特許第6043166号(P6043166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6043166電気モジュールの製造方法及び電気モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043166
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】電気モジュールの製造方法及び電気モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/20 20060101AFI20161206BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H01G9/20 205
   H01G9/20 111E
   H01G9/20 121
   H01G9/20 203B
   H01G9/20 203Z
   H01G9/20 303C
   H01G9/20 309
   H01L31/04 424
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-254150(P2012-254150)
(22)【出願日】2012年11月20日
(65)【公開番号】特開2014-102977(P2014-102977A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】與口 聡
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 節男
(72)【発明者】
【氏名】功刀 俊介
(72)【発明者】
【氏名】大塚 智弘
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 秀康
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 尚洋
【審査官】 ▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−220606(JP,A)
【文献】 特開2007−257930(JP,A)
【文献】 特開2004−119082(JP,A)
【文献】 特開2007−095567(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0012158(US,A1)
【文献】 特開2011−108464(JP,A)
【文献】 特開2006−107892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/20
H01L 31/18
H01M 14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板の板面に該板面に平行な第一の方向に沿って複数の第一電極と前記第一基板の板面上で前記第一電極間に介在すると共に前記第一電極と面一になる複数の絶縁部とを形成する工程と、
第二基板の板面に該板面に平行な第二の方向に沿って複数の第二電極と前記第二基板の板面上で前記第二電極間に介在すると共に前記第二電極と面一になる複数の絶縁部とを形成する工程と、
前記第一の方向と前記第二の方向とを揃えて前記第一電極と前記第二電極を対向させ封止材を介して前記第一基板と前記第二基板を貼り合わせる工程と、を備え
これらの工程を前記第一基板および前記第二基板を前記第一の方向及び前記第二の方向に平行に搬送して行う電気モジュールの製造方法において、
前記第一基板と前記第二基板を貼り合わせる工程を行うに際して、
前記第一電極と前記第二電極とのいずれか一方の電極における前記第一の方向又は前記第二の方向に沿った寸法を前記封止材の前記第一の方向又は前記第二の方向に沿った寸法より小に設定し、
前記封止材を前記第一電極と前記第二電極とのいずれか他方の電極間に介在している前記絶縁部に接触させて貼り合わせることを特徴とする電気モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記一方の電極を等間隔に配置することを特徴とする請求項1に記載の電気モジュールの製造方法。
【請求項3】
隣接する前記封止材間に位置する前記一方の電極間に介在している前記絶縁部の前記第一の方向又は前記第二の方向に沿った離間間隔を、前記封止材が当接する前記一方の電極間に介在している前記絶縁部の離間間隔より大に設定することを特徴とする請求項1に記載の電気モジュールの製造方法。
【請求項4】
板面に該板面に平行な第一の方向に沿って複数の第一電極と前記第一基板の板面上で前記第一電極間に介在すると共に前記第一電極と面一になっている複数の絶縁部が形成された第一基板と、板面に該板面に平行な第二の方向に沿って複数の第二電極と前記第二基板の板面上で前記第二電極間に介在すると共に前記第二電極と面一になっている複数の絶縁部が形成された第二基板が前記第一の方向と前記第二の方向とを揃えて前記第一電極と前記第二電極とを対向させ封止材を介して貼り合わされてる電気モジュールにおいて、
前記第一電極と前記第二電極とのいずれか一方の電極における前記第一の方向又は前記第二の方向に沿った寸法が前記封止材の前記第一の方向又は前記第二の方向に沿った寸法より小とされ、
前記封止材が前記第一電極と前記第二電極とのいずれか他方の電極間に介在している前記絶縁部に接触して配置されていることを特徴とする電気モジュール。
【請求項5】
前記一方の電極が等間隔に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の電気モジュール。
【請求項6】
隣接する前記封止材間に位置する前記一方の電極間に介在している前記絶縁部の前記第一の方向又は前記第二の方向に沿った離間間隔が、前記封止材が当接する前記一方の電極間に介在している前記絶縁部の離間間隔より大とされていることを特徴とする請求項4に記載の電気モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モジュールの製造方法及び電気モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クリーンな発電源として、光エネルギーを直接かつ即時に電力に変換することができ、二酸化炭素等の汚染物質を排出しない太陽電池が注目されている。その中でも、色素増感型太陽電池は、高い変換効率を有し、比較的簡易な方法により製造され、且つ原材料単価が安価であるため、次世代太陽電池として期待されている。
【0003】
最近では、色素増感型太陽電池をはじめとする太陽電池の実用化に向けて、ロール・ツー・ロール方式を導入した連続生産が検討されている。例えば、特許文献1には、シート状の耐熱基板を長手方向にロールで搬送しながら、前記耐熱基板の板面に多孔質層形成用層を形成し、該多孔質層形成用層を焼成して多孔質層とした後、加熱された前記多孔質層に金属化合物を含む塗工液を連続的に付与することにより多孔質層上に電極層を形成し、前記電極層上に樹脂材料からなる接着層と基材とを順次、連続的に貼り合わせ、前記耐熱基板を連続的に剥離する酸化物半導体電極の製造方法が開示されている。
【0004】
ロール・ツー・ロール方式を用いた太陽電池の連続生産においては、多くの場合、生産性を高めるために、絶縁部を介在させて電極が複数形成された2枚のフィルム状基板(以降、単に基板という)を厚み方向に間隔をあけて電極同士を対向させて貼り合わせて電気モジュールとした後に、電気モジュールから1つ又は2つ以上の発電部を切り出し、前記太陽電池モジュールの配線パターンに合わせて直列あるいは並列に接続する。このように2枚の基板を貼り合わせて電気モジュールとする際には、対向する電極が平面視で重なるように2枚の導電フィルムの位置合わせを行う必要がある。例えば、特許文献2には、電極間に半透明の突起が配設された2枚の導電フィルムを、マーキングが配設された中央基板を挟んで、前記導電フィルムの突起とマーキングが平面視で重なるように貼り合わせる異方導電性コネクターの位置決め方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−273425号公報
【特許文献2】特開2009−19974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、太陽電池等の電気モジュールの連続生産を行うに際して、ロール・ツー・ロール方式を用いて2枚の基板を貼り合わせる工程では、基板の伸縮により電極の大きさや対向する電極間の平面視での相対位置が変化して、結果として隣接する発電部を短絡させてしまう虞があった。そのため、電極が基板の搬送方向(板面方向)に離間して複数形成されていると、隣接する発電部を短絡させずに2枚の基板の位置合わせを行うことは極めて困難であり、一方の基板を小さく分割して他方の導電フィルムに貼り合わせるバッチ処理を行わざるを得ず、生産性が低下するという問題があった。また、特許文献2に開示されているように、2枚の基板のそれぞれに位置合わせの目安となる突起やマーキングを形成すると、電気モジュールの製造工程が煩雑になり、コストが増大するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、2枚の基板の位置合わせを考慮せずとも隣接する発電部間の短絡発生を確実に防止できる電気モジュールの製造方法及び電気モジュールの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気モジュールの製造方法は、第一基板の板面に該板面に平行な第一の方向に沿って複数の第一電極と前記第一基板の板面上で前記第一電極間に介在すると共に前記第一電極と面一になる複数の絶縁部とを形成する工程と、第二基板の板面に該板面に平行な第二の方向に沿って複数の第二電極と前記第一基板の板面上で前記該第二電極間に介在すると共に前記第二電極と面一になる複数の絶縁部とを形成する工程と、前記第一の方向と前記第二の方向とを揃えて前記第一電極と前記第二電極を対向させ封止材を介して前記第一基板と前記第二基板を貼り合わせる工程と、を備え、これらの工程を前記第一基板および前記第二基板を前記第一の方向及び前記第二の方向に平行に搬送して行う電気モジュールの製造方法において、前記第一基板と前記第二基板を貼り合わせる工程を行うに際して、前記第一電極と前記第二電極とのいずれか一方の電極における前記第一の方向又は前記第二の方向に沿った寸法を前記封止材の前記第一の方向又は前記第二の方向に沿った寸法より小に設定し、前記封止材を前記第一電極と前記第二電極とのいずれか他方の電極間に介在している前記絶縁部に接触させて貼り合わせることを特徴とする。
また、本発明の電気モジュールの製造方法では、前記一方の電極を等間隔に配置することが好ましい。
更に、本発明の電気モジュールの製造方法では、隣接する前記封止材間に位置する前記一方の電極間に介在している前記絶縁部の前記第一の方向又は前記第二の方向に沿った離間間隔を、前記封止材が当接する前記一方の電極間に介在している前記絶縁部の離間間隔より大に設定することが好ましい。
【0009】
本発明の電気モジュールは、板面に該板面に平行な第一の方向に沿って複数の第一電極と前記第一基板の板面上で前記第一電極間に介在すると共に前記第一電極と面一になっている複数の絶縁部が形成された第一基板と、板面に該板面に平行な第二の方向に沿って複数の第二電極と前記第二基板の板面上で前記第二電極間に介在すると共に前記第二電極と面一になっている複数の絶縁部が形成された第二基板が前記第一の方向と前記第二の方向とを揃えて前記第一電極と前記第二電極とを対向させ封止材を介して貼り合わされてる電気モジュールにおいて、前記第一電極と前記第二電極とのいずれか一方の電極における前記第一の方向又は前記第二の方向に沿った寸法が前記封止材の前記第一の方向又は前記第二の方向に沿った寸法より小とされ、前記封止材が前記第一電極と前記第二電極とのいずれか他方の電極間に介在している前記絶縁部に接触して配置されていることを特徴とする。
また、本発明の電気モジュールでは、前記一方の電極が等間隔に配置されていることが好ましい。
更に、本発明の電気モジュールでは、隣接する前記封止材間に位置する前記一方の電極間に介在している前記絶縁部の前記第一の方向又は前記第二の方向に沿った離間間隔が、前記封止材が当接する前記一方の電極間に介在している前記絶縁部の離間間隔より大とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電気モジュールの製造方法及び電気モジュールによれば、2枚の基板の位置合わせを考慮せずとも隣接する発電部間の短絡発生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態である電気モジュールを示す平面図である。
図2】本発明の第1実施形態である電気モジュールを示す図であって、図1におけるX1−X1線で矢視した場合に対応する断面図である。
図3】本発明の第1実施形態である電気モジュールの製造方法を示す図であって、第一基板の断面図である。
図4】本発明の第1実施形態である電気モジュールの製造方法を示す図であって、第二基板の断面図である。
図5】本発明の第1実施形態である電気モジュールの製造方法を示す図であって、封止材を配置した第一基板に第二基板を貼り合わせる工程を説明するための断面図である。
図6】本発明の第1実施形態である電気モジュールの製造方法を示す図であって、封止材を介して第一基板と第二基板を貼り合わせた状態における断面図である。
図7】本発明の第2実施形態である電気モジュールを示す平面図である。
図8】本発明の第2実施形態である電気モジュールを示す図であって、図7におけるX2−X2線で矢視した場合に対応する断面図である。
図9】本発明の第2実施形態である電気モジュールの製造方法を示す図であって、第一基板の断面図である。
図10】本発明の第2実施形態である電気モジュールの製造方法を示す図であって、第二基板の断面図である。
図11】本発明の第2実施形態である電気モジュールの製造方法を示す図であって、封止材を配置した第一基板に第二基板を貼り合わせる工程を説明するための断面図である。
図12】本発明の第2実施形態である電気モジュールの製造方法を示す図であって、封止材を介して第一基板と第二基板を貼り合わせた状態における断面図である。
図13】本発明の第3実施形態である電気モジュールを示す平面図である。
図14】本発明の第3実施形態である電気モジュールを示す図であって、図13におけるX3−X3線で矢視した場合に対応する断面図である。
図15】本発明の第3実施形態である電気モジュールの製造方法を示す図であって、第一基板の断面図である。
図16】本発明の第3実施形態である電気モジュールの製造方法を示す図であって、第二基板の断面図である。
図17】本発明の第3実施形態である電気モジュールの製造方法を示す図であって、封止材を配置した第一基板に第二基板を貼り合わせる工程を説明するための断面図である。
図18】本発明の第3実施形態である電気モジュールの製造方法を示す図であって、封止材を介して第一基板と第二基板を貼り合わせた状態における断面図である。
図19】本発明の第4実施形態である電気モジュールを示す平面図である。
図20】本発明の第4実施形態である電気モジュールを示す図であって、図19におけるX4−X4線で矢視した場合に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態である電気モジュールの製造方法及び電気モジュールについて、図面を参照して説明する。尚、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更できる。
【0013】
(第1実施形態)
図1及び図2に示すように、電気モジュール21は、フィルム型の色素増感型太陽電池であって、第一基板1と、その板面1aに形成された絶縁部2と、複数の透明導電膜3及び半導体層4とを備え且つ絶縁部2を介在させて複数形成された第一電極5と、第二基板6と、その板面6aに形成された絶縁部7と、絶縁部7を介在させて複数形成された第二電極8と、対向する第一電極5と第二電極8との間を封止するための封止材9と、電解液10と、を備えている。
【0014】
第一基板(他方の基板)1は、第一電極5の基台となる部材であり、ロール・ツー・ロール方式等での太陽電池の連続生産に適用できる適度な柔軟性を有し、大面積フィルム状に形成可能な材質であれば特に限定されない。このような材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド等の透明の樹脂材料が挙げられる。
【0015】
透明導電膜3は、電子モジュール21の第一電極5を構成するものであり、絶縁部2を介して第一基板1の板面1aに複数成膜されている。また、透明導電膜3はスパッタリング法や印刷法により、板面方向(第一基板1の搬送方向と平行する一方向、第一の方向)Pに直交する方向に、板面方向Pの寸法W3で等間隔にパターニングされている。透明導電膜3には、例えば、酸化スズ(ITO)、酸化亜鉛等が用いられる。
【0016】
半導体層4は、透明導電膜3とともに電気モジュール21の第一電極5を構成するものであり、透明導電膜3の上に積層され、絶縁部2を介して第一基板1の板面1aに複数成膜されている。また、半導体層4は、例えば、増感色素から電子を受け取り輸送する機能を有する金属酸化物からなる。このような金属酸化物としては、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、等が挙げられる。
【0017】
半導体層4には、不図示の増感色素が担持されている。増感色素は、有機色素または金属錯体色素で構成されている。有機色素として、例えば、クマリン系、ポリエン系、シアニン系、ヘミシアニン系、チオフェン系、等の各種有機色素を用いることができる。金属錯体色素としては、例えば、ルテニウム錯体等、が好適に用いられる。
【0018】
第二基板(一方の基板)6は、第二電極8の基台となる部材であり、第一基板1と同様に透明の樹脂材料等から構成されている。
【0019】
第二電極8は、絶縁部7を介在させて第二基板6の板面6aに複数成膜されている。また、第二電極8はスパッタリング法や印刷法により、板面方向(第二基板6の搬送方向と平行する一方向、第二の方向)Pに直交する方向に、板面方向Pの寸法W1で等間隔にパターニングされている。本実施形態の電気モジュール21において、第二電極8の板面方向Pの寸法W1は、封止材9の板面方向Pの寸法W2よりも小さく設定されている。更に、第二電極8は、電気モジュール21の厚み方向において間隙を隔てて第一電極5と対向している。第二電極8には、例えば、ITO、プラチナ、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、カーボン等が用いられる。
【0020】
封止材9は、第二電極8と対向する半導体層4を囲繞して、第一電極5と第二電極8と電解液10からなる発電部Cを形成するために設けられている。即ち、封止材9は、第一電極5と第二電極8との間に間隙を形成するとともに、発電部Cを密閉して内部空間Sを形成している。
【0021】
封止材9の板面方向Pの寸法W2は、第二基板6に成膜された第二電極8の板面方向Pの寸法W1よりも大きく設定されている。また、封止材9は、第一基板1に成膜された絶縁部2に接触している。このような構成により、図2に示すように、封止材9は平面視において絶縁部2と、少なくとも1箇所以上の絶縁部7と重なっている。
【0022】
封止材9の材料には、例えば、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂を含んだ樹脂等、一時的に流動性を有し、適当な処理により固化される樹脂材料等が用いられる。
【0023】
電解液10は内部空間Sに充填されており、例えば、アセトニトリル、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウムまたはヨウ化ブチルメチルイミダゾリウム等のイオン液体などの液体成分に、ヨウ化リチウム等の支持電解質とヨウ素とが混合された溶液(プロピオニトリル等の非水系溶剤)等の液体が挙げられる。また、電解液10は、逆電子移動反応を防止するt−ブチルピリジンを含むものであってもよい。
【0024】
電気モジュール21の発電部Cは、電解液10と、電解液10を挟んで対向する第一電極5と複数もしくは単一の絶縁部7及び第二電極8から構成されてなる。即ち、本実施形態の電気モジュール21においては、板面方向Pに寸法W2の間隔をおいて複数の発電部Cが一列に配置されている。
【0025】
図1に示すように、第一電極5と第二電極8は、平面視において板面方向Pと直交する方向に互いにずれて形成されている。第二電極8と対向しない第一電極5は、発電部Cの半導体層4から放出された電子が取り出される負極の端子として用いられる。また、第一電極5と対向しない第二電極8は、電子を供給する正極の端子として用いられる。本実施形態の電気モジュール21では、各発電部Cが複数の第二電極8を含んでなるため、平面視で第一電極5と対向しない複数の第二電極8に導通処理が施されることにより、正極の端子となる。
【0026】
以上、本実施形態における連続生産可能な電気モジュールとしてフィルム型の色素増感型太陽電池を例示して説明したが、電気モジュール21は板面方向Pに複数の発電部Cが配置されてなる太陽電池であれば、特に限定されない。
【0027】
次いで、本実施形態の電気モジュール21の製造方法(以下、単に製造方法という)について説明する。
【0028】
本実施形態の製造方法は、第一電極形成工程と、第二電極形成工程と、基板貼り合わせ工程と、を少なくとも備えて構成され、基板貼り合わせ工程後に、電解液注入工程と、接続工程と、を備えている。以下、各工程について説明する。なお、以下の各工程は基板等の部材を不図示のロール等の搬送機構により連続的に搬送して行う。
【0029】
<第一電極形成工程>
先ず、PENフィルム、PETフィルム等からなり、ロール等で連続的に供給されるシート状の第一基板1の板面1aに、ITOやFTO等をスパッタリングすることにより透明導電膜3を成膜する。
【0030】
次に、低温焼成法又はエアロゾルデポジション法(以下、AD法という)等によって透明導電膜3の表面上に半導体層4を積層する。AD法では、例えば異なる粒径の半導体材料が透明導電膜3に噴射されるため、高品質な多孔質膜が形成される。半導体層4の形成工程においては、半導体層4の材料や厚み等を勘案して、適宜条件を設定すればよい。
【0031】
半導体層4を形成した後、増感色素を溶剤に溶かした増感色素溶液に半導体層4を浸漬し、半導体層4に増感色素を担持させる。半導体層4に増感色素を担持させる方法は特に限定されないが、本実施形態の製造方法では、例えば、増感色素溶液中に半導体層4を搬送しながら連続的に投入・浸漬・引き上げを行う方法を用いることができる。これにより、第一基板1の板面1aに透明導電膜3と半導体層4からなる第一電極5を形成する。
【0032】
その後、図3に示すように、第一電極5に絶縁パターニングを施し、板面方向Pに所定の間隔をあけて第一電極5に絶縁部2を形成する。第一電極5に絶縁パターニングを施す方法としては、例えばレーザによるハーフカットや、機械的に第一電極5を引っかいて削る方法等が挙げられるが、これらの方法に限定されない。これにより、第一基板1の板面1aに複数の第一電極5と第一電極5間に介在する複数の絶縁部2を形成する。この際、第一電極5の板面方向Pの寸法をW3とする。なお、第一基板1の板面1aに複数の第一電極5及び絶縁部2を形成する方法は、上記方法に限定されるものではなく、第一基板1の板面1aに予め絶縁部2を形成し、絶縁部2間に板面方向Pの寸法をW3として透明導電膜3と半導体層4を順次形成してもよい。
【0033】
以上の工程により、板面1aに複数の第一電極5と第一電極5間に介在する複数の絶縁部2が設けられた第一基板1が完成する。
【0034】
<第二電極形成工程>
次に、PENフィルム、PETフィルム等からなり、ロール等で連続的に供給されるシート状の第二基板6の板面6aに、ITOやFTO等をスパッタリングすることにより複数の第二電極8を成膜する。その後、図4に示すように、第二電極8に絶縁パターニングを施し、板面方向Pに所定の間隔をあけて第二電極8に絶縁部7を形成する。第二電極8に絶縁パターニングを施す方法としては、第一電極5に絶縁パターニングを施す方法と同様の方法が挙げられる。この際に、第二電極8の板面方向Pの寸法をW1に設定し、第二電極8を等間隔に形成する。また、後の基板貼り合わせ工程において、平面視で第一電極5と第二電極8とが板面方向Pに対し垂直方向に互いにずれるように、第二電極8を成膜する。本工程により、板面6aに複数の第二電極8と第二電極8間に介在する複数の絶縁部7が設けられた第二基板6が完成する。
【0035】
<基板貼り合わせ工程>
次に、図5に示すように、半導体層4を囲繞し且つ絶縁部2に接触させて第一基板1に封止材9を配置する。この際、絶縁部2に接触する封止材9の板面方向Pの寸法W2は、第二電極8の板面方向Pの寸法W1よりも大きくする。また、電気モジュール21の正極端子及び負極端子として使用する部分(平面視で互いに重ならない部分)の第一電極5及び第二電極8にはそれぞれ封止材9を配置する。更に、封止材9間に連通し且つ抜出可能な離型性樹脂シートを封止材9の一部に挿入する等の方法で、後の電解液注入工程において内部空間Sに電解液10を注入するための注液部(図示略)を設けておく。
【0036】
続いて、第一電極5と第二電極8を対向させ、熱プレス等の方法を用いて封止材9を硬化させながら、封止材9を介して第一基板1と第二基板6を貼り合わせる。本工程により、図6に示すように、第一電極5と第二電極8と封止材9で囲まれた内部空間Sを形成する。
【0037】
<電解液注入工程>
続いて、予め形成しておいた注液部から内部空間Sに電解液10を注入し、その後注液部を封止する。
【0038】
上記工程により、図1及び図2に示すような板面方向Pに複数の発電部Cが配置された電気モジュール21が完成する。
【0039】
<接続工程>
次に、太陽電池モジュールの面積を勘案し、必要に応じて1つ以上の発電部Cを含むように電気モジュール21を複数に分割してもよい。本実施形態では、ロール・ツー・ロール方式等により連続的に供給される電気モジュール21を搬送しながら任意の形状の太陽電池モジュールに分割できる。
【0040】
続いて、各発電部Cを構成する複数の第二電極8のうち、平面視で第一電極5と重なっていない部分を導通させる。具体的には、第二基板6の板面6aとは反対側の面から平面視で第一電極5と重なっていない第二電極8に連通する導電部(図示略)を形成し、電極部としてもよい。このような導電部は、予め第二電極形成工程において形成してもよい。また、平面視で第一電極5と重なっていない第二電極8を含む第二基板6の一部を板面6aとは反対側の面側にめくり、電極部を形成してもよい。この後、各発電部Cを構成する複数の第二電極8の電極部を互いに接続する。
同様の電極部形成方法を用いて、各発電部Cを構成する第一電極5についても電極部を形成することができる。
【0041】
以上の工程により、板面方向Pに複数の発電部Cが配置され、第一及び第二の電極5,8に電極部が設けられると共に各発電部Cを構成する複数の第一電極5及び第二電極8の電極部がそれぞれ導通された太陽電池モジュール(図示略)が得られる。
【0042】
上述のように、本実施形態の電気モジュール21では、平面視において封止材9と第一基板1に成膜された絶縁部2と第二基板6に成膜された少なくとも1箇所の絶縁部7が重なって配置されている。そのため、隣接する発電部Cの短絡が確実に回避される。また、第二電極8が板面方向Pに細かく分割されているため、電気モジュール21の曲げに対する耐性が向上する。更に、第二電極8が電気モジュール21に照射される光に対して不透明な材質で構成されている場合であっても電気モジュール21がシースルーとなり、デザイン性の向上が期待できる。
【0043】
また、本実施形態の電気モジュール21の製造方法によれば、第二電極8の板面方向Pの寸法W1が発電部C間を区画する封止材9の板面方向Pの寸法W2よりも小さく設定され、且つ封止材9が絶縁部2に当接して配置される。これにより、基板貼り合わせ工程を行うに際して、封止材9が前記のように配置された第一基板1と第二基板6との位置合わせを行わずとも、平面視において封止材9と絶縁部2と少なくとも1箇所の絶縁部7が重なる。従って、隣接する発電部C間の短絡を確実に回避することができる。基板等を搬送するロールにより電極を始めとする電気モジュール21の構成要素の伸縮が発生しても、構成要素は相対的に大きさが同率で変化すると考えられ、上記のように平面視において封止材9と絶縁部2と少なくとも1箇所の絶縁部7を重ねて、隣接する発電部Cの短絡を回避することができる。そのため、搬送方向に発電部Cが複数形成された電気モジュール21をロール・ツー・ロール方式等で容易に連続生産することができる。
【0044】
なお、上記説明した各工程は、電気モジュール21の連続生産の効率向上のために必要に応じて順序を入れ替えて実施してもよい。また、電気モジュール21の設計仕様に合わせて各構成要素の配置や形状及び数は変更することができる。例えば、電気モジュール21の正極端子及び負極端子として用いるための電極部の形成方法を変更し、第一及び第二の基板1,6にそれぞれ、平面視で互いに重なるように第一及び第二の電極5,8を成膜してもよい。
【0045】
なおまた、上記説明した手順や使用する材質等は、電気モジュール21として色素増感太陽電池を採用した場合の製造方法における一例であり、これらの例に限定されるものではなく、連続生産可能な太陽電池を作製できれば変更して構わない。
【0046】
(第2実施形態)
次いで、本発明の第2実施形態の電気モジュールについて説明する。尚、図7及び図8に示す本実施形態の電気モジュール22の構成要素において、図1及び図2に示す第1実施形態の電気モジュール21の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
図7及び図8に示すように、電気モジュール22は、電気モジュール21の構成要素のうち、第二基板6に成膜されている絶縁部7の板面方向Pの離間間隔が板面方向Pで不均一に設定されてなるものである。
【0048】
図8に示すように、電気モジュール22においては、隣接する封止材9間に位置する絶縁部7の板面方向Pの離間間隔D2は、封止材9が当接する絶縁部7の板面方向Pの離間間隔D1より大きく設定されている。即ち、隣接する封止材9間に位置する第二電極8Bの板面方向Pの寸法W1は、封止材9が当接する第二電極8Aの板面方向Pの寸法W4より大きい。なお、封止材9が当接する第二電極8Aの板面方向Pの寸法W4は、封止材9が当接する絶縁部7の板面方向Pの離間間隔D1に等しい。
【0049】
電気モジュール22の発電部Cは、電解液10と、電解液10を挟んで対向する第一電極5と電気モジュール21よりも少数の第二電極8から構成されてなる。隣接する封止材9間に位置する絶縁部7の板面方向Pの離間間隔D2(即ち、第二電極8Bの板面方向Pの寸法)が発電部Cの板面方向Pの寸法と同程度であれば、電気モジュール22の発電部Cは1個の第二電極8Bから構成され得る。
【0050】
続いて、本実施形態の電気モジュール22の製造方法について説明する。
電気モジュール22の製造方法は、第1実施形態の電気モジュール21の製造方法と同様に、第一電極形成工程と、第二電極形成工程と、基板貼り合わせ工程と、を少なくとも備えて構成され、基板貼り合わせ工程後に、電解液注入工程と、接続工程と、を備えている。以下、電気モジュール22の製造方法の説明において、電気モジュール21の製造方法と同一の内容については、その説明を省略する。
【0051】
<第一電極形成工程>
図9に示すように、電気モジュール21の製造方法と同様にして、第一基板1の板面1aに複数の第一電極5と第一電極5間に介在する複数の絶縁部2とを形成する。
【0052】
<第二電極形成工程>
次に、第二基板6の板面6aに、ITOやFTO等をスパッタリングすることにより複数の第二電極8を成膜する。その後、図10に示すように、第二電極8に絶縁パターニングを施して絶縁部7を形成する。本工程の絶縁パターニングでは、後に封止材9が当接する位置付近における絶縁部7の板面方向Pの離間間隔D1を、隣接する封止材9間に位置する絶縁部7の板面方向Pの離間間隔D2よりも小さく設定する。また、後の基板貼り合わせ工程において、平面視で第一電極5と第二電極8とが互いにずれるように、第二電極8を成膜する。本工程により、板面6aに複数の第二電極8と第二電極8間に介在する複数の絶縁部7が設けられた第二基板6が完成する。
【0053】
<基板貼り合わせ工程>
次に、図11に示すように、半導体層4を囲繞し且つ絶縁部2に接触させて第一基板1に封止材9を配置する。この際、絶縁部2に接触する封止材9の板面方向Pの寸法W2は、後に封止材9が当接する第二電極8Aの板面方向Pの寸法W4よりも大きくする。また、電気モジュール21の正極端子及び負極端子として使用する部分(平面視で互いに重ならない部分)の第一電極5及び第二電極8にはそれぞれ封止材9を配置する。更に、後の電解液注入工程において、図12に示す構成の内部空間Sに電解液10を注入するための注液部(図示略)を設けておく。
【0054】
封止材9を介して第一基板1と第二基板6を貼り合わせる工程以降は、電気モジュール21の製造方法と同様に作業を行う。但し、各発電部Cを構成する第二電極8が1つの第二電極8Bである場合は、本実施形態の接続工程において、第1実施形態の電気モジュール21の接続工程のように各発電部Cを構成する複数の第二電極8の電極部を互いに接続する必要はない。
【0055】
以上の工程により、板面方向Pに複数の発電部Cが配置され、第1及び第二電極5,8に電極部が設けられた電気モジュール22、及び、各発電部Cを構成する複数の第一電極5及び第二電極8それぞれの電極部が導通された太陽電池モジュール(図示略)が得られる。
【0056】
上述のように、本実施形態の電気モジュール22においては、平面視において封止材9と第一基板1に成膜された絶縁部2と第二基板6に成膜された少なくとも1箇所の絶縁部7が重なって配置されている。そのため、第1実施形態の電気モジュール21と同様の効果が得られる。
【0057】
また、本実施形態の電気モジュール22の製造方法によれば、隣接する封止材9間に位置する絶縁部7の板面方向Pの離間間隔D2は封止材9が当接する位置付近における絶縁部7の板面方向Pの離間間隔D1より大とされている。即ち、封止材9に当接する第二電極8の板面方向Pの寸法W4が封止材9の板面方向Pの寸法W2よりも小さく設定され、且つ封止材9が絶縁部2に当接して配置される。これにより、電気モジュール21の製造方法と同様の効果が得られる。更に、各発電部Cを第1実施形態の電気モジュール21より少数の第二電極8で構成できるため、接続工程において互いに接続する第二電極8の電極部の数を減らして導通処理を簡易化すると共に、電気モジュール22の連続生産における生産性をより高めることができる。
【0058】
なお、本実施形態の電気モジュール22においては、第二電極8の板面方向Pの寸法が板面方向Pにおいて部分的に封止材9の板面方向Pの寸法W2よりも小さく設定される。従って、本実施形態の電気モジュール22及びその製造方法は、第一及び第二の基板1,6の伸縮による第一又は第二の電極5,8の大きさの変化、並びに、第一又は第二の電極5,8の平面視での相対位置の変化が比較的小さい場合に適用されることが好ましい。
【0059】
(第3実施形態)
次いで、本発明の第3実施形態の電気モジュールについて説明する。尚、図13及び図14に示す本実施形態の電気モジュール23の構成要素において、図1及び図2に示す第1実施形態の電気モジュール21の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
図13及び図14に示すように、電気モジュール23は、第一基板1に成膜されている第一電極5の板面方向Pの寸法W6が、第1実施形態の電気モジュール21の第一電極5の板面方向Pの寸法W3より小さく、第二電極8の板面方向Pの寸法W1と同程度の大きさに設定されてなるものである。従って、電気モジュール23の発電部Cは、電解液10と、電解液10を挟んで対向する複数の第一電極5と複数の第二電極8から構成されてなる。
【0061】
続いて、本実施形態の電気モジュール23の製造方法について説明する。
電気モジュール23の製造方法は、第1実施形態の電気モジュール21の製造方法と同様に、第一電極形成工程と、第二電極形成工程と、基板貼り合わせ工程と、を少なくとも備えて構成され、基板貼り合わせ工程後に、電解液注入工程と、接続工程と、を備えている。電気モジュール23の製造方法の以下説明において、電気モジュール21の製造方法と同一の内容については、詳しい説明を省略する。
【0062】
<第一電極形成工程>
先ず、電気モジュール21の製造方法と同様に、PENフィルム、PETフィルム等からなり、ロール等で連続的に供給されるシート状の第一基板1の板面1aに、ITOやFTO等をスパッタリングすることにより透明導電膜3を成膜する。次に、低温焼成法又はAD法等によって透明導電膜3の表面上に半導体層4を積層し、透明導電膜3と半導体層4からなる第一電極5を形成する。その後、図15に示すように、第一電極5に絶縁パターニングを施し、板面方向Pに所定の間隔をあけて第一電極5に絶縁部2を形成する。この際、第一電極5は、板面方向Pの寸法をW6とし、等間隔に形成する。これにより、板面1aに複数の第一電極5と第一電極5間に介在する複数の絶縁部2が設けられた第一基板1が完成する。
【0063】
<第二電極形成工程>
次に、図16に示すように、電気モジュール21の製造方法と同様にして、第二基板6の板面6aに複数の第二電極8と第二電極8間に介在する複数の絶縁部7とを形成する。
【0064】
<基板貼り合わせ工程>
次に、図17に示すように、半導体層4を囲繞し且つ絶縁部2に接触させて第一基板1に封止材9を配置する。この際、絶縁部2に接触する封止材9の板面方向Pの寸法W2は、後に封止材9が当接する第一及び第二の電極5,8のそれぞれの板面方向Pの寸法W6,W1よりも大きくする。また、電気モジュール21の正極端子及び負極端子として使用する部分(平面視で互いに重ならない部分)の第一電極5及び第二電極8にはそれぞれ封止材9を配置する。更に、後の電解液注入工程において、内部空間Sに電解液10を注入するための注液部(図示略)を設けておく。
【0065】
続いて、第一電極5と第二電極8を対向させ、熱プレス等の方法を用いて封止材9を硬化させながら、封止材9を介して第一基板1と第二基板6を貼り合わせる。本工程により、図18に示すように、複数の第一電極5と複数の第二電極8と封止材9で囲まれた内部空間Sを形成する。
【0066】
<電解液注入工程>
続いて、電気モジュール21の製造方法と同様に、予め形成しておいた注液部から内部空間Sに電解液10を注入し、注液部を封止する。
【0067】
上記工程により、図13及び図14に示すような板面方向Pに複数の発電部Cが配置された電気モジュール23が完成する。
【0068】
<接続工程>
次に、太陽電池モジュールの面積を勘案し、必要に応じて1つ以上の発電部Cを含むように電気モジュール23を複数に分割してもよい。続いて、各発電部Cを構成する複数の第一電極5のうち、平面視で第二電極8と重なっていない部分を導通させる。同様に、各発電部Cを構成する複数の第二電極8のうち、平面視で第一電極5と重なっていない部分を導通させる。具体的な導通処理の方法については、電気モジュール21の製造方法で説明した方法を用いることができる。この後、各発電部Cを構成する複数の第一電極5の電極部同士、複数の第二電極8の電極部同士をそれぞれ接続する。
【0069】
以上の工程により、板面方向Pに複数の発電部Cが配置され、第一及び第二電極5,8に電極部が設けられた電気モジュール23、及び、各発電部Cを構成する複数の第一電極5及び複数の第二電極8の電極部がそれぞれ導通された太陽電池モジュール(図示略)が得られる。
【0070】
上述のように、本実施形態の電気モジュール23においては、平面視において封止材9と第一基板1に成膜された少なくとも1箇所の絶縁部2と第二基板6に成膜された少なくとも1箇所の絶縁部7が重なって配置されている。そのため、第1実施形態の電気モジュール21と同様の効果が得られる。また、第二電極8に加えて第一電極5が板面方向Pに細かく分割されているため、電気モジュール23の曲げに対する耐性がより一層向上する。更に、電気モジュール23がよりシースルーとなりデザイン性の更なる向上が期待できる。
【0071】
また、本実施形態の電気モジュール23の製造方法によれば、封止材9に当接する第一及び第二の電極5,8のそれぞれの板面方向Pの寸法W6,W1が封止材9の板面方向Pの寸法W2よりも小さく設定され、且つ封止材9が少なくとも1箇所の絶縁部2,7に当接して配置される。これにより、電気モジュール21の製造方法と同様の効果が得られる。
【0072】
(第4実施形態)
次いで、本発明の第4実施形態の電気モジュールについて説明する。尚、図19及び図20に示す本実施形態の電気モジュール24の構成要素において、図1及び図2に示す第1実施形態の電気モジュール21の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0073】
電気モジュール24は、第一電極5の板面方向Pの寸法が第1実施形態における電気モジュール21の第二電極8の板面方向Pの寸法W1と同程度に設定され、第二電極8の板面方向Pの寸法が第1実施形態における電気モジュール21の第一電極5の板面方向Pの寸法W3と同程度に設定されてなるものである。第1実施形態の電気モジュール21及び本実施形態の電気モジュール24に示すように、本発明の電気モジュールでは、第一及び第二の電極5,8のうち少なくとも一方の電極が板面方向Pに細かく分割されて、その寸法が封止材9の板面方向Pの寸法W2よりも小さく設定されていればよい。
【0074】
電気モジュール24の製造方法においては、第一電極5の板面方向Pの寸法をW1とすると共に、第二電極8の板面方向Pの寸法をW3とする。また、接続工程では、各発電部Cを構成する複数の第一電極5の電極部を互いに接続する。その他の工程については、第1実施形態の電気モジュール21の製造方法と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
電気モジュール24及びその製造方法では、平面視において封止材9と第一基板1に形成された少なくとも1箇所の絶縁部2と第二基板6に形成された絶縁部7が重なって配置されていることにより、電気モジュール21及びその製造方法と同様の効果が得られる。 また、半導体層4をAD法で成膜する場合は、半導体層4と透明導電膜3との密着性よりも半導体層4と絶縁部2との密着性が高くなる。本実施形態の電気モジュール24では第一電極5が板面方向Pに細かく分割されているため、板面方向Pの単位長さあたりの半導体層4と絶縁部2との接触箇所を増やし、半導体層4の第一基板1に対する密着性を高めることができる。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、太陽電池等の電気モジュールに関する分野で利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1…第一基板、1a,6a…板面、2,7…絶縁部、5…第一電極、6…第二基板、8,8A,8B…第二電極、9…封止材、21,22,23,24…電気モジュール、W1,W2,W3,W4,W6…寸法、D1,D2…離間間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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