(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043149
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】脆性材料基板のブレイク装置および脆性材料基板のブレイク方法
(51)【国際特許分類】
B28D 5/00 20060101AFI20161206BHJP
B26F 3/00 20060101ALI20161206BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20161206BHJP
C03B 33/033 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
B28D5/00 Z
B26F3/00 A
H01L21/78 T
H01L21/78 C
H01L21/78 N
C03B33/033
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-237683(P2012-237683)
(22)【出願日】2012年10月29日
(65)【公開番号】特開2014-87936(P2014-87936A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101753
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 隆司
(72)【発明者】
【氏名】武田 真和
(72)【発明者】
【氏名】村上 健二
(72)【発明者】
【氏名】田村 健太
【審査官】
矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−121817(JP,A)
【文献】
特開平02−130103(JP,A)
【文献】
特開2003−068678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 5/00
B26F 3/00
C03B 33/033
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の主面にスクライブラインが形成された脆性材料基板に対して、前記スクライブラインに沿ってブレイクバーを押圧することにより、前記脆性材料基板をブレイクする脆性材料基板のブレイク装置であって、
透光性を有し、前記脆性材料基板の前記スクライブラインが形成された主面と当接する状態で、当該脆性材料基板を支持する弾性部材と、
前記脆性材料基板を前記弾性部材の表面に吸着保持して固定するための固定手段と、
透光性を有し、前記弾性部材を前記脆性材料基板とは逆側から支持するテーブルと、
前記弾性部材に固定された脆性材料基板を、前記スクライブラインが形成された主面と逆側の主面から押圧するブレイクバーと、
前記スクライブラインを前記テーブルおよび前記弾性部材を介して撮影するカメラと、
前記カメラにより撮影した画像に基づいて、前記テーブルと前記ブレイクバーとを相対的に移動させる移動機構と、
を備えたことを特徴とする脆性材料基板のブレイク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の脆性材料基板のブレイク装置において、
前記固定手段は、前記脆性材料基板と前記弾性部材との間を排気することにより、前記脆性材料基板を前記弾性部材の表面に吸着保持する吸着保持機構である脆性材料基板のブレイク装置。
【請求項3】
請求項2に記載の脆性材料基板のブレイク装置において、
前記吸着保持機構は、前記弾性部材における前記脆性材料基板との当接面に形成された、前記脆性材料基板をブレイクすることにより作成される各素子を吸着保持するための、前記各素子に対応した吸着口を備える脆性材料基板のブレイク装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の脆性材料基板のブレイク装置において、
前記弾性部材は透明ゴム製のシート状部材である脆性材料基板のブレイク装置。
【請求項5】
一方の主面にスクライブラインが形成された脆性材料基板に対して、前記スクライブラインに沿ってブレイクバーを押圧することにより、前記脆性材料基板をブレイクする脆性材料基板のブレイク方法であって、
透光性のテーブルの上に配設された透光性の弾性部材の表面に、前記スクライブラインが形成された脆性材料基板を、前記スクライブラインが形成された主面が前記弾性部材の表面と当接する状態で載置する載置工程と、
前記脆性材料基板における前記スクライブラインが形成された主面を前記弾性部材の表面に吸着保持する吸着保持工程と、
前記スクライブラインをカメラにより前記テーブルおよび前記弾性部材を介して撮影する撮影工程と、
前記カメラにより撮影した画像に基づいて、前記テーブルと前記ブレイクバーとを相対的に移動させる移動工程と、
前記ブレイクバーにより、前記弾性部材に吸着保持された脆性材料基板を、前記スクライブラインが形成された主面と逆側の主面から押圧する押圧工程と、
を備えたことを特徴とする脆性材料基板のブレイク方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脆性材料基板をブレイクする脆性材料基板のブレイク装置およびブレイク方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子は、基板に形成された素子領域を、その領域の境界位置でブレイク(割断)することにより製造される。このように、基板を割断するときには、ブレイク装置が使用される。このようなブレイク装置は、スクライビングホイールにより基板表面をスクライブすることによって形成されたスクライブライン、ダイヤモンドカッター等の切削器具により基板表面を線状に削り取ったスクライブ溝、または、レーザ光により基板表面をアブレーションさせて線状に除去したアブレーション加工ライン、あるいは、レーザ光により基板表面を局所的に溶融させることで基板の構造を線状に変質させた加工ライン等(この明細書においては、これらを総称して「スクライブライン」と呼称する)が一方の主面に形成された基板を、スクライブラインが形成された主面とは逆側の主面からブレイクバーによりZ方向に押圧することにより、この基板を、X方向を向くスクライブラインにおいてブレイクする構成となっている。そして、基板のブレイク時には、基板は、受刃等と呼称される、Y方向に微小距離だけ互いに離隔して配置された一対の受け部材により当接支持される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図8は、このような従来のブレイク装置により基板をブレイクする様子を示す概要図である。
【0004】
リング部材43の中央に形成された円形の開口部には、ダイシングテープと呼称される粘着性フィルム42が、その粘着面を下にした状態で貼り付けられる。そして、ブレイク対象の基板100は、粘着性フィルム42の粘着面に貼り付けられる。粘着性フィルム42を介して基板100が貼り付けられたリング部材43は、ブレイク装置の回転部材11にセットされる。この状態においては、基板100は、保護フィルム44を介して、サポート機構10における一対の受け部材61、62により支持される。
【0005】
基板100の下側の主面には、スクライブライン99が形成されている。このスクライブライン99は、一対の受け部材61、62間の隙間から、CCDカメラ35により撮影され、このCCDカメラ35により撮影された画像に基づいて、基板100の位置決めが行われる。しかる後、ブレイクバー14が、基板100におけるスクライブラインが形成された主面とは逆側の主面を押圧することにより、基板100はスクライブライン99に沿ってブレイクされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−39931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、基板100を粘着性フィルム42に貼り付けてブレイクする構成を採用した場合には、ブレイクを実行する度に粘着性フィルム42を消費するという問題がある。このため、基板のブレイクのためのコストが粘着性フィルム42を消費する分だけ高額となる。また、基板100を粘着性フィルム42に貼着するための作業が必要となる。
【0008】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、粘着性フィルムを使用しなくても基板をブレイクできるようにして、作業の効率化と粘着性フィルムのコスト削減を可能とした脆性材料基板のブレイク装置および脆性材料基板のブレイク方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、一方の主面にスクライブラインが形成された脆性材料基板に対して、前記スクライブラインに沿ってブレイクバーを押圧することにより、前記脆性材料基板をブレイクする脆性材料基板のブレイク装置であって、透光性を有し、前記脆性材料基板の前記スクライブラインが形成された主面と当接する状態で、当該脆性材料基板を支持する弾性部材と、前記脆性材料基板を前記弾性部材の表面に
吸着保持して固定するための固定手段と、透光性を有し、前記弾性部材を前記脆性材料基板とは逆側から支持するテーブルと、前記弾性部材に固定された脆性材料基板を、前記スクライブラインが形成された主面と逆側の主面から押圧するブレイクバーと、前記スクライブラインを前記テーブルおよび前記弾性部材を介して撮影するカメラと、前記カメラにより撮影した画像に基づいて、前記テーブルと前記ブレイクバーとを相対的に移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記固定手段は、前記脆性材料基板と前記弾性部材との間を排気することにより、前記脆性材料基板を前記弾性部材の表面に吸着保持する吸着保持機構である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記吸着保持機構は、前記弾性部材における前記脆性材料基板との当接面に形成された、前記脆性材料基板をブレイクすることにより作成される各素子を吸着保持するための、前記各素子に対応した吸着口を備える。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明において、前記弾性部材は透明ゴム(例えば、透明シリコーンゴム)製のシート状部材である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、一方の主面にスクライブラインが形成された脆性材料基板に対して、前記スクライブラインに沿ってブレイクバーを押圧することにより、前記脆性材料基板をブレイクする脆性材料基板のブレイク方法であって、透光性のテーブルの上に配設された透光性の弾性部材の表面に、前記スクライブラインが形成された脆性材料基板を、前記スクライブラインが形成された主面が前記弾性部材の表面と当接する状態で載置する載置工程と、前記脆性材料基板における前記スクライブラインが形成された主面を前記弾性部材の表面に吸着保持する吸着保持工程と、前記スクライブラインをカメラにより前記テーブルおよび前記弾性部材を介して撮影する撮影工程と、前記カメラにより撮影した画像に基づいて、前記テーブルと前記ブレイクバーとを相対的に移動させる移動工程と、前記ブレイクバーにより、前記弾性部材に吸着保持された脆性材料基板を、前記スクライブラインが形成された主面と逆側の主面から押圧する押圧工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1および請求項5に記載の発明によれば、弾性部材の作用により、粘着性フィルムを使用しなくても基板をブレイクすることができ、基板を粘着性フィルムに貼着する作業を省略できるとともに、粘着性フィルムのコストを削減することが可能となる。このとき、弾性部材とテーブルとが透光性を有することから、基板とブレイクバーとを位置決めするためのスクライブラインの撮像を弾性部材とテーブル側から実行することが可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、基板を弾性部材の表面に吸着保持して固定することが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、ブレイクにより作成される各素子を弾性部材の表面に吸着保持することが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、基板のブレイクに適した弾性と透光性を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明に係る脆性材料基板のブレイク装置の斜視図である。
【
図2】この発明に係る脆性材料基板のブレイク装置の斜視図である。
【
図3】基板100を透光テーブル102および弾性シート部材101上に配置してブレイクする状態を示す模式図である。
【
図5】弾性シート部材101に形成された吸着口71の配置を、基板100とともに示す説明図である。
【
図6】透光テーブル102に形成された吸着溝72の構成を示す説明図である。
【
図8】従来のブレイク装置により基板をブレイクする様子を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1および
図2は、この発明に係る脆性材料基板のブレイク装置の斜視図である。
【0020】
この脆性材料基板のブレイク装置は、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)やHTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)などのセラミックスやガラスその他の脆性材料を用いて構成された脆性材料基板(以下、単に「基板」という)をブレイク(割断)するためのものである。この基板のブレイク装置は、ガラス製の透光テーブル102上に配設された透明シリコーンゴム製の弾性シート部材101上に基板を吸着保持してブレイクする構成を有する。この基板のブレイク装置は、弾性シート部材101上に吸着保持される基板に形成されたスクライブラインの向きを所望の方向に合わせるように透光テーブル102を回転させる回転部材11と、回転部材11を支持するYテーブル12と、このYテーブル12を支持する支持テーブル13と、回転部材11に対して昇降する昇降テーブル16とを備える。支持テーブル13は、4本のシャフト18、基台17および脚部19を介して地面に設置される。
【0021】
支持テーブル13の上面には、4本の柱状昇降ガイド24が、回転部材11の外側の位置に立設されており、これらの柱状昇降ガイド24の上端を架け渡すようにして架台21が固定されている。また、支持テーブル13と架台21の間には、柱状昇降ガイド24によって昇降可能に案内される昇降テーブル16が設けられている。
【0022】
架台21上には、支持部材22を介して、ステッピングモータ23が設置されている。このステッピングモータ23の回転軸には、架台21を回転自在な状態で貫通するボールネジ25が連結されており、このボールネジ25は昇降テーブル16に形成された雌ネジ部に螺合している。このため、昇降テーブル16は、ステッピングモータ23の駆動によりZ方向に昇降する。
【0023】
図2に示すように、この昇降テーブル16の下面には、ブレイクバー14が、釣支部材15を介して取り付けられている。このブレイクバー14は、ブレードまたはブレイク刃とも呼称されるものであり、基板のブレイク時に、基板に形成されたスクライブラインに沿って基板を押圧することにより、基板をブレイクする力を基板に付与するためのものである。
【0024】
図2に示すように、Yテーブル12は、ステッピングモータ31の駆動により回転するボールねじ32の駆動を受け、支持テーブル13上をY方向に往復移動する。また、回転部材11の回転角度位置は、ステッピングモータ34によりボールねじ33を回転させることにより調整することが可能となっている。
【0025】
図2に示すように、支持テーブル13の下方には、CCDカメラ35が設置されている。このCCDカメラ35は、基台17上の支持板39に支持された一対のガイドレール37に沿ってX方向に移動可能となっている。また、CCDカメラ35の支持部41は、ステッピングモータ36の駆動により回転するボールねじ38と螺合している。このため、CCDカメラ35は、ステッピングモータ36の駆動を受け、X方向に往復移動する。なお、このCCDカメラ35は、透光テーブル102および弾性シート部材101を介して、基板に形成されたスクライブラインとブレイクバー14との位置関係を観察するためのものである。
【0026】
図3は、基板100を透光テーブル102および弾性シート部材101上に配置してブレイクする状態を示す模式図であり、
図4は、その部分拡大図である。
【0027】
図3および
図4に示すように、弾性シート部材101には、基板100をこの弾性シート部材101に吸着保持するための吸着口(排気口)71が穿設されている。また、透光テーブル102における吸着口71と対向する位置には、吸着溝(排気溝)72が形成されている。この吸着溝72は、真空ポンプや排気ファン等の排気部74と接続されている。このため、弾性シート部材101上に載置された基板100は、排気部74の作用で吸着溝72および吸着口71を介して基板100と弾性シート部材101との間を排気することにより、弾性シート部材101上に吸着保持される。
【0028】
なお、この状態においても、透光テーブル102および弾性シート部材101はいずれも透光性を有することから、
図3に示すように、基板100に形成されたスクライブライン99は、透光テーブル102および弾性シート部材101を介してCCDカメラ35により観察することが可能となる。
【0029】
図5は、弾性シート部材101に形成された吸着口71の配置を、基板100とともに示す説明図である。
【0030】
図5に示す実施形態においては、基板100は、縦5本、横6本のスクライブライン99でブレイクされることにより42個の素子Pに分割される。このため、弾性シート部材101には、基板100をブレイクすることにより作成される各素子Pを吸着保持するために、各素子Pに対応した42個の吸着口71が形成されている。なお、この実施形態においては、説明の便宜上、基板100を42個の素子Pに分割する場合を示しているが、実際には、基板100はさらに多数の素子Pに分割される。
【0031】
図6は、透光テーブル102に形成された吸着溝72の構成を示す説明図である。
【0032】
透光テーブル102には、縦6本、横7本の溝部からなる吸着溝72が形成されている。このため、上述した42個の吸着口71の全てと対向する位置に、吸着溝72が配置されることになる。なお、この吸着溝72は、縦、横の溝部から構成される必要はなく、縦のみ、または、横のみの溝部から構成されてもよい。要するに、全ての吸着口71に対向する位置に吸着溝72が配置されていればよい。
【0033】
次に、上述した基板100のブレイク装置によるブレイク動作について説明する。
図7は、ブレイク動作を示すフローチャートである。
【0034】
ブレイク動作を実行するときには、最初に、基板100をブレイク装置における弾性シート部材101上に載置する(ステップS1)。そして、排気部74の作用により、透光テーブル102に形成された吸着溝72および弾性シート部材101に穿設された吸着口71を介して基板100と弾性シート部材101との間を排気することにより、基板100を弾性シート部材101上に吸着保持する(ステップS2)。
【0035】
次に、CCDカメラ35により、基板100に形成されたスクライブライン99を撮影する(ステップS3)。このときには、透光テーブル102と弾性シート部材101とが透光性を有することから、CCDカメラ35により基板100の下方から、透光テーブル102および弾性シート部材101を介して、基板に形成されたスクライブライン99の画像を撮影することが可能となる。このスクライブライン99の撮影時には、ステッピングモータ36の駆動によりCCDカメラ35をX方向に移動させ、X方向に延びるスクライブライン99について、その全域で画像が撮影される。
【0036】
次に、CCDカメラ35により撮影した画像に基づいて基板100とブレイクバー14とを相対移動させることにより、基板100におけるスクライブライン99とブレイクバー14との位置決めを実行する(ステップS4)。より具体的には、CCDカメラ35により撮影したスクライブライン99の画像に基づいて基板100に形成されたスクライブライン99の角度と位置を認識する。そして、ステッピングモータ31の駆動によりYテーブル12をY方向に移動させるとともに、ステッピングモータ34の駆動により回転部材11の回転角度位置を調整することで、基板100をY方向およびθ方向に移動させて、基板100を、端部に配置されたスクライブライン99とブレイクバー14とが正確に対向する位置に配置する。
【0037】
しかる後、ブレイクバー14により基板100を押圧して、基板100をブレイクする。すなわち、ステッピングモータ23の駆動により昇降テーブル16を下降させ、ブレイクバー14を基板100におけるスクライブライン99とは逆側の主面に当接させた後、このブレイクバー14をさらに下降させる。この状態においては、基板100は弾性シート部材101により支持されていることから、この弾性シート部材101の弾性力により基板100に曲げ応力が発生する。そして、ブレイクバー14をさらに下降させると、基板100はスクライブライン99がブレイクバー14と一致するように配置されていることと相俟って、基板100がスクライブライン99に対応する位置でブレイクされる。
【0038】
基板100に適切な曲げ応力を生じさせて基板100を好適にブレイクするためには、弾性シート部材101の厚みと硬度を適切に選択する必要がある。この弾性シート部材101の厚みは、基板100の硬度や厚みにもよるが、1mm乃至5mm程度であることが好ましい。また、この弾性シート部材101の硬度は、基板100の硬度や厚みにもよるが、30度乃至70度(JIS K 6253によるA50乃至A70)程度であることが好ましい。
【0039】
基板100の最初のスクライブライン99に沿ったブレイクが完了すれば、CCDカメラ35により基板100を撮影しながら、ステッピングモータ31の駆動によりYテーブル12をスクライブライン99のピッチに相当する距離だけY方向に移動させた後、再度、ブレイクバー14を下降させて、次のスクライブライン99に相当する位置で基板100をブレイクする。なお、Yテーブル12を正確にスクライブライン99のピッチに相当する距離だけ移動できる場合には、CCDカメラ35による基板100の撮影は省略してもよい。
【0040】
なお、ブレイクを完了したスクライブライン99と直交する方向のスクライブライン99に沿ってブレイクを実行するときには、ステッピングモータ34の駆動により回転部材11を90度回転させた後に、上述したステップS3、ステップS4、ステップS5を繰り返す。この場合において、基板100のブレイク作業に伴って、基板100が
図5に示す素子Pとなった場合においても、弾性シート部材101には基板100をブレイクすることにより作成される各素子Pを吸着保持するために、各素子Pに対応した42個の吸着口71が形成されていることから、基板100が弾性シート部材101から脱落することはない。
【0041】
全てのスクライブライン99に対応する領域において基板100のブレイク作業が完了すれば(ステップS6)、基板100(各素子P)を搬出して作業を終了する(ステップS7)。
【0042】
なお、上述した実施形態においては、基板100を弾性シート部材101の表面に固定するための固定手段として、吸着口71と吸着溝72を備え、基板100を弾性シート部材101の表面に吸着保持する吸着保持機構を使用しているが、その他の固定手段を使用してもよい
。
【符号の説明】
【0043】
10 サポート機構
11 回転部材
12 Yテーブル
13 支持テーブル
15 釣支部材
14 ブレイクバー
16 昇降テーブル
23 ステッピングモータ
25 ボールねじ
31 ステッピングモータ
32 ボールねじ
33 ボールねじ
34 ステッピングモータ
35 CCDカメラ
36 ステッピングモータ
37 ガイドレール
38 ボールねじ
71 吸着口
72 吸着溝
74 排気部
99 スクライブライン
100 基板
101 弾性シート部材
102 透光テーブル
P 素子