(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043119
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】揚送装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
A63F7/02 346C
A63F7/02 351A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-171541(P2012-171541)
(22)【出願日】2012年8月2日
(65)【公開番号】特開2014-30504(P2014-30504A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000161806
【氏名又は名称】京楽産業.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】永田 慶吾
【審査官】
辻野 安人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−341028(JP,A)
【文献】
特開2011−078675(JP,A)
【文献】
特開平09−000734(JP,A)
【文献】
特開2002−191836(JP,A)
【文献】
特開2002−186768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方位置にある遊技球を上方位置まで搬送すべく上下方向に亘って回動可能とされた搬送体と、
前記上方位置から延設され、前記搬送体にて当該上方位置まで搬送された遊技球を流下させ得る上方流路と、
を具備した揚送装置において、
前記搬送体により前記下方位置から上方位置まで搬送された遊技球を前記上方流路にて流下させる第1搬送流路と、当該搬送体により前記下方位置から上方位置まで搬送された遊技球を当該下方位置に戻す第2搬送流路とを有し、前記上方位置まで搬送された遊技球が前記上方流路にて流下する通常状態における遊技球の搬送流路を前記第1搬送流路とするとともに、前記上方位置の遊技球が前記上方流路で流下せず滞留した球詰まり状態における遊技球の搬送流路を前記第1搬送流路から第2搬送流路に切り替える切替手段を具備し、且つ、前記切替手段は、前記通常状態では前記第1搬送流路にて前記搬送体で上方に搬送された遊技球を前記上方流路に案内し、前記球詰まり状態では前記搬送体で上方に搬送された遊技球による押圧力で切り替えられて当該遊技球を前記第2搬送流路にて下方位置に戻すことを特徴とする揚送装置。
【請求項2】
前記切替手段は、前記上方位置近傍に取り付けられた可撓性部材から成るとともに、前記通常状態では前記搬送体で上方に搬送された遊技球を前記上方流路に案内し、前記球詰まり状態では前記搬送体で上方に搬送された遊技球による押圧力で撓んで当該遊技球を下方位置に戻すことを特徴とする請求項1記載の揚送装置。
【請求項3】
前記搬送体の遊技球の搬送面と対向して配設された挟持体を具備するとともに、当該搬送体と挟持体とで遊技球を挟持しつつ前記下方位置から上方位置に搬送可能とされたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の揚送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下方位置にある遊技球を上方位置まで搬送することにより遊技球を揚送し得る揚送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機の島設備は、パチンコ店内ホールに設置され、複数のパチンコ遊技機が横並びに配設されるとともに、それらパチンコ遊技機に対して電力の供給や遊技球の供給及び回収等を行い得るよう構成されている。かかるパチンコ遊技機の島設備においては、通常、パチンコ遊技球から排出された遊技球を回収するアウトレールと、該アウトレールで回収された遊技球を貯留する島中タンクと、島設備を構成するフレーム上に配設されて遊技球を貯留可能な上部タンクと、島中タンクで貯留した遊技球を上部タンクまで揚送するリフタとが配設されている。
【0003】
さらに、通常の島設備においては、上部タンク内に貯留した遊技球を島端に向かって流出させるとともに各パチンコ遊技機に遊技球を補給可能な補給樋が延設されている。かかる補給樋は、一端が上部タンクに接続されて島端に向かって所定の傾斜角度で傾斜しつつ延設されるとともに、その途中から各パチンコ遊技機に遊技球を補給し得るよう構成されている。
【0004】
ところで、近時においては、島設備の設置場所の自由度を向上させるべく、当該島設備の高さ寸法を小さくすることが試みられている。このように高さ寸法を小さくした島設備においては、補給樋やアウトレールの傾斜角度を大きく設定することができないことから、従来より、それら流路の途中にミニリフトと称される揚送装置が配設されるものが提案されるに至っている。
【0005】
かかる従来の揚送装置は、下方位置にある遊技球を上方位置まで搬送すべく上下方向に亘って回動可能とされた無端状の搬送ベルトと、上方位置から延設され、搬送ベルトにて当該上方位置まで搬送された遊技球を流下させ得る上方流路とを具備するものとされていた。なお、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の揚送装置においては、上方流路或いは当該上方流路より下流側で遊技球が詰まって球詰まり状態で搬送ベルトの駆動を継続して行わせてしまうと、当該搬送ベルトやモータ等の駆動源に過負荷がかかってしまう虞があった。しかるに、そのような不具合を回避すべく、汎用の検知センサにより球詰まりを検出させるものとし、当該球詰まりが検出された際に搬送ベルトの駆動を停止させることも考えられるが、通常、球詰まりが生じてからその球詰まりを検出し、搬送ベルトの駆動を停止させるまでタイムラグが生じてしまうことから、上記の如き過負荷を防止するには不十分であった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、球詰まりが生じた場合でも良好に遊技球の揚送を継続して行わせることができる揚送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、下方位置にある遊技球を上方位置まで搬送すべく上下方向に亘って回動可能とされた搬送体と、前記上方位置から延設され、前記搬送体にて当該上方位置まで搬送された遊技球を流下させ得る上方流路とを具備した揚送装置において、前記搬送体により前記下方位置から上方位置まで搬送された遊技球を前記上方流路にて流下させる第1搬送流路と、当該搬送体により前記下方位置から上方位置まで搬送された遊技球を当該下方位置に戻す第2搬送流路とを有
し、前記上方位置まで搬送された遊技球が前記上方流路にて流下する通常状態における遊技球の搬送流路を前記第1搬送流路とするとともに、前記上方位置の遊技球が前記上方流路で流下せず滞留した球詰まり状態における遊技球の搬送流路を前記第1搬送流路から第2搬送流路に切り替える切替手段を具備し、且つ、前記切替手段は、前記通常状態では前記第1搬送流路にて前記搬送体で上方に搬送された遊技球を前記上方流路に案内し、前記球詰まり状態では前記搬送体で上方に搬送された遊技球による押圧力で切り替えられて当該遊技球を前記第2搬送流路にて下方位置に戻すことを特徴とする。
【0010】
請求項
2記載の発明は、請求項
1記載の揚送装置において、前記切替手段は、前記上方位置近傍に取り付けられた可撓性部材から成るとともに、前記通常状態では前記搬送体で上方に搬送された遊技球を前記上方流路に案内し、前記球詰まり状態では前記搬送体で上方に搬送された遊技球による押圧力で撓んで当該遊技球を下方位置に戻すことを特徴とする。
【0011】
請求項
3記載の発明は、請求項1
又は請求項2記載の揚送装置において、前記搬送体の遊技球の搬送面と対向して配設された挟持体を具備するとともに、当該搬送体と挟持体とで遊技球を挟持しつつ前記下方位置から上方位置に搬送可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、搬送体により下方位置から上方位置まで搬送された遊技球を上方流路にて流下させる第1搬送流路と、当該搬送体により下方位置から上方位置まで搬送された遊技球を当該下方位置に戻す第2搬送流路とを有するので、球詰まり状況に応じて遊技球の搬送流路を第1搬送流路又は第2搬送流路の何れかに選択することができ、球詰まりが生じた場合でも良好に遊技球の揚送を継続して行わせることができる。
【0013】
また、上方位置まで搬送された遊技球が上方流路にて流下する通常状態における遊技球の搬送流路を第1搬送流路とするとともに、上方位置の遊技球が上方流路で流下せず滞留した球詰まり状態における遊技球の搬送流路を第1搬送流路から第2搬送流路に切り替える切替手段を具備したので、球詰まりが生じた際の搬送流路の切り替えを確実且つ円滑に行わせることができる。
【0014】
請求項
2の発明によれば、切替手段は、上方位置近傍に取り付けられた可撓性部材から成るとともに、通常状態では前記搬送体で上方に搬送された遊技球を上方流路に案内し、球詰まり状態では搬送体で上方に搬送された遊技球による押圧力で撓んで当該遊技球を下方位置に戻すので、切替手段の構成をより簡素化させることができ、より確実且つ円滑な搬送流路の切り替えを行わせることができる。
【0015】
請求項
3の発明によれば、搬送体の遊技球の搬送面と対向して配設された挟持体を具備するとともに、当該搬送体と挟持体とで遊技球を挟持しつつ下方位置から上方位置に搬送可能とされたので、第1搬送流路にて搬送される遊技球をより確実に揚送させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る揚送装置が適用される島設備を示す模式図
【
図4】同揚送装置の通常状態における遊技球の搬送流路(第1搬送流路)を示す拡大模式図
【
図5】同揚送装置における切替手段により遊技球の搬送流路が第2搬送流路とされた状態を示す拡大模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る揚送装置は、パチンコ遊技機の島設備内に配設された補給樋及びアウトレールに接続されたものである。かかるパチンコ遊技機の島設備1は、
図1に示すように、遊技店のホールに設置されるとともにパチンコ遊技機2が複数並列して設置された島状のものから成る。なお、
図1は、島設備の左半分を示しており、右半分は同様の構成であるため省略してある。
【0018】
本実施形態で適用される島設備1におけるパチンコ遊技機2は、ガラス板が取り付けられた前面枠を有しており、該ガラス板から遊技者が遊技盤を目視し得るように構成されており、この遊技盤の遊技領域には、図柄表示手段、始動口や大入賞口等の種々役物が配設されている。そして、ハンドルを回転操作することにより、遊技球が遊技盤に発射され、所定の入賞口に入賞或いは最下のアウト穴に至るよう構成されている。
【0019】
また、適用される島設備1は、パチンコ遊技機2に電力を供給し得る電力供給手段(不図示)を具備するとともに、補給樋(3a、3b)と、アウトレール4と、研磨機5と、リフタ7とが内部に設置されている。なお、リフタ7の下部には、研磨機5で研磨或いは払拭された遊技球を上方に向かって力を付与して揚送させる駆動源6が配設されている。しかるに、研磨機5は、回収された遊技球を研磨するためのもので、当該研磨機5にて研磨された遊技球は、リフタ7を介して上部タンクTに至るようになっている。
【0020】
補給樋(3a、3b)は、島設備1の上部にて所定角度傾斜しつつ島設備1の端部に向かって延設されるとともに、自重により遊技球を流下させ得る流路から成る。この補給樋(3a、3b)の途中には、流下する遊技球を各パチンコ遊技機2に供給させる供給手段が配設されており、パチンコ遊技機2は、当該供給手段を介して遊技球が供給されて賞球等の払出しが行われるよう構成されている。
【0021】
しかるに、本実施形態に係る補給樋3aは、所定角度傾斜しつつ上部タンクTから揚送装置8まで延設されるとともに、補給樋3bは、所定角度傾斜しつつ揚送装置8から島設備1の端部まで延設されており、当該端部まで流下した遊技球はパチンコ遊技機2に供給されずアウトレール4に落下するよう構成されている。これにより、上部タンクTの遊技球は、補給樋3aを流下した後、揚送装置8にて揚送され、補給樋3bを流下することとなり、その流下過程で各パチンコ遊技機2に供給される。
【0022】
アウトレール4は、島設備1の下部にて所定角度傾斜しつつ島設備1の中央(研磨機5及びリフタ7の配設箇所)に向かって延設されるとともに、パチンコ遊技機2から排出された遊技球を回収するための流路から成る。その途中には、補給樋3aと補給樋3bとの間に配設された揚送装置8と同様の揚送装置9が複数配設されている。しかして、パチンコ遊技機2から排出された遊技球は、途中で揚送装置9にて揚送されつつアウトレール4を流下し、研磨機5に至ることとなり、リフタ7で揚送された後、再び上部タンクTから流下する。
【0023】
ここで、本実施形態に係る揚送装置8は、補給樋(3a、3b)を流下する過程の遊技球を揚送させるもので、
図2、3に示すように、フレームFと、搬送体としての搬送ベルト10と、上方流路11と、挟持体14と、モータMと、切替手段15とから主に構成されている。搬送ベルト10は、下方位置P1にある遊技球を上方位置P2まで搬送すべく上下方向に亘って回動可能とされたもので、本実施形態においては、駆動プーリ12と従動プーリ13とに亘って懸架された樹脂製のベルトから成る。
【0024】
駆動プーリ12は、その入力軸12aにスプロケットS2が取り付けられるとともに、モータMの出力軸Maに形成されたスプロケットS1と当該スプロケットS2との間にチェーンCが懸架されている。そして、モータMを駆動させると、スプロケットS1及びスプロケットS2間でチェーンCが回動し、駆動プーリ12に駆動力が伝達されて回転駆動させ得るようになっている。しかして、モータMの駆動により、駆動プーリ12が回転駆動し、当該駆動プーリ12と従動プーリ13との間で搬送ベルト10が回動するよう構成されている。
【0025】
さらに、搬送ベルト10における遊技球の搬送面と対向した位置には、挟持体14が配設されている。これにより、モータMを駆動させて搬送ベルト10を回動させると、搬送ベルト10(搬送体)と挟持体14とで遊技球を挟持しつつ下方位置P1から上方位置P2に搬送可能とされている。かかる下方位置P1には、補給樋3aの終端と接続された受け部材18が配設されており、当該補給樋3aを流下した遊技球を受け部材18に形成された受け部18aにて受けるとともに、搬送ベルト10及び挟持体14にて挟持させて上方位置P2まで搬送させ得るようになっている。なお、図中符号17は、受け部材18を弾性支持するスプリングを示している。
【0026】
一方、上方位置P2には、上方流路11が延設されている。この上方流路11は、上方位置P2から補給樋3bまで延設される遊技球の流路から成り、搬送ベルト10(搬送体)にて当該上方位置P2まで搬送された遊技球を補給樋3bまで流下させ得るよう構成されている。これにより、搬送ベルト10(搬送体)により下方位置P1から上方位置P2まで搬送された遊技球を上方流路11にて流下させる第1搬送流路αが形成されることとなる。
【0027】
切替手段15は、上方位置P2近傍に取り付けられた可撓性部材から成るとともに、通常状態では搬送ベルト10(搬送体)で上方に搬送された遊技球を上方流路11に案内し得るものである。すなわち、切替手段15は、
図4に示すように、取付金具16にてフレームFに固定されることにより取り付けられており、補給樋3b又は上方流路11にて球詰まりが生じていない状態(通常状態)において、搬送ベルト10及び挟持体14にて搬送された遊技球が更に上方へ至るのを妨げ、上方流路11側に案内し得るよう構成されているのである。このように、本実施形態においては、上方位置P2まで搬送された遊技球が上方流路11にて流下する通常状態における遊技球の搬送流路を「第1搬送流路α」と称するものとする。
【0028】
また、補給樋3b又は上方流路11にて球詰まりが生じると、上方位置P2の遊技球が上方流路11で流下せず滞留した状態(球詰まり状態)となる。本実施形態に係る切替手段15は、かかる球詰まり状態において、
図5に示すように、搬送ベルト10(搬送体)で上方に搬送された遊技球による押圧力で撓んで当該遊技球を下方位置P1に戻すよう構成されている。すなわち、球詰まり状態において、上方流路11で流下せず滞留しているにも関わらずモータMの駆動を継続させると、搬送ベルト10にて上方に搬送された遊技球は上方位置P2の上方にある切替手段15に向かって流れ、その押圧力(搬送力)により
図5の如く撓むこととなり、当該切替手段15と従動プーリ13との間に遊技球の流路βが形成されるのである。
【0029】
このように、切替手段15が撓んで遊技球が当該切替手段15と従動プーリ13との間を流通すると、下方に位置する受け部材18側に落下することとなり、遊技球を下方位置P1まで戻すことが可能とされている。本実施形態においては、このような遊技球の搬送流路(搬送ベルト10により下方位置P1から上方位置P2まで搬送された遊技球を当該下方位置P1に戻す流路)を第2搬送流路βと称する。なお、切替手段15は、球詰まり状態で押圧されると、その押圧力で撓み得る可撓性部材であれば足り、例えば弾性を有した樹脂材やゴム材等とすることができる。
【0030】
しかして、本実施形態に係る切替手段15は、上方位置P2まで搬送された遊技球が上方流路11にて流下する通常状態における遊技球の搬送流路を第1搬送流路αとするとともに、上方位置P2の遊技球が上方流路11で流下せず滞留した球詰まり状態における遊技球の搬送流路を第1搬送流路αから第2搬送流路βに切り替えるものとされており、通常状態では搬送ベルト10で上方に搬送された遊技球を上方流路11に案内し、球詰まり状態では搬送ベルト10で上方に搬送された遊技球による押圧力で撓んで当該遊技球を下方位置P1に戻すよう構成されている。
【0031】
このように、本実施形態においては、揚送装置8を介在させて複数の補給樋(3a、3b)を接続させることによって、各補給樋(3a、3b)の傾斜角度を大きく設定することができるので、遊技球の流下を良好に行わせることができる。なお、本実施形態においては、アウトレール4の途中に配設された揚送装置9も揚送装置8と同様の構成とされており、揚送装置9を介在させて複数のアウトレール4を接続させることによって、各アウトレール4の傾斜角度を大きく設定することができる。
【0032】
上記実施形態によれば、搬送ベルト10により下方位置P1から上方位置P2まで搬送された遊技球を上方流路11にて流下させる第1搬送流路αと、当該搬送ベルト10により下方位置P1から上方位置P2まで搬送された遊技球を当該下方位置P1に戻す第2搬送流路βとを有するので、球詰まり状況に応じて遊技球の搬送流路を第1搬送流路α又は第2搬送流路βの何れかに選択することができ、球詰まりが生じた場合でも良好に遊技球の揚送を継続して行わせることができる。
【0033】
また、上方位置P2まで搬送された遊技球が上方流路11にて流下する通常状態における遊技球の搬送流路を第1搬送流路αとするとともに、上方位置P2の遊技球が上方流路11で流下せず滞留した球詰まり状態における遊技球の搬送流路を第1搬送流路αから第2搬送流路βに切り替える切替手段15を具備したので、球詰まりが生じた際の搬送流路の切り替えを確実且つ円滑に行わせることができる。しかるに、切替手段15により、球詰まり状態となった際、第1搬送流路αから第2搬送流路βに切り替えることが可能とされるので、遊技球を上方流路11から下方位置P1に循環させて逃がすことができ、モータMや搬送ベルト10等に過負荷が生じてしまうのを防止することができる。
【0034】
さらに、切替手段15は、上方位置P2近傍に取り付けられた可撓性部材から成るとともに、通常状態では搬送ベルト10で上方に搬送された遊技球を上方流路11に案内し、球詰まり状態では搬送ベルト10で上方に搬送された遊技球による押圧力で撓んで当該遊技球を下方位置P1に戻すので、切替手段15の構成をより簡素化させることができ、より確実且つ円滑な搬送流路の切り替えを行わせることができる。
【0035】
またさらに、本実施形態の揚送装置8によれば、搬送ベルト10の遊技球の搬送面と対向して配設された挟持体14を具備するとともに、当該搬送ベルト10と挟持体14とで遊技球を挟持しつつ下方位置P1から上方位置P2に搬送可能とされたので、第1搬送流路αにて搬送される遊技球をより確実に揚送させることができる。なお、挟持体14は、搬送ベルト10の搬送面との間で遊技球を挟持して搬送させ得るものであれば足り、種々形態のものとすることができる。
【0036】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば切替手段15を他の形態のもの(球詰まり状態において搬送ベルト10で上方に搬送された遊技球による押圧力で動作して第2搬送流路βに切り替え得る他の手段)としてもよい。例えば、スプリングや板バネ等の付勢手段で付勢された板材(金属材や樹脂材等)で切替手段を構成し、球詰まり状態になった際、遊技球の押圧力で当該板材を付勢手段の付勢力に抗して移動させて第2搬送流路βに切り替えるものとしてもよい。
【0037】
また、本実施形態においては、補給樋(3a、3b)の途中に介在した揚送装置8の他、アウトレール4の途中に介在した揚送装置9も同様の構成(第1搬送流路αと第2搬送流路βとが切り替え可能とされた構成)とされているが、何れか一方を同構成のものとすれば足りる。さらに、駆動源6、リフタ7及び上部タンクTで構成される揚送装置を本実施形態の如き揚送装置(第1搬送流路αと第2搬送流路βとが切り替え可能とされた揚送装置)に代えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
搬送体により下方位置から上方位置まで搬送された遊技球を上方流路にて流下させる第1搬送流路と、当該搬送体により下方位置から上方位置まで搬送された遊技球を当該下方位置に戻す第2搬送流路とを有
し、上方位置まで搬送された遊技球が上方流路にて流下する通常状態における遊技球の搬送流路を第1搬送流路とするとともに、上方位置の遊技球が上方流路で流下せず滞留した球詰まり状態における遊技球の搬送流路を第1搬送流路から第2搬送流路に切り替える切替手段を具備し、且つ、切替手段は、通常状態では第1搬送流路にて搬送体で上方に搬送された遊技球を上方流路に案内し、球詰まり状態では搬送体で上方に搬送された遊技球による押圧力で切り替えられて当該遊技球を第2搬送流路にて下方位置に戻す揚送装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 島設備
2 パチンコ遊技機
3a、3b 補給樋
4 アウトレール
5 研磨機
6 駆動源
7 リフタ
8 揚送装置
9 揚送装置
10 搬送ベルト(搬送体)
11 上方流路
12 駆動プーリ
13 従動プーリ
14 挟持体
15 切替手段
16 取付金具
17 スプリング
18 受け部材
P1 下方位置
P2 上方位置
M モータ