特許第6042946号(P6042946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6042946-非絶縁型インバータアセンブリー 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042946
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】非絶縁型インバータアセンブリー
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20161206BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   H05K9/00 R
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-138491(P2015-138491)
(22)【出願日】2015年7月10日
(65)【公開番号】特開2016-25844(P2016-25844A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2015年7月10日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0093070
(32)【優先日】2014年7月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】リン ドキョン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン チュン ソク
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−099480(JP,A)
【文献】 特開2008−130584(JP,A)
【文献】 特開2000−269613(JP,A)
【文献】 特開2005−316373(JP,A)
【文献】 特開2006−261479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源供給回路部、インバータ部、アナログ回路部、及び制御部が設置されるPCBと、
前記PCBに設置されて前記電源供給回路部及び前記インバータ部に接地電源を供給する第1接地回路パターンと、
前記PCBに設置されて前記アナログ回路部に接地電源を供給する第2接地回路パターンと、
前記PCBに設置されて前記制御部に接地電源を供給する第3接地回路パターンと、
前記PCB上において前記第1接地回路パターンと第2接地回路パターンとの間に設置されて前記第1接地回路パターンと第2接地回路パターンとの間のインピーダンス分離のための第1ビーズと、
前記PCB上において前記第2接地回路パターンと前記第3接地回路パターンとの間に設置されて、前記第2接地回路パターンと前記第3接地回路パターンとの間のインピーダンス分離のための第2ビーズと、
前記第1接地回路パターンと前記第2接地回路パターンとの間に設置されて、前記インバータ部に補助電源を供給するための補助電源供給部と、を含み、
前記第1ビーズ及び前記第2ビーズは、前記補助電源供給部から発生するスイッチングノイズを低減または遮断するように構成されたことを特徴とする、非絶縁型インバータ装置。
【請求項2】
前記第1ビーズ及び前記第2ビーズは、高周波ノイズを低減または遮断するように構成される、請求項1に記載の非絶縁型インバータ装置
【請求項3】
前記第1ビーズ及び前記第2ビーズは、特定高周波領域でインピーダンスが増加する素子を含む、請求項1または2に記載の非絶縁型インバータ装置
【請求項4】
前記第1ビーズ及び前記第2ビーズは、フェライトビーズを含む、請求項3に記載の非絶縁型インバータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非絶縁型インバータアセンブリーに関し、詳細には制御回路、アナログ回路及び電源供給回路の接地が電気的に分離しない小型インバータの耐ノイズ特性強化のための接地構造を有する非絶縁型インバータアセンブリーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インバータ(invertor)はモータの速度及びトルクを制御できる装置である。モータの速度制御方式には様々あるが、代表的な方法は1次電圧制御方式と周波数変換方式がある。インバータは効率制御、力率制御などに用いてもよく、予備電源、コンピュータ用の無停電電源、直流を送電などに応用されて用いてもよい。
【0003】
インバータの使用目的は工程制御、工場自動化及びエネルギー節約をするためである。例えば、加熱炉送風機(blower)の場合、インバータが製品の種類や生産量に応じて送風機の速度を調整することができる。インバータが送風機の風量を調節することによって加熱炉内の温度を最適な温度に調節できるだけでなく製品の質的向上を図ることができる。前記のようにすることで、大きなエネルギー節減効果を得ることができる。現在、瞬時停電などが発生した場合、インバータを効率的に制御するための技術に関する研究が活発に進行している。
【0004】
従来の場合、インバータが電源入力部に流入する高周波ノイズや内部のスイッチングノイズによって誤動作なく運転されるためには電源入力部にノイズ対策部品を装着したり制御回路やアナログ回路そして電源供給回路の接地を電気的に分離して電源供給回路から制御回路アナログ回路に流入するノイズを遮断する設計が行われるべきである。
【0005】
しかし、製品サイズの制約が大きい小容量インバータ製品の場合、電源入力部にノイズ対策部品を装着したり制御回路とアナログ回路及び電源供給回路の接地を電気的に分離しにくい問題点がある。
【0006】
制御回路と電源供給回路の接地が電気的に分離していないインバータは、高周波ノイズに脆弱な構造を有する。
【0007】
小容量インバータの場合、製品サイズの制限から3相電源入力部にバリスタを装着できず入力部から入る高周波ノイズを軽減させることはできない。
【0008】
インバータ保護回路、センシング回路及び制御回路の連結部にノイズ低減フィルターを設計して高周波ノイズに対する耐性を増加させることができるが制御情報の損失や遅延が発生する可能性があるため限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、制御回路、アナログ回路及び電源供給回路の接地が電気的に分離していない小型インバータの耐ノイズ特性強化のための接地構造を有する非絶縁型インバータアセンブリーを提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は前記で言及した課題に制限されず、言及されなかった他の課題は下記から提案される実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によると、電源供給回路部、インバータ部、アナログ回路部、及び制御部が設置されるPCBと、PCBに設置され電源供給回路部及びインバータ部に接地電源を供給する第1接地回路パターンと、PCBに設置されてアナログ回路部に接地電源を供給する第2接地回路パターンと、PCBに設置されて制御部に接地電源を供給する第3接地回路パターンと、PCB上において第1接地回路パターンと第2接地回路パターンとの間に設置されて、第1接地回路パターンと第2接地回路パターンとの間のインピーダンス分離のための第1ビーズと、PCBにおいて第2接地回路パターンと第3接地回路パターンとの間に設置されて、第2接地回路パターンと第3接地回路パターンとの間のインピーダンス分離のための第2ビーズと、を含む非絶縁型インバータアセンブリーが提供される。
【0012】
第1ビーズ及び第2ビーズは、高周波ノイズを低減または遮断するように構成されてもよい。
【0013】
非絶縁型インバータアセンブリーは、第1接地回路パターンと第2接地回路パターンとの間に設置されて、インバータ部に補助電源を供給するための補助電源供給部をさらに含んでもよく、第1ビーズ及び第2ビーズは、補助電源供給部から発生するスイッチングノイズを低減または遮断するように構成されてもよい。
【0014】
第1ビーズ及び第2ビーズは、特定高周波領域でインピーダンスが増加する素子を含んでもよい。
【0015】
第1ビーズ及び第2ビーズは、フェライトビーズ(Ferrite Bead)を含んでもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、制御回路と電源供給回路の接地は電気的に分離されないが特定高周波領域でインピーダンスが増加する素子を挿入して高周波領域で制御回路接地回路パターンを電源供給回路の接地回路パターンからインピーダンス分離させることができる。これに伴い、高周波領域で高周波ノイズ耐性強化の効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る非絶縁型インバータアセンブリーの構成ブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る非絶縁型インバータアセンブリーにおいて電源供給回路部とアナログ回路部のインピーダンス分離のための回路パターンを示した図である。
図3】本発明の一実施形態に係る非絶縁型インバータアセンブリーにおいてアナログ回路部と制御部のインピーダンス分離のための回路パターンを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の具体的な実施形態を図面と共に詳細に説明する。しかし、本発明の思想が提示される実施形態に制限されることなく、さらに他の構成要素の追加、変更、削除などによって退歩的な他の発明や、本発明思想の範囲内に含まれる他の実施形態を容易に提案することができる。
【0019】
本発明で用いられる用語は可能な限り現在広く用いられる一般的な用語を選択したが、特定の場合は出願人が任意に選定した用語もあって、この場合該当する発明の説明の部分で詳細にその意味を記載したため、単純な用語の名称でなく用語が有する意味として本発明を把握する必要性を明らかにする。
【0020】
即ち、以下の説明において、単語「含む」とは、列挙されたのと他の構成要素または段階の存在を排除しない。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る非絶縁型インバータアセンブリーの構成ブロック図である。
【0022】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る非絶縁型インバータアセンブリー100は、電源供給回路部110、インバータ部120、アナログ回路部130、制御部140、SMPS150、第1ビーズ170、第2ビーズ180を含んで構成されてもよい。
【0023】
これら電源供給回路部110、インバータ部120、アナログ回路部130、制御部140、SMPS(switched−mode power supply)150、第1ビーズ170、第2ビーズ180は、PCB(printed circuit board)101上に設置される。
【0024】
電源供給回路部110は、整流回路及び平滑回路を含んで構成されてもよい。整流回路は、入力された交流電源を整流して出力する。平滑回路は、整流回路から入力された出力電圧を平滑させ直流リンク電圧を出力する。平滑回路は、キャパシタを含んで具現される。
【0025】
インバータ部120は、電源供給回路部110から入力された直流リンク電圧を交流電圧に変換して出力する。
【0026】
アナログ回路部130は、インバータ部120の出力電流またはDCリンク電圧を測定する感知回路と保護回路を含んで構成されてもよい。
【0027】
制御部140は、アナログ回路部130により測定された出力電流またはDCリンク電圧によりインバータ部120の出力を制御する。
【0028】
SMPS150は、インバータ部120、アナログ回路部130、制御部140に補助電源を供給するための補助電源供給部として、インバータ部120、アナログ回路部130、制御部140に安定した電源を供給するために設置される。
【0029】
R、S、T 3相あるいは単相交流電源が電源供給回路部110に入力されると、入力された交流電源は、整流回路であるダイオードブリッジを経て平滑回路であるDCリンクキャパシタに充電される。DCリンク電圧が上昇すれば、SMPS150が動作して制御部140とアナログ回路部130に動作電源を供給する。
【0030】
電源供給回路部110に供給される直流は、インバータ部120でスイッチングされて3相交流電源(U、V、W)に出力される。
【0031】
一方、PCB101上には、電源供給回路部110とインバータ部120とSMPS150に接地電源を供給する第1接地回路パターン161が形成されている。
【0032】
PCB101上にはアナログ回路部130とSMPS150に接地電源を供給する第2接地回路パターン162が形成されている。
【0033】
PCB101上には制御部140に接地電源を供給する第3接地回路パターン163が形成されている。
【0034】
PCB101上には第1接地回路パターン161と第2接地回路パターン162との間に第1ビーズ170が設置されてもよい。第1ビーズ170は、第1接地回路パターン161と第2接地回路パターン162との間のインピーダンス分離のために形成されてもよい。第1ビーズ170は、第1接地回路パターン161と第2接地回路パターン162との間のインピーダンス分離を介してノイズ流入を低減したり遮断することができる。
【0035】
PCB101上には第2接地回路パターン162と第3接地回路パターン163との間に第2ビーズ180が設置されてもよい。第2ビーズ180は、第2接地回路パターン162と第3接地回路パターン163との間のインピーダンス分離のために形成されてもよい。第2ビーズ180は、第2接地回路パターン162と第3接地回路パターン163との間のインピーダンス分離を介してノイズ流入を低減したり遮断することができる。
【0036】
このように第1ビーズ170及び第2ビーズ180を介して高周波領域で制御部140とアナログ回路部130及び電源供給回路部110の接地インピーダンスが分離されうる。
【0037】
第1ビーズ170及び第2ビーズ180は、高周波ノイズを低減または遮断するように構成されてもよい。第1ビーズ170及び第2ビーズ180は、SMPS150から発生するスイッチングノイズを低減または遮断するように構成されてもよい。
【0038】
第1ビーズ170及び第2ビーズ180は、特定高周波領域でインピーダンスが増加する素子を含むことができる。例えば、第1ビーズ170及び第2ビーズ180は、フェライトビーズ(Ferrite Bead )を含んでもよい。
【0039】
第1ビーズ180及び第2ビーズ180は、例えば150kHzと200kHzとの間のCE測定波形で付近のPK性ノイズを低減させる効果をもたらすことができる。スイッチング周波数が170kHzであるSMPS150が用いられるとすると、SMPS150のスイッチングノイズは効果的に低減されるか遮断できる。
【0040】
図2は、本発明の一実施形態に係る非絶縁型インバータアセンブリーにおいて電源供給回路部とアナログ回路部のインピーダンス分離のための回路パターンを示した図面である。
【0041】
図2を参照すると、(a)に電源供給回路部110の第1接地回路パターン161が図示されている。(b)にはアナログ回路部130の第2接地回路パターン162が図示されている。
【0042】
第1接地回路パターン161と第2接地回路パターン162は、第1ビーズパターン設置領域170aに設置される第1ビーズ170を介してインピーダンス分離がなされる。
【0043】
第1ビーズ170は、高周波領域でインピーダンスが増加する素子からなるため、第1接地回路パターン161と第2接地回路パターン162との間にインピーダンス分離を効果的に行うことができる。これにより、第1接地回路パターン161から第2接地回路パターン162に流入することができる高周波ノイズが効果的に低減されるか遮断できる。
【0044】
図3は、本発明の一実施形態に係る非絶縁型インバータアセンブリーにおいてアナログ回路部と制御部のインピーダンス分離のための回路パターンを示した図面である。
【0045】
図3を参照すると、(a)にアナログ回路部130の第2接地回路パターン162が図示されている。(b)には制御部140の第3接地回路パターン163が図示されている。
【0046】
第2接地回路パターン162と第3接地回路パターン163は、第2ビーズパターン設置領域180aに設置される第2ビーズ180を介してインピーダンス分離がなされる。
【0047】
第2ビーズ180は、高周波領域でインピーダンスが増加する素子からなるため、第2接地回路パターン162と第3接地回路パターン163との間にインピーダンス分離を効果的に行うことができる。これにより、第2接地回路パターン161から第3接地回路パターン163に流入することができる高周波ノイズが効果的に低減されるか遮断される。
【0048】
今まで本発明に係る具体的な実施形態に関して説明したが、本発明の範囲を超えない限度内では多様な変形が可能である。従って、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されて定まってはならず、後述する特許請求の範囲だけでなくこの特許請求の範囲と均等物などによって定まらなければならない。
【符号の説明】
【0049】
100 非絶縁型インバータアセンブリー
101 PCB(printed circuit board)
110 電源供給回路部
120 インバータ部
130 アナログ回路部
140 制御部
150 SMPS
170、180 ビーズ
図1
図2
図3