(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043154
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】複合材翼形部組立体
(51)【国際特許分類】
F01D 5/30 20060101AFI20161206BHJP
F01D 5/14 20060101ALI20161206BHJP
F01D 5/28 20060101ALI20161206BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20161206BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
F01D5/30
F01D5/14
F01D5/28
F02C7/00 C
F02C7/00 D
F01D25/00 L
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-238468(P2012-238468)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2013-139765(P2013-139765A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2015年10月19日
(31)【優先権主張番号】13/342,599
(32)【優先日】2012年1月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・ホセ・ガルシア−クレスポ
【審査官】
齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第07874804(US,B1)
【文献】
米国特許第03801222(US,A)
【文献】
特開平05−071305(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0142639(US,A1)
【文献】
特開2010−138907(JP,A)
【文献】
米国特許第07005200(US,B2)
【文献】
特開2001−090505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/00−34
F01D 25/00
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンホイール(30)上に設けられたスロット(66)に装着するための複合材ブレード組立体(10)であって、当該複合材ブレード組立体が、
(a)翼形部部分(16)と、翼形部シャンク部(18)と、半径方向内側面(78)を有する翼形部ダブテールタング(20)とで形成されるセラミック翼形部(12)と、
(b)プラットホームシャンク(22)と、プラットホームシャンクキャビティ(52)と、半径方向内側プラットホームダブテールであってその長さが前記翼形部ダブテールタング(20)の半径方向内側面(70)よりも半径方向内側にあって前記翼形部ダブテールタング(20)の半径方向内側面(70)と隣接する半径方向内側プラットホームダブテールとを有する金属プラットホーム(14)と
を備えており、前記セラミック翼形部ダブテールタング(20)が前記金属プラットホームシャンクキャビティ(52)内に捕捉されて、使用時に前記セラミック翼形部(12)が前記金属プラットホーム(14)とは独立して前記タービンホイール(30)のスロット(66)内に保持される、複合材ブレード組立体。
【請求項2】
前記翼形部部分(16)が、前記金属プラットホーム(14)の半径方向外側面の開口を通って突出する、請求項1記載の複合材ブレード組立体。
【請求項3】
半径方向内側プラットホームダブテールが、少なくとも1つのダブテールタング(24,26,28)を含んでいて、それら少なくとも1つのダブテールタング(24,26,28)が、対向する端部(54,56)の間の部分切り欠き部と共に形成される、請求項2記載の複合材ブレード組立体。
【請求項4】
前記セラミック翼形部(12)が、CMC複合材料から構成される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の複合材ブレード組立体。
【請求項5】
前記セラミック翼形部(12)が、シリコンマトリクス繊維材料から構成される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の複合材ブレード組立体。
【請求項6】
前記セラミック翼形部(12)が、窒化ケイ素又はモノリシックセラミック材料から構成される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の複合材ブレード組立体。
【請求項7】
タービンロータホイール(30)であって、
各々が請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の複合材ブレード組立体からなる複数の複合材ブレード組立体(10)から構成され、各々の複合材ブレード組立体のセラミック翼形部(12)が、前記金属プラットホーム(14)とは独立して前記タービンホイール(30)のスロット(66)内に保持されている、タービンロータホイール。
【請求項8】
セラミック翼形部(12)を金属プラットホーム(14)に取り付ける方法であって、
(a)翼形部部分(16)と、シャンク部(18)と、半径方向内側ダブテールタング(20)を備えるセラミック翼形部(12)を用意する段階と、
(b)前記セラミック翼形部(12)のシャンク部(18)及び半径方向内側ダブテールタング(20)の周りで金属プラットホームを鋳造する段階であって、金属プラットホームの半径方向内側プラットホームダブテールをその長さが前記翼形部ダブテールタング(20)の半径方向内側面(70)よりも半径方向内側にあって前記翼形部ダブテールタング(20)の半径方向内側面(70)と隣接するように鋳造する段階と
を含む方法。
【請求項9】
使用時に、前記セラミック翼形部(12)の半径方向内側ダブテールタング(20)の半径方向内側面(70)と、前記半径方向内側プラットホームダブテールの半径方向内側ダブテールタングの外側面との間のクリアランスを維持する段階を含む、請求項8記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械で使用するための複合材ブレード組立体に関し、より詳細には、セラミック翼形部と金属プラットホームとの間の接合部に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックブレード構成に伴う現行の実施構成は、製造プロセス中に翼形部のベースに組み込まれる一体型のプラットホームセクションを必要とする。これは、一体型プラットホームシステムの製作に関連した材料、労力、及び機械加工コストに起因して構成要素に対するコストが増大する。実際に、部品製造の全体のコスト配分においてかなり大きなコストがかかる。
【0003】
他の複合材ブレードは、機械的手段によりロータに取り付けられる別形成の翼形部及びプラットホームを含む。更に別の複合材ブレードは、その金属プラットホームとセラミック翼形部セクションとの間に化学的接合部を用いる。これらの構成もまた労力集約的であり製造コストがかさむ。
【0004】
プラットホームを金属材料から作ることは、プラットホームが最高温度に曝されないより低温の用途において極めて有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7766623号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、一部の用途では望ましくない金属プラットホームと組み合わせてセラミック翼形部技術を活用できる、簡素で比較的安価なセラミックブレードに対する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
非限定的で例示的な実施形態では、翼形部部分、ブレードシャンク部、及びブレードダブテールタングと共に形成されるセラミック翼形部と、プラットホームシャンク及び半径方向内側プラットホームダブテールを有する金属プラットホームとを備え、使用時にセラミックブレードが金属プラットホームとは独立してタービンホイールのスロット内に保持されるように、セラミックブレードが金属プラットホーム内に取り込まれる、タービンホイール上に設けられたスロットに装着するための複合材ブレード組立体が提供される。
【0008】
別の態様において、セラミックブレードとプラットホームシャンク及び半径方向内側プラットホームダブテールを有する金属プラットホームとを各々が含む、複数の複合材翼形部組立体が取り付けられたタービンロータホイールが提供され、セラミックブレードが、使用時にセラミックブレードが金属プラットホームとは独立してタービンホイール内に保持されるように、金属プラットホーム内に取り込まれたブレードダブテールタングを有する。
【0009】
更に別の態様において、翼形部部分、シャンク部分、及び半径方向内側ダブテールタングを備えたセラミックブレードを提供する段階と、セラミックブレードのシャンク部及び半径方向内側ダブテールタングの周りに金属プラットホームを鋳造する段階とを含むセラミックブレードを金属プラットホームに組み付ける方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の非限定的で例示的な実施形態による、複合材ブレード組立体の側面図。
【
図2】
図1のブレード組立体から取り外された翼形部部分の斜視図。
【
図3】ロータホイール上に設置された
図1のブレード組立体の部分断面図。
【
図4】本発明の非限定的で例示的な実施形態による、4つの複合材ブレード組立体の群の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、添付図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0012】
最初に
図1〜3を参照すると、本発明の非限定的且つ例示的な実施形態よる複合材ブレード組立体は、セラミック翼形部12及び金属プラットホーム14を含む。
図2で最も分かるように、セラミック翼形部12は、翼形部部分16、シャンク部分18、及び半径方向最内端部にあるダブテールタング20を含む。
【0013】
金属プラットホーム14(
図1)は、プラットホームシャンク22と、反対方向に延び且つ他の部分は従来と同様のものであるプラットホームダブテールタング24、26、及び28とを含み、該ダブテールタングは、本明細書で詳細に説明されるロータホイール30(
図3を参照)に形成される嵌合スロットで受けられるように適合される。プラットホームシャンク22は、一方の端部上にウィングシール36、38と、対向する端部上にシール40、42を備えた対向するシャンク端部32、34を含む。いわゆる「スラッシュ面」(1つが参照符号44で示されている)の1つ又は両方は、必要に応じて軸方向及び/又は半径方向シール(図示せず)の配置を可能にする細長い溝46、48、50と共に形成することができる。すなわち、金属プラットホーム14は、実質的に中空であるように見られ、ほぼプラットホームスラッシュ面44、シャンク端部32、34、及び中間ダブテールタング26間にキャビティ52が定められる。従って、半径方向外側プラットホームタング28の一部は、端部54、56間で切り取られ、中間プラットホームタング26につながる移行区域の一部は、端部58、60間で切り取られ、以下で説明される理由から、プラットホームキャビティ52の一部を形成するようになる。
【0014】
非限定的で例示的な実施形態では、セラミック翼形部12は、例えば、CMC材料、シリコンマトリクス繊維材料、窒化ケイ素セラミックス、又は繊維のないモノシリックセラミック材料から形成される。他の好適なセラミック材料を利用できるが、どの場合においても、セラミック材料は、タービン動作温度に耐えるだけでなく、以下で説明するように翼形部の周りに金属プラットホームを製造する間のケーシング温度にも耐えるほど十分な高温特性を有する必要がある。
【0015】
非限定的で例示的な実施形態では、翼形部シャンク部18及び翼形部ダブテールタング20は、符号64の接合部からタング20の下面(を含めて)まで延びる、
図2において参照符号62で示されるセラミックスラリーにより部分的に覆われる。その後、従来の鋳造プロセスにより翼形部12の周りにプラットホーム14が鋳造され、
図1及び3に示す構成を生成するようにし、ここで翼形部シャンク部18及び翼形部ダブテールタング20は、あらゆる種類の金属結合又は化学結合なしでプラットホームキャビティ52内に取り込まれる。翼形部ダブテールタング20は、プラットホームダブテール切り欠き部52内に収められ、端部54、56間に上側プラットホームタング28の実質的な連続部を形成し、これにより通常の方法でロータホイール30上へのブレード組立体10の装荷を可能にするような形状にされる。しかしながら、翼形部ダブテールタング20は、他の方法では金属プラットホームに取付又は固定されない。
図1及び3で分かるように、複合材ブレード組立体がタービンロータホイール30上に装荷されると、プラットホームダブテールタング24、26、及び28は、ロータホイール30の嵌合ダブテールスロット66内に収まり、翼形部ダブテールタング20は、スロット66の半径方向外側端部内で且つプラットホームタング28の端部54、56間に軸方向に独立して係止される。タービンが作動状態にあるときに、遠心力により翼形部12が半径方向外向き方向に駆動され、翼形部タング20の嵌合面68、70、及び72とロータスロット66との間で接触を生じるようになる。結果として、ブレードタング20の内側面78と、キャビティ52の半径方向最内面を定めるプラットホームタング26の隣接面80との間に僅かな半径方向ギャップ76が残る。
【0016】
同時に、翼形部部分16はまた、金属プラットホーム14に入る場所でシールされない。むしろ、同様に
図3で最も分かるように、極めて僅かなギャップ82が翼形部部分16の金属周辺の周りに延びる。このギャップ82は、セラミックと金属材料との熱膨張係数の差に対応し、翼形部とプラットホームとの間で荷重伝達をしない従来の機械的方法によってシールすることができる。
【0017】
図4は、ロータホイール30上に装荷される実質的に同一の4つの複合材ブレード組立体10の群を示す。ブレード組立体の各々は、上述のように構成され組み立てられ、ブレードがホイールの周辺の周りに延びると理解される。
【0018】
本明細書で説明されるセラミックブレード組立体10は、多くの利点を有する。例えば、複合材ブレード組立体10がタービンロータホイール30上に設置されると、上記で説明され且つ
図3で最も分かるように、ロータホイールダブテール又はモミの木スロット66上の下側支持特徴部又は面は、金属プラットホーム14を支持し、ロータホイールスロットの上側ローブ又はタングは、ロータホイールスロットの上側ローブ又はタングは、セラミックシャンク18を支持することになる。この構成により、最終的には金属プラットホームをセラミック翼形部から結合解除し、熱介在物中の熱的不整合に起因して発生する可能性がある亀裂形成が阻止される。翼形部の周辺と金属プラットホームとの間の小さなギャップ80は、シャンクキャビティからの漏洩により、金属系に対するパージ流要件が変わらないように管理することができる。セラミック翼形部は、翼形部とプラットホームとの間のギャップを制御しながら、一体型プラットホームなしで製造されて、金属プラットホームがCMC翼形部の周りで鋳造される鋳造プロセスにおいて使用することができる。加えて、翼形部12をプラットホーム14に固定するため、相補的フック又は他の取付手段が必要としない。従って、セラミック翼形部は、製造中又は作動中に金属プラットホーム系と接触することがない。
【0019】
記載された構成は、エンジンのブレード列当たりの複合サイクル効率の好ましい段階的変化を提供できることが明らかになった。
【0020】
現時点で最も実用的且つ好ましい実施形態であると考えられるものに関して本発明を説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に限定されるものではなく、逆に添付の請求項の技術的思想及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び均等な構成を保護するものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0021】
10 ブレード組立体
12 セラミック翼形部
14 金属プラットホーム
16 翼形部部分
18 シャンク部分
20 ダブテールタング
22 プラットホームシャンク
24,26,28 ダブテールタングs
32,34 シャンク端部
36,38 エンジェルウィングシール
40,42 シール
44 スラッシュ面
46,48,50 細長い溝
52 プラットホームキャビティ
52 ダブテール切り欠き部
54,56,58,60 端部
66 ダブテールスロット又はロータスロット
68,70,72,74 嵌合面
76 半径方向ギャップ
78 内面
80 隣接面
82 ギャップ