(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記設定手段は、前記所定のサービスの利用設定が行われた際に、既にアクセス許可が前記アクセス許可保持手段によって保持されている場合、新たな利用設定に係るアクセス許可で上書きする、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
前記ソフトウェアを実行する前記ユーザー端末から該情報処理装置に対して通知された認証情報を含む認証要求を、前記サーバーに対して送信する、認証要求送信手段を更に備え、
前記アクセス許可保持手段は、前記認証要求の結果前記サーバーから得られたアクセス許可を保持する、
請求項1から3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示に係る情報処理装置、システム、方法およびプログラムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、以下に説明する実施の形態は、実施形態を例示するものであって、本開示に係る情報処理装置、システム、方法およびプログラムを以下に説明する具体的構成に限定するものではない。実施にあたっては、実施の態様に応じた具体的構成が適宜採用され、また、種々の改良や変形が行われてよい。
【0015】
本実施形態では、本開示に係る情報処理装置、システム、方法およびプログラムを、スキャナーと連動するシステムにおいて実施した場合の実施の形態について説明する。但し、本開示に係る情報処理装置、システム、方法およびプログラムは、ネットワークを介してサービスを提供するための技術について広く用いることが可能であり、本開示の適用対
象は、本実施形態において示された例に限定されない。
【0016】
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。本実施形態に係るシステムは、インターネットや広域ネットワーク等のネットワークを介して接続されたスキャナー3および画像データ処理サーバー1を備える。
【0017】
画像データ処理サーバー1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random
Access Memory)13、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置14、および通信ユニット15、等を備えるコンピューターである。なお、説明の簡略化のため、図では画像データ処理サーバー1を単一筐体のコンピューターとして示しているが、本実施形態において、画像データ処理サーバー1は、その機能の一部または全部が、クラウド技術等を用いて、遠隔地に設置された装置や、分散設置された複数の装置によって実行されることで、ユーザーに対して画像データ処理サービスを提供する。但し、画像データ処理サーバー1の構成は、本実施形態における例示に限定されない。
【0018】
図2は、本実施形態に係るスキャナー3のハードウェア構成を示す図である。スキャナー3は、ユーザーがセットした、文書、名刺、レシートまたは写真/イラスト等の原稿を撮像することで、画像データを取得する装置であり、原稿を撮像部37に送るシートフィーダー36、撮像部37、スキャンボタン38、CPU31、ROM32、RAM33、記憶装置34および通信ユニット35等を備える撮像装置である。なお、本実施形態では、スキャナー3の撮像方式として、シートフィーダー36にセットされた原稿を自動送りしながら撮像する撮像方式を採用したスキャナー3を例示したが、スキャナーの撮像方式は限定されない。例えば、スキャナーは、ユーザーによって読取位置にセットされた原稿を撮像するタイプのものであってもよい。また、本実施形態では、本システムにおいて用いる撮像装置として、スキャナー3を用いる例について説明したが、本システムにおいて用いられる撮像装置は、スキャナーに限定されない。例えば、撮像装置としてカメラが採用されてもよい。
【0019】
本実施形態に係るスキャナー3は、無線通信機能を備えることで無線LANに接続する機能を有したスキャナーである。また、本実施形態に係るスキャナー3は、スキャナー3に撮像を指示するためにユーザーが押下またはタッチするスキャンボタン38を有しているが、タッチパネルディスプレイやキーボード等の、文字入出力や項目選択を可能とするためのユーザーインターフェースを有しておらず、Webブラウザ機能やサーバー機能を有していない。但し、本実施形態に係る方法を採用可能なスキャナーの通信手段およびハードウェア構成等は、本実施形態における例示に限定されない。
【0020】
また、本実施形態に係るシステムには、所謂スマートフォンやタブレット、パーソナルコンピューター等の、ユーザー端末9が接続される(
図1を参照)。ユーザー端末9は、CPU91、ROM92、RAM93、記憶装置94、入出力装置95および通信ユニット96等を備えるコンピューターである。ユーザー端末9は、
図1に示されているように、スキャナー3が接続されているローカルネットワークに接続されることで、スキャナー3や画像データ処理サーバー1と通信してもよいし、携帯電話網に接続されることで、スキャナー3や画像データ処理サーバー1と通信してもよい。
【0021】
更に、本実施形態に係るシステムには、パーソナルコンピューター等の、ユーザー端末8が接続される。ユーザー端末8は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、入出力装置お
よびUSB等の通信インターフェースを備えるコンピューターである(ハードウェア構成についての図示は省略する)。ユーザー端末8は、
図1に示されているように、スキャナー3に、USB等のインターフェースを介して接続される。本実施形態において、ユーザー端末8は画像データ処理サーバー1とは通信を行わない。
【0022】
図3は、本実施形態に係るシステムの機能構成の概略を示す図である。画像データ処理サーバー1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、画像データ処理サーバー1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、ユーザー認証部21、画像受信部24、および結果通知部29を備える装置として機能する。なお、本実施形態では、画像データ処理サーバー1の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11によって実行されるが、これらの機能の一部または全部は、1または複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0023】
ユーザー認証部21は、ユーザー端末9またはスキャナー3から送信された認証要求を受けて、ユーザー端末9またはスキャナー3のユーザーを認証する。認証要求は、認証のために必要な認証情報を含む。本実施形態では、認証情報としてユーザーIDおよびパスワードが用いられるが、認証情報には、その他の情報が用いられてもよい。なお、本実施形態に係るスキャナー3は、先述の通り、文字入出力や項目選択を可能とするためのユーザーインターフェースを有していないため、ユーザー端末9からスキャナー3に対して通知された認証情報を用いて、画像データ処理サーバー1に対して認証要求を送信する。
【0024】
本実施形態では、ユーザーを認証するために、アクセストークンが用いられる。ユーザー認証部21は、ユーザー端末9またはスキャナー3から認証要求を受信すると、認証要求に含まれる認証情報を検証し、適切な認証情報であった場合に、認証要求の送信元(ユーザー端末9またはスキャナー3)に対して、アクセストークンを送信する。アクセストークンを受信したユーザー端末9またはスキャナー3は、以降、このアクセストークンを用いて、画像データ処理サーバー1と通信を行う。
【0025】
画像受信部24は、ユーザー認証されたスキャナー3によって取得され、送信された画像データを、ネットワークを介して受信する。
【0026】
結果通知部29は、結果通知を行うことで、受信した画像データ処理の結果(完了/失敗等)をユーザーに通知する。
【0027】
ユーザー端末9には、本実施形態に係るシステムを利用するためのソフトウェアであるサービス利用設定ツール97(サーバーがクラウドサーバーである場合、「クラウド設定ツール」と称してもよい。)が予めインストールされている。サービス利用設定ツール97は、アクセスポイントの設定とサービスの設定とを一連の手順の中で設定可能なツールであり、スキャナー3に対して、ネットワーク経由で、アクセスポイントの設定および画像データ処理サーバーの利用設定等を行うことが出来る。また、サービス利用設定ツール97は、画像データ処理サーバー1に対して、ネットワーク経由でアカウント作成、ログイン、ログアウトおよび設定等を行うことが出来る。このため、本実施形態に係るシステムに依れば、ユーザーは、ユーザー端末9を操作することによってシステム全体に係る準備を完了させ、スキャナー3に原稿をセットしてスキャンボタン38を操作するのみで、原稿から得られたデータを画像データ処理サーバーに送信することが出来る。
【0028】
ユーザー端末9は、記憶装置94に記録されているサービス利用設定ツール97が、RAM93に読み出され、CPU91によって実行されることで、アクセス許可取得部98および設定ツール提供部99を備える装置として機能する。なお、本実施形態では、ユーザー端末9の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU91によって実行されるが、
これらの機能の一部または全部は、1または複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0029】
アクセス許可取得部98は、画像データ処理サーバー1にログインし、画像データ処理サービスを利用するためのアクセストークン(アクセス許可)を取得する。
【0030】
設定ツール提供部99は、アクセストークンを取得した状態で、スキャナー3と通信を行って、接続設定と当該アクセストークンを用いて画像データ処理サービスを利用するための利用設定とを一連の手順の中で設定可能なサービス利用設定ツール97をユーザーに提供する。即ち、サービス利用設定ツール97は、画像データ処理サービスを利用するためのアクセストークンを取得したユーザー端末9(画像データ処理サーバーにログイン済のユーザー端末9)において実行されるソフトウェアである。
【0031】
ユーザー端末8には、本実施形態に係るシステムを利用するためのアクセスポイント設定ツール81(ソフトウェア)が予めインストールされている。ユーザー端末8は、記憶装置に記録されているアクセスポイント設定ツール81が、RAMに読み出され、CPUによって実行されることで、スキャナー3に対して、USB等のインターフェース経由で無線アクセスポイントの設定を行うことが出来る。
【0032】
但し、アクセスポイント設定ツール81では、サービス利用設定ツール97と異なり、画像データ処理サーバー1に対するアカウント作成、ログイン、ログアウトおよび設定等の、画像データ処理サーバーを利用するための設定(サービス利用設定)を行うことは出来ない。ユーザーは、スキャナー3からユーザー端末8やユーザー端末9等に直接(画像データ処理サーバー1を経由せずに)画像データを取り込むための設定を、アクセスポイント設定ツール81を用いて行うことが出来る。ユーザーは、ユーザー端末8を操作することによってローカル環境における準備を完了させ、スキャナー3に原稿をセットしてスキャンボタン38を操作するのみで、原稿から得られたデータをユーザー端末8やユーザー端末9等の、ローカルに接続された端末に送信することが出来る。
【0033】
スキャナー3は、記憶装置34に記録されているプログラムが、RAM33に読み出され、CPU31によって実行されて、スキャナー3に備えられた各ハードウェアが制御されることで、認証要求送信部41、ユーザー操作受付部42、画像データ取得部43、サービス利用部44、アクセス許可保持部45、設定部46、接続設定保持部47、判定部48およびサービス有効化部49を備える装置として機能する。なお、本実施形態では、スキャナー3の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU31によって実行されるが、これらの機能の一部または全部は、1または複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0034】
認証要求送信部41は、サービス利用設定ツール97を実行するユーザー端末9(スマートフォン等)から当該撮像装置に対して通知された認証情報(ユーザーIDおよびパスワード)を含む認証要求(トークン要求)を、画像データ処理サーバー1に対して送信する。
【0035】
ユーザー操作受付部42は、所定のユーザー操作を受け付ける。本実施形態では、所定のユーザー操作として、スキャナー3に備えられたスキャンボタン38の押下またはタッチが、スキャン開始から画像データ処理サーバーへのデータ送信までの一連の処理を一括して指示するためのユーザー操作として受け付けられる。但し、スキャン開始の契機となる所定のユーザー操作は、本開示における例示に限定されない。
【0036】
画像データ取得部43は、ユーザー操作受付部42によって所定のユーザー操作が受け
付けられると、対象を撮像することによって画像データを取得する。具体的には、本実施形態に係るスキャナー3の画像データ取得部43は、ユーザー操作受付部42によってスキャンボタン38の操作が受け付けられると、シートフィーダー36を制御して原稿を撮像部37に送り、撮像部37を制御して原稿を撮像することで、原稿の画像データを取得する。
【0037】
サービス利用部44は、サービス利用設定ツール97を用いて設定された接続設定であると判定された接続設定に係るアクセスポイントを中継する通信において、アクセストークンを用いて画像データ処理サービスを利用する。例えば、サービス利用部44は、画像データ取得部43によって取得された画像データを、アクセストークンを用いて、画像データ処理サービスにおけるユーザーのアカウントへ送信する。
【0038】
アクセス許可保持部45は、画像データ処理サーバー1によって提供される画像データ処理サービスを利用するためのアクセストークンを保持する。
【0039】
設定部46は、サービス利用設定ツール97を実行するユーザー端末9と通信を行って接続設定と画像データ処理サービスの利用設定とを行う。なお、設定部46は、画像データ処理サービスの利用設定が行われた際に、既にアクセストークンがアクセス許可保持部45によって保持されている場合、新たな利用設定に係るアクセストークンで上書きする。
【0040】
接続設定保持部47は、ネットワークへの通信を中継するアクセスポイントへの接続設定を、アクセスポイント毎に保持する。
【0041】
判定部48は、接続設定が、当該接続設定と画像データ処理サービスの利用設定とを一連の手順の中で設定可能なサービス利用設定ツール97を用いて設定された接続設定であるか否かを判定する。具体的には、判定部48は、接続設定におけるサービス利用設定(活性化ビット)を参照することで、接続設定がサービス利用設定ツール97を用いて設定された接続設定であるか否かを判定する。
【0042】
サービス有効化部49は、接続設定において、画像データ処理サービスの利用可否を示すサービス利用設定を行う。具体的には、サービス利用設定は、アクセスポイントの接続設定に含まれる活性化ビットであり、サービス有効化部49は、接続設定がサービス利用設定ツール97を用いて設定された接続設定である場合に、当該接続設定における活性化ビットを、「有効」を示す値に設定する。一方、サービス有効化部49は、接続設定がサービス利用設定ツール97を用いて設定された接続設定でない場合、当該接続設定における活性化ビットを、「有効」を示す値に設定しない(具体的には、「無効」を示す値に設定するか、接続設定に活性化ビットを含めない)。
【0043】
図4は、本実施形態に係る、アクセスポイントの接続設定を示す図である。アクセスポイントの接続設定には、アクセスポイント設定ツール81またはサービス利用設定ツール97を用いて設定されたアクセスポイント毎に、アクセスポイントのID(ESSID)、認証方式、暗号方式およびセキュリティ鍵等の、当該アクセスポイントとの通信に必要な情報に加えて、サービス利用設定(活性化ビット)が保持される。活性化ビットには、サービス利用設定ツール97を用いて設定された接続設定には「有効」を示す値が、アクセスポイント設定ツール81を用いて設定された接続設定には「無効」を示す値が設定される。
【0044】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係るシステムによって実行される処理の流れを説明する。なお、以
下に説明する処理の具体的な内容および処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容および処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0045】
図5は、本実施形態に係る画像データ取得処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、スキャナー3の電源が投入されたことを契機として実行される。
【0046】
ステップS001では、スキャナー3が周辺機器用のインターフェースを介してユーザー端末8に接続されているか否かが判定される。スキャナー3は、USB等の通信インターフェースにおける機器の接続状況を検知することで、スキャナー3が、周辺機器用のインターフェースを介してユーザー端末8に接続されているか否かを判定する。スキャナー3がUSB等の周辺機器用インターフェースを介してユーザー端末8に接続されている場合、処理はステップS006へ進む。一方、スキャナー3がUSB等の周辺機器用インターフェースを介してユーザー端末8に接続されていない場合、処理はステップS002へ進む。
【0047】
ステップS002では、スキャナー3が無線LANクライアントモードで起動する。ここで、無線LANクライアントモードとは、スキャナー3が無線LANのクライアント(アクセスポイントに接続する装置)として動作するモードである。スキャナー3が無線LANクライアントモードで起動すると、処理はステップS003へ進む。
【0048】
ステップS003では、スキャナー3が無線アクセスポイントに接続可能であるか否かが判定される。スキャナー3は、接続設定保持部47によって保持されている1または複数の接続設定を参照し、無線通信圏内に、対応する接続設定を有している無線アクセスポイントがあるか否かを判定する。無線通信圏内に、接続可能な無線アクセスポイントが存在しない場合、処理はステップS006へ進む。一方、無線通信圏内に、接続可能な無線アクセスポイントが存在する場合、処理はステップS004へ進む。
【0049】
ステップS004では、無線アクセスポイントへの接続が行われる。スキャナー3は、ステップS003で通信圏内に検知された、対応する接続設定を有している無線アクセスポイントに、当該接続設定を用いて接続する。その後、処理はステップS005へ進む。
【0050】
ステップS005では、サービス利用設定が有効化されているか否かが判定される。判定部48は、ステップS004におけるアクセスポイントへの接続に用いられた、当該アクセスポイントに係る接続設定内の活性化ビットを参照し、活性化ビットが「有効」を示す値に設定されているか否かを判定する。サービス利用設定が有効化されている場合、処理はステップS007へ進む。一方、サービス利用設定が有効化されていない場合、処理はステップS006へ進む。
【0051】
ステップS006では、スキャナー3の動作モードが、ローカルモードに遷移する。スキャナー3は、スキャナー3の動作モードを、ローカルモードに遷移させる。以降、スキャナー3におけるスキャン等の処理は、ローカルモードで処理される。即ち、スキャンされたデータは、スキャナー3にUSBまたは無線LAN経由で接続されたユーザー端末8または9に転送される。その後、処理はステップS010へ進む。
【0052】
ステップS007からステップS009では、保存されているアクセストークンが参照され、スキャナー3の動作モードが、サービス利用モードに遷移し、サーバー1へのアクセス処理が行われる。スキャナー3は、アクセス許可保持部45によって保持されているアクセストークンを参照し(ステップS007)、スキャナー3の動作モードを、サービ
ス利用モードに遷移させる(ステップS008)。以降、スキャナー3におけるスキャン等の処理は、サービス利用モードで処理される。即ち、スキャンされたデータは、スキャナー3に無線アクセスポイント経由で接続された、サーバー1に転送される。そして、サービス利用部44は、参照されたアクセストークンを用いて、サーバー1へのアクセスを行う(ステップS009)。その後、処理はステップS010へ進む。
【0053】
ステップS010では、スキャナー3の動作モードが確認される。動作モードがローカルモードである場合、処理はステップS011へ進む。一方、動作モードがサービス利用モードである場合、処理はステップS013へ進む。
【0054】
ステップS011およびステップS012では、ローカルモードにおけるスキャン処理が実行される。ユーザーによるスキャン操作が検出されると、スキャナー3は原稿をスキャンして画像データを取得し(ステップS011)、取得された画像データを、USBまたは無線LAN経由で接続された、ローカルのユーザー端末8、9に転送する(ステップS012)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0055】
ステップS013およびステップS014では、サービス利用モードにおけるスキャン処理が実行される。スキャナー3のユーザー操作受付部42によってスキャンボタン38の操作が受け付けられると、画像データ取得部43は、原稿をシートフィーダー36によって撮像部37に送り、撮像部37に原稿を撮像させることで、原稿の画像データを取得する(ステップS013)。そして、スキャナー3のサービス利用部44は、取得された画像データを、アクセスポイント経由で、画像データ処理サーバー1に送信する(ステップS014)。この際、送信には、予め取得されたアクセストークンが用いられる。
【0056】
また、本実施形態において、サービス利用部44による画像データの送信は、スキャンボタン38の操作以外のユーザー操作を介させることなく、画像データの取得に続けて実行される。画像データ処理サーバー1の画像受信部24は、スキャナー3から送信された画像データを受信する。また、画像受信部24は、画像データとともに受信されたアクセストークンを検査することで、受信された画像データが、ユーザー認証されたスキャナー3から送信されたものであるか否かを確認する。受信された画像データが、ユーザー認証されたスキャナー3から送信されたものでない場合、本シーケンス図に示された処理は終了する(図示は省略する)。一方、受信された画像データが、ユーザー認証されたスキャナー3から送信されたものである場合、サーバー1による画像データ処理が完了すると、サーバー1の結果通知部29からユーザー端末9に対して完了通知およびサムネイル画像データが送信され、ユーザー端末9において、完了通知およびサムネイル画像が表示される(図示は省略する)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0057】
図6および
図7は、本実施形態に係るサービス利用設定処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、スマートフォン等のユーザー端末9において、サービス利用設定ツール97が起動されたことを契機として開始される。
【0058】
ステップS101では、ユーザーアカウントが作成済であるか否かが判定される。クラウド設定ツールを実行するユーザー端末9は、画像データ処理サーバーが提供するサービスのアカウントを有しているか否かをユーザーに対して問い合わせることで、ユーザーアカウントが作成済であるか否かを判定する。アカウント未作成である場合、処理はステップS107へ進む。一方、アカウント作成済である場合、処理はステップS102へ進む。
【0059】
ステップS102では、ユーザー端末9による、画像データ処理サーバー1へのログイン処理が行われる。起動したサービス利用設定ツール97は、ユーザーに対して、ログイ
ンに必要な情報(例えば、ユーザーIDおよびパスワード等)の入力を促し、ユーザーによって入力された情報を、画像データ処理サーバー1に送信する。画像データ処理サーバー1は、ユーザー端末9から送信された認証要求を受けて、ユーザー端末9のユーザーを認証する。具体的には、画像データ処理サーバー1は、ユーザー端末9から認証要求を受信すると、認証要求に含まれる認証情報を検証し、作成済のアカウント情報と一致する場合に、認証要求の送信元のユーザー端末9に対して、アクセストークンを送信する。アクセストークンを受信したユーザー端末9は、以降、受信されたアクセストークンを用いて、画像データ処理サーバー1と通信を行う。また、サービス利用設定ツール97は、作成されたユーザーアカウントにログインするための認証情報(本実施形態では、ユーザーIDおよびパスワード)を、ユーザー端末9に保存する。その後、処理はステップS103へ進む。
【0060】
ステップS103では、ユーザーのアカウントにスキャナーを追加するか否かが判定される。クラウド設定ツールを実行するユーザー端末9は、ユーザーのアカウントに新たなスキャナーを追加するか否かをユーザーに対して問い合わせることで、スキャナーを追加するか否かを判定する。スキャナーを追加しない場合、本フローチャートに示された処理は終了する。一方、スキャナーを追加する場合、処理はステップS107へ進む。
【0061】
ステップS104およびステップS105では、スキャナー3が通信可能な範囲内にあるアクセスポイントが検出される。スキャナー3は、無線LANクライアントモードで起動し(ステップS104)、無線通信可能な範囲にある他のアクセスポイントを検出し、検出されたアクセスポイントのリストを保持する(ステップS105)。その後、処理はステップS106へ進む。
【0062】
ステップS106からステップS108では、ユーザー端末9とスキャナー3が直接接続される。本実施形態において、ユーザーは、スキャナー3にサービス利用設定を行いたい場合、事前に所定の手順でスキャナーを無線LANアクセスポイントモードで起動させる。ここで、無線LANアクセスポイントモードとは、スキャナー3が無線LANのアクセスポイントとして動作するモードである。所定の手順としては、例えば、スキャナー3に備えられたスイッチを操作する、またはスキャナー3に接続されたユーザー端末8または9から所定の指示をする、等の方法が採用されてよい。スキャナー3は、無線LANにおいてアクセスポイントとして動作する無線LANアクセスポイントモードで起動する(ステップS106)。ユーザー端末9は、アクセスポイントとして動作するスキャナー3に、無線LANクライアントとして、他のアクセスポイントを介することなく直接接続する(ステップS107、ステップS108)。その後、処理はステップS109へ進む。
【0063】
ステップS109およびステップS110では、スキャナー3が通信可能な範囲内にあるアクセスポイントのリストが取得される。スキャナー3は、ステップS105で検出して保持された、無線通信可能な範囲にある他のアクセスポイントのリストを、無線接続されたユーザー端末9に対して送信する(ステップS109)。ユーザー端末9は、アクセスポイントのリストを受信すると(ステップS110)、アクセスポイントのリストを表示する等してユーザーに通知する。その後、処理はステップS111へ進む。
【0064】
ここで、ユーザーは、ユーザー端末9から通知されたアクセスポイントのリスト(ESSIDのリスト)から、スキャナー3におけるサービス利用において使用したいアクセスポイントを選択し、表示されたインターフェースを介して選択結果をユーザー端末9に指示する。更に、ユーザーは、ユーザー端末9に表示されたインターフェースを介して、当該アクセスポイントとの通信に必要な情報(セキュリティ鍵等)の入力を行う。
【0065】
ステップS111およびステップS112では、アクセスポイントの接続設定が行われ
る。ユーザー端末9は、選択されたアクセスポイントを識別可能な情報と、入力された当該アクセスポイントとの通信に必要な情報とをスキャナー3に通知する(ステップS111)。通知を受けたスキャナー3の設定部46は、受信した情報に従って、選択されたアクセスポイントの接続設定を行う(ステップS112)。なお、作成された接続設定は、接続設定保持部47によって保持される。その後、処理はステップS111へ進む。
【0066】
ステップS113およびステップS114では、スキャナーおよびユーザー端末9が、設定されたアクセスポイントに接続される。アクセスポイントの接続設定が行われたスキャナー3は、無線LANクライアントモードで再起動し、当該接続設定に従って、ステップS112で設定されたアクセスポイントに接続する(ステップS113)。また、ユーザー端末9は、ステップS111でユーザーによって選択されたアクセスポイントに、ユーザーによって入力された情報を用いて接続する(ステップS114)。これによって、スキャナー3とユーザー端末9とが同じアクセスポイントに接続することとなり、同一のローカルネットワーク上で、スキャナー3とユーザー端末9とが互いに通信可能となる。その後、処理はステップS115へ進む。
【0067】
ステップS115では、ユーザー端末9がサーバーにログイン済であるか否かが判定される。ステップS101においてアカウントが作成済であると判定されている場合、ステップS102でログイン処理が行われているため、ユーザー端末9はサーバーにログイン済であり、処理はステップS117へ進む。一方、ステップS101においてアカウントが作成済でないと判定されている場合、ログイン処理が行われておらず、またアカウントを作成する必要があるため、処理はステップS116へ進む。
【0068】
ステップS116では、ユーザーアカウントが作成される。サービス利用設定ツール97は、ユーザーに対して、アカウント作成に必要な情報(例えば、ユーザーIDおよびパスワード等)の入力を促し、ユーザーによって入力された情報を、画像データ処理サーバー1に送信する。画像データ処理サーバー1は、ユーザー端末9から受信した情報が適切なものであるか否かを判定し、適切であると判定された場合、当該ユーザーのアカウントを生成する。また、サービス利用設定ツール97は、作成されたユーザーアカウントにログインするための認証情報(本実施形態では、ユーザーIDおよびパスワード)を、ユーザー端末9に保存する。そして、画像データ処理サーバー1にアカウントを作成した後、サービス利用設定ツール97は、無線ネットワークを介してユーザー端末9をスキャナー3に接続させる。
【0069】
ステップS117およびステップS118では、サーバー1にログインするための認証情報が送受信される。サービス利用設定ツール97は、ステップS102またはステップS116で入力され、ユーザー端末9に保存されている、画像データ処理サーバー1にログインするための認証情報を、スキャナー3に対して通知する(ステップS117)。スキャナー3は、ユーザー端末9から送信された認証情報を受信する(ステップS118)。サービス利用設定ツール97による処理はここで終了し、その後、処理はステップS119へ進む。
【0070】
ステップS119およびステップS120では、スキャナー3による、画像データ処理サーバー1へのログイン処理が行われ、アクセストークンが取得される。認証情報の通知を受けたスキャナー3の認証要求送信部41は、当該認証情報およびスキャナー3のID(装置識別情報)を含む認証要求を画像データ処理サーバー1に送信する(ステップS119)。スキャナー3から送信された認証要求が画像データ処理サーバー1に受信されると、画像データ処理サーバー1のユーザー認証部21は、スキャナー3のユーザーを認証する。ユーザー認証部21は、スキャナー3から受信された認証要求に含まれる認証情報を検証し、ステップS101で作成されたアカウント情報と一致する場合に、認証要求の
送信元のスキャナー3に対して、アクセストークンを送信する。アクセストークンを受信したスキャナー3は、当該アクセストークンを保存し(ステップS120)、以降、受信されたアクセストークンを用いて、画像データ処理サーバー1と通信を行う。
【0071】
ステップS121からステップS123では、設定された接続設定に係るアクセスポイントを介したサービス利用が有効化され、スキャナー3がサービス利用モードに移行される。サービス有効化部49は、サービス利用設定ツール97を用いて設定された接続設定における活性化ビットを、「有効」を示す値に設定する(ステップS121)。そして、スキャナー3は、スキャナー3の動作モードを、サービス利用モードに遷移させる(ステップS122)。以降、スキャナー3におけるスキャン等の処理は、サービス利用モードで処理され、スキャンされたデータは、スキャナー3に無線アクセスポイント経由で接続された、サーバー1に転送される。そして、サービス利用部44は、参照されたアクセストークンを用いて、サーバー1へのアクセスを行う(ステップS123)。その後の処理は、
図5を用いて説明したステップS010以降の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
上記説明したサービス利用設定処理によれば、サービス利用設定ツール97を用いて設定された無線アクセスポイントについてのみ、当該アクセスポイントを介して画像データ処理サーバー1によって提供されるサービスを受けることが許可される(活性化ビット:有効)。一方、サービス利用設定ツール97を用いて設定されていないアクセスポイント(例えば、アクセスポイント設定ツール81を用いて設定された無線アクセスポイント)については、当該アクセスポイントを介してサービスを受けることは許可されない(活性化ビット:無効)。
【0073】
図8は、本実施形態に係るスキャナー3が実際に運用された場合のサービスの利用状態を説明する図である。
【0074】
はじめに、ユーザーAがスキャナー3を導入し、サービス利用設定ツール97を用いてアクセスポイントαおよび画像データ処理サーバーにおけるユーザーAのアカウントを設定すると、アクセスポイントαの接続設定において、サービス利用設定が有効化される(活性化ビット:有効)。また、スキャナー3は、画像データ処理サーバーのアカウント設定に従って、画像データ処理サーバーからユーザーAのアクセストークン(図中のトークンA)を取得し、スキャナー3に保持する。このため、スキャナー3は、ユーザーAのアクセストークン(トークンA)を用いて画像データ処理サーバーに対して通信を行い、ユーザーAは、スキャンによって得られた画像をサーバー(クラウド)に保存する等、画像データ処理サーバーが提供するサービスを受けることができる。
【0075】
その後、ユーザーAが、サービス利用設定の消去を行わずにスキャナー3をユーザーBに譲渡する等した場合、スキャナー3には、ユーザーAとして画像データ処理サーバーからサービスを受けることができるアクセストークン(トークンA)が保持されたままとなる。しかし、ユーザーBは、新たなローカルネットワーク環境でスキャナー3を利用するために、新たなアクセスポイントβの設定を行うが、アクセスポイント設定ツール81を用いた設定では、アクセスポイントβの接続設定において、サービス利用設定が有効化されない。このため、スキャナー3は、アクセスポイントβを介した通信においては、ユーザーAのアクセストークン(トークンA)を用いて画像データ処理サーバーに対して通信することが出来ず、ユーザーBは、画像データ処理サーバーが提供するサービスを受けることが出来ない。即ち、本実施形態に係るシステムによれば、ユーザーAは、サービス利用設定の消去を行わずにスキャナー3を他人に譲渡する等した場合であっても、自らのアカウントを利用されてしまうことを防ぐことが出来る。なお、ユーザーBは、この状態でも、スキャナー3をローカルモードで動作させ、スキャナー3に、スキャンした画像をU
SBまたは無線LAN経由で接続されたユーザー端末8に転送させることが出来る。
【0076】
その後、ユーザーBが、サービス利用設定ツール97を用いてアクセスポイントβおよび画像データ処理サーバーにおけるユーザーBのアカウントを設定すると、アクセスポイントβの接続設定において、サービス利用設定が有効化される(活性化ビット:有効)。スキャナー3は、画像データ処理サーバーのアカウント設定に従って、画像データ処理サーバーからユーザーBのアクセストークン(トークンB)を取得し、スキャナー3に保持されていたユーザーAのアクセストークン(トークンA)を、ユーザーBのアクセストークン(トークンB)で上書きする。このため、スキャナー3は、ユーザーBのアクセストークン(トークンB)を用いて画像データ処理サーバーに対して通信を行い、ユーザーBは、画像データ処理サーバーが提供するサービスを受けることができる。
【0077】
<効果>
上述の通り、本実施形態に示したシステムでは、アクセスポイントの設定とサービスの設定とを一連の手順の中で設定可能なサービス利用設定ツール97を用いて接続設定が行われたアクセスポイントについてのみ、当該アクセスポイントを介したサービスの利用が出来るようにすることで、スキャナー3が譲渡等された場合に、以前のユーザーのアカウントが使用されてしまうことを防止することが出来る。
【0078】
なお、本実施形態では、情報処理装置としてスキャナー3を用いる例について説明しているが、情報処理装置は、ネットワークを介してサービスを提供するサーバーと通信を行うその他の種類の装置であってもよい。例えば、本発明に係る情報処理装置は、カメラ等の他の種類の撮像装置であってもよいし、パーソナルコンピューター等の装置であってもよい。また、本実施形態では、サーバーに送信されるデータが画像データである例について説明したが、サーバーに送信されるデータは、その他の種類のデータであってもよい。
【解決手段】スキャナー3は、接続設定保持部47、アクセス許可保持部45、判定部48及びサービス利用部44を備える。接続設定保持部47は、ネットワークへの通信を中継するアクセスポイントへの接続設定をアクセスポイント毎に保持する。アクセス許可保持部45は、画像データ処理サーバー1によって提供されるサービスを利用するためのアクセストークンを保持する。判定部48は、接続設定とサービスの利用設定とを一連の手順の中で設定可能なツールを用いて設定された接続設定であるか否かを判定する。サービス利用部44は、サービス利用設定ツール97を用いて設定された接続設定であると判定された接続設定に係るアクセスポイントを中継する通信において、アクセストークンを用いてサービスを利用する。