(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043164
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】セレン含有水の処理方法およびセレン含有水の処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/28 20060101AFI20161206BHJP
B01J 20/06 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
C02F1/28 E
B01J20/06 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-252896(P2012-252896)
(22)【出願日】2012年11月19日
(65)【公開番号】特開2014-100637(P2014-100637A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 英二
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 裕一郎
【審査官】
高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−012516(JP,A)
【文献】
特開2008−062184(JP,A)
【文献】
特開2007−196170(JP,A)
【文献】
特開2004−089924(JP,A)
【文献】
特開2007−014826(JP,A)
【文献】
特開2000−334443(JP,A)
【文献】
特開2008−049316(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0168638(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/20− 1/28、
1/42、
1/58− 1/64
B01D 15/00−15/08
B01J 20/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを含むセレン含有水を、一般式Zr・Fe2(OH)8で表されるジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤にpH6以下で接触させることを特徴とするセレン含有水の処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載のセレン含有水の処理方法であって、
前記セレン含有水と前記吸着剤との接触をpH3〜5.5の範囲において行うことを特徴とするセレン含有水の処理方法。
【請求項3】
4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを含むセレン含有水を、一般式Zr・Fe2(OH)8で表されるジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤にpH6以下で接触させるセレン吸着手段を備えることを特徴とするセレン含有水の処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のセレン含有水の処理装置であって、
前記セレン含有水と前記吸着剤との接触がpH3〜5.5の範囲において行われることを特徴とするセレン含有水の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを含むセレン含有水の処理方法および処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば金属精錬工場やガラス製造工場等からの排水中には、セレン(Se)化合物が含まれることがある。これらセレンの水中での存在形態は、亜セレン酸(SeO
32−)またはセレン酸(SeO
42−)であり、これらはそれぞれ4価セレンと6価セレンからなる。
【0003】
このようなセレンを含む排水には排水基準が設けられており、全セレンとして0.1mg−Se/L以下にまで処理し、放流することが法律により定められている。
【0004】
このセレンの除去方法として、鉄系凝集剤による還元、凝集沈殿や生物還元処理方法等が知られているが、これらの方法のみでは特にセレン酸(6価セレン)の処理が難しく、上記排水基準以下にまで処理することが困難であった。
【0005】
このような状況を鑑み、処理水の仕上げ工程として吸着剤による処理方法が複数提案され、例えば特許文献1〜3の方法が提案されている。特許文献1〜3の方法は吸着剤として鉄やジルコニウムを主成分としているものを用いているが、吸着剤の6価セレンの除去能力に関しては言及されていない。
【0006】
特許文献4では、4価セレンを6価セレンに酸化し、6価セレンを吸着可能な樹脂を用いて除去する方法が挙げられているが、吸着工程の前段に酸化工程が必要になる上、再生廃液は結局6価セレンが高濃度に含まれた廃液であり、この処理に多大な労力を要する。
【0007】
特許文献5の方法は、4価セレンおよび6価セレンの両方とも吸着、除去可能としているが、反応pHとして2〜4が好適な範囲、2.5〜3.5がより好適な範囲とされており、またこの範囲内においてもpHが高いほどセレン酸の吸着量は低下する。
【0008】
さらに特許文献6でも、4価セレンおよび6価セレンの処理方法が提案されているが、吸着剤として希土類元素を含むものを示しており、吸着剤が高価となる。
【0009】
特許文献7では、バリウム塩を添加し、4価セレンおよび6価セレンとの不溶性化合物を形成させ、これらを液中より除去し、その処理液をチタン酸よりなる吸着剤と接触させることで4価セレンおよび6価セレンを除去する方法が提案されている。この方法では、バリウム塩が非常に多量に必要になること、また吸着剤が高価なチタンよりなることからシステム全体として非常に高価なものとなる。
【0010】
このように、多くの処理方法で対象とされているのは4価セレンであり、従来の吸着剤では6価セレンの吸着が困難であるか、またまれにある6価セレンの吸着処理方法では6価セレンを吸着できてもpHによる影響を顕著に受け、その効果を十分に得るには反応pHを極めて低くまで調整することが必要になり、pH調整薬品の使用量が非常に多くなる、または希土類元素等の高価な材料を吸着剤に用いる必要がある等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−196804号公報
【特許文献2】特開2000−334443号公報
【特許文献3】特開2007−196170号公報
【特許文献4】特開2008−188536号公報
【特許文献5】特開2008−062184号公報
【特許文献6】特開2007−326077号公報
【特許文献7】特開2008−049316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、セレン含有水に含まれる4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを効率的に吸着処理することが可能なセレン含有水の処理方法およびセレン含有水の処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを含むセレン含有水を、一般式Zr・Fe
2(OH)
8で表されるジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤にpH6以下で接触させるセレン含有水の処理方法である。
【0014】
また、前記セレン含有水の処理方法において、前記セレン含有水と前記吸着剤との接触をpH3〜5.5の範囲において行うことが好ましい。
【0015】
また、本発明は、4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを含むセレン含有水を、一般式Zr・Fe
2(OH)
8で表されるジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤にpH6以下で接触させるセレン吸着手段を備えるセレン含有水の処理装置である。
【0016】
また、前記セレン含有水の処理装置において、前記セレン含有水と前記吸着剤との接触がpH3〜5.5の範囲において行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを含むセレン含有水を、一般式Zr・Fe
2(OH)
8で表されるジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤にpH6以下で接触させることにより、セレン含有水に含まれる4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを効率的に吸着処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係るセレン含有水の処理装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るセレン含有水の処理装置の他の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0020】
本実施形態に係るセレン含有水の処理方法は、4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを含むセレン含有水を、一般式Zr・Fe
2(OH)
8で表されるジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤にpH6以下で接触させて、4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを吸着し、セレン含有水中より4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを除去する方法である。
【0021】
本実施形態に係るセレン含有水の処理方法で用いる吸着剤では、4価セレンはもちろん、6価セレンの吸着も可能であり、また従来の吸着剤と異なりpHによる影響を受けにくく、pH6以下で吸着が可能であり、特にpH5.5以下であればその吸着能力はpHによらず同程度であり、かつ十分に高い。ゆえに反応pHを比較的高くしても十分に4価セレンおよび6価セレンの吸着、除去効果を得ることができる。
【0022】
本実施形態に係るセレン含有水の処理方法によれば、6価セレンに対する特別な前処理を行わなくても、6価セレンを含むセレン含有水から、6価セレンを除去し、全セレンとして排水基準である0.1mg−Se/L以下にまで低減することができる。また、4価セレンおよび6価セレンを含むセレン含有水から、これら両方を除去し、全セレンとして排水基準である0.1mg−Se/L以下にまで低減することができる。
【0023】
また、本実施形態に係るセレン含有水の処理方法によれば、特にpH3〜5.5の範囲で処理すれば、被処理水である原水のpH調整にかかる薬品使用量の削減ができ、ランニングコストを低減することができる。
【0024】
このように、本実施形態に係るセレン含有水の処理方法によれば、特別な材料を用いることなく4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを高い効果で効率的に吸着処理することができる。また、セレン含有水が4価セレンおよび6価セレンの両方を含む場合であっても、4価セレンおよび6価セレンの両方を高い効果で効率的に吸着処理することができる。
【0025】
処理対象となるセレン含有水とは、4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを含む水であればよく、特に制限はない。例えば、自然環境中から放出される水であってもよいし、金属精錬工場、ガラス製造工場、火力発電所等から排出される排水等、人為的に放出されるものでもよい。処理対象となるセレン含有水中の4価セレンの濃度は、例えば、0.1〜20mg−Se/Lの範囲であり、6価セレンの濃度は、例えば、0.1〜10mg−Se/Lの範囲であるが、当然これらの範囲に限定されるものではない。
【0026】
吸着剤は、一般式Zr・Fe
2(OH)
8で表されるジルコニウムフェライトを主成分とするものである。ジルコニウムフェライト以外にジルコニウム水和酸化物や鉄酸化物等が、これらの物質量合計がジルコニウムフェライト物質量を上回らない範囲で少量(例えば、吸着剤全体に対して20重量%以下程度)含まれていてもよい。
【0027】
吸着剤は、粉末状であってもよいし、何らかの方法で造粒されたものであってもよい。粉末状であっても造粒されたものであっても、セレン化合物の吸着能力にほとんど差異はなく、どのような形態であっても4価セレンおよび6価セレンの吸着効果は得られるが、造粒されたものであった方が、取り扱いが容易であるため好ましい。
【0028】
本実施形態に係るセレン含有水の処理方法におけるセレン含有水と吸着剤との接触の方法としては、特に限定はない。例えば
図1に示すように、セレン吸着手段としての反応槽10を設けたセレン含有水処理装置1において、反応槽10の中にセレン含有水および吸着剤を添加、導入し、撹拌装置12の撹拌手段等を用いて撹拌した後、処理水と吸着剤を分離する方法でもよいし、例えば
図2に示すように、セレン吸着手段としての吸着剤を充填した充填塔14を設けたセレン含有水処理装置3において、充填塔14にセレン含有水を通水して処理水を得る方法でもよい。吸着剤を充填した充填塔に通水する場合には、上向流でも下向流でもよい。
【0029】
本発明者らが鋭意検討した結果、ジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤を用いて4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを吸着、除去する場合には、被処理水であるセレン含有水との接触時のpHを6以下、好ましくは5.5以下とすることで、4価セレンおよび6価セレンに対する非常に高い吸着能力を得られることを見出した。なお、ジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤を用いることで4価セレンおよび6価セレンの吸着が可能であることと併せて、さらに特筆すべきは、pH5.5以下においては4価セレンおよび6価セレンの吸着能力に大きな変化がないことである。すなわち極端に低いpHにまで調整しなくても、十分に高い吸着能力で4価セレンおよび6価セレンを吸着、除去することができることから、例えばpH3〜5.5の範囲で処理すれば、pH調整に必要な薬品の使用量を少なくすることができ、この点において従来の方法よりも優位である。
【0030】
セレン含有水と吸着剤との接触の際のpHが3より低くても、4価セレンおよび6価セレンの吸着能力はほとんど変わらず高いが、pH調整薬品の使用量増大を招くため、低くてもpH3程度で反応させるのがよい。また、セレン含有水と吸着剤との接触の際のpHがpH5.5より高いと、吸着量が低下する場合がある。セレン含有水と吸着剤との接触の際のpHは、より好ましくは4.0〜5.5の範囲である。
【0031】
セレン含有水と吸着剤との接触の際の温度は、例えば、5〜40℃の範囲である。
【0032】
一般式Zr・Fe
2(OH)
8で表されるジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤は、アルカリ性溶液と接触させることで、吸着したセレン化合物あるいはその他のイオン等を脱離させることができる。すなわち、セレン含有水との接触後の吸着剤をアルカリ溶液と接触させることにより再生することができる。
【0033】
アルカリ性溶液としては、例えば0.1〜1mol/L程度の水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0034】
再生対象の吸着剤とアルカリ性溶液との接触方法としては、上記のセレン含有水と吸着剤との接触の方法と同様な方法でよい。例えば、再生手段としての反応槽の中にアルカリ性溶液および再生対象の吸着剤を添加、導入し、撹拌装置の撹拌手段等を用いて撹拌した後、アルカリ性溶液と吸着剤を分離する方法でもよいし、例えば、再生手段としての再生対象の吸着剤を充填した充填塔にアルカリ性溶液を通水して再生する方法でもよい。再生対象の吸着剤を充填した充填塔に通水する場合には、上向流でも下向流でもよい。
【0035】
このようにして吸着したイオン等を脱離させた吸着剤は吸着能力を回復させており、水洗浄後、再度、吸着剤としての利用が可能である。
【実施例】
【0036】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
<実施例1>
[4価セレンの吸着]
一般式Zr・Fe
2(OH)
8で表されるジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤(オルライトF、オルガノ株式会社製)をカラムに充填し、下向流にて下記原水を通水した。原水は、1mol/Lの塩酸により下記pHに調整した。原水10Lを調整するのに必要とした塩酸量を記録した。また、処理水中に含まれるセレン濃度をICP−MSにて測定し、この濃度が0.1mg−Se/Lに到達した時点での吸着剤量(L)に対するセレン吸着量(g−Se)を算出して記録し、通水pH毎のセレン吸着量を比較した。また、吸着剤量に対する通液量の倍率(Bed Volume:BV)が3,000となった時点での処理水のセレン濃度(全セレン)をICP−MSにて測定し、記録した。各条件は以下の通りである。結果を表1に示す。
【0038】
原水Se(IV):1mg−Se/L(亜セレン酸ナトリウムを地下水に溶解させて調整)
原水pH(通水pH):2,3,4,5.5,6,7.9(1mol/L HClにてそれぞれ調整(ただし、pH7.9はpH調整なし))
カラム直径10mm
吸着剤充填量15mL
SV30(1/h)
温度20℃
【0039】
【表1】
【0040】
ジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤を用いた4価セレンの処理では、反応pHが5.5を上回ると吸着剤の吸着能力がやや低下し、反応pHが6を上回ると吸着剤の吸着能力が極端に低下した。また、BV3,000時点においてpH5.5以下では処理水のセレン濃度が0.01〜0.02mg−Se/Lと良好に処理できており、高い処理能力が得られた。pH5.5以下ではセレンの吸着量に大きな変化がないにもかかわらず、pH2ではpH調整に要した塩酸の使用量が非常に多かった。
【0041】
このように、一般式Zr・Fe
2(OH)
8で表されるジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤を用いることにより、pH6以下で4価セレンを効率的に吸着処理することできた。特に、pH3〜5.5の範囲で処理することにより、高い吸着能力が得られ、かつ無駄なpH調整試薬の使用がなくなることは明らかである。
【0042】
<実施例2>
[6価セレンの吸着]
実施例1で用いたものと同じ一般式Zr・Fe
2(OH)
8で表されるジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤(オルライトF、オルガノ株式会社製)をカラムに充填し、下向流にて下記原水を通水した。原水は、1mol/Lの塩酸により下記pHに調整した。原水10Lを調整するのに必要とした塩酸量を記録した。また、処理水中に含まれるセレン濃度が0.1mg−Se/Lに到達した時点での吸着剤量(L)に対するセレン吸着量(g−Se)を実施例1と同様にして算出して記録し、通水pH毎のセレン吸着量を比較した。また、吸着剤量に対する通液量の倍率(BV)が3,000となった時点での処理水のセレン濃度(全セレン)を実施例1と同様にして測定し、記録した。各条件は以下の通りである。結果を表2に示す。
【0043】
原水Se(VI):1mg−Se/L(セレン酸ナトリウムを地下水に溶解させて調整)
原水pH(通水pH):2,3,4,5.5,6,7.6(1mol/L HClにてそれぞれ調整(ただし、pH7.6はpH調整なし))
カラム直径10mm
吸着剤充填量15mL
SV30(1/h)
温度20℃
【0044】
【表2】
【0045】
ジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤を用いた6価セレンの処理では、反応pHが5.5を上回ると吸着剤の吸着能力がやや低下し、反応pHが6を上回ると吸着剤の吸着能力が極端に低下した。また、BV3,000時点においてpH5.5以下では処理水のセレン濃度が0.01〜0.02mg−Se/Lと良好に処理できており、高い処理能力が得られた。pH5.5以下ではセレンの吸着量に大きな変化がないにもかかわらず、pH2ではpH調整に要した塩酸の使用量が非常に多かった。
【0046】
このように、一般式Zr・Fe
2(OH)
8で表されるジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤を用いることにより、pH6以下で6価セレンを効率的に吸着処理することできた。特に、pH3〜5.5の範囲で処理することにより、高い吸着能力が得られ、かつ無駄なpH調整試薬の使用がなくなることは明らかである。
【0047】
以上のように、一般式Zr・Fe
2(OH)
8で表されるジルコニウムフェライトを主成分とする吸着剤を用いることにより、pH6以下で4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つを効率的に吸着処理できることがわかった。このことから、pH6以下で4価セレンおよび6価セレンの両方を効率的に吸着処理できることは明らかである。特に、pH3〜5.5の範囲で処理することにより、4価セレンおよび6価セレンのうち少なくとも1つに対して高い吸着能力が得られ、かつ無駄なpH調整試薬の使用がなくなることがわかった。このことから、pH3〜5.5の範囲で処理することにより、4価セレンおよび6価セレンの両方に対して高い吸着能力が得られ、かつ無駄なpH調整試薬の使用がなくなることは明らかである。
【符号の説明】
【0048】
1,3 セレン含有水処理装置、10 反応槽、 12 撹拌装置、14 充填塔。