特許第6043044号(P6043044)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6043044アクティブ・マトリクス・ディスプレイおよびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043044
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】アクティブ・マトリクス・ディスプレイおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/30 20060101AFI20161206BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20161206BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G09G3/30 J
   G09G3/20 611H
   G09G3/20 641D
   G09G3/20 641P
   G09G3/20 642A
   G09G3/20 642P
   H05B33/14 A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2009-541325(P2009-541325)
(86)(22)【出願日】2007年12月11日
(65)【公表番号】特表2010-512557(P2010-512557A)
(43)【公表日】2010年4月22日
(86)【国際出願番号】US2007025230
(87)【国際公開番号】WO2008073371
(87)【国際公開日】20080619
【審査請求日】2010年12月13日
【審判番号】不服2015-3399(P2015-3399/J1)
【審判請求日】2015年2月23日
(31)【優先権主張番号】11/608,891
(32)【優先日】2006年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503431596
【氏名又は名称】リーハイ・ユニバーシティー
(73)【特許権者】
【識別番号】310001285
【氏名又は名称】トロッコリー、マティアス、エヌ.
(73)【特許権者】
【識別番号】310001296
【氏名又は名称】ハタリス、ミルティアディス、ケイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トロッコリ、マティアス、エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ハタリス、ミルティアディス、ケイ.
【合議体】
【審判長】 酒井 伸芳
【審判官】 中塚 直樹
【審判官】 清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/018553(WO,A1)
【文献】 特開2005−331933(JP,A)
【文献】 特開2003−76331(JP,A)
【文献】 特開2003−58106(JP,A)
【文献】 特開2004−192000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00-3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイであって、
複数のピクセルであって、その各々が、動作可能のように1本のデータ・ラインと、選択ラインおよび電流ラインとに接続されている前記複数のピクセルと、ここで、前記複数のピクセルの各々は発光ダイオード、キャパシタ、そして2つの薄膜トランジスタ、すなわちアドレス・トランジスタと駆動トランジスタを有し、各々のトランジスタが3端子、すなわちソース、ドレイン、そしてゲートを持ち、
ここで、前記アドレストランジスタのドレインあるいはソースの一方は、前記データ・ラインに接続され、他方は前記駆動トランジスタのゲートに接続され、前記駆動トランジスタのドレインあるいはソースの一方は、前記発光ダイオードに接続され、そして、前記アドレストランジスタのゲートは選択ラインに接続され、1つのピクセルは前記選択ラインが前記1つのピクセル内の前記アドレストランジスタが起動する電圧に維持される時にアドレスされ、
前記複数のピクセルの外部の回路であって、電流値所要の値に設定されるまで、前記データ・ラインの電圧値を調整することにより、前記電流ラインから供給されアドレスされたピクセルの前記駆動トランジスタを通って流れる電流値を動的に制御するよう構成された回路と、ここで、前記所要の各ピクセル電流が他のピクセル電流値に対して独立な外部データ信号により設定され、
を含み、
前記複数のピクセルの外部の回路は、前記選択ラインが前記アドレスされたピクセルの前記アドレストランジスタを起動する電圧値に保持される期間と等しいかそれより短い時間の中で、アドレスされたピクセルの前記駆動トランジスタ内の前記所要の電流の値を設定し、
これにより、前記複数のピクセルの外部の回路は、アドレスされたピクセルの前記駆動トランジスタ内の所要の電流の値を設定するために、他のピクセルの外部データ信号値を記憶しあるいは処理せず、
前記複数のピクセルの外部の回路は、前記アドレスされたピクセルの前記駆動トランジスタ内の所要の電流の値を設定し、一方、前記電流ライン同一の前記電流ラインに接続されたほかの点灯しているピクセルに同時に電流を供給することを特徴とする
ディスプレイ。
【請求項2】
請求項1記載のディスプレイであって、
前記複数のピクセルの外部の回路は前記データ・ラインおよび前記電流ラインとに接続され、
前記複数のピクセルは同じ前記データ・ラインおよび同じ前記電流ラインの両方に接続されて、そして前記データ・ラインに応答してアドレスされたピクセルへの所要のピクセル電流値を設定する少なくとも1つの前記アドレスされたピクセルを含み、
前記複数のピクセルの外部の回路は、前記電流ラインの電流値をサンプリングし、前記アドレスされたピクセルにより引き出された電流値を検知し、前記アドレスされたピクセルにより引き出された前記電流値を外部から設定されたデータ電流値と比較して、その差に従って前記データ・ライン電圧値を制御し、前記アドレスされたピクセルにより引き出された前記電流値を前記外部から設定されたデータ電流値と比較したときに、差が検知されなくなるまでループバック回路動作を繰り返すことを特徴とする
前記ディスプレイ。
【請求項3】
請求項1記載のディスプレイであって、
前記複数のピクセルの外部の回路は各々が前記データ・ラインと前記電流ラインに接続された複数のループバック回路を持ち、
同じ前記データ・ラインおよび同じ前記電流ラインの両方に接続された前記複数のピクセルは前記データ・ライン電圧に応答してアドレスされたピクセルへの所要のピクセル電流値を設定する少なくとも1つの前記アドレスされたピクセルを含み、
前記複数のピクセルの同じ前記データ・ラインと同じ前記電流ラインに接続された各ループバック回路について、前記ループバック回路は各ピクセルが前記電流ラインから所要の電流値を引き出すように、前記データ・ラインに接続された各ピクセルの電圧値を逐次的に制御し、設定し、
前記ループバック回路は、各ピクセル電流値を決定し、調整されるピクセル電流値が外部の参照電流値と一致するまで、前記調整されるピクセルの電圧値をプログラムするように前記列データ・ライン電圧値を調整するように構成された、
前記ディスプレイ。
【請求項4】
請求項記載のディスプレイであって、
前記ループバック回路の少なくとも1つは、前記電流ラインの電流値をサンプリングし、アドレスされたピクセルの駆動トランジスタにより引き出される電流値を検知し、前記電流値を外部から設定されたデータ電流値と比較し、その差に従って前記駆動トランジスタで引き出される電流変化させるように前記列データ・ライン電圧値を調整し、前記電流ラインからアドレスされたピクセルの前記駆動トランジスタにより引き出される電流値を前記アドレスされたピクセルに対する前記外部から設定されたデータ電流値と比較した時に、差が検知されなくなるまでループバック回路動作を繰り返すことを特徴とする
前記ディスプレイ。
【請求項5】
請求項記載のディスプレイであって、
前記少なくとも1つのループバック回路は、更に、前記ピクセルに接続された電流ラインからアドレスされたピクセルの前記駆動トランジスタにより引き出された電流の活動時に引き出される電流値と保存された前記ピクセルの参照電流値とを比較する比較器と、前記列データ・ラインの電圧値を前記参照電流値と関係する電圧値との比較に従って調整する調整器を含む、
前記ディスプレイ。
【請求項6】
請求項記載のディスプレイであって、
前記少なくとも1つのループバック回路は、
電流源と、
定電圧源に接続された入力端子、ソース・トランジスタと接続された入力端子、それと切り替え可能なようにソース・トランジスタと検出トランジスタのゲートに接続された出力端子を持つ増幅器を有する検出モジュールとを有し、
スイッチがONの時は前記増幅器がソース・トランジスタを動作させて列電流値をサンプルし、スイッチがOFFの時は前記検出トランジスタの電流値と外部から設定された参照データ電流値の差に応じて前記検出トランジスタの電圧値を調整することを特徴とする
前記ディスプレイ。
【請求項7】
請求項記載のディスプレイであって、
前記少なくとも1つのループバック回路は、検出トランジスタと保存されたピクセル電流値の間に接続された増幅器を有し、検出トランジスタ電圧値と保存されたピクセル電流値との差に応答して前記列データ・ライン電圧値を調整する、データ・プログラミング・モジュールを有する、ことを特徴とする
前記ディスプレイ。
【請求項8】
請求項記載のディスプレイであって、前記少なくとも1つのループバック回路は、
電流源と、
定電圧源に接続された入力端子、ソース・トランジスタに接続された入力端子、及び切り替え可能なソース・トランジスタあるいは検出トランジスタのゲートに接続された出力端子を持つ増幅器を有する検出モジュールと、ここで、スイッチがONの時に前記増幅器はソース・トランジスタを付活して列電流値をサンプルさせ、スイッチがOFFの時に前記検出トランジスタの電流値と外部から設定された参照データ電流値との差に応答して前記検出トランジスタの電圧値を調整し、
前記検出トランジスタと保存されたピクセル電流値との間に接続された増幅器を有し、検出トランジスタ電圧値と保存されたピクセル電流値との差に応答して前記列データ・ライン電圧を調整する増幅器を有するデータ・プログラミング・モジュールとを有することを特徴とする
前記ディスプレイ。
【請求項9】
請求項記載のディスプレイであって、前記少なくとも1つのループバック回路が、
電流源と、
定電圧源に接続された入力端子、ソース・トランジスタに接続された入力端子、及び切り替え可能なソース・トランジスタあるいは検出トランジスタのゲートに接続された出力端子を持つ増幅器を有する検出モジュールと、ここで、スイッチがONの時に前記増幅器はソース・トランジスタを付活して列電流値をサンプルさせ、スイッチがOFFの時に前記検出トランジスタの電流値と前記列電流ラインの負荷により引き出される電流値との差に応答して前記検出トランジスタの電圧値を調整し、
ソース・トランジスタと前記検出トランジスタとの間に接続され、前記検出トランジスタの電圧値と保存されたピクセル電流値に関係する電圧値との差に応答して列データ・ライン電圧値を調整する増幅器を有するデータ・プログラミング・モジュールとを有することを特徴とする
前記ディスプレイ。
【請求項10】
ディスプレイであって、
複数のピクセルの各々が1本のデータ・ラインと、選択ラインおよび電流ラインと接続されている前記複数のピクセルと、
ここで、各々のピクセルは、発光ダイオード、キャパシタ、そして2つのピクセルトランジスタ、すなわち第1のピクセルトランジスタと第2のピクセルトランジスタを有し、各々のトランジスタがソース、ドレイン、そしてゲートを持ち、
ここで、前記第1のピクセルトランジスタのドレインあるいはソースの一方は、前記データ・ラインに接続され、他方は前記第2のピクセルトランジスタのゲートに接続され、前記第2のピクセルトランジスタのドレインあるいはソースの一方は、前記発光ダイオードに接続され、そして、第1のピクセルトランジスタのゲートは選択ラインに接続され、1つのピクセルは前記選択ラインが前記アドレスされたピクセル内の前記第1のピクセルトランジスタが起動する電圧に維持される時にアドレスされ、
複数のピクセルの外部の回路であって、所要の電流値前記第2のピクセルトランジスタによって前記ピクセルへ接続される前記電流ラインから引き出されるように設定されるように前記ピクセルへ接続される前記データ・ラインの電圧値を調整することにより、アドレスされたピクセル内の前記第2のピクセルトランジスが前記ピクセルへ接続される電流ラインから引き出す電流値を動的に制御するよう構成された回路と、
ここで、前記所要の各ピクセル電流が他のピクセル電流値に対して独立な外部データ信号により設定され、
を含み、
前記複数のピクセルの外部の回路は、前記選択ラインが前記アドレスされたピクセル内の前記第1のピクセルトランジスタを起動する電圧値に保持される期間と等しいかそれより短い時間の中で前記アドレスされたピクセル内の前記第2のピクセルトランジスタが引き出す前記電流の所要の値を設定し
これにより、前記複数のピクセルの外部の回路は、アドレスされたピクセルの前記駆動トランジスタにより引き出される電流の所要の値を動的に制御し設定するために、他のピクセルの外部データ信号値を記憶しあるいは処理せず
前記複数のピクセルの外部の回路は、前記電流ラインから前記アドレスされたピクセルの前記第2のピクセルトランジスタにより引き出される電流値を設定し一方、前記電流ラインは同時に同一の電流ラインに接続されたほかの点灯しているピクセルに電流を供給することを特徴とする
前記ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブ・マトリクス・ディスプレイおよびディスプレイを駆動する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブ・マトリクス・ディスプレイは、ピクセルと呼ばれる発光ユニットを多数含んで構成される。各ピクセルは、発光ダイオードを制御する電子回路を含む。ピクセルは、行および列のアレイの形に配置されて1つのディスプレイを形成する。動作時には、アレイの各ピクセルは、更新データ値で逐次的にプログラムされ、それが光のレベルに変換される。
【0003】
典型的な2−TFTピクセルでは、光の強度を決めるデータ値は、電圧の形で外部から供給される。電圧は、ピクセル回路によって電流に変換され、それが、有機発光ダイオード(OLED)に向けて流される。電流の量は、ダイオードが発する光の量を決定する。OLEDがプログラムされると、薄膜トランジスタ(TFT)は、プログラム・ラインから、電源からOLEDに流れる電流を制御する別のトランジスタのゲートにデータ値電圧を送信する。
【0004】
電流制御トランジスタを流れる電流は、それのゲートの電圧によって変化する。トランジスタ材料の特性などの因子によって、トランジスタを流れる電流が直接影響を受ける。トランジスタ材料の特性が変化すると(不一致)、同じプログラム電圧レベルであっても、2つの異なるピクセルに流れる電流が異なる場合がある。このことは、光出力の差にもつながる。この問題に対処するために、トランジスタ数や制御ライン数を増やした各種のピクセル・デザインが提案されてきた。しかし、それらのデザインは、複雑な構造となっており、収率および開口率が低下してしまう。
【0005】
最小個数のトランジスタを使用し、複雑なピクセル回路を回避し、迅速なプログラミングが可能で、出力均一性を改善したピクセル・ドライバを含むアクティブ・マトリクス・ディスプレイに対する需要が存在する。
【発明の概要】
【0006】
発明は、ディスプレイ・ピクセルの複雑さを増すことなしに、高レベルの均一性を提供するディスプレイ・ドライバ制御回路を備えたアクティブ・マトリクス・ディスプレイを提供する。
【0007】
発明は、次のもの、すなわち、複数のピクセルおよび1本のデータ・ラインと、ピクセルのための選択ラインおよび電流ラインと、少なくとも2つの薄膜トランジスタ、キャパシタおよび発光ダイオードを備えた回路を含む少なくとも1つのピクセルと、複数のピクセルの外部にあって、電源信号からディスプレイへ引き出される電流に従ってデータ・ラインの電圧を調整する回路を含むディスプレイとして説明できる。
【0008】
1つの実施の形態で、発明は、列データ・ラインおよび列電流ラインを含む少なくとも1つのデータ・ドライバ回路と、列データ・ラインおよび列電流ラインの両方に接続されて、列データ・ラインの電圧に応答して少なくとも1つのピクセルへのピクセル電流を駆動する少なくとも1つのピクセルを含む複数のピクセルと、列データ・ラインおよび列電流ラインの頭にあり複数のピクセルの外部にあって、駆動ピクセル電流の電圧を検知し、列データ・ライン電圧を調整して、調整されるピクセル電流の電圧を外部基準電流に一致するようにプログラムするループバック回路を含むアクティブ・マトリクス・ディスプレイである。
【0009】
別の実施の形態で、アクティブ・マトリクス・ディスプレイを駆動する方法は、プログラムされるピクセルによって引き出される電流の電圧とアクティブ・マトリクス・ディスプレイへの第1の電源電流の電圧との差分電圧を検知する工程と、差分に従ってディスプレイのピクセルへのデータ・プログラミング電圧を調整する工程とを含み、検知および制御の工程は、そのピクセルを含むピクセルの列の頭にあり列のピクセルの外部にあるループバック制御回路によって実行される。
【0010】
別の実施の形態で、アクティブ・マトリクス・ディスプレイは、マトリクスの列および行に配置された複数のAMOLEDピクセルを含み、ピクセルの各列は、共通の電流ラインおよび共通のデータ電圧源に接続されており、またピクセルの各行は、共通の選択ラインに接続されている。また少なくとも1つのピクセルは、ドレイン/ソース、ゲートおよび列電流ラインに接続されたソース/ドレインを有する電流駆動トランジスタと、駆動トランジスタのゲートに接続されたソース/ドレインおよび列データ・ラインに接続されたドレイン/ソースを有するアドレス・トランジスタと、アドレス・トランジスタのゲートに接続された選択ラインと、電流駆動トランジスタのドレイン/ソースに接続されたOLEDを含み、複数のAMOLEDピクセルは、列の少なくとも1つの頭にありその列の複数のピクセルの外部にあって、駆動されるピクセル電流の電圧を検知し、列データ・ライン電圧を調整して、調整されるピクセル電流の電圧を外部基準電流に一致させるようにプログラムするループバック制御回路に接続されている。
【0011】
更に別の実施の形態で、発明は、データ・ドライバ回路であり、少なくとも1つの列データ・ラインと、少なくとも1つの平行な列電流ラインと、少なくとも1つの列データ・ラインおよび対応する平行な列電流ラインの両方に直列に接続されて、列データ・ラインに応答してその少なくとも1つのピクセルへのピクセル電流を駆動する少なくとも1つのピクセルを含む複数のピクセルと、データ・ラインおよび電流ラインの列の頭にあり列の複数のピクセルの外部にあって、第1の入力データ電流の電圧と電流ライン上で負荷が引き出す電流の電圧との差分電圧を検知し、差分に従って入力データ電流を調整するループバック制御回路とを含む。
【0012】
別の実施の形態で、アクティブ・マトリクス・ディスプレイを駆動する方法は、(A)電源からアクティブ・マトリクス・ディスプレイへの第1のプログラム・データ値を表す初期電流をサンプリングする工程と、(B)同じ第1のプログラム電圧データ値を第2のキャパシタ回路に記憶し、第1のプログラム電圧データ値を選ばれたピクセル回路に供給する工程と、(C)ピクセル特性の変化の結果として、印加される第1のプログラム電圧データ値から減じた次の電圧データ値に従って電流を引き出す工程と、(D)引き出される電流の電圧を検知して、それをサンプリングされた初期電流信号の電圧と比較する工程と、(E)比較の結果に従って、第2のキャパシタにおいて、第1のプログラム電圧データ値を新しいプログラム電圧データ値に調節する工程と、(F)選ばれたピクセルに新しいプログラム電圧データ値を供給する工程と、(G)比較される記憶されたプログラム電圧データ値がサンプリングされた初期電流の電圧と同じになるまで、(B)から(F)を繰り返す工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ディスプレイ回路の模式図。
図2】ディスプレイ回路の線図。
図3】ディスプレイ回路の模式図。
図4】ピクセルの電流とドライバの電流のグラフ。
図5】ピクセルの電流とドライバの電流のグラフ。
図6】電流とデータとの関係を示すグラフ。
図7】データの関数として示された電流の不一致割合を示すグラフ。
図8】電流とデータとの関係を示すグラフ。
図9】データの関数として示された電流の不一致割合を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
AMOLEDディスプレイの輝度は、部分的にOLED素子を流れる電流に依存する。1つのAMOLED素子の各ピクセル電流は、電圧でプログラムされるピクセルに対しては、回路トランジスタに電圧を印加することによって、あるいは、電流でプログラムされるピクセルに対しては、異なるように構成された回路トランジスタに電流を印加することによって所定の電流を駆動するようにプログラムされる。
【0015】
電圧プログラム方式のディスプレイでは、電圧から電流への変換は、電流出力の電圧入力に対する比を表す量であるトランジスタの大信号相互コンダクタンスに基づいて行われる。OLED素子電流は、ピクセル回路トランジスタの相互コンダクタンスによって変化する。相互コンダクタンスは、トランジスタ移動度などの因子に依存するが、これは、ディスプレイ内で変動することがあり、それによって1つのディスプレイ内部で、またディスプレイ同士の間で不均一さを生じる。更に、電圧プログラムされるピクセルは、トランジスタ閾値電圧に敏感であり、これもディスプレイ内部で、あるいは、ディスプレイ同士の間で変動する。
【0016】
発明は、アクティブ・マトリクスのバックプレーンの複雑さを低減し、より複雑な均一修正機構と比べてAMOLED性能を改善するデータ・ドライバ回路に関する。ドライバは、ディスプレイを制御する命令シーケンス又はプログラミング回路である。1つの実施の形態で、発明は、ピクセル・トランジスタ又は制御ラインの数を増やす必要なしに高レベルの均一性を実現する2−TFTピクセル用データ・ドライバを提供する。データ・ドライバは、各列について、あるいは、複数の列について、データ・ラインおよび電流ラインによって形成されるフィードバック・ループの内部で動作する。スイッチング回路は、個別のピクセル電流を電流ライン中の列電流の残りのものから弁別する。次に、電流検知回路は、ピクセル電流が所望のレベルに達するまで、フィードバック・ループを制御してデータ・ラインを充電させる。
【0017】
発明の特徴は、図面および以下の詳細な議論から明らかになる。これらは、制限なしのほんの一例として、発明の好適な実施の形態について説明している。各図面において、同様な構造は同じ参照符号で示されている。
【0018】
図1は、提案するAMOLEDディスプレイ回路10の模式図である。回路10は、マトリクス・アレイ状に配置された複数のピクセル12を含む。図1は、3×3のマトリクスを示しているが、これは、AMOLEDのほんの一例であり、数千個の発光ピクセル12を含むように形成できる。3×3マトリクスは、列A、BおよびCと、行R、SおよびTを含むものとして示されている。各ピクセル12は、1本のピクセル選択ライン26と、列データ・ライン16および列電流ライン18の対との交点にそれらの間に設けられている。ピクセル12の各々は、発光ダイオード14を制御する電子回路を含む。
【0019】
各列は、データ・ライン16および電流ライン18を含み、また各ピクセル回路は、トランジスタM1 20、トランジスタM2 22および蓄積キャパシタ24を含む。トランジスタ20および22は、三端子(ゲート、ドレインおよびソース)デバイスであり、2つの振る舞い方をする。1つは、電圧の形をした情報の通過を許容するスイッチとして、もう1つは、流れる電流量を制御する可変バルブとして動作する。各ピクセル12において、トランジスタM1 20は、電流駆動トランジスタであり、ドレイン/ソースを列電流ライン18に接続され、ソース/ドレインをダイオード14に接続され、ゲートをトランジスタM2 22のソースに接続されている。アドレス・トランジスタM2 22は、ソース/ドレインを駆動トランジスタM1 20のゲートに接続され、ドレイン/ソースを列データ・ライン16に接続されている。アドレス・トランジスタM2 22は、スイッチとして機能する。スイッチがONのとき、それのドレインの電圧は、ソースに送られ、スイッチがOFFのとき、電圧の送信は許可されない。トランジスタM1 20は、それのゲートの状態に依存して電流の流れを制御できる制御バルブとして機能する。原則として、トランジスタM1 20のゲート上の電圧量が、デバイスを通って(ドレインへ、あるいは、ソースから)流れる電流を決める。
【0020】
ピクセルA、B又はCの列を新しい情報で更新するとき、データ・ライン16は、電圧の形でデータ値を供給する。このことは、一時に1つの行について行われ、行の各ピクセルには、対応するデータ値が同時に供給される。電圧は、トランジスタM1 20によって電流に変換され、電流ライン18によって供給される。電流は、発光ダイオードの方向に送られ、電流の量が放射される光の量を決める。AMOLEDへのデータは、ピクセルへ一時に1つの行書き込まれるが、ダイオードは、本質的に100%のデューティ・サイクルで動作する。これは、トランジスタ22およびキャパシタ24の組合せを通して供給される各ピクセルに対するメモリ回路を設けることによって実現される。
【0021】
動作時には、選択ライン26をパルス駆動することによって1つのピクセル12が選択される。トランジスタM2 22は、選択ライン26のパルスで駆動され、(図3に示されるように)ON位置にターン・オンされる。従来のディスプレイでは、選ばれたピクセルがプログラム・ライン16を通して安定な電圧に充電される間に、新しい電流Iが列電流ライン18から引き出される。その他のすべてのピクセル12が非選択であるので、新しい電流Iは、選ばれたピクセルを通って流れる。
【0022】
トランジスタを流れる電流は、それのゲートの電圧に依存する。しかし、ピクセルのアレイを構成するトランジスタの材料特性は、ディスプレイ・エリアにわたって変動し得る。それらの因子は、不均一な輝度レベルを生ずる。従って、同じようにプログラムされたレベルであっても、2つの異なるピクセルに対して光出力が異なることがある。ピクセルの特性変動の結果、デバイス・ディスプレイにわたって不一致が生ずる。
【0023】
発明は、ディスプレイ用の外部制御回路を提供する。この制御は、ディスプレイのピクセルの複雑さを増すことなしに、高レベルの均一性を生み出す。発明は、より高い開口率(より明るいディスプレイ)、より低いOLED動作電圧、より低い電力消費、より高い収率およびより低い生産コストのディスプレイを実現する。発明のドライバは、標準的なIC中に組み込むか、アクティブ・バックプレーンと同じパネルに集積することができ、そうすることでディスプレイ・コストを更に削減できる。
【0024】
図2は、内部ピクセル12と組み合わせて設けられた発明の外部制御回路28を線図で示している。ピクセル12の内部回路は、トランジスタ20および22と、発光ダイオード14とを含む。外部制御回路28は、各ディスプレイ回路の列、例えばAの頭にデータ・ライン16および電流ライン18によって構成されるフィードバック・ループ内で動作する。図2および図3で、外部制御回路28は、データ・プログラミング・モジュール32と組み合わされた電流源/電流検知モジュール30を含む。
【0025】
動作時に、電流源/電流検知モジュール30は、個別ピクセルの電流を電流ライン18中の残りの列電流から弁別し、内部フィードバック・ループを制御して、目標のピクセル電流レベルを達成するようにプログラミング・モジュール32を制御する。電流検知および制御は、ドライバ列の頭で実行され、ピクセル12内部ではないので、ピクセルのトランジスタ20、22の材料特性の不一致は、不利な因子とならない。更に、与えられた列のすべてのピクセルをプログラムするために同じ外部制御回路28を使用することで、ピクセル電流の変動を最小化される。
【0026】
図3は、発明に従う1つのディスプレイの外部制御回路28を含む模式的回路図である。この出願のなかで、「外部制御回路」というのは、1つのアレイのピクセルの外側に接続されるか、あるいは、関連付けられる制御回路を意味する。例えば、外部制御回路は、ディスプレイ回路内部に、ピクセル列の頭に位置することができる。1つのアレイで、各ピクセル列は、それの分離した外部制御回路と関連付けることができる。図3で、電流源/電流検知モジュール30は、トランジスタMSource34、トランジスタMSense36および増幅器Amp1 38を含む。トランジスタMSource34は、低電圧で電流を供給するトランジスタであり、トランジスタMSense36は、小さい電流変化を検知するトランジスタであり、増幅器Amp1 38は、トランジスタ34、36の両方を制御する。図3は、単一のディスプレイ列と組み合わされたデータ・プログラミング・モジュール32を備えた単一の電流源/電流検知モジュール30を示す。しかし、上で指摘したように、電流源/電流検知モジュール30およびデータ・プログラミング・モジュール32の組合せは、ディスプレイ・マトリクスの複数列の各々の頭において関連付けられる。
【0027】
図3の電流源/電流検知モジュール30は、増幅器Amp1 38、トランジスタMSense36およびMSource34を使用した制御機構を提供する。増幅器Amp1 38は、3つの端子、すなわち「+」および「−」とラベル付けされた2つの電圧入力端子46、48と、トランジスタMSense36およびトランジスタMSource34のゲートを制御する出力端子50とを有する。入力端子46は、一定の外部供給電圧Vcolに接続される。入力端子48は、ノードnc44に接続される。ノードnc44は、プログラミング中の小さい変動以外、一定の電圧Vcolに留まる。スイッチMS1 40がONのとき、トランジスタMSense36およびトランジスタMSource34のゲート電圧は、電流ライン18に応答して、トランジスタMSense36およびMSource34を通って流れる電流によって確立される。ライン18がより多くの電流を引き出し始めると、ノードnc44およびそれに応じて入力端子48の電圧が変化する。このことから、任意のノードnc44の電圧変化に応答して、増幅器Amp1 38は、MSenseトランジスタ36およびMSourceトランジスタ34のゲート電圧を制御して、トランジスタMSense36およびMSource34を通る電流電圧を制御する。その結果出力端子50に生ずる電圧変化は、トランジスタMSense36とMSource34の両トランジスタが供給する電流が引き出される電流と一致するまで、両トランジスタのゲートを変化させる。
【0028】
トランジスタMSense36のゲート電圧の変化は、トランジスタのサイズに直接関係する。大型のトランジスタは、小さいゲート電圧変化に対してより大きい電流を生ずることができる。他方、小型のトランジスタは、(与えられた小さい電流変化に対して)そのゲート電圧により大きい変化を要求しながら、その出力電流をより精密に制御できる。
【0029】
図3で、電流源/電流検知モジュール30、大型のトランジスタMSource34および小型のトランジスタMSense36のサイズは、特定のディスプレイ要求に合わせることができる。これらは、スイッチMS1 40を介して接続され、増幅器Amp1 38によって制御される。文字「A」は、1つのディスプレイ列を表す。動作が始まると、スイッチMS1 40がONとなり、ほとんどの列電流が大型のトランジスタMSource34を通って流れる(この時点で、選ばれたピクセルを通る電流はない)。スイッチMS1 40がOFFされると、大型のトランジスタMSource34のゲート電圧は、キャパシタCS1 42によって一定に留まり、従って大型のトランジスタMSource34によって供給される電流も一定に留まる。この動作は、トランジスタMSource34による列電流サンプリングと呼ばれる。
【0030】
図3でデータ・プログラミング・モジュール32は、電流源/電流検知モジュール30に接続されている。データ・プログラミング・モジュール32は、増幅器Amp2 52および一連のスイッチを含む。増幅器Amp2 52は、1つの入力54をキャパシタCS2 60に接続され、別の入力56をMSenseトランジスタMS1 36のゲートに接続されている。別の出力端子58は、列Aのデータ・ライン16に接続されている。第2のサンプリング期間に、スイッチ・トランジスタMS2 62は、小型のMSenseトランジスタ36のゲート電圧をサンプリングして、それをキャパシタCS2 60に蓄える(これは、列電流を示すベース・レベルをセットし、後の比較工程で使用される)。この段階で、電流源/電流検知モジュール30は、スタンバイ/検知モードにあって、MSense36は、ノードnc44に流入する列電流の変化を検知している。増幅器Amp2 52は、それに従って、MSenseトランジスタ36のゲート電圧を制御できる。
【0031】
プログラミング期間の間、データ・ライン16は、トランジスタM2 22を介してトランジスタM1 20のゲートに接続される。トランジスタM1 20は、常にノードnc44に接続されている。この構成は、電流源/電流検知モジュール30、データ・プログラミング・モジュール32およびピクセル・トランジスタM1 20を含み、ノードnc44から電流ライン18およびデータ・ライン16を通るフィードバック・ループを提供する。ノードnc44に外部データ電流Idata64が注入されると、フィードバック・ループで次の機構が作動する。(i)MSense36のゲート電圧は、ノードnc44が引き出す電流(検知される電流)に対応するようにAmp1 38によって変更される。(ii)Amp2 52の負の入力電圧は、正の入力54に対してAmp2の出力端子58の電圧を増加させるように変化する(注入された電流は、トランジスタM1 20を流れる電流と比較される。これは、初期にゼロであった)、(iii)(データ・ライン16に接続された)Amp2からの出力は、トランジスタM1 20のゲート電圧を変化させる(データ・ライン16は、比較の差分に従って制御される)、そして(iv)これに従って、ノードnc44を通ってトランジスタM1 20によって引き出される電流が増加する。(i)から(iv)の機構は、トランジスタM1 20によってノードnc44を通って引き出される電流が注入されるデータ電流Idata64と等しくなる(比較工程(ii)で差分が検知されなくなる)まで繰り返される。M1 20によって引き出される電流が注入される電流と一致し、Amp2 52の2つの端子56、54が等しくされる。この等しくなった時点で、MSense36のゲート電圧は、元の値に戻っている。フィードバック・ループは、平衡状態に達し、ピクセル電流に関して正しい値を提供する。
【0032】
以下の例は、例示的なものであって、制限に関して具体的に言及しない限り、請求項の範囲を制限するものと解釈されるべきでない。
(例)
【0033】
本出願の目的に関して、トランジスタの移動度は、特定のサイズのトランジスタが供給できる電流量を規定する1つのデバイス特性である。言い換えると、与えられたゲート電圧に対して、流れる電流の量は、(中でも)それの移動度の関数である。例えば、同じサイズの2つのトランジスタのゲートに同じ電圧が印加されるとして、一方の移動度が20%高いとすると、移動度の高いほうのトランジスタは、20%大きい電流を供給する(その他の因子がすべて同一であると仮定して)。移動度は、材料特性およびデバイス製造の関数であり、ディスプレイ製造技術に関して、それは、ディスプレイ・エリアにわたって変動し得る。
【0034】
本出願のすべての目的に関して、トランジスタの閾値電圧は、電流が流れるために必要な最小のトランジスタ・ゲート電圧である。閾値電圧は、材料特性およびデバイス製造の関数であり、従って、閾値電圧は、ディスプレイ・エリアにわたって変動し得る。
(例1)
【0035】
PSPICE(登録商標)コンピュータ・ソフトウエアを用いて回路シミュレーションが実行された。PSPICE(登録商標)は、アナログおよびアナログ/デジタル混合の回路シミュレーションのためのコンピュータ・ソフトウエアであり、14692、ニューヨーク州、ロチェスタ、私書箱23325、EMAデザイン・オートメーション社を通して95134、カリフォルニア州、サン・ホセ、シーリー・アベニュー2655番地のORCAD社から提供されている。PSPICE(登録商標)ソフトウエアは、ユーザが作成する回路図およびトランジスタ・モデルと、アドレッシング情報を受け入れることができ、シミュレート応答を生成する。
【0036】
PSPICE(登録商標)によってシミュレートされた回路図は、図2および図3の回路と本質的に一致する。図4に示す信号は、ディスプレイ・ドライバ中の異なるスイッチを駆動する制御信号であり、特にプログラムされるピクセル中のMS1、MS2およびトランジスタM2を制御するための電圧信号である。図5の出力グラフは、プログラムされるピクセルを通る電流を、時間の関数で表しており、同時に、データ電流(ディスプレイ・ドライバのノードncへ送られるIdata64)を時間の関数で表している。
【0037】
シミュレートされたシステム変数は、次のものを含む。(1)与えられた列中のすべてのピクセル電流の和である合計の列電流を150μAから3500μAまで変化させた、(2)ピクセル・データ電流を0.3μAから20μAまで変化させた、(3)ピクセル・トランジスタM1は、25%までの移動度変化をエミュレートするようにサイズを変化させた、(4)ピクセル・トランジスタの閾値電圧は、閾値電圧の50%までの変化をシミュレートするように、M1のゲートに対して電圧源を接続することで変化させた。
【0038】
図5のプロットは、ピクセル電流がデータ電流に一致する様子を示している。このシミュレーションは、条件の範囲にわたってディスプレイ・ドライバが要求される動作を実行することを示すために、いくつかのシステム条件下で実行された。
【0039】
図5は、提案されるディスプレイ・ドライバが、上で述べたシステム変数のすべてにおいて、意図するピクセルに対して望ましいレベルの電流をプログラムすることを示している。シミュレーションの結果は、この回路が要求される動作速度および電流要求において、意図されるような電流不一致修正でもってピクセル・アドレッシングを実行できることを立証している。
(例2)
【0040】
以下の例は、異なる性質を有する駆動トランジスタM1を含むディスプレイ・ピクセルにおけるデータ電流のプログラミングを比較し、この機能を異なる列電流レベルで実証するために設定された。
【0041】
ディスプレイ列のためのディスプレイ・ドライバは、単結晶シリコン集積回路(IC)中に作製された。列は、同じIC中に組み込まれた試験用ピクセル回路を含む。試験用ピクセル回路は、M1トランジスタのサイズ以外、同一の特性を有するように作製された。2つのピクセルは、20%の移動度差をエミュレートするように、M1の幅が20%異なるような差をつけて作製された。閾値電圧変化をエミュレートするために、ピクセルに対して外部のv電圧源が接続された。この電圧源は、トランジスタM1の閾値に関する25%の変化を表す。
【0042】
この過程で、回路電圧を供給するために、LabVIEW(登録商標)コンピュータ・ソフトウエアが使用された。LabVIEW(登録商標)コンピュータ・ソフトウエアは、科学工学機器および機器システムを制御およびエミュレートするために使用され、また機器機能を実行するために使用される。第1の手順において、2つのピクセルの各々のプログラム・ラインに電圧レベルが確立された。これは、次にM1によって電流に変換された。性能を実証するために、以下のように条件を変化させた。(1)合計列電流は150μAから3000μAまで変化させた、(2)ピクセル・データ電流は、0.5μAから15μAまで変化させた、(3)ピクセル・トランジスタM1の移動度は、サイズを変えることで20%まで変化させた、(4)ピクセル・トランジスタM1の閾値電圧は、電圧源の導入によって25%まで変化させた。
【0043】
図6は、典型的な従来のやり方でプログラムされた場合の、2つのピクセル(Pix1およびPix2)を通る電流を示す。図6は、25%増加した閾値電圧(Pix1)および20%増加した移動度(Pix2)を示す。例えば低いデータ・レベルにおいて、Pix1は、約2.5μAを供給した。しかし、同じデータ・レベルで、Pix2は、約4μAを供給した。この差は、両方のピクセルが(同じデータ・レベルで意図したように)同じ強度レベルを有するつもりであっても、ディスプレイの輝度の差となって現われる。
【0044】
図7のプロットは、2つのピクセル間の正規化された変化割合をデータ電圧の関数として示す。
【0045】
図6および図7は、M1特性の変化による電流変化の程度を示す。
【0046】
図8は、図3のディスプレイ・ドライバでプログラムされた2つの同じピクセルを流れる電流を示す。図8は、トランジスタM1が変化する特性を有するにも拘わらず、2つの電流が完全に一致することを示している。図9の正規化された割合のプロットは、2つのピクセル電流間の測定許容差変動のみを示す。
【0047】
実験データは、それぞれ標準的駆動と発明のドライバ制御の2つのピクセルについて、不均一さが70%から3%以下に減少したことを実証している。この不均一さのレベルは、データ範囲全体にわたって1桁のオーダに改善されている。更に、シミュレーションは、プログラミング時間を典型的な従来技術のカレント・コピー・ピクセルによって要求される時間以下に削減できることを実証した。
【0048】
発明のデータ・ドライバは、標準的なICに組み込むか、あるいは、アクティブ・バックプレーンと同じパネルに組み込むことができる。多結晶シリコンTFTは、提案のドライバに対して性能とコストとの間の良好な妥協案を提供する。
【0049】
発明の回路は、2トランジスタTFTのピクセルに関して典型的な従来技術の修正技術のそれよりも低い複雑さでもって均一性レベルを提供することによって、アクティブ・マトリクス・バックプレーンの複雑さを低減する。またバックプレーン上のトランジスタに対する性能要求が低減されるので、大面積のアレイに対してより低価格の技術を利用できる。
【0050】
発明の好適な実施の形態について説明してきたが、本発明は、変形および修正が可能であり、従って例の正確な詳細に限定されるべきでない。発明は、以下の請求項の範囲内に含まれる変更および改変を包含する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9