(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スロープの下面には前記スロープの傾斜方向と同様の方向に傾斜して下方に延びる部位を有する水返し材が具備されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の開口部装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。なお、ここに示す各図では説明のため一部の部材を省略したり、部材の形状を誇張して表すことがある。
また、以下の説明では、開口部装置が建物開口部に設置された姿勢で、開口部装置により仕切られた部屋から開口部装置を見たときに上下となる方向を見付け方向上下、左右となる方向を見付け方向左右、仕切られた隣接する部屋間の内外方向を見込み方向と記載することがある。さらに見付け方向上下及び見付け方向左右に平行な面を見付け面、見込み方向に平行な面を見込み面と記載することがある。
【0018】
図1は第一の形態を説明する図で、開口部装置1の斜視図、
図2は浴室側からみた正面図である。本形態では開口部装置1により浴室と更衣室とを仕切る場合について説明する。開口部装置1は、1枚の障子30で開口部分10aを閉鎖可能とし、当該障子30を見付け方向左右に移動して戸袋部分10bに収容することで開口部分10aを開放する、いわゆる引き戸式の開口部装置である。
図3は
図2にIII−IIIで示した鉛直方向断面図、
図4は
図2にIV−IVで示した水平方向矢視断面図である。
図3、
図4には併せて浴室側及び更衣室側となる方向を示している。
【0019】
開口部装置1は、
図1乃至
図4に表れているように、浴室と浴室外としての更衣室との間の建物開口部における躯体に固定された枠体10と、該枠体10の枠内に見付け方向左右に移動可能に設けられた障子30とが配置されている。
【0020】
枠体10は、上枠11、下枠12、縦枠21、方立22を有して構成されている。
【0021】
上枠11は、枠体10の上枠を構成する長尺の部材で、
図3に表れる断面を有して長手方向に延びるように形成されている。上枠11は、その長手方向が建物開口部の上縁に沿って配置され、建物躯体に固定されている。
図3からわかるように、本形態の開口部装置1の上枠11は、後述する障子30の上端に設けられた吊り車33が載置されて転動するレール11aを備えている。レール11aは上枠11の長手方向に沿って見付け方向左右に延びるように形成されている。
【0022】
下枠12は、下枠本体13、スロープ固定部材14、及びスロープ15を具備して形成されている。
【0023】
下枠本体13は、枠体10の下枠を構成する部材のうち、建物躯体に固定される長尺の部材で、
図3に表れる断面を有して長手方向に延びるように形成されている。下枠本体13は、その長手方向が建物開口部の下縁に沿って配置され、建物躯体に固定されている。
図5には下枠本体13の斜視図を表した。
【0024】
図3、
図5からわかるように、下枠本体13は、
図3の断面において見込方向に延びる片13aを有し、該片13aの見込み方向一方側及び他方側端部からは見付け方向上方に向けて片13b、13cが立設している。これにより片13aを底、片13b、13cを壁とする凹部13dが形成されている。
【0025】
凹部13dの内側にはガイド部材13eが配置されている。ガイド部材13eは、下枠本体13の凹部13d内に装着及び離脱できるように構成された長尺の部材で、下枠本体13の長手方向に沿って延びる。本形態ではガイド部材13eは、後述する障子30の下端に設けられたガイド片32aが挿入される溝であるガイド溝13fを形成する。
図3からわかるように、ガイド部材13eは、当該断面において見込方向に延びる片13gを有して下枠12の上面の一部を形成している。片13gの見込み方向浴室側となる端部には片13mが垂下され、その先端が片13aに接している。一方、片13gの見込み方向更衣室側は、片13cに係合するように構成されている。これによりガイド部材13eの見込み方向の移動が制限され、ガイド溝13fの幅が保持される。
【0026】
また下枠本体13には、浴室側に配置される片13bから見込み方向浴室側に延びるスロープ設置片13hが設けられている。また、片13bにはスロープ15の端部を引っ掛けて保持する係止片13iが具備されている。ここに取り付けられるスロープ15は
図1及び
図2からわかるように開口部分10a側にのみ設けられているので、
図5にも表れているようにスロープ設置片13hは下枠本体13のうち開口部分10aとなる部位にのみ具備されていればよい。
【0027】
ここで、片13bには、
図5に表れているように、凹部13dから浴室内側に貫通する排水穴13jが設けられている。これにより凹部13d内の水を浴室側に速やかに排出することができる。
【0028】
次に下枠12のスロープ固定部材14について説明する。スロープ固定部材14は
図5に表れている。また、
図6にはスロープ固定部材14が配置された部位に注目した斜視図を示した。
スロープ固定部材14は、スロープ15を下枠本体13に保持するための部材である。本形態でスロープ固定部材14は、略直方体である。そして該直方体である面のうち、見込み方向浴室側にスロープ嵌合手段としての切り欠き14aが設けられている。切り欠き14aは
図6からわかるように水平方向に延在し、その上部に段差が形成される形状を有している。
また、スロープ固定部材14の上面はその一部が掘り下げられてここにネジ14bの頭が収まるように構成されている。
スロープ固定部材14の高さは特に限定されることはないが、本形態ではその更衣室側端部の高さがスロープ設置片13hと係止片13iとの間隔と概ね同じとなるように形成されている。また、スロープ固定部材14の見込み方向長さも特に限定されることはないが、スロープ設置片13hの見込み方向大きさより小さいことが好ましい。
【0029】
スロープ固定部材14は次のように下枠本体13に配置される。すなわち、
図5からわかるように、配置されるスロープ15の両端部分となる位置のそれぞれに見付け方向左右に離隔して設置される。個々のスロープ固定部材14は
図6に表れているように切り欠き14aが浴室側に向けられるとともに、更衣室側はスロープ設置片13hと係止片13iとの間に差し込まれ、片13bに突き当てられる。そして、ネジ14bによりスロープ設置片13hに固定される。
【0030】
スロープ固定部材14が、スロープ15の見付け方向左右の両端となる位置のみに配置されることにより、
図5からもわかるようにスロープ設置片13hの上面の両端以外には突出するような障害物がない。従ってこの部分の清掃がしやすく、清掃性を向上させることができる。
また、それぞれのスロープ固定部材14は、ネジ14bにより下枠本体13に固定されるとともに、片13bに1つの面が接触するように配置されている。これにより、スロープ固定部材14がネジ14bを中心に回転してしまうことが防止され、ネジを複数用いることなくスロープ固定部材14の姿勢を安定して維持できる。これに加えて、スロープ固定部材14の当該端部をスロープ設置片13hと片13iとの間に挟むようにすれば、さらに安定した固定が可能である。
【0031】
次にスロープ15について説明する。スロープ15は、
図1乃至
図4に表れているように板状の部材であり、更衣室側の端部が下枠本体13の上面に取り付けられ、浴室側端部は浴室の床面に近づくように傾斜して配置される。これにより、スロープ15が下枠本体13の浴室側の縁部を覆い、下枠12の上面と浴室の床との段差を滑らかに連結している。
図7にはスロープ15の上面側から見た斜視図、
図8にはスロープ15の下面側(床面に対向する側)から見た斜視図をそれぞれ示した。
【0032】
本形態において、スロープ15は、スロープ本体16及び該スロープ本体16の見付け方向左右のそれぞれに配置される端部部材20を備えている。
【0033】
スロープ本体16は、スロープ15の主要部分を構成する板状の部位であり、
図7からわかるように上面側には見付け方向左右に延びる複数の滑り止め溝が形成されている。これにより利用者の安全性が高められている。
一方、下面には
図7からわかるように所定の部材が見付け方向左右に延びている。
図9にはスロープ本体16の断面を表した。
図9は
図3と同じ視点であり、下枠本体13を破線で併せて示している。スロープ本体16は
図9に示した断面を有して見付け方向左右に延在する。
【0034】
スロープ本体16は、
図9からわかるように、更衣室側端部に係止片16aが設けられている。係止片16aが上記した下枠本体13の係止片13iに引っ掛かるように係止し、スロープ本体16の端部が下枠本体13の上面と段差がなく下枠本体13に取り付けられる。さらにスロープ本体16の下面には、更衣室側から浴室側に順に、保持溝16b、保持溝16c、及び保持溝16dが設けられている。これら保持溝16b、16c、16dは、次に説明する各部材を保持するための溝である。
【0035】
スロープ本体16のうち浴室側の溝16dには第一の水返し材17が保持されている。水返し材17は保持部17a及び保持部17aから延びる返し部17bを有している。保持部17aは保持溝16d内に挿入されて第一の水返し材17を保持するための部材である。一方、返し部17bは保持部から浴室側の下方に向けてスロープ15と同様の傾き方向斜めに延びる部位であり、その先端が浴室の床面に接する。このような水返し材17は、後述するように床面と密着して水の侵入を防ぐ観点から、樹脂やゴム等の止水性のある弾性部材であることが好ましい。
【0036】
スロープ本体16のうち更衣室側の溝16bには第二の水返し材18が保持されている。水返し材18も保持部18a及び保持部18aから延びる返し部18bを有している。保持部18aは保持溝16b内に挿入されて第二の水返し材18を保持するための部材である。一方、返し部18bは保持部18aから浴室側の下方に向けてスロープ15と同様の傾き方向斜めに延びる部位であり、その先端がスロープ設置片13hの表面に接触する。このような水返し材18は、後述するように片13hに密着して水の侵入を防ぐ観点から、樹脂やゴム等の止水性のある弾性部材であることが好ましい。
【0037】
スロープ本体16のうち、第一の水返し材17と第二の水返し材18との間の溝16cには支持材19が保持されている。支持材19は保持部19a及び保持部19aの下方に具備される支持部19bを有している。保持部19aは保持溝16c内に挿入されて支持材19を保持するための部材である。一方、支持部19bは保持部19aから下方に突出して設けられ、その先端がスロープ設置片13hの表面に接触する。これにより支持材19がスロープ本体16を支持し、所定の高さを維持することができる。支持材19は、スロープ本体16を支持する観点から、硬質の樹脂やゴム等により形成されていることが好ましい。
【0038】
スロープ15の端部部材20は、
図7、
図8からわかるように、スロープ本体16の見付け方向左右の両端のそれぞれに配置される部位であり、上記したスロープ固定部材14に嵌合してスロープ15を下枠本体13に固定する部位である。
図10には一方側の端部部材20を裏面側から見た斜視図を示した。これは
図8にAで示した部位を拡大した図である。
【0039】
端部部材20は、見込み方向に延びる板状の被覆板20aを有している。
被覆板20aは上面がスロープ本体16と面一とされ、これによりスロープ固定部材14を上から覆うように隠蔽する。被覆板20aの下面からは嵌合突起20bが下方に延在する。嵌合突起20bはスロープ嵌合手段として機能し、上記したスロープ固定部材14の切り欠き14aに嵌合する。これによりスロープ15が下枠本体13に固定される。
【0040】
また、被覆板20aの下面からは嵌合突起20bよりも浴室側に、見付け方向に平行な面を有する2つの止水板20c、20dが見込み方向に並べて配列されている。さらに端部部材20とスロープ本体16との境界部分における被覆板20aの裏面からは見込み方向に平行な面を有する止水板20eが下方に延びている。
一方、端部部材20とスロープ本体16との境界部分における被覆板20aの下面で、嵌合突起20bの更衣室側には位置決め板20fが下方に延びている。位置決め板20fには該位置決め板20を貫通してスロープ本体16側に貫通する水抜き穴20gが設けられている。
【0041】
以上のような構成を有するスロープ15は、次のようにして下枠本体13に固定される。スロープ15のうちスロープ本体16は、
図3に示したように下枠本体と組み合わされる。すなわち、スロープ本体16の更衣室側端部に設けられた係止片16aが下枠本体の係止片13iに引っ掛けるように係止される。一方、スロープ本体16の浴室側端部は浴室床面に近付けて配置され、これにより下枠本体13の上面から浴室床面まで傾斜面が形成される。このとき、支持材19の支持部19bが下枠本体13のスロープ設置片13hに載置され、スロープ本体16を所定の高さ位置に保持する。また、第一の水返し材17の返し部17bの先端は浴室床面に接触する。一方、第二の水返し材18の返し部18bの先端がスロープ設置片13hの上面に接触する。
【0042】
一方、端部部材20は次の通りである。
図11に、端部部材20をスロープ固定部材14に取り付ける場面の図を示した。端部部材20では、被覆板20aがスロープ固定部材14を上方から覆うように配置され、スロープ固定部材14の切り欠き14aに、端部部材20の嵌合突起20bが嵌合される。これによりスロープ15がスロープ固定部材14を介して下枠本体13に固定される。この際には当該切り欠き14a及び嵌合突起20bによりスロープ15の見込み方向、及び見付け方向上下の位置決めが行われる。また、位置決め板20fがスロープ固定部材14の見付け方向内側面に対向するように配置される。これにより位置決め板20fがスロープ固定部材14の見込み面に係止して、スロープ15の見付け方向左右の移動がスロープ固定部材14により制限され、見付け方向左右の位置決めも行われる。
【0043】
以上のように、端部部材20とスロープ固定部材14によりスロープ15の位置決めを精度よく行うことができる。
【0044】
なお、樹脂で構成される端部部材とスロープ本体とが別部材である場合にはスロープ本体にスロープ固定部材の固定部分を形成しなくてよいため生産性の向上や固定部材の変更に対応しやすくなる。
【0045】
スロープ本体16の止水性については次の通りである。
図3に矢印Bで示したように、スロープ本体16の浴室側からスロープ本体16と浴室床面との間に侵入した水は、第一の水返し材17の返し部17bに達する。しかしながら、返し部17bは上記したように浴室側に向けてスロープ15の傾斜と同様に下方に傾斜する形態を有しているので、水が返し部17bを押圧するればその止水力が増し、水は流入することがさらに困難のとなる。さらに、当該押圧力はスロープ本体15を下方に下げる方向にも作用するので、スロープ本体16がさらに浴室床面に押し付けられる。これによっても止水力を増す。特に本形態では、スロープ固定部材14がスロープ15の両端にのみ設けられているので、見付け方向左右の中央ではスロープ本体16が上昇する傾向があるが、第一の水返し材17により、これも防止される。
第二の水返し材18についても同様である。
【0046】
一方、下枠本体13の凹部13dから排水穴13j(
図5参照)を通り、スロープ本体16の下方に流出した水は、第一の水返し材17及び第二の水返し材18ともにこの方向からの水は通しやすい構造を有しているので適切に浴室側に排出される。従って、第一の水返し17及び第二の水返し18は一方弁のような機能により適切に止水及び排水をすることができる。
【0047】
端部部材20の止水性については次の通りである。
図10、
図11からわかるように、端部部材20には、スロープ固定部材14より浴室側に止水板20c、20d、20eが配置され、見込み方向及び見付け方向左右における水の流入を防いでいる。また、スロープ固定部材14が配置され部位では、位置決め板20fに水抜き穴20gが設けられているので、ここからスロープ本体16側に水が抜け、適切に排水される。
【0048】
図1乃至
図4に戻って縦枠21について説明する。縦枠21は、枠体10の縦枠を構成する長尺の部材で、
図4に表れる断面を有して見付け方向上下を長手方向として延びるように形成されている。
図1からわかるように、縦枠21は左右に2つの設けられ、その長手方向が建物開口部の左右縁のそれぞれに沿って配置され、その端部が上枠11の端部と下枠本体13の端部とを渡すように取り付けられるとともに建物躯体にも固定されている。縦枠21の見込み面に下枠本体13の端部が突き当てられるように組み合わされる。
縦枠21は通常の縦枠を用いることができ、必要に応じて片が見付け方向左右に延びるように設けられている。
【0049】
方立22は、
図1、
図2及び
図4からわかるように、
図4に示した断面を有して見付け方向上下に延びる部材である。方立22は2つの縦枠21間に、該縦枠21と概ね平行に配置され、上端が上枠11に、下端が下枠本体13に固定される。また、方立22は
図4に表れているように、上枠11、下枠本体13のうち、浴室側に寄せられた位置に設置されている。
【0050】
このように方立22が2つの縦枠21間に配置されることにより、上枠11、下枠12及び縦枠21により囲まれた枠内が2つの部位に分割され、一方が開口部分10a、他方が戸袋部分10bとされている。戸袋部分10bには上枠11、下枠12、方立22及び縦枠21で囲まれる枠内に面材であるパネル40が固定されている。
【0051】
障子30は面材としてのパネル31を有し、その外周を縁取るように框32が配置されている。框32の上部には吊り車33が上方に延びるように配置され、框32の下部にはガイド片32aが下方に延びるように設けられている。
【0052】
このような障子30は、上部に配置された吊り車33が上枠11のレール11aに載置され、下部に設けられたガイド片32aが下枠12のガイド溝13fに挿入される。これにより障子30は、枠体10内のうち更衣室側において見付け方向左右に移動可能とされる。
以上より、
図1に示した視点で障子30が開口部分10aを閉鎖することにより、障子30及びパネル40により建物開口部が閉鎖される。障子30を見付け方向右側に移動することにより障子30を戸袋部分10b側に配置して見込み方向にパネル40と重ねることにより、開口部分10aが開放される。
【0053】
以上の説明では、障子が1枚である開口部装置について説明したが、これに限られることなく、引き違いに2枚以上の障子が設けられる開口部装置であっても、その下枠の開口部分に上記のような構造を適用することが可能である。
【0054】
図12は第二の形態を説明する図で、開口部装置101の斜視図、
図13は浴室側からみた正面図である。本形態でも開口部装置101により浴室と更衣室とを仕切る場合について説明する。開口部装置101は、1枚の障子130が吊元側を軸にして揺動して開口部を開閉する、いわゆる開き戸式の開口部装置である。開口部装置101は、上枠111、下枠112、吊元側縦枠121、及び戸先側縦枠122が枠組みされ枠体110が形成され、その内側に障子130が吊元側を軸に揺動可能にピボットヒンジで固定されている。これにより障子130はピボットヒンジを軸として揺動して開閉する。
ここでは、本発明の特徴部分である下枠112について説明する。他の部分は公知の形態を適宜適用することが可能である。
【0055】
図14には下枠112の斜視図、
図15には下枠112の断面図を示した。
【0056】
下枠112は、下枠本体113、スロープ固定部材114(
図16参照)、及びスロープ115を具備して形成されている。
【0057】
下枠本体113は、枠体110の下枠を構成する部材のうち、建物躯体に固定される長尺の部材である。下枠本体113は、その長手方向が建物開口部の下縁に沿って配置され、建物躯体に固定されている。
図15からわかるように、下枠本体113は、当該断面において見込み方向に延びる片113aを有している。片113aはスロープ設置片として機能する。そして該片113aの見込み方向の更衣室側には2つの片113b、113cが立設し、この間に溝113dが形成され、ここにパッキン113fを取り付けることができる。ここで片113bはクランク状に曲げられつつ上方に向けて延びている。
また、片113bの浴室側で片113aの上面には、上方に突出するスロープ係止片113eが設けられている。
【0058】
次に下枠112のスロープ固定部材114について説明する。
図16には下枠本体113及びスロープ固定部材114が表れた斜視図を示した。また、
図17にはスロープ固定部材114が配置された部位に注目した斜視図を示した。
スロープ固定部材114は、スロープ115を下枠本体113に保持するための部材である。本形態でスロープ固定部材114は略直方体である。そして該直方体である面のうち、上面から掘り下げられるようにスロープ嵌合手段としての嵌合孔114aが設けられている。また直方体である面のうち更衣室側の見付け面のうち下部からは更衣室側に延びる片114bが形成されている。これに加えて、スロープ固定部材114の下面には、見込み方向左右に延びる溝114cが設けられている。また、スロープ固定部材114の上面はその一部が掘り下げられてここにネジ114dの頭が収まるように構成されている。
【0059】
スロープ固定部材114は次のように下枠本体113に配置される。すなわち、
図16からわかるように、配置されるスロープ115の両端部分となる位置のそれぞれに見付け方向左右に離隔して設置される。個々のスロープ固定部材114は
図17に表れているように片114bが片113bのクランク状の部位に係止され、溝114cに突起113eが挿入される。そして、ネジ114dにより片113aに固定される。
【0060】
スロープ固定部材114が、スロープ115の見付け方向左右の両端となる位置のみに配置されることにより、
図16からもわかるように片113aの上面の両端以外には突出するような障害物がない。従ってこの部分の清掃がしやすく、清掃性を向上させることができる。
また、それぞれのスロープ固定部材114は、ネジ114dにより下枠本体113に固定されるとともに、片114b及び溝113cにより下枠本体113に係止している。これにより、スロープ固定部材114がネジ114dを中心に回転してしまうことが防止され、ネジを複数用いることなくスロープ固定部材114の姿勢を安定して維持できる。
【0061】
次にスロープ115について説明する。スロープ115は、
図12乃至
図15に表れているように板状の部材であり、更衣室側の端部が下枠本体113の上面に取り付けられ、浴室側端部は浴室の床面に近づくように傾斜して配置される。これにより、スロープ115が下枠本体113の浴室側部分を覆い、下枠112の上面と浴室の床との段差を滑らかに連結している。
【0062】
本形態において、スロープ115は、スロープ本体116及び該スロープ本体116の見付け方向左右のそれぞれに配置される端部部材120を備えている。
【0063】
スロープ本体116は、スロープ115の主要部分を構成する板状の部位であり、上面には上記したスロープ本体16と同様に見付け方向左右に延びる複数の滑り止め溝が形成されている。これにより利用者の安全性が高められている。
一方、下面には下面から突出した所定の片が見付け方向左右に延びている。
図15にその断面が表れている。
【0064】
スロープ本体116は、
図15からわかるように、更衣室側端部に係止片116aが設けられている。係止片116aが上記した下枠本体113の突起113eと片113bに引っ掛かるように係止している。さらにスロープ本体116の下面には、更衣室側から浴室側に順に、片116b、片116cが下方に向けて突出し、下枠本体113の片113aの上面に接触する。これによりスロープ本体116が下枠本体113に取り付け及び保持される。
【0065】
スロープ115の端部部材120は、
図12乃至
図14からわかるように、スロープ本体116の見付け方向左右の両端のそれぞれに配置される部位であり、上記したスロープ固定部材114に嵌合してスロープ115を下枠本体113に固定する部位である。
図18には一方側の端部部材120を裏面側が表れた図を示した。
図18はスロープ115を更衣室側端部を軸にめくるように回転させた場面である。
【0066】
端部部材120は、見込み方向に延びる板状の被覆板120aを有している。
被覆板120aは上面がスロープ本体116と面一とされ、これによりスロープ固定部材114を上から覆うように隠蔽する。被覆板120aの下面からは嵌合突起120bが下方に延在する。嵌合突起120bはスロープ嵌合手段として機能し、上記したスロープ固定部材114の嵌合孔114aに嵌合する。これによりスロープ115が下枠本体113に固定される。
【0067】
また、端部部材120とスロープ本体116との境界部分における被覆板120aの下面からは、位置決め板120cが下方に延びている。
【0068】
以上のような構成を有するスロープ115は、次のようにして下枠本体113に固定される。スロープ115のうちスロープ本体116は、
図15に示したように下枠本体113と組み合わされる。すなわち、スロープ本体116の更衣室側端部に設けられた係止片116aが下枠本体113の突起113eと片113bに引っ掛かるように係止する。一方、スロープ本体116の浴室側端部は浴室床面に近付けて配置され、これにより下枠本体113の上面から浴室床面まで傾斜面が形成される。このとき、片116b、116cが下枠本体113のスロープ設置片としての片113aに載置され、スロープ本体116を所定の高さ位置に保持する。
【0069】
一方、端部部材120は、
図18からわかるように被覆板120aがスロープ固定部材114を上方から覆うように配置され、スロープ固定部材114の嵌合孔114aに、端部部材120の嵌合突起120bが嵌合される。これによりスロープ115がスロープ固定部材114を介して下枠本体113に固定される。この際には当該嵌合孔114a及び嵌合突起120bによりスロープ115の見込み方向、及び見付け方向上下の位置決めが行われる。また、位置決め板120cがスロープ固定部材114の見付け方向左右の内側面に対向するように配置される。これにより位置決め板120cがスロープ固定部材114の見込み面に係止して、スロープ115の見付け方向左右の移動がスロープ固定部材114により制限され、見付け方向左右の位置決めも行われる。
【0070】
以上のように、端部部材120とスロープ固定部材114によりスロープ115の位置決めを精度よく行うことができる。
【0071】
図19は第三の形態を説明する図で、開口部装置201の浴室側からみた正面図である。本形態でも開口部装置201により浴室と更衣室とを仕切る場合について説明する。開口部装置201は、2枚の障子230、235が折れ戸式に開閉する開口部装置である。開口部装置201は、上枠211、下枠212、縦枠221が枠組みされ枠体210が形成され、その内側に障子230、235が折れ戸式に開閉可能に配置されている。
ここでは、本発明の特徴部分である下枠212について説明する。他の部分は公知の形態を適宜適用することが可能である。
【0072】
図20には下枠212の斜視図、
図21には下枠212の断面図を示した。
【0073】
下枠212は、下枠本体213、スロープ固定部材(不図示)、及びスロープ215を具備して形成されている。ここでスロープ固定部材は、上記と同様の形態を適用することができる。
【0074】
下枠本体213は、枠体210の下枠を構成する部材のうち、建物躯体に固定される長尺の部材である。下枠本体213は、その長手方向が建物開口部の下縁に沿って配置され、建物躯体に固定されている。
図21からわかるように、下枠本体213は、当該断面において見込み方向に延びる片213aを有している。片213aはスロープ設置片として機能する。そして該片213aの見込み方向の浴室側には2つの片213b、213cが所定の間隔で立設し、この間に溝213dが形成されている。これらがスロープ係止片として機能する。
【0075】
次にスロープ215について説明する。スロープ215は、
図19、
図20に表れているように板状の部材であり、更衣室側の端部が下枠本体213の上面に取り付けられ、浴室側端部は浴室の床面に近づくように傾斜して配置される。これにより、スロープ215が下枠本体213の浴室側部分を覆い、下枠212の上面と浴室の床との段差を滑らかに連結している。
【0076】
本形態において、スロープ215は、スロープ本体216及び該スロープ本体216の見付け方向左右のそれぞれに配置される端部部材220を備えている。ここで、端部部材220は上記した形態を適用することができるので以下では、スロープ本体216について説明する。
【0077】
スロープ本体216は、スロープ215の主要部分を構成する板状の部位であり、上面には上記したスロープ本体16と同様に見付け方向左右に延びる複数の滑り止め溝が形成されている。これにより利用者の安全性が高められている。
一方、下面には下面から突出した所定の片が見付け方向左右に延びている。
図21にその断面が表れている。
【0078】
スロープ本体216は、
図21からわかるように、更衣室側端部に係止片216aが設けられている。係止片216aが上記した下枠本体213の片213cに引っ掛かるように係止している。さらにスロープ本体216の下面には、支持部材217が固定され、浴室床面に接する。