(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る乾燥地緑化材及び乾燥地の緑化方法について説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
本発明の乾燥地緑化材は、連通孔を有する多孔質のセラミックス部材(以下、セラミックス部材ともいう)である。連通孔を有する多孔質のセラミックス部材とは、孔径が1mm以下の細孔を有し、これらの細孔が連通したもの、また、最長径が1mmを超える孔と1mm以下の細孔が連通したものであってもよい。最長径が1mmを超える孔と最長径が1mmを超える孔が連通するものも含んでいてもよい。
【0015】
連通孔を有さないと植物の枯死を防ぐ効果が発揮されず、また、孔径が1mmを超える孔のみからなるものでも、植物の枯死を防ぐ効果が十分ではないおそれがある。
植物の枯死を防ぎ、植物の成長促進の観点からは、孔径が1mm以下の細孔を有するセラミックス部材が好ましく、また、孔径1nm以上であることが好ましい。より好ましくは水銀注入法で測定した孔径が、メジアン細孔直径で100μm以下、さらに好ましくは10μm以下であるとよい。また、好ましくは、水銀注入法で測定した孔径が、メジアン細孔直径で1nm以上であるとよい。
【0016】
また、セラミックス部材の形状は、直径5mm〜5cm程度の塊状物、1辺の長さが5cm〜200cm程度、厚み1cm〜20cm程度の板状物、直径4cm〜50cm程度、長さが5cm〜200cm程度の円柱や角柱などの柱状物等が挙げられるが特に限定されるものではない。乾燥地での植物の枯死を防ぎ植物の成長促進の観点から板状物がよい。
【0017】
このようなセラミックス部材を用いると好ましい理由は、砂漠などの乾燥地であっても、地表から50cm程度下には水分があることがある。しかしながら、通常植物はここまで根が届かず枯死してしまう。ある程度育てた植物を植え替えても同様に枯死してしまう。
そこで、本発明のセラミックス部材をその水分を有する深さまで埋設することにより、水が毛細管現象により、セラミックス部材の連通する孔の中を通過し、地表近くまで吸い上げられ、セラミックス部材の表面から水分を土へ供給することにより、植えた植物の枯死を防ぎ生存率が高まると考えている。
【0018】
また、板状物の場合には、植物の苗などを植えるために板状物の表面から裏面に貫通する穴を有していてもよい。
さらに、板状物を用いる場合には、板状物の表面または裏面の一方から水を滴下した場合、その面は吸水性能を有し、かつ、吸水された水がその面の反対面に拡散する速度よりも、断面方向に拡散する速度が速いものが、植物の枯死を防ぎ植物の成長促進の観点から好ましい。
表面および裏面とは板状物を焼結した際の表面および裏面となった部分をいい、断面とは表面と裏面の間に存在する板状物の厚みにより形成される面(側面の4面)をいう。
【0019】
このような板状物が特に好ましいその理由は定かではないが、高温低湿度の環境である砂漠等の乾燥地において、板状物表面からの水分の蒸発が抑制されることにより、板状物内で水や湿気等の水分を保持し、また、板状物内で水や湿気等の水分を運搬する能力が向上し、砂漠などの乾燥地の地下の水脈からの水や湿気等の水分を地表近くに運んだり、また、砂漠などの乾燥地での少量の雨や日中と夜間の温度差などで生じる結露水(露)や砂中のわずかな水分を吸収し、植物が成長できる最小限のレベルの水分を少しずつ板状物表面より放出することにより、植物の枯死を抑制し、植物の成長を促進するのではないかと推測される。
【0020】
また、本発明の乾燥地緑化材の飽和含水率は30%以上が好ましい。40%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましい。植物の枯死の抑制の観点からは、飽和含水率は高いほうが好ましいが、板状物として用いる場合には、取扱時の作業性からは100%以下がよい。100%を超えると板状物取扱い時に板状物の強度が不足し割れるおそれがある。
【0021】
次に、本発明の乾燥地緑化材の製造方法の一例を挙げる。
まず、粘土に鋳鉄スラグを混練し、900℃〜1200℃で焼結する方法が挙げられる。この方法で得られる乾燥地緑化材は、1mm以下の細孔及び長径が1mm超から30mm程度の孔径を有し、これらが連通した連通孔を有するものとなる。
【0022】
また、粘土、珪藻土、鋳鉄スラグを混練し、900℃〜1200℃で焼結する方法が挙げられる。この方法で得られた乾燥地緑化材は、連通孔を有し、上記の珪藻土を含まないものに比べ、珪藻土由来の1mm以下の細孔が多くなり、水分の保持の観点より好ましい。
【0023】
また、粘土、珪藻土、有機汚泥を混練し、800℃〜1100℃で焼結する方法が挙げられる。この方法で製造された乾燥地緑化材は、連通孔を有し、その孔径は、実質的に1mm以下の細孔からなる。上記の2つの方法で得られたものに比べ、細孔が多く、また、強度の観点からもこのましい。
【0024】
また、粘土、珪藻土、有機汚泥、スラグを混練し、900℃〜1200℃で焼結する方法が挙げられる。この方法で得られた乾燥地緑化材は、上記のスラグを含まないものに比べ、1mm超の孔径の大きな孔が増加し、含水率を増加させることができる。
上記の配合成分については、記載のあるもの以外に流動化剤や顔料などの他の成分を添加してもよい。また、上記配合成分について、珪藻土は含まなくてもよい。具体的には、粘度、有機汚泥、スラグを混練し、900℃〜1200℃で焼結する方法が挙げられる。この方法で得られた乾燥地緑化材は、上記の珪藻土を含むものに比べ、珪藻土由来の細孔は減少するが、有機汚泥由来の1mm以下の細孔を有し、上記と同様に好ましい形態である。
【0025】
上記のような粘土等の成分を混練したものは、型を用いて成形したり、押出し機を用いて成形することができる。生産性の観点からは押出し成形されたものが好ましい。押出し機を用いて製造した場合に、スラグを配合したものは、押出し方向にスラグが配向し、焼結により、横長の孔が厚さ方向に層状に積層し形成される。また、圧延によっても延伸方向にスラグが配向し、同様に横長の孔が厚さ方向に層状に積層した形状のセラミックス部材が得られる。
また、セラミックス部材は、任意の大きさ、形状に成形し焼成したり、焼成後、任意の大きさ、形状に切断し用いればよい。
セラミック部材は表面を削ることで、吸水速度を向上させる。また、セラミック部材は表面を削ることで、植物の根がセラミック部材の中に入り込みやすくなり、植物の枯死を防ぎ、植物の成長を促進させる。
【0026】
次に本発明の乾燥地緑化材を用いた乾燥地の緑化方法について説明をおこなう。
本発明の乾燥地の緑化方法は、本願発明の乾燥地緑化材である連通孔を有する多孔質のセラミックス部材を地中に埋設することにより行われる。
【0027】
連通孔を有する多孔質のセラミックス部材の地中への埋設の深さは、地中に水分を有する深さ以上、より好ましくは乾燥地の地下に有する水脈の深さ以上の深さまで埋設することが好ましい。より具体的には、砂漠などの乾燥地の地下50cm〜100cm程度に水脈を有することが多いための地下40cm〜150cm程度深さに埋設するとよく、施工性の観点からは地下40cm〜100cm程度の深さに埋設するとよい。埋設の深さは、地下50cm〜100cm程度が好ましく、地下60cm〜100cm程度がより好ましく、地下70cm〜100cm程度がさらに好ましい。
「セラミックス部材の地中への埋設の深さが40cm」という場合には、地表から40cmの穴を掘り、セラミックス部材の下端が地表から40cmの深さにあることをいう。
【0028】
セラミックス部材の形状としては、前記のとおり、塊状物、柱状物、板状物が挙げられる。
また、埋設の方法としては、前記セラミックス部材を垂直方向に埋設する方法が好ましい。垂直方向つまり、垂直方向のセラミックス部材で形成する面の面積が水平方向のセラミックス部材で形成する面の面積よりも広くなるように、塊状物や柱状物、板状物を垂直方向に埋設する。
また、塊状物は勿論のこと、柱状物、板状物を複数用いて、例えば、板状物の表裏を重ね合わせたり、断面を重ね合わせたり、表面(裏面)と断面を交互に重ね合わせるなどして垂直方向の面積が広くなるように埋設してもよい。
【0029】
このようなセラミックス部材を埋設すると好ましい理由は、前記と同様に砂漠などの乾燥地であっても、地表から50cm程度下には水分があることがある。しかしながら、通常植物はここまで根が届かず枯死してしまう。ある程度育てた植物を植え替えても同様に枯死してしまう。
そこで、本発明のセラミックス部材をその水分を有する深さまで埋設することにより、水が毛細管現象により、セラミックス部材の連通する孔の中を通過し、地表近くまで吸い上げられ、セラミックス部材の表面から水分を土へ供給することにより、植えた植物の枯死を防ぎ生存率が高まると考えている。
【0030】
垂直方向にセラミックス部材を埋設する際のセラミック部材の形状としては、板状物が植物の枯死を抑制し、植物の成長促進の観点よりこのましい。
板状物を垂直方向に埋設する好ましい方法は、板状物の表面、裏面がほぼ垂直となるよう、立てて埋設するとよい。
このようにすることにより、板状物に沿って植物の根が深くまで伸び、枯死を抑制し、植物が成長することができる。
【0031】
このような効果がられる理由は定かではないが、前記と同様に水脈に存在する水や水脈近くの湿気等の水分が、垂直方向に埋設したセラミック部材の下部にあるセラミックス部材の表面、裏面及び断面より吸収され、セラミックス部材の表面、裏面からの水や湿気等の水分の放出を抑制しながらセラミックス部材の内部を通過し砂漠などの乾燥地の表面近くにまで、水や湿気等の水分を移動させ、板状物の内部、表面はもちろんのこと、板状物近辺の砂にも水分を供給することができていると推測している。
【0032】
埋設の方法としては、前記セラミックス部材を水平方向に埋設してもよい。埋設の深さは、0cm〜10cm程度が好ましい。
また、地下水がないところでは、セラミックス部材を地下40cm〜150cm程度深さに埋設し、パイプ等から供給される水を保持させることで、植物の枯死を防ぎ、植物の成長を促進させてもよい。
【0033】
水平方向にセラミックス部材を埋設する際のセラミック部材の形状としては、前記のとおり、塊状物、柱状物、板状物が挙げられるが、板状物が植物の枯死を抑制し、植物の成長促進の観点よりこのましい。特に、植物を植えるために板状物の表面から裏面に貫通した穴があけられているものが好ましい。
【0034】
水平方向にセラミックス部材を埋設すると好ましい理由は、定かではないが、板状物を水平方向に埋設することにより、その下の砂を、日中の強い日差しから守り、砂の温度上昇を抑制し、地表近辺の植物の根及び砂からの水分の蒸発を防ぐためではないかと推測される。また、雨や人為的に供給された水分が、セラミックス部材表面より蒸発し難いため、長期間にわたり、セラミックス部材の下の砂に水分を供給し植物の枯死を抑制し、植物の成長を促進するのではないかと推測している。
【0035】
また、好ましくは、セラミックス部材の板状物を垂直方向に埋設し、かつ、セラミックス部材の板状物を水平方向に埋設したものが好ましい。より好ましくは、垂直方向に埋設したセラミックス部材の上部に水平方向に埋設したセラミックス部材が配置されているものがよく、さらに好ましくは垂直方向に埋設したセラミックス部材の上部断面がその上部の水平方向に埋設したセラミックス部材の裏面と接しているとよい。垂直方向に埋設したセラミックス部材の上部断面がその上部の水平方向に埋設したセラミックス部材の裏面に接している場合には、垂直方向に埋設したセラミックス部材が吸い上げた水脈からの水分を水平方向に埋設したセラミックス部材に供給されていると考えている。
【0036】
このようにすることにより、植物はヨコ方向に根を張り、かつ、下方向にも深く根を伸ばすことが可能となり、枯死を防ぐとともにより大きく成長することができる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明について実施例を挙げさらに詳細に本発明を説明する。
セラミック部材の飽和含水率、連通孔の確認、水の拡散状態、孔径の測定は以下の方法にておこなった。
【0038】
(飽和含水率)
サンプルを水に60分間浸漬した後、質量を測定(飽和状態質量)した。下記の式より飽和含水率を求めた。
飽和含水率(質量%)=[(飽和状態質量―絶乾状態質量)/絶乾状態質量]×100
【0039】
(連通孔の確認)
サンプルを水に浸漬し、十分に吸水させた後に切断した。その断面を観察して、セラミックス部材中の連通孔を確認した。セラミックス部材の内部に満遍なく水分が分布・保水されている場合、連通孔を有すると判断した。セラミックス部材中に水分が行き渡っていない場合は、個々の孔が独立しており、連通孔が形成されていないか又は連通孔の形成が不十分と判断した。
【0040】
(水の吸水、拡散状態)
セラミック部材の板状物をタテとヨコの長さがその厚みの長さの2倍の長さの板状物に切断し、表面が上になるように水平に置き、表面のほぼ中央に、1分間に10mlの速度で水を滴下し、表面の水の吸水状況、裏面と側面の漏れの状態を観察し、判断した。水を滴下したセラミックス部材の表面で水を弾いてしまうのではなく、セラミック部材中に水を吸収していくものを「吸水性能を有する」と判断し、また、裏面に比べ、側面の濡れた状態が速く観察された場合、吸水された水が裏面方向に拡散する速度よりも、断面方向に拡散する速度が速いと判断した。
【0041】
(孔径の確認)
水銀注入法(オートポア9420:マイクロメリティックス社)で測定をおこないメジアン細孔直径を求めた。また、目視にて孔の最長部が1mm以上と判断されるものは、最小目盛りが0.5mmの物差を用い長さを測定した。
【0042】
(実施例1)
活性汚泥(小松精練(株)の排水処理設備から凝集・脱水工程を経て排出されたもの)10質量%、鋳鉄スラグ(ダグタイル鋳鉄の製造工程で発生する非晶質スラグの粉砕物)55%、粘土(岐阜県産)30%、珪藻土(能登地区産の耐火煉瓦の原料で含水率が5%の粉末状)5%の割合で配合した混合物を、スクリュー押出式真空土練機を用い円筒状に押出し、切断し、展開して平板物とした。
【0043】
次に、ローラー圧延設備を用いて圧延したものを、遠赤外線を照射し、乾燥し、次に温度180〜200℃の熱風ドライヤーで含水率2%以下とした後、ローラーハースキルンを用い1000℃で焼成した。次に、側面をカットし、タテ1m、ヨコ1m、厚さ40mmのセラミック部材からなる板状の乾燥地緑化材を得た。
さらに、得られたセラミックス部材は必要に応じ任意の大きさにカットし、乾燥地緑化材としてもちいることができる。また、乾燥地緑化試験1では、セラミックス部材はグラインダーで表面を1mm程度削って用いた。乾燥地緑化試験2では、セラミックス部材は、表面を削らずに用いた。
得られたセラミックス部材の性能は以下のとおりであった。
【0044】
飽和含水率:50%
連通孔の確認:セラミック部材の内部に満遍なく水分が分布・保水されており、連通孔を有すると判断できる。
【0045】
水の吸水、拡散状態:水はセラミックス部材の表面から吸収されたため吸水性能を有することが確認された。また、裏面よりも先に側面(断面)の濡れが確認された。したがって、吸水された水は、裏面方向に拡散する速度よりも断面方向に拡散する速度が速いことが確認された。
【0046】
孔径の確認:ヨコ方向に長さ1〜2cm、厚み0.5〜1mm程度の細長い孔が、厚み方向に層状に積層される状態で確認された。また、水銀注入法で測定した細孔直径はメジアン細孔直径で1.1μmであった。
【0047】
次に、得られたセラミックス部材を用いた乾燥地の緑化方法の効果を確認するため以下の試験をおこなった。
(乾燥地緑化試験1)
タテ45cmm、ヨコ45cm、深さ48cmの透明アクリル製水槽に、塩化ビニル製パイプを水槽の底にほぼ着くように立てて配置し、水槽の底に水を供給できるようにした(乾燥地の水脈想定)。次に、ガラス板を用い水槽の下から2cmm程度の間隔を空け(水の供給用)、水槽の左右を区切った。
【0048】
二つに区切られた水槽の一方を更に短辺で2等分に仕切るよう(垂直方向)にタテ35cm、ヨコ20cm、厚み4cmのセラミックス部材の板状物を設置した。
次に、乾燥地の砂を想定し、貝化石土壌(日本海鉱業(株)より入手)を水槽の上部5cm程度まで入れセラミック部材を垂直方向に埋設した。
【0049】
さらにまた、前記のガラス板とセラミックス部材の板状物を垂直方向に埋設することにより仕切った箇所の一方の貝化石土壌の表面を覆うように、タテ22cm、ヨコ22cm、厚さ4cm、中央に直径10cmの表面から裏面に貫通した穴を1つあけたセラミックス部材の板状物を設置し(水平方向)、その板状物の上に厚さが1cm程度となるように貝化石を被せ埋設した。水平方向に埋設したセラミックス部材の板状物の裏面に、垂直方向に設置したセラミックス部材の上部側面(断面)が接するように配置した。
【0050】
次に、乾燥地の水脈を想定し、塩化ビニル製パイプより、水槽の底へ4lの水を供給した。
また、水槽の上20cmくらいの位置に、人工光源として蛍光灯(プラントルクス 40W、植物観賞・育成用、東芝ライテック(株)製)を2本取り付けた。
【0051】
次に、セラミックス部材が水平方向と垂直方向の各一面に埋設された区域をゾーン1、セラミックス部材が垂直方向にのみ埋設された区域をゾーン2、セラミックス部材が埋設されていない場所のうちゾーン1とガラス板により仕切られ対面する区域をゾーン3、ゾーン2とガラス板により仕切られ対面する区域をゾーン4とし、それぞれにイワダレ草の改良品種であるクラピアの苗を一株づつ植え付けた。それぞれのゾーンに1日1回100ccずつ、植付け後の最初の3日間のみ水を与えた。
【0052】
その3週間後にクラピアの生育状況を確認したところ、
ゾーン1では、クラピアが植え付けたときと同様に生き生きしていた。
ゾーン2では、ゾーン1と同様にクラピアが植え付けたときと同様に生き生きしていた。
ゾーン3では、クラピアは一部を除き、ほとんど枯れていた。
ゾーン4では、ゾーン3と同様にクラピアは一部を除き、ほとんど枯れていた。
また、その1ヵ月後(植え付け後約2ヶ月)ゾーン1とゾーン2を観察したところ、クラピアが白い花をつけていた。
【0053】
(乾燥地緑化試験2)
ビニルハウス内を深さ1mまで前記の貝化石土壌を敷き詰め、おおよそ深さ50cm以降の貝化石土壌は濡れており、それよりも上の貝化石土壌は乾いた地質の場所を、乾燥地と見立て試験をおこなった。
【0054】
タテ100cm、ヨコ100cm、深さ60cmの穴を掘り、その穴をタテ50cm、ヨコ50cm、厚さ4cmのセラミックス部材2枚をタテ方向に立てて並べ穴を半分に仕切った。
立てて配置したセラミックス部材の上断面が出ている程度に貝化石土壌にて、掘った穴を埋め戻した。
【0055】
次に、タテ45cm、ヨコ90cm、厚さ4cmのセラミック部材の裏面が、立てて配置した2枚のセラミックス部材のうち一方のセラミックス部材の上断面と接するように水平方向に配置した。
水平方向に配置したセラミックス部材には、クラピアを植えるための、直径10cmの表面から裏面まで貫通した穴が二つあけられている。
次に水平方向に配置したセラミック部材状が1cm程度覆われるように、貝化石土壌を敷き詰め下記の区域を形成した。
【0056】
セラミックス部材が水平方向と垂直方向の各一面に埋設された区域をゾーン1、垂直方向にのみ埋設されたセラミックス部材を有する区域をゾーン2、セラミックス部材が埋設されていない区域をゾーン3とし、それぞれにイワダレ草の改良品種であるクラピアの苗をゾーン1とゾーン2には2株ずつ、ゾーン3には4株植え付けた。それぞれのゾーンに1日1回100ccずつ、植付け後の最初の7日間のみ水を与えた。
【0057】
その7週間後クラピアの生育状況を確認したところ、
ゾーン1では、植え付けたプラピアは大きく成長し、2つの株が重なりあいクラビアの絨毯のようになっており、白い花を沢山つけていた。また、根は水平方向へ広がり、また、垂直方向に埋設したセラミックス部材近辺まで到達した根はセラミックス部材に沿って深くまで成長していた。
【0058】
ゾーン2では、一方のクラピアは、ゾーン1と同様に大きく成長していたが、もう一方の株は成長していたが、大きく成長した一方の株の4分の一程度の成長であった。花は共につけていた。また、根はゾーン1ほど大きく広がってはいなかったが、一部、垂直方向に埋設したセラミックス部材近辺まで到達していたものは、セラミックス部材に沿って深く成長していた。
【0059】
ゾーン3では、クラピアは水のある場所を探しているかのように、数本の茎が放射線状に伸びている状態であり、ゾーン2と比べてもクラピアの密集の程度は少なく、見劣りするものであった。根の張り具合も貧弱であった。