから、ミルクMのみを除外してミルクMと気泡とを分離した。そして、その気泡の重さを測定した。
【0217】
この結果、生成したミルクMから分離して測定した気泡の重さは8g(8cc相当)であった。
【0218】
(確認実験2)
本確認実験2では、実施の形態2の粉末乳調乳装置1Bに対応して、制御部7が、給湯終了後には、撹拌子4aの回転速度を所定の時間一定に保持した後、回転速度を徐々に減少するように制御する方法について確認の実験を行った。
【0219】
すなわち、前記確認実験1で行った調乳のように、ミルク混合時の撹拌子4aの回転速度が大きいと、ミルクMのしぶきやうねりによって出来上がりのミルク内に気泡が含有し易くなる。
【0220】
そこで、本確認実験2では、給湯開始から250秒後までは、確認実験1と同様に、制御部7は、給湯開始と共に撹拌子4aの回転を開始し、撹拌子回転数を設定値Aとしての1750rpmに制御し、給湯開始から給湯終了までの90秒間に撹拌子回転数を設定値Aとしての1750rpmから設定値Bとしての3730rpmに増加するように制御した。
【0221】
しかしながら、本確認実験2では、給湯開始の250秒後以降350秒後までの間では、確認実験1と異なり、制御部7は、撹拌子回転数を3730rpmから0rpmになるように撹拌速度を徐々に減少させるように制御した。
【0222】
尚、実験条件は、確認実験1と同じである。
【0223】
これにより、ミルクのしぶきやうねりを低減することができるため、出来上がりのミルクMにおいて、気泡の含有量の低減が期待できる。
【0224】
測定結果においても、生成したミルクMから分離して測定した気泡の重さは、4g(4cc相当)であり、ミルクMの気泡含有の軽減が確認された。
【0225】
(比較例1)
比較例1として、制御部7が撹拌子4aを回転させず、かつ冷却部30も作動させない状態でのミルクM内部の気泡の量を測定した。すなわち、比較例1のミルクMは、調乳用ポッド4内に供給した湯と粉ミルクPMとが、湯の供給時の勢いによる撹拌とその後の自然対流により混合され、その後、静置され、放冷して生成されたものである。
【0226】
尚、実験条件は、確認実験1・2と同じである。
【0227】
その結果、生成したミルクから分離して測定した気泡の重さは、1g(1cc相当)であった。
【0228】
(比較例2)
比較例2では、制御部7は、給湯開始と共に撹拌子4aの回転を開始し、回転数を1750rpmとした。その後、制御部は、撹拌子の回転数を1750rpmに維持するように制御し、給湯の終了後、生成したミルクの冷却が完了するまで、回転数を維持した。
【0229】
すなわち、比較実験2は、撹拌子4aの回転数を最初から最後まで1750rpmの一定としたものである。
【0230】
尚、実験条件は、確認実験1・2と同じである。
【0231】
その結果、生成したミルクMから分離して測定した気泡の重さは6g(6cc相当)であった。
【0232】
上記確認実験2、比較例1及び比較例2にて生成した各ミルクMの冷却速度について
図18を用いて説明する。
図18は、本実施の形態2の粉末乳調乳装置1Bにおける調乳用ポッド4の撹拌子4aの回転数が、ミルクMの温度と給湯開始からの経過時間との関係に及ぼす影響を示すグラフである。
【0233】
図18に示すように、比較例1ではミルク温度の冷却速度は遅く、給湯完了後400秒経過時においてもミルク温度は65℃と高温であった。また、比較例2では、ミルク温度の冷却速度が比較例1よりも速く、給湯完了後400秒経過時において、ミルク温度は57℃程度であった。
【0234】
それらに対して、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Bにおける確認実験2では、ミルクMの冷却速度が比較例1及び比較例2よりも明らかに速く、給湯完了後250秒程度で、授乳に適温な45℃までミルク温度が低下することが確認できた。
【0235】
図18の結果から、ミルクMの生成及び冷却中に撹拌子4aを作動させることにより、ミルクMの冷却速度が向上することが確認された。また、撹拌子回転数が大きい程、冷却速度が向上することが確認された。
【0236】
また、確認実験1、確認実験2、比較例1及び比較例2において生成した各ミルクMから分離した気泡の重さは、それぞれ、8g(8cc相当)、4g(4cc相当)、1g(1cc相当)、6g(6cc相当)であった。
【0237】
このことから、撹拌子回転数が大きいと、ミルクMに気泡が生成し易いことが示された。ここで、生成したミルクMの冷却中に撹拌子回転数を減少させた確認実験2では、確認実験1よりも冷却後のミルクMの気泡の含有量が少なかったことから、ミルクMの撹拌を冷却中に減少するような制御を行うことによって、ミルクMの気泡の含有量を少なくできることが確認された。
【0238】
(確認実験3)
次に、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Aを用いて、撹拌子4aの回転方向とファン32の送風による気流の方向とが対向する向流混合状態の効果について、確認実験を行った。尚、撹拌子4aの回転数は一定とした。
【0239】
実験条件は、室温25℃、供給水温25℃及び供給水量240ccの条件において、粉ミルクPM33gを調乳用ポッド4内にセットした後、ヒーター12に900Wの電力をかけ、給湯速度160cc/minにて調乳用ポッド4内に湯を供給しつつ、ダクト33内にファン32を用いて風量0.65m^3/minで送風し、粉ミルクPMと湯とを撹拌子回転数763rpmにて混合し、調乳した。ここで、制御部7により、撹拌子4aの回転方向とファン32の送風による気流の方向とが同じ(並流混合状態)になるように、撹拌子4aの回転を制御した。
【0240】
評価項目として、ミルクM内の気泡の重さを測定した。
【0241】
その結果、生成したミルクから分離して測定した気泡の重さは、2g(2cc相当)であった。
(比較例3)
確認実験3の比較例として、撹拌子4aの回転方向とファン32の送風による気流の方向とが並行する並流混合状態について実験を行った。
【0242】
実験条件及び評価項目は、確認実験3と同じである。
【0243】
その結果、生成したミルクMから分離して測定した気泡の重さは、5g(5cc相当)であった。
【0244】
上記確認実験3及び比較例3にて生成した各ミルクMの冷却速度について
図19に基づいて説明する。
図19は、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Aにおける撹拌子4aの回転方向とファン32の送風方向とが同じか否かが、ミルクMの温度と給湯開始からの経過時間との関係に及ぼす影響を示すグラフである。
【0245】
確認実験3における向流混合状態では、撹拌子4aの回転方向とファン32の送風方向とが対向していることによって、比較例3の並流混合状態に比べ、混合中に発生した湯気や熱気の除去が促進される。
【0246】
そのため、確認実験3における向流混合状態では、
図19に示すように、ミルクMと空気との熱交換が促進され、より速くミルクMを冷却することができることが確認された。
【0247】
また、確認実験3と比較例3とによってそれぞれ調乳されたミルクMから分離した気泡の重さは、それぞれ、2g(2cc相当)、5g(5cc相当)であった。
【0248】
このことから、向流混合状態とすることによって、ミルクMの気泡が低減できることが確認された。
【0249】
以上より、本実施の形態の粉末乳調乳装置1Aにおいて、向流混合状態では、並流混合状態に比べ、撹拌子4aの回転方向とファン32の送風方向とが対向していることによって、混合中に発生した気泡の消泡が促進されるため、気泡含有の少ないミルクMを生成することができることが把握できた。
【0250】
したがって、本実施の形態の粉末乳調方法を使用することによって、「乳児用乾燥粉末乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」に順守した上で、ミルクMを生成し、かつ調乳から任意温度までの冷却を素早く自動で行うことができることが確認された。
【0251】
(確認実験4)
本確認実験4では、実施の形態3の粉末乳調乳装置1Cに対応して、混合初期段階(給湯中)での撹拌子4aの回転数を設定値C(小)=315rpmと設定し、給湯完了後に撹拌子4aの回転数を設定値D(大)=764rpmまで増加させた。
【0252】
実験条件及び評価項目は、確認実験3と同じである。すなわち、室温25℃、供給水温25℃及び供給水量240ccの条件において、粉ミルクPM33gを調乳用ポッド4内にセットした後、ヒーター12に900Wの電力をかけ、給湯速度160cc/minにて調乳用ポッド4内に湯を供給しつつ、ダクト33内にファン32を用いて風量0.65m^3/minで送風し、粉ミルクPMと湯とを撹拌子回転数763rpmにて混合し、調乳した。ここで、制御部7により、撹拌子4aの回転方向とファン32の送風による気流の方向とが対向(向流混合状態)するように、撹拌子4aの回転を制御した。評価項目として、ミルクM内の気泡の重さを測定した。
【0253】
その結果、生成したミルクMから分離して測定した気泡の重さは、1g(1cc相当)であり、ミルクMの気泡含有の軽減が確認された。
【0254】
(確認実験5)
本確認実験5では、実施の形態4の粉末乳調乳装置1Dに対応して、混合初期段階(給湯中)での撹拌子4aの回転方向を並流混合状態に設定し、給湯完了後に撹拌子4aの回転方向を向流混合状態に設定した。
【0255】
実験条件及び評価項目は、確認実験4と同じである。
【0256】
その結果、生成したミルクMから分離して測定した気泡の重さは、0.3g(0.3cc相当)であり、ミルクMの気泡含有の軽減が確認された。
【0257】
(確認実験6)
本確認実験6では、実施の形態5の粉末乳調乳装置1Fに対応して、ファンネル20から供給される湯を、調乳用ポッド4内側面に沿わせてしぶきを低減させた状態で供給することによって、ミルクMの気泡含有を軽減できるか確認した。
【0258】
実験条件及び評価項目は、確認実験4・5と同じである。
【0259】
その結果、生成したミルクから分離して測定した気泡の重さは、2g(2cc相当)であり、ミルクMの気泡含有の軽減が確認された。
【0260】
(確認実験7)
本確認実験7では、実施の形態6の粉末乳調乳装置1Gに対応して、冷却部40と、排気ダクト44内にて供給配管10から給湯された湯が、排気ダクト44内を通り、調乳用ポッド4に供給される構成との効果について、確認実験を行った。制御部7は、給湯開始と共に撹拌子4aの回転を開始し、撹拌子回転数を設定値Aとして900rpmに制御した。その後、制御部7は、撹拌子4aの回転数を、ミルク温度が45℃になるまで設定値である900rpmに維持するように制御して、ミルクMを撹拌し続けた。
【0261】
このときの実験条件は、室温25℃、供給水温25℃、供給水量240ccとし、粉ミルクPM33gを調乳用ポッド4内にセットした後、ヒーター12に900Wの電力をかけ、給湯速度160cc/minにて調乳用ポッド4内に湯を供給しつつ、排気ダクト44内にファン42を用いて風量0.65m^3/minで送風し、粉ミルクPMと湯とを混合することにより、調乳を行った。
【0262】
ここで、制御部7により、撹拌子4aの回転方向とファン42の送風による気流の方向とが対向(対向旋回流混合状態)するように、撹拌子4aの回転を制御した。
【0263】
評価項目として、ミルクM内の気泡の重さを測定した。
【0264】
その結果、生成したミルクMから分離して測定した気泡の重さは1g(1cc相当)であった。
【0265】
(確認実験8)
本確認実験8では、実施の形態7の粉末乳調乳装置1Hに対応して、冷却部40と、散水ノズル13から給湯された湯が排気ダクト44内を通り、調乳用ポッド4に供給される構成との効果について、確認実験を行った。尚、実験条件及び評価項目は、確認実験1と同じである。
【0266】
その結果、生成したミルクMから分離して測定した気泡の重さは1g(1cc相当)であった。
【0267】
(確認実験9)
本確認実験7では、実施の形態8の粉末乳調乳装置1Iに対応して、冷却部40と、調乳用ポッド内に排気ダクト口が設けられた構成との効果について、確認実験を行った。尚、実験条件及び評価項目は、確認実験1及び2と同じである。
【0268】
その結果、生成したミルクMから分離して測定した気泡の重さは0.5g(1cc相当)であった。
【0269】
(比較例4)
確認実験7〜9の比較例としての粉末乳調乳装置1Zに対応して、一方向混合状態について、確認実験を行った。尚、実験条件及び評価項目は、確認実験6〜8と同じである。
【0270】
その結果、生成したミルクMから分離して測定した気泡の重さは3g(3cc相当)であった。
【0271】
上記確認実験7〜9及び比較例4にて生成した各ミルクMの冷却速度について
図20を用いて説明する。
図20は、実施の形態6〜8の粉末乳調乳装置1G〜1Iにおける冷却部40の構成が、ミルクMの温度と給湯開始からの経過時間との関係に及ぼす影響を示すグラフである。
【0272】
図20に示すように、比較例4ではミルクの冷却速度は遅く、調乳開始からミルクMの温度が45℃になるまでの時間は298秒であった。
【0273】
これに対して、実施の形態6〜8の粉末乳調乳装置1G〜1Iでは、調乳開始からミルクMの温度が45℃になるまでの時間は、それぞれ、267秒、236秒、222秒であった。
【0274】
図20の結果から、冷却部40として、調乳用ポッド4に対して横、斜め上方、又は上方から風が当たるように開口された送風ダクト43と、調乳用ポッド4の中央部の斜め上方又は上方から風が抜けていくように配されて排気口44bに接続された排気ダクト44とを備えること、及び排気ダクト44内にて液体Lを吐出することにより、ミルクMの冷却速度が向上することが確認された。また、散水ノズル13を備えること、調乳用ポッド4内に排気ダクト入口44aを備えることによって、ミルクMの冷却速度がさらに向上することが確認された。
【0275】
また、確認実験7〜9と比較例4とによってそれぞれ調乳されたミルクMから分離した気泡の重さは、それぞれ、1g(1cc相当)、1g(1cc相当)、0.5g(0.5cc相当)、3g(3cc相当)であった。
【0276】
このことから、上述の冷却部40を備えることによって、ミルクMの気泡が低減できることが確認された。また、散水ノズル13を備えること、調乳用ポッド4内に排気ダクト入口44aを備えることによって、ミルクMの気泡の含有量を更に低減できることが確認された。
【0277】
以上より、本実施の形態の粉末乳調乳装置1G、1H、及び1Iにおける対向旋回混合状態では、比較例としての粉末乳調乳装置1Zにおける一方向混合状態に比べ、撹拌子4aの回転方向とファン32の送風方向とが対向旋回していることによって、風とミルクとの熱交換及び混合中に発生した気泡の消泡が促進される。この結果、気泡含有が少なく、かつ短時間で飲み頃の温度まで冷却可能なミルクMを生成することができることを実験にて確認できた。
【0278】
したがって、本実施の形態の粉末乳調方法を使用することによって、「乳児用乾燥粉末乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン」に順守した上で、ミルクMを生成し、かつ調乳から任意温度までの冷却を素早く自動で行うことができることが確認された。
【0279】
〔まとめ〕
本発明の態様1における混合物生成装置(粉末乳調乳装置1A)は、供給される液体Lを加熱する液体加熱部(ヒーター12)と、混合物原料(粉ミルクPM)に上記液体加熱部(ヒーター12)にて加熱された液体Lを加えて混合物(ミルクM)を調製する混合物調製部(調乳用ポッド4)とを備えた混合物生成装置において、上記混合物調製部(調乳用ポッド4)の内部にて混合物原料(粉ミルクPM)と液体Lとを回転させて混合する回転機構(撹拌子4a)と、上記混合物調製部(調乳用ポッド4)に送風して該混合物調製部(調乳用ポッド4)を冷却する冷却部30と、上記混合物調製部(調乳用ポッド4)の内部の混合物(ミルクM)の温度を検知する温度計測器(サーミスタTM)と、上記回転機構(撹拌子4a)を制御する制御部7とが設けられており、上記制御部7は、上記温度計測器(サーミスタTM)にて検知した混合物(ミルクM)の温度に応じて上記回転機構(撹拌子4a)の回転を変化させることを特徴としている。尚、回転を変化させるとは、回転速度及び回転方向の両方又はいずれか一方を変化させることを意味する。
【0280】
上記の発明によれば、混合物生成装置は、供給される液体を加熱する液体加熱部と、混合物原料に上記液体加熱部にて加熱された液体を加えて混合物を調製する混合物調製部とを備えている。この種の混合物生成装置では、混合物調製部にて調製された混合物は熱いので、適度の温度に冷ます必要がある。
【0281】
本発明では、混合物調製部に送風して該混合物調製部を冷却する冷却部が設けられているが、従来、混合物調製部への送風だけでは、混合物調製部を効率よく冷却することはできなかった。
【0282】
そこで、本発明では、混合物調製部の内部にて混合物原料と液体とを回転させて混合する回転機構を設けている。この結果、混合物調製部への送風に加えて、回転機構により混合物調製部の内部の混合物原料と液体とを撹拌混合するので、送風のみによる冷却よりも効率よく混合物を冷却することができる。
【0283】
ところで、回転機構による回転について、例えば給湯開始から飲時に最適な温度まで冷却するまで一定にしたのでは、十分に早く冷却することができないことが実験により確認できている。
【0284】
そこで、本発明では、混合物調製部の内部の混合物の温度を検知する温度計測器と、上記回転機構を制御する制御部とが設けられており、制御部は、温度計測器にて検知した混合物の温度に応じて回転機構の回転を変化させる。
【0285】
すなわち、混合物調製部に液体を給湯し始めたころは、液体の温度が高い状態であり、かつ液体量も少ないので、回転機構の回転は低速であることが好ましい。しかし、混合物調製部の内部の液体量が徐々増加するに伴って、液体の温度はさらに上昇するので、回転機構の回転を高速にすることが好ましい。
【0286】
また、回転機構の回転を高速にすることによって、混合物と混合物調製部内面との接触面積及び混合物の表面積を大きくすることができる。この結果、混合物の冷却速度をさらに速くすることができる。
【0287】
したがって、混合物調製部を冷却部にて冷却する場合に、冷却時間の短縮化を図り得る混合物生成装置を提供することができる。
【0288】
本発明の態様2における混合物生成装置(粉末乳調乳装置1A)は、態様1における混合物生成装置において、前記制御部7は、前記液体加熱部(ヒーター12)にて加熱された液体Lの供給に伴う前記混合物調製部(調乳用ポッド4)の混合物(ミルクM)の量の増加に伴って前記回転機構(撹拌子4a)の回転速度を増大させるように制御すると共に、上記混合物調製部(調乳用ポッド4)への液体Lの供給の終了後には、前記回転機構(撹拌子4a)の回転速度が予め設定された第1設定回転速度となるように制御し、かつ前記混合物(ミルクM)の温度が所定の値を下回るまで上記第1設定回転速度を保つように制御することが好ましい。
【0289】
これにより、混合物調製部の内部の混合物の量が増加するに伴って、回転機構の回転速度が増大するため、混合物と混合物調製部の内面との接触面積及び混合物の表面積を大きくすることができる。このため、混合物の冷却速度を速くすることができる。
【0290】
また、第1設定回転速度は予め設定されるので、液体の供給終了後における混合物を冷却する過程において、混合物の冷却速度を任意に選択することが可能である。例えば、早く冷却したい場合には、第1設定回転速度を高く設定すればよいし、相対的に遅く冷却したい場合には、第1設定回転速度を低く設定すればよい。
【0291】
したがって、混合物調製部の内部の混合物を、効率よく冷却し得る混合物生成装置を提供することができる。また、混合物の冷却の速度を調節することができる。
【0292】
本発明の態様3における混合物生成装置(粉末乳調乳装置1B)は、態様1における混合物生成装置において、前記制御部7は、前記混合物調製部(調乳用ポッド4)への液体Lの供給の終了後には、前記回転機構(撹拌子4a)の回転速度を所定の時間一定に保持した後、上記回転速度を徐々に減少させるように制御することが好ましい。
【0293】
これにより、生成した混合物の冷却中のうねりやしぶきを減少することができるため、出来上がりの混合物において、気泡の含有量を低下させることができる。
【0294】
本発明の態様4における混合物生成装置(粉末乳調乳装置1A・1C)は、態様1〜3における混合物生成装置において、前記冷却部30は、空気の取り入れを行う吸気口31と、送風用ファン(ファン32)と、送風用ファン(ファン32)からの風を混合物調製部(調乳用ポッド4)に導く送風ダクト33aと、混合物調製部(調乳用ポッド4)を経由した風を混合物調製部(調乳用ポッド4)よりも上側に設けられた排気口34に導く排気ダクト33bとを備え、前記制御部7は、上記送風用ファンによる気流の方向に対して前記回転機構(撹拌子4a)の回転方向が対向するように上記回転機構(撹拌子4a)の回転方向を制御することが好ましい。
【0295】
これにより、撹拌中の混合物の液面に当たる風速が、回転機構の回転速度に、送風用ファンによる気流の風速を加えたものに増大する。このため、混合物の液面と送風用ファンの送風による気流との熱交換が促進される。
【0296】
また、混合物の撹拌によって僅かに生じる気流と送風用ファンの送風による気流とがぶつかり、混合物調製部の内部の空気が乱され、かつ混合物調製部の上方へと送られる。混合物調製部の上方の空気は、送風用ファンの送風による気流と合流して排気ダクトへと順次送られる。この結果、混合中に発生した湯気や熱気の除去が促進される。したがって、混合物と空気との熱交換が促進され、より速く混合物を冷却することができる。
【0297】
本発明の態様5における混合物生成装置(粉末乳調乳装置1C)は、態様1における混合物生成装置において、前記制御部7は、前記液体加熱部(ヒーター12)にて加熱された液体Lが前記混合物調製部(調乳用ポッド4)に供給され始めてから供給が終了するまでの間、前記回転機構(撹拌子4a)の回転速度が予め設定された第2設定回転速度となるように制御し、上記液体Lの供給終了後には、前記回転機構の回転速度を予め設定され、かつ上記第2設定回転速度よりも大きい第3設定回転速度となるように制御することが好ましい。
【0298】
これにより、給湯の初期においては混合物に発生する気泡を軽減することができ、給湯完了後には混合物と空気との熱交換を促進させ、混合物を速く冷却することができる。
【0299】
本発明の態様6における混合物生成装置(粉末乳調乳装置1D)は、態様1における混合物生成装置において、前記制御部7は、前記液体加熱部(ヒーター12)にて加熱された液体Lが前記混合物調製部(調乳用ポッド4)に供給され始めてから供給が終了するまでの間、前記回転機構(撹拌子4a)の回転方向と前記冷却部30からの送風方向とが同じ方向となるように前記回転機構(撹拌子4a)の回転方向を制御すると共に、上記液体の供給終了後には、前記回転機構(撹拌子4a)の回転方向と、上記冷却部30からの送風方向とが対向するように回転機構(撹拌子4a)の回転方向を制御することができる。
【0300】
これにより、液体が混合物調製部に供給され始めてから供給が終了するまでの間において、撹拌される混合物と送風用ファンの送風により取り除かれる熱気とのぶつかりが軽減され、発生する気泡が軽減可能となる。また、液体が混合物調製部に供給され始めてから供給が終了するまでの間では並流混合状態であるため、液体が少なく非常に濃度が高くて粘り気の多い混合物に対しても送風用ファンの送風により取り除かれる熱気が回転機構の回転を支援することができる。
【0301】
この結果、回転機構の確実な回転による混合物の混合が可能となる。また、給湯終了後には並流混合状態が向流混合状態となり、混合物と空気との熱交換を十分に促進することができる。したがって、混合物を効率的に冷却することができる。
【0302】
本発明の態様7における混合物生成装置(粉末乳調乳装置1F)は、態様1〜6における混合物生成装置において、前記混合物調製部(調乳用ポッド4)へと供給される液体Lは、前記混合物調製部(調乳用ポッド4)の内壁側面に沿って供給されることが好ましい。
【0303】
これにより、液体が混合物調製部に穏やかに供給されるため、混合物のしぶきやうねりが発生し難くなる。このため、混合物の気泡の生成が低減される。
【0304】
本発明の態様8における混合物生成装置(粉末乳調乳装置1G)は、態様1〜3、5における混合物生成装置において、前記冷却部40は、送風用ファン(ファン42)と、送風用ファン(ファン42)からの風を混合物調製部(調乳用ポッド4)に導く送風ダクト43と、前記混合物調製部(調乳用ポッド4)を経由した風を前記混合物調製部(調乳用ポッド4)よりも上側に設けられた排気口44bに導く排気ダクト44とを備えており、前記液体加熱部(ヒーター12)にて加熱された液体Lは上記排気ダクト44内にて吐出されて前記混合物調製部(調乳用ポッド4)に流入されることを特徴としている。
【0305】
これにより、混合物調製部内に空気の流れができ、混合物調製部の内部から熱気が引き寄せられて抜け易くなる。この結果、対流によるミルクからの放熱が促進される。また、液体加熱部にて加熱された液体は、排気ダクト内を経由して、又は排気ダクト内にて吐出されて混合物調製部に流入される。このため、液体加熱部から給湯された湯が排気ダクト内を通る際に、送風用ファンから送られた排気ダクト内を通る風との熱交換が促進される。したがって、混合物調製部内に供給される湯の温度を低下することができる。
【0306】
本発明の態様9における混合物生成装置(粉末乳調乳装置1G)は、態様8における混合物生成装置において、前記制御部7は、前記送風用ファン(ファン42)による気流の方向に対して前記回転機構(撹拌子4a)の回転方向が対向するように上記回転機構(撹拌子4a)の回転方向を制御することを特徴としている。
【0307】
これにより、前記回転機構の回転方向と送風用ファンの送風による気流の方向とを対向旋回させることで、ミルクをより冷却し易くすると共に、気泡の含有を軽減することができる。
【0308】
すなわち、前記回転機構の回転方向と送風用ファンの送風による気流の方向とが対向旋回していることにより、撹拌中のミルクの液面に当たる風速が、前記回転機構の回転速度に、送風用ファンによる気流の風速を加えたものに増大する。かつ、風とミルクとが接触する経路を十分にとることが可能である。その結果、ミルクの液面と送風用ファンの送風による気流との熱交換が促進される。また、混合物調製部内の熱気は、送風用ファンの送風による気流と合流して排気ダクト入口へと順次送られる。この結果、混合中に発生した湯気や熱気の除去が促進される。したがって、ミルクと空気との熱交換が促進され、より速くミルクを冷却することができる。
【0309】
また、前記回転機構の回転方向と送風用ファンの送風による気流の方向とが対向旋回していることによって、送風用ファンの送風による気流が、ミルクの液面の気泡とぶつかって気泡に圧力を及ぼすと共に、気泡を動かすことによって気泡同士の摩擦等が生じ気泡が弾け易くなるため、混合中に発生した気泡の消泡が促進される。
【0310】
本発明の態様10における混合物生成装置(粉末乳調乳装置1I)は、態様8又は9における混合物生成装置において、前記排気ダクト44の入口(排気ダクト入口44a)が前記混合物調製部(調乳用ポッド4)内に設けられることを特徴としている。
【0311】
これにより、送風用ファンにより送風ダクト出口から混合物調製部内に送られた風とミルクとが接触する経路をさらに十分にとることができる。その結果、ミルクの液面と送風用ファンの送風による気流との熱交換及びミルク内に生じる気泡の消泡が促進される。
【0312】
したがって、気泡含有量が少なく、より速くミルクMを飲み頃の温度まで冷却することができる。
【0313】
尚、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。