(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1支持面は、前記補強部材の長手方向に沿っており、前記第2支持面は、前記補強部材の長手方向に沿って前記第1支持面の両側にある請求項1に記載の太陽電池モジュール。
前記補強部材の前記第2支持面は前記太陽電池パネルの前記裏面から前記第1距離よりも長い距離の間隔で離れており、前記第1支持面と前記第2支持面との間に、前記第1支持面に対して前記太陽電池パネルから離れる方向に傾斜している傾斜面を有している請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
前記補強部材の前記支持面は、前記補強部材の短手方向の外縁部において、前記太陽電池パネルの前記裏面から離れる方向に傾斜している請求項1乃至5のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールについて、図面を参照しつつ説明する。なお、図面は模式的に示したものであるので、各図における構成要素のサイズおよび位置関係等は適宜変更できる。
【0018】
<<太陽電池モジュールの基本構成>>
図1乃至
図4を参照しながら、太陽電池モジュール1Aの基本構成について説明する。太陽電池モジュール1Aは、主に受光する側の面である受光面2aおよびその反対側に位置する裏面2bを有する太陽電池パネル2、補強部材4、粘着部材12および弾性部材13を備えている。
【0019】
補強部材4は、太陽電池パネル2の裏面2b側を支持する支持面4aを有する棒状である。また、補強部材4の支持面4aは、太陽電池パネル2の裏面2bから第1距離D1の間隔で離れている第1支持面4a1と、第1距離D1またはそれよりも長い第2距離D2の間隔で離れている第2支持面4a2とを有している。
【0020】
粘着部材12は、補強部材4と、補強部材4の第1支持面4a1と太陽電池パネル2の裏面2bとの間に配置されている。
【0021】
弾性部材13は、補強部材4の第2支持面4a2と太陽電池パネル2の裏面2bとの間に配置されている。
【0022】
なお、第2距離D2が、第1距離D1よりも長い場合には、粘着部材12よりも厚みが必要な弾性部材13の厚みを容易に確保できるのでよい。
【0023】
以下に、各実施形態に係る太陽電池モジュールについて説明する。
【0024】
<<第1実施形態>>
図1乃至
図11を用いて、第1実施形態に係る太陽電池モジュール1Aについて詳細に説明する。なお、
図3に示す第1側部2c1,第1保持部材31の反対側に位置している第2側部,第2保持部材は、簡単のため図示していないが、
図3を参照する場合には、図示していない部位等についても符号を付して説明する。
【0025】
図1に示すように、太陽電池モジュール1Aは、太陽電池パネル2と、一対の保持部3と、補強部材4とを備えている。一対の保持部材3は、太陽電池パネル2の互いに同一の側面にない2箇所の側部2cを保持している。具体的には、一対の保持部材3は、太陽電池パネル2の互いに対向する第1側部2c1および第2側部2c2をそれぞれ保持する、第1保持部材31と第2保持部材32とを備えている。
【0026】
補強部材4は棒状であり、太陽電池モジュール1Aの耐荷重性能を高める機能を有する。補強部材4は、例えば、
図1および
図3に示すように、太陽電池パネル2の裏面2b側において、互いに対向する第1保持部材31と第2保持部材32との間を架設するように配置されている。そして、補強部材4の長手方向における一端は、第1保持部材31の内側に延出した取付部3aに連結されて、同様にして補強部材4の長手方向における他端は、第2保持部材32の内側に延出した取付部3aに連結されている。
【0027】
図5に示すように、太陽電池パネル2は、受光面2a側から順に、透光性基板5と、受光面側の封止材6と、複数の太陽電池素子8と、裏面側の封止材6と、裏面保護フィルム9と、端子ボックス10と、が配置されている。
【0028】
透光性基板5は、太陽電池モジュール1Aの基板として機能するものであって、例えば、ガラスまたはポリカーボネート樹脂などの光透過率の高い材料からなる。一対の封止材6は、太陽電池素子8を封止する機能を有しており、例えば熱硬化性樹脂からなる。
【0029】
複数の太陽電池素子8は封止材6に周囲を保護されており、太陽電池素子8同士がインナーリード7で電気的に接続されている。
【0030】
裏面保護フィルム9は、太陽電池パネル2の裏面側を保護する機能を有しており、例えば、ポリビニルフルオライド(PVF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、または、これらの2種以上を積層した樹脂からなる。
【0031】
端子ボックス10は、裏面保護フィルム9に接着されており、出力を外部に取り出す機能を有している。
【0032】
また、太陽電池パネル2は、主として受光する側の受光面2a(透光性基板5の一主面)と、この受光面2aの裏面に相当する裏面2b(裏面保護フィルム9の一主面)とを有している。そして、太陽電池パネル2は、さらに、受光面2aと裏面2bとの間に位置し且つ互いに同一面にない第1側部2c1(
図3を参照)および第2側部2c2(不図示)を有している。なお、裏面2bは、全く受光しないわけではなく、例えば、裏面保護フィルム9および太陽電池素子8と裏面保護フィルム9との間に位置する封止材6として透光性を有するような材質を用いることによって、裏面2b側から入射される光の一部を受けるようにしてもよい。
【0033】
太陽電池素子8は、例えば、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン等からなる平板状の部材(シリコン基板)が半導体基板として用いられる。このようなシリコン基板を用いる場合は、上述のように、インナーリード7で隣接するシリコン基板同士が電気的に接続されている。また、太陽電池素子8には、例えば、薄膜太陽電池、カルコパイライト系太陽電池(例えば、CIGS(Cu(In,Ga)Se
2)、CISS(Cu(In,Ga)(Se,S)
2およびCIS(CuInS
2)などを含む)、CdTe太陽電池または結晶シリコン基板上に薄膜アモルファス半導体を形成した太陽電池等を用いてもよい。
【0034】
なお、本実施形態を含めた以下の実施形態の説明では、太陽電池素子8として多結晶シリコン基板を用いた例について説明する。
【0035】
第1保持部材31および第2保持部材32は、太陽電池パネル2の側部に配置されており、太陽電池パネル2の側部を保持する機能を有する。具体的には、第1保持部材31は太陽電池パネル2の第1側部2c1を保持しており、第2保持部材32は太陽電池パネル2の第2側部2c2を保持している。
【0036】
図3に示すように、一対の保持部材3は、太陽電池パネル2が嵌合される嵌合部3bと、太陽電池パネル2の主面に対して垂直な壁部3cと、該壁部3cから保持部材3で囲まれる空間に向けて突出した板状の部分である取付部3aとを有する。なお、
図3は、第1保持部材31と太陽電池パネル2の第1側部2c1との連結状態を示しているが、第2保持部材32と太陽電池パネル2の第2側部2c2の連結状態も同様である。保持部材3は、例えば、アルミニウムを押出成形したり、鋼板をロール成形したりするなどの方法によって製造することができる。
【0037】
なお、本実施形態において、保持部材3は、太陽電池パネル2の全周の側部を保持するような枠状体であるが、これに限らない。保持部材3は、太陽電池パネル2を保持できれば、少なくとも太陽電池パネル2の互いに同一面にない一対の側部を保持する一対の棒状体であってもよい。
【0038】
粘着部材12としては、常温で短時間の圧力を加えるだけで直ちに接着する性質を持つ樹脂を用いることができる。粘着部材12は、例えばブチルゴム系粘着剤を用いることができるが、それ以外に、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤またはウレタン系粘着剤を用いることができる。粘着部材12は、粘着剤のみからなるものだけではなく、基材を有するテープ状のものを用いてもよい。
【0039】
テープ状の粘着部材12は、例えば、
図11に示すように、基材12aとしてポリエステル不織布またはポリエチレン織布を用いて、基材12aの両面に前述の粘着剤と同様な粘着剤12bを設けたものを用いることができる。基材12aを有するテープ状の粘着部材12を用いることで、製造時の作業性が向上する。粘着部材12の主目的は、弾性部材13の硬化まで太陽電池パネル2と補強部材4との間を接着することであることから、例えば低廉なブチルゴム系粘着剤またはブチルゴム系粘着剤を基材12aの両面に配置したテープを好適に用いることができる。
【0040】
弾性部材13としては、硬化後にゴム弾性体となり、硬化時に触れていた被着物と接着する性質を持つ樹脂を用いることができる。ここで、ゴム弾性体とは例えば常温でのヤング率が1〜10MPa程度のものをいうものとする。弾性部材13として、例えば、変性シリコーン樹脂、ウレタン系樹脂、または、主剤がエポキシ樹脂で硬化剤が変性シリコーン樹脂の二液形の樹脂等を用いることができる。これら樹脂の中でも、変性シリコーン樹脂は、硬化後に高伸張のゴム弾性体となり、湿度および温度変化に強く、太陽電池パネル2の裏面保護フィルム9などの樹脂に対して良好な接着性を示すことから好適に用いられる。弾性部材13は、太陽電池パネル2と補強部材4との間で生じる振動、衝撃などを吸収できるとともに、太陽電池パネル2と補強部材4との間の熱膨張率の差によって生じる変形量の違いを吸収して接着した状態を維持できる。また、弾性部材13は、破壊を生じるまでの伸縮性も優れており、切断時の伸びが大きいため、太陽電池モジュール1Aの破壊を抑制できる。
【0041】
弾性部材13は、補強部材4に塗布したときは液体で弾性および接着力を持たないが、時間をかけて養生して硬化させることでゴム弾性体となり、硬化時に濡れていた部材との接着力を有する。弾性部材13は、太陽電池パネル2および補強部材4の変形に追従するために適切な厚みで硬化するとよい。
【0042】
例えば、太陽電池パネル2が主に白板ガラスからなり、補強部材4がアルミニウム合金からなる場合であれば、太陽電池パネル2と補強部材4とで熱膨張による長さが異なるので、太陽電池パネル2と補強部材4との間の弾性部材13にせん断変形が生じる。このとき、弾性部材13が薄すぎると、厚さに対するせん断変形量が大きいため、太陽電池パネル2および補強部材13と弾性部材4との間の接着面に大きな荷重が加わる。これにより、弾性部材13が剥離する接着破壊が生じたり、太陽電池パネル2の裏面保護フィルム9の層間を破壊する被着材破壊を生じるおそれがある。また、弾性部材13が厚すぎると、弾性部材13中に生じたボイドなどの欠陥部に応力集中が生じ易く、弾性部材13が破壊する凝集破壊を生じ易くなり強度が低下する。したがって、弾性部材13は、適切な厚みで硬化することが必要である。また、弾性部材13は、前述の振動、衝撃などを吸収しつつ支持するために、粘着部材12よりも大きい厚みを持つことが好ましい。
【0043】
図2および
図4に示すように、補強部材4は、第1支持面4a1および第2支持面4a2からなる平板状の支持面4aと、垂直部4bと、フランジ部4cとを有しており、これらの部分を略H字型に連結した断面形状を有する。支持面4aは太陽電池パネル2の裏面2bを保持する部分であり、フランジ部4cは保持部材3と結合する部分であり、垂直部4bは支持面4aとフランジ部4cとを連結する部分である。
【0044】
また、支持面4aは、裏面2bに平行で補強部材4の長手方向に沿っている第1支持面4a1と、裏面2bに平行で第1支持面4a1よりも裏面2bから離れている第2支持面4a2とを有する。第1支持面4a1は、第2支持面4a2同士の間に配置されている。なお、第2支持面4a2は補強部材4の長手方向に沿って第1支持面4a1の両側にあるものに限定されず、片側のみにあってもよい。
【0045】
第1支持面4a1と第2支持面4a2との高低差は、弾性部材13が必要な厚みを得られるようにするとよい。例えば、弾性部材13が変性シリコーン樹脂の場合は、その厚みが2mm必要である。そして、第1支持面4a1に配置された粘着部材12の厚みが0.7mmである場合は、第1支持面4a1と第2支持面4a2との高低差は1.3mmにするとよい。
【0046】
補強部材4は、例えば、アルミニウムを押出成形で製造したり、鋼板をロール成形して製造できる。ここで、補強部材4の断面形状は、支持面4aの形状が上記形状である限り、例えば、I字型、H字型、T字型またはL字型など用途に合わせて適宜選択するとよい。
【0047】
<太陽電池モジュールの製造方法>
以下に、太陽電池モジュールを構成する太陽電池パネルに補強部材を取り付ける製造方法の一例について説明する。
【0048】
まず、
図6に示すように、補強部材4の支持面4aを構成する第1支持面4a1には粘着部材12を貼付して、支持面4aを構成する第2支持面4a2には弾性部材13を塗布する。弾性部材13は、太陽電池パネル2と第2支持面4a2との間に充填できるように、粘着部材12と略同一高さになる量を塗布するとよい。
【0049】
次に、
図7に示すように、補強部材4を太陽電池パネル2の裏面2bに載置して、粘着部材12を裏面保護フィルム9に貼付する。このとき、弾性部材13は液状であり、第2支持面4a2と裏面保護フィルム9とに対して濡れた状態になる。
【0050】
そして、
図8に示すように、太陽電池パネル2上に補強部材4が載置された状態で弾性部材13の硬化が進み、弾性部材13が裏面保護フィルム9と第2支持面4a2との双方に接合した状態でゴム弾性体となる。
【0051】
粘着部材12が太陽電池パネル2と補強部材4との間の接合を保ちつつ、第1支持面4a1と第2支持面4a2との高低差で弾性部材13の厚みが決まることから、弾性部材13の硬化前に太陽電池モジュール2を工程内で搬送できて、養生に要する時間を削減できる。これにより、太陽電池モジュール1Aの生産性が高められる。
【0052】
<作用効果>
上記の製造方法によって、太陽電池パネル2の裏面2bと補強部材4との間に配置された弾性部材13は、太陽電池モジュール1に負圧荷重、正圧荷重および温度変化の内の少なくとも1つによる影響があった場合に、補強部材4と太陽電池パネル2との間の接合を保ちつつ、太陽電池パネル2に生じる応力を分散させて支持できる。この点について、以下に詳述する。
【0053】
まず、
図9を用いて、太陽電池パネル2に負圧の分布荷重が加わった場合について説明する。例えば、粘着部材12および弾性部材13のそれぞれに、次のものを用いる。粘着部材12は、ブチルゴム系粘着剤であって、引張強さ:0.05MPa、厚み:0.5mm、切断時の伸び:1800%以上、最大引張応力:0.1MPaのものを用いる。また、弾性部材13は、シリコーン系シーリング材であって、引張強さ:2MPa、厚み:2.0mm、切断時の伸び:400%、最大引張応力:1MPaのものを用いる。
【0054】
弾性部材13の引張強さが粘着部材12の引張強さよりも大きいので、弾性部材13が負圧荷重を主に支持できる。そして、弾性部材13が、太陽電池パネル2と補強部材4との間の変位を一定範囲内に保つ。粘着部材12の切断時伸びが弾性部材13の切断時伸びよりも大きいことから、粘着部材12の最大引張応力が弾性部材13の最大引張応力よりも小さいものの、粘着部材12も接着状態を維持して負圧荷重を支持する。さらに、弾性部材13および粘着部材12で協働して、補強部材4から太陽電池パネル2に加わる負圧荷重を支持して、太陽電池パネル2に生じる引張応力を分散させることができる。
【0055】
粘着部材12および弾性部材13で引張応力を分散させて支持できる。これにより、弾性部材13が太陽電池パネル2から剥離する接着破壊までの限界値を高めることができるとともに、
図5に示す封止材6と裏面保護フィルム9との接着界面が剥離する被着材破壊を抑制できる。
【0056】
次に、
図10を用いて、太陽電池パネル2に正圧の分布荷重が加わったときについて説明する。太陽電池パネル2に加わった正圧荷重は、上述のように弾性部材13が太陽電池パネル2と補強部材4との間に充填されていることから、太陽電池パネル2は粘着部材12と弾性部材13とを介して補強部材4で支持される。
【0057】
このように、粘着部材12および弾性部材13が協働することで太陽電池パネル2の裏面2bに生じる応力を分散させることができる。また、弾性部材13の引張強さが粘着部材12の引張強さよりも高いので、弾性部材13が正圧荷重の大きな割合を支持する。さらに、第1支持面4a1に配置された粘着部材12が、第2支持面4a2に配置された弾性部材13の間に配置されていることによって、引張強さの小さい粘着部材12が支持面4aの外側に押し出されたままになるのを抑制できる。そして、弾性部材13は、ゴム弾性体であることから、荷重が加わったときに端部が外側に向けて凸状に膨らみ、除荷した後は元の形状に戻ることができる。
【0058】
次に、太陽電池モジュール1Aが気温等の変化を受けて、太陽電池パネル2と補強部材4との間にせん断方向の応力が生じた場合について説明する。
【0059】
例えば、太陽電池パネル2の主要な構成部材である透光性基板5にFe成分の少ない白板ガラス(熱膨張係数:9×10
−6/℃)を用い、補強部材4にアルミニウム合金(A6063)(熱膨張係数:23.4×10
−6/℃)を用いた場合を考える。
【0060】
太陽電池パネル2と補強部材4とを20℃で組み立てて、夏季などに太陽電池モジュール1Aが70℃になった場合には、熱膨張長さの差は1m当たりで0.72mmとなる。太陽電池モジュール1Aの一辺が1〜2mである場合は、補強部材4の長手方向に沿って0.72〜1.42mmの熱膨張長さの差が生じるが、弾性部材12が太陽電池パネル2と補強部材4との間の接合を保ちつつせん断変形をすることで、太陽電池モジュール1Aの破損を抑制できる。なお、粘着部材12はブチルゴム系粘着剤などの高温時に大きく軟化する樹脂を用いることで、粘着部材12も接着を維持できる。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、太陽電池モジュールの生産性を高めつつ、その強度を高めることができる。
【0062】
<<第2実施形態>>
次に、
図11および
図12を用いて、本発明の第2実施形態に係る太陽電池モジュール1Bについて説明する。
【0063】
本実施形態に係る太陽電池モジュール1Bは、粘着部材12の構造が、第1実施形態に係る太陽電池モジュール1Aと異なる。具体的には、
図11に示すように、粘着部材12は、弾性体からなる帯状の基材12aと、基材12aの両主面に配置されている粘着剤12bとを備えた点で相違する。
【0064】
図12に示すように、粘着部材12に弾性体の基材12aを用いたことで、粘着部材12が弾力を持つ。これにより、粘着剤12bに薄いアクリル系粘着剤を用いた場合であっても、第1支持面4a1が太陽電池パネル2に加わる荷重を分散させることができる。
【0065】
さらに、引張強さが適切な基材12aを用いることで、粘着部材12と弾性部材13との引張強さが等しくなるようにできて、太陽電池パネル2に生じる応力を効率的に分散させることができる。この点について、以下に詳述する。
【0066】
太陽電池パネル2に加えられた荷重は、粘着部材12と弾性部材13を介して補強部材4で支持される。このとき、粘着部材12および弾性部材13は、それぞれδの変位を生じる。
【0067】
粘着部材12に生じる応力σは、粘着部材12の厚みをL、引張強さをEとしたとき、下記の式(1)で表される。
【0068】
σ=E・(δ/L) ・・・ (1)
次に、弾性部材13に生じる応力σ’は、弾性部材13の厚みをL’、引張強さをE’としたとき、下記の式(2)で表される。
【0069】
σ’=E’・(δ/L’) ・・・ (2)
粘着部材12に生じる応力σと、弾性部材13に生じる応力σ’とを等しくすることで、荷重等を効率的に分散できる。つまり、式(1)および式(2)から下記の式(3)の関係が成立する粘着部材12および弾性部材13を用いるとよい。
【0070】
E/L=E’/L’ ・・・ (3)
上記の式(3)の関係を成立させるために、粘着部材12の引張強さを調節するとよい。例えば、粘着部材12を基材12aおよび粘着剤12bからなる構造とし、基材12aを弾性体とすることで、粘着部材12の弾性係数を調節できる。
【0071】
基材12aとしては、例えばEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、発泡EPDM、シリコーンまたは発泡ブチルゴムなどを用いることができる。
【0072】
<<第3実施形態>>
次に、
図13を用いて、本発明の第3実施形態に係る太陽電池モジュール1Cについて説明する。
【0073】
本実施形態に係る太陽電池モジュール1Cは、補強部材4の形状が、第1実施形態および第2実施形態に係る太陽電池モジュールとは異なる。具体的には、
図13に示すように、補強部材4は、第1支持面4a1と第2支持面4a2とを連結する第1傾斜部4dをさらに有している点で、本実施形態に係る太陽電池モジュール1Cは第1実施形態および第2実施形態に係る太陽電池モジュールと相違する。
【0074】
本実施形態に係る太陽電池モジュール1Cによれば、太陽電池モジュール1Cに高い正圧荷重が加わったときに、支持面4aから加えられる荷重により太陽電池パネル2に生じる応力が、第1支持面4a1に相対する部分から第2支持面4a2に相対する部分にわたって連続的に変化する。これにより、太陽電池パネル2内の太陽電池素子8に生じるせん断応力を低減し、クラックの発生をさらに抑制できる。
【0075】
<<第4実施形態>>
次に、
図14および
図15を用いて、本発明の第4実施形態に係る太陽電池モジュール1Dについて説明する。
【0076】
本実施形態に係る太陽電池モジュール1Dは、補強部材4の形状が、第1実施形態乃至第3実施形態に係る太陽電池モジュールとは異なる。具体的には、
図14および
図15に示すように、補強部材4は、第2支持面4a2がその短手方向の外縁に向かうにつれて、太陽電池パネル2の裏面2bから離れている第2傾斜部4eを有する点で第1実施形態乃至第3実施形態に係る太陽電池モジュールと相違する。
【0077】
図14に示すように、第2傾斜部4eの端部(補強部材4の短手方向における端部)に向かうにつれて、弾性部材13の厚みが大きくなる。このことから、
図15に示すように、補強部材4の外縁部に向かうにつれて、弾性部材13により小さい力で圧縮方向の変形が生じやすくなり、補強部材4の外縁部が太陽電池パネル2に生じる圧縮応力を低減できる。
【0078】
さらに、太陽電池パネル2に高い正圧荷重が加わったときに、太陽電池パネル2は補強部材4に相対する位置で受光面2a方向に凸に撓む。このとき、補強部材4が上記構成を有することによって、第2傾斜部4eが正圧荷重によって湾曲した太陽電池パネル2に沿いつつ支持できることから、せん断応力を好適に緩和できる。
【0079】
また、補強部材4は、第2傾斜部4eにおいて端部(補強部材4の短手方向における端部)に向かうにつれて太陽電池パネル2の裏面から徐々に離れる形状である。このことから、補強部材4に弾性部材13を塗布して接着するときに、第2傾斜部4eと非受光面2bとで形成される空間が広く、該空間が弾性部材13を補強部材4eからはみ出させないようにする空間として働く。これにより、補強部材4の外縁部から弾性部材13がはみ出さないようにして外観に優れた太陽電池モジュール1Dとすることができる。
【0080】
なお、上記の「補強部材4の短手方向」とは補強部材4の幅方向であって、例えば、補強部材4の長手方向に対して垂直な方向である。
【0081】
また、本実施形態のように、第2傾斜部4eは、第1支持面4a1および第2支持面4a2に対して垂直ではなく、上述のように傾斜している。このような形態によって、第2支持面4bは、短手方向において角部を有しない形状である。このため、該角部によって生じる太陽電池モジュールへの角度の急な曲げを低減できる。
【0082】
なお、
図14において第2支持面4a2が平面状の例を用いて説明したが、第2支持面4a2が、補強部材4の短手方向の外縁に向かうにつれて太陽電池パネル2から遠ざかる弧状の断面を有し、第2支持面4a2と第2傾斜部4eとが一体の形状であっても、上述した作用効果を好適に奏することができる。
【0083】
<<第5実施形態>>
次に、
図16を用いて、本発明の第5実施形態に係る太陽電池モジュール1Eについて説明する。
【0084】
本実施形態に係る太陽電池モジュール1Eは、補強部材4の形状が、第1実施形態乃至第4実施形態に係る太陽電池モジュールとは異なる。具体的には、
図16に示すように、補強部材4は、例えば、第2支持面4a2の長手方向に沿って幅が5mm程度の複数条の細長い溝で断面がU字状の凹部4fを備えている点で、第1実施形態乃至第4実施形態に係る太陽電池モジュールとは相違する。
【0085】
この太陽電池モジュール1Eによれば、凹部4fを備えているので、弾性部材13の一部が凹部4fに収容されて、弾性部材13が第2支持面4a2に係合するので、特に第2支持面4a2への弾性部材13の接着力を高める効果が期待できる。また、部分的に弾性部材13が厚くなっていることから、例えば、太陽電池モジュール1Eに降雹があった際に生じる衝撃力を緩和する効果を期待できる。
【0086】
なお、凹部4fは連続した溝でなくともよく、例えば、陥没した平面視で円形状等の凹部の多数が断続的に直線状に配置されていてもよい。凹部4fがこのような形態でも上記と同様な作用効果が期待できる。
【0087】
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限り任意のものとすることができることはいうまでもない。例えば、本発明の他の実施形態として、上述した実施形態の如何なる組合せであってもよい。また、本発明を適用できる太陽電池モジュールとしては、上述の実施形態で説明したスーパーストレート構造のものに限られるものではなく、ガラスパッケージ構造またはサブストレート構造などの種々の構造のものに適用可能である。