特許第6043003号(P6043003)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6043003
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】犬の介護用胴輪
(51)【国際特許分類】
   A01K 27/00 20060101AFI20161206BHJP
   A01K 15/02 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   A01K27/00 Z
   A01K15/02
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-20462(P2016-20462)
(22)【出願日】2016年2月5日
【審査請求日】2016年2月15日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用 HP「アシスタントバンド・ハニカムタイプ リフトタイプ(老犬介護用品歩行補助胴輪)」<URL:http://www.peppynet.com/shop/d471006.html>に平成27年8月25日発表。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用 平成27年9月刊行のペピイドッグズ2015年秋冬号、52ページに発表。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用 HP「後脚付着たまま寝んねのハニカムつなぎ」<URL:http://www.retriever.org/shop/kaigo/asbpb.html>に平成27年10月1日発表。
(73)【特許権者】
【識別番号】516039354
【氏名又は名称】太田 スミ
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(74)【代理人】
【識別番号】100129610
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 暁子
(72)【発明者】
【氏名】太田 スミ
【審査官】 本村 眞也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−245025(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0020752(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3176602(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3198277(JP,U)
【文献】 特開2007−159440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/02;13/00;15/02;27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
犬に装着される介護用胴輪であって、
前記犬の胸部および左右両側部に装着されるように形成された胴当てと、
前記胴当ての後部に取り付けられた2つの二重環状紐部材と、
を有し、
前記胴当ては、前記犬の前脚が挿入される前脚用開口部を形成する左右2つの前脚用紐部と、前記胴当ての左右両側に取り付けられた2つの持ち手と、を有し、
前記二重環状紐部材は、前記犬の後脚が挿入可能な第1環状部と、第2の持ち手を構成する第2環状部と、を有し、前記第1環状部と前記第2環状部とはそれらの周方向一部で互いに固定されている介護用胴輪。
【請求項2】
前記二重環状紐部材は、前記第1環状部および前記第2環状部の互いに固定されている部位を含む領域を包囲する筒状カバーをさらに有する、請求項1に記載の介護用胴輪。
【請求項3】
前記筒状カバーは、立体メッシュ構造を有する生地から作られている、請求項2に記載の介護用胴輪。
【請求項4】
前記第1環状部は、帯部材と、前記帯部材の両端部にそれぞれ取り付けられて互いに着脱自在に結合されるファスナーとを有し、前記ファスナーは互いの結合位置が可変である、請求項2または3に記載の介護用胴輪。
【請求項5】
前記ファスナーは面ファスナーである、請求項4に記載の介護用胴輪。
【請求項6】
前記二重環状紐部材は前記胴当てに対して着脱自在に取り付けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の介護用胴輪。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬の立ち上がりや歩行といった動作を補助するのに用いられる介護用胴輪に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢の犬が寝たきり状態になると、運動不足が原因で死亡が早まることはよく知られている。犬は、寝たきり状態であっても全く歩けないわけではなく、人間が補助してあげると歩けることが多い。そこで、歩行が困難な犬の歩行を補助する介護用胴輪として、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載された犬の介護用胴輪は、胸当て部と、胸当て部の両側に設けられた側布部と、各側布部と胸当て部との間に設けられた前脚挿入孔と、側布部の自由端に設けられたファスナーと、各側布部に設けられた持ち手と、を有している。上記の構成によれば、ファスナーを結合しない状態で介護用胴輪を開き、寝ている犬の前脚を前脚挿入孔に挿入し、次いで、一方の側布部を、犬の下方を通して背部に導き、同時に胸当て部を胸部に当てるとともに、側布部の端部同士をファスナーにて結合することにより、介護用胴輪を犬に着用させることができる。
【0004】
介護用胴輪が犬に装着されたら、犬の腰部を抱えながら、あるいは犬の頭部を起こしながら、介護用胴輪を持ち上げることによって、犬を無理なく立ち上がらせることができる。犬が立ち上がったら、持ち手を持って人間が付き添えば、犬は歩行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3059815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、体重が30kg以上もある大型犬や後脚が極端に弱くなった犬の歩行を補助するような場合は、例えば以下に述べるような問題点があった。
(a)犬を介護する人間の観点から見ると、持ち手に加わる力が大きくなり、介護する人間の負担が大きくなる。
(b)介護される犬の観点から見ると、介護用胴輪は犬の体重の大部分を胸当て部で受けることになるため、人間が持ち手を持ち上げると犬は胸部が圧迫されてしまう。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、犬および人間の双方にとって負担を軽減する介護用胴輪を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明の介護用胴輪は、犬に装着される介護用胴輪であって、犬の胸部および左右両側部に装着されるように形成された胴当てと、胴当ての後部に取り付けられた2つの二重環状紐部材と、を有する。胴当ては、犬の前脚が挿入される前脚用開口部を形成する左右2つの前脚用紐部と、胴当ての左右両側に取り付けられた2つの持ち手と、を有し、二重環状紐部材は、犬の後脚が挿入可能な第1環状部と、第2の持ち手を構成する第2環状部と、を有し、第1環状部と第2環状部とはそれらの周方向一部で互いに固定されている。
【0009】
上記本発明の介護用胴輪において、二重環状紐部材は、第1環状部および第2環状部の互いに固定されている部位を含む領域を包囲する筒状カバーをさらに有することが好ましい。この場合、筒状カバーは、立体メッシュ構造を有する生地から作られていることがより好ましい。また、第1環状部は、帯部材と、帯部材の両端部にそれぞれ取り付けられて互いに着脱自在に結合されるファスナーとを有し、ファスナーは互いの結合位置が可変であることが好ましい。ファスナーは、面ファスナーであってよい。
【0010】
さらに、上記本発明の介護用胴輪において、二重環状紐部材が胴当てに対して着脱自在に取り付けられていることが好ましい。
【0011】
(定義)
本発明において、「前」および「後」は、介護用胴輪を犬に装着した状態における犬の「前」および「後」に対応しており、犬の頭部側を「前」、犬の尾側を「後」として表す。また、「右」および「左」は、介護用胴輪を展開した状態で、介護用胴輪の前後方向および厚さ方向に直交する方向を意味する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、二重環状紐部材を有することにより、犬の後脚を補助するための構造を極めて簡単な構造で提供することができる。その結果、介護用胴輪は、前後にそれぞれ持ち手を有することとなり、この2つの持ち手を用いて犬の立ち上がりや歩行等の構造を補助できるようにすることにより、犬および人間の双方の負担を軽減することができる。また、後部の持ち手を構成する環状紐部材が胴当てに対して着脱自在に取り付けられるようにすることで、犬の状態に合わせて胴当てのみを用いたり環状紐部材のみを用いたりするなど、様々な使用形態が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本発明の一実施形態による犬の介護用胴輪を展開し、表側から見た平面図である。
図1B図1Aに示す介護用胴輪を、紐部材を外した状態で示す平面図である。
図2A図1Aに示す介護用胴輪を左右中央で折り畳んだ状態で示す側面図である。
図2B図1Aに示す介護用胴輪を左右中央で折り畳み、かつ、紐部材を取り外した状態で示す側面図である。
図3図1Aに示す介護用胴輪を犬に着用させた状態の図である。
図4A図1Aに示す介護用胴輪の、面ファスナー同士の結合により構成される第1環状部の一例、および胴当てへの環状紐部材の着脱構造の一例を示す図である。
図4B図4Aに示す環状紐部材において、第1環状部を構成する帯状部材の両端部が面ファスナーによって結合された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1A図1B図2Aおよび図2Bを参照すると、胴当て1と、胴当て1の後部に着脱自在に取り付けられた左右2つの環状紐部材2とを有する、本発明の一実施形態による介護用胴輪が示されている。また、この介護用胴輪を犬に装着した状態を図3に示す。
【0015】
胴当て1は、第1の部分11aと、第1の部分11aの左右方向に延びる2つの第2の部分11bと、第1の部分11aの前端から左右に延びる2つの前脚用紐部11cと、を有する。第1の部分11aは、胸当てとして割り当てられ、第2の部分11bは、側部当てとして割り当てられる。前脚用紐部11c、それぞれの先端部が、左右の第2の部分11bに固定され、これによって、前脚用開口部12が形成される。第2の部分11bへの前脚用紐部11cの固定は、縫製、接着、スナップ止め、ボタン止めなど、任意の手段を用いることができる。
【0016】
第1の部分11a、第2の部分11bおよび前脚用紐部11cは、1枚の生地から作ることもできるし、複数枚の生地を組み合わせて作ることもできる。また、第1の部分11a、第2の部分11bおよび前脚用紐部11cの素材は、犬に装着するのに適合する素材であれば特に制限されず、例えば、人間が着用する衣料に用いられる素材を用いることができる。
【0017】
さらに、第1の部分11a、第2の部分11bおよび前脚用紐部11cを構成する生地の少なくとも一部は、メッシュ構造、例えば立体メッシュ構造を有することが好ましい。立体メッシュ構造を有する生地は、しなやかであり、かつ、通気性が極めて良好である。そのため、介護用胴輪は犬のどのような姿勢にも追従でき、しかも、介護用胴輪を犬に装着した状態での蒸れを抑制することができる。このことにより、装着したまま犬が寝てしまっても、犬が不快に感じることは極めて少なく、24時間装着したままとすることも可能である。さらに、通気性に優れることから、濡れても乾燥が早いため、洗濯も簡単である。また、第1の部分11a、第2の部分11bおよび前脚用紐部11cを構成する生地の表面側に、その少なくとも一部に配置された表層生地を有していてもよい。この表層生地に適宜デザインを施すことで、介護用胴輪の意匠性を向上させることができる。
【0018】
代表的な立体メッシュ構造として、ダブルラッセル編みにより形成された立体メッシュ構造が挙げられる。この立体メッシュ構造は、それぞれメッシュ状に編まれた表編地および裏編地が、互いに連結糸によって間隔をあけて連結された構造を有している。このような構造により、立体メッシュ構造は、編地の厚さ方向およびその方向に直交する方向に空隙を有している。したがって、この立体メッシュ構造は、軽量であり、かつ、通気性に優れているという特徴を有する。
【0019】
胴当て1は、左右2つの持ち手13をさらに有する。持ち手13は、帯状部材からなり、その両端が、胴当て1の前後方向に適宜の間隔をあけて第2の部分11bに固定されることによって、持ち手13として構成される。持ち手13の第2の部分11bへの固定方法としては特に限定されるものではないが、場合によっては犬の体重のほとんどが作用する可能性があることを考慮すると、縫製によって固定することが好ましい。
【0020】
左右2つの持ち手13は、これら持ち手13を互いに着脱自在に結合する結合手段を有することができる。結合手段を有することによって、左右の持ち手13を一つにまとめることができ、その結果、持ち手13が持ち易くなり、また、この介護用胴輪を装着したまま犬が横になっても持ち手13が邪魔になりにくい。結合手段としては特に限定されず、例えば、面ファスナー、スナップ、ボタンなどを用いることができる。結合手段を有する位置も特に限定されるものではないが、左右の持ち手13をより良好に一つにまとめるためには、犬に装着した状態において持ち手13の上端部に相当する位置とすることが好ましい。
【0021】
胴当て1の左右両端部、言い換えれば各第2の部分11bの自由端部には、互いに着脱自在に結合するファスナー14、15が設けられている。ファスナー14、15は、胴当て1の前後方向ほぼ全体にわたって延びており、ファスナー14、15により胴当て1の左右両端部同士を結合して筒状とすることで、犬の胴部を包囲することができる。また、ファスナー14、15の少なくとも一方を複数列(例えば本形態では2列のファスナー15、15a)とすることで、犬のサイズに合わせて胴当て1の周囲長を変更することができる。
【0022】
ファスナー14、15(15a)としては、胴当て1の左右両端部同士を着脱自在に結合することができるものであれば特に限定されるものではなく、スライドファスナーや面ファスナーなど任意の手段を用いることができる。
【0023】
左右2つの環状紐部材2はそれぞれ、犬の後脚が挿入可能な後脚用開口部24を形成する第1環状部21と、後側の第2の持ち手を構成する第2環状部22と、を有する。第1環状部21および第2環状部22は、それぞれ帯状部材を環状に形成することによって構成することができる。第1環状部21および第2環状部22は、それらの周方向一部で互いに固定されており、これによって、環状紐部材2は、二重環状構造とされている。
【0024】
第1環状部21のサイズ(例えば、直径、周長など)は、犬の後脚が挿入されるのに十分なサイズであれば特に限定されない。同様に、第2環状部22のサイズ(例えば、直径、周長など)も、持ち手として使用するのに適したサイズであれば特に限定されない。
【0025】
図4Aに示すように、第1環状部21を構成する帯状部材は、その両端に結合手段として面ファスナー21a、21bを有している。図4Bに示すように、この面ファスナー21a、21bによって帯状の部材の両端部同士を結合することで、第1環状部21を形成することができる。面ファスナー21a、21bの少なくとも一方を、帯状の部材の長手方向に適宜の長さを有するものとすることで、面ファスナー21a、21bの結合位置を変えることができ、これによって、第1環状部21のサイズを、犬の後脚に合わせて任意に調整可能となる。また、このような結合手段を有する帯状部材で第1環状部21を構成することで、犬が立ったまま、後脚を上げることなく環状紐部材2を犬に装着することができる。
【0026】
上記のように、第1環状部21を、両端部が着脱自在に結合するようにされた帯状の部材で構成する場合、第1環状部21は、それを構成する帯状の部材の長手方向中央部で第2環状部22に固定されることが好ましい。第1環状部21と第2環状部22との固定は、両者が容易に分離しないような方法であれば任意の方法で行うことができる。例えば、図4Bに示した例では、第1環状部21と第2環状部22とを適宜箇所で縫い合わせた縫合部22aによって第1環状部21と第2環状部22とが固定されている。縫合部22aの数は任意であってよい。
【0027】
左右2つの環状紐部材2は、その第2環状部22同士を互いに着脱自在に結合する結合手段を第2環状部22に有することができる。第2環状部22が結合手段を有することによって、左右の第2環状部22(第2の持ち手)を一つにまとめることができる。この連結手段による作用効果、好ましい連結手段の例、および連結手段を有する位置は、前述した、持ち手13が有する連結手段と同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0028】
環状紐部材2は、筒状カバー23をさらに有していてもよい。筒状カバー23は、第1環状部21と第2環状部22とが互いに固定されている部位を含む領域を包囲する位置に配置されている。環状紐部材2が使用されるとき、第1環状部21には犬の後脚が挿入され、第2環状部22は持ち手として使用される。よって、第1環状部21に犬の後脚が挿入された状態で第2環状部22を持って環状紐部材2を持ち上げたとき、第2環状部22の下端に位置する部分で第1環状部21が固定されていることが、環状紐部材2を最も安定して持ち上げることができる。そしてこの場合、犬の後脚の付け根の部分に、第1環状部21と第2環状部22との固定部が強く当たる。
【0029】
よって、第1環状部21と第2環状部22とが互いに固定されている部位を含む領域を包囲するように筒状カバー23を配置することで、筒状カバー23はクッションとして働き、犬の身体的負担を軽減することができる。筒状カバー23のこの効果をより効果的に発揮させるためには、筒状カバー23は、前述した立体メッシュ構造を有する生地から作られることが好ましい。
【0030】
前述したとおり、環状紐部材2は胴当て1に着脱自在に取り付けられている。環状紐部材2を胴当て1に着脱自在に取り付けるための手段としては、この介護用胴輪を犬に装着した状態で環状紐部材2を持ち上げたときに、環状紐部材2が胴当て1から外れなければ任意の手段を用いることができる。
【0031】
本形態では、第1環状部21が、両端部が着脱自在に結合する帯状部材で作られていることを利用して、胴当て1との間を第1環状部21が通るループ部を有して胴当て1に縫い付けられた短冊状の部材で形成された紐通し16、17によって、環状紐部材2を胴当て1に取り付けるための手段を構成している(図4参照)。このような手段によれば、第1環状部21が形成されていない状態、すなわち帯状の部材の両端部同士が結合されていない状態で、その帯状の部材を紐通し16、17のループ部に通し、その後、帯状の部材の両端同士を結合させることで、環状紐部材2を胴当て1に取り付けることができる。環状紐部材2の取り外しは、上記と逆の手順で行うことができる。
【0032】
図示した形態では、左右それぞれの側に2つずつ紐通し16、17を有しているが、紐通しの数は1つずつでもよいし、3つずつ以上でもよい。環状紐部材2の位置をより安定させるためには複数の紐通し16、17を有することが好ましい。複数の紐通し16、17を有する場合、紐通し16、17は、前後方向に適宜の間隔をあけて配置されることが、環状紐部材2のより安定した取り付けのために好ましい。
【0033】
紐通し16、17の少なくとも1つは、環状紐部材2の取り付け位置を調整できるように複数のループ部を有することができる。本形態では、前側の紐通し16が、3つのループ部16a、16b、16c(図4A参照)を有するように胴当て1に縫い付けられており、3段階で環状紐部材2の取り付け位置を調整可能となっている。このように、環状紐部材2の取り付け位置を調整できるようにすることで、犬の体系や太腿の太さに合わせたサイズ調整が可能となる。
【0034】
以上説明したように、本形態の介護用胴輪は、一部位において互いに固定されて二重環状構造をなす第1環状部21および第2環状部22を備えた環状紐部材2を有することで、第1環状部21を後脚用開口部として提供すると同時に、第2環状部22を後側の持ち手である第2の持ち手として提供することができる。これにより、犬の後脚を補助するための構造を極めて簡単な構造で提供することができる。また、環状紐部材2を有することにより、前後にそれぞれ持ち手(持ち手13および第2環状部22)を有することとなり、これらの持ち手を持ち上げて、寝ている犬の起き上がりおよび歩行を補助することによって、犬は、より小さい負担で立ち上がったり歩行したりすることができる。また、補助する人間も、持ち手を持ち上げたときの犬の体重をこれらの持ち手に分散させることができるので、負担が軽減される。さらに、前後2つの持ち手によって前脚と後脚とを別々に補助することができるので、例えば段差を昇降するような場合であっても犬および人間にとって負担を軽減することができる。
【0035】
また、犬の後脚を補助し、かつ、後側の持ち手となる環状紐部材2が胴当て1に対して着脱自在に取り付けられるので、後脚の補助がそれほど必要ない場合には、環状紐部材2を取り外して胴当て1のみを犬に装着し、犬の立ち上がりや歩行を補助することもできる。逆に、前脚の補助がそれほど必要ない場合には、2つの環状紐部材2のみを用いて、犬の立ち上がりや歩行を補助することができる。このように、環状紐部材2を胴当て1に着脱自在に構成することで、犬の状態に合わせて様々な使用形態が可能となる。
【符号の説明】
【0036】
1 胴当て
2 環状紐部材
11a 第1の部分
11b 第2の部分
11c 前脚用紐部
12 前脚用開口部
13 持ち手
14、15、15a ファスナー
16、17 紐通し
16a、16b、16c ループ部
21 第1環状部
21a、21b 面ファスナー
22 第2環状部
23 筒状カバー
24 後脚用開口部
【要約】      (修正有)
【課題】犬および人間の双方にとって負担を軽減する、犬の介護用胴輪を提供する。
【解決手段】本発明の介護用胴輪は、犬の胸部および左右両側部に装着されるように形成された胴当て1と、胴当て1の後部に取り付けられた左右2つの環状紐部材2と、を有する。胴当て1は、犬の前脚が挿入される前脚用開口部12を形成する左右2つの前脚用紐部11cと、胴当て1の左右両側に取り付けられた2つの持ち手13と、を有し、環状紐部材2は、犬の後脚が挿入可能な第1環状部と、第2の持ち手を構成する第2環状部と、を有し、第1環状部と第2環状部とはそれらの周方向一部で互いに固定されている。
【選択図】図1A
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B