(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043104
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】プラスチック製ボトル及び試供品ボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20161206BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20161206BHJP
B65D 81/36 20060101ALI20161206BHJP
B29C 49/04 20060101ALI20161206BHJP
B29C 49/48 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
B65D1/02 200
B65D25/20 Q
B65D81/36 J
B29C49/04
B29C49/48
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-143585(P2012-143585)
(22)【出願日】2012年6月27日
(65)【公開番号】特開2014-5069(P2014-5069A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】591029149
【氏名又は名称】本多プラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】本多 孝充
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−102606(JP,U)
【文献】
特表2012−512791(JP,A)
【文献】
特開2010−201793(JP,A)
【文献】
国際公開第98/010993(WO,A1)
【文献】
特開平04−131220(JP,A)
【文献】
特開平02−070421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B29C 49/04
B29C 49/48
B65D 25/20
B65D 81/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を出し入れする口部に着脱可能なキャップを装着され、以下の構成を備えていることを特徴とするプラスチック製ボトル。
(A1)前記口部から直接下方に伸びる様に該口部と連通し、正面視が瓶の形状で背面が平坦に形成されたボトル本体と、該ボトル本体の外側に背面を面一にして連続してその周囲を取り囲む様に形成された平板状の額縁状部とを備えていること。
(A2)前記額縁状部には薄肉平板状の中空部を形成し、前記ボトル本体には前記額縁状部に対して前方に突出する背面扁平な瓶形の中空部を形成し、前記額縁状部と前記ボトル本体とは中空部同士を連通させた透明プラスチックによって一体に形成されていること。
【請求項2】
内容物を出し入れする口部に着脱可能なキャップを装着して香水、化粧水等の試供用液体を収納するためのプラスチック製ボトルと、該プラスチック製ボトルを収容する包装用パッケージとからなり、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする試供品ボトル。
(B1)前記プラスチック製ボトルは、前記口部から直接下方に伸びる様に該口部と連通し、正面視が瓶の形状となる様に形成されたボトル本体と、該ボトル本体の外側に背面を面一にして連続してその周囲を取り囲む様に形成された平板状の額縁状部とを備えると共に、前記額縁状部には薄肉平板状の中空部を形成し、前記ボトル本体には前記額縁状部に対して前方に突出する背面扁平な瓶形の中空部を形成し、前記額縁状部と前記ボトル本体とが中空部同士を連通させた透明プラスチックによって一体に形成されていること。
(B2)前記包装用パッケージは、上下開放の筒を潰した形態を呈し、前記額縁状部を含むボトル全体を収容可能であって、前面側には前記ボトル本体の外形形状に対応する開口が形成されていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製ボトルに係り、特に、試供品ボトルとしての利用に適するプラスチック製ボト
ルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、
図5に示す様に、「3つ折りによって表紙部分,背表紙部分,裏表紙部分を構成するシート状体と、発泡プラスチック製厚板とを備え、全体が本形状になっていて、発泡プラスチック製厚板の表面にサンプル収納用の切欠きが形成され、この切欠き内にサンプルを嵌入保持することで、サンプルの効能を充分かつ効果的に説明することにより消費者に強くそれを印象づけることができ、しかもサンプルの保管にも適したサンプルケースを提供する」という提案がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−14069号(要約、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来技術は、輸送等の際にパッケージ内でサンプルボトルががたついたり、外れてしまったりしない様に、パッケージ側にボトルの外形形状と精度よく一致させた切り欠きを備えなければならないという問題がある。また、サンプルボトル自体には商品価値がないという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、ボトルの外形形状と精度よく一致させた切り欠きを設けなくても輸送等の際に包装用パッケージ内でがたついたり、外れてしまったりせず、サンプルボトルとして提供した場合も単独で商品価値のあるプラスチック製ボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明のプラスチック製ボトルは、内容物を出し入れする口部に着脱可能なキャップを装着され、以下の構成を備えていることを特徴とする。
(A1)前記口部から
直接下方に伸
びる様に該口部と連通し、正面視が瓶の形状
で背面が平坦に形成されたボトル本体と、該ボトル本体の外側に
背面を面一にして連続してその周囲を取り囲む様に形成された平板状の額縁状部とを備えていること。
(A2)前記額縁状部には薄肉平板状の中空部を形成し、前記ボトル本体には前記額縁状部に対して前方に突出する背面扁平な瓶形の中空部を形成し、前記額縁状部と前記ボトル本体とは中空部同士を連通させた透明プラスチックによって一体に形成されていること。
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の試供品ボトルは、内容物を出し入れする口部に着脱可能なキャップを装着して香水、化粧水等の試供用液体を収納するためのプラスチック製ボトルと、該プラスチック製ボトルを収容する包装用パッケージとからなり、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする。
(B1)前記プラスチック製ボトルは、前記口部から直接下方に伸びる様に該口部と連通し、正面視が瓶の形状となる様に形成されたボトル本体と、該ボトル本体の外側に背面を面一にして連続してその周囲を取り囲む様に形成された平板状の額縁状部とを備えると共に、前記額縁状部には薄肉平板状の中空部を形成し、前記ボトル本体には前記額縁状部に対して前方に突出する背面扁平な瓶形の中空部を形成し、前記額縁状部と前記ボトル本体とが中空部同士を連通させた透明プラスチックによって一体に形成されていること。
(B2)前記包装用パッケージは、上下開放の筒を潰した形態を呈し、前記額縁状部を含むボトル全体を収容可能であって、前面側には前記ボトル本体の外形形状に対応する開口が形成されていること。
【0008】
本発明のプラスチック製ボトルによれば、ボトル本体の外形形状に対応する開口を形成した台紙などを用いて、当該開口にボトル本体を嵌め込む様にしておけば、額縁状部が邪魔をするので、台紙からからボトルが外れ落ちることがない。また、包装用パッケージ等から取り出したときに、額縁状部が装飾となることから、試供品の様に小さなボトルであってもボトル本体を際だたせることができ、ボトルとしての単独の商品価値を与えることができる。また、ボトル本体と額縁状部とを連通させる場合、ブロー成形時の内圧を額縁状収容部も受けるから金型形状を精度よく反映させることができる。
【0009】
なお、本発明のプラスチック製ボトルは、
前記額縁状部の角部に貫通孔を形成しておけば、試供品として提供した場合に、サンプル使用済みとなった後も、ストラップやペンダントトップなどの装飾品等として利用することができる
。
【0010】
また、本発明のプラスチック製ボトルは
、背面を下にして置けば転がることがなく、カタログ等の中に挟み込んだり、封筒に封入したりし易く、試供品を提供する際の荷姿を安定させることができる
。
【0011】
加えて
、試供品用として提供した場合に内容物を目視確認でき、額縁状部の内容物も視認されるが、薄肉平板状収容部とされているので、内容物の色はボトル本体に比べて薄くなり、ボトル本体を際だたせ、違和感を与えない。また、台紙等に重ねたときに背景が透けて見えるから、台紙の印刷を活かした試供品ボトルとして機能する
。
【0012】
これら本発明のプラスチック製ボトルは、以下の構成を採用したプラスチック製ボトルの製造方法により製造することができる。
(B1)エア吹き込み口の軸線と中心を一致させて前記ボトル本体の外形に対応する本体部キャビティと、該本体部キャビティの周囲に連続し、前記額縁状部の外形に対応する平板状キャビティとを備えた成形用金型を用いてダイレクトブロー成形法によって製造すること。
【0013】
また、本発明のプラスチック製ボトルの製造方法は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(B2)前記成形用金型として、前記本体部キャビティ及び平板状キャビティの背面側が面一の平坦面とされた金型を用いること。
【0014】
加えて、本発明のプラスチック製ボトルの製造方法は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(B3)前記成形用金型として、少なくとも前面を入れ子金型で構成した金型を用いること。
【0015】
これら本発明のプラスチック製ボトルの製造方法によれば、上述した様に試供品として提供する際に、台紙等からこぼれ落ちにくいボトルを製造するに当たって、別々に製造したパーツ同士を接合する必用がない。また、前面を入れ子金型とすることで、額縁状部の内側に形成されるボトル本体の外形形状を試供品が対応する製品の形状への変更を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、包装用パッケージにボトルの外形形状と精度よく一致させた切り欠きを設けなくても輸送等の際にがたついたり、外れてしまったりせず、サンプルボトルとして提供した場合も単独で商品価値のあるプラスチック製ボトルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例1のプラスチック製ボトルの斜視図である。
【
図2】実施例2のプラスチック製ボトル製造用ブロー成形用金型の説明図である。
【
図3】実施例3のプラスチック製ボトルの六面図である。
【
図4】実施例3のプラスチック製ボトルの斜視図及び端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための形態を、いくつかの実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0019】
実施例1のプラスチック製ボトル10は、
図1に示す様に、内容物を出し入れする口部11に着脱可能なキャップ15を装着して香水、化粧水等の試供用液体を収納するためのものである。このプラスチック製ボトル10は、口部11から下方に伸び、正面視が瓶の形状となる様に形成されたボトル本体12と、ボトル本体12の外側に連続してその周囲を取り囲む様に形成された平板状の額縁状部13とを備えている。
【0020】
このプラスチック製ボトル10によれば、
図1(B)に示す様に、上下開放の筒を潰した形態の紙製の包装用パッケージ20に、ボトル本体11の外形形状に対応する開口21を形成し、
図1(C)に示す様に、包装用パッケージ20の開口21にボトル本体12を嵌め込む様にして収納すれば、額縁状部13が邪魔をするので、包装用パッケージ20の開口21から前に抜け落ちることがなく、ボトル本体12が邪魔をするので、包装用パッケージ20の左右を押して潰れた状態を解除しない限りは、上下の開放端から落ちてしまうということもない。
【0021】
また、包装用パッケージ20から取り出したとき、額縁状部13が装飾となることから、試供品の様に小さなボトルであってもボトル本体12を際だたせることができ、ボトルとしての単独の商品価値を与えることができる。
【0022】
加えて、実施例1のプラスチック製ボトル10は、透明プラスチックで成形されているので、試供品用として提供した内容物の色合いなどを目視確認でき、額縁状部13にも内容物が視認されるが、薄肉平板状の中空部となっているので、内容物の色はボトル本体12に比べて薄くなり、ボトル本体12を際だたせ、違和感を与えない。また、台紙に重ねたときに背景が透けて見えるから、台紙の印刷を活かした試供品ボトルとして機能する。
【実施例2】
【0023】
実施例2として、実施例1のプラスチック製ボトル10を成形するのに適するダイレクトブロー成形用の成形金型30を説明する。
【0024】
このブロー成形金型30は、
図2に示す様に、エア吹き込み口31から背面扁平なボトル本体12に対応する本体部キャビティ32,33と、背面側の本体部キャビティ32に連続する平坦面で構成され、額縁状部13の外形に対応する板状キャビティ34,35とを備えている。
【0025】
前面側の板状キャビティ35には、四隅近くに食い切り刃41を備え、四隅に貫通孔を形成することにより、押しピンで壁面に止めたり、鎖を通してペンダントトップとして使用したりもできる様にしてある。また、板状キャビティ35の縁に沿ってコンプレッションゾーン42が備えられ、額縁状部13に押し潰された凹入模様を形成して装飾することもできる様にしてある。
【0026】
また、このブロー成型用成形用金型30は、前面側のキャビティ33,35を入れ子金型40に形成してある。この結果、実施例2によれば、実施例1で説明した様なプラスチック製ボトルを、入れ子金型40を取り替えるだけで、試供品として提供する製品ボトルの形状をミニチュア化したボトル本体を有するものへの変更を容易に行うことができる。
【実施例3】
【0027】
次に、実施例3を説明する。実施例3のプラスチック製ボトル50は、
図3に示す様に、内容物を出し入れする口部51から下方に伸び、正面視が瓶の形状となる様に形成されたボトル本体52と、ボトル本体52の外側に連続してその周囲を取り囲む様に形成された平板状の額縁状部53とを備えている。額縁状部53は、ボトル本体52と連通した薄肉平板状の中空部54を有している。
【0028】
また、プラスチック製ボトル50は、ボトル本体52と額縁状部53とが、それぞれの背面が面一の平坦面55となっているので、背面を下にして置けば転がることがなく、カタログ等の中に挟み込んだり、封筒に封入したりし易く、試供品を提供する際の荷姿を安定させることができる。
図1(A),(B)から分かる様に、実施例1のボトル10も背面が平坦で、実施例3のボトル50と同様の作用・効果を奏する。
【0029】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々に実施することができる。
【0030】
例えば、実施例1のボトル10は、包装用パッケージ20に収納せずに単独で使用してもよいし、縦横寸法をクレジットカードや会員カードなどと同じにしておくことで、カード利用者へのポイント還元等のサービスの際のおまけとしてカードと重ねて手渡す様にしてもよい。透明なボトルであるから、カードに重ねてもカードが透けて見えるから利用者に不安を与えることもない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
試供品提供用のボトルや液体の入るアクセサリーとして利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
10・・・プラスチック製ボトル
11・・・口部
12・・・ボトル本体
13・・・額縁状部
15・・・キャップ
20・・・包装用パッケージ
21・・・開口
30・・・成形金型
31・・・エア吹き込み口
32・・・本体部キャビティ(背面側)
33・・・本体部キャビティ(正面側)
34・・・平板状キャビティ(背面側)
35・・・平板状キャビティ(正面側)
40・・・入れ子金型
41・・・食い切り刃
42・・・コンプレッションゾーン
50・・・プラスチック製ボトル
51・・・口部
52・・・ボトル本体
53・・・額縁状部
54・・・薄肉平板状の中空部