【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、個別的ブリスタポケット、若しくは、キャビティ、又は、列状に配置されたポケット、若しくは、キャビティを備えたブリスタに関し、特に、ブリスタストリップ、又は、ブリスタディスクに関する。ブリスタは、キャビティを備えたフロアフィルムと、少なくとも1つのシールフィルムとから成っている。これら2つのフィルムは、シールラッカー層を介して互いに接合されている。シールラッカー層は、一般に、被覆状態でシールフィルムの2つのオモテ(表)の面のうちの一方に塗布される。シールフィルムのこのオモテ面を、熱、及び(又は)、圧力下で被覆状態で、キャビティの開口部が形成されているフロアフィルムの面に連結する。必要な場合、フロアフィルムの両面をこのように密封する。
【0022】
本発明のブリスタの形態は、必要ならば、使用されるべき粉末吸入器によってあらかじめ決定される。
【0023】
したがって、本発明によれば、ブリスタは、
(a)少なくとも一方の側に開口した少なくとも1つのキャビティを備えたベース要素と、
(b)少なくとも1つのキャビティが薬剤調合物が入れられる中空空間を形成した状態で密封されるようベース要素に溶接された少なくとも1つのシールフィルムと、
(c)ベース要素とシールフィルムを互いに接合する中間に配置されたシールラッカー層とから成る複合フィルム又はラミネートである。
【0024】
したがって、最も単純な場合、ブリスタは、3つの層から成り、即ち、上方に開口したキャビティを有するベース要素が一番下に位置し、この上にシールラッカー層が設けられ、そして、このシールラッカー層の上にシールフィルムが設けられる。別の層を、このラミネートの両面に形成しても良い。用いられる材料の種類、及び、層の数は、外部からキャビティ内への水蒸気の透過度、及び、キャビティから外部への水蒸気の透過度、並びに、ブリスタの機械的安定性に影響を及ぼす。
【0025】
材料:
ベース要素は、金属フィルム、ポリマーフィルム、金属本体、及び(又は)、ポリマー本体で作られる。アルミニウム、アルミニウムフィルム、又は、アルミニウム、及び、例えば、プラスチックのアルミニウム複合フィルムが、金属、又は、金属フィルムとして好ましい。プラスチックフィルムの材料としては、PVC(ポリ塩化ビニル)、COC(シクロオレフィンコポリマー、例えば、Topas(登録商標))、コシクロオレフィンポリマー(COP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(例えば、ACLAR(登録商標))、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリ(塩化ビニリデン)(PVDC)、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアミド、又は、別のプラスチックを用いるのが良い。
【0026】
ベース要素は、キャビティが形成された熱成形シートである場合が多い。かかる熱成形シートは、薬剤調合物を収容するトラフ、又は、カップがフィルムに形成される場合、本発明の関連において、トラフシートとも呼ばれている。
【0027】
変形例として、ベース要素は、強固なプラスチック、若しくは、金属ディスク又は金属表面であっても良い。
【0028】
別の実施形態では、ベース要素は、プラスチック、又は、プラスチックフィルムから成り、ベース要素は、全体が又は部分的に金属フィルムで内張りされ、例えば、幾つかの実施形態では、少なくとも1つののキャビティ、又は、複数のキャビティが全体を金属フィルムで内張りされる。壁の内側部分は、これに関連して、薬剤調合物に接触する場合のある薬剤ポケットの壁の一部である。
【0029】
好ましくは、ベース要素は、アルミニウムフィルムから成るのが良く、このアルミニウムフィルムは、必要ならば、製品の方へ向いた面(キャビティを有する面)にプラスチック被膜を有するのが良い。この場合、プラスチック被膜は、できるだけ薄手であり、その高さは、好ましくは、50μm以下であり、より好ましくは、40μm以下であり、特に好ましくは、30μm以下である。
【0030】
シールフィルムは、金属、及び(又は)、ポリマーフィルムである。このシールフィルムは、ベース要素と同一の材料で作られるのが良い。
【0031】
ホットラッカーをシール(密封)ラッカーとして用いるのが良い。ポリアクリレート、及び(又は)、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン、及び(又は)、低密度ポリエチレン)を主成分とするホットシールラッカーが適している。水に対する透過係数が低い材料が好ましい。混合物の場合、本発明によれば、透過係数が高い成分の割合をできるだけ減少させる。ポリ(メチルアクリレート)とポリ(エチルアクリレート)の混合物が用いられる場合が多い。ポリ(エチルアクリレート)に対するポリ(メチルアクリレート)の割合が50から100重量%であるポリ(メチルアクリレート)とポリ(エチルアクリレート)の混合物を含むシールラッカーが好ましい。
【0032】
補足的な層は、上述した材料又は紙から成るのが良い。
【0033】
好ましいブリスタは、アルミニウムフィルム、又は、アルミニウム複合フィルムのベース要素と、アルミニウムフィルム、又は、アルミニウム複合フィルムのシールフィルムとから成る。この場合、本発明のホットシールラッカー層が、ベース要素とシールフィルムとの間に配置される。
【0034】
ベース要素の形態:
ベース要素は、キャビティが形成された表面を構成する。表面の2つの側は、キャビティを無視した場合、好ましくは、平らである。
【0035】
複数のキャビティを備えたベース要素の場合、これらキャビティは、列状に、平行に、円形、若しくは、螺旋構造で、又は、複数の列をなして配置される。これに関連して、キャビティの開口部は、好ましくは、ベース要素の同一の側に設けられる。
【0036】
いずれも2つの開口部を備えた複数のキャビティを有するベース要素の場合、2つの開口部は、好ましくは、互いに反対側に(en face)形成される。
【0037】
キャビティの寸法は、本発明によれば重要度は低いが、例示の目的でキャビティの寸法について説明する。
【0038】
主要包装材として形成された好ましいブリスタの場合、ベース要素のキャビティの長さは、最高10mmまでであり、幅は、最高10mmまでであり、高さは、最高5mmまで、好ましくは、最高3mmまでである。粉末吸入器用のブリスタの場合では、キャビティの寸法は、上述した寸法よりも小さい場合が多く、例えば、6.4mm×3.7mm×1.6mm(長さ×幅×高さ)であり、又は、4mm×2.65mm×0.9mmである。
【0039】
補助包装材の場合、寸法は、これに対して、上述したものよりも大きい場合があり、例えば、40mm×25mm×15mm(長さ×幅×高さ)である。
【0040】
キャビティの各開口部は、開口部に対して垂直に差し向けられた実質的に平らなウェブ(ブリッジ)によって包囲される。このウェブの幅は、少なくとも0.5mmであり、好ましくは、1mmであり、より好ましくは、2mmであり、特に最も好ましくは、4mmである。
【0041】
有効成分調合物は、直接キャビティ内に存在するのが良く、或いは、キャビティは、活性成分調合物を収容するトラフ(カップ)を更に有するのが良い。必要ならば、有効成分は、包装形態で、例えば、カプセルに入れて、キャビティ内に存在しても良い。
【0042】
ベース要素及び完成状態のブリスタは、ストリップ、又は、ディスクとしての形態を有していても良い。
【0043】
シールフィルム及びベース要素の固定:
シールフィルムは、各キャビティの開口部が完全に閉鎖され、即ち、閉鎖密封シームがキャビティの開口部を包囲するようにベース要素に連結される。この目的で、2つの層は、少なくともブリスタの縁部のところで互いに溶接され、又は、結合され、好ましくは、更に、キャビティの周りに直接溶接され、又は、結合される。シールフィルムは、好ましくは、これがベース要素にしっかりと固定されたホットラッカー層を介してベース要素に接触するところではどこでも用いられる(シールラッカーの均一分布)。理想的な場合では、シールフィルムは、キャビティの開口部の上方に位置したシールフィルムの領域を除き、その表面領域全体がベース要素に結合される。
【0044】
シールフィルムをベース要素に接合するため、シールラッカー層(接合層)が、好ましくは均一に、例えば、ホットシールラッカー層の形態でシールフィルム又はベース要素に塗布する。次に、シールフィルム及びベース要素を互いに接触させて接合層がこれら2つの層相互間に存在するようにする。すると、圧力、及び、熱の作用下で、接合層は、これら2つの層を互いに固定する。それと同時に、接合層は、溶ける場合がある。密封手順後におけるシールラッカー層の表面構造は、とりわけ、密封ツールによっても決定される。これに関連して、2つの隣り合う箇所相互間のシールラッカー層の層厚さは、様々な場合がある。例えば、シールラッカー層は、断面が点状のネットワークを形成する場合がある。したがって、本発明の説明の前後関係における「層厚さ」という用語は、均一の層厚さ及び材料分布を備えた実施形態だけでなく、先行技術で知られているような不均一な層厚さ及び材料分布を含む。この場合、層厚さという用語は、対応の平均値を表す。ラッカーの分布が均一なシールラッカー層が好ましい。
【0045】
表面のキャビティの開口部が少なくとも0.5mmであり、好ましくは、1mmであり、より好ましくは、2mmであり、特に最も好ましくは、4mmである幅にわたり、或いは、開口部の周囲全体にわたって密封されたブリスタが好ましい。
【0046】
本発明の目的を達成するため、即ち、シールラッカー層の水蒸気透過度を減少させるため、溶接、及び(又は)、結合手順後におけるシールラッカー層の高さが最高5μmまでであるブリスタが提案される。平均高さが1μmから4.5μmであり、特に2μmから4.5μmであるのが特に好ましい。平均高さが2μmから4μmであるのが特に最も好ましい。比較の目的で説明すると、平均ブリスタの場合、ベース要素及びシールフィルムの高さから成る全高は、80μmのオーダのものである。高さは、ベース要素、及び、シールフィルムの平面に垂直なシームの寸法である。
【0047】
完成状態のブリスタのこの平均高さを達成するためには、密封手順前におけるシールラッカーの量は、最高10g/m
2までであるのが良い。
1g/m
2から7g/m
2であり、特に好ましくは、2g/m
2から5.5g/m
2の量であるのが好ましい。
【0048】
シールラッカー層の絶対高さではなく、シールラッカー層の相対的表面を固有の特徴として近似により用いても良い。相対的表面は、外方に差し向けられた表面であり、かくして、水蒸気がシステムに侵入する場合に通ることができる断面表面である。相対的表面は、本発明によれば、ブリスタの全表面の最高0.035%までである。好ましくは、その値は、最高0.03%までであり、より好ましくは、最高0.025%までであり、更により好ましくは、最高0.02%までであり、特に最も好ましくは、最高0.015%までである。
「外方に視認できる表面」という用語は、シームの外方に差し向けられた表面であると理解されるべきである。これは、ブリスタの環境、即ち、空気、水蒸気に直接接触するシームの表面の部分であり、透過面である。
【0049】
「相対的表面」という用語は、外方に視認できる表面(又は表面積)と、薬剤ポケットからなるそれぞれのブリスタユニットに関する、シールラッカー層のシーム平面の縁長さを、シールラッカー層のシームの実際の長さで除算して得られる商との積として定義される。
【0050】
シールラッカー層のシームの実際の長さは、シールフィルム、又は、ベース要素に平行な外方に視認できる表面の一成分である。
【0051】
シーム平面は、シームにより張られ、シールフィルムをベース要素から分離する想像上の表面である。この想像上のシーム平面は、シールフィルムで終端すべきである。その縁部は、当然のことながら、この平面内に位置する。個々の薬剤ポケットが並んで配置されているブリスタの場合、シーム平面の縁部は、主としてシールフィルムの終端によっては画定されず、薬剤ポケット、即ちキャビティ相互間の想像上の中央境界部によって画定される。シールフィルムの縁部と薬剤ポケットとの間に位置する薬剤ポケットが、それ以上存在しない場合、この場合、シールフィルムの縁部が認められるべきであり、又は、原理的には、想像上の中央境界部によって切断されたものと見なされる。この手順により、シーム平面は、個々の各キャビティ(薬剤ポケット)に関して標準化され、又は、各ブリスタは、あたかも、これがたった1つの薬剤ポケットを有するものとして取り扱われる。同一の原理を用いてシールラッカー層のシームの長さを求める。
【0052】
いま正方形シールフィルム、及び、これに寸法的に正確に適合したベース要素から成る正方向ブリスタを想像した場合、次の結果が得られ、即ち、シールラッカー層のシームの長さは、正方形の縁長さの4倍に等しい。
【0053】
かくして、シールラッカー層の外方に視認できる相対的表面(又は、表面積)は、シールラッカー層の外方に視認できる絶対的表面(又は、表面積)と同一である。
【0054】
次にブリスタを、ベース要素、及び、シールフィルムが同一のフィルムから成り、まず最初に中間が折り畳まれた正方形ブリスタとして想像した場合、2つの部品要素は、互いの頂部が折り畳まれ、又は、折り曲げられ、その結果、正方形ブリスタは、3つの縁の側部に密封表面を有し、第4の側部は、折り畳み側部である。
【0055】
この場合、シールラッカー層のシームの長さは、正方形の縁長さの3倍に等しく、これに対し、シーム平面の縁長さは、正方形の縁長さの4倍に等しい。したがって、外方に視認できる相対的な表面は、絶対的表面の4/3倍であると算出される。
【0056】
縁部により互いに連結された2つの個々の正方形ブリスタで形成されたブリスタの場合、状況は、上述した3つの密封縁部を備えたブリスタに類似している。
【0057】
表面の相対的形態は、表面に関する基準点が常に、シーム平面の縁長さ全体が密封面として形成されたブリスタについて結果的に得られた表面であると理解される。
【0058】
別の説明の仕方では、本発明は又、シールラッカー層を通る水蒸気透過によって説明できる。理想的には、静的平衡状態(「定常状態」)における透過率は、キャビティ内の大気湿度が約16%、ブリスタの外部環境の大気湿度が75%、温度が40℃の状態で6箇月にわたって測定した場合、320μg/mm
2以下のシールラッカー層であり、好ましくは、60μg/mm
2から280μg/mm
2のシールラッカー層であり、より好ましくは、120μg/mm
2から280μg/mm
2のシールラッカー層であり、特により好ましくは、120μg/mm
2から250μg/mm
2のシールラッカー層以下である。
【0059】
定常状態は、シールラッカー層が水・水蒸気で飽和された状態であると理解される。
【0060】
特定の形態及び実施例:
本発明のブリスタの一実施形態は、ブリスタディスクに関する。これは、高さが、好ましくは、最高5mmまでであり、直径が最高15cmまでである円筒形ディスク、又は、ベースプレートから成る。ウェル、又は、穴(又はキャビティ)が、ディスクの平面に垂直にディスクに形成される。ウェル、又は、穴は、好ましくは、ディスクの外縁部に形成され、1つ又は2つ以上のシールフィルムにより閉鎖されるのが良い。吸入調合物が、ウェル又は穴内に入れられる。ディスク形本体は、これに関連して、本発明に従って用いられる材料から成る。かかるディスクは、例えば、独国特許第3,348,370号明細書又は独国特許第3,336,486号明細書に記載された吸入器に使用できる。かかる吸入器は、薬剤ポケットがぎっしりと設けられたディスク形の丸いブリスタを収容するハウジングを有する。吸入器は、とりわけ、ピンを有し、このピンは、薬剤がチャンバ内に放出されてマウスピースを介して吸入できるようにするために、ピンが薬剤ポケットを開くことができるように配置されている。
【0061】
別の実施形態では、容器は、独国特許第4,106,379号明細書に記載されているように、列をなした数個の直線状に配置された薬剤ポケットを備えたストリップ形の可撓性ブリスタである。ブリスタは、互いに剥がすことができ、薬剤を収容する少なくとも1つの容器を構成する少なくとも2つの材料ストリップから成る。
【0062】
関連の吸入器は、ブリスタを開けるために、2つの材料ストリップを開きステーションのところで互いに剥がす装置を備えている。ユーザは、開かれた容器から、これに連結されている出口部品、例えば、マウスピースを介して粉末状薬剤を吸入することができる。これに関連して、材料ストリップのうちの一方は、複数のポケットを備えたキャリヤストリップでもあり、他方の材料ストリップは、カバーストリップである。この場合、各ポケット及びカバーストリップの隣接領域は、容器を形成する。キャリヤストリップとカバーストリップを互いに剥がす駆動装置を開きステーションのところに設けるのが良い。この駆動装置は、例えば、カバーストリップを駆動係合状態に保持する2つの駆動ホイール(例えば歯車)から成る。この場合も又、各々の個別的ブリスタキャビティは、吸入器中の一種の貯蔵チャンバを構成し、この貯蔵チャンバは、空気チャネルを介してマウスピースに結合される。
【0063】
本発明のブリスタの特に好ましい改造例では、ブリスタの外方に差し向けられた縁部は、折り重ねられ、又は、折り曲げられ、オプションとして、折り曲げ縁部は、ブリスタの内方に向いた領域に結合され、又は、溶接される。好ましくは、折り畳み縁部は、ベース要素又はシールフィルムまで完全に折り返される。折り曲げ縁部は、縁部から最高4mmまでであり、好ましくは、最高2mmまでであり、特に好ましくは、最高1mmまでである位置するのが良い。折り畳みは、2重の効果、即ち、一方においては、キャビティと縁部との間の距離を長くすることができるので水蒸気の透過経路が長くなるという効果を有し、及び、他方において、折り畳み縁部それ自体が、絞り部、及び、かくして、もう1つの透過バリヤを構成するという効果を有する。キャビティの縁部と、この最も近くに位置する縁部との間の好ましい距離は、少なくとも1mmであり、好ましくは、少なくとも2mmであり、特により好ましくは、少なくとも3mmである。上述したように、かかる距離は、必要ならば、折り畳み方式により長くすることができる。
【0064】
上記に対して代替的に、又は、追加的に、各々の外縁部の表面を更に別のシールフィルム(ラミネート層に垂直である)で更に覆うのが良い。この別のシールフィルムは、たとえ、これがブリスタの最も上側の層、及び、最も下側の層とオーバーラップする場合があるにもかかわらず、外縁部に制限されるのが良く、又は、折り畳み縁部の場合、外縁部を覆うのが良い。別のシールフィルムは、第1のシールフィルムと同種の材料のものであるのが良く、例えば、アルミニウムフィルムであるのが良い。
【0065】
好ましい実施形態では、ベース要素は、アルミニウムフィルムから成り、同様に、シールフィルムは、アルミニウムフィルムから成る。シールラッカー層が、ベース要素とシールフィルムとの間に介在して設けられる。
【0066】
別の好ましい実施形態では、ベース要素は、プラスチック層で覆われたアルミニウムフィルムから成る。この上にはシールラッカー層が位置し、このシールラッカー層の上にはアルミニウムのシールフィルムが位置する。この場合、又は、これに類似した場合、プラスチック層は、同様に、できるだけ薄く保たれる。プラスチック層は、接着剤層を介してベース要素のアルミニウムフィルムに接合され、接着剤層は、理想的には、シールラッカー層よりも薄く、好ましくは、シールラッカー層の厚さの半分未満であり、少なくとも2.5μm未満である。プラスチック層は、好ましくは、50μm以下であり、より好ましくは、40μm以下であり、特に好ましくは、30μm以下である厚さを有する。ベース要素と関連して上述したプラスチックのうちの1つは、プラスチック、即ち、PVC(ポリ塩化ビニル)、COC(シクロオレフィンコポリマー、例えば、Topas(登録商標))、コシクロオレフィンポリマー(COP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(例えば、ACLAR(登録商標))、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリ(塩化ビニリデン)(PVDC)、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアミド、又は、他のプラスチックとして用いられるのが良い。PVCが好ましい。
【0067】
特に好ましいアルミニウム複合ブリスタの層構造は、次のようなものであり、即ち、フロアフィルムの外側に位置する層は、ポリアミドから成り、この層は、例えば、二軸延伸される。以下のアルミニウム層は、水蒸気バリヤとして働き、例えば、接着剤・結合剤によりポリアミド層に接合される。用いられるアルミニウムは、良好な常温加工性を示す合金、例えば、合金AA8021Bである。製品の方に向いたプラスチック層は、接着剤によってアルミニウム層に結合される。PVCのプラスチック層は、先の段落に記載されているような厚さを有する。カバーフィルムは、ホットシールラッカーの層(例えば、厚さ4μmから9μmの層)が被着されたアルミニウム層から成る。この層をローラ塗り法によって塗布するのが良い。カバーフィルムを熱及び圧力の作用下で成形ベースフィルムに封着した場合、ホットシールラッカーが溶けてフロアフィルムのプラスチック層に結合する。一般に、印刷プレラッカー(prelacquer)が、アルミニウム層の外側に被着され、この外側上には、製品の詳細、例えば、名称、製造業者、不定の日付等を印刷することができる。この印刷を摩耗しないよう保護するために、保護ラッカーを更に塗布するのが良い。
【0068】
別の実施形態では、上述した実施形態の各々を、少なくとも最も外側のシームが2つのアルミニウムフィルム及びシールラッカー層により形成されるような仕方で一段と改良することができる。別の層、例えばプラスチック層を、これらアルミニウム層(包囲された層)相互間に形成するのが良い。しかしながら、この場合、包囲層の寸法(長さ及び幅)は、2つの上述のアルミニウム層の寸法よりも幾分小さく保たれる。このようにすると、ブリスタの外縁部は、包囲層のうちの一方が外縁部を直接密封しない状態で、シールラッカー層により互いに結合された2つのアルミニウムフィルムからそれ自体形成されるウェブによって構成されるようにすることが保証される。また、水蒸気の透過のための最小限の表面が、このようにして形成される。例えば、プラスチックのトラフフィルムをこのようにしてフロア側アルミニウムフィルム及びカバー側アルミニウムフィルムにより完全に包囲することができ、その結果、プラスチックトラフの縁部も又、アルミニウムフィルムによって包囲されるようになる。
【0069】
好ましい薬剤調合物:
粉末吸入器に関して本発明に従って受け器内に存在する吸入調合物に利用される好ましい等級の有効成分は、抗コリン作動薬、抗ムスカリン作用薬(antimuscarinic(s) )、ステロイド、PDE−IV阻害薬、LTD4拮抗薬及びEGFRキナーゼ阻害薬である。抗コリン作動薬、特にチオトロピウムが特に好ましい。チオトロピウムは、特に最も好ましくは、トロピウムブロミドモノヒドレートの形態で存在する。したがって、本発明の一観点は、トロピウムブロミドモノヒドレートを収容した本発明のブリスタに関する。
【0070】
本発明のブリスタに用いられる吸入粉末は、有効成分とは別に、好ましくは、少なくとも1つの補助物質を更に含む。これは、補助物質粒子の平均粒径(例えば、15μmから80μm)に関して均一である補助物質フラクションから成り、又は、オプションとして、平均粒径が15μmから80μmの粗い補助物質と平均粒径が1μmから9μmの細かい補助物質の混合物であっても良い。粗い補助物質フラクションと細かい補助物質フラクションの補助物質混合物を採用する場合、補助物質の総量に対する細かい補助物質の割合は、好ましくは、1%から20%である。
【0071】
生理学的に適合性のある補助物質として、例えば、単糖類(例えば、グリコース又はアラビノース)、二糖類(例えば、ラクトース、スクロース、マルトース)、少糖類及び多糖類(例えば、デキストラン)、ポリアルコール(例えば、ソルビトール、マニトール、キシリトール)、塩(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)、又は、これら補助物質の相互の混合物を挙げることができる。好ましくは、単糖類又は二糖類が用いられ、具体的には、ラクトース、又は、グルコースが、これらの水和物の形態で(これには限定されない)用いられる。本発明の範囲内において、ラクトースが、特に好ましく用いられ、ラクトースモノヒドレートが、特に最も好ましく用いられる。