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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6042995
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】ブルトン型チロシンキナーゼの阻害薬
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4725 20060101AFI20161206BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20161206BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20161206BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20161206BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20161206BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20161206BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   A61K31/4725
   C07D401/14CSP
   A61K9/72
   A61P11/06
   A61K47/26
   A61K45/00
   A61P43/00 121
   A61P43/00 111
【請求項の数】12
【全頁数】72
(21)【出願番号】特願2015-542318(P2015-542318)
(86)(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公表番号】特表2016-503419(P2016-503419A)
(43)【公表日】2016年2月4日
(86)【国際出願番号】EP2013074803
(87)【国際公開番号】WO2014083026
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2015年5月19日
(31)【優先権主張番号】61/731,510
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】イヤー、ラマン・マハデヴァン
(72)【発明者】
【氏名】レイン,ドラマン・イブラヒム
(72)【発明者】
【氏名】ロペス−タピア,フランシスコ・ハビアー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス、ジョナサン・イー
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴンソン、クリストファー
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/020008(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/160920(WO,A1)
【文献】 特表2009−532489(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/074113(WO,A1)
【文献】 特表2012−519200(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/156334(WO,A1)
【文献】 特表2011−511027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00−72
A61K 45/00−08
A61K 47/00−48
C07D 401/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善するための医薬組成物であって、薬理学的有効量の化合物6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン吸入によって投与されように用いられる、該化合物を含む医薬組成物
【請求項2】
該化合物6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンが乾燥粉末として吸入によって投与されるように用いられる、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項3】
微粒子化された6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンと微粒子化乳糖とを含む製剤。
【請求項4】
微粒子化乳糖が、Lactohale(商標)LH 300又はRespitose(商標)ML 006である、請求項に記載の製剤。
【請求項5】
哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善するための、薬理学的有効量で吸入によって投与されるように用いられる、請求項又はに記載の製剤。
【請求項6】
式I:
【化48】

で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物又はその製剤と、以下からなる群より選択される治療薬剤のいずれか1つ又は複数との組み合わせを含む医薬組成物
(a)5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害薬又は5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)拮抗薬、
(b)LTB、LTC、LTD及びLTEの拮抗薬を含む、ロイコトリエン拮抗薬(LTRA)、
(c)H1及びH3拮抗薬を含む、ヒスタミン受容体拮抗薬、
(d)充血除去剤使用のための、α−及びα−アドレナリン受容体作動血管収縮交感神経様作用薬、
(e)短期又は長期作用β作動薬、
(f)PDE阻害薬、例えば、PDE3、PDE4及びPDE5阻害薬
(g)テオフィリン
(h)クロモグリク酸ナトリウム、
(i)非選択的及び選択的なCOX−1又はCOX−2阻害薬の両方であるCOX阻害薬(NSAID)、
(j)経口及び吸入糖質コルチコステロイド、
(k)内因性炎症性実体に対して活性なモノクローナル抗体、
(l)抗腫瘍壊死因子(抗TNF−α)剤、
(m)VLA−4拮抗薬を含む、接着分子阻害薬、
(n)キニン−B−及びB−受容体拮抗薬、
(o)免疫抑制剤、
(p)マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の阻害薬、
(q)タキキニンNK、NK及びNK受容体拮抗薬、
(r)エラスターゼ阻害薬、
(s)アデノシンA2a受容体作動薬、
(t)ウロキナーゼの阻害薬、
(u)ドーパミン受容体に作用する化合物、例えば、D2作動薬、
(v)NFκB経路のモデュレーター、例えば、IKK阻害薬、
(w)p38MAPキナーゼ又はsykキナーゼのような、サイトカインシグナル伝達経路のモジュレーター、
(x)粘液溶解薬又は鎮咳薬として分類され得る薬剤、
(y)抗生物質、
(z)HDAC阻害薬、
(aa)PI3キナーゼ阻害薬、
(bb)CXCR2拮抗薬、及び
(cc)ムスカリン拮抗薬。
【請求項8】
哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善するための請求項7に記載の医薬組成物であって、薬学的有効量の前記組み合わせが吸入によって投与されるように用いられる医薬組成物
【請求項9】
吸入による喘息の処置における使用のための、化合物6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン。
【請求項10】
吸入による喘息の処置のための、化合物6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンを含む医薬組成物
【請求項11】
吸入による喘息の処置のための医薬の調製のための、化合物6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンの使用。
【請求項12】
喘息の処置における使用のための、請求項に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本出願は、Btkを阻害し、かつ異常なB細胞活性化によって引き起こされる自己免疫性及び炎症性疾患の処置に有用である、新規化合物の使用に関する。
【0002】
発明の背景
プロテインキナーゼは、ヒトの酵素の最も大きなファミリーの1つを構成し、タンパク質にリン酸基を付加することによって、多くの異なるシグナル伝達プロセスを調節する(T. Hunter, Cell 1987 50:823-829)。具体的には、チロシンキナーゼは、チロシン残基のフェノール部分でタンパク質をリン酸化する。チロシンキナーゼファミリーは、細胞の成長、移動及び分化を制御するメンバーを含む。異常なキナーゼ活性は、癌、自己免疫性及び炎症性疾患を含む、様々なヒトの疾患に関与している。プロテインキナーゼは、細胞のシグナル伝達の重要な調節因子の1つであるので、これらは、小分子キナーゼ阻害薬で細胞機能をモジュレートするためのターゲットを提供し、そのために良好な薬物設計ターゲットとなる。キナーゼ媒介性の疾患過程の処置に加えて、選択的かつ効果的なキナーゼ活性阻害薬はまた、細胞のシグナル伝達プロセスの調査及び治療上関心の高い他の細胞ターゲットの同定にも有用である。
【0003】
B細胞が、自己免疫性及び/又は炎症性疾患の病因において重要な役割を果たしているという確かな証拠がある。リツキサン(Rituxan)のようなB細胞を枯渇させるタンパク質ベースの治療薬は、関節リウマチのような自己抗体によって生じる炎症性疾患に対して効果的である(Rastetter et al. Annu Rev Med 2004 55:477)。従って、B細胞活性化においてある役割を果たすプロテインキナーゼの阻害薬は、自己抗体産生のようなB細胞媒介性の疾患病理に対する有用な治療薬であるはずである。
【0004】
B細胞受容体(BCR)を介するシグナル伝達は、成熟した抗体産生細胞への増殖及び分化を含む、一定範囲のB細胞応答を制御する。BCRは、B細胞活性に対する重要な調節点であり、そして、異常なシグナル伝達は、無秩序なB細胞の増殖及び病原性自己抗体の形成を引き起こし、これが多数の自己免疫性及び/又は炎症性疾患を招く恐れがある。ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)は、膜近位のBCRのすぐ下流にある、非BCR関連キナーゼである。Btkの欠如は、BCRシグナル伝達を遮断することが知られており、従って、Btkの阻害は、B細胞媒介性の疾患過程を遮断する有用な治療アプローチであり得る。
【0005】
Btkは、チロシンキナーゼのTecファミリーのメンバーであり、初期B細胞の発生ならびに成熟B細胞の活性化及び生存の重要な調節因子であることが知られている(Khan et al. Immunity 1995 3:283; Ellmeier et al. J. Exp. Med. 2000 192:1611)。ヒトにおけるBtkの突然変異は、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)状態を招く(Rosen et al. New Eng. J. Med. 1995 333:431 及び Lindvall et al. Immunol. Rev. 2005 203:200 に概説されている)。これらの患者は免疫不全状態であり、B細胞の成熟障害、免疫グロブリン及び末梢B細胞レベルの減少、T細胞非依存性免疫応答の低下ならびにBCR刺激後のカルシウム動員の減衰を示す。
【0006】
また、自己免疫性及び炎症性疾患においてBtkがある役割を果たしているという証拠が、Btk欠損マウスモデルによって提供された。全身性エリテマトーデス(SLE)の前臨床マウスモデルにおいて、Btk欠損マウスは、疾患進行の著しい改善を示す。加えて、Btk欠損マウスは、コラーゲン誘発関節炎に耐性を示す(Jansson and Holmdahl Clin. Exp. Immunol. 1993 94:459)。選択的Btk阻害薬は、マウスの関節炎モデルにおいて、用量依存的効果を示すことが実証された(Z. Pan et al., Chem. Med Chem. 2007 2:58-61)。
【0007】
Btkはまた、疾患過程に関与し得るB細胞以外の細胞によっても発現される。例えば、Btkは、肥満細胞によって発現され、そして、Btk欠損骨髄由来の肥満細胞は、抗原誘発脱顆粒障害を示す(Iwaki et al. J. Biol. Chem. 2005 280:40261)。研究は、アレルギー性喘息の発生に大いに関与する他の細胞タイプの調節におけるBtkの重要な役割を明らかにした。特に、Btkの欠如は、アレルギー性サイトカインの産生及び脱顆粒に関するFcεRI依存性の肥満細胞応答を著しく損なう(Iyer et al. J. Biol. Chem. 2011 286:9503-13; Hata et al. J. Exp. Med. 1998 187:1235-47)。Btkがヒト好塩基球のIgE媒介性活性化に必要であったことも示された(MacGlashan et al. Int. Immunopharmacol 2011 11:475-9)。これは、Btkがアレルギー及び喘息のような病的な肥満細胞応答を処置するために有用であり得ることを示す。
【0008】
自然免疫シグナル伝達は、喘息の発症(Wu et al., Am J Respir Crit Care Med 2008; 178:1123-1129)とその疾患の急性増悪(Johnston et al., Br. Med. J. 1995; 310:1225-1229)におけるその潜在的役割の両方の観点から、喘息の自然歴において重要な役割を果たしているとの認識が高まっている。Toll様受容体(TLR)のようなパターン認識受容体は、アレルゲン感作ならびに気道炎症、リモデリング及び過反応性において一定の役割を果たしていることが示された(Hammad et al Nat Med. 2009;15(4):410-6.)。Btkは、これらの受容体の下流の先天的なシグナル伝達に関与する。例えば、Btkは、インビトロにおけるTLRシグナル伝達の完全活性化に必要であることが示されている(Liu et al., Nat Immunol. 2011; 12(5):416-24)。インビボでは、Btkは、TLR3シグナル伝達の開始に重要な役割を果たしていることが示されている(Lee et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2012; 109(15):5791-6)。これらのデータは、Btkが、TLR、特にTLR3媒介性の先天性免疫応答疾患過程を処置するために有用であり得ることを示している。
【0009】
また、Btk活性が欠如したXLA患者由来の単球は、刺激後にTNFα産生の低下を示す(Horwood et al. J Exp Med 197:1603, 2003)。従って、TNFα媒介性の炎症は、小分子Btk阻害薬によってモジュレートされ得る。また、Btkは、アポトーシスにおいて一定の役割を果たすことが報告されており(Islam and Smith Immunol. Rev. 2000 178:49)、従って、Btk阻害薬は、ある種のB細胞リンパ腫及び白血病の処置に有用であろう(Feldhahn et al. J. Exp. Med. 2005 201:1837)。
【0010】
発明の概要
本出願は、本明細書において後述されるような、Btk阻害性化合物6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オン、2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリル、及び6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、その製剤、ならびにそれを用いて吸入することによる喘息の処置の方法を開示する。
【0011】
本出願は、哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善する方法であって、薬理学的有効量の6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オンを吸入によって投与することを含む方法を提供する。
【0012】
本出願は、哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善する方法であって、薬理学的有効量の2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルを吸入によって投与することを含む方法を提供する。
【0013】
本出願は、哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善する方法であって、薬理学的有効量の6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンを吸入によって投与することを含む方法を提供する。
【0014】
本出願は、哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善する方法であって、薬理学的有効量の6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オン;2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリル;又は6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンを吸入によって投与することを含む方法を提供する。
【0015】
本出願は、吸入による喘息の処置における使用のための、化合物6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オン;2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリル;又は6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンを提供する。
【0016】
本出願は、吸入による喘息の処置のための医薬の調製のための、化合物6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オン;2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリル;又は6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンの使用を提供する。
【0017】
本出願は、吸入による喘息の処置のための、化合物6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オン;2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリル;又は6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンの使用を提供する。
【0018】
本出願は、微粒子化された6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オンと微粒子化乳糖とを含む製剤を提供する。
【0019】
本出願は、微粒子化された2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルと微粒子化乳糖とを含む製剤を提供する。
【0020】
本出願は、微粒子化された6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンと微粒子化乳糖とを含む製剤を提供する。
【0021】
本出願は、微粒子化された6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オンと微粒子化乳糖;微粒子化された2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルと微粒子化乳糖;又は微粒子化された6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンと微粒子化乳糖とを含む製剤を提供する。
【0022】
本出願は、式I:
【化1】

で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】微粒子化の前後の粉末X線回折パターン。上の曲線は、微粒子化後である。下の曲線は、微粒子化前である。
図2】mOVA36用の化合物1の粒度分布。
【表1】

【表2】

図3】mOVA40用の化合物1の粒度分布。
【表3】

【表4】
【0024】
発明の詳細な説明
定義
語句「a」又は「an」実体は、本明細書において使用される場合、その実体の1つ又は複数を指し;例えば、「a」化合物は、1つもしくは複数の化合物又は少なくとも1つの化合物を指す。従って、用語「a」(又は「an」)、「1つ又は複数」、及び「少なくとも1つ」は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0025】
本明細書において使用される場合、請求項の移行句で用いられるか請求項の本体で用いられるかに関わらず、用語「含む(comprise(s))」及び「含んでいる(comprising)」は、非制限的な意味を有すると解釈されるものとする。すなわち、当該用語は、語句「少なくとも有する(having at least)」又は「少なくとも含む(including at least)」と同意義として解釈されるものとする。プロセスに関して使用されるとき、用語「含んでいる(comprising)」は、当該プロセスが少なくとも列挙された工程を含むが、追加の工程を含み得ることを意味する。化合物又は組成物に関して使用されるとき、用語「含む(comprising)」は、当該化合物又は組成物が少なくとも列挙された特徴又は成分を含むが、追加の特徴又は成分も含み得ることを意味する。
【0026】
本明細書において使用される場合、そうでないと具体的に指示しない限り、「又は(or)」という語は、「どちらか一方(either)/又は(or)」という「排他的」な意義ではなく、「及び/又は」という「包括的」な意義で使用される。
【0027】
任意の可変部が、本出願において用いられる又は特許請求される化合物を描写及び記載する任意の部分又は式に2回以上現れる場合、各出現におけるその定義は他の出現毎のその定義とは独立している。また、置換基及び/又は可変部の組み合わせは、そのような化合物が安定な化合物で生じる場合にのみ許容される。
【0028】
結合の末端における記号「*」又は結合を通って描かれる「−−−」は、各々、官能基又は他の化学部分が、それが一部である分子の残りの部分へ結合する点を指す。従って、例えば:
【化2】

である。
【0029】
環系内に向かって描かれる結合(明確な頂点で連結される場合とは対照的に)は、当該結合が適切な環原子のいずれかに接続され得ることを示す。
【0030】
用語「場合による(optional)」又は「場合により(optionally)」は、本明細書において使用される場合、その後に続いて記載される事象又は状況が起こってもよいが、起こる必要はないこと、そして、その記載は、その事象又は状況が起こる場合と、起こらない場合とを含むことを意味する。例えば、「場合により置換されている(optionally substituted)」は、場合により置換されている部分が、水素原子又は置換基を含有し得ることを意味する。
【0031】
用語「about」は、本明細書において、約、その辺りに、ほぼ又は前後を意味するために使用される。用語「約」が数値範囲と併せて使用される場合、それは、記載される数値の上限及び下限を延長することによって範囲を変更する。一般に、用語「約」は、本明細書において、記載の数値の上下20%の変動で数値を変更するために使用される。
【0032】
本明細書において使用される技術及び科学用語は、特に規定しない限り、本出願が関連する技術分野の当業者に一般的に理解される意味を有する。本明細書において、当業者に公知の種々の方法及び材料を参照する。薬理学の一般原理を記載する標準的な参考文献は、Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th Ed., McGraw Hill Companies Inc., New York (2001) を含む。当業者に公知の任意の好適な材料及び/又は方法は、本発明を実施する際に利用することができる。以下の記載及び実施例において参照する材料、試薬などは、特に断りのない限り、販売業者から入手することが可能である。
【0033】
Btkの阻害薬
本出願は、本明細書において記載されるような、Btk阻害性化合物6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オン(化合物1)、2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリル(化合物2)、及び6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン(化合物3)、その製剤、それを用いて吸入することによる喘息の処置の方法、ならびにそれを用いて吸入することによる喘息の処置のための使用を開示する。
【0034】
本出願は、あらゆる種類、原因又は病因の喘息、特に、アトピー性喘息、非アトピー性喘息、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、アトピー性気管支IgE媒介喘息、気管支喘息、本態性喘息、真性喘息、内因性喘息、外因性喘息、気管支炎性喘息、気腫性喘息、運動誘発性喘息、アレルゲン誘導性喘息、冷気誘導性喘息、職業性喘息、夜間喘息、季節性喘息、咳型喘息、慢性喘息、間欠性喘息、軽度の持続性喘息、中度の持続性喘息、重度の持続性喘息、好中球性喘息、好酸球性喘息、混合型喘息、顆粒球の関与が乏しい喘息(paucigranulocytic asthma)、高Th2喘息(Th2-high asthma)、低Th2喘息(Th2-low asthma)、小児喘息、細菌、真菌、原生動物又はウイルス感染によって引き起こされる病原体誘発性喘息、初期喘息、ゼーゼーと言うベビー症候群(wheezy baby syndrome)及び細気管支炎からなる群より選択されるメンバーである喘息の処置における使用のための化合物1、2及び3に関する。
【0035】
本出願は、哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善する方法であって、薬理学的有効量の6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オンを吸入によって投与することを含む方法を提供する。
【0036】
本出願は、6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オンが乾燥粉末として吸入によって投与される、上記方法を提供する。
【0037】
本出願は、哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善する方法であって、薬理学的有効量の2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルを吸入によって投与することを含む方法を提供する。
【0038】
本出願は、2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルが乾燥粉末として吸入によって投与される、上記方法を提供する。
【0039】
本出願は、哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善する方法であって、薬理学的有効量の6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンを吸入によって投与することを含む方法を提供する。
【0040】
本出願は、6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンが乾燥粉末として吸入によって投与される、上記方法を提供する。
【0041】
本出願は、哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善する方法であって、薬理学的有効量の6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オン、2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリル、又は6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンを吸入によって投与することを含み、当該化合物のいずれかが乾燥粉末として吸入によって投与される方法を提供する。
【0042】
本出願は、乾燥粉末として吸入することによる哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善する際に使用するための、化合物6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オン;2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリル;又は6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンを提供する。
【0043】
本出願は、乾燥粉末として吸入することによる哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善するための医薬の調製のための、6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オン;2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリル;又は6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンの使用を提供する。
【0044】
本出願は、乾燥粉末として吸入することによる喘息の処置のための、化合物6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オン;2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリル;又は6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンの使用を提供する。
【0045】
本出願は、微粒子化された6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オンと微粒子化乳糖とを含む製剤を提供する。
【0046】
本出願は、微粒子化された6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オンとLactohale LH 300とを含む製剤を提供する。
【0047】
本出願は、微粒子化された6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オンとRespitose ML 006とを含む製剤を提供する。
【0048】
本出願は、微粒子化された6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オンと微粒子化乳糖;微粒子化された6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オンとLactohale LH 300;又は微粒子化された6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オンとRespitose ML 006とを含む製剤を提供する。
【0049】
本出願は、哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善する方法であって、薬理学的有効量の微粒子化された6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オンと微粒子化乳糖とを含む製剤を吸入によって投与することを含む方法を提供する。
【0050】
本出願は、微粒子化された6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オンと微粒子化乳糖とを含む製剤の使用であって、薬理学的有効量の当該製剤の吸入による哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善するための使用を提供する。
【0051】
本出願は、微粒子化された2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルと微粒子化乳糖とを含む製剤を提供する。
【0052】
本出願は、微粒子化された2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルとLactohale LH 300とを含む製剤を提供する。
【0053】
本出願は、微粒子化された2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルとRespitose ML 006とを含む製剤を提供する。
【0054】
本出願は、微粒子化された2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルと微粒子化乳糖;微粒子化された2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルとLactohale LH 300;又は微粒子化された2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルとRespitose ML 006とを含む製剤を提供する。
【0055】
本出願は、哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善する方法であって、薬理学的有効量の微粒子化された2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルと微粒子化乳糖とを含む製剤を吸入によって投与することを含む方法を提供する。
【0056】
本出願は、微粒子化された2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルと微粒子化乳糖とを含む製剤の使用であって、薬理学的有効量の当該製剤の吸入による哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善するための使用を提供する。
【0057】
本出願は、微粒子化された6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンプロピオニトリルと微粒子化乳糖とを含む製剤を提供する。
【0058】
本出願は、微粒子化された6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンプロピオニトリルとLactohale LH 300とを含む製剤を提供する。
【0059】
本出願は、微粒子化された6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンとRespitose ML 006とを含む製剤を提供する。
【0060】
本出願は、微粒子化された6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンプロピオニトリルと微粒子化乳糖;微粒子化された6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンプロピオニトリルとおよそLactohale LH 300;又は微粒子化された6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンとRespitose ML 006とを含む製剤を提供する。
【0061】
本出願は、哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善する方法であって、薬理学的有効量の微粒子化された6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンと微粒子化乳糖とを含む製剤を吸入によって投与することを含む方法を提供する。
【0062】
本出願は、微粒子化された6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンと微粒子化乳糖とを含む製剤の使用であって、薬理学的有効量の当該製剤の吸入による哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善するための使用を提供する。
【0063】
本出願は、式I:
【化3】

で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0064】
本出願は、化合物6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オン、2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリル、又は6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンのいずれか1つの化合物又はその製剤と、以下からなる群より選択される治療薬剤のいずれか1つ又は複数との組み合わせを提供する:
(a)5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害薬又は5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)拮抗薬、
(b)LTB、LTC、LTD及びLTEの拮抗薬を含む、ロイコトリエン拮抗薬(LTRA)、
(c)H1及びH3拮抗薬を含む、ヒスタミン受容体拮抗薬、
(d)充血除去剤使用のための、α−及びα−アドレナリン受容体作動血管収縮交感神経様作用薬、
(e)短期又は長期作用β作動薬、
(f)PDE阻害薬、例えば、PDE3、PDE4及びPDE5阻害薬
(g)テオフィリン
(h)クロモグリク酸ナトリウム、
(i)非選択的及び選択的なCOX−1又はCOX−2阻害薬の両方であるCOX阻害薬(NSAID)、
(j)経口及び吸入糖質コルチコステロイド、
(k)内因性炎症性実体に対して活性なモノクローナル抗体、
(I)抗腫瘍壊死因子(抗TNF−α)剤、
(m)VLA−4拮抗薬を含む、接着分子阻害薬、
(n)キニン−B−及びB−受容体拮抗薬、
(o)免疫抑制剤、
(p)マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の阻害薬、
(q)タキキニンNK、NK及びNK受容体拮抗薬、
(r)エラスターゼ阻害薬、
(s)アデノシンA2a受容体作動薬、
(t)ウロキナーゼの阻害薬、
(u)ドーパミン受容体に作用する化合物、例えば、D2作動薬、
(v)NFκB経路のモジュレーター、例えば、IKK阻害薬、
(w)p38MAPキナーゼ又はsykキナーゼのような、サイトカインシグナル伝達経路のモジュレーター、
(x)粘液溶解薬又は鎮咳薬として分類され得る薬剤、
(y)抗生物質、
(z)HDAC阻害薬、
(aa)PI3キナーゼ阻害薬、
(bb)CXCR2拮抗薬、及び
(cc)ムスカリン拮抗薬。
【0065】
本出願は、哺乳動物における喘息又は関連する病態を処置又は改善する方法であって、薬理学的有効量の上記組み合わせを吸入によって投与することを含む方法を提供する。
【0066】
本出願は、炎症性障害の処置のための医薬の製造における、上記化合物又は製剤のいずれかの使用を提供する。
【0067】
本出願は、自己免疫性障害の処置のための医薬の製造における、上記化合物又は製剤のいずれかの使用を提供する。
【0068】
本出願は、吸入による喘息の処置のための医薬の製造における、上記化合物又は製剤のいずれかの使用を提供する。
【0069】
本出願は、炎症性障害の処置のための、上記化合物又は製剤のいずれかの使用を提供する。
【0070】
本出願は、自己免疫性障害の処置のための、上記化合物又は製剤のいずれかの使用を提供する。
【0071】
本出願は、吸入による喘息の処置のための、上記化合物又は製剤のいずれかの使用を提供する。
【0072】
本出願は、炎症性障害の処置における使用のための、上記化合物又は製剤を提供する。
【0073】
本出願は、自己免疫障害の処置における使用のための、上記化合物又は製剤を提供する。
【0074】
本出願は、吸入による喘息の処置のための、上記化合物又は製剤を提供する。
【0075】
本出願は、本明細書において記載されるような、方法、製剤、化合物又は組成物を提供する。
【0076】
化合物及び調製
本出願に包含され、かつ本出願の範囲内にある代表的化合物の例は、以下の表に提供される。以下のこれらの実施例及び調製は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施することができるようにするために提供される。これらは、本発明の範囲を限定するものとしてではなく、単にその例示的及び代表的なものとして考慮されるべきである。
【0077】
一般に、本出願において使用される命名法は、IUPAC体系的命名法の作成のためのBeilstein Instituteコンピューターシステムである、AUTONOM(商標)v.4.0に基づいている。描かれた構造とその構造に与えられた名称に相違がある場合、描かれた構造が優先されるものとする。加えて、構造又は構造の一部分の立体化学が、例えば、太線又は破断線で示されていない場合は、その構造又は構造の一部分は、その立体異性体の全てを包含すると解釈されるものとする。
【0078】
化合物1、2及び3の発見
肺中で局所的にその作用を発揮する吸入薬の設計は、一般に、当該化合物が、強力であること及び全身曝露を最小限に抑えるための適正な薬物動態特性(すなわち、高いクリアランス及び低いアベイラビリティ)を有することが必要である(Tayab et al, Expert Opin. Drug Deliv. (2005), 2(3), 519-532)。乾燥粉末吸入器(DPI)で送達することが意図される薬物については、好適な安定で結晶性の固体形態が同定される必要がある(Selby et al, Future Med. Chem. (2011), 3(13), 1679-1701)。加えて、低可溶性の化合物は、毒性研究において、望ましくない有害効果を伴う可能性を有する(Forbes et al, Adv Drug Del. Rev (2011), 63, 69-87)。これらの概念を踏まえて、RocheのBtk阻害薬コレクションをスクリーニングして、吸入のための好適な候補薬を同定した。
【0079】
最初に、Rocheの1918個のBtk化合物コレクションから、それらの高い効力(FRET IC50<50nM及び/又はHWB IC50<1μM)及び高い溶解度(LYSA溶解度>200μg/mL)に従って、33個の化合物のセットを選択した。また、低いクリアランス(ラットCl<40mL/分/kg又はラットミクロソームCLint<25μl/分/mgタンパク質)、GSHアッセイにおけるフラグ、又は化合物バンクにおける低いアベイラビリティ(<10mg)を有する化合物を除外した。
【0080】
第二に、33個の化合物セットの追加データ(例えば、不足しているラットのPKデータ、結晶化度情報、刺激を受けた肺液中の溶解度)を取得した後、主にラットにおけるそれらの高いインビボクリアランス(ラットCl>40mL/分/kg)に従って、11個の化合物サブセットをさらに選択した。
【0081】
最後に、それらの結晶化度及び喘息に関連するインビトロアッセイにおける高い効力に基づき、潜在的な吸入候補薬として化合物1、2及び3を選択した。
【0082】
表Iは、本出願において開示される化合物の例を描いたものである:
【0083】
【表5】
【0084】
一般合成スキーム
本出願の化合物は、任意の従来手段によって調製することができる。これらの化合物を合成するための好適なプロセスは、実施例に提供される。一般に、本出願の化合物は、以下のスキームに従って調製することができる。
【0085】
化合物1は、スキーム1に示すように、市販の出発物質から7工程で調製した。
【0086】
【化4】
【0087】
化合物2は、スキーム2、3及び4に示すように、市販の出発物質から19工程で調製した。
【0088】
【化5】
【0089】
【化6】
【0090】
【化7】
【0091】
化合物3は、スキーム5、6及び7に示すように、化合物A及び市販の出発物質から10工程で調製した。5−ブロモ−1−メチル−3−(5−(モルホリン−4−カルボニル)ピリジン−2−イルアミノ)ピリジン−2(1H)−オンAの調製は、文献(国際公開公報第2011140488(A1)号)に記載されている。
【0092】
【化8】
【0093】
【化9】
【0094】
【化10】
【0095】
医薬組成物及び投与
本出願の化合物は、吸入による送達のために好適な多様な投与剤形と担体で製剤化することができる。好ましい投与様式は、苦痛の程度及び活性成分に対する患者の応答に従って調整され得る簡便な一日投与レジメンを使用する、吸入を介する投与様式である。
【0096】
本出願の化合物(1つ又は複数)ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩は、1つ又は複数の慣用の賦形剤、担体又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及び単位剤形の形態にすることができる。医薬組成物及び単位剤形は、追加の活性化合物又は成分と共に又はそれを伴わず、従来の割合の従来の成分から構成することができ、単位剤形は、用いられるべき意図される一日用量範囲に見合った、任意の好適な有効量の活性成分を含有し得る。医薬組成物は、粉末として用いられ得る。
【0097】
用語「賦形剤」は、本明細書において使用される場合、一般に安全で、非毒性でかつ生物学的にもその他の面でも望ましくないことのない、医薬組成物を調製する際に有用である化合物を指し、動物用ならびにヒト用の薬学的用途に許容され得る賦形剤を含む。本出願の化合物は単独で投与することができるが、一般に、意図する投与経路及び標準的な薬務に関して選択される、1つ又は複数の好適な薬学的賦形剤、希釈剤又は担体との混合物で投与されるだろう。
【0098】
「薬学的に許容し得る」は、一般に安全で、非毒性でかつ生物学的にもその他の面でも望ましくないことのない、医薬組成物を調製する際に有用であるものを意味し、動物用ならびにヒト用の薬学的用途に許容され得るものを含む。
【0099】
また、活性成分の「薬学的に許容し得る塩」形態は、まず望ましい薬物動態特性を非塩形態においては存在していなかった活性成分に付与することができ、さらに体内でのその治療活性に関して活性成分の薬力学に正の影響をも与えることができる。化合物の「薬学的に許容し得る塩」という表現は、薬学的に許容され得かつ親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。そのような塩は、(1)無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸など)と形成される酸付加塩;又は有機酸(例えば、酢酸、フマル酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、L(+)−酒石酸、D(−)−酒石酸、クエン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(naphtoic acid)、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸(p-toluensulfonic acid)、ケイ皮酸、1,2−ジベンゼンアクリル酸(1,2-dibenzenacrylic acid)、パモ酸、ピロメリット酸、セバシン酸、メシチレンスルホン酸、ビフェニルジスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、(+)−カンファー酸、アスコルビン酸、グルタル酸など)と形成される酸付加塩;あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン又はアルミニウムイオンによって置換される場合;又は有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなど)と配位する場合のいずれかで形成される塩を含む。
【0100】
別の態様において、本出願は、例えば乾燥粉末、エアロゾル、懸濁液又は液体組成物としての、吸入によって患者に投与するのに適合した剤形に関する。1つの実施態様において、本出願は、乾燥粉末としての、吸入によって患者に投与するのに適合した剤形に関する。さらなる実施態様において、本出願は、噴霧器を介する吸入によって患者に投与するのに適合した剤形に関する。
【0101】
吸入によって肺に送達するための乾燥粉末組成物は、典型的には、微粒子化粉末としての本出願の多形又は塩を、微粒子化粉末としての1つ又は複数の薬学的に許容し得る賦形剤と一緒に含む。乾燥粉末での使用のために特に適した薬学的に許容し得る賦形剤は、当業者に公知であり、乳糖、デンプン、マンニトールならびに単糖、二糖及び多糖を含む。微粒子化粉末は、例えば、微粒子化及び粉砕によって調製することができる。一般に、低サイズ化された(例えば、微粒子化された)化合物は、約1〜約10ミクロンのD(50)値(例えば、レーザー回折を使用して測定される)によって定義することができる。
【0102】
乾燥粉末は、複数(未計量の用量)の医薬を乾燥粉末形態で保存するための好適なリザーバーを有する、リザーバー乾燥粉末吸入器(RDPI)を介して患者に投与することができる。RDPIは、典型的には、リザーバーから送達位置への各医薬の用量を計量するための手段を含む。例えば、計量手段は計量カップを含み得、それはカップがリザーバーからの医薬で満たされ得る第一の位置から、計量された医薬用量が吸入のために患者に利用可能になる第二の位置まで移動可能である。
【0103】
代替的に、乾燥粉末は、多用量乾燥粉末吸入器(MDPI)での使用のために、カプセル(例えば、ゼラチン又はプラスチック)、カートリッジ又はブリスターパックで提供することができる。MDPIは、複数の規定された用量(又はその一部)の医薬を含有する(又はそうでなければ担持する)多用量パック内に医薬が含まれた吸入器である。乾燥粉末がブリスターパックとして提供される場合、ブリスターパックは、医薬を乾燥粉末形態で格納するための複数のブリスターを含む。ブリスターは、典型的には、医薬がそこから容易に放出されるように規則的に配置される。例えば、ブリスターは、一般に、円盤型ブリスターパック上に円状に配置することができるか、又はブリスターは、例えばストリップ又はテープを含む形態の細長いものとすることができる。各カプセル、カートリッジ又はブリスターは、例えば、本出願の多形又は塩を20μg〜10mg含有し得る。
【0104】
エアロゾルは、本出願の多形又は塩を液化推進剤に懸濁又は溶解することによって形成することができる。好適な推進剤は、ハロカーボン類、炭化水素類及び他の液化ガスを含む。代表的な推進剤は、トリクロロフルオロメタン(推進剤11)、ジクロロフルオロメタン(推進剤12)、ジクロロテトラフルオロエタン(推進剤114)、テトラフルオロエタン(HFA−134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFA−152a)、ジフルオロメタン(HFA−32)、ペンタフルオロエタン(HFA−12)、ヘプタフルオロプロパン(HFA−227a)、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロペンタン、ブタン、イソブタン及びペンタンを含む。本出願の多形又は塩を含むエアロゾルは、典型的には、定量式吸入器(MDI)を介して患者に投与されるだろう。そのようなデバイスは、当業者に公知である。
【0105】
エアロゾルは、製剤の物理安定性を改善する、バルブ性能を改善する、溶解度を改善する、又は風味を改善するために、界面活性剤、潤滑剤、共溶剤及び他の賦形剤のような、MDIと共に典型的に使用される追加の薬学的に許容し得る賦形剤を含有し得る。
【0106】
従って、本出願のさらなる態様として、本出願の多形又は塩と、推進剤としてのフルオロカーボン又は水素含有クロロフルオロカーボンとを、場合により界面活性剤及び/又は共溶剤と組み合わせて含む、薬学的エアロゾル製剤が提供される。
【0107】
本出願の別の態様によれば、推進剤が1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパン及びそれらの混合物から選択される、薬学的エアロゾル製剤が提供される。
【0108】
本出願の製剤は、好適な緩衝剤の添加によって緩衝することができる。
【0109】
吸入器又は吹送器における使用のためのカプセル及びカートリッジ(例えばゼラチンの)は、本出願の多形又は塩と乳糖又はデンプンのような好適な粉末基剤との吸入用粉末混合物を含有させて製剤化することができる。各カプセル又はカートリッジは、一般に、本出願の多形又は塩を20μg〜10mg含有し得る。代替的に、本出願の多形又は塩は、乳糖のような賦形剤なしで提供することができる。
【0110】
本出願に係る局所組成物中の活性な多形又は塩の割合は、調製しようとする製剤の正確な種類に依存するが、一般に、0.001〜10重量%の範囲内であろう。一般に、調製品のほとんどの種類について、使用される割合は、0.005〜1%、例えば0.01〜0.5%の範囲内であろう。しかしながら、吸入又は吹送用の粉末では、使用される割合は、通常、0.1〜5%の範囲内であろう。
【0111】
エアロゾル製剤は、好ましくは、エアロゾルの各定用量すなわち「一吹き(puff)」が、本出願の多形又は塩を20μg〜10mg、好ましくは20μg〜2000μg、より好ましくは約20μg〜500μg含有するように配置される。投与は、1日1回又は1日数回、例えば2、3、4又は8回とすることができ、例えば1回当たり1、2又は3用量を与える。エアロゾルを用いた全1日用量は、10μg〜10mg、好ましくは20μg〜2000μgの範囲内であろう。吸入器又は吹送器中のカプセル及びカートリッジによって送達される全1日用量及び定用量は、一般に、エアロゾル製剤で送達される量の2倍であろう。
【0112】
懸濁エアロゾル製剤の場合では、微粒子(例えば、微粒子化された)薬物の粒径は、エアロゾル製剤の投与時に実質的に全ての薬物が肺へ吸入することができるようにすべきであり、従って、100ミクロン未満、望ましくは20ミクロン未満、特に1〜10ミクロンの範囲、例えば1〜5ミクロン、より好ましくは2〜3ミクロンであろう。
【0113】
本出願の製剤は、例えば、超音波処理又は高剪断ミキサーを用いて、本出願の医薬及び多形又は塩を、適当な容器内で、選択された推進剤中に分散又は溶解させることによって調製することができる。当該プロセスは、望ましくは、制御された湿度条件下で行われる。
【0114】
本出願に係るエアロゾル製剤の化学及び物理安定性ならびに薬学的受容性は、当業者に周知の技術によって決定することができる。従って、例えば、成分の化学安定性は、例えば製品の長期保存後に、HPLCアッセイによって決定することができる。物理安定性データは、他の従来の分析技術から、例えば、漏れ試験によって、バルブ送達アッセイ(作動毎の平均射出重量)によって、用量再現性アッセイ(作動毎の活性成分)及び噴霧分散分析によって得るとができる。
【0115】
本出願に係る懸濁エアロゾル製剤の安定性は、従来技術によって、例えば、バックライト散乱装置を使用して凝集粒度分布を測定することによって、又はカスケードインパクションによって若しくは「ツインインピンジャー」分析プロセスによって粒度分布を測定することによって測定することができる。本明細書において使用される場合、「ツインインピンジャー」アッセイについての言及は、British Pharmacopaeia 1988, pages A204-207, Appendix XVII C に定義されているように、「装置Aを使用する加圧吸入において放出される用量の蓄積の決定(Determination of the deposition of the emitted dose in pressurized inhalations using apparatus A)」を意味する。そのような技術は、エアロゾル製剤の「呼吸可能な画分」を計算できるようにする。「呼吸可能な画分」を計算するために使用される1つの方法は、上述のツインインピンジャー法を使用して作動毎に送達される活性成分の総量に対するパーセンテージとして表される、作動毎に下方の衝突チャンバーにおいて回収される活性成分の量である「微粒子画分」を参照することによる方法である。
【0116】
用語「定量式吸入器」すなわちMDIは、缶、缶を覆う固定キャップ、及びキャップ中に位置する製剤計量バルブを含むユニットを意味する。MDIシステムは、好適なチャネリングデバイスを含む。好適なチャネリングデバイスは、例えば、バルブアクチュエータと、医薬が充填キャニスターから計量バルブを介して患者の鼻又は口腔へ送達され得る際に通る円筒状又は円錐状の通路(例えば、マウスピースアクチュエータ)とを含む。
【0117】
MDIキャニスターは、一般に、使用される推進剤の蒸気圧に耐え得る容器、例えば、プラスチック、又はプラスチックでコーティングされたガラスボトル、又は好ましくは金属缶、例えば、場合により陽極酸化、ラッカーコーティング及び/又はプラスチックコーティングすることができるアルミニウム又はその合金(例えば、内部表面の一部又は全てが、場合により1つ又は複数の非フルオロカーボンポリマーと組み合わされた1つ又は複数のフルオロカーボンポリマーでコーティングされている、国際公開公報第96/32099号を参照することによって本明細書に組み入れられる)を含み、その容器は計量バルブで密閉されている。キャップは、超音波溶接、ネジ式継手(screw fitting)又は圧着を介して缶上に固定することができる。本明細書において教示されるMDIは、当技術分野の方法によって調製することができる(例えば、Byron(上記)及び国際公開公報第96/32099号を参照されたい)。好ましくは、キャニスターには、キャップアセンブリが装着されており、ここで、薬物計量バルブはキャップ中に位置し、前記キャップは適当な位置で圧着されている。
【0118】
本出願の1つの実施態様において、缶の金属性の内部表面は、より好ましくは非フルオロポリマーとブレンドされている、フルオロポリマーでコーティングされる。本出願の別の実施態様において、缶の金属性の内部表面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリエーテルスルホン(PES)のポリマーブレンドでコーティングされる。本出願のさらなる実施態様において、缶の金属性の内部表面全体は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリエーテルスルホン(PES)のポリマーブレンドでコーティングされる。計量バルブは、作動毎に所定量の製剤を送達し、かつバルブを通る推進剤の漏出を防止するためのガスケットを組み込むように設計される。ガスケットは、例えば、低密度ポリエチレン、クロロブチル、ブロモブチル、EPDM、黒色及び白色のブタジエン−アクリロニトリルゴム、ブチルゴムならびにネオプレンのような任意の好適なエラストマー材料を含み得る。好適なバルブは、エアロゾル産業において周知の製造業者、例えば、Valois, France (例えば、DF10、DF30、DF60)、Bespak pic, UK (例えば、BK300、BK357)及び3M-Neotechnic Ltd, UK(例えば、Spraymiser(商標))から市販されている。様々な実施態様において、MDIはまた、特に限定されないが、MDIを保存及び含有するためのオーバーラップパッケージ(米国特許第6,119,853号;第6,179,118号;第6,315,112号;第6,352,152号;第6,390,291号;及び第6,679,374号に記載されているものを含む)、ならびに用量計数ユニット(例えば、特に限定されないが、米国特許第6,360,739号及び第6,431,168号に記載されているもの)のような他の構造体と併せて使用することができる。
【0119】
薬学的エアロゾル製造の当業者に周知である従来のバルク製造法及び機構が、充填キャニスターの工業生産のための大規模バッチの調製に用いられ得る。従って、例えば、懸濁エアロゾル製剤を調製するための1つのバルク製造法においては、計量バルブをアルミニウム缶上に圧着させ、空のキャニスターを形成する。微粒子医薬を投入槽に加え、液化推進剤を任意の賦形剤と一緒に投入槽を通じて製造槽に圧送充填する。薬物懸濁液を混合した後に充填機に再循環させ、次に、薬物懸濁液のアリコートを計量バルブを通じてキャニスターに充填する。溶液エアロゾル製剤を調製するためのバルク製造法の1つの例として、計量バルブをアルミニウム缶上に圧着させ、空のキャニスターを形成する。液化推進剤を任意の賦形剤及び溶解した医薬と一緒に、投入槽を通じて製造槽に圧送充填する。
【0120】
ある代替プロセスでは、液化製剤のアリコートを、製剤が確実に気化しないように十分に冷却された条件下で開口したキャニスターに加え、次に、計量バルブをキャニスター上に圧着させる。
【0121】
典型的には、薬学的用途に調製されたバッチでは、各充填キャニスターは、放出試験の前に、秤量され、バッチ番号でコード化され、保存用トレイにパッケージングされる。本出願の多形又は塩を含む懸濁剤及び液剤はまた、噴霧器を介して患者に投与することができる。噴霧のために利用される液剤又は懸濁剤は、水、食塩水、アルコール類又はグリコール類、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど又はそれらの混合物のような、任意の薬学的に許容し得る液体とすることができる。食塩溶液は、投与後に薬理活性をほとんど示さないか又は全く示さない塩を利用する。有機塩(例えば、アルカリ金属又はアンモニウムハロゲン塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム)、又は有機塩(例えば、カリウム、ナトリウム及びアンモニウム塩)、又は有機酸(例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸、酒石酸など)のいずれもがこの目的のために使用することができる。
【0122】
他の薬学的に許容し得る賦形剤が懸濁剤又は液剤に加えられ得る。本出願の多形又は塩は、無機酸(例えば、塩酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸);有機酸(例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸及び酒石酸など)、錯化剤(例えば、EDTA又はクエン酸及びその塩);又は抗酸化剤(例えば、ビタミンE又はアスコルビン酸のような抗酸化剤)の添加によって安定化することができる。これらは、本出願の多形又は塩を安定化させるために、単独で又は一緒に使用することができる。塩化ベンザルコニウム又は安息香酸及びその塩のような保存剤が加えられ得る。界面活性剤は、特に懸濁剤の物理安定性を改善するために加えられ得る。これらは、レシチン、ジオクチルスルホコハク酸二ナトリウム、オレイン酸及びソルビタンエステルを含む。
【0123】
適応症及び処置の方法
本明細書において記載されるように、化合物1、2及び3は、ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)を阻害する。上流キナーゼによるBtkの活性化は、ホスホリパーゼ−Cγの活性化をもたらし、これが前炎症性メディエーターの放出を刺激する。化合物1、2及び3は、喘息の処置に有用である。本出願は、化合物1、2又は3を、吸入による送達のための喘息の処置に有用な薬学的に許容し得る担体、賦形剤又は希釈剤と混合して含有する、医薬組成物又は製剤をさらに開示する。
【0124】
本出願は、本明細書において記載されるような化合物1、2又は3の吸入を介する、Btk活性の阻害に応答する喘息を有する患者を処置する方法を提供する。
【0125】
本出願は、吸入を介するBtk活性の阻害に応答する喘息を有する患者を処置するための、本明細書において記載されるような化合物1、2又は3の使用を提供する。
【0126】
本出願は、吸入を介するBtk活性の阻害に応答する喘息を有する患者を処置するための医薬の製造のための、本明細書において記載されるような化合物1、2又は3の使用を提供する。
【0127】
本出願は、吸入を介するBtk活性の阻害に応答する喘息を有する患者を処置する際に使用するための、本明細書において記載されるような化合物1、2又は3を提供する。
【0128】
本出願は、本明細書において上述される発明を提供する。
【0129】
併用処置
誤解を避けるために、本明細書における「処置」への言及は、治癒的、緩和的及び予防的な処置への言及を含む。
【0130】
本出願の別の実施態様によれば、本出願の化合物1、2若しくは3又はその組成物はまた、特に限定されないが、(i)気管支収縮、(ii)炎症、(iii)アレルギー、(iv)気道リモデリング、(v)息切れ、咳のような徴候及び症状を含む、病態生理学的に関連する疾患過程の処置などのいくつかの特に望ましい治療最終結果を得るために患者に共投与される1つ又は複数の追加の治療薬剤との組み合わせとして使用することができる。
【0131】
本明細書において使用されるように、用語「共投与」、「共投与された」及び「組み合わせて」は、本出願の化合物1、2又は3及び1つ又は複数の他の治療薬剤について言及する場合、以下を意味し、指し、かつ含むことを意図する:
・ 処置を必要とする患者への本出願の化合物1、2又は3と治療薬剤のそのような組み合わせの同時投与(そのような成分が単一剤形に一緒に製剤化されており、前記成分を前記患者へ実質的に同時に放出する場合)
・ 処置を必要とする患者への本出願の化合物1、2又は3と治療薬剤のそのような組み合わせの実質的に同時投与(そのような成分が別個の剤形に互いに別々に製剤化されており、前記患者によって実質的に同時に摂取されると前記成分が前記患者へ実質的に同時に放出される場合)
・ 処置を必要とする患者への本出願の化合物1、2又は3と治療薬剤のそのような組み合わせの連続投与(そのような成分が別個の剤形に互いに別々に製剤化されており、前記患者によって各投与間で有意な時間間隔をあけて連続的な時間で摂取されると前記成分が前記患者へ実質的に異なる時間で放出される場合);及び
・ 処置を必要とする患者への本出願の化合物1、2又は3と治療薬剤のそのような組み合わせの連続投与(そのような成分が単一剤形に一緒に製剤化されており、制御された様式で前記成分を放出すると、前記成分が前記患者によって同じ及び/又は異なる時間で同時に、連続的に及び/又は重複的に投与される(各部分は同じ経路又は異なる経路のいずれかによって投与することができる)場合)。
【0132】
化合物1、2若しくは3、又はその薬学的に許容し得る塩、その誘導形態又は組成物と組み合わせて使用することができる他の治療薬剤の好適な例は、特に限定されないが、以下を含む:
(a)5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害薬又は5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)拮抗薬、
(b)LTB、LTC、LTD及びLTEの拮抗薬を含む、ロイコトリエン拮抗薬(LTRA)、
(c)H1及びH3拮抗薬を含む、ヒスタミン受容体拮抗薬、
(d)充血除去剤使用のための、α−及びα−アドレナリン受容体作動血管収縮交感神経様作用薬、
(e)短期又は長期作用β作動薬、
(f)PDE阻害薬、例えば、PDE3、PDE4及びPDE5阻害薬
(g)テオフィリン
(h)クロモグリク酸ナトリウム、
(i)非選択的及び選択的なCOX−1又はCOX−2阻害薬の両方であるCOX阻害薬(NSAID)、
(j)経口及び吸入糖質コルチコステロイド、
(k)内因性炎症性実体に対して活性なモノクローナル抗体、
(I)抗腫瘍壊死因子(抗TNF−α)剤、
(m)VLA−4拮抗薬を含む、接着分子阻害薬、
(n)キニン−B−及びB−受容体拮抗薬、
(o)免疫抑制剤、
(p)マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の阻害薬、
(q)タキキニンNK、NK及びNK受容体拮抗薬、
(r)エラスターゼ阻害薬、
(s)アデノシンA2a受容体作動薬、
(t)ウロキナーゼの阻害薬、
(u)ドーパミン受容体に作用する化合物、例えば、D2作動薬、
(v)NFκB経路のモデュレーター、例えば、IKK阻害薬、
(w)p38MAPキナーゼ又はsykキナーゼのような、サイトカインシグナル伝達経路のモジュレーター、
(x)粘液溶解薬又は鎮咳薬として分類され得る薬剤、
(y)抗生物質、
(z)HDAC阻害薬、
(aa)PI3キナーゼ阻害薬、
(bb)CXCR2拮抗薬、及び
(cc)ムスカリン拮抗薬。
【0133】
本出願は、化合物1、2又は3と以下との組み合わせを提供する:
− H3拮抗薬、
− β作動薬、
− ムスカリン拮抗薬
− PDE4阻害薬、
− ステロイド類、特に、糖質コルチコステロイド、
− アデノシンA2a受容体作動薬、
− p38MAPキナーゼ又はsykキナーゼのような、サイトカインシグナル伝達経路のモデュレーター、又は
− LTB、LTC、LTD及びLTEの拮抗薬を含む、ロイコトリエン拮抗薬(LTRA)。
【0134】
本出願は、化合物1、2又は3と以下との組み合わせを提供する:
− 糖質コルチコステロイド、特に、全身性副作用が低減された吸入糖質コルチコステロイド(プレドニゾン、プレドニゾロン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン、シクレソニド及びフランカルボン酸モメタゾンを含む)、又は
− β2作動薬(特に、サルブタモール、テルブタリン、バンブテロール、フェノテロール、サルメテロール、ホルモテロール、ツロブテロール及びそれらの塩を含む)、又は
− ムスカリン拮抗薬(臭化チオトロピウム、臭化イプラトロピウム、臭化ウメクリジニウム、グリコピロレート、臭化オキシトロピウム、臭化アクリジウム(aclidium bromide)、臭化ダロトロピウム及びPF−3635659を含む)。
【0135】
本出願は、喘息の処置における使用のための、上述されるような組み合わせを提供する。
【0136】
本出願は、喘息の処置のための、上述されるような組み合わせの使用を提供する。
【0137】
実施例
一般的な略語
一般的に使用される略語は、以下を含む:アセチル(Ac)、アゾ−ビス−イソブチリルニトリル(AIBN)、気圧(Atm)、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN又はBBN)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ピロ炭酸ジ−tert−ブチル又はboc無水物(BOCO)、ベンジル(Bn)、ブチル(Bu)、ケミカルアブストラクト登録番号(Chemical Abstracts Registration Number)(CASRN)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ又はZ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)、ジベンジリデンアセトン(dba)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ジクロロメタン(DCM)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジ−イソ−プロピル(DIAD)、水素化ジ−イソ−ブチルアルミニウム(DIBAL又はDIBAL−H)、ジ−イソ−プロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、エチル(Et)、酢酸エチル(EtOAc)、エタノール(EtOH)、2−エトキシ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル(EEDQ)、ジエチルエーテル(EtO)、エチルイソプロピルエーテル(EtOiPr)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート酢酸(HATU)、酢酸(HOAc)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、イソ−プロパノール(IPA)、塩化イソプロピルマグネシウム(iPrMgCl)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、リチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA)、メタノール(MeOH)、融点(mp)、MeSO−(メシル又はMs)、メチル(Me)、アセトニトリル(MeCN)、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、質量スペクトル(ms)、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、n−ブチルリチウム(nBuLi)、N−カルボキシ無水物(NCA)、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−メチルピロリドン(NMP)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、ジクロロ−((ビス−ジフェニルホスフィノ)フェロセニル)パラジウム(II)(Pd(dppf)Cl)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))、ジクロム酸ピリジニウム(PDC)、フェニル(Ph)、プロピル(Pr)、イソ−プロピル(i−Pr)、ポンド/平方インチ(psi)、ピリジン(pyr)、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1’−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(Q−Phos)、室温(周囲温度、rt又はRT)、sec−ブチルリチウム(sBuLi)、tert−ブチルジメチルシリル又はt−BuMeSi(TBDMS)、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAF)、トリエチルアミン(TEA又はEtN)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)、トリメチルシリルエトキシメチル(SEM)、トリフラート又はCFSO−(Tf)、トリフルオロ酢酸(TFA)、1,1’−ビス−2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−2,6−ジオン(TMHD)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、テトラヒドロフラン(THF)、トリメチルシリル又はMeSi(TMS)、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOH又はpTsOH)、4−Me−CSO−又はトシル(Ts)、及びN−ウレタン−N−カルボキシ無水物(UNCA)。アルキル部分と共に使用される場合、接頭語ノルマル(n)、イソ(i−)、第二級(sec−)、第三級(tert−)及びネオを含む従来の命名法はそれらの慣用の意味を有する(J. Rigaudy and D. P. Klesney, Nomenclature in Organic Chemistry, IUPAC 1979Pergamon Press, Oxford.)。
【0138】
一般条件
本出願の化合物は、市販の出発物質から開始して、当業者に公知の一般的な合成技術及び手順を利用することによって調製することができる。以下の概説は、そのような化合物を調製するための好適な反応スキームである。さらなる例示については、特定の実施例に見いだすことができる。
【0139】
特定の略語
boc tert−ブトキシカルボニル
CHCl ジクロロメタン
CsCO 炭酸セシウム
DCM ジクロロメタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
ヒューニッヒ塩基(Hunig's Base) N,N−ジイソプロピルエチルアミン
HCl 塩化水素
LC−MS 液体クロマトグラフィー質量分析
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
MeOH メチルアルコール
MgSO 硫酸マグネシウム
nBuLi n−ブチルリチウム
NaCl 塩化ナトリウム
NaCO 炭酸ナトリウム
NaOMe ナトリウムメトキシド
NaSO 硫酸ナトリウム
NHOH 水酸化アンモニウム
NMP 1−メチル−2−ピロリジノン
NMR 核磁気共鳴
Pd(OAc) 酢酸パラジウム(II)
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
TMSCl 塩化トリメチルシリル。
【0140】
一般的な実験詳細
試薬は、Aldrich、Oakwood、Matrix又は他の販売業者から購入し、さらに精製することなく使用した。加熱にマイクロ波照射を使用する反応は、Personal Chemistry Emrys Optimizer System又はCEM Discovery Systemのいずれかを使用して実施した。数ミリグラム〜数グラムスケールの精製は、シリカゲルフラッシュカラムの溶離などの当業者に公知の方法によって実施し;また、場合によっては、数グラムのシリカゲルが予め充填されたディスポーザブルカラム(RediSep)を使用してCombiFlash systemで溶離させることによる、分取フラッシュカラム精製も行った。また、Biotage(商標)及びISCO(商標)は、中間体の精製のために本出願において使用され得るフラッシュカラム装置である。
【0141】
化合物の同定及び純度の確認のために、LC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)スペクトルを以下のシステムを使用して記録した。質量スペクトルの測定のために、当該システムは、Micromass Platform II 分光計:ESイオン化(ポジティブモード)(質量範囲:150〜1200)から構成される。同時クロマトグラフィー分離は、以下のHPLCシステムで達成した:ES Industries Chromegabond WR C-18 3u 120Å(3.2×30mm)カラムカートリッジ;移動相A:水(0.02%TFA)及び相B:アセトニトリル(0.02%TFA);勾配10%B〜90%Bで3分間;1分間の平衡時間;流速2mL/分。
【0142】
また、後述される化合物を、当業者に周知の方法を使用した逆相HPLCによって精製した。場合によっては、Shimadzu分取HPLCシステム及びLeap自動注入装置に取り付けられたGilson 215コレクターを制御するPE Sciex 150 EX Mass Specを使用して、分取HPLC精製を実施した。LC/MS検出を使用して陽イオン検出で流れてくる溶離液から化合物を回収した:C−18カラム(2.0×10cm、20mL/分で溶離)からの化合物の溶離は、適切な線形勾配モードを使用して、溶媒(A)0.05%TFA/HO及び溶媒(B)0.035%TFA/アセトニトリルで10分かけて実施した。HPLCシステムへの注入のために、粗試料をメタノール、アセトニトリル及びDMSOの混合物に溶解した。
【0143】
化合物は、Brukerの400MHz NMR分光計を使用したH−NMR、又はLCMSのいずれかによって特性決定した。
【0144】
本出願の化合物は、公知の技術に従って合成することができる。以下の実施例及び参考文献は、本出願の理解を助けるために提供される。しかしながら、実施例は、本出願を限定することを意図するものではなく、その真の範囲は、添付の特許請求の範囲において明記される。実施例中の最終生成物の名称は、Isis AutoNom 2000を使用して生成した。
【0145】
調製例
化合物1の調製
工程1. 6−ニトロ−3’,6’−ジヒドロ−2’H−[3,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
【化11】
【0146】
方法A
500mLの丸底フラスコ中、5−ブロモ−2−ニトロピリジン(6.56g、32.3mmol)及び4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボン酸tert−ブチル(10g、32.3mmol)をジオキサン(160ml)と合わせて、明黄色の溶液を得た。CsCO(21.1g、64.7mmol)及び水(6ml)を加えた。反応混合物をアルゴンで脱気した後、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(2.27g、3.23mmol)を加えた。反応混合物を80℃まで加熱し、15時間撹拌した。反応混合物を500mLのHOに注ぎ、EtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、220g、ヘキサン中の10%〜40%EtOAc)によって精製して、ピンクの固体を与えた。得られた固体をエーテルでトリチュレートして、所望の生成物を固体(4.8g)として与えた。トリチュレーションからの濾液と第一のクロマトグラフィーからの混合した画分を合わせ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、220g、ヘキサン中の20%〜40%EtOAc)によって精製して、追加の生成物(2.2g)を与えた。1H NMR (400 MHz, CHCl3-d) δ ppm 1.52 (s, 9 H) 2.59 (d, J=1.52 Hz, 2 H) 3.72 (t, J=5.56 Hz, 2 H) 4.19 (d, J=3.03 Hz, 2 H) 6.35 (br. s., 1 H) 7.97 (dd, J=8.46, 2.40 Hz, 1 H) 8.27 (d, J=8.34 Hz, 1 H) 8.67 (d, J=2.27 Hz, 1 H)。
【0147】
方法B
機械撹拌器、加熱マントル、冷却器、温度計を備えた12.0Lの三口フラスコに、5−ブロモ−2−ニトロピリジン(322g、1.59mol)、炭酸カリウム(658g、4.76mol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボン酸tert−ブチル(500g、1.62mol)、1,4−ジオキサン(3.24kg、3.14l)及び水(314g、314ml)を投入した。その溶液を真空引きし、次にNを放出することによって3回脱気した。強いN流下で、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(ii)ジクロリド(11.1g、15.9mmol)を加えた。反応混合物を80℃で5時間撹拌した。加熱を停止し、反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。その混合物を40℃まで加熱し、次に、木炭(200g、16.7mol)を加えた。その混合物を40℃で1時間撹拌した。その混合物を30℃まで冷却し、次に、セライト(Celite)(商標)に通して濾過し、大量のジオキサンで洗浄した。合わせた濾液及び洗浄物に、過酸化水素(50.0g、45.0ml、441mmol)を加え、その混合物を周囲温度で1時間撹拌した。帯赤色の溶液を室温で48時間保存し、次に、低容量溶液になるまで真空下50℃で濃縮した(約3226gの重量)。その溶液を12Lの三口フラスコに移し、N下、室温で一晩保存した。その溶液を40℃まで加熱し、次に、水(3.38kg、3.38l、188mol)にゆっくり加えた。固体が晶出した。加熱を停止し、混合物を室温まで放冷した。混合物を8℃まで冷却し、2時間撹拌した。固体を濾過し、1:2 ジオキサン/水、続いて、水で洗浄した。固体を真空によって30分間乾燥させた。その固体を乾燥トレイに移し、次に、真空オーブン中、50℃/26インチHgでN抽気しながら一定重量まで乾燥させて、460g(95%)の所望の生成物を与えた。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.43 (s, 9 H) 2.55 (d, J=1.89 Hz, 2 H) 3.47 - 3.73 (m, 2 H) 4.08 (d, J=2.64 Hz, 2 H) 6.57 (br. s., 1 H) 8.20 - 8.26 (m, 1 H) 8.27 - 8.33 (m, 1 H) 8.77 (d, J=1.89 Hz, 1 H)。
【0148】
工程2. 6−アミノ−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2’H−[3,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
【化12】
【0149】
方法A
500mLの丸底フラスコ中、EtOH(300ml)及び酢酸エチル(75ml)中の4−(6−ニトロピリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボン酸tert−ブチル(4.9g、16.0mmol)をパラジウム担持炭素(1.32g、1.24mmol)と合わせた。反応混合物を水素で2回排気し、次に、水素充填バルーンを付けて一晩撹拌した。LC/MS分析は、反応が完了したことを示した。反応混合物を窒素でパージし、セライトに通して濾過した。そのセライトケーキをEtOAcで数回洗浄した。その無色の合わせた濾液及び洗浄物にCHClを加え、その溶液を蒸発乾固した。再度CHClを加え、その溶液を真空下で濃縮して、定量的収率の所望の生成物を与えた。(M+H)+ = 278 m/e。
【0150】
方法B
反応器の前処理:20Lの水素化反応器に、10gのPd/C及び8Lの酢酸エチルを投入した。その混合物を60℃で4時間撹拌した。加熱を停止し、懸濁液を室温まで冷ました。その懸濁液を流し出した。20Lの水素化反応器に、酢酸エチル(2.3kg、2.56l)中の4−(6−ニトロピリジン−3−イル)−5,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボン酸tert−ブチル(460g、1.51mol)の懸濁液を投入した。EtOH(2.02kg、2.56l)を使用して、懸濁液を含有するフラスコからの残渣を水素化反応器にすすぎ入れた。次に、Pd/C(160g、75.4mmol)を加えた。その懸濁液をNで3回、そしてHで3回脱気した後、反応物を500psiの水素下、60℃で3時間撹拌した。反応器の内容物を流し出し、セライト(商標)に通して濾過し、大量の酢酸エチルで洗浄した。合わせた濾液及び洗浄物を、冷蔵室にて、N下で一晩保存し、次に、真空下40℃で濃縮乾固して、灰色の固体を得た。MTBE(1.53kg、2.06l、17.3mol)を加え、その溶液を真空下で低容量まで濃縮して、700mlの溶媒を除去した。N−ヘプタン(705g、1.03l、7.04mol)を加え、その溶液を真空下で濃縮して、400mlの溶媒を除去した。再度N−ヘプタン(705g、1.03l、7.04mol)を加え、その溶液を真空下で濃縮して、移動性のスラリーを得た。そのスラリーを室温で30分間撹拌し、次に、9℃まで冷却し、そこで45分間撹拌した。次に、その懸濁液を濾過し、冷ヘプタンで洗浄した。そのオフホワイトの固体を乾燥トレイに移し、真空オーブン中、30℃/26インチHgでN抽気しながら週末にわたり乾燥させた。その濾液から381g(91%)の所望の生成物が与えられた。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.18 - 1.53 (m, 11 H) 1.66 (d, J=11.33 Hz, 2 H) 2.76 (br. s., 2 H) 4.04 (d, J=12.46 Hz, 2 H) 5.67 (s, 2 H) 6.38 (d, J=8.69 Hz, 1 H) 7.25 (dd, J=8.50, 2.45 Hz, 1 H) 7.76 (d, J=2.27 Hz, 1 H)。
【0151】
工程3. 6−(6−クロロ−2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−イルアミノ)−3’,4’,5’,6’−テトラヒドロ−2’H−[3,4’]ビピリジニル−1’−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製
【化13】
【0152】
方法A
4−ブロモ−6−クロロ−2−メチルピリダジン−3(2H)−オン(3.59g、16.0mmol)、4−(6−アミノピリジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(4.45g、16.0mmol)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(696mg、1.2mmol)及び炭酸セシウム(18.3g、56.2mmol)をアルゴン雰囲気下でジオキサン(150ml)に懸濁した。最後に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(551mg、602μmol)を加えた。反応混合物を90℃で一晩加熱した。その反応混合物をセライトで濾過し、そのセライトケーキをジオキサンで数回洗浄した。合わせた濾液及び洗浄物を真空下で濃縮した。得られた固体をEtOAcでトリチュレートし、エーテルで洗浄し、真空オーブン中、50℃で一晩乾燥させて、4.57gの所望の生成物を白色の固体として与えた。合わせた濾液及び洗浄物を蒸発乾固し、CHCl(4ml)に溶解し、次に、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、120g Analogixカラム、ヘキサン中の20%〜50%EtOAcで20分間かけて)によって精製して、追加の582mgを与えた。総収率(5.15g、12.3mmol、収率76.4%)。(M+H)+ = 420 m/e; 1H NMR (400 MHz, CHCl3-d) δ ppm 1.50 (s, 9 H) 1.54 - 1.69 (m, 3 H) 1.83 (d, J=13.64 Hz, 2 H) 2.67 (tt, J=12.38, 3.66 Hz, 1 H) 2.83 (t, J=13.14 Hz, 2 H) 3.82 (s, 3 H) 6.89 (d, J=8.59 Hz, 1 H) 7.51 (dd, J=8.46, 2.40 Hz, 1 H) 8.25 (d, J=2.27 Hz, 1 H) 8.27 (br. s., 1 H) 8.30 (s, 1 H)。
【0153】
方法B
機械撹拌器、Nバブラー及び温度計を備えた12Lの三口フラスコに、4−(6−アミノピリジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(381g、1.37mol)、続いて、THF(2.35kg、2.67l)を投入した。これら試薬が溶液になるまで反応混合物を撹拌した。THF中の2.5Mナトリウムtert−ペントキシド(577ml、1.44mol)をその溶液に滴下した。温度が22℃から25℃に変化した。その反応混合物を30分間撹拌した。THF(1.17kg、1.33l)中の4−ブロモ−6−クロロ−2−メチル−2H−ピリダジン−3−オン(322g、1.44mol)の溶液を総容量1640mLで調製した。820mLの4−ブロモ−6−クロロ−2−メチル−2H−ピリダジン−3−オンの溶液(0.5当量)を、4−(6−アミノピリジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルに30分間かけてゆっくり加えた(水浴にいくらの氷を加えることによって反応物の温度を30℃未満に維持しながら)。その反応混合物を30分間以上撹拌した。THF中の2.5Mナトリウムtert−ペントキシド(275ml、687mmol)を反応混合物に加え、次に、その混合物をさらに20分間撹拌した。410mL超の4−ブロモ−6−クロロ−2−メチル−2H−ピリダジン−3−オンの溶液(0.25当量)を、温度を30℃未満に維持しながらゆっくり加え、次に、その反応混合物を20分間撹拌した。THF中の2.5Mナトリウムtert−ペントキシド(137ml、343mmol)をその反応混合物に加え、次に、その混合物をさらに20分間撹拌した。最終410mLの4−ブロモ−6−クロロ−2−メチル−2H−ピリダジン−3−オンの溶液(0.25当量)を、温度を30℃未満に維持しながら加え、次に、その反応混合物をさらに20分間撹拌した。THF中の2.5Mナトリウムtert−ペントキシド(137ml、343mmol)をその反応混合物に加え、次に、その赤色の混合物をさらに1時間20分間撹拌した。クエン酸(264g、1.37mol)を水(1.14kg、1.14l)に溶解することによって調製した600mlのクエン酸の溶液(約20%溶液)を、温度を30℃未満に維持しながらその反応物にゆっくり加え、反応物のpHを4.6にした。その反応混合物が黄色の懸濁液に変化した。水(800ml)を加えた。その混合物を50℃まで加熱し、2時間撹拌した。その反応混合物を一晩かけて室温まで冷まし、撹拌しやすい良好な黄色の懸濁液を得た。その懸濁液を20LのBuchiフラスコに移し、真空下40℃で濃縮して、約3.2Lの溶媒を除去した。そのスラリーを室温で3時間撹拌し、次に、テーブルトップロートを使用して固体を濾過し、水で洗浄した。そのオフホワイトの固体を吸引によって1時間乾燥させた。その固体を、真空オーブン中、60℃/26インチHgでN抽気しながら一定重量まで乾燥させて、488g(84%)の所望の生成物を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.42 (s, 9 H) 1.50 (dd, J=12.65, 3.59 Hz, 2 H) 1.74 (d, J=11.33 Hz, 2 H) 2.58 - 2.96 (m, 3 H) 3.68 (s, 3 H) 4.07 (d, J=12.09 Hz, 2 H) 7.48 (d, J=8.69 Hz, 1 H) 7.67 (dd, J=8.50, 2.45 Hz, 1 H) 8.27 (d, J=2.27 Hz, 1 H) 8.33 (s, 1 H) 9.62 (s, 1 H)。
【0154】
工程4. 6−クロロ−2−メチル−4−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−2H−ピリダジン−3−オンの調製
【化14】
【0155】
方法A
4−(6−(6−クロロ−2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イルアミノ)ピリジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(2.0g、4.76mmol)を、ギ酸(40.0ml)と37%ホルムアルデヒド(80.0ml)の溶媒混合物に溶解した。反応が完了したことがLCMS分析によって決定されるまで、その反応混合物を70℃で一晩撹拌し、次に、周囲温度まで冷ました。水を加え、得られた水性混合物をCHClで洗浄し、CHCl層を廃棄した。水層のpHを固体KCOでpH=12に慎重に調整すると、固体が沈殿した。その固体を濾過によって回収し、水で洗浄し、真空オーブン中、50℃で72時間かけて乾燥させて、1.4gの所望の生成物を与えた。(M+H)+ = 334 m/e. 1H NMR (300 MHz, CHCl3-d) δ ppm 1.84 (dd, J=8.31, 3.02 Hz, 4 H) 1.99 - 2.19 (m, 2 H) 2.35 (s, 3 H) 2.42 - 2.68 (m, 1 H) 3.02 (d, J=12.09 Hz, 2 H) 3.81 (s, 3 H) 6.86 (d, J=8.31 Hz, 1 H) 7.52 (dd, J=8.50, 2.46 Hz, 1 H) 8.16 - 8.33 (m, 3 H)。
【0156】
方法B
機械撹拌器、Nバブラー、温度計、冷却器及び加熱マントルを備えた5.0Lの三口フラスコに、4−(6−(6−クロロ−2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イルアミノ)ピリジン−3−イル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(488g、1.16mol)を投入した。このフラスコに、ギ酸(2.34kg、1.95l)を加えた。反応混合物が暗色の溶液になった。その溶液を55℃まで加熱し、1時間撹拌した。脱保護が完了したことがHPLCによって判断された。37%ホルムアルデヒド水溶液(472g、433ml、5.81mol)をその混合物に加えた。その反応混合物を85℃まで加熱し、3時間撹拌した。加熱を停止し、その反応混合物を一晩かけて室温まで放冷し、次に、真空下70℃で濃縮して、暗色の油状物を得た。その油状物を12Lの三口フラスコに移し、そこにIPA(593g、761ml)を加えた。固体が晶出した。その固体に20%KCO水溶液(pH8.3にするために全部で2650ml)を加えると、塩基の添加の間に混合物は溶液になり、次に、pH7で、再び白色の懸濁液になった。その懸濁液を65℃で3時間加熱し、次に、一晩かけて周囲温度までゆっくり冷ました。テーブルトップロートを使用して固体を濾過によって回収した。その白色の固体を水で洗浄した。その固体をヘプタンで洗浄し、吸引によって乾燥させ、次に、真空オーブン中、75℃/26インチHgでN抽気しながら一晩さらに乾燥させて、367g(94%)の所望の生成物を与えた。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.57 - 1.76 (m, 4 H) 1.94 (td, J=11.24, 3.59 Hz, 2 H) 2.18 (s, 3 H) 2.38 - 2.47 (m, 1 H) 2.85 (d, J=11.33 Hz, 2 H) 3.68 (s, 3 H) 7.48 (d, J=8.69 Hz, 1 H) 7.58 - 7.71 (m, 1 H) 8.26 (d, J=2.64 Hz, 1 H) 8.33 (s, 1 H) 9.61 (s, 1 H)。
【0157】
工程5. 2−(6−tert−ブチル−8−フルオロ−1−オキソ−1H−フタラジン−2−イル)−4−ヨード−ピリジン−3−カルバルデヒドの調製
【化15】
【0158】
方法A
1Lの丸底フラスコ中、6−tert−ブチル−8−フルオロフタラジン−1(2H)−オン(5.6g、25.4mmol)をTHF(300ml)と合わせて、無色の溶液を得た。水素化ナトリウム(1.12g、28.0mmol)を加えた。その反応混合物を周囲温度で10分間撹拌した。2−フルオロ−4−ヨードニコチンアルデヒド(7.02g、28.0mmol)を加え、その反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。反応が完了したことがLCMS分析によって決定された。その反応混合物を飽和NHClでクエンチした。その反応混合物を200mLのHOに注ぎ、CHClで3回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、次に、NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。得られた鮮やかな黄色の固体を濾過用ロートに移し、フラスコを少量のEtOAcで2回洗浄して、その固体をロートへ完全に移した。液体は濾過した。その固体をEtOで2回トリチュレートし、真空下で乾燥させて、所望の生成物をクリーム色の固体(8.09g、17.9mmol、収率70.5%)として与えた。(M+H)+ = 452 m/e. 1H NMR (400 MHz, CHCl3-d) δ ppm 1.44 (s, 9 H) 7.49 - 7.54 (m, 1 H) 7.54 (d, J=1.77 Hz, 1 H) 8.03 (d, J=5.31 Hz, 1 H) 8.30 (d, J=2.53 Hz, 1 H) 8.37 (d, J=5.31 Hz, 1 H) 9.98 (s, 1 H)。
【0159】
方法B
50Lのジャケット付反応器に、6−tert−ブチル−8−フルオロフタラジン−1(2H)−オン(799g、3.63mol)及びTHF(5.28kg、6.00l)を投入した。この黄色の懸濁液を、温度を<29℃に維持しながら、THF中の1M LiHMDS溶液(4.00l、4.00mol)で30分間かけて滴下処理した。添加が完了した後、その褐色の溶液を約22℃で40分間撹拌した。その反応物を60℃まで加熱した。反応物が温度に達したら、THF(5.28kg、6.00l)中の2−フルオロ−4−ヨードニコチンアルデヒド(1.00kg、3.99mol)のゆっくりとした添加を開始した。注記:アルデヒド溶液の添加から約10分で、橙色−赤色の懸濁液が生じた。添加が完了したら、反応物は暗褐色の溶液になった。その反応物を65℃で15分間加熱した。加熱を「オフ」に切り替えた。
【0160】
その反応物を室温まで放冷し、室温で一晩かき混ぜた。水(6L)をその反応混合物に一度に加えると、発熱(20〜26℃)が観察された。その混合物を約50分間かき混ぜた。THFの大部分(17L)を真空下(浴温度:42℃)で除去して、橙色の懸濁液を生成した。2−プロパノール(4.68kg、6.00l)をフラスコに加え、混合物を60℃で15分間加熱した。その反応混合物をかき混ぜながら一晩かけて室温まで冷ました。その生成物を粗目のフリット付きテーブルトップロートに通して濾過し、1.6LのIPA(3.2L)で2回洗浄し、吸引によって乾燥させた。湿潤ケーキ(2.155kgの橙色の固体)を、真空オーブン中、約27インチHg/50℃で窒素抽気しながら乾燥させて、1.31kg(79%)の所望の生成物を明褐色の固体として得た。
【0161】
工程6. 2−(6−tert−ブチル−8−フルオロ−1−オキソ−1H−フタラジン−2−イル)−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−3−カルバルデヒド
【化16】
【0162】
方法A
6−クロロ−2−メチル−4−(5−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピリジン−2−イルアミノ)ピリダジン−3(2H)−オン(1.4g、4.19mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.17g、4.61mmol)及び酢酸カリウム(1.23g、12.6mmol)をジオキサン(60ml)に懸濁した。その反応混合物をアルゴン下で脱気した。X−PHOS(300mg、629μmol)及び酢酸パラジウム(II)(47.1mg、210μmol)を加え、その反応混合物を、窒素雰囲気下、100℃(外部温度)で1時間撹拌した。アリコートをサンプリングして、それをメタノールに溶解し、出発塩化物の消失とボロン酸(M+1=344)の同時出現を観測しながら、しかし脱塩素化副生成物(M+1=300)の量が最小限に抑えられるように注意することによって、反応をLCMSにより注意深くモニタリングした。1時間後に反応が完了した。加熱浴の温度を80℃まで下げて、フラスコを加熱浴から引き上げたが、撹拌は続けた。2−(6−tert−ブチル−8−フルオロ−1−オキソフタラジン−2(1H)−イル)−4−ヨードニコチンアルデヒド(1.89g、4.19mmol)及び炭酸カリウム(1.74g、12.6mmol)、続いて、水(6.00ml)を加えた。トリシクロヘキシルホスフィン(118mg、419μmol)及びビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(121mg、210μmol)を加えた。その反応混合物を激しく撹拌しながら80℃で加熱して、2時間撹拌し、次に、その反応混合物を周囲温度まで冷ました。その反応混合物を水に注ぎ、穏やかに振盪しながらEtOAc(2×)に抽出した。合わせたEtOAc抽出物をブラインで洗浄した。水相をCHClで3回抽出した。CHCl及び酢酸エチル層を合わせて、合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗物質を50mlのCHCl中でスラリーにし、200mlのEtOを加えた。その固体を濾過し、EtOで洗浄した。第二のバッチの固体が沈殿し、濾過によって回収して、エーテルで洗浄した。両方のバッチは、所望の生成物と一致した類似のLCMS及びH−NMRスペクトルを有し、これらを合わせて1.62gの生成物を与えた。(M+H)+ = 623 m/e. 1H NMR (300 MHz, CHCl3-d) δ ppm 1.42 (s, 9 H) 1.88 (br. s., 3 H) 2.39 (br. s., 3 H) 2.46 - 2.64 (m, 1 H) 3.05 (br. s., 2 H) 3.89 (s, 3 H) 6.91 (d, J=8.31 Hz, 1 H) 7.38 - 7.66 (m, 3 H) 7.76 (d, J=5.29 Hz, 1 H) 8.19 - 8.38 (m, 3 H) 8.81 (s, 1 H) 8.87 (d, J=5.29 Hz, 1 H) 10.11 (s, 1 H)。
【0163】
方法B
反応器に、6−クロロ−2−メチル−4−(5−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピリジン−2−イルアミノ)ピリダジン−3(2H)−オン(450g、1.35mol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(513g、2.02mol)、トリシクロヘキシルホスフィン(22.7g、80.9mmol)、Pd(dba)(23.3g、40.4mmol)及び酢酸カリウム(265g、2.7mol)を投入した。2−メチルテトラヒドロフラン(10.0l)を真空で加えた。10で設定して撹拌を開始した。真空引きして、反応器を窒素で2回充填し戻した。反応混合物を、N雰囲気下、78℃(内部)/80℃(周囲(cir.))まで加熱した。その反応混合物を一晩加熱した。その反応器を10℃まで冷却した。反応温度が40℃以下まで下がったら、温度を30℃に設定した。2−(6−tert−ブチル−8−フルオロ−1−オキソフタラジン−2(1H)−イル)−4−ヨードニコチンアルデヒド(578g、1.28mol)、炭酸カリウム(373g、2.7mol)及び水(1.00l)を反応混合物に加えた。その反応物を74℃(内部温度)/78℃(周囲)まで加熱し、穏やかな還流を達成した。その反応混合物を還流で一晩加熱した。その反応混合物を40℃(周囲)/38℃(反応)まで冷却した。その反応混合物に、水(3.00l)中の(R)−2−アセトアミド−3−メルカプトプロパン酸(33.0g、202mmol)溶液を加えた。その反応混合物を38℃(内部)/40℃(周囲)で3時間撹拌した。水(6L)を加え、次に、9.5LのMeTHFを蒸留した(周囲温度、40℃以下)。撹拌しながら混合物の温度を23℃に維持して、IPA(3L)を加えた。一晩かけて非常にゆっくり濾過した後、固体を濾過によって回収した(Chem glassの50Lフィルター)。反応器に、HO(5L)を投入した。次に、そのフィルターケーキを反応器からの水で洗浄した。濾過をゆっくり続けた。そのフィルターケーキをIPA(6L)で洗浄し、その間、フィルターが小さな粒子で完全に覆われた。その物質を大きなテーブルトップフィルターに移し、次に、IPAによる濾過を続けた。その固体をnヘプタンで洗浄した。小さな粒径を有する生成物のいくらかが濾過されて得られ、そのようにしてその後も生成物が回収された。その固体を一晩風乾して、完全に乾燥されていない標記化合物(797g)を得たが、これを工程6の方法Bでそのまま使用した。
【0164】
工程6. 6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−{3−ヒドロキシメチル−4−[1−メチル−5−(1’−メチル−1’,2’,3’,4’,5’,6’−ヘキサヒドロ−[3,4’]ビピリジニル−6−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−ピリジン−2−イル}−2H−フタラジン−1−オン
【化17】
【0165】
方法A
250mLの丸底フラスコ中、2−(6−tert−ブチル−8−フルオロ−1−オキソフタラジン−2(1H)−イル)−4−(1−メチル−5−(5−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピリジン−2−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ニコチンアルデヒド(1.62g、2.6mmol)を脱水CHCl(45ml)及び脱水MeOH(20mL)と合わせて、褐色の溶液を得た。水素化ホウ素ナトリウム(177mg、4.68mmol)を加え、反応物を周囲温度で1時間撹拌した後、飽和NHClでクエンチした。その反応混合物を50mLのHOで希釈し、CHCl(3×150mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗物質をフラッシュクロマトグラフィー[シリカゲル、80g、CHCl中の0%〜50%(60:10:1 CHCl:MeOH:NHOH)]によって精製して、わずかに不純な泡状物を与えた。その泡状物を30mlのEtO及び10mlのEtOAc中でスラリーにし、次に、重い撹拌子を用いてゆっくり1時間撹拌すると、白色の固体が生じた。その固体を濾過によって回収し、真空下50℃で48時間乾燥させて、所望の生成物を白色の固体(880mg)として与えた。(M+H)+ = 625 m/e. 1H NMR (300 MHz, CHCl3-d) δ ppm 1.44 (s, 9 H) 1.87 (br. s., 3 H) 2.15 (br. s., 2 H) 2.39 (br. s., 3 H) 2.52 (t, J=7.74 Hz, 1 H) 3.04 (br. s., 2 H) 3.82 - 3.91 (m, 1 H) 3.93 (s, 3 H) 4.46 - 4.63 (m, 2 H) 6.93 (d, J=8.69 Hz, 1 H) 7.42 - 7.59 (m, 3 H) 7.64 (d, J=4.91 Hz, 1 H) 8.15 - 8.39 (m, 3 H) 8.70 (s, 1 H) 8.73 (d, J=4.91 Hz, 1 H)。
【0166】
方法B
2−(6−tert−ブチル−8−フルオロ−1−オキソフタラジン−2(1H)−イル)−4−(1−メチル−5−(5−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピリジン−2−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ニコチンアルデヒド(797g、1.28mol)を、DCM(7.36kg、5.58l)及びMeOH(1.26kg、1.59l)に溶解した。その溶液を、室温で一晩かけて、活性炭(10重量%)、セライト(商標)(10重量%)及びQuadraPure TU(5重量%)で処理した。その混合物をセライトパッドに通して濾過した。その溶液に、温度を15〜18℃の間に維持しながら、NaBH(24.2g、640mmol)を6回に分けて1時間かけて加えた。その反応物を水(5L)でクエンチした。その混合物を30分間撹拌し、次に、相を分離した。水層をDCM(2L)で1回抽出し、仕上げ濾過して(polish filtered)、合計9LのDCM溶液を得た。DCMを真空下30℃で蒸留し、同時に、MEK(5L)及びMeOH(5L)を溶液に加えた。DCMの大部分を除去した後、温度を40℃まで昇温させ、DCMが残っていないことを確認した(40℃にてMeOHで追い出した);生成物がこの温度で晶出した。温度を80℃まで昇温させた。追加のMEK(5L)を加えた。MeOHを真空下80℃で除去した。その混合物を80℃で3時間加熱し、次に、一晩かけて室温までゆっくり冷ました。固体を濾過し、MEKで洗浄し、真空下で週末にわたり乾燥させて、6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−(3−(ヒドロキシメチル)−4−(1−メチル−5−(5−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピリジン−2−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピリジン−2−イル)フタラジン−1(2H)−オン(471g、754mmol、収率58.9%)を得た。DSCは、多形の混合物(無水物とMeOH溶媒和物)を示し、依然としてボラン錯体(3%)が残っていた。
【0167】
再結晶
6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−(3−(ヒドロキシメチル)−4−(1−メチル−5−(5−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピリジン−2−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピリジン−2−イル)フタラジン−1(2H)−オン(540g、864mmol)(先のバッチ+上記方法Bに記載されるものと同様に調製された3つのより小さいバッチからの物質)を12Lの丸底フラスコに投入し、MeOH(2.14kg、2.7l)及びメチルエチルケトン(5.4l)を加えた。3%のボラン錯体を分解するために、その懸濁液を3時間かけて64〜66℃(内部)まで加熱し、穏やかなMeOH還流を与えた。3時間後、ボラン錯体がわずか約1%だけ残った。その溶液からMeOHを留去した(温度を68〜70℃(内部)/80〜85℃(加熱マントル)まで昇温させ、MeOHを追加のMEKで追い出した)。再度、68〜70℃(内部)で10時間、次に、室温までゆっくり冷ました。そのスラリーを70〜75℃で5〜6時間加熱すると、DSCは、混合物の形態を示した。そのスラリーを再度70〜75℃(内部)/90〜95℃(加熱マントル)まで加熱し、MeOHを完全に除去した(さらなるMEKを加えた)。内部温度が76〜77℃に達した後、蒸留を止め(最終MEK、6容量(約3L))、そのスラリーを75℃(内部)で10時間寝かし;次に、ゆっくり室温まで冷ました。DSCによるその形態の確認後、物質を濾過によって回収し、MEK(400mL)で洗浄し、真空下50℃で一晩乾燥させた。NMRは、0.23%の残留MEKを示した。その固体を乾燥皿に移し、真空下50℃で一晩乾燥させて、99.44%のHPLC純度及び15ppmの残留Pdを有する標記化合物(503g、805mmol、収率6293.1%)を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.38 (s, 9 H) 1.52 - 1.77 (m, 4 H) 1.87 - 2.01 (m, 2 H) 2.18 (s, 3 H) 2.33 - 2.46 (m, 1 H) 2.84 (d, J=11.33 Hz, 2 H) 3.79 (s, 3 H) 4.47 (dd, J=15.86, 5.29 Hz, 2 H) 4.76 - 4.88 (m, 1 H) 7.45 (d, J=8.69 Hz, 1 H) 7.58 - 7.66 (m, 2 H) 7.77 (dd, J=13.22, 1.51 Hz, 1 H) 7.89 (d, J=1.89 Hz, 1 H) 8.18 (d, J=2.27 Hz, 1 H) 8.53 (d, J=2.64 Hz, 1 H) 8.56 (s, 1 H) 8.63 (d, J=4.91 Hz, 1 H) 9.45 (s, 1 H)。
【0168】
化合物1のフマル酸塩:フマル酸6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−(3−(ヒドロキシメチル)−4−(1−メチル−5−(5−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピリジン−2−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピリジン−2−イル)フタラジン−1(2H)−オンの調製
【化18】
【0169】
6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−(3−(ヒドロキシメチル)−4−(1−メチル−5−(5−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピリジン−2−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピリジン−2−イル)フタラジン−1(2H)−オン(639mg、1.02mmol)をアセトン(15ml)と混合した。そのスラリーにフマル酸(125mg、1.07mmol)を加えた。その溶液を1時間撹拌した。生じた固体を濾過し、次に、真空オーブン中、50℃で一晩真空下に置いた。黄色の固体を回収し(718.0mg)、還流アセトン(250ml)から再結晶して、フマル酸6−tert−ブチル−8−フルオロ−2−(3−(ヒドロキシメチル)−4−(1−メチル−5−(5−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピリジン−2−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピリジン−2−イル)フタラジン−1(2H)−オン(718mg、969μmol、収率94.8%)をほぼ非晶質の固体として得た。(M+H)+ = 625 m/e。
【0170】
化合物2の調製
工程1. 2,4,6−トリフルオロ−N−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−エチル)−ベンズアミドの調製
【化19】
【0171】
塩化カルシウム乾燥管を備えたフラスコに、2,4,6−トリフルオロ安息香酸(25g、142mmol)を投入し、脱水ジクロロメタン(220mL)に取った。その物質を0℃まで冷却し(氷浴)、これにシリンジで塩化オキサリル(13.2ml;156mmol)を加えた。次に、脱水ジメチルホルムアミド(104mg;1.42mmol)を加え、適度なバブリングが観察された。15分後、冷却浴を取り外し、混合物を5時間激しく撹拌した。揮発性物質を揮散させ(ロータリーエバポレーター)、残留物を脱水ジクロロメタン(150ml)に取り、0℃まで冷却した(氷浴)。この溶液に、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(27.2ml、284mmol)をゆっくりとした滴下によって加えた。添加が完了した後、冷却浴を取り外し、混合物を一晩かけて周囲温度まで温めた。上述したような反応を同じスケールで繰り返して、合わせた反応生成物を以下のように後処理した:不均一混合物を吸引濾過し、ジクロロメタン(およそ300ml)ですすいだ。この第一の濾液を取り置きし、濾過された固体をゆっくりとした重力濾過を使用してジクロロメタン(500ml)ですすいだ(2回目)。第二の濾過からのジクロロメタンを揮散させて、非常に純粋な生成物を白色の結晶性固体(22.9g)として提供した。第一の濾過からのジクロロメタン溶液を揮散して、不純な褐色の残留物を提供した。この物質をジクロロメタン(200ml)及び水(250ml)に取り、分液ロート中で振盪した。有機相を回収し、水相をジクロロメタン(2×120ml)で逆抽出した。ジクロロメタン相を合わせて、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過して、揮散させた。粗残留物を温ジクロロメタン/ヘキサンからのトリチュレーションによって精製して、追加の所望の生成物を黄色の固体(43.8g)として提供した。(M+H)+ = 246 m/e。
【0172】
工程2. 4,4−ジメチル−2−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾールの調製
【化20】
【0173】
脱水ジクロロメタン(400mL)中の2,4,6−トリフルオロ−N−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−エチル)−ベンズアミド(43.8g、177.1mmol)の溶液に、塩化チオニル(58.9ml、415mmol)をゆっくりとした滴下によって25分間かけて加えた(添加を通して反応フラスコを部分的に氷浴に浸漬した)。添加が完了した後、その物質を周囲温度で一晩撹拌した。次に、その物質をロータリーエバポレーター上に置き、濃縮した(容量のおよそ70%を除去)。残留物をエーテル(200ml)に取り、固体沈殿物(39.94gのオフホワイトの固体)を濾過によって回収した。エーテル濾液を取り置き、固体物質を水(120ml)に取り、水酸化ナトリウム水溶液(2N、55ml)で処理した。酢酸エチル(120ml)を加え、混合物を分液ロートに移し、振盪した。有機相を回収し、等量の水で洗浄した。酢酸エチル相を回収し、水相を酢酸エチル(2×100ml)で逆抽出した。合わせた有機相を合わせて、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過して、揮散させて、標記化合物を純粋なオフホワイトの固体(33.98g)として提供した。(M+H)+ = 230 m/e。
【0174】
工程3. 2−(2,4−ジフルオロ−6−メチル−フェニル)−4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾールの調製
【化21】
【0175】
脱水テトラヒドロフラン(150ml)中の4,4−ジメチル−2−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール(16.8g、73.3mmol)の冷却(氷浴)溶液に、臭化メチルマグネシウムの溶液(73.3ml、エーテル中3M)をゆっくりとした滴下によって加えた。その混合物を0℃で2時間撹拌し、次に、6時間かけて周囲環境まで温めた。飽和塩化アンモニウム水溶液(30ml)の添加によって反応を注意深くクエンチし、その物質を水(200ml)及び酢酸エチル(150ml)に取り、分液ロートに移し、有機相を回収した。有機相を水(200ml)で洗浄し、酢酸エチル相を回収した。水相を酢酸エチル(2×120ml)で逆抽出し、有機相を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して、揮散させて、所望の生成物を明黄色の油状物(16.31g)として提供した。(M+H)+ = 226 m/e。
【0176】
工程4. 2−[4−(4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−3−フルオロ−5−メチル−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリルの調製
【化22】
【0177】
脱水テトラヒドロフラン(130ml)中の2−(2,4−ジフルオロ−6−メチルフェニル)−4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロオキサゾール(14.84g、65.9mmol)及びブチロニトリル(9.11g、132mmol)の溶液を含有するフラスコを、アルゴン雰囲気下、−15〜−20℃まで冷却した(アセトニトリル/ドライアイス浴)。カリウムビス(トリメチルシリル)アミドの溶液(171ml、トルエン中0.5M)をゆっくりとした滴下によって加えた。その混合物を−15℃で30分間撹拌し、次に、1.5時間かけて15℃まで徐々に温めた。その物質を飽和塩化アンモニウム水溶液(100ml)の添加によってクエンチした。水(80ml)及びジエチルエーテル(50ml)を加え、その物質を分液ロートに移し、有機相を回収した。これを等量の水で洗浄し、有機相を回収した。水相をエーテル(2×100ml)で逆抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して、揮散させた。その物質を、60%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、半純粋な生成物を明るい黄色の油状物(13.52g、75%純粋)として提供した。この物質をその後の工程に「そのまま」使用した。(M+H)+ = 275 m/e。
【0178】
工程5. ヨウ化2−(4−(2−シアノプロピル−2−イル)−2−フルオロ−6−メチルフェニル)−3,4,4−トリメチル−4,5−ジヒドロオキサゾール−3−イウムの調製
【化23】
【0179】
脱水アセトニトリル(237ml)中の2−[4−(4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−3−フルオロ−5−メチル−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル(23.86g、60%純粋、52.2mmol)の溶液に、ヨウ化メチル(37g、261mmol)を10分間かけて滴下によって加えた。その混合物を63℃に加熱した油浴に移し、一晩撹拌した。フラスコを周囲温度まで冷まし、次に、氷浴で冷ました。固体として沈殿した生成物をデカンテーションによって回収して、標記化合物をオフホワイトの固体生成物として得て、これは静置すると明黄色に変化し(21.49g)、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0180】
工程6. 4−(シアノ−ジメチル−メチル)−2−フルオロ−6−メチル−安息香酸の調製
【化24】
【0181】
フラスコに、ヨウ化2−(4−(2−シアノプロピル−2−イル)−2−フルオロ−6−メチルフェニル)−3,4,4−トリメチル−4,5−ジヒドロオキサゾール−3−イウム(21.9g、52.7mmol)を投入し、メタノール(89ml)に取った。このスラリーに、水(178ml)中の水酸化ナトリウム(10.5g、263mmol)の溶液を加え、その物質を油浴中80℃で加熱した。その混合物を60分間激しく撹拌し、次に、トルエン(120ml)を加えた。その混合物を油浴中で5分間撹拌及び振盪した。熱い間にその物質を分液ロートに移し、水相を回収した。これを1.5N塩酸水溶液で酸性化した(pH=1まで)。酢酸エチル(25ml)及び水(5ml)を加え、その混合物を分液ロート中で振盪した。有機相を回収し、水相を酢酸エチル(2×40ml)で逆抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して、揮散させて、不純物を含む標記化合物を明黄色の固体(5.4g)として提供した。(M-H)- = 220 m/e。
【0182】
工程7. 4−(シアノ−ジメチル−メチル)−2−フルオロ−6−メチル−ベンズアミドの調製
【化25】
【0183】
脱水テトラヒドロフラン(100ml)に取った4−(2−シアノプロパン−2−イル)−2−フルオロ−6−メチル安息香酸(14g、35mmol、75%純粋)に、1,1’−カルボニルジイミダゾール(11.2g、69.1mmol)を四等分に分け15分間かけて加えた。その混合物を2.5時間撹拌し、次に、28%水酸化アンモニウム水溶液(20.4ml)を滴下によって加えたた。その物質を4時間撹拌し、次に、減圧下で濃縮して、揮発性物質の90%を除去した。残留物を水(80ml)及びジクロロメタン(80ml)に取り、分液ロート中で振盪した。有機相を回収し、水相をジクロロメタン(3×60ml)で逆抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過して、揮散させ、得られた半固体を温ジクロロメタン/ヘキサンからのトリチュレーションによって精製して、不純物を含む標記化合物をオフホワイトの固体(10.71g、80%純粋)として提供した。(M+H)+ = 221 m/e。
【0184】
工程8. 4−(シアノ−ジメチル−メチル)−N−[1−ジメチルアミノ−メタ−(E)−イリデン]−2−フルオロ−6−メチル−ベンズアミドの調製
【化26】
【0185】
250mlの丸底フラスコに、テトラヒドロフラン(61ml)中の4−(2−シアノプロパン−2−イル)−2−フルオロ−6−メチルベンズアミド(8.71g、31.6mmol、80%純粋)及びジメチルホルムアミドジメチルアセタール(7.26ml、51.4mmol)を入れ、不均一な黄色の懸濁液を提供した。その反応混合物を63℃まで加熱し(油浴)、3時間撹拌した。その混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、次に、ヘキサン(80ml)に取った。白色の沈殿物が生じるまで、これを数分間激しく撹拌した。その沈殿物を濾過によって回収し、ヘキサンで十分にすすいで、標記化合物を白色の固体(7.02g)として得た。(M+H)+ = 276 m/e。
【0186】
工程9. 2−(8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルの調製
【化27】
【0187】
4−(シアノ−ジメチル−メチル)−N−[1−ジメチルアミノ−メタ−(E)−イリデン]−2−フルオロ−6−メチル−ベンズアミド(10.66g、38.7mmol)を脱水テトラヒドロフラン(100ml)に取り、55℃に加熱した油浴中に入れた。カリウムtert−ブトキシドの溶液(58.1ml、テトラヒドロフラン中1M)を滴下ロートから15分間かけて滴下した。その反応混合物を62℃まで加熱し、2時間撹拌した。生じた固体の塊を周囲温度まで冷まし、濃塩酸(5.3ml)で滴下処理した。水(30ml)を加え、その物質を分液ロートに移した。有機相を回収し、ブライン溶液(25ml)で洗浄した。水相を酢酸エチル(25ml)で逆抽出し、有機物を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して、揮散させた。残留物を温ジクロロメタン/ヘキサンから結晶化して、所望の生成物をオフホワイトの固体(5.91g)として提供した。(M+H)+ = 231 m/e。
【0188】
工程10. 2−[2−(3−ブロモ−2−ホルミル−フェニル)−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル]−2−メチル−プロピオニトリルの調製
【化28】
【0189】
脱水ジメチルスルホキシド(8ml)中の2−(8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリル(250mg、1.09mmol)、2,6−ジブロモベンズアルデヒド(459mg、1.74mmol)及び重炭酸ナトリウム(182mg、2.17mmol)の溶液を真空下に置き、アルゴンを充填し戻した(2回以上繰り返す)。これにヨウ化銅(207mg、1.09mmol)を加え、フラスコを排気し、アルゴンを充填し戻した(2回以上繰り返す)。その混合物を油浴中で110℃まで加熱し、3.5時間撹拌した。フラスコを周囲環境まで冷まし、酢酸エチル(40ml)及び水(40ml)に取った。その二相性物質をセライトのプラグに通して濾過し、酢酸エチルで十分にすすいだ。その濾液を分液ロートに移し、有機相を回収した。これを等量の50%希釈ブライン溶液で洗浄し、酢酸エチル相を回収した。水相を酢酸エチル(2×30ml)で逆抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して、揮散させた。その残留物を、1%メタノール/ジクロロメタンで溶離するシリカゲルHPLCによって精製して、所望の生成物を明黄色の固体(285mg)として提供した。(M+H)+ = 413 / 415 m/e。
【0190】
工程11: 5−ニトロ−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルの調製
【化29】
【0191】
10mLの一口丸底フラスコに、5−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(4.0g、25.5mmol)及び無水MeOH(40.0ml)を投入した。反応混合物を氷/水冷却浴中で0℃まで冷却した。この混合物に、塩化チオニル(7.88g、4.83ml、66.2mmol)を滴下した。添加が完了した後、浴を取り外し、反応混合物を還流で2時間加熱した。次に、その反応混合物を減圧下で濃縮乾固して、所望の生成物(4.36g、89.3%)を得た。(M+Na)+ = 198.9 m/e。
【0192】
工程12: 2−メチル−5−ニトロ−2H−ピラゾール−3−カルボン酸メチルエステルの調製
【化30】
【0193】
100mLの一口丸底フラスコに、5−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル(3.89g、22.7mmol)、無水DMF(30ml)、炭酸カリウム(6.28g、45.5mmol)を投入した。MeI(4.19g、1.85ml、29.6mmol)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した。次に、混合物を水(150mL)で希釈し、DCM(3×75mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、AnaLogix system、SF40-240g カラム、ヘキサン中の10%〜50%EtOAc)によって精製して、所望の生成物を異性体混合物(3.75g)として得た。M+ = 185.0 m/e。
【0194】
工程13: (2−メチル−5−ニトロ−2H−ピラゾール−3−イル)−メタノールの調製
【化31】
【0195】
温度計及び窒素注入口を備えた250mLの三口フラスコ中、LiBH(882mg、40.5mmol)をTHF(30mL)と合わせて白色の懸濁液を得て、氷浴を使用して0℃まで冷却した。この混合物に、内部温度を0℃に維持しながら、THF(10mL)に溶解した1−メチル−3−ニトロ−1H−ピラゾール−5−カルボン酸メチル(3.75g、20.3mmol)をゆっくり加えた。添加が完了した後、冷却浴を取り外し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次に、数滴のMeOHを加え、反応混合物を2時間撹拌した。氷浴を使用してその反応物を0℃まで冷却し、EtOAc(20mL)を加え、続いて、水(100mL)をゆっくり添加した。層を分離し、水層をEtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた抽出物をブライン(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、Analogix system SF40-240g、ヘキサン中の30%〜60%EtOAc)によって精製して、標記化合物(2.09g、65.7%)及びその異性体(249mg、7.82g)を別々に得た。(M+H)+ = 157.9 m/e。
【0196】
工程14: 5−ブロモメチル−1−メチル−3−ニトロ−1H−ピラゾールの調製
【化32】
【0197】
250mLの丸底フラスコ中、(2−メチル−5−ニトロ−2H−ピラゾール−3−イル)−メタノール(2.09g、13.3mmol)をCHCl(80mL)と合わせて、白色の懸濁液を得た。氷浴を使用して反応物を0℃まで冷却し、PBr(3.6g、1.25mL、13.3mmol)を滴下した。冷却浴を取り外し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次に、その反応物を0℃まで冷却し、DCM(100mL)で希釈した。pHが8.5に達するまで、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)を加えた。水性物を分離し、DCM(3×75mL)で抽出した。有機層を合わせて、MgSOで乾燥させ、次に、真空下で濃縮して、粗物質を得て、これを次に工程にそのまま使用した(2.48g、84.7%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 3.96 (s, 3 H) 4.85 (s, 2 H) 7.15 (s, 1 H)。
【0198】
工程15: 5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−3−ニトロ−1H−ピラゾールの調製
【化33】
【0199】
50mLの丸底フラスコ中、5−(ブロモメチル)−1−メチル−3−ニトロ−1H−ピラゾール(2.48g、11.3mmol)をTHF(60ml)と合わせて、明黄色の溶液を得た。この混合物に、アゼチジン(804mg、946μl、14.1mmol)、次に、DIPEA(1.75g、2.36ml、13.5mmol)を滴下した。その反応混合物を室温で24時間撹拌し、次に、それをEtOAc(100mL)で希釈し、水(200mL)で洗浄した。水層をEtOAc(2×75mL)で逆抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、240g、DCM中の1%〜5%MeOH)によって精製して、標記化合物(2.21g、75.1%)を得た。(M)+ = 196.9 m/e。
【0200】
工程16: 5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミンの調製
【化34】
【0201】
100mLの丸底フラスコ中、5−(アゼチジン−1−イルメチル)−1−メチル−3−ニトロ−1H−ピラゾール(1.66g、8.46mmol)をEtOH(50mL)と合わせて、白色の懸濁液を得た。反応混合物をアルゴンで3回真空フラッシュし、次に、水素雰囲気下で一晩撹拌した。その反応混合物をセライトパッドに通して濾過し、エタノールで洗浄し、濃縮して、標記化合物を得た。(M+H)+ = 166.9 m/e。
【0202】
工程17: 4−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−6−クロロ−2−メチル2H−ピリダジン−3−オンの調製
【化35】
【0203】
25mLの丸底フラスコ中、5−(アゼチジン−1−イルメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−3−アミン(1.0g、6.02mmol)、4−ブロモ−6−クロロ−2−メチルピリダジン−3(2H)−オン(1.34g、6.02mmol)、CsCO(6.86g、21.1mmol)及び4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(522mg、902μmol)をジオキサン(50ml)と合わせた。得られた反応混合物をアルゴンで3回真空フラッシュし、次に、Pddba(413mg、451μmol)を加え、それを90℃で18時間加熱した。室温まで冷ました後、それを50mLのジクロロメタン及び水で希釈した。水層をDCM(2×25mL)で逆抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、次に、真空下で濃縮して、ほぼ乾燥させた。沈殿物を濾別し、エーテルで洗浄し、次に、一晩風乾して、0.93gの標記化合物をオフホワイトの固体として得た。濾液を濃縮し、次に、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、24g、DCM中の2%〜7%MeOH)によって精製した。生成物を含有する画分を回収して合わせ、次に、濃縮して、ほぼ乾燥させた。得られた固体を濾別し、エーテルで洗浄して、追加の265mgの標記化合物を得た(合計1.19g、64.1%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.96 (t, J=6.99 Hz, 2 H) 3.11 (t, J=6.99 Hz, 4 H) 3.48 (s, 2 H) 3.63 (s, 3 H) 3.71 (s, 3 H) 6.07 (s, 1 H) 7.68 (s, 1 H) 9.53 (s, 1 H)。
【0204】
工程18. 2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ホルミル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルの調製
【化36】
【0205】
4−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−6−クロロ−2−メチル−2H−ピリダジン−3−オン(219mg、0.71mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(234mg、0.92mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(x−phos、51mg、0.106mmol)及び酢酸カリウム(209mg、2.13mmol)を脱水ジオキサン(6.6ml)に取り、真空下に置き、アルゴンを充填し戻した(工程を5回繰り返した)。この混合物に酢酸パラジウム(17.4mg、0.077mmol)を加え、フラスコを排気し、アルゴンを充填し戻した(工程を5回繰り返した)。その混合物を100℃で加熱し、16分間撹拌した。フラスコを周囲環境まで冷まし、このフラスコの粗内容物を濾過して(セライトに通して、3mlのジオキサンですすいだ)、以下の試薬の真空脱気した溶液を含有する第二のフラスコに入れた(アルゴンバルーン下、110℃の油浴中に浸漬した):n−ブタノール(0.825ml)、ジオキサン(3.44ml)及び水(2.58ml)の混合物中の2−(2−(3−ブロモ−2−ホルミルフェニル)−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−6−イル)−2−メチルプロパンニトリル(275mg、0.665mmol)、炭酸カリウム(460mg、3.3mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(57.1mg、0.204mmol)及びビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(57.4mg、0.0998mmol)。フラスコを1時間撹拌及び加熱し、次に、周囲温度まで冷ました。その粗物質をセライトのショートプラグに通して濾過し、酢酸エチル(40mL)で十分にすすいだ。濾液に水(40ml)を加え、その物質を分液ロート中で振盪した。有機相を回収し、水相を酢酸エチル(2×20ml)で逆抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、揮散させた。得られた粗物質を、1%〜13%メタノール/ジクロロメタンで溶離するシリカゲル分取HPLC(Analogix SF15-24g カラム)によって精製して、所望の生成物を黄色−褐色の固体(282mg)として提供した。(M-H)- = 646 m/e。
【0206】
工程19. 2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ヒドロキシメチル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリルの調製
【化37】
【0207】
メタノール(10ml)及びジクロロメタン(10ml)中の2−(2−{3−[5−(5−アゼチジン−1−イルメチル−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリダジン−3−イル]−2−ホルミル−フェニル}−8−フルオロ−1−オキソ−1,2−ジヒドロ−イソキノリン−6−イル)−2−メチル−プロピオニトリル(792mg、1.31mmol)の溶液を氷浴中で冷却した。この黄色の均一な溶液に、水(1.5ml)中の水素化ホウ素ナトリウム(247mg、6.53mmol)の溶液を加えた。その混合物を2分間撹拌し、次に、周囲温度まで温めた。約5分間撹拌した後、LC/MSは、完全な変換を示した。水(60ml)及びジクロロメタン(50ml)を加えた。有機相を回収し、等容量の50%希釈ブライン溶液で洗浄した。水相をジクロロメタン(2×40ml)で逆抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して、揮散させた。得られた粗物質を、1%〜15%メタノール/ジクロロメタンで溶離するシリカゲル分取HPLC(Analogix SF15-24g カラム)によって精製して、黄色の泡状固体を提供した。酢酸o−プロピル/ヘキサンからのさらなる結晶化は生成物を与え、これを2:1 エーテル/酢酸イソ−プロピルからさらにトリチュレートした。酢酸o−プロピルが得られた生成物中に検出された。ナノピュア(Nanopure)水(8〜10滴)を加え、得られた混合物を超音波処理器中に2分間入れ、真空オーブンを使用して揮発性物質を揮散させて、471mgの標記化合物をオフホワイトの粉状物として提供した。(M+H)+ = 609 m/e, 1H NMR (300 MHz, CDCl3-d) δ ppm 1.81 (s, 6 H) 2.12 (quin, J = 7.20 Hz, 2H) 3.27 (t, J = 7.0 Hz, 4 H) 3.55 (s, 2 H) 3.81 (s, 3 H) 3.88 (s, 3 H) 4.03 - 4.19 (m, 1 H) 4.22 - 4.44 (m, 2 H) 5.94 (s, 1 H) 6.61 (dd, J=7.36, 2.08 Hz, 1 H) 7.21 (dd, J=12.09, 1.89 Hz, 1 H) 7.35 (d, J=7.55 Hz, 1 H) 7.41 (dd, J=7.74, 1.32 Hz, 1 H) 7.52 (d, J=1.51 Hz, 1 H) 7.56 (t, J=7.74 Hz, 1 H) 7.65 (dd, J=7.55, 1.51 Hz, 1 H) 7.82 (s, 1 H) 7.91 (s, 1 H)。
【0208】
化合物3の調製
工程1. (5−ブロモ−1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−[5−(モルホリン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
【化38】
【0209】
250mLの丸底フラスコ中、5−ブロモ−1−メチル−3−(5−(モルホリン−4−カルボニル)ピリジン−2−イルアミノ)ピリジン−2(1H)−オン(10g、25.4mmol)をTHF(125ml)に溶解した。水素化ナトリウム(1.12g、28.0mmol)を10分間かけて少しずつ加え、10分間撹拌した。次に、二炭酸ジ−tert−ブチル(6.12g、6.51ml、28.0mmol)を加えた。その赤色の懸濁液は撹拌できなかったので、更に20mlのTHFを加えた。それを70℃まで加熱し、一晩撹拌した。懸濁液が褐色に変化した。その反応物を室温まで冷まし、次に、125mlの水及び125mlの酢酸エチルを加え、層を分離した。有機層を100mlのブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、11.8gの橙色−褐色の粉状物を得た。80mlの酢酸エチルを加え、低可溶性の物質を濾別した。濾液を蒸発させて、褐色の泡状物を得た。フィルターロート上に回収された粉状物は、出発物質と生成物の両方を含有しており、濾液も同様であった。粉状物と濾液を合わせて、塩化メチレンに溶解し、蒸発させて、約20%の出発物質と一緒に標記化合物を得た(10.71g、21.7mmol、収率85.4%)。(M+H)+= 494.9 m/e。
【0210】
工程2. (5−ブロモ−1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−(5−ホルミル−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
【化39】
【0211】
THF(180ml)中のビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリドヒドリド(9.37g、36.3mmol)のスラリーに、5−ブロモ−1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル(5−(モルホリン−4−カルボニル)ピリジン−2−イル)カルバミン酸tert−ブチル(13.7g、27.8mmol)及びテトラヒドロフラン(350ml)の溶液を全て一度に加えた。その橙色の溶液を室温で2時間撹拌した。LCMSは、1.5時間後に反応がほとんど完了したことを示した。その反応混合物を180mlの酢酸エチル中の110gのシリカに注ぎ、10分間撹拌した。それを濾過し、濃縮して、標記化合物(10.7g、26.2mmol、収率94.4%)を明褐色の粉状物として得た。(M-BOC)+= 309.9 m/e。
【0212】
工程3. (5−ブロモ−1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
【化40】
【0213】
250mLの丸底フラスコ中、5−ブロモ−1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル(5−ホルミルピリジン−2−イル)カルバミン酸tert−ブチル(5g、12.2mmol)を、塩化メチレン(122ml)、続いて、2−メトキシエタナミン(2.3g、2.66ml、30.6mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(6.49g、30.6mmol)及び酢酸(1.47g、1.4ml、24.5mmol)に懸濁した。その黄色の濁った溶液を40℃で一晩加熱した。それは発泡して、一晩かけて暗緑色になった(LCMSは、反応が一晩で完了したことを示した)。その反応混合物を室温まで冷まし、次に、50mlの塩化メチレンと共に分液ロートに移し、100mlの飽和NaHCOで抽出した。有機層を分離し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、6.1gの暗緑色の油状物を得て、これを塩化メチレン及びメタノールに溶解し、セライト上で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(AnaLogix IntelliFlash 280、50gシリカゲルカラム、10〜75%「マジック塩基(magic base)」(DCM中の14%MeOH+0.14%NHOH)/塩化メチレン)による精製は、1.04gの緑色−青色泡状物を与え、これをメタノールに3回再溶解し、次に、濃縮し、最後に高真空ポンプで一晩乾燥させて、標記化合物(1.0g、2.14mmol、収率17.5%)を緑色−青色の泡状物として得た。混合した画分10〜27もまた蒸発させて、2.5gの暗緑色の油状物を得て、これを再度塩化メチレン及びメタノールに溶解して、セライト上で濃縮した。さらなるフラッシュクロマトグラフィー(AnaLogix IntelliFlash 280、80gシリカゲルカラム、1〜10%メタノール/塩化メチレン、次に、75%「マジック塩基」(DCM中の14%MeOH+0.14%NHOH)/DCM)による精製は、更に1.2gの標記化合物を緑色−青色の油状物として与えた。(M+H)+ = 469.0 m/e。
【0214】
工程4. 5−ブロモ−3−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−1−メチル−1H−ピリジン−2−オンの調製
【化41】
【0215】
DCM(25ml)を含有する250mlの丸底フラスコ中の5−ブロモ−1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル(5−((2−メトキシエチルアミノ)メチル)ピリジン−2−イル)カルバミン酸tert−ブチル(2.2g、4.71mmol)に、TFA(7.4g、5ml、64.9mmol)を加えた。その反応物を2時間撹拌した。LCMSは、反応が完了していないことを示した。その反応物をさらに1.5時間撹拌し続けた。LCMSは、反応がまだ完了していないが進行していることを示した。3時間以上撹拌した後、反応が完了した。溶媒を蒸発させ、残渣を一晩真空下に置き、次に、DCMに溶解した。飽和NaHCO水溶液を加え、その混合物を激しく撹拌した。固体が生じた。ガスの発生が全て止むまで、混合物を撹拌した。固体は有機層に再溶解した。層を分離した。水層をDCMで1回抽出した。有機層を合わせて、NaSOで乾燥させ、次に、真空下で濃縮して、標記化合物(1.8g、4.9mmol)を得た。(M)+ = 366.9m/e。
【0216】
工程5. 2−(6−tert−ブチル−1−オキソ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−6−クロロ−ベンズアルデヒド オンの調製
【化42】
【0217】
方法A
6−tert−ブチル−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン(10.81g、53.2mmol)、2−ブロモ−6−クロロベンズアルデヒド(15.2g、69.1mmol)、Xantphos(3.08g、5.32mmol)及び炭酸セシウム(43.3g、133mmol)をジオキサン(216ml)に懸濁した。その反応混合物をアルゴンで脱気した。最後に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(2.29g、3.99mmol)を加えた。その反応混合物を100℃(外部温度)で3.5時間撹拌した。その反応混合物全体を室温まで冷まし、セライトプラグに通して濾過した。それをジオキサン(100ml)で洗浄し、濾液を濃縮した。粗物質を酢酸エチルで処理し:沈殿物を濾別して、13.8gの黄色の固体を得て、濾液を濃縮して、19.46gの橙色の固体を得た。黄色の固体(フィルターケーキ)をジクロロメタンに懸濁し、次に、濾過し、ジクロロメタン(100ml)で洗浄した。濾液を真空下で濃縮して、標記化合物(11.68g)を黄色の固体として得た。(M)+ = 341.9 m/e。
【0218】
方法B
1LのAtlas反応器に、6−tert−ブチル−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン(80g、394mmol)、2−ブロモ−6−クロロベンズアルデヒド(90.7g、413mmol)、酢酸パラジウム(II)(1.77g、7.87mmol)、Xantphos(6.83g、11.8mmol)及びKCO(109g、787mmol)を投入した。次に、反応器を排気し、窒素を充填し戻した。このシーケンスを3回繰り返した。DMF(604g、640ml)を加え、次に、反応器を90℃で16.5時間加熱し、次に、約70℃まで冷ました。水(3容量;240mL)を加えて、生成物を粉砕した。70℃で2時間寝かした後、反応器を室温まで冷ました(塩を含む水層が観察された)。その物質を濾過によって回収し、水、次に水/IPAで洗浄して、ある程度の無機物を除去し、次に、週末にわたり風乾して、2−(6−tert−ブチル−1−オキソ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−6−クロロベンズアルデヒド(123.5g、361mmol、収率91.8%)を97%のHPLC純度の帯黄色の固体として得た。分析は、その物質中にPdの残渣を示した。80℃に加熱しながらその物質を650mLのDMFに溶解し、次に、16gのN−アセチル−L−システインを含有する水溶液240mLをゆっくり加えた。その混合物を80℃でさらに5時間撹拌し;このプロセスの間に結晶化が観察された。その混合物をゆっくり周囲温度まで冷ました。その物質を濾過によって回収し、水/IPAで洗浄し、次に、真空オーブン中、80℃で一晩乾燥させた。99.5+%のHPLC純度で109gの標記化合物が回収された。
【0219】
工程6. 6−tert−ブチル−2−(3−クロロ−2−ヒドロキシメチル−フェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンの調製
【化43】
【0220】
方法A
2−(6−tert−ブチル−1−オキソ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−6−クロロベンズアルデヒド(3.04g、8.89mmol)をTHF(46.1ml)及びMeOH(4.61ml)に溶解した。その混合物を−40℃(外部温度)まで冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(404mg、10.7mmol)を少しずつ加えた(3×50mg、次に、25mg)。その反応混合物を0℃まで放温し、次に、0℃で30分間撹拌した。塩化アンモニウム溶液を加え、その反応混合物をEtOAcで抽出した。有機相を水、ブラインで洗浄し、次に、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、それを真空下で濃縮して、標記化合物2.38gを明黄色の泡状物として得た。(M)+ = 344.0 m/e。
【0221】
方法B
1LのAtlas反応器に、2−(6−tert−ブチル−1−オキソ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−6−クロロベンズアルデヒド(80g、234mmol)を投入し、その物質を室温でDCM(634g、480ml)に溶解した。IPA(250g、320ml)をその溶液に加え、これをその後、約2℃まで冷却した。NaBH(4.43g、117mmol)を15分間かけて少しずつ加え、その間に温度が約9℃まで急上昇した。その反応混合物を約2℃で1時間撹拌して、清澄な均一溶液を得て、次にこれを水(320g、320ml)でクエンチした。約60〜80℃で加熱してDCMを留去した。DCMの除去が完了した後、生成物がIPA/HO溶液(1/1、約8容量)から晶出し、相分離の必要はなかった。80℃で3〜4時間寝かした後、その混合物をゆっくり周囲温度まで冷まし、一晩撹拌した。その物質を濾過によって回収し、IPA/HO(1/1)で洗浄し、真空オーブン中、80℃で週末にわたり乾燥させて、HPLCによる純度が99.4%である標記化合物(77.7g、226mmol)を得た。
【0222】
工程7. 酢酸2−(6−tert−ブチル−1−オキソ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−6−クロロ−ベンジルエステルの調製
【化44】
【0223】
250mLの丸底フラスコ中、6−tert−ブチル−2−(3−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)フェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−1(2H)−オン(21.9g、63.7mmol)を、DCM(600ml)中、無水酢酸(32.5g、30.0ml、318mmol)及びピリジン(15.1g、15.5ml、191mmol)と合わせて、無色の溶液を得た。その反応混合物を一晩撹拌した。その粗反応混合物を真空下で濃縮して、黄褐色の油状物を得た。その残渣をDCMに溶解し、次に、水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(0%〜25%EtOAc/Hexで10分間、次に、25%で保持して20分間)によって精製して、標記化合物(22.9g、59.3mmol)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 1.32 - 1.45 (m, 9 H) 2.06 (s, 3 H) 3.05 (dt, J=15.73, 4.77 Hz, 1 H) 3.35 (ddd, J=15.98, 10.93, 5.43 Hz, 1 H) 3.79 (dt, J=11.94, 5.27 Hz, 1 H) 3.95 - 4.14 (m, 1 H) 5.07 - 5.39 (m, 2 H) 7.21 (dd, J=7.71, 1.39 Hz, 1 H) 7.27 (d, J=1.77 Hz, 1 H) 7.36 - 7.47 (m, 3 H) 8.06 (d, J=8.08 Hz, 1 H)。
【0224】
工程8. 酢酸2−(6−tert−ブチル−1−オキソ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−6−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ベンジルエステルの調製
【化45】
【0225】
酢酸2−(6−tert−ブチル−1−オキソ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−6−クロロベンジル(5g、13.0mmol)を加熱しながらジオキサン(50.0ml)に溶解し、X−PHOS(618mg、1.3mmol)、酢酸カリウム(2.6g、26.5mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(4.28g、16.8mmol)を加えた。真空下で超音波処理することによって懸濁液を再度脱気し、アルゴンを充填し戻した。最後に、酢酸パラジウム(II)(145mg、648μmol)を加え、その混合物を75℃(外部温度)で2時間撹拌した。2時間後、反応は完了していなかった。酢酸パラジウム(II)及びX−Phosの追加のアリコートを加えた。その反応物を75℃で更に3時間撹拌した。LCMSは、ある程度の残留出発物質とある程度の脱クロロ副生成物を示した。75℃での加熱を一晩続け、次に、反応混合物を室温まで冷ました。その反応混合物をセライトに通して濾過し、ジオキサンで洗浄した。その濾液を真空下で濃縮して、褐色のゴム状物を得て、これをジクロロメタン(5ml)に溶解し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、220G、ヘキサン中の10%〜100%EtOAc[10%で保持して5分間、次に、100%で15分間])によって精製して、約60%の標記化合物と約40%の脱クロロ副生成物を含有する黄色のゴム状物を得て、これを次の工程にそのまま使用した。生成物 (M+H)+ = 478.1 m/e。脱クロロ副生成物 (M+H)+ = 452.0 m/e。
【0226】
工程9. 酢酸2−(6−tert−ブチル−1−オキソ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−6−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−ベンジルエステルの調製
【化46】
【0227】
酢酸2−(6−tert−ブチル−1−オキソ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンジル(5.8g、7.29mmol)及び5−ブロモ−3−(5−((2−メトキシエチルアミノ)メチル)ピリジン−2−イルアミノ)−1−メチルピリジン−2(1H)−オン(2.68g、7.29mmol)を250mlの丸底フラスコ中で合わせた。三塩基性リン酸カリウム(3.09g、14.6mmol)、続いて、X−PHOS(348mg、729μmol)及びビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(210mg、364μmol)を加えた。溶媒溶液であるBuOH(60ml)及び水(15.0ml)を加えた。反応混合物をアルゴンで2回フラッシュした。容器に蓋をし、100℃(外部温度)で1.5時間加熱した。DCM及び水を加え、DCM相を分離し、セライトに通して濾過し、クロマトグラフィー(DCM中の0%〜5%メタノールの勾配を使用して20分間、続いて、DCM中の50%マジック塩基を使用して更に30分)によって精製して、脱アセテート及びある程度の不純物と一緒に標記化合物を得た。その混合物を次の工程にそのまま使用した。生成物 (M+H)+ = 638.1 m/e。脱アセテート副生成物 (M+H)+ = 596.1 m/e。
【0228】
工程10. 6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンの調製
【化47】
【0229】
THFに溶解した酢酸2−(6−tert−ブチル−1−オキソ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−6−(5−(5−((2−メトキシエチルアミノ)メチル)ピリジン−2−イルアミノ)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)ベンジル(3.18g、4.99mmol)に、室温で、水酸化ナトリウム(24.9ml、24.9mmol)を加えた。その反応混合物を60℃で2時間加熱した。LCMSは、出発物質がまだ存在していることを示した。その反応混合物を60℃で一晩撹拌したところ、LCMSは、反応が完了したことを示した。それを室温まで冷まし、飽和NaHCO及びDCMで希釈した。層を分離した。水層をDCMで3回抽出した。有機物をNaSOで乾燥させ、次に、真空下で濃縮した。その残渣をエーテルでトリチュレートすると、ゴム状物に変化した。溶媒を蒸発させ、次に、残渣が溶解するまでEtOAcを加えた。EtOを加えた。固体が生じ、その後、ゴム状物に変化した。溶媒を蒸発させて、3.18gの粗収量を得た。その固体を、50℃(外部温度)に置かれた撹拌子を備える丸底フラスコに入れた。30mlのアセトンをゆっくり加えた。全てが溶液になった。容器をTeflonストッパーで閉じた。その反応混合物を約30分間撹拌し、次に、固体が生じ始めた。その混合物を50℃で72時間撹拌した。72時間後、粘性の懸濁液を室温まで冷ました。その固体を濾過し、氷冷アセトンで洗浄し、真空オーブン中、50℃で2時間、次に、室温で一晩置いて、標記化合物を得た。(M+H)+ = 596.1 m/e。
1H NMR (400 MHz, CHCl3-d) δ ppm 1.39 (s, 9 H) 2.70 - 2.90 (m, 2 H) 3.11 - 3.22 (m, 1 H) 3.25 - 3.34 (m, 1 H) 3.37 (s, 3 H) 3.51 - 3.60 (m, 2 H) 3.72 (s, 3 H) 3.78 (s, 2 H) 3.81 - 3.89 (m, 1 H) 4.12 (ddd, J=12.25, 9.85, 4.67 Hz, 1 H) 4.28 - 4.47 (m, 2 H) 4.63 (d, J=10.61 Hz, 1 H) 6.83 (d, J=8.59 Hz, 1 H) 7.27 (dd, J=7.45, 1.64 Hz, 2 H) 7.31 (d, J=1.52 Hz, 1 H) 7.41 - 7.53 (m, 4 H) 7.60 (dd, J=8.59, 2.27 Hz, 1 H) 7.93 (s, 1 H) 8.11 (d, J=8.08 Hz, 1 H) 8.18 (d, J=2.02 Hz, 1 H) 8.70 (d, J=2.27 Hz, 1 H)。
【0230】
製剤データ
PD実験(mOVA36)用の化合物1の製剤
10.6gの化合物1を、Jet-O-Mizerジェットミル中、90psiのフィード圧及び粉砕圧で微粒子化した。そのようにして得られた微粒子化された物質を、それぞれ図1及び2に示すように、粉末X線回折パターン及び粒度分布によって分析した。微粒子化プロセスの間、多形体の変化は観察されなかった。80パーセントの粒子は、5μm以下のサイズであり、吸入送達に好適な範囲の平均粒径(d50%=2.88μm)であった。その物質をインビボ実験mOVA36に使用した。図1及び2を参照されたい。
【0231】
PD実験(mOVA40、mPolyIC−3−12及びmPolyIC−3−12)用の化合物1の製剤
8.6gの2−(6−tert−ブチル−8−フルオロ−1−オキソフタラジン−2(1H)−イル)−4−(1−メチル−5−(5−(1−メチルピペリジン−4−イル)ピリジン−2−イルアミノ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ニコチンアルデヒドを、Jet-O-Mizerジェットミル中、80psiで微粒子化した。平均粒径(d50%)は3.05μmであり、90%の粒子が≦6μmであった(図3)。この物質(30% w/w)及び乳糖(Lactohale LH 300、70% w/w)を、Turbulaミキサー中、22rpmで15分間混合した。乳糖成分のd50%及びd90%の粒径は、それぞれ<5μm及び≦10μmであった(DFE Pharma specifications (# 001/October 2011)。このようにして得られたブレンドをインビボ実験mOVA40、mPolyIC−3−12及びmPolyIC−5−12に使用した。図3を参照されたい。
【0232】
PD実験mOVA20用の化合物1の製剤
バッファー中の2つの異なる濃度(0.15及び1.5mg/mL)の化合物1の混合物を以下のように調製した。
【0233】
濃度1.5mg/mLの化合物1の溶液10mLの調製
化合物1のフマル酸塩(17.8mg)を2mLのプロピレングリコール(PG)と混合した。薬物が完全に溶解するまで、その調製物を約20〜30分間超音波処理した。十分量の精製水を10.0gまで加えた。得られた混合物をボルテックスによって撹拌して清澄で均一な溶液を得た(pH4.4)。
【0234】
濃度0.15mg/mLの化合物1の溶液10mLの調製
上記のように調製した1.0gの1.5mg/mL溶液をバイアルに入れた。十分量のビヒクル(20%PG/80%水)を10.0gまで加えた。得られた混合物をボルテックスによって撹拌した。
【0235】
PD実験mOVA50用の化合物2の製剤
バッファー中の3つの異なる濃度(0.15、0.5及び1.5mg/mL)の化合物2の混合物を以下のように調製した:
【0236】
濃度1.5mg/mLの化合物2の溶液の調製
化合物2(1.65mg)をバイアルに入れた。十分量のビヒクル(20%PG/80%水)を1.1gまで加えた。その調製物を約2分間超音波処理した。微細な懸濁液が達成された(pH4.833)。
【0237】
濃度0.5mg/mLの化合物2の溶液の調製
上記のように調製した0.1740gの1.5mg/mL懸濁液をバイアルに入れた。十分量のビヒクル(20%PG/80%水)を0.521gまで加え、調製物を混合した。
【0238】
濃度0.15mg/mLの化合物2の溶液の調製
上記のように調製した0.07716gの1.5mg/mL懸濁液をバイアルに入れた。十分量のビヒクル(20%PG/80%水)を0.7717gまで加えた。得られた調製物のpHは、4.71であった。
【0239】
PD実験mOVA49用の化合物3の製剤
バッファー中の3つの異なる濃度(0.15、0.5及び1.5mg/mL)の化合物3の混合物を以下のように調製した
【0240】
ビヒクル(30mL)の調製
【表6】
【0241】
1.ビーカーに、0.06gのポリソルベート80を直接量り取る。
2.約26gの水を加え、溶解するまで撹拌する。
3.クエン酸、クエン酸ナトリウム及び塩化ナトリウムを加える。
溶解するまで撹拌する。30mLとする十分量。
5.pH=4.68にする。
【0242】
濃度1.5mg/mLの化合物3の溶液の調製
化合物3(1.59)をバイアルに入れた。上記で調製したような十分量のビヒクルを1.06gまで加えた。その調製物を約2分間超音波処理した。微細な懸濁液が達成された(pH4.85)。
【0243】
濃度0.5mg/mLの化合物2の溶液の調製
上記のように調製した0.16773gの1.5mg/mL懸濁液をバイアルに入れた。上記で調製したような十分量のビヒクルを0.50735gまで加え、調製物を混合した。
【0244】
濃度0.15mg/mLの化合物2の溶液の調製
上記のように調製した0.06675gの1.5mg/mL懸濁液をバイアルに入れた。上記で調製したような十分量のビヒクルを0.65608gまで加えた。得られた調製物のpHは、4.70であった。
【0245】
生物学的実施例
Btk Biacore結合アッセイ
Biacore T-100で分析を実施した。Btkキナーゼを、バキュロウイルス中、ビオチンリガーゼを用いて、aviタグ化及び共発現して、単一部位ビオチン化Btkを生成した(Avidity, LLC)。ビオチン化ターゲットを、約10000レゾナンスユニットの密度(1ru〜1pgタンパク質/mm2)で、Biacoreストレプトアビジンセンサーチップ(Series S Sensor Chip SA)上に捕捉した。100%DMSO中に試験化合物を粉状物から10mMストックに可溶化し、0.78nM〜100nMの範囲で8点2重シリーズ(8 point, 2-fold series)に希釈した。その化合物を100秒の結合時間で注入し、解離を20分間続けた。実験を25℃で実施し、再生バッファーは利用せず、そのため、1チップ当たり2つ以下の高親和性化合物を分析した。ランニングバッファーは、50mM Hepes pH7.2、150mM NaCl、10mM MgCl2、2mM MnCl2、1mM TCEP、1%PEG3350、5%DMSOから構成した。Biacore BIAevaluationソフトウェアを使用し、1:1(Langmuir)結合用の単一モードを使用して動力学分析を実施した。これらの実験からのデータは、化合物1、化合物2及び化合物3の解離速度(off rate)が非常に遅く、得られたKDがFRETアッセイと非常によく一致したことを示した(表1)。
【0246】
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害のTR−FRET(時間分解FRET)アッセイ
このBTK競合アッセイは、FRET(Forster/蛍光共鳴エネルギー移動)技術を使用して、不活性状態のブルトン型チロシンキナーゼに対する化合物の効力(IC50)を測定する。BTK−Eu錯体を氷上で1時間インキュベートした後、50nM BTK−Bioease(商標):10nM Eu−ストレプトアビジン(Perkin-Elmer Catalog# AD0062)の開始濃度で使用した。アッセイバッファーは、20mM HEPES(pH7.15)、0.1mM DTT、10mM MgCl、0.5mg/ml BSAと3% Kinase Stabilizer(Fremont Biosolutions, Catalog # STB-K02)から構成した。1時間後、上記の反応混合物をアッセイバッファー中で10倍希釈して、5nM BTK:1nM Eu−ストレプトアビジン錯体(ドナーのフルオロフォア)を作製した。次に、18μlの0.11nM BTK−Euと0.11nM Kinase Tracer 178(Invitrogen, Catalog # PV5593)の混合物を、非陰性対照としてのBTK−Eu単独と共に、384ウェル平底プレート(Greiner, 784076)に分注した。アッセイで試験する化合物を10×濃度として調製し、半対数増分の段階希釈をDMSO中で実施して、10点曲線を生成した。FRET反応を開始するために、DMSO中に10×ストックとして調製した化合物をプレートに加え、プレートを14℃で18〜24時間インキュベートした。
【0247】
インキュベーション後、プレートをBMG Pherastar Fluorescentプレートリーダー(又は等価物)で読み取り、これを使用してユーロピアムドナーのフルオロフォア(620nm発光)及びFRET(665nm発光)からの発光エネルギーを測定した。陰性対照ウェルの値を平均化して、平均最小値を得た。陽性「非阻害薬」対照ウェルを平均化して、平均最大値を得た。最大FRETのパーセントを以下の式を使用して計算した:
最大FRET%=100×[(FSR化合物−FSR平均最小値)/(FSR平均最大値−FSR平均最小値)]
式中、FSR=FRETシグナル比。最大FRET%の曲線をActivity Base(Excel)にプロットし、IC50(%)、ヒル勾配、z’及びCV%を決定した。平均IC50及び標準偏差は、Microsoft Excelを使用して、2連曲線(2つの独立した希釈物からの単一阻害曲線)から誘導されるだろう。
【0248】
FRETからのデータは、化合物1、化合物2及び化合物3が非常に強力なBtk阻害薬であったことを示した(表1)。
【0249】
【表7】
【0250】
ヒト肥満細胞活性化に及ぼす化合物1〜3の効果
異なるドナー由来の100万個のヒト臍帯血由来CD34+造血幹細胞(HSC)(AllCells #CB008F-S, Emeryville, CA)を、無血清完全培地(サプリメントを加えたStemPro-34; Invitrogen, Carlsbad, CA)中、組み換えh−SCF(100ng/ml)及びh−IL6(50ng/ml)と共に8週間培養した。第一週目の培養の間、HSCの分化を支援するために組み換えh−IL3(10ng/ml)も含めた。8週間の培養後、組み換えh−IL−4(10ng/ml)で5日間にわたり細胞を刺激した。肥満細胞の分化過程の確認をFACSによってルーチン的に行って、c−kit及びFcεRIの発現をチェックし;分化した細胞は、ルーチン的には90%を超えるc−kit陽性、FcεRI陽性であった。
【0251】
分化した肥満細胞を、0.1μg/mlの抗NP IgE(Serotec, Raleigh, NC)により37℃で一晩感作した。細胞を洗浄し、次に、化合物1により37℃で1時間処理した。処理後、細胞を1μg/mlのNP(30)−BSA(Biosearch Technologies, Novato CA)と30分間(ヒスタミン及び脂質メディエーターの評価のために)又は一晩(サイトカインの評価のために)交差結合させた。培養上清を回収し、ヒスタミン(Oxford Biomedical Research, Rochester Hills, MI)、PGD2及びLTC4(Cayman Chemical Company, Ann Arbor MI)、ならびにIL−5及びIL−13(Bio-Rad Bio-Plex Pro サイトカイン定量キット)の放出をキットの説明書に従ってアッセイした。化合物1、化合物2及び化合物3は、上清へのこれらのメディエーターの放出を濃度依存的に最大100%の効果まで低下させ、そのIC50値を表2に報告する。興味深いことに、グルココルチコイドでの細胞の処理は、これらの応答のいずれも減衰しなかった。
【0252】
【表8】
【0253】
ヒトB細胞抗体産生に及ぼす化合物1〜3の効果
ヒトの全B細胞を、バフィーコート白血球パック(New York Blood Center)由来のRosetteSepヒトB細胞濃縮カクテル(#28921, Vancouver, BC)で、製造業者のプロトコールに従って濃縮した。濃縮したB細胞の純度(およそ80%)を、CD19+染色してFACSによってチェックした。B細胞を、RPMI−1640ベースの条件培地(IgG/IgMを生成するB細胞の活性化用に、50ng/ml IL−2、50ng/ml IL−10及び1μg/ml 抗IgD;IgEを生成するB細胞の活性化用に、10ng/ml IL−4、10ng/ml IL−10、25ng/ml IL−21及び1μg/ml 抗CD40)中に、化合物1(1nM〜10μM)と一緒に懸濁した(10万個の細胞/ウェル/100μl)。細胞を37℃で10日間(IgG/IgM産生のために)又は14日間(IgE産生のために)培養した。培養上清を、Bethyl Laboratoryのプロトコール(#E80-104, #E80-100, #E80-108, Montgomery, TX)に従って、IgM、IgG及びIgEの分析用に回収した。化合物1は、上清中に測定されたIgM、IgG及びIgEのレベルを濃度依存的に最大100%の効果まで低下させ、そのIC50値を表Xに報告する。興味深いことに、グルココルチコイドでの細胞の処理は、IgM又はIgG応答を減衰せず、実際には、上清中のIgEレベルの有意な増加を誘発し、これは過去の報告と一致した[Zieg et al. JACI, 1994, 94: 222; Hemady et al. JACI 1985, 75:304; Wu et al. JCI 1991, 87: 870]。化合物2及び化合物3は、IgM及びIgG産生に対して類似の阻害効果を有した(表3)。
【0254】
【表9】
【0255】
アレルギー性気道疾患のモデルにおける化合物1〜3の効果
オボアルブミン誘発アレルギー性気道疾患のマウスモデルを用いて、アレルゲン誘発気管支収縮及びアレルゲン誘発気道炎症に及ぼす化合物1の効果を評価した。簡潔に述べると、マウス(雄;BALB/c;7〜9週齢)を、0.2mlのミョウバン(水中の2%Al(OH)3、Serva, Heidelberg, Germany)中の10μgのオボアルブミン(OVA)で、0日目と14日目に、腹腔内(i.p.)免疫化した。対照動物にはミョウバンのみを与えた。21〜23日目に、肺内の炎症過程を確立するために、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の1%OVA(10mg/ml)の噴霧化(Proneb Ultra II, PARI Respiratory Equipment, Midlothian, VA)エアロゾルに;又は対照としてPBS単独に、動物を20分間曝露させた。鼻腔内投与を使用した研究では、各エアロゾル化OVA接種の1時間前に、マウスにイソフルランで麻酔をかけ、ビヒクル(20%プロピレングリコール)又は化合物1(0.3mg/kg)を鼻腔内(i.n.)投与した。
【0256】
吸入送達を使用する研究では、化合物1をジェットミル(MC One Jet Mill, Jetpharma USA Inc., South Plainfield, NJ)によって微粒子化し、Wrightダストフィード乾燥粉末エアロゾル発生器を使用して乾燥粉末エアロゾルを発生させた。微粒子化された薬物粉状物を、液圧プレスを使用しおよそ1000psiで円筒状リザーバーに充填して、Wrightダストフィードによるインプットとして使用される粉状物の圧縮ケーキを生成した。ダストフィードはエアロゾルを生じ、これが解砕のための超音波ノズルを通ってサイクロンに入り、非呼吸域粒子及び凝集体が除去される。サイクロンアウトプットをTSE鼻部限局齧歯動物曝露システムに通した。マウスの投与群を、エアロゾル試験環境に5、15又は45分間曝露させた。TSEは、動物用に24ポート及びサンプリング用に3つのサンプリングポート:リアルタイムのエアロゾル濃度(Microdust pro)、重量エアロゾル濃度(アブソリュートフィルター)及び粒径(カスケードインパクター)を有した。曝露の間、マウスの解剖用に設計されたガラス管中に動物を拘束した。その曝露システムは、空気物質収支による空間的均一性及び経時的安定性を満たした。各ポートへの気流及びポート間の流量は、インプット流量を17リッター/分で設定し、2%未満で変動した。曝露毎の粒度分布を、8段階式カスケードインパクターでエアロゾルサンプルを回収することによって評価した。エアロゾルを、カスケードインパクターによって、1リッター/分の気流量で45分間サンプリングした。インパクターデータを数学的に評価し、6−tert−ブチル−2−[2−ヒドロキシメチル−3−(5−{5−[(2−メトキシ−エチルアミノ)−メチル]−ピリジン−2−イルアミノ}−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−イル)−フェニル]−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンの空気動力学的質量中央粒子径(MMAD)及び幾何学的標準偏差(GSD)を仮定対数正規分布のグラフ分析を使用して決定した。化合物1の推定蓄積用量を0.026リッター/分のマウスの分時拍出量を使用して計算し、肺蓄積率をMMADから決定した。マウスに投与した45分後に、エアロゾル化又は静脈内投与されたOVAへ曝露させた。
【0257】
急性気管支収縮に及ぼす化合物1の効果を評価するために、対照(ミョウバン注射及び食塩水接種した)マウスとOVA感作及び接種したマウスに150mg/kgペントバルビタールで麻酔をかけ(i.p.)、気管カニューレを外科的に準備し、コンピューター制御された人工呼吸器(flexiVent, SCIREQ Inc.;1回換気量=10ml/kg;150回の呼吸/分の呼吸速度;3cmH2Oの呼吸終末陽圧)で機械的に換気した。0.9%食塩水中の7.5mg/ml(30mg/kg)のオボアルブミン100μlの尾静脈注射の前に及び注射後7分間にわたって10秒毎に、呼吸抵抗(R)を測定した(SnapShot150摂動)。flexiWareソフトウェア(バージョン7.1)を使用してデータをデジタル的に記録した。ベースラインと抗原誘発Rのピークとの差をRの増加率として計算し、OVA誘発急性気管支収縮の低下率として表2に報告した。ここに報告した2つの研究では、OVAの静脈内(i.v.)投与は、Rの約60〜80%の増加を誘発し、これは、鼻腔内(i.n.)投与又は乾燥粉末製剤として吸入によって送達された場合に、化合物1によって効果的に阻害された。
【0258】
【表10】
【0259】
気道炎症に及ぼす化合物1の効果を研究するために、3回の1%OVA接種後に、最終OVA接種を、PBS中の5%OVAのエアロゾル溶液(50mg/ml)又はPBS単独として20分間行った。5%OVA接種の24時間後に、マウスにペントバルビタール(75μlの50mg/ml溶液:150mg/kg)で麻酔をかけ、気管カニューレを外科的に準備した(18 gauge Angiocath, Becton Dickinson, Sandy, Utah, USA)。肺を洗浄し、以前に記載されたように総細胞及び分化した細胞をカウントすることによって気道炎症を評価した[Harris et al., 2012, Mucosal Immunology]。データを、OVAで誘発された気道好酸球増多の低下率として表3に報告する。ここに報告した研究において、エアロゾル化OVAは、洗浄液に回収された好酸球数の288%の増加を誘発し、これは乾燥粉末製剤として吸入によって送達された化合物1によって効果的に阻害された。
【0260】
【表11】
【0261】
ステロイド耐性気道炎症のモデルにおける化合物1の効果
合成型の二本鎖RNAのポリイノシン−ポリシチジル酸(Poly I:C)によって誘発された気道炎症に及ぼす化合物1の効果を評価した。用いたモデルは、急性ウイルス感染の効果を模倣することを意図しており、これはステロイド耐性の気道好中球増加を引き起こすことが知られている[Harris et al., 2012, Mucosal Immunology]。この実験を実施するために、マウス(雄;BALB/c;7〜9週齢)にイソフルランで麻酔をかけ、食塩水又はpoly I:C(30μg)を鼻腔内(i.n.)投与し、24時間後に気道炎症を以前に記載されたように評価した[Harris et al., 2012, Mucosal Immunology]。化合物1は、poly I:Cで誘発された気道好中球増加を用量依存的に阻害した(表6)。これらの好中球の低下は、洗浄液中の好中球走化性因子のレベルの低下と一致した(表4)。
【0262】
【表12】
【0263】
DMPKデータ
ラット、イヌ及びカニクイザル(cyno)における化合物1の薬物動態は、低い経口バイオアベイラビリティ及び高い血漿クリアランスによって特徴付けられた(表7)。マウスでは、それは中程度の血漿クリアランス及び低い経口バイオアベイラビリティによって特徴付けられた。ラット及びイヌにおける化合物2及び3の薬物動態は、低い経口バイオアベイラビリティ及び高い血漿クリアランスによって特徴付けられた(表8及び9)。
【0264】
【表13】
【0265】
【表14】
【0266】
【表15】
【0267】
以上の出願は、明確化及び理解を目的として、説明及び例によっていくらか詳しく記載されている。当業者にとって、添付の特許請求の範囲内で変更及び変形を実施できることは明らかであろう。従って、上記の記載は、例示的であって、限定的ではないことを意図したものであることを理解されるべきである。従って、本発明の範囲は、上記の記載を参照して決定されるべきではなく、以下に添付される特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲に権利付与された均等物の全範囲と合わせて決定されるべきである。
【0268】
本出願に引用された特許、特許出願及び刊行物は全て、個々の特許、特許出願又は刊行物が各々個別に示されたかのように同程度まであらゆる目的で、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
図1
図2
図3