特許第6042968号(P6042968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042968
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】パーキンソン病の処置方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5377 20060101AFI20161206BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20161206BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   A61K31/5377
   A61K31/454
   A61P25/16
【請求項の数】5
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2015-506258(P2015-506258)
(86)(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公表番号】特表2015-514739(P2015-514739A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】EP2013058212
(87)【国際公開番号】WO2013156614
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2016年2月2日
(31)【優先権主張番号】61/636,054
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507073918
【氏名又は名称】ユセベ ファルマ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル、アンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ダウニー、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】モンテル、フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】シェラー、ディエター
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ、ベルナール
【審査官】 安藤 公祐
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/038980(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00
A61K 31/198
A61K 31/451
A61K 31/454
A61K 31/497
A61K 31/501
A61K 31/506
A61K 31/519
A61K 31/52
A61K 31/522
A61K 31/5377
A61P 25/16
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の薬剤及び第2の薬剤を含む、哺乳動物におけるパーキンソン病(PD)を治療するための医薬組成物であって、第1の薬剤がアデノシン受容体2(A2A)のアンタゴニストであるトザデナント(Tozadenant)であり、第2の薬剤が、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体サブタイプNR2Bのアンタゴニストであるラジプロジル(Radiprodil)である、上記医薬組成物
【請求項2】
2Aアンタゴニスト対NR2Bアンタゴニストの比が、30:1〜1:30の間で変動する、請求項に記載の組成物
【請求項3】
両方の薬剤が、L−ドーパと一緒に投与される、請求項1又は2に記載の組成物
【請求項4】
日1回、投与される、請求項1からまでのいずれか一項に記載の組成物
【請求項5】
(a)治療有効量のトザデナント(Tozadenant)を含む医薬製剤を収容している第1の収容容器と、
(b)治療有効量のラジプロジル(Radiprodil)を含む医薬製剤を収容している第2の収容容器と
を含むキットオブパーツの形態である、請求項1〜4までのいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキンソン病を処置するための又はパーキンソン病の症状を抑えるための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーキンソン病(PD)は、中枢神経系の変性障害である。パーキンソン病の運動症状は、中脳領域である黒質におけるドーパミン産生細胞の死に起因する。この細胞死の原因は未知である。PDの臨床症状が明確になる時までに、線条体ドーパミン作動性ニューロンの約70〜80%が失われる。この疾患の初期経過において、最も明白な症状が運動に関連するものである。その後、認知及び行動上の問題が発生する恐れがあり、該疾患の進行期において、認知症が一般に起こる。しかし、ドーパミン作動性処置は、該疾患の初期段階における運動症状を効果的に処置することが可能であるが、その有効性は疾患の後期段階において徐々に消失し、且つその長期使用は運動合併症をもたらすので、満足する処置ではない。
【0003】
パーキンソン病(PD)の基本的な運動症状である運動緩徐、運動不能、及び安静時振戦は、神経回路における平衡失調を引き起こす線条体DA含有量の減少に起因している。
【0004】
DA前駆体であるL−ジヒドロキシフェニルアラニン(L−ドーパ;L−dopa)又はドーパミン(D)2/3受容体アゴニストを使用するDA(ドーパミン)代替療法が、現在の処置戦略の要である。しかし、こうした処置は、原発性疾患の臨床症状のみを管理するものであり、該疾患の根底にある原因、すなわちドーパミン作動性細胞の進行性喪失を処置するためには何もしない。代わりに、上記の処置は、異常不随意運動(AIM)又はジスキネジアの誘発により、状態を複雑にする恐れがある。さらに、L−ドーパによる長期処置は、その効果の予測不能な変動を伴う。したがって、新規な戦略には、運動症状の処置、ジスキネジアの改善又は防止、やはりまたドーパミン作動性ニューロンの喪失の遅延、防止、又は反転を行うことが必要である。したがって、これらの事象の1つを阻止する又は理想的にはいくつかを阻止する治療剤は、PDに関する疾患修飾性特性をおそらく有する新規なクラスの薬物をもたらす可能性があり得る。これらの新規な薬物は、L−ドーパと同程度に有効であることが期待されるが、運動変動を誘発すべきではなく、又はドーパミン作動性処置と交差感作するべきではない。
【0005】
PDの初期段階では、L−ドーパはドーパミンに代謝され、このドーパミンは、線条体(貯蔵庫及び緩衝剤として作用する)における生存シナプス前ドーパミン作動性終末に貯蔵される。その放出は、フィードバックループ(feed−back loop)が無傷の場合には制御される。しかし、終末が喪失すればする程、ドーパミンのための貯蔵及び緩衝容量が失われて、L−ドーパの効果期間が短縮する。したがって、経口摂取及びその後の、大脳基底核の拍動性暴露は、ピークドーズジスキネジア(peak−dose dyskinesia)及び/又は運動変動を惹起する。一旦、運動症状が起こるレベルにまで黒質変性が発達すると、L−ドーパの単回注入は、「プライミング(priming)」と呼ばれる応答を確立するのに十分である(Morelliら、1987年;Delfinoら、2004年)。一旦、L−ドーパが投与されてジスキネジアが惹起されると、数週間投与されていない場合でさえ、その後の各薬物曝露により、その応答が誘発されることになろう。弱いNMDA(N−メチル−D−アスパラギン酸)受容体アンタゴニストであるアマンタジンは、ジスキネジアの強度を低下させることが可能であり、このことは、プライミング及びジスキネジアに、大脳基底核におけるグルタミン酸作動性入力の過剰活性が関与していることを示唆している(Blanchetら、1998年)。臨床及び前臨床試験により、ジスキネジアの動物及び患者における線条体中のグルタミン作動性機能(グルタミン酸受容体の発現、リン酸化、及びシナプス構成の変化を含む)が変質している証拠が提示されている(Chaseら、2000年)。さらに、NR2Bサブユニットを含有しているNMDA受容体は、線条体において豊富に存在しており、且つAMPA(α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸)受容体アンタゴニストもやはりジスキネジアを抑制することができるという証拠が存在している(Bibbianiら、2005年)。これらのデータは、ジスキネジアが異常なグルタミン酸作動性皮質線条体入力と関係することを示しているように思われる。
【0006】
確立したジスキネジアを反転するために又は最初の段階でジスキネジアが起こるのを防止するために、1つの手法は、治療法の早い時期にドーパミン作動性処置を置きかえることであろう。大脳基底核内部におけるドーパミンの特異な分布、及びドーパミンとドーパミン関連性細胞内シグナル伝達カスケードとの相互作用により、A2Aアンタゴニスト及びNR2Bサブユニット選択的NMDAアンタゴニストが開発されてきた。しかし、PD患者における処置としての、A2Aアンタゴニスト(イストラデフィリン、Mizunoら、2010年)又はNR2Bアンタゴニスト(トラキソプロジル、Nuttら、2008年)による臨床試験は、期待した有効性を示さなかった。
【0007】
既に記載したとおり、プライミングとは、ドーパミン療法の実施により、その後のドーパミン作動性処置に対する応答を改変するよう、それにより脳が感作するようになる過程として、古典的に定義されている。プライミングは、除神経脳における急性ドーパミン処置により誘発される。
【0008】
6−ヒドロキシドーパミン(6−OHDA)片側損傷ラットモデルは、プライミングの定量的モデルとなり得る。ドーパミン作動薬(L−ドーパ又はドーパミンアゴニスト)により慢性的に処置された、こうした6−OHDA損傷ラットは、徐々に増加する、「行動感作」と呼ばれる対側性回転(すなわち、損傷側から離れた)を発症する。このモデルにおいて、DA受容体アゴニストのいわゆる「プライミング」用量の投与により、動物はDAアゴニストによるその後の接種作用に感作される。
【0009】
「交差感作」の現象は、対象が既に感作されている物質とは異なる物質に感作されるようになる場合に観察されることがある。
【0010】
交差感作は、片側パーキンソン病マウスにおいて、カフェインとl−ドーパの誘発性行動の間で既に観察されている(Yuら、2006年)。
【0011】
アデノシン受容体は、プリン受容体として知られている、プリンヌクレオチド及びヌクレオシドGタンパク質共役型受容体からなる群のサブクラスを表す。薬理学的に異なる主なアデノシン受容体サブタイプは、A、A2A、A2B、及びAとして知られている。脳中の主なアデノシン受容体サブタイプは、A及びA2Aである。Aアデノシン受容体サブタイプは、脳全体に高密度で見いだされているが、A2A受容体の分布はより限定的である。A2A受容体は、線条体淡蒼球系出力ニューロン上のドーパミンD2受容体が共局在している、線条体(尾状核−被殻、側坐核、嗅結節)において高密度で見いだされている。線条体内部のA2A受容体の離散的な局在化、及びD2受容体の作用を機能的に拮抗するA2A受容体の能力は、A2A受容体アンタゴニストがパーキンソン病(PD)の対症処置に潜在的に有用であるという示唆につながった。
【0012】
N−メチル−D−アルパラギン酸(NMDA)受容体は、サブユニットの異種複合体である。2つの主要なサブユニットファミリーは、NR1及びNR2と呼ばれる。NR2サブユニットファミリーは、4種のサブユニットタイプに分類される。それらは、NR2A、NR2B、NR2C、NR2Dであり、これらは、異なる生理的及び薬理学的特性(イオンゲーティング、マグネシウム感度、薬理学的プロファイル、及び解剖学的分布など)を示す。
【0013】
NMDA受容体阻害は、主として疼痛及び神経変性疾患の処置において治療的有用性を有しているが、重症な副作用を引き起こす可能性があり得るかなりのマイナス材料が、利用可能な多くのNMDA受容体アンタゴニストに存在する。中枢神経系におけるNR2Bサブユニットのより離散的な分布は、この部位において選択的に作用する作用剤の副作用プロファイルの低減を裏付けることができる。しかし、選択的NR2Bアンタゴニストでさえ、NMDA受容体のNR2Bサブユニットに対する親和性は低いことを示し得る。また、NR2B選択的であると言われている一部のNR2Bアンタゴニストは、完全に特異的ではないこともある。
【0014】
Hauber及びMunkle(1996年)は、NMDA受容体アンタゴニストであるCGP37849(競争的)及びジゾシルピン(dizocilpine)(MK−801、非競争的)の抗カタレプシー作用が、非選択的アデノシン受容体アンタゴニスト/ホスホジエステラーゼ阻害剤であるテオフィリンの共投与により増強され得ると主張した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、パーキンソン病を処置するための、或いはパーキンソン病の症状若しくはそれに伴う症状を抑えるための又はパーキンソン病の処置の副作用を抑えるための組成物及び方法に関する。
【0016】
本発明の第1の態様は、哺乳動物におけるパーキンソン病(PD)を処置する方法であって、第1の薬剤及び第2の薬剤を投与することを含み、第1の薬剤がアデノシン受容体2(A2A)のアンタゴニストであり、第2の薬剤が、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体サブタイプNR2Bのアンタゴニストである、上記方法に関する。
【0017】
本発明の第2の態様は、パーキンソン病を処置する方法であって、A2Aアンタゴニスト及びNR2Bアンタゴニストが、L−ドーパと本質的に一緒に投与される、上記方法に関する。A2Aアンタゴニスト及びNR2Bアンタゴニストは、該疾患の早期段階及びL−ドーパの使用前か、又は一旦、L−ドーパの投与を開始した場合にはL−ドーパと一緒のいずれかで投与される。
【0018】
本発明の第3の態様は、アデノシンA2A受容体アンタゴニスト及びNR2Bアンタゴニストの組合せの治療有効量を、薬学的に許容される担体又は添加剤中に含む医薬組成物に関する。
【0019】
本発明の第4の態様は、
(a)治療有効量のA2A受容体アンタゴニストを含む医薬製剤を収容している第1の収容容器(containment)と、
(b)治療有効量のNR2Bアンタゴニストを含む医薬製剤を収容している第2の収容容器と
を含む、キットオブパーツに関する。
【0020】
本発明のさらなる態様は、詳細な本明細書から明白になろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】グラフ右:三元配置混合ANOVA。ラジプロジル(Radiprodil)(3mg/kg)の有意な効果、F(1,28)=51.45、p<0.001。トザデナント(Tozadenant)(30mg/kg)の有意な効果、F(1,28)=176.0、p<0.001。時間の有意な効果、F(23,644)=42.28、p<0.001。有意な≪ラジプロジル×トザデナント≫相互作用、F(1,28)=14.81、p<0.01。 Tukey事後検定(p<0.05):TOZ30/RAD3組合せにより処置されたラットは、VEH/VEH、TOZ30/VEH、及びVEH/RAD3の群の由来のものよりも高い距離スコアを有している。 グラフ左:三元配置混合ANOVA。ラジプロジル(3mg/kg)の有意な効果、F(1,28)=9.40、p<0.01。トザデナント(30mg/kg)の有意な効果、F(1,28)=64.60、p<0.001。時間の有意な効果、F(23,644)=16.67、p<0.001。有意な≪ラジプロジル×トザデナント≫相互作用、F(1,28)=4.60、p<0.05。 Tukey事後検定(p<0.05):TOZ30/RAD3組合せにより処置されたラットは、VEH/VEH、TOZ30/VEH、及びVEH/RAD3の群の由来のものよりも高い立ち上がりスコアを有している。
図2】処置効果は、有意な効果F(2,21)=43.68、p<0.001を示している。時間の有意な効果(F(17,357)=20.05、p<0.001)も観察され、また有意な相互作用(F(34,357)=11.74、p<0.001)も同様である。追加的な事後比較検定により、これはあくまで、ビヒクル処置ラット(Tukey、p<0.05)と比べて有意に活性であるL−ドーパ/ベンセラジド(benserazide)による効果であることが示される。
図3】試験の最初の20分間、及び最後の20分間の、L−ドーパ/ベンセラジド処置ラットで観察されるものに等しい、運動量(距離)を生じるcomboの能力を示す図である。
図4】同側性ターンと対側性ターン(運動)の両方を誘発するcomboの能力を示している一方、L−ドーパ/ベンセラジド処置ラットのみが、対側方向に向かわせる能力があることを示す図である。
図5】L−ドーパ/ベンセラジドにより処置したラットと比べて、combo処置ラットでは、軌道と体位の両方が改善されていることを実証する図である。
図6】10回の取得セッションの間に、L−ドーパ/ベンセラジドにより処置されたラットは、対側性ターンのレベルが大きく向上すること(これは、L−ドーパ/ベンセラジド下で予期される)を示す一方、combo下では、これらのラットが、より低いレベルの対側性ターンしか示さないことを示す図である。
図7】10回の取得セッションの間に、L−ドーパ/ベンセラジドにより処置されたラットは、同側性ターンは示さない一方、combo下では、これらのラットが、ある程度のレベルの同側性ターンしか示さないことを示す図である。
図8】L−ドーパ下のラットは重症なAIMで過ごした時間が大きく増加する一方、一旦、combo下にあると、それらのラットにより過ごされた時間の大部分は、「AIMがない」姿勢にあることを示す図である。
図9】L−ドーパ/ベンセラジド処置は、ラットを非常に刺激する。それらのラットにおいて測定された高いレベルの移動距離により反映される観察。しかし、combo下のラットは、L−ドーパ/ベンセラジド下で測定されたものと等しいレベルの移動距離を示している。
図10】comboにより刺激されたラットは、L−ドーパ/ベンセラジドにより処置された場合と比べて、「適切な体位」でより多くの時間を過ごしていることを示す図である。
図11】L−ドーパ/ベンセラジドにより処置された場合に比べて、combo処置ラットの運動の回転運動半径は増加しているので、これらのラットはまた、L−ドーパ/ベンセラジド下での処置と比べて、かなり優れた空間占有及び軌道も示していることを示す図である。
図12】二元配置ANOVAは、有意な処置効果(F3,28)=5.62、p<0.01、有意な時間効果(11,308)=22.21、p<0.001、及び有意な処置×時間相互作用(F33,308)=4.71、p<0.001を示している。、p<0.05:SCH1/CO1は、群VEH/VEH、SCH1/VEH及びVEH/CO1とは有意に異なっている(LSD事後検定)。
図13】有意な処置効果(F3,28)=70.60、p<0.01、有意な時間効果(17,746)=200.89、p<0.001、及び有意な処置×時間相互作用(F17,476)=2.83、p<0.001、#、p<0.05:群RAD3/TOZ30は、群VEH/VEH、VEH/TOZ30、及びRAD3/VEHとは有意に異なっている(LSD事後検定)。
図14】トザデナント+ラジプロジルと活性用量のL−ドーパ/ベンセラジドの組合せ投与に関する実験計画を示す図である。
図15】二元配置混合ANOVAは、有意な処置効果(F3,28)=15.06;p<0.001、取得セッションの有意な効果F(9,252)=29.23、p<0.001を示すが、処置×時間相互作用(p=0.18)は示さない。さらなる事後検定により、combo群は、veh、toz、及びrad処置群と比べて、活動レベルが顕著に高いことが示された(Tukey、p<0.05)。
図16】veh、ラジプロジル、トザデナント、又はcombo、並びにL−ドーパ/ベンセラジドにより処置したが、より広いオープンフィールドにて試験した場合の、ラットの行動プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の主な態様は、哺乳動物におけるパーキンソン病(PD)を処置する方法であって、第1の薬剤及び第2の薬剤を投与することを含み、第1の薬剤がアデノシン受容体2(A2A)のアンタゴニストであり、第2の薬剤が、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体サブタイプNR2Bのアンタゴニストである、上記方法に存する。
【0023】
2Aアンタゴニストは、オルソステリック相互作用若しくはアロステリック相互作用のどちらかにより、A2A受容体の機能を遮断若しくは抑える化学化合物、又はペプチド、或いはタンパク質である。これは、内因性リガンドであるアデノシン又はA2A受容体アゴニストが、受容体を刺激する、及び作用を誘発するのを防止することになる作用剤である。重要なことに、本発明は、A2Aアンタゴニスト、すなわち選択的なアデノシン受容体アンタゴニストの使用に基づいている。
【0024】
NR2Bアンタゴニストは、NR2B受容体の機能を遮断若しくは抑える化学化合物、又はペプチド、或いはタンパク質であり、これまで特定したすべてのNR2B選択的アンタゴニストは、受容体上でアロステリック部位に結合することにより作用する。共アゴニストであるグルタミン酸及びグリシン(又は、NMDA)によるNR2B受容体の活性化により、アンタゴニストによって防止され得るカルシウム流入がもたらされる。
【0025】
非常に様々なA2Aアンタゴニストが知られており、また、例えば、以下の国際特許出願において特許請求されており、これらの開示は、参照として本明細書に組み込まれている:WO 2012/03898、WO 2011/06152、WO 2011/06020、WO 2011/053507、WO 2010/040003、WO 2010/037122、WO 2009/055308、WO 2009/050198、WO 2008/055711、WO 2007/047293、WO 2007/038212、WO 2006/137527、WO 2006/129626、WO 2006/124770、WO 2006/083949、WO 2012/03898、WO 2011/06152、WO 2011/06020、WO 2011/05350、WO 2010/04000、WO 2010/03712、WO 2009/055308、WO 2009/050198、WO 2008/055711、WO 2007/047293、WO 2007/038212、WO 2006/137527、WO 2006/129626、WO 2006/124770、WO 2006/083949。
【0026】
公知のA2Aアンタゴニストとしては以下が挙げられるが、一部は臨床開発中である。
・イストラデフィリン(Istradefylline)(KW−6002)
・MSX−3
・プレラデナント(Preladenant)(SCH−420,814)
・PFB−509
・SCH−58261
・SCH−412,348
・SCH−442,416
・SCH−800900
・ST−1535
・ST−4206
・カフェイン
・VER−6623
・VER−6947
・VER−7835
・V−81444
・ビパデナント(Vipadenant)(BIIB−014)
・ZM−241,385
【0027】
好ましいA2Aアンタゴニストは、イストラデフィリン(Istradefylline)(KW−6002)、ASP5854、ビパデナント(Vipadenant)(BIIB014)、ST−1535、プレラデナント(Preladenant)(SCH420814)、SYN−115、ZM−241,385、V−81444を含む群から選択される。
【0028】
イストラデフィリン(KW−6002)の化学構造は、以下のとおりである。
【化1】
【0029】
ASP5854(5−[5−アミノ−3−(4−フルオロフェニル)ピラジン−2−イル]−1−イソプロピルピリジン−2(1H)−オン)の化学構造は、以下のとおりである。
【化2】
【0030】
ビパデナント(BIIB014)の化学構造は、以下のとおりである。
【化3】
【0031】
ST−1535の化学構造は、以下のとおりである、
【化4】
【0032】
プレラデナント(SCH420814)の化学構造は、以下のとおりである。
【化5】
【0033】
ZM−241,385の化学構造は、以下のとおりである。
【化6】
【0034】
本発明の一実施形態では、本発明において有用なA2Aアンタゴニストは、式(I)のものであり、
【化7】

これは、4−ヒドロキシ−4−メチル−ピペリジン−1−カルボン酸(4−メトキシ−7−モルホリン−4−イル−ベンゾチアゾール−2−イル)−アミド、並びに薬学的に許容されるその酸付加塩及び共結晶である。
【0035】
非常に様々なNR2Bアンタゴニストが知られており、また、例えば、以下の国際特許出願において特許請求されており、これらの開示は、参照として本明細書に組み込まれている:WO 2010/1221、WO 2009/118187、WO 2009/058261、WO 2009/025265、WO 2008/155778、WO 2007/099828、WO 2007/063839、WO 2007/063286、WO 2007/006157、WO 2006/137465、WO 2006/113471、WO 2006/017409、WO 2006/010967、WO 2006/010964、WO 2005/102390、WO 2005/080317、WO 2005/035522、WO 2005/030720、WO 2005/035523、WO 2005/019222、WO 2005/019221、WO 2004/108705、WO 2004/089366、WO 2004/048364、WO 2004/054579、WO 03/091241、WO 03/084931、WO 03/010159、WO 02/100352、WO 02/080928、WO 02/068409、WO 02/34718、WO 02/12892、WO 02/09736、WO 02/00629、WO 01/98262、WO 01/30330、WO 01/32634、WO 01/32171、WO 01/32177、WO 01/32615、WO 01/32179、WO 01/32174、WO 00/67803。
【0036】
公知のNR2Bアンタゴニストとしては以下が挙げられるが、それらの一部は臨床開発中である。
・MK−0657
・トラキソプロジル(CP−101,606)
・EVT−101
・EVT−102
・EVT−103
・ラジプロジル(RGH896)
・RG−1
・ED−1529
・NeurOp
・NeurOp−2
・NeurOp−3
・NeurOp−4
・TXT−0300
・HON−0001
・イフェンプロジル(Ifenprodil)
・サファプロジル(Safaprodil)
・N−{(1S,3S)−3−[3−(4−メチルベンジル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]シクロペンチル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(以下及び表1において、「化合物1」とも呼ばれている)
【0037】
本明細書において言及されているNR2Bアンタゴニスト又はA2Aアンタゴニストは、市販されているか、又は本明細書において言及されている参照特許を含めた、当業者に公知の方法論に従って調製することができる。
【0038】
好ましいNR2Bアンタゴニストは、トラキソプロジル(CP−101,606)、ラジプロジル(RGH896)、EVT−101、EVT−102、EVT−103、イフェンプロジル、MK−0657、サファプロジル、又は化合物1と命名されているN−{(1S,3S)−3−[3−(4−メチルベンジル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]シクロペンチル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミンを含む群から選択される。
【0039】
トラキソプロジル(CP−101,606)の化学構造は、以下のとおりである。
【化8】
【0040】
ラジプロジル(RGH896)の化学構造は、以下のとおりである。
【化9】
【0041】
EVT−101の化学構造は、以下のとおりである。
【化10】
【0042】
イフェンプロジルの化学構造は、以下のとおりである。
【化11】
【0043】
MK−0657の化学構造は、以下のとおりである。
【化12】
【0044】
サファプロジルの化学構造は、以下のとおりである。
【化13】
【0045】
N−{(1S,3S)−3−[3−(4−メチルベンジル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]シクロペンチル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(化合物1)の化学構造は、以下のとおりである。
【化14】
【0046】
本発明の一実施形態では、A2Aアンタゴニストは、他のアデノシン受容体サブタイプA、A2B及びAの各々よりも、少なくとも10倍、好ましくは30倍、及び理想的には100倍以上、選択性が高い。
【0047】
本発明の一実施形態では、NR2Bアンタゴニストは、他のNMDA受容体サブタイプNR2A、NR2C、及びNR2Dの各々よりも、少なくとも10倍、好ましくは30倍、及び理想的には100倍以上、選択性が高い。
【0048】
本発明の一実施形態では、A2Aアンタゴニスト対NR2Bアンタゴニストの用量比は、30:1〜1:30の間で変動し、別の実施形態では、その比は10:1〜1:10で変動し、別の実施形態では、3:1〜1:3で変動し、さらに別の実施形態では、その比は約1:1である。
【0049】
本発明の一実施形態では、本組成物は、NR2BアンタゴニストとしてラジプロジルとA2Aアンタゴニストとしてトザデナントとの組合せを含む。それらの2つの化合物の間の比は、30:1〜1:30で変動してもよく、別の場合、その比は10:1〜1:10で変動し、別の場合、3:1〜1:3で変動する。
【0050】
本発明による方法では、両方の薬剤、すなわちA2AアンタゴニストとNR2Bアンタゴニストが、本質的に同時に投与される。一実施形態では、それらは、PDの処置のために、単独又はさらなる医薬品と組み合わせて、正確に同時投与される。
【0051】
さらなる実施形態では、A2Aアンタゴニスト及びNR2Bアンタゴニストは、一旦L−ドーパの投与を開始したら任意の時点で一緒に投与される。
【0052】
さらなる実施形態では、A2Aアンタゴニスト及びNR2Bアンタゴニストは、疾患の処置中の任意の時点でドーパミンアゴニストと一緒に投与される。
【0053】
さらなる実施形態では、A2Aアンタゴニスト及びNR2Bアンタゴニストは、L−ドーパと一緒に投与される。L−ドーパは、現在のところパーキンソン病を処置するための至適基準である。標準調製品(Sinemet、アタメット)は、レボドーパ(levodopa)とカルビドーパ(carbidopa)とを組み合わせたものであり、カルビドーパはレボドーパの作用を改善し、且つその副作用(特に、吐き気)をいくらか軽減する。その調製品は、1日あたり3分割又は4分割用量で、通常、摂取されるが、投与量は変動する。
【0054】
L−ドーパ/カルビドーパの典型的な投与量は、この疾患の初期段階中では、レボドーパ/カルビドーパが、100/25mgで3回/日である。後期段階では、1日あたりカルビドーパ30mgを含んで最大1000mgのレボドーパを投与することができるが、現在の奨励は、レボドーパ400〜600mgよりも多い用量は提案していない。
【0055】
PDの処置のためのさらなる医薬品としては、アマンタジン(Symmetrel(登録商標))、ベンズトロピン(Cogentin(登録商標))、ブロモクリプチン(Parlodel(登録商標))、エンタカポン(Comtan(登録商標))、ペルゴリド(Permax(登録商標))、プラミペキソール(Mirapex(登録商標))、ロピニロール(Requip(登録商標))、セレジリン(Eldepryl(登録商標))、Sinemet(登録商標)(カルビドーパ/レボドーパ)、トルカポン(Tasmar(登録商標))、ロチゴチン(Neupro(登録商標))が挙げられる。
【0056】
本発明の一実施形態では、A2Aアンタゴニスト及びNR2Bアンタゴニストが1日1回、単独で又はL−ドーパと一緒に投与される。
【0057】
本発明のさらなる態様は、薬学的に許容される担体中に又は薬学的に許容される添加剤と混合されている、アデノシンA2A受容体アンタゴニスト及びNR2Bアンタゴニストの組合せの治療有効量を含む医薬組成物に関する。
【0058】
本発明の一実施形態では、前記医薬組成物中のA2Aアンタゴニスト対NR2Bアンタゴニストの用量比は、30:1〜1:30の間で変動し、別の実施形態では、その比は10:1〜1:10で変動し、別の実施形態では、3:1〜1:3で変動し、さらに別の実施形態では、その比は約1:1である。
【0059】
本発明の一実施形態では、本組成物は、NR2BアンタゴニストとしてラジプロジルとA2Aアンタゴニストとしてトザデナントとの組合せを含む。それらの2つの化合物の間の比は、30:1〜1:30で変動してもよく、別の場合、その比は10:1〜1:10で変動し、別の場合、3:1〜1:3で変動する。
【0060】
本医薬組成物は、1つの錠剤中に、アデノシンA2A受容体アンタゴニストとNR2Bアンタゴニストの両方を組み合わせた所定の組合せとすることができるか、又は本医薬組成物はキットオブパーツとすることができるかのいずれか一方である。
【0061】
本発明の一実施形態では、本医薬組成物は、
(a)治療有効量のA2A受容体アンタゴニストを含む医薬製剤を収容している第1の収容容器と、
(b)治療有効量のNR2Bアンタゴニストを含む医薬製剤を収容している第2の収容容器と
を含むキットオブパーツから形成される。
【0062】
本発明による組成物は、パーキンソン病の処置のための医薬組成物を製造するために使用することができる。こうした組成物は、通常、活性医薬成分、及び薬学的に許容される添加剤を含有している。
【0063】
適切な賦形剤及び担体は、所望の投与経路、例えば、経口、直腸、非経口又は鼻腔内に応じて、広範囲の形態をとることができる。
【0064】
経口投与に適した医薬組成物は、固体又は液体とすることができ、また例えば、錠剤、丸剤、糖衣剤、ゼラチンカプセル剤、溶液剤、シロップ剤、チューインガム剤などの形態とすることができる。
【0065】
本発明による化合物を含む医薬組成物は、例えば、経口的、非経口的(すなわち、静脈内、筋肉内若しくは皮下、髄膜下)、吸入により又は鼻腔内に投与することができる。
【0066】
この目的のため、活性成分は、不活性賦形剤、又はデンプン若しくはラクトースなどの非毒性の薬学的に許容される担体と混合してもよい。場合により、これらの医薬組成物はまた、結晶性セルロース、トラガントガム若しくはゼラチンなどの結合剤、アルギン酸などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤、スクロース若しくはサッカリンなどの甘味剤、又は着色剤、或いはペパーミント又はサリチル酸メチルなどの香味剤も含有することができる。
【0067】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」とは、その親化合物が、その酸性塩又は塩基塩の作製により修飾されている誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例としては、以下に限定されないが、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩などが挙げられる。薬学的に許容される塩としては、例えば、非毒性無機酸又は有機酸から形成されるその親化合物の慣用的な非毒性塩又は四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、こうした慣用的な非毒性塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸由来のもの;及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタン二スルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などの有機酸から調製される塩などが挙げられる。
【0068】
本発明はまた、制御様式で活性物質を放出することができる組成物も意図している。非経口投与に使用することができる医薬組成物は、アンプル、使い捨てシリンジ、ガラス製若しくはプラスチック製バイアル、又は注入用容器に一般に含有されている、水性又は油性溶液剤或いは懸濁剤などの慣用的な形態にある。
【0069】
活性成分に加えて、これらの溶液剤又は懸濁剤はまた、注射用水、生理食塩水溶液剤、油剤、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、若しくは他の合成溶媒などの滅菌賦形剤、ベンジルアルコールなどの抗菌剤、アスコルビン酸若しくは亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩若しくはリン酸塩などの緩衝剤、及び塩化ナトリウム若しくはデキシトロースなどの容量オスモル濃度を調節するための作用剤も場合により含むことができる。
【0070】
薬学的に許容される共結晶の形態の本発明の化合物を含有している医薬組成物も、本発明に含まれる。
【0071】
投与量は、広範な制限内で変動することができ、当然ながら、各特定の場合において個々の要件に調節しなければならないであろう。経口投与の場合、成人に関する投与量は式Iの化合物、又は薬学的に許容されるその塩の対応する量を1日あたり約0.01mg〜約1000mgで変動し得る。毎日の投与量は、単回用量として、又は分割用量で投与することができ、さらに、その上限は、これが指示されていると分かっている場合、上限値を超過することもできる。
【0072】
好ましくは、ヒト患者の処置のために投与される、A2Aアンタゴニスト及びNR2Bアンタゴニスト、又はそれらの薬学的に許容される塩の各々の量は、1日あたり約2mg〜約200/1000mgに調節される。1日用量の合計は、単回用量又は分割用量として投与されてもよい。こうした1日の処置量、又は合計の1日用量は、約5mg〜約45mg、約6mg〜約35mg、約8mg〜約30mg、約10mg〜約25mg、約12mg〜約20mg、約14mg〜約18mg、約15mg〜約18mg、又は上で列挙した量のすべての中の任意の範囲とすることができる。例えば、1日の処置量は、約2mg、5mg、約6mg、約8mg又は約10mgから約12mg、約14mg、約15mg、約16mg、約18mg、約20mg、約25mg、約30mg又は約35mgまでである。特に、1日の処置量は、約2mg又は約4mgから約20mg、約25mg又は約30mgまでである。
【0073】
入手可能なデータは、本発明による組成物及び使用方法に関与する共作用が存在していることを示唆することになろう。
【実施例】
【0074】
パーキンソン病(PD)の古典的な運動症状は、黒質ドーパミン作動性細胞の喪失、及びドーパミン代償療法の導入に至らしめる尾状核−被殻のドーパミン含有量の低下を伴う。6−ヒドロキシドーパミン(6−OHDA)を内側前脳束に片側定位注射すると、黒質線条体路の破壊、及び線条体へのドーパミン作動性入力の喪失を引き起こす。Ungerstedt(Ungerstedt1971年;Ungerstedt及びArbuthnott1970年)により1970年に開発されたこのモデルは、進行性PDの状態を模倣したものであり、対症薬物の試験に使用されている。1つの脳半球内のドーパミン作動性システムの大規模な損傷は両身体側間の感覚運動の平衡失調を生じ、特定の行動障害に至る。ドーパミン(例えば、ドーパミンアゴニスト又はL−ドーパ)により通常、標的とされるシナプス後部の受容体部位を刺激する薬物は、破壊側(向反側回転)の反対の方角にラットを回転させる。この回転応答は、ドーパミン作動性受容体の過感受性の結果であると考えられ、これは線条体(の一部)の除神経の後に起こる(総説に関しては、Schwarting及びHuston1996年を参照されたい)。
【0075】
L−ドーパ−誘発性の対側性回転応答は、長い間、新しい抗パーキンソン病の薬物をスクリーニングするため、及びそれを特定するための有用な予測モデルであり、感覚運動の回復に対する薬物の効果を定量的に評価する。
【0076】
各アンタゴニスト単独に対するA2A/NR2Bアンタゴニストの併用は、以下の驚くほどの利点を実現することを示した。
・薬物未投与のパーキンソン病ラット(処置を何ら受けていないパーキンソン病ラット)における、単独処置(NR2B/A2Acomboの単独投与):運動症状に対する有効性が、完全有効用量のL−ドーパによって達成されるものと同等である/それと本質的に類似しているが、L−ドーパとは異なり、慢性combo処置は、運動合併症を生じなかったことを実証することができた。
・L−ドーパでプライミングされたラット、すなわち以前のL−ドーパ処置によりジスキネジアになったラットにおける単独処置(NR2B/A2Acomboの単独投与)、異常運動の非存在下で運動活動性を完全に回復する能力。
・L−ドーパの非活性用量に対する追加処置:この組合せは、L−ドーパの非活性用量を有効にする;これは、異常運動の非存在下で起こる。L−ドーパの活性用量に対する追加処置:この組合せは、対側性回転に対するL−ドーパの効果を増強し、また慢性的処置におけるL−ドーパ誘発性のAIMの発症を低減する(すなわち、抗L−ドーパプライミング効果)。
【0077】
方法
パーキンソン病の前臨床モデル:6−OHDA片側損傷ラットモデル
対象:手術時に250〜275g、且つ薬物試験時に400〜450gの体重がある雄性Sprague−Dawleyラット(Janvier社、フランス)を使用する。
【0078】
飼育者からの到着時、及び実験の前に、ラットを動物室内のホームケージ(1ケージあたり5匹のラット)中で、1週間、馴化させた。それらのラットを、6:00時に明かりをつけて12:12の明/暗周期に維持し、20〜21℃に維持した温度、及び湿度約40%で収容する。動物はすべて、実験群に割り当てる前に、標準ペレット食物及び水に自由にアクセスさせた。
【0079】
6−ODHA損傷のための手術
到着の1週間後の手術の日に、ラットは右側の内側前脳束に6−OHDAの片側注射を受けた。各ラットは、ノルエピネフリン作動性(NE)ニューロンを保護するための手術の15分前に、イミプラミンHCl(Sigma社)を投与された。ラットをケタミン(Ceva社、75mg/kg)及びキシラジン(Bayer社、10mg/kg)により麻酔をかけ、定位固定器(David Kopf Instrument社)に置いた。注射部位の上の頭蓋骨に小さな穴を空けた後、前頂及び硬膜の表面に対して、以下の座標(mm)にある右上行内側前脳束に、6−OHDAを注射した。AP=−3.5、ML=−1.5、DV=−8.7。各ラットは、6−OHDA(4μg/μl)の注射を5分間(0.5μl/分)で、ラットあたり合計10μgで1回受けた。毒素の逆流を回避するため、ニードルは4分後に引き抜いた。次に、動物を熱源下のクリーンケージ内に入れ、食物及び水を自由に与えて回復させた。各ラットは、実験者及び環境に対する完全回復並びに順化を確実にするため、3週間、規則的にモニターして取り扱った。
【0080】
6−OHDA損傷の評価
首尾よく損傷した動物を選択するため、手術後21日目に、ラットはすべて低用量のアポモルヒネ(Sigma社、0.05mg/kg、sc)による接種を行った。45分間の記録期間中に90を超える向反側回転(360°)を示すラットを本研究に含めた。これらの基準を満たすラットは、ドーパミン作動性ニューロンの片側喪失、及び95%を超える線条体ドーパミンの片側欠失を有することが以前に実証されている(内部データ)。
【0081】
使用したA2A及びNR2Bアンタゴニスト
2Aアンタゴニスト及びNR2Bアンタゴニスト参照化合物は、1kgあたりビヒクル体積5mlに溶解した。L−ドーパメチルエステル(Sigma社)及びベンセラジド(Sigma社)を5ml/kgの体積で、生理食塩水溶液に溶解した。参照化合物のビヒクル溶液は、ジメチルスルホキシド(DMSO)5%、及びメチルセルロース1%を含有している蒸留水95%から作製されている。損傷用の6−OHDA−HBrは、μlあたり6−OHDA4μgの濃度で、0.02%アスコルバート−蒸留水に溶解する。
【0082】
以下のA2Aアンタゴニスト、SCH−58261を使用した:プレラデナント、トザデナント及びKW−6002。使用したNR2Bアンタゴニストは、ラジプロジル、Co−101244、化合物1であった。薬物は一般に、経口投与だけを行ったトザデナントを除いて、一般に腹腔内投与した。したがって、ラジプロジルをトザデナントと組み合わせて投与する場合、ラジプロジルは、そうした場合では、経口投与した。
【0083】
行動記録装置
回転活動(同側性/対側性回転)
回転行動は、自家製のコンピューターシステムを使用して記録した。PCに直接接続した機械センサーにリンクしたハーネスにラットを固定した。最高でも最大240分間、各360°の時計回り又は反時計回りを自動的に記録した。この実験全体を通じて、個々の試験用ケージにラットを割り当てた。水平な透明ガラス製底部に置き、丈夫な固定器により保持されている、8つの透明なアクリル製チャンバ(50×40cm)の各々を、25×22cmの4つの個別の四角型試験用ケージにさらに分類することができた。取り除きが可能なアクリル製プレートを蓋にする。これらのチャンバにより覆われる表面全体を観察するよう、各アリーナの真下に携帯用デジタルカメラ(Samsung社、SCB−3001PH)を直接設置した。この配置により、セッションあたり32匹のラットの中から合計8匹について、1台のカメラにより、1匹又は4匹のラットの同時撮影が可能であった。電照は、固定器の各脚に単独で固定したネオン管により供給した。ビデオシークエンスは、保存用ハードディスクに記録して、その後、解析及び保存用PCに転送した。
【0084】
一般的活動(距離及び立ち上がり)
一般的活動は、PCに接続されており、水平及び垂直方向の運動を測定する広いオープンフィールド内で記録した。12個のチャンバ(LE8811IR、Panlab)中で、ラットを個別に試験し、各々は、底部を含まない、0.5cmの透明アクリルシートから作製されている正方形の囲いからなっている(表面45×45cm×高さ40cm)。各囲いは、床の役割をするステンレス鋼(inox社)の正方形プレート上に置いた。その板に、プラスチック被覆したシートを調節した。各装置は、高さ73.5cmの実験台に置いた。移動を検知して、高さ3cmにある囲いの各側面上に位置している16個の赤外光線センサーにより測定した。光線が表面全体に15×15の正方形マトリックスを形成するよう、センサーは互いに2.5cm、及び側面の各端から4.0cmの間隔を設けた。活動数はパーソナルコンピュータにより記録した。Acti−Trackソフトウェア(Actitrack°、Panlab)を使用して、取得セッション中に生成した生データを統計的に解析可能なパラメータに変換した。パラメータ「移動距離」及び「立ち上がり数」は、関連従属変数として保持された。
【0085】
オープンフィールド内の行動プロファイル解析
6−OHDA片側損傷ラットの特定の行動プロファイルは、ビデオ取得システムに接続した8台のカメラにより記録した。処置下のラットは、狭い環境(ロトメータ、25×22cm)又は広いオープンフィールド(50×40cm)内で自由に置き、その行動を55分間ビデオ記録した(合計で3300秒)。狭い(ロトメータ)又は広い(オープンフィールド)環境における配置は、試験に依存し得る。回転活動に関係する項目において記載されているとおり、ラットは下から撮影した。
【0086】
生存データの記録後、続いて、このビデオを(Noldus、バージョン9.0)製のEthovisionプログラムによって解析する。動物、及びその運動、並びに転置は、3点(鼻部、中心部、及び尾部)に従い定義した。運動、身体の位置、及び空間占有は、プログラム中の特定の基準及び閾値により定義されるフィルター解析に準拠して設定した。様々な行動パラメータを解析し、関連性のあるものだけ(すなわち非相関性のもの)を最終的な行動説明のために保持した。
【0087】
異常不随意運動(「AIM」)の解析は、Ethovision9.0において定義されている特定のパラメータを用いて行った。パラメータ「身体の伸長」とは、ラットのジスキネジア(すなわち、ジストニア)位置の強度と頻度の両方を区別するために使用した。そうするために、3つのレベルを決める。
− 「萎縮」=重症なAIM(閾値<30%)。このパラメータは、ラットが後脚で立ち(苛酷な身体のトランケーション(truncation)を伴う垂直方向の直立位)且つ非常に強いジストニア体位を示す姿勢で過ごした時間(秒)を指す。下からは、体形は円のように見える。
− 「正常」=中程度のAIM(閾値、30%<正常<50%)。このパラメータは、ラットが3本の脚で立ち且つ中程度のジストニア位置(若干の身体のトランケーションを伴う水平体位)を示す姿勢で過ごした時間(秒)を指す。
− 「伸展」=AIMがない(閾値>50%)。このパラメータは、ラットがより頻繁に4本の脚で立ち(水平位)且つ身体のトランケーションなしに若干の安定性を示す姿勢で過ごした時間を指す。
【0088】
解析に使用する最終的なパラメータの識別、及びその閾値に関する決定は、定着している決定的な解析における、最初の直接観察に基づいた。
【0089】
他のタイプの行動の解析は、視覚的に観察された行動をできる限り最良に説明して、その行動を定量化することができるよう、ビデオ解析プログラム(Ethovision9.0)において選択した特定のパラメータにより行った。パラメータ「距離」、「反時計方向の回転」「時計方向の回転」、「伸展」は、解析から抽出した。追加パラメータである「回転運動半径」は、このシステムにより得られた生データから計算する。
− 距離(=「距離」):動物が移動した合計距離(cm)
− 反時計方向(=「同側性ターン」):損傷の方向と同じ方向の、同側性回転の360°ターンの計数。
− 時計方向(=「対側性ターン」):損傷の方向とは逆の方向の、対側性回転の360°ターンの計数。
− 「伸展」:(=「適切な体位」):ラットが、屈曲した胴体の姿勢をとらずに、4本脚で立っている姿勢で過ごした時間。本プログラムでは、これは、適切な体位の強度及び頻度を区別するために使用されるパラメータ「身体の伸長」である。この閾値は70%に固定する。
− 「回転運動半径」(=「適切な軌道」):特定の時間間隔に対する、動物の位置と、この特定の時間間隔内での平均位置との間の平均距離。このパラメータは、アリーナの全空間を使用するラットの能力を反映しており、センチメートルで測定する。
【0090】
統計解析
一般的活動(アクトメータ)及び回転(ロトメータ):一般的活動(距離及び立ち上がり)、及び回転(対側性)に関する統計解析は、パラメトリック統計によって行った。
【0091】
アクトメータでの一般的活動(距離及び立ち上がり)測定のレベルは、群間因子としてA2Aアンタゴニスト(2レベル)及びNR2Bアンタゴニスト(2レベル)、並びに対象内因子としての時間(6又は24レベル)による、三元配置混合ANOVAにより評価した。これらの平均値間の多重対比較は、Tukey事後検定により行った。
【0092】
L−ドーパ誘発性の対側性回転レベルに対するA2A及び/又はNR2Bによる処置効果は、群間因子としての薬物処置(4レベル)、及び対象内因子としての時間(12又は18レベル)による、二元配置混合ANOVAにより評価した。これらの平均値間の多重対比較は、LSD事後検定により行った。
【0093】
2A及び/又はNR2BアンタゴニストとL−ドーパ/ベンセラジドによる処置下での取得セッションのデータは、対象内因子(10セッションレベル)としての慢性セッションによる二元配置反復測定ANOVAにより解析した。平均間差の信頼性は、F統計量を使用する計画された対比により評価した。さらに、事後解析は、変数「処置」上で別々に行った(Tukey、事後検定)。
【0094】
各試験について、P<0.05の場合、統計的に有意であると考えた。
【0095】
特定の行動解析:完全な行動解析に関して保持した5つの行動(すなわち、距離、対側性ターン、同側性ターン、適切な体位、及び適切な軌道)は、パラメトリック統計量を用いて解析したが、データに関する変数の均一性が信頼されない場合(等分散に関するBartlett’検定)、これら後者のデータは、ノンパラメトリック統計(Kruskal−Wallis)によって解析した。両方の場合、一元配置ANOVAを実施し、各独立行動に対する様々な処置効果を区別した。有意な平均間差は、P<0.05を用いる、Tukey事後検定又はDunn多重比較試験により決定した。
【0096】
略語リスト
Ip:腹腔内
Po:経口の、経口投与
mg/kg:1キログラムあたりのミリグラム
sec:秒
cm:センチメートル
Rad3:3mg/kgの用量のラジプロジル
Toz30:30mg/kgの用量のトザデナント
Combo:A2A受容体アンタゴニスト及びNR2B受容体アンタゴニスト、並びに具体的には、特定の場合にはトザデナント30mg/kg+ラジプロジル3mg/kgの任意の組合せ
CO1:1mg/kgの用量のCo−101244
SCH1:1mg/kgの用量のSCH−58261
Veh:ビヒクル
LD25:L−ドーパ25mg/kg
LD/BZ:L−ドーパ+ベンセラジド
AIMs:異常不随意運動
【0097】
実験項
A.片側パーキンソン病ラットにおける、A2AアンタゴニストとNR2Bアンタゴニストとを一緒にした単独処置
(例1)
6種の異なる実施形態間の活動量に対する、A2AアンタゴニストとNR2Bアンタゴニストとの組合せの有効性
パーキンソン病の6−OHDA片側損傷ラットモデルにおいて、表1に従って、A2AアンタゴニストとNR2Bアンタゴニストとの6種の異なる共投与(=COMBO)を試験する。
【0098】
記録した行動パラメータは、「移動距離」及び「立ち上がり数」であった。この後者の立ち上がり数は、アクトメータで自動的に測定する。共投与のすべてが、該化合物単独で行った処置と比べて、活動レベル(距離及び/又は立ち上がり数)の著しい向上を示している。
【0099】
【表1】
【0100】
各組合せ(combo)において、片側パーキンソン病ラットの行動についてのこうした処置の付加値は著しく、予期しないものであった。すべてのcombo(適切な用量選択の場合)は、ビヒクル処置ラット及び化合物単独で処置したラットと比べると、活動レベルの向上により運動機能を回復することができた。さらに、この刺激行動は、現在のドーパミン作動性PD療法(すなわち、DAアゴニスト又はL−ドーパ)で観察される、典型的な非対称的行動偏り、及び異常体位(すなわち、ジストニア体位)には関連するものではなかった。行動に対するこの特異的効果は、アクトメータでの試験中、目視観察された。
【0101】
(例2)
1つの具体例(トザデナント及びラジプロジル)により刺激された運動活動性の質に対する組合せ有効性の実証
NR2Bアンタゴニスト及びA2Aアンタゴニストの共投与は、6種の異なる交差comboにより、活動レベル(移動距離及び立ち上がり数)が予期せず向上することを示した。動物が活動チャンバ(アクトメータ)に置かれている間に目視観察された、この予期しない行動プロファイル(すなわち、優れた体位を伴って運動活動性を向上させる)は、以下の例において詳細に説明され、また様々な行動パラメータの定量的測定により例示される。
【0102】
ラットの行動に対する、ラジプロジル(3mg/kg、po)とトザデナント(30mg/kg、po)との経口共投与の効果を、以下:
1)別々に行うこれらの化合物の試験、
2)部分活性用量のL−ドーパ(25mg/kg、ip)の試験、
3)完全活性用量のL−ドーパ/ベンセラジド(16/4mg/kg、ip)の試験
と比較する。
【0103】
行動プロファイルは、ビデオ記録に基づいた自動行動解析システムにより詳細に解析した(説明に関する方法の項目を参照されたい)。さらに、行動の古典的測定(ロトメータ及びアクトメータ)も、運動量を評価するために使用する。
【0104】
運動量解析:刺激効果の期間
自動装置で試験した場合、comboは長期持続作用を示した一方、活性用量のL−ドーパ/ベンセラジドは約3時間続き、また部分活性用量は約1時間続いた(非常に短時間作用性効果である)。comboによる実験では、ラットは、化合物(すなわちトザデナント及び/又はラジプロジル)の経口投与の60分後に試験アリーナに入れた一方、L−ドーパ25mg/kgを投与したラットはL−ドーパ投与(ip)の10分後に、及びL−ドーパ/ベンセラジドによる処置ラットは腹腔内投与の15分後に、ロトメータに入れた。
【0105】
図2中のデータ(すなわち、ビヒクル、L−ドーパ25及びL−ドーパ/ベンセラジド群の比較)は、様々な実験由来のものであり、後の解析のために一緒に群分けをした。
【0106】
図1
グラフ右:三元配置混合ANOVA。ラジプロジル(3mg/kg)の有意な効果、F(1,28)=51.45、p<0.001。トザデナント(30mg/kg)の有意な効果、F(1,28)=176.0、p<0.001。時間の有意な効果、F(23,644)=42.28、p<0.001。有意な≪ラジプロジル×トザデナント≫相互作用、F(1,28)=14.81、p<0.01。
Tukey事後検定(p<0.05):TOZ30/RAD3組合せにより処置されたラットは、VEH/VEH、TOZ30/VEH、及びVEH/RAD3の群の由来のものよりも高い距離スコアを有している。
グラフ左:三元配置混合ANOVA。ラジプロジル(3mg/kg)の有意な効果、F(1,28)=9.40、p<0.01。トザデナント(30mg/kg)の有意な効果、F(1,28)=64.60、p<0.001。時間の有意な効果、F(23,644)=16.67、p<0.001。有意な≪ラジプロジル×トザデナント≫相互作用、F(1,28)=4.60、p<0.05。
Tukey事後検定(p<0.05):TOZ30/RAD3組合せにより処置されたラットは、VEH/VEH、TOZ30/VEH、及びVEH/RAD3の群の由来のものよりも高い立ち上がりスコアを有している。
【0107】
図2
処置効果は、有意な効果F(2,21)=43.68、p<0.001を示している。時間の有意な効果(F(17,357)=20.05、p<0.001)も観察され、また有意な相互作用(F(34,357)=11.74、p<0.001)も同様である。追加的な事後比較検定により、これはあくまで、ビヒクル処置ラット(Tukey、p<0.05)と比べて有意に活性であるL−ドーパ/ベンセラジドによる効果であることが示される。
【0108】
運動の質の解析:様々なタイプの行動の詳細定量化及び定性
完全な行動解析により、comboが片側パーキンソン病ラットの行動に対して予期せぬ効果を有することが示された。ラジプロジル及びトザデナントの組合せ(すなわち、「Combo」)は活性用量のL−ドーパ/ベンセラジドで観察されるものに匹敵する運動量を回復している(これは、個別に試験した化合物の場合ではない)。さらに、このcomboは、行動の質を強く改善する。方向、軌道、及び体位は顕著に改善され、また非損傷ラットにおいて観察された行動に相当している。
【0109】
通常、L−ドーパ処置ラットは、(1)ステレオタイプの対側性回転(対側方向から同側方向に転じる能力が全くない)、(2)屈曲した体位、及び(3)非常に短時間の転置軌道(回転運動半径)(刺激の間、これらのラットは窮屈な対側性回転しかしないため)を示す。
【0110】
対照的に、combo処置ラットは、(1)対側方向から同側方向に転じる能力、(2)屈曲した体位ではない(胴体に何らゆがみなく4本の脚で上手に立つ非損傷ラットの姿勢について言及する場合、適切な体位)、及び(3)より大きな軌道(それらのラットはまっすぐ動き、L−ドーパ下で通常観察されるもののようなステレオタイプの窮屈な対側性回転を何ら示さないので)を示す。
【0111】
表2:3つの行動カテゴリー、すなわち(1)運動量、(2)方向を転じる能力、(3)軌道及び体位に分けたものを、ラジプロジル及びトザデナント単独、「トザデナント+ラジプロジル」からなるcombo、及び部分活性用量のL−ドーパ(25mg/kg)、並びに相当な活性用量のL−ドーパ/ベンセラジド(16/4mg/kg)の効果を比較する。これらの結果は、ビヒクル処置片側パーキンソン病ラットと比べた、変化率を示している。この目的は、回復指数を測定することである。それらのデータは、試験の異なる2つの時間点について表される。
【0112】
この表は、combo処置ラットの運動量(距離)が、ビヒクル処置ラットで観察されたものよりも非常に優れていること、及びこの効果は、L−ドーパ/ベンセラジド処置ラットにより生じた効果と同等であることを示している。対照的に、「適切な体位」及び「適切な軌道」の割合は、comboでは、化合物単独の試験、ビヒクル処置群、及びL−ドーパ/ベンセラジド処置群と比べて非常に増加している。L−ドーパ/ベンセラジド群はまた、ビヒクル処置ラットと比べて、対側方向への強い偏りも示している。こうした偏りは、combo又は化合物単独では、観察されない。
【0113】
【表2】
【0114】
図3は、試験の最初の20分間、及び最後の20分間の、L−ドーパ/ベンセラジド処置ラットで観察されるものに等しい、運動量(距離)を生じるcomboの能力を示している。
【0115】
図4は、同側性ターンと対側性ターン(運動)の両方を誘発するcomboの能力を示している一方、L−ドーパ/ベンセラジド処置ラットのみが、対側方向に向かわせる能力があることを示している。この観察は、(1)刺激を受けている間は、combo下にあるラットは、1つの方向からもう一方の方向に転じることができる能力があること、及び(2)combo処置ラットが刺激を受けている場合、それらは主要な対側性回転活動がないことをはっきりと実証した。
【0116】
図5は、L−ドーパ/ベンセラジドにより処置したラットと比べて、combo処置ラットでは、軌道と体位の両方が改善されていることを実証している。確かに、2つの期間の記録中に回転運動半径によって測定される軌道は、combo処置ラットの方が、他の群で観察されたものよりも大きい。この観察は、刺激を受けている間、comboにより処置されたラットの方が、対側性回転をしている間、非常に窮屈な運動を行っているL−ドーパ/ベンセラジド処置ラットよりも、試験アリーナ中で大きな軌道を有することを定量的に反映している。combo下のラットの体位は、それらのラットが処置により刺激を受けている場合でさえも、4本の脚で立つことができ、且つ屈曲位を有さないことを示している。
【0117】
これらの予期しない観察及び説明は、組合せ処置により、6−OHDA片側損傷ラットにおけるドーパミン作動性療法に通常伴う異常な運動合併症なく、等価な刺激レベルを実現することが可能であることを実証している。
【0118】
(例3)
慢性処置後に任意の異常運動の発生がない運動症状に対する「トザデナント+ラジプロジル」の組合せ投与の有効性
comboによる10日間の慢性処置は、L−ドーパで観察されるような異常運動合併症の発症ももたらさない。これらのラットは、一部の馴化過程が試験アリーナにまで現れたとしても、活動的なままである。この正常現象があるにもかかわらず、活動レベル及び運動の質に対するcomboの有意な効果が依然として観察される。
【0119】
(例4)
L−ドーパによる以前の慢性処置により、以前に完全なジスキニアとなった片側パーキンソン病ラットに関する、運動症状に対するcomboの有効性
「トザデナント+ラジプロジル」の組合せ投与は、片側パーキンソン病ラットにおいて、向上した運動活動性を回復する能力を有する。しかし、この特定の共投与により、慢性L−ドーパ処置により完全なジスキニアにされており、L−ドーパによりプライミングされた片側パーキンソン病ラットにおいて、異常不随意運動なしに運動活動性が回復するので、この共投与は全く予期しない効果をやはり有している。
【0120】
10回の取得セッションの間にL−ドーパ14mg/kg及びベンセラジド3.5mg/kg下で処置された片側パーキンソン病ラットは、対側性回転と重症な異常不随意運動(AIM)(すなわち、行動感作)の両方のレベル向上を発生させる。上記のラットは、その慢性L−ドーパ/ベンゼラジド(benzerazide)処置に続いて、オープンフィールドで試験した場合、この慢性処置の終わりでは、対側性回転及びAIMのレベルが非常に高いことを示している。
【0121】
これらの高度のジスキニア片側パーキンソン病ラットからL−ドーパを切り離し、数日後(例えば、3日後)にcomboにより処置した場合、発明者らは、いかなる異常不随意運動又はいかなる対側性回転レベルの向上もなしに、適切な運動活動性が完全に回復することを観察している。対側性回転及びAIM結果のレベルに関する交差感作がこのように無いことは、全く予期されないものであった。
【0122】
表3は、7つの行動について、同じラットではあるが、これらのラットを何日か前に活性用量のL−ドーパ/ベンセラジドにより処置した場合に示されるそれぞれの行動と比較した、ビヒクル、ラジプロジル3mg/kg、トザデナント30mg/kg、又はcomboにより処置された場合にラットにより表される変化率を示している。
【0123】
表3は、combo処置ラットについて、
(1)L−ドーパ/ベンセラジドにより処置されたものに匹敵する移動距離レベルである一方、化合物単独により処置されたラットは活動レベルの低下を示したこと、
(2)L−ドーパ/ベンセラジドにより処置されたラットと比べて、L−ドーパ誘発性の対側性回転が減少し、且つ同側性回転が増加すること、
(3)L−ドーパ/ベンセラジドにより処置されたラットと比べて、適切な体位で過ごした時間が増加し、且つ軌道が改善されていること、
(4)L−ドーパ/ベンセラジドにより処置されたラットと比べて、異常不随意運動(AIM)を示して過ごしている時間がないこと
を示している。
【0124】
図6及び図7は、10回の取得セッションの間に、L−ドーパ/ベンセラジドにより処置されたラットは、対側性ターンのレベルが大きく向上すること(これは、L−ドーパ/ベンセラジド下で予期される)を示し、且つ同側性ターンは示さない一方、combo下では、これらのラットが、より低いレベルの対側性ターン及びある程度のレベルの同側性ターンしか示さないことを示している。この後者の観察は、combo下で刺激されたラットが、1つの方向からもう一方の方向に転じることができることを実証している。対側性回転が大きく増加することに平行して、L−ドーパ下のラットは重症なAIMで過ごした時間が大きく増加する一方、一旦、combo下にあると、それらのラットにより過ごされた時間の大部分は、「AIMがない」姿勢にある(図8)。L−ドーパ/ベンセラジド処置は、ラットを非常に刺激する。それらのラットにおいて測定された高いレベルの移動距離により反映される観察。しかし、combo下のラットは、L−ドーパ/ベンセラジド下で測定されたものと等しいレベルの移動距離を示している(図9)。これにより、combo効果が、それ自体が対側性回転を何ら引き起こさない場合でさえも、動物を刺激する能力を依然として有していることが示された。非常に興味深いことに、comboにより刺激されたラットは、L−ドーパ/ベンセラジドにより処置された場合と比べて、「適切な体位」でより多くの時間を過ごしている(図10)。L−ドーパ/ベンセラジドにより処置された場合に比べて、combo処置ラットの運動の回転運動半径は増加しているので、これらのラットはまた、L−ドーパ/ベンセラジド下での処置と比べて、かなり優れた空間占有及び軌道も示している(図11)。
【0125】
【表3】
【0126】
B.片側パーキンソン病ラットにおける、A2AアンタゴニストとNR2Bアンタゴニストとを一緒にした追加処置
(例5)
準活性用量又は部分活性用量のL−ドーパに対して急性追加処置を施した際の行動観察
NR2BアンタゴニストとA2Aアンタゴニストとを組合せ投与すると、個別に試験した化合物に比べて、準活性用量又は部分活性用量のL−ドーパの有効性が増強される。
【0127】
CO−101244+SCH−58261+準活性用量のL−ドーパ
活性以下の用量のL−ドーパ(15mg/kg)に対する追加処置として与えられる、1mg/kgのSCH−58261への1mg/kgのCo−101244の共投与により、ビヒクル処置ラット、及び化合物を単独で処置したラットと比べて(すべての群は、L−ドーパ15mg/kgにより処置されている)、対側性回転レベルが有意に向上している。
【0128】
図12:二元配置ANOVAは、有意な処置効果(F3,28)=5.62、p<0.01、有意な時間効果(11,308)=22.21、p<0.001、及び有意な処置×時間相互作用(F33,308)=4.71、p<0.001を示している。、p<0.05:SCH1/CO1は、群VEH/VEH、SCH1/VEH及びVEH/CO1とは有意に異なっている(LSD事後検定)。
【0129】
トザデナント+ラジプロジル+部分活性用量のL−ドーパ
部分活性用量のL−ドーパ(25mg/kg)に対する追加処置として与えられる、30mg/kgのトザデナントへの3mg/kgのラジプロジルの共投与により、ビヒクル処置ラット、及び化合物を単独で処置したラット(L−ドーパ25mg/kgに加えて)と比べて、対側性回転レベルが有意に向上している。
【0130】
図13:有意な処置効果(F3,28)=70.60、p<0.01、有意な時間効果(17,746)=200.89、p<0.001、及び有意な処置×時間相互作用(F17,476)=2.83、p<0.001、#、p<0.05:群RAD3/TOZ30は、群VEH/VEH、VEH/TOZ30、及びRAD3/VEHとは有意に異なっている(LSD事後検定)。
【0131】
(例6)
活性用量のL−ドーパ及びベンセラジドに対する慢性追加処置において与えられる場合の行動観察
予期しない観察として、これらのデータにより、comboが、一部の運動欠陥の低下を伴って、L−ドーパのオンタイム効果を向上させる可能性を有することが示された。
【0132】
活性用量のL−ドーパ/ベンセラジドに対する付加療法において与えられる「トザデナント+ラジプロジル」の慢性組合せ投与により、ビヒクル処置ラット及び単一化合物により処置されたラットと比べて、対側性回転に対するL−ドーパの効果がかなり向上する。その増加効果に加えて、より広いオープンフィールドにおける試験により、重症なAIMレベルは、トザデナントにより処置されたラットと比べて、combo及びラジプロジルにより処置されたラットの場合に低下することが示された。
【0133】
トザデナント+ラジプロジル+活性用量のL−ドーパ/ベンセラジド
図14:トザデナント+ラジプロジルと活性用量のL−ドーパ/ベンセラジドの組合せ投与に関する実験計画
【0134】
【表4】
【0135】
ロトメータ中で測定した場合、veh、トザデナント、ラジプロジル、又は両化合物の組合せに対する共投与において与えられた、L−ドーパ(14mg/kg)/ベンセラジド(3.5mg/kg)の10回の取得セッション(1回/日)により、L−ドーパ誘発性の対側性回転レベルが徐々に向上している(図15)。その効果は、combo処置ラットで一層際立っている。図16は、veh、ラジプロジル、トザデナント、又はcombo、並びにL−ドーパ/ベンセラジドにより処置したが、より広いオープンフィールドにて試験した場合の、ラットの行動プロファイルを示している。ビデオ記録に基づく特有の自動行動解析により、L−ドーパ/ベンセラジドに加えてcomboにより処置したラットは、刺激レベル(すなわち、距離及び対側性回転のレベルの顕著な増加により測定される)が一層高い。しかし、combo及びLD/BZにより処置されたそれらのラットはまた、トザデナント処置群よりも重症なAIMを発現して過ごした時間が少ないことも示した。
【0136】
図15:二元配置混合ANOVAは、有意な処置効果(F3,28)=15.06;p<0.001、取得セッションの有意な効果F(9,252)=29.23、p<0.001を示すが、処置×時間相互作用(p=0.18)は示さない。さらなる事後検定により、combo群は、veh、toz、及びrad処置群と比べて、活動レベルが顕著に高いことが示された(Tukey、p<0.05)。
【0137】
要約すると、以下の驚くほどの共作用が特定された。
1)6−OHDA片側損傷ラットにおいて、様々なA2A及びNR2Bアンタゴニストを組み合わせることにより作製される異なる6種の組合せ(combo)により、ビヒクル処置ラット、及びA2Aアンタゴニスト又はNR2Bアンタゴニストで単独処置されたラットと比べて、活動レベル(移動距離及び立ち上がり)が顕著に向上することが示される。
2)1種の具体的なA2A/NR2Bアンタゴニスト組合せ(トザデナント+ラジプロジル)について実施した完全な行動解析により、活性用量のL−ドーパ/ベンセラジドで観察されたものに匹敵する活動レベルの顕著な向上の他に、combo下でのラットの行動は、L−ドーパ処置下で観察されるものと比べて、顕著に改善されている(ステレオタイプで窮屈な対側性回転もジストニア体位もない)ことが示される。
3)A2AアンタゴニストとNR2Bアンタゴニストとの組合せによる慢性処置により、異常な運動合併症は何ら発生しない。
4)L−ドーパとcomboとの間の交差感作効果はない。L−ドーパ処置によりジスキニアにされたラットであって、L−ドーパにより慢性的に処置されたラットにおけるA2A/NR2B組合せによる急性処置により、いかなる異常不随意運動もなしに、高い質の運動活動性を回復する能力があることが示される。
5)A2AアンタゴニストとNR2Bアンタゴニストとの組合せによる急性処置が準活性用量又は部分活性用量のL−ドーパへの共投与で与えられた場合、ビヒクル処置ラット、又はA2Aアンタゴニスト若しくはNR2Bアンタゴニスト単独で処置された及びそれに上記のアンタゴニスト+combo群以外の投与を受けたものと等用量のL−ドーパを加えて処置されたラットと比べて、上記の急性処置は、L−ドーパ誘発性の対側性回転を有意に増加させることを示している。
6)活性用量のL−ドーパ/ベンセラジド(L−ドーパ誘発性の異常運動AIMを発症する原因となる用量)に共投与で与えられたA2AアンタゴニストとNR2Bアンタゴニストとの慢性処置は、A2Aアンタゴニストにより処置されたラットと比べて、対側性回転レベルに対するL−ドーパ効果の相乗作用、及び同時に、重症なAIMの低下をも示す。
【0138】
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