(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導光板と、該導光板の内部に光を出射する光源と、導光板に当接配置される光反射板及び/又は光拡散板とから成る面発光照明装置の発光面の色温度調整方法であって、上記面発光照明装置を作成するプロセスと、
作成した面発光照明装置の発光面の色温度を測定し、色温度データを作成するプロセスと、前記測定した色温度が必要とする色温度でない場合、前記光反射板及び/又は光拡散板を着色するためのインクを選定するプロセスと、
前記選定したインクを使用してインクジェットプリンタにより前記光反射板及び/又は光拡散板に着色印刷を施すプロセスと、
前記着色印刷した光反射板及び/又は光拡散板を使用した面発光照明装置の発光面の色温度を測定するプロセスとを備え、
前記インクを選定するプロセスは、予め面発光照明装置の色温度の遷移の方向と、光反射板及び/又は光拡散板を着色するためのインクの種類及び組み合わせとの関係を示す参照データを作成しておき、この参照データに基づいてインクを選択するようにし、測定した面発光照明装置の発光面の色温度が許容範囲に入るまで光反射板及び/又は光拡散板の着色印刷の修正を繰り返すようにしたことを特徴とする面発光照明装置の色温度の調整方法。
導光板と、該導光板の内部に光を出射する光源と、導光板に当接配置される光反射板及び/又は光拡散板とから成る面発光照明装置の発光面の色温度調整方法であって、予め着色用のインクを用いて、これらのインクの単色の印刷面又は組み合わせからなる印刷面が形成された複数の光反射板及び/又は光拡散板を用意しておくプロセスと、
上記面発光照明装置を作成するプロセスと、
作成した面発光照明装置の発光面の色温度を測定し、色温度データを作成するプロセスと、
前記測定した色温度が必要とする色温度でない場合、前記予め準備された光反射板及び/又は光拡散板の中から色温度修正のための光反射板及び/又は光拡散板を選定するプロセスと、
前記選定した光反射板及び/又は光拡散板を前記導光板に当接配置して面発光照明装置を作成するプロセスと、
前記選定した光反射板及び/又は光拡散板を使用した面発光照明装置の発光面の色温度を測定するプロセスとを備え、測定した面発光照明装置の発光面の色温度が許容範囲に入るまで、光反射板及び/又は光拡散板の選択を繰り返すようにし、前記複数の光反射板及び/又は光拡散板を用意しておくプロセスは、予め面発光照明装置の色温度の遷移の方向と、光反射板及び/又は光拡散板を着色するためのインクの種類及び組み合わせとの関係を示す参照データを作成しておき、この参照データに基づいてインクを選択し該選択したインクにより光反射板及び/又は光拡散板に着色するようにしたことを特徴とする面発光照明装置の色温度の調整方法。
【背景技術】
【0002】
表面を照明光照射面とし、裏面にインクジェットプリンタで白インク一色だけで多数個の印刷ドットにより反射印刷面を形成して導光板を製作する方法が従来知られている(例えば特許文献1参照)。
また、エッジライト方式の面状光源において発光源であるLED等のスペクトルの不可避なばらつきを導光板により補正して照明光として出射させる面状光源が従来知られている(例えば特許文献2参照)。
また、光拡散板の表面に顔料を含む着色層を設けた液晶表示装置が従来知られている(例えば特許文献3参照)。
また、反射板と拡散板とを備えた面状発光体において、拡散板又は反射板が着色されている面状発光体が従来知られている(例えば特許文献4参照)。
また、導光板と、光拡散板と、光反射板と着色シートを順次設けた液晶表示装置が従来知られている(例えば特許文献5参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
面発光照明装置においてインクジェットプリンタで導光板の裏面に白インクにより反射印刷を施し、この導光板に光源を配置した構成のものがある。この種の面発光照明装置において、複数の面発光照明装置を作成するとき、発光面が同一の色温度であることが要求されることがある。例えば個々の照明装置だけで見ている場合には気にならない差であっても、複数の照明装置を並べて全体で大きな照明光源を設けるような場合には、個々の個体差による色温度等の差が視覚的に気になってくる。しかるに、同じ白インクを用いた導光板を用いた面発光照明装置であっても、用いるLEDなどの光源の性能のバラツキにより、色温度が微妙に異なってしまう。この色温度を修正する場合、導光板へ新たに修正した反射印刷を行うことは、コストと手間がかかる。そのため、容易に面発光照明装置の発光面の色温度の調整を行うことができないという問題点がある。
尚、ここで色温度とは、ある色を放つ光源に含まれる青紫光と赤色光の相対的な強さを表す数値のことである。
本発明は、上記問題点を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、導光板と、該導光板の内部に光を出射する光源と、導光板に当接配置される光反射板及び/又は光拡散板とから成る面発光照明装置の発光面の色温度調整方法であって、上記面発光照明装置を作成するプロセスと、
作成した面発光照明装置の発光面の色温度を測定し、色温度データを作成するプロセスと、
前記測定した色温度が必要とする色温度でない場合、前記光反射板及び/又は光拡散板を着色するためのインクを選定するプロセスと、
前記選定したインクを使用してインクジェットプリンタにより前記光反射板及び/又は光拡散板に着色印刷を施すプロセスと、
前記着色印刷した光反射板及び/又は光拡散板を使用した面発光照明装置の発光面の色温度を測定するプロセスを備え、測定した面発光照明装置の発光面の色温度が許容範囲に入るまで光反射板及び/又は光拡散板の着色印刷の修正を繰り返すようにしたことを特徴とする。
また本発明は、前記インクを選定するプロセスは、着色用インクの中の単色の選択又は組み合わせの選択から成ることを特徴とする。
また本発明は、前記インクを選定するプロセスは、予め面発光照明装置の色温度の遷移の方向と、光反射板及び/又は光拡散板を着色するためのインクの種類及び組み合わせとの関係を示す参照データを作成しておき、この参照データに基づいてインクを選択するようにしたことを特徴とする。
また本発明は、導光板と、該導光板の内部に光を出射する光源と、導光板に当接配置される光反射板及び/又は光拡散板とから成る面発光照明装置の発光面の色温度調整方法であって、
予め着色用のインクを用いて、これらのインクの単色の印刷面又は組み合わせからなる印刷面が形成された複数の光反射板及び/又は光拡散板を用意しておくプロセスと、
上記面発光照明装置を作成するプロセスと、
作成した面発光照明装置の発光面の色温度を測定し、色温度データを作成するプロセスと、
前記測定した色温度が必要とする色温度でない場合、前記予め準備された光反射板及び/又は光拡散板の中から色温度修正のための光反射板及び/又は光拡散板を選定するプロセスと、
前記選定した光反射板及び/又は光拡散板を前記導光板に当接配置して面発光照明装置を作成するプロセスと、
前記選定した光反射板及び/又は光拡散板を使用した面発光照明装置の発光面の色温度を測定するプロセスと
を備え、測定した面発光照明装置の発光面の色温度が許容範囲に入るまで、光反射板及び/又は光拡散板の選択を繰り返すようにしたことを特徴とするものである。
また本発明は、コンピュータに格納された印刷データを装置本体側の記録ヘッドからインクを吐出し記録ヘッドと印刷媒体を相対移動させて印刷媒体に印刷する印刷装置であって、面発光装置に用いられる導光板と反射板及び/又は拡散板を前記記録ヘッドに対して相対移動可能に保持する保持機構と、導光板印刷用の記録ヘッドと反射板及び/又は拡散板印刷用の記録ヘッドと、導光板印刷用の記録ヘッドに白インクを供給する白インク供給部と、反射板及び/又は拡散板印刷用の記録ヘッドにカラーインクを供給するカラーインク供給部とを備え、コンピュータまたは装置本体側のコントロール部の記憶装置に、導光板の色温度調整用の印刷データと、反射板及び/又は拡散板着色用の色温度等の補正用の印刷データを格納したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、作成した面発光照明装置の色温度や色味をある一定の範囲内の色温度に簡単に修正することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の構成を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図5及び7は、インクジェットプリンタ2と、該プリンタ2のコントローラに入出力インターフェイスを介して接続するパーソナルコンピュータなどのコンピュータ4とからなる導光板及び反射板印刷装置の概略図を示している。導光板6は
図12に示すように、発光面6aに対して裏側の印刷面6bを上にしてボード状の搬送補助部材8の嵌合凹部50に保持された状態でメディア駆動機構58により、
図14に示すように、搬送テーブル48側からプラテン10上に搬送される。このプラテン10上の導光板6に対して、その搬送方向とは直角な主走査方向にインクジェット記録ヘッドを備えた印刷部50がノズルからインクを吐出しながら移動し、コンピュータ4からインクジェットプリンタ2のコントローラに転送される印刷データが、該コントローラに格納されたソフトウェアの制御により導光板6の印刷面6b上に印刷(描画)される。
【0009】
印刷の終わった導光板6はガイド11の上に配置された搬送テーブル46上に搬送される。反射板(反射シート)62は
図16に示すように、印刷面を上にしてボード状の搬送補助部材9に載置保持された状態でメディア駆動機構58により、
図14に示すように、搬送テーブル48側からプラテン10上に搬送される。このプラテン10上の反射板62に対して、その搬送方向とは直角な主走査方向にインクジェット記録ヘッドを備えた印刷部50がノズルからインクを吐出しながら移動し、コンピュータ4からインクジェットプリンタ2のコントローラに転送される印刷データが、該コントローラに格納されたソフトウェアの制御により反射板62の印刷面上に印刷(描画)される。印刷の終わった反射板62はガイド11の上に配置された搬送テーブル46上に搬送される。
【0010】
プラテン10上には、横レール52が架設され、該横レール52にキャリッジ12が移動自在に連結している。このキャリッジ12には
図9に示すように、導光板印刷用の複数個のインクジェット記録ヘッド14,16,18,20と反射板印刷用の複数個のインクジェット記録ヘッド14’,16’,18’,20’が保持されている。各記録ヘッド14,16,18,20,14’,16’,18’,20’は、インクを吐出する多数個のノズル22を備えている。各ヘッド14,16,18,20は、
図9(A)に示すように、それぞれプリンタ2の機体24に配設されたインクタンク26,28,30,32を備えた白インク供給部56の各インクタンクにチューブなどのインク供給手段を介して連通している。また、各ヘッド14’,16’,18’,20’は、
図9(A)に示すように、それぞれプリンタ2の機体24に配設されたインクタンク26’,28’,30’,32’を備えたカラーインク供給部57の各インクタンクにチューブなどのインク供給手段を介して連通している。
【0011】
複数個の記録ヘッド14,16,18,20は、
図9(B)に示すように横レール52に沿った主走査方向Mに互いの印刷領域が重なるように並列配置されている。コンピュータ4の記憶装置には、光反射パターンの印刷データ作成用のソフトウエア(印刷プログラム)が格納されるとともに、データテーブル格納部33に、導光板作成用の、
図6に示す、データテーブル34が設けられている。このデータテーブル34は複数種類そろえた白インクを、個々または組み合わせて導光板に印刷を行うことにより、多種の色温度の導光板の作成ができるようにするために、色温度とインクとの組み合わせをあらかじめ設定したものであり、このデータテーブル34を使用することにより、簡単に多種の色温度の導光板を作成することができるものである。コンピュータに格納された印刷制御用のソフトウエアではデータテーブル34の作成、修正などを行うことができる。
【0012】
また、コンピュータ4のデータテーブル格納部33には、反射板印刷用に、CMYの組み合わせテーブルや、印刷濃度のデータテーブル35(
図21参照)が格納されている。
作成された導光板6は、
図12に示すように、透明なアクリル板の印刷面6bの平面部分に反射ドットまたは反射グラデュエーション(曇りガラスのような細かいドット)を印刷したものであり、導光板6の厚み部分に冷陰極管やLEDなどの発光体から成る光源54を配置することにより、発光面6aの平面全体が発光しているように見せるものである。
データテーブル34は、3種類の色温度の違う白インク1,2,3を用意した場合の例を示している。酸化チタンを用いたインクを使用する場合にはインク中の酸化チタンの粒子径の分布により、色温度の違う白インクを用意し、粒子径の分布のばらつきを変更すると反射光に差が出て色温度に差が出る。
【0013】
[白インクと色温度について]
白インクは酸化チタンをインクの顔料としている。酸化チタンの粒子は粒子径の2倍の波長の光をもっとも強く反射する性質があり、白インクとしての理想は酸化チタンの粒子径の分布が、
図17に示すように、200nm−400nmで均一に存在することである。その場合、粒子径200nm−400nmの2倍の波長の光400nm−800nm(可視光)を均一に反射する白色になる。しかし実際の白インクでは、粒子径の分布が、200nm−400nmで均一に存在することは稀であり、
(1)粒子径200nmに多く存在する場合(
図18参照)、400nmの光(短波長)を強く反射する白インク、色温度が高く青みがかった白色のインクになる。
(2)粒子径400nmに多く存在する場合(
図19参照)、800nmの光(長波長)を強く反射する白インク、色温度が低く赤くまたは、黄、緑色かかった白インクになる。
色温度の調整においては、これらの色温度の異なる(酸化チタンの分布が異なる)白インクの組み合わせによって、所望の色温度=所望の酸化チタン分布=所望の光の波長域、の導光板を作成する。しかしながら、酸化チタンの粒子径のみでの色温度の調整が難しい場合は、その他の粒子、銅フタロシアニンなどを加えることにより所望の光の波長域を得ることもある。本実施形態で使用される白インクには、銅フタロシアニンが微量に添加されている。この添加の量は、実験的に適量を選択することでインクの色温度のコントロールが容易となる実験結果を得ている。
【0014】
図17−
図19はインク中の酸化チタンの粒子径の分布イメージ図であり、横軸は粒径を示し、縦軸は分布の度合いを示している。
図17は、理想的な白インク中の酸化チタン粒子の分布を示し、
図18−
図19は、実際の白インク中の酸化チタン粒子の分布を示している。
図6において、光源は同じ場合で、
図2に示すAの印刷条件で印刷した場合の導光板の色温度が4500Kだとすると、Bの条件で印刷した場合は、5000K、Cの条件で印刷した場合は5500K、であるが、組み合わせれば、Dの条件だと4500K〜5000Kの間、Eの条件だと5000K〜5500Kの間の色温度が得られるようになる。
図8は導光板の光反射パターンを示したものであり、均一に反射させるために光反射パターンは光源から遠くなるにつれて面積が大きくなるようにしている。パターンは面積を大きくする以外に同じ面積のものの密度を濃くして印刷しても良く、必要に応じて組み合わせても良い。
【0015】
図10,11は、インクジェット記録ヘッドの導光板に対する印刷動作の説明図であり、記録ヘッド14は、データテーブル34に記載された白インク1の入ったインクタンク26に連通し、記録ヘッド16は、白インク2の入ったインクタンク28に連通し、記録ヘッド18は白インク3の入ったインクタンク30に連通している。白インク1,2,3は互いにインク中の酸化チタンの粒子径の分布を異にし、それによってインクの色温度を異にしている。
図10(A)(B)は、
図2のデータテーブル34に示す、条件Bの印刷動作を示している。
図10(A)において、記録ヘッド16のノズルから白インク2の、通常の量のインクドット36が吐出され、導光板6に、白インク2が100%のインクドット36が1ドット分形成された状態を示している。即ち白インク2だけ使用して全面を印刷していることになる。
【0016】
図11(A)(B)(C)は、
図6のデータテーブル34に示す印刷条件Eの印刷動作を示している。
図11において、記録ヘッド16のノズルから、白インク2の、通常の量の半分のインクドット38が吐出され、導光板6に印刷される。次に、記録ヘッド18から、白インク3の、通常の量の半分のインクドット38が先に印刷された白インク2のインクドット38上に吐出され、2つのインクドット38,38が重ねて1ドット分印刷される。この重ねて印刷された1ドット分の印刷40は、白インク2が50%、白インク3が50%となる。即ち白インク2、白インク3を組合わせて全面を印刷している。このインクの吐出制御はヘッド駆動用の印刷用波形や駆動電圧を複数用意し、必要な駆動波形や駆動電圧を選択して使用することにより印刷される。
【0017】
次に
図20のフローチャートを参照して導光板の印刷面に反射印刷を施す工程を説明する。
まず、オペレータは、ステップ1で、導光板の反射パターンを作成するためのソフトウエアを用いて、コンピュータ4上に反射面用印刷データ42を作成する。この印刷データ42は、コンピュータ4のディスプレイ44に表示される。また、このディスプレイ44には、白インクの使用条件A,B,C,D,E,Fを示すデータ入力用の表示48が表示される。この表示48の使用条件A,B,C,D,E,Fはデータテーブル34に対応している。
【0018】
次にオペレータは、ステップ2でコンピュータ4のディスプレイ44の表示48を参照して、使用条件を選択し、マウスなどの入力手段を用いて、条件選択ボタン表示46をクリックしてコンピュータ4に使用条件即ち印刷条件を入力する。コンピュータは選択された条件によりデータテーブル34を参照して、ステップ3で、使用するインク1,2,3を決定する。コンピュータ4は、ステップ4で1つの白インクを使用するモードを選択し、あるいはステップ5で複数の白インクを使用するモードを選択する。ステップ6で、コンピュータ4の画面から印刷ボタン50を実行するとコンピュータ4からプリンタ2に印刷データが転送され(ステップ7)、その後プリンタ2にてデータの処理がされた後に(ステップ8)、記録ヘッドが主走査方向に駆動されて導光板6に選択された印刷条件の白インクにて印刷がされる(ステップ9)。
【0019】
実施例では、違う色温度の白インクを50%で同じ位置に印刷する技術で説明をしたが、それに限らず100%+50%の印刷を行ってもよく、また同じ色温度の白インクをもう1つ用意して(白1,白1,白2,白3)、必要に応じて同じ場所に印刷を行えば100%+100%=200%の印刷もできるようになるので、色温度をさらに変更する事も可能になる。なお同じ色温度の白インクを複数用意しない場合には、同じ場所に二度打ちを行う印刷制御を行っても良い。
インクジェットプリンタの特徴として場所ごとに違うインクでの印刷が可能であるので、複数ある光源を使用する場合にはその輝度にばらつきがあっても、場所ごとにあわせた違う色温度で印刷を行うようにすれば簡単に補正する事もできる。
【0020】
また、データテーブル34はプリンタ2のコントローラに搭載されたメモリに設けても良く、その場合には印刷条件をプリンタ2側にて最初に設定しておき、コンピュータ4から印刷データだけ転送するようにすれば良い。
図3は面発光照明装置60の全体構造を示し、導光板6に反射板62や拡散板64を組み合わせ、且つLEDからなる光源54を取り付けてテレビや液晶モニターなどのバックライトやその他の用途に用いられる面発光照明装置を構成する。
【0021】
次に、
図1を参照して、面発光照明装置の色温度の調整のプロセスについて説明する。
最初に適宜な色温度を持つLEDなどの光源を用いて発光面が所望の色温度となるように
図3に示す面発光照明装置60を作成する(ステップ1)。次に面発光照明装置60の発光面の色温度を公知の測定器具を用いて測定する(ステップ2)。次に、面発光照明装置60が必要な色温度か否か判断する(ステップ3)。色温度が必要な色温度でなかった場合には、インクジェットプリンタにて、反射板62又は、拡散板64に対して、面発光照明装置60の発光面を必要な色温度の領域に近づけるために、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)などの着色インクを指定してドットまたはグラデュエーション(曇りガラスのような細かいドット)で印刷し、着色印刷面66を形成する(ステップ5)。
【0022】
反射板62又は拡散板64に着色することで面発光照明装置60の発光面の白色光の色座標を遷移させることができ、これによって、面発光照明装置の白色光の色温度を必要な領域に調製することができる。この場合、反射板62又は拡散板64に対してシアン、イエロー、マゼンタの中の単色又は、これらのインクの組み合わせで着色することで、色座標を自由に遷移できる。
図2は、反射板への着色等による色座標の遷移を示す色度図であり、横軸はX値、縦軸はY値を示している。図中Aは、平均酸化チタン粒径300nmの白インクで反射印刷を施した導光板の色座標を示している。Bは同300nmの白インクで反射面を作った導光板にマゼンタの着色をした反射板を使ったときの面発光照明装置の色座標の一例を示している。Cは同300nmの白インクで反射面を作った導光板にイエローの着色をした反射板を使ったときの面発光照明装置の色座標の一例を示している。
【0023】
Dは、同300nmの白インクで作った導光板にイエローとシアンの着色をした反射板を使ったときの面発光照明装置60の色座標の一例を示している。Eは同300nmの白インクで反射面を作った導光板にシアンの着色をした反射板を作ったときの面発光照明装置60の色座標の一例を示している。
面発光照明装置60の色座標のAの位置からB,C,Eの方向へ遷移させるための反射板の着色は、単色で可能である。Dの方向への遷移はシアンとイエローの組み合わせが必要である。また、マゼンタ、イエローを組み合わせた場合でも、BとCの中間の方向に遷移する。同様に、面発光照明装置60の色座標を、Aの位置からCとD、DとE、EとBの中間方向に遷移させることも可能である。このようにある座標値にあるものを希望する位置まで移動させるために必要な方向や色の組み合わせに関しての特定ができる。
【0024】
上記色度図を実験により多数作成し、この実験データに基づいて、反射板に着色するCMYの顔料の選択と色座標の遷移の方向との関係、CMYの顔料の濃度と色座標の遷移の方向との関係を示す色座標遷移データを用意し、このデータに基づいて、必要な色温度を得るためのCMYの顔料インクを指定し、このインクを使って反射板に着色する。
次に、着色した反射板を使った面発光照明装置60の色温度を測定し(ステップ2)、色温度が必要な色温度の領域にあれば、色温度調整処理を終了し、必要な色温度が得られなければステップ4,5に戻り、必要な色温度が得られるまで、色温度調整処理を繰り返す。尚、予め、CMYのインクを用いて、CMYの各単色あるいは、CMYの組み合わせによる着色印刷した光反射板及び/又は光拡散板を多数準備しておき、測定した面発光照明装置の色温度が、必要な色温度でなかった場合に、これらの光反射板及び/又は光拡散板を選択して、選択した光反射板及び/又は光拡散板で面発光照明装置を作成し、面発光照明装置の発光面の色温度の修正を行うようにしても良い。
【0025】
次に
図21のフローチャートを参照して反射板の印刷面に着色印刷を施す工程を説明する。
まず、オペレータは、ステップ1で、反射板の着色パターンを作成するためのソフトウエアを用いて、コンピュータ4上に反射板印刷データを作成する。次にオペレータは、ステップ2で、測定結果より、データテーブル35を参照して、CMYの組み合わせや印刷濃度などの印刷条件を入力する。コンピュータは入力された印刷条件によりステップ3で、使用するインクを決定する。コンピュータ4は、ステップ4で1つの着色インクを使用するモードを選択し、あるいはステップ5で複数の着色インクを使用するモードを選択する。ステップ6で、コンピュータ4の画面から印刷ボタンを実行するとコンピュータ4からプリンタ2に印刷データが転送され、その後プリンタ2にてデータの処理がされた後に(ステップ7)、記録ヘッドが主走査方向に駆動されて反射板62に選択された印刷条件のインクにて印刷がされる(ステップ8)。