(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
面状に広がりを有した基材上に第1電極層と、有機発光層と、第2電極層を備えた積層体を有する断面構造を備え、前記基材を平面視したときに、実際に発光する発光領域が存在する有機EL装置の製造方法において、
前記発光領域を構成する積層体への給電に寄与する給電部と、
外部電源と電気的に接続可能な給電部材と、を有し、
前記給電部は、前記第1電極層に補助電極層が直接積層した積層構造を有し、
当該積層構造と給電部材とを接着する導電性接着層を有し、
前記導電性接着層は、融点が摂氏120度以下のはんだを融解して形成されており、
第2電極層を成膜する工程と、成膜した第2電極層を分割して前記補助電極層を形成する工程を含むことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
前記導電性接着層は、銅、銀、ニッケル、亜鉛、ビスマス、インジウム、アルミニウムの中から選ばれた1種以上の元素と、錫元素からなる合金で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置の製造方法。
前記導電性接着層は、はんだレベラー、はんだボール、クリームはんだの中から選ばれる1種以上を一部又は全部を融解することによって形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、外部電源から有機EL装置の電極への給電方法として、特許文献1がある。
特許文献1の有機ELパネルでは、有機EL装置の電極と外部電源とを電気的に接続する導電部材として電極に異方性導電膜(異方性導電フイルム)(ACF)を低温の熱で熱圧着させ、フレキシブル配線基板(FPC)に接続することで、外部電源と有機ELパネルを電気的に接続している。すなわち、特許文献1では、ACFをFPCと電極との接着材として用い、FPCを介して外部電源から有機ELパネルに給電する方法が採用されている。
【0006】
ところが、接着材としてACFを用いると、はんだ等の接着手段に比べて高コストとなるとともに、電極との接触抵抗が大きくなる。また、有機ELパネルを発光させるためには相当に高い電圧をかける必要があるため、信頼性にかけるという問題があった。そして、ACFとFPCと組み合わせる場合、有機ELパネルのサイズに合わせて、その都度、FPCの形状を設計する必要があった。また、流せる電流に限界があり、大容量の電流を流す場合には、不向きであるという欠点があった。そのため、ACFとFPCを用いるとコストと手間がかかるため、安価でかつ容易に設計できるはんだを用いて接着したいという市場からの要望があった。
【0007】
しかしながら、接着手段としてはんだを使用する場合、はんだの融点(摂氏約220度)がACFの接着温度に比べて高温であるため、はんだ付けする際に接着部位を比較的高温にする必要がある。すなわち、接着時にはんだの熱が有機物である有機発光層に伝わると、有機物へ悪影響を及ぼし、有機EL装置の寿命が短くなる。また、有機EL装置は、一般的に陽極としてインジウム錫酸化物(ITO)で形成された薄膜が使用されている。ITOは接触抵抗が高いため、直接外部電源からの配線をITOに接続する場合、電圧降下(いわゆるIRドロップ)が大きく、十分に通電するためには、余分に電圧を印加する必要がある。
また、ITOは酸化物であるため、接着時にはんだ内の金属が拡散しにくく、合金化が妨げられやすいという性質がある。そのため、有機EL装置への給電部材を取り付ける際に、はんだをITOに直接付けると、ITOとはんだとの接着が不十分となりやすく、信頼性にかけるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、たとえはんだを使用しても実際に発光する発光領域内に確実に給電できる有機EL装置及びその製造方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための請求項1に記載の発明は、面状に広がりを有した基材上に第1電極層と、有機発光層と、第2電極層を備えた積層体を有する断面構造を備え、前記基材を平面視したときに、実際に発光する発光領域が存在する有機EL装置
の製造方法において、前記発光領域を構成する積層体への給電に寄与する給電部と、外部電源と電気的に接続可能な給電部材と、を有し、前記給電部は、
前記第1電極
層に補助電極層が直接積層した積層構造を有し、当該積層構造と給電部材とを接着する導電性接着層を有し、前記導電性接着層は、融点が摂氏120度以下のはんだを融解して形成されて
おり、第2電極層を成膜する工程と、成膜した第2電極層を分割して前記補助電極層を形成する工程を含むことを特徴とする有機EL装置
の製造方法である。
本発明は、面状に広がりを有した基材上に第1電極層と、有機発光層と、第2電極層を備えた積層体を有する断面構造を備え、前記基材を平面視したときに、実際に発光する発光領域が存在する有機EL装置において、前記発光領域を構成する積層体への給電に寄与する給電部と、外部電源と電気的に接続可能な給電部材と、を有し、前記給電部は、少なくとも第1電極層又は第2電極層のいずれか一方に金属層が直接積層した積層構造を有し、当該積層構造と給電部材とを接着する導電性接着層を有し、前記導電性接着層は、融点が摂氏120度以下のはんだを融解して形成されている有機EL装置に関連する。
【0010】
ここでいう「はんだ」とは、いわゆる軟ろうを表し、単なる錫と鉛の合金という狭い概念だけではなく、接着性を有した2種以上の金属合金全般を表す。すなわち、鉛合金以外でもよい。
【0011】
本発明の構成によれば、面状に広がりを有した基材上に第1電極層と、有機発光層と、第2電極層を備えた積層体を有する断面構造を備え、前記基材を平面視したときに、実際に発光する発光領域が存在している。すなわち、本発明の有機EL装置は、一般的な有機EL装置の基本構造をしている。
一般的に、有機EL装置がボトムエミッション型の有機EL装置であって、第1電極層側から光を取り出す場合には、第1電極層として透明導電性酸化物が使用される。また、有機EL装置がトップエミッション型の有機EL装置であって、第2電極層の場合には、第2電極層に透明導電性酸化物が使用される。
このように、一般的な有機EL装置の基本構造は、第1電極層又は第2電極層のいずれかが、透明導電性酸化物である。そして、上記したように、透明導電性酸化物は、直接はんだを接着させると、はんだ内の金属が拡散しにくく、合金化が妨げられやすいという性質がある。
そこで、本発明の構成によれば、給電部は、少なくとも第1電極層又は第2電極層のいずれか一方に金属層が直接積層した積層構造を有している。言い換えると、少なくとも透明導電性酸化物によって形成されている第1電極層又は第2電極層と、はんだとの間には、金属層が介在している。はんだが融着するのは金属層であるため、金属層上ではんだが拡散しやすく、表面での合金化が起こりやすい。それ故に、はんだの接合性が高く、電圧降下も起こりにくい。また信頼性も高い。
さらに、本発明の構成によれば、導電性接着層の原料として、融点が摂氏120度以下のはんだを使用している。すなわち、従来のはんだに比べて低温のはんだを使用しているため、有機EL装置を製造時において比較的低温で融解することができ、当該熱によって発光領域内の有機発光層が加熱されにくい。それ故に、初期不良や駆動時の発光欠陥が発生しにくい。
【0012】
請求項1に記載の有機EL装置
の製造方法において、前記導電性接着層は、銅、銀、ニッケル、亜鉛、ビスマス、インジウム、アルミニウムの中から選ばれた1種以上の元素と、錫元素からなる合金で形成されていることが好ましい(請求項2)。
【0013】
請求項1又は2に記載の有機EL装置
の製造方法において、前記導電性接着層は、はんだレベラー、はんだボール、クリームはんだの中から選ばれる1種以上を一部又は全部を融解することによって形成されることが好ましい(請求項3)。
【0014】
請求項4に記載の発明は、給電部材は、箔状又は板状であって、表面に金属製のめっきがコーティングされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機EL装置
の製造方法である。
【0015】
本発明の構成によれば、表面に金属製のめっきがコーティングされているため、給電部材とはんだの接合性が高い。
【0016】
請求項5に記載の発明は、給電部は導電性接着層との界面に凹凸を有して
おり、前記凹凸は、レーザースクライブによって形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の有機EL装置
の製造方法である。
本発明は、給電部は導電性接着層との界面に凹凸を有していることに関連する。
【0017】
本発明の構成によれば、給電部は導電性接着層との界面に凹凸を有しており、はんだが給電部の凹凸に進入し硬化することで、くさび機能を発揮し接着性が増す、いわゆるアンカー効果が発生するため、給電部と給電部材との接合強度が向上する。
【0018】
本発明は、前記凹凸は、レーザースクライブによって形成されてなるものである
ことに関連する。
【0019】
本発明の構成によれば、前記凹凸はレーザースクライブによって形成されるため、凹凸の形成が容易である。
【0020】
請求項1乃至
5のいずれかに記載の有機EL装置において、前記給電部は、アルミニウム、銀、ニッケル、モリブデンの中から選ばれる少なくとも1種以上の金属から形成されていることが好ましい(請求項
6)。
【0021】
請求項
7に記載の発明は
、レーザー照射によって
前記はんだを融解し、
前記積層構造と給電部材を接着することを特徴とする
請求項1乃至6のいずれかに記載の有機EL装置の製造方法である。
本発明は、前記積層体を積層する積層体形成工程と、前記給電部を形成する給電部形成工程と、給電部と給電部材とを接着する接着工程と、を有し、給電部形成工程において、第1電極層と第2電極層を直接接触させ、前記接着工程において、レーザー照射によって、はんだを融解し、当該積層構造と給電部材を接着することに関連する。
【0022】
本発明の構成によれば、レーザー照射によって、はんだを融解し、当該積層構造と給電部材を接着するため、局所的に加熱することが可能であり、発光領域内の有機発光層に熱が伝わりにくく、高温になりにくい。それ故に、初期不良や駆動時の発光欠陥がさらに発生しにくい。
請求項8に記載の発明は、面状に広がりを有した基材上に第1電極層と、有機発光層と、第2電極層を備えた積層体を有する断面構造を備え、前記基材を平面視したときに、実際に発光する発光領域が存在する有機EL装置の製造方法において、前記発光領域を構成する積層体への給電に寄与する給電部と、外部電源と電気的に接続可能な給電部材と、を有し、前記給電部は、前記第1電極層に補助電極層が直接積層した積層構造を有し、当該積層構造と給電部材とを接着する導電性接着層を有し、前記導電性接着層は、はんだを融解して形成されており、第2電極層を成膜する工程と、成膜した第2電極層を分割して前記補助電極層を形成する工程を含むことを特徴とする有機EL装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の有機EL装置によれば、たとえはんだを使用しても実際に発光する発光領域内の積層体に確実に給電できる。
また本発明の有機EL装置の製造方法によれば、容易に製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、有機EL装置に係るものである。
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機EL装置1を示している。以下、上下左右の位置関係は、特に断りのない限り、
図1の姿勢を基準に説明する。すなわち、使用時における光取り出し側が下である。
【0026】
本実施形態の有機EL装置1は、
図1,
図2,
図5のように長方形状の基板2(基材)上に有機EL素子10(積層体)を積層し、その上から無機封止層7を積層して、封止したものである。
有機EL素子10は、
図5,
図6のように透光性を有した基板2側から順に第1電極層3と、機能層5と、第2電極層6が積層されたものである。
本実施形態の有機EL装置では、基板2側から光を取り出す、いわゆるボトムエミッション型の有機EL装置を採用している。
【0027】
有機EL装置1は、
図2,
図4のように基板2上の有機EL素子10が複数の溝によって、複数の領域に分けられている。具体的には、有機EL装置1は、
図2,
図4のように、その面内において、使用時に実際に発光する発光領域30と、発光領域30の周囲を囲む通電領域52とに分けられる。さらに通電領域52は、
図4のように、使用時の給電に寄与する給電領域31,32と、給電領域31,32と発光領域30との間を接続し、かつ通電を補助する補助電極領域33,35に分かれている。
【0028】
また、有機EL装置1は、
図1,
図2のように有機EL素子10上に無機封止層7が被覆した被覆領域45と、有機EL素子10が無機封止層7から張り出した露出領域46,47を有している。
【0029】
そして、本実施形態の有機EL装置1では、
図1、
図4のように、外部電源に電気的に接続可能な給電部材11,12,13を、発光領域30内の有機EL素子10への給電に寄与する給電部20,21,22と接続する構造に特徴を有する。
【0030】
そこで、説明の都合上、まず本実施形態の特徴的構成及びその位置関係について説明し、その他の有機EL装置1の各層構成の詳細については、後述する。
【0031】
本発明の有機EL装置1は、
図1,
図2,
図5のように、給電部材11,13と露出領域46(露出領域47)の陽極給電部20,22(給電部)が、導電性接着層8,8を介して接続されており、面状に広がりをもって接着されている。同様に、給電部材12と露出領域46(露出領域47)の陰極給電部21(給電部)が、導電性接着層8を介して接続されており、面状に広がりをもって接着されている。
【0032】
また、有機EL装置1は、
図2,
図5のように露出領域46,47に位置する給電部20,21,22(
図5では陰極給電部21のみ図示)の表面には、複数の凹凸が形成されており、その凹部60に導電性接着層8,8,8の一部が進入している。
言い換えると、陰極給電部21(陽極給電部20,22)と導電性接着層8との界面は、
図5のように凹凸状となっており、陰極給電部21(陽極給電部20,22)と導電性接着層8が互いに入り組み合っている。
なお、本実施形態の有機EL装置1では、
図2のように給電部20,21,22の表面には、縦横複数の凹部60が設けられて、凹凸が形成されている。
【0033】
給電部材11,12,13は、
図8のように、それぞれ幅方向(長手方向に直交する方向であり、かつ部材厚方向に対しても直交する方向)に所定の間隔を空けて並設されている。給電部材11,13は、陽極給電部20,22の部材厚方向の投影面上にのみに位置しており、給電部材12は、陰極給電部21の部材厚方向の投影面上にのみに位置している。すなわち、給電部材11,13は、ともに陰極給電部21に接続されておらず、給電部材12は、陽極給電部20,22に接続されていない。言い換えると、領域分離溝23,24の投影面上には、給電部材11,12,13は、位置していない。
【0034】
導電性接着層8は、融点が低温のはんだを融解させて再固化させることによって形成される層である。本実施形態の導電性接着層8は、はんだレベラー、はんだボール、クリームはんだの中から選ばれる1種以上を一部又は全部を融解することによって形成されている。すなわち、導電性接着層8は、融着機能を有している。
なお、ここでいう「はんだ」とは、いわゆる軟ろうを表し、単なる錫と鉛の合金という狭い概念だけではなく、接着性を有した2種以上の金属合金全般を表す。すなわち、鉛合金以外でもよい。
【0035】
導電性接着層8を形成するはんだの融点は、摂氏50度以上摂氏120度以下となっている。これ以上高温になると、機能層5が熱によって昇華又は劣化しやすくこれ以下の温度になると、有機EL装置1の駆動時の熱によってはんだの一部が融解してしまう。
機能層5に与える影響が少ない観点から、摂氏50度以上100度以下となっていることが好ましく、摂氏50度以上80度以下となっていることがより好ましい。
また、本実施形態の導電性接着層8を形成するはんだの具体的な材質は、銅、銀、ニッケル、亜鉛、ビスマス、インジウム、アルミニウムの中から選ばれた1種以上の元素と、錫元素からなる合金で形成されている。すなわち、本実施形態の導電性接着層8を形成するはんだは、鉛を使わない、いわゆる鉛フリーはんだを採用している。そのため、自然環境に悪影響を及ぼしにくく、環境に優しい。
【0036】
給電部材11,12,13は、箔状体又は板状体である。給電部材11,12,13の材質は、高導電性を有し、かつ耐腐食性が高ければ、特に限定されるものではなく、例えば、銅、銀、金、白金の金属などが採用できる。また、表面に金属製や合金製のめっき、はんだなどを被覆していてもよい。
本実施形態の給電部材11,12,13は、銅箔を採用しており、
図5のように給電部材11,12,13の一部又は全部の表面には、はんだ層65が被覆している。すなわち、給電部材11,12,13のはんだ層65の被覆面は、融着機能を有し、かつ給電部材11,12,13の表面の酸化を防止するいわゆる、はんだレベラー処理された面である。なお、
図5では、はんだ層65(下面側)と導電性接着層8は溶融して一体化している。
【0037】
本実施形態のはんだ層65は、導電性接着層8と同様の材質のものが採用でき、具体的には、銅、銀、ニッケル、亜鉛、ビスマス、インジウム、アルミニウムの中から選ばれた1種以上の元素と、錫元素からなる合金で形成されている。また、はんだ層65は、摂氏120度以下の融点の低温はんだによって形成されており、摂氏100度以下の融点の低温はんだによって形成されていることが好ましい。
【0038】
有機EL装置1全体に目を移すと、有機EL装置1の中央に位置する発光領域30は、
図2,
図4のように領域分離溝23,24によって分離された領域であり、平面視における第1電極層3と、機能層5と、第2電極層6が重畳する部位である。すなわち、有機EL装置1の駆動時には、発光領域30内の機能層5が面状に広がりをもって発光する。
なお、以下の説明においては、発光領域30に位置する有機EL素子10(第1電極層3と機能層5と第2電極層6の重畳部分)を発光素子25と称する。
【0039】
発光領域30は、
図2,
図4のように長手方向において有機EL装置1の中央に位置しており、給電領域31,32は、発光領域30の周囲であって、発光領域30の縁に沿って配されている。
【0040】
給電領域31,32は、外部電源からの供給電力を受ける領域であり、
図4のように領域分離溝23,24よりも長手方向l外側に位置する領域である。言い換えると、給電領域31,32は、発光領域30を挟んで、長手方向lに対向している。
また、給電領域31,32は、それぞれ基板2の対向する辺(本実施形態では短辺)近傍に位置している。言い換えると、給電領域31,32は、それぞれ長手方向l端部近傍に位置している。
【0041】
給電領域31,32の一部は、無機封止層7が被覆している。無機封止層7は、発光領域30から給電領域31,32に跨がって被覆している。
【0042】
また、給電領域31,32は、
図2のように2本の領域分離溝23,24によって、それぞれ3つの領域に分割されている。具体的には、給電領域31,32は、外部から電流が流れる陽極側給電領域16,18と、外部へ電流が流れる陰極側給電領域17に分割されている。そして、陰極側給電領域17は、有機EL装置1の幅方向wの中央に位置しており、陽極側給電領域16,18は陰極側給電領域17の外側に位置している。すなわち、給電領域31,32は、それぞれ幅方向wに陽極側給電領域16、陰極側給電領域17、陽極側給電領域18の順に配されている。
【0043】
陽極側給電領域16,18に位置する第2電極層6,6は、発光領域30内の第1電極層3と電気的に接続されており、当該第1電極層3に給電可能となっており、陽極給電部20,22(給電部)として機能する。陰極側給電領域17に位置する第2電極層6は、発光領域30内の第2電極層6と電気的に接続され(本実施形態では、発光領域30内の第2電極層6と連続しており)、当該発光領域30内の第2電極層6に給電可能となっており、陰極給電部21(給電部)として機能する。
【0044】
有機EL装置1の幅方向wに目を移すと、
図2,
図4のように発光領域30の短手方向wの両側の縁に沿って補助電極領域33,35が設けられている。
すなわち、補助電極領域33,35は、平面視して発光領域30を挟むように発光領域30の幅方向wの両側に設けられている。また、補助電極領域33と補助電極領域35は、発光領域30を介して線対称の位置関係となっている。
【0045】
補助電極領域33,35は、それぞれ基板2の対向する辺近傍であって、給電領域31,32に対応する辺以外の辺近傍に位置している。本実施形態では、基板2の長辺近傍に位置している。
【0046】
補助電極領域33,35に位置する第2電極層6は、
図6のように補助電極領域33,35内の第1電極層3と直接接することによって電気的に接続されており、当該第1電極層3への給電を補助する補助電極層41,42として機能する。
なお、以下の説明においては、補助電極領域33,35の第2電極層6を補助電極層41,42とも称する。
【0047】
このように発光領域30は、
図4のように幅方向wに延びる2つの給電領域31,32及び長手方向lに延びる2つの補助電極領域33,35によって囲まれている。
【0048】
また、本実施形態の有機EL装置1は、上記したように深さの異なる複数の溝によって、複数の区画に分離されて区切られている。
具体的には、有機EL装置1は、
図7のように部分的に第1電極層3を除去した取出電極分離溝26と、部分的に第2電極層6と機能層5の双方を除去した領域分離溝23,24と、部分的に機能層5を除去した電極接続溝27,28及び取出電極固定溝29と、を有しており、これらの溝によって複数の区画に分離されている。
【0049】
各溝について詳説すると、取出電極分離溝26は、
図7のように基板2上に積層された第1電極層3を3つの領域に分離する溝であり、
図2のように給電領域31,32内の陰極側給電領域17,17をそれぞれ発光領域30から分離する溝である。
また、取出電極分離溝26内には機能層5の一部が進入しており、機能層5は取出電極分離溝26の底部で基板2と直接接触している。すなわち、発光領域30内の第1電極層3と陰極側給電領域17,17の第1電極層3,3をそれぞれ機能層5によって電気的に切り離している。
【0050】
領域分離溝23,24は、
図7のように基板2の長手方向l全体に亘って延伸した溝であり、機能層5と第2電極層6の双方を複数の領域分離する溝である。領域分離溝23,24は、
図2のように有機EL装置内を発光領域30、給電領域31,32、補助電極領域33,35に区分けする溝である。すなわち、領域分離溝23,24は、
図6のように発光領域30の縁のほぼ全体に沿って形成されており、発光領域30と給電領域31,32とのそれぞれの境界部位、発光領域30と補助電極領域33,35とのそれぞれの境界部位、給電領域31,32と補助電極領域33,35とのそれぞれの境界部位に跨がって形成されている。
【0051】
また、領域分離溝23,24内には、絶縁性を有した無機封止層7の一部が進入しており、無機封止層7は領域分離溝23,24の底部で第1電極層3と接触している。すなわち、無機封止層7によって、発光領域30と給電領域31,32と補助電極領域33,35のそれぞれの機能層5及び第2電極層6を、互いに電気的に切り離している。
【0052】
領域分離溝23,24の外側に位置する電極接続溝27,28は、
図7のように長手方向l全体に亘って延伸した溝であり、機能層5のみを複数の領域に分離する溝である。具体的には、電極接続溝27,28は、領域分離溝23,24に囲まれるように形成されており、機能層5を3つの領域に分離している。すなわち、電極接続溝27は、長手方向lに給電領域31,32の陽極側給電領域16,16及び補助電極領域33(
図4参照)に跨がって形成されている。同様に、電極接続溝28は、長手方向lに給電領域31,32の陽極側給電領域18,18及び補助電極領域35に跨がって形成されている。
【0053】
また、電極接続溝27,28は、領域分離溝23,24と略同一の形状をしており、領域分離溝23,24と平行に形成されている。
【0054】
陽極側給電領域16に位置する電極接続溝27内には、陽極給電部20の一部が進入しており、電極接続溝27の底部で第1電極層3と接触し、電極接続部36を形成している。すなわち、電極接続溝27を形成した直後には、電極接続溝27の底部は第1電極層3が露出した状態となっており、
図5のように電極接続溝27の底部に露出する第1電極層3は陽極給電部20と接触している。
また、補助電極領域33に位置する電極接続溝27内には、
図6のように補助電極層41の一部が進入しており、電極接続溝27の底部で第1電極層3と接触している。
【0055】
同様に、陽極側給電領域18に位置する電極接続溝28内には、陽極給電部22の一部が進入しており、電極接続溝28の底部で第1電極層3と接触している。すなわち、電極接続溝28を形成した直後には、電極接続溝28の底部は第1電極層3が露出した状態となっており、電極接続溝28の底部に露出する第1電極層3は陽極給電部22と接触している。
また、補助電極領域35に位置する電極接続溝28内には、
図5のように補助電極層42の一部が進入しており、電極接続溝28の底部で第1電極層3と接触している。
【0056】
したがって、陽極給電部20,22と、補助電極層41,42は、外部から給電された電力を、電極接続部36〜39を介して第1電極層3に伝達することで通電を補助する機能を有する。すなわち、陽極給電部20,22及び補助電極層41,42は、長手方向lに延伸する辺に沿って設けられており、第1電極層3の陽極給電部20,22及び補助電極層41,42との接触する部位を同電位にすることが可能となっている。
電極接続溝27,28の溝幅は、30μm以上80μm以下であり、40μm以上70μm以下であることが好ましく、45μm以上60μm以下であることが特に好ましい。
【0057】
以上のように、有機EL装置1は、
図4のように陽極側給電領域16,16及び補助電極領域33に電極接続溝27と領域分離溝23が配されており、陽極側給電領域18,18及び補助電極領域35に電極接続溝28が配されている。さらに、陰極側給電領域17に取出電極分離溝26及び取出電極固定溝29が配されている。一方、発光領域30には、溝が形成されていない。
【0058】
有機EL素子10を覆う無機封止層7に目を移すと、無機封止層7は、
図1,
図2,
図5のように、少なくとも発光領域30の発光素子25全面を覆っており、長手方向においては、さらにその外側に位置する給電領域31,32の有機EL素子10の一部まで至っている。すなわち、有機EL装置1は、上記したように、有機EL素子10上に無機封止層7が被覆した被覆領域45と、被覆領域45の長手方向l外側であって陽極給電部20,22及び陰極給電部21の一部が露出した露出領域46,47を有している。また、露出領域46と露出領域47は、長手方向lにおいて被覆領域45を挟んで対向する位置にある。
【0059】
また、無機封止層7は、
図6のように有機EL素子10の幅方向の端面を覆っており、基板2と直接接続されている。
そして、有機EL装置1は、露出領域46,47において、外部電源と電気的に接続することで、露出領域46,47内の陽極給電部20,22及び陰極給電部21を介して被覆領域45内に位置する発光領域30の発光素子25に給電することが可能となっている。
図3に示される露出領域46,47の幅L2(長手方向lの長さ)は、基板2の幅(幅方向wの長さ)の1/6以下の領域となっており、基板2の短辺から中央に向かって延びている。また、露出領域46,47の幅L2は、給電領域31,32の幅L1(長手方向lの長さ)の4/5から2/3となっている。
【0060】
続いて、有機EL装置1の各層構成について説明する。
上記したように、有機EL装置1の基本構造は、基板2上に有機EL素子10が積層し、その上に、無機封止層7の順に積層したものである。
【0061】
基板2は、透光性及び絶縁性を有したものである。基板2の材質については特に限定されるものではなく、例えば、フレキシブルなフィルム基板やプラスチック基板などから適宜選択され用いられる。特にガラス基板や透明なフィルム基板は透明性や加工性の良さの点から好適である。
基板2は、面状に広がりを持っており、四角形状をしている。本実施形態では、長方形状をしている。
【0062】
第1電極層3の素材は、透明であって、導電性を有していれば、特に限定されるものではなく、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化錫(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)等の透明導電性酸化物などが採用される。機能層5内の発光層から発生した光を効果的に取り出せる点では、透明性が高いITOあるいはIZOが特に好ましい。本実施形態では、透明導電性酸化物であるITOを採用している。
【0063】
機能層5は、第1電極層3と第2電極層6との間に設けられ、少なくとも一つの発光層を有している層である。機能層5は、主に有機化合物からなる複数の層から構成されている。この機能層5は、一般的な有機EL装置に用いられている低分子系色素材料や、共役系高分子材料などの公知のもので形成することができる。また、この機能層5は、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などの複数の層からなる積層多層構造であってもよい。
【0064】
また、これらの機能層5の構成層は真空蒸着法やスパッタ法、CVD法、ディッピング法、ロールコート法(印刷法)、スピンコート法、バーコート法、スプレー法、ダイコート法、フローコート法など適宜公知の方法によって成膜できる。
【0065】
第2電極層6の材料は、特に限定されるものではなく、例えば銀(Ag)やアルミニウム(Al)などの金属が挙げられる。本実施形態の第2電極層6は、アルミニウムで形成されている。また、これらの材料はスパッタ法又は真空蒸着法によって堆積されることが好ましい。
第2電極層6の電気伝導率及び熱伝導率は、第1電極層3よりも大きい。言い換えると、第2電極層6は、第1電極層3よりも電気伝導性及び熱伝導性が高い。
【0066】
無機封止層7の材質は、絶縁性及び封止性を有していれば、特に限定されるものではないが、酸素、炭素、窒素の中から選ばれた1種類以上の元素と、ケイ素元素とからなるシリコン合金により形成されていることが好ましく、Si−O、Si−N、Si−H、N−H等の結合を含む窒化珪素や酸化珪素、および両者の中間固溶体である酸窒化珪素であることが特に好ましい。また、これらの構造を有した多層構造の無機封止層を使用してもよい。
【0067】
次に、本実施形態に係る有機EL装置1の製造方法について説明する。
有機EL装置1は、図示しない真空蒸着装置及びCVD装置によって成膜し、図示しないパターニング装置、本実施形態では、レーザースクライブ装置を使用してパターニングを行い、製造される。
【0068】
まず、スパッタ法やCVD法によって基板2の一部又は全部に第1電極層3を成膜する(
図9(a)から
図9(b))。
このとき、本実施形態では、基板2の長辺(長手方向に延伸する辺)の近傍には第1電極層3を積層していない。ここでいう「長辺近傍」とは、長辺からの距離が1mm以下のものを表し、500μm以下であることが好ましい。
【0069】
その後、第1電極層3が成膜された基板に対して、レーザースクライブ装置によって取出電極分離溝26を形成する(
図9(b)から
図9(c))。
このとき、取出電極分離溝26は、平面視して「コ」の字状に形成されており、基板の短辺と取出電極分離溝26によって島状の取出領域53が形成されている。
また、この基板上には取出電極分離溝26を除いて第1電極層3が存在している。そのため、このようにレーザースクライブ処理を用いることが可能であり、前記第1電極層3を成膜する際に、成膜を行わない被成膜面を隠すマスクプロセスを省略できる。
【0070】
次に、真空蒸着装置によって、この基板にホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などの機能層5を順次成膜する(
図9(c)から
図9(d))。
このとき、取出電極分離溝26内に機能層5が積層され、取出電極分離溝26内に機能層5が満たされるとともに、この基板のほぼ全面に機能層5が積層される。
【0071】
その後、機能層5が成膜された基板に対して、レーザースクライブ装置によって、電極接続溝27,28及び取出電極固定溝29をそれぞれ形成する。本実施形態では、2本の電極接続溝27,28と取出電極固定溝29を形成する(
図9(d)から
図9(e))。
このとき、電極接続溝27,28の大部分は、基板の各辺に平行になるように配されており、電極接続溝27,28の残りの部分は、短辺に対して直交する方向に延びている。すなわち、電極接続溝27,28は基板の長手方向全体に亘って形成されており、機能層5を少なくとも3つの領域に分離している。具体的には、電極接続溝27,28は、有機EL装置1が完成時において、補助電極領域33,35の中央を通り、補助電極領域33,35を均等に2分割するように設けられている。取出電極固定溝29は、陰極側給電領域17を長手方向に均等に2分割するように設けられている。具体的には、取出領域53内を長手方向に均等に2分割するように設けられている。
この基板上には電極接続溝27,28及び取出電極固定溝29を除いて機能層5が存在している。そのため、このようにレーザースクライブ処理を用いることが可能であり、前記機能層5を成膜する際に、成膜を行わない被成膜面を隠すマスクプロセスを省略できる。
【0072】
次に、真空蒸着装置によって、この基板に第2電極層6を成膜する(
図9(e)から
図9(f))。
このとき、電極接続溝27,28及び取出電極固定溝29内に第2電極層6が積層され、電極接続溝27,28及び取出電極固定溝29内に第2電極層6が満たされるとともに、この基板全面に第2電極層6が積層される。すなわち、電極接続溝27,28及び取出電極固定溝29の底部で第1電極層3と第2電極層6が接触した状態で固着し、第1電極層3と第2電極層6が電気的に接続される。
そのため、第1電極層3と第2電極層6の間に機能層5が介在する場合に比べて、剥離強度を向上させることができる。
【0073】
その後、第2電極層6が成膜された基板に対して、レーザースクライブ装置によって、機能層5及び第2電極層6に亘って延伸した領域分離溝23,24を形成する(
図9(f)から
図9(g))。
このとき、領域分離溝23,24は、電極接続溝27,28と平行に形成されており、第2電極層6が積層された領域の長手方向全体に亘って形成されている。領域分離溝23,24は、有機EL装置1が形成された際に給電領域31,32と発光領域30との境界部位に形成されている。すなわち、領域分離溝23,24は、幅方向において、機能層5及び第2電極層6を3つの領域に分割している。
具体的には、領域分離溝23,24は、第2電極層6を、発光素子25の一部を形成する第2電極層6と、補助電極層41,42とに分割している。また、領域分離溝23,24は、基板の長手方向両端では、第2電極層6を、中央の陰極給電部21と、両端の2つの陽極給電部20,22とに分割している。
また、この基板上には領域分離溝23,24を除いて第2電極層6が存在している。そのため、このようにレーザースクライブ処理を用いることが可能であり、前記第2電極層6を成膜する際に、成膜を行わない被成膜面を隠すマスクプロセスを省略できる。
【0074】
続いて、この基板の一部をマスクで覆い、CVD装置によって、無機封止層7を成膜する(
図9(g)から
図9(h))。
このとき、無機封止層7は、少なくとも発光領域30内の第2電極層6を覆っており、さらに領域分離溝23,24の一部も覆っている。すなわち、領域分離溝23,24内に無機封止層7が積層され、領域分離溝23,24内に無機封止層7が満たされる。そのため、封止機能を十分に確保することができる。
【0075】
続いて、本発明の特徴たる接着工程を行う。
本実施形態の接着工程は、露出領域46,47に位置する第2電極層6(陽極給電部20,22、陰極給電部21)の表面に凹部60を設ける凹凸形成工程と、当該凹凸形成工程によって形成された凹部60にはんだボールを敷き詰めるはんだ敷設工程と、給電部材11,12,13を載置し、はんだボールに熱を加えて導電性接着層8を形成する導電性接着工程を有する。
【0076】
まず、
図10のように、基板2側からレーザーを照射し、露出領域46,47に位置する給電部20,21,22の表面に凹部60を形成する(凹凸形成工程)。
このとき、凹部60は縦横に格子状に形成されている。
【0077】
その後、
図11のようにはんだボールを敷き詰める(はんだ敷設工程)。
このとき、前記凹凸形成工程によって凹部60が形成されているため、凹部60がはんだボールの一部を係止し、はんだボールが転がることを防止している。それ故に、給電部20,21,22の表面にはんだボールを設置しやすくなっている。このようなはんだボールの転がり防止機能は、フラックス塗布により、より効果的に達成することも可能である。
またこのとき使用するはんだボールの最大外形は1μm以上1000μm以下となっており、10μm以上500μm以下であることが好ましく、20μm以上200μm以下であることがさらに好ましい。50μm以上150μm以下であることが特に好ましい。
【0078】
続いて、
図11のように別工程によって、表面にはんだ層65がコーティングされた給電部材11,12,13を、はんだボール70上に載置し、レーザーによってはんだボールを加熱し、導電性接着層8を形成する(導電性接着工程)。
このとき、レーザー加熱によってはんだボール70及び給電部材11,12,13のはんだ層65が融解し、面状に広がり、その一部が凹部60内に進入する。そして当該はんだの一部が給電部20,21,22の凹部60に進入した状態で硬化し導電性接着層8が形成される。そのため、はんだと凹部60間でくさび機能が発揮して接着性を増す、いわゆるアンカー効果が発生する。それ故に、陽極給電部20,22と給電部材11,13、陰極給電部21と給電部材12の接合強度がそれぞれ向上する。
また、給電部材11,12,13の表面にはんだレベラー処理(はんだ層65)が施されているため、加熱時にはんだの濡れ性が高く、接着しやすい。また給電部材11,12,13が腐食しにくい。
【0079】
このようにして有機EL装置1が完成する。
【0080】
本実施形態の有機EL装置1によれば、低融点のはんだボール70によって給電部材11,12,13と給電部20,21,22を電気的に接続しているため、はんだボールの加熱時における発光素子25への影響が少ない。
また、本実施形態の有機EL装置1によれば、透明導電性酸化物によって形成されている第1電極層3とはんだを直接接着せず、第1電極層3とはんだとの間に金属によって形成されている給電部20,21,22(第2電極層6)を介して接続しているため、接着性が高く電圧降下も起こりにくい。また、信頼性も高い。
【0081】
上記した実施形態では、給電部20,21,22として有機EL素子内の第2電極層6の一部を使用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、給電部として別の物質を使用してもよい。特に、給電部は、アルミニウム、銀、ニッケル、モリブデンの中から選ばれる少なくとも1種以上の金属から形成されているが好ましい。
【0082】
上記した実施形態では、レーザー加熱によってはんだボールを加熱したが、本発明はこれに限定されるものではなく、給電部材を加熱することによる熱伝導を用いてはんだボールを融解してもよい。
【0083】
上記した実施形態では、給電部材11,12,13の表面にはんだレベラー処理を施して使用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、給電部材に表面処理を施さなくてもよいし、表面に別金属をメッキして耐腐食性を向上させてもよい。特に、はんだとの接着性が高い錫メッキが好適に採用できる。
【0084】
上記した実施形態では、レーザーを照射することによって給電部の表面に凹凸を形成したが、はんだボールを係止できる凹凸を有していればよく、凹凸の形成方法は限定されない。例えば、研磨して凹凸を形成してもよい。
【0085】
上記した実施形態では、凹部60を格子状に形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、はんだボールを保持する機能を有していれば凹部の形状は特に限定されない。例えば、凹部の形状は環状であってもよい。
【0086】
上記した実施形態では、給電領域31,32において第1電極層3と第2電極層との間に機能層5を介在させたが本発明はこれに限定されるものではなく、機能層5を介在させず、第1電極層3上に第2電極層を直接積層させてもよい。また、機能層5の代わりに他の導電層を介在させてもよい。