(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サンプリング回路は、前記ベースバンド信号のビット周期の長さに応じて、前記第3データ列をラッチするタイミングを調節可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の復号回路。
前記サンプリング回路は、前記ベースバンド信号のデューティ比に応じて、前記第3データ列をラッチするタイミングを調節可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の復号回路。
前記サンプリング回路は、前記ベースバンド信号のビット周期の長さに応じて、前記カウント値を変化させるドリフト検出部をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の復号回路。
前記サンプリング回路は、前記ベースバンド信号のデューティ比に応じて、前記カウント値を変化させるドリフト検出部をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の復号回路。
前記サンプリング回路は、前記第3データ列の値と前記カウンタのカウント値の関係にもとづいて、前記カウンタのカウント値を増減させるドリフト検出部をさらに含むことを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の復号回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、
図1に示すベースバンド信号を復号する方法について検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
図2(a)、(b)は、本発明者が検討した比較技術に係る復号方法を示す図である。この方法では、まず、受信したベースバンド信号を、ベースバンド信号の1/M倍(Mは整数、ここではM=8とする)の周期を有するように生成されたクロック信号CKを用いてオーバーサンプリングする。続いて、オーバーサンプリングされた信号の変化点を抽出する。そして変化点を示すデータを、Tck×Mの周期で、ベースバンド信号のレベル変化が発生する位置に対応するクロック信号のタイミングで取り込むことにより、ベースバンド信号を復号する。
【0006】
この方法によれば、
図2(a)に示すように、Tp=Tck×Mが成立する条件下において、ベースバンド信号を正確に復調することができる。しかしながら、復号回路で使用されるクロック信号CKとベースバンド信号は非同期であるため、Tp=Tck×Mの関係から逸脱する状況が生じうる。
図2(b)には、ベースバンド信号の周期Tpが、Tck×(M+1)に長くなった状態を示す。この場合、ここで検討した復号方法では、2ビット目b1においてビットエラーが発生する。
【0007】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の目的のひとつは、ビットエラーを低減可能な復号回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、シリアルビットストリームを含むベースバンド信号を復号する復号回路に関する。復号対象のベースバンド信号は、1ビット期間Tpごとにレベルが遷移し、ビットが第1値をあらわすとき、そのビット期間Tp内においてレベルを維持し、ビットが第2値をあらわすとき、そのビット期間Tp内においてレベル遷移するように符号化される。復号回路は、ベースバンド信号を、ベースバンド信号の1/M倍(Mは整数)のクロック周期Tckを有するように生成されたクロック信号でサンプリングし、第1データ列を生成するオーバーサンプリング回路と、第1データ列に応じて第2データ列を生成し、第1データ列にビット変化が発生すると、第2データ列を1クロック期間Tck、アサートする変化点検出回路と、第2データ列を受け、第2データ列がアサートされる期間を、N倍(ただし、Nは、N<M/2を満たす整数)に引き延ばし、第3データ列を生成するストレッチ回路と、クロック信号と同期して、第3データ列に含まれる複数のビットのうち、ベースバンド信号のレベル遷移が発生する位置に対応するビットをラッチし、ベースバンド信号に含まれる各ビットが表す値を示す復調データを生成するサンプリング回路と、を備える。
【0009】
この態様によると、ストレッチ回路によって、変化点を示すデータがアサートされる時間を引き延ばすことにより、ベースバンド信号のビット周期Tpと、クロック信号の周期Tckが、Tp=Tck×Mの関係から逸脱しても、正しいデータを復号することができる。
【0010】
サンプリング回路は、ベースバンド信号のビット周期の長さに応じて、第3データ列をラッチするタイミングを調節可能に構成されてもよい。
これにより、ビット周期の変動が持続した場合にも、ベースバンド信号を正しく復号できる。
【0011】
サンプリング回路は、前記ベースバンド信号のデューティ比に応じて、前記第3データ列をラッチするタイミングを調節可能に構成されてもよい。
これにより、ベースバンド信号のデューティ比が変動した場合にも、ベースバンド信号を正しく復号できる。
【0012】
サンプリング回路は、クロック信号をカウントするカウンタと、カウンタのカウント値が設定値になるたびに、第3データ列の値を取り込むデータ取得部と、を含んでもよい。
【0013】
サンプリング回路は、ベースバンド信号のビット周期の長さに応じて、カウント値を変化させるドリフト検出部をさらに含んでもよい。
【0014】
サンプリング回路は、ベースバンド信号のデューティ比に応じて、カウント値を変化させるドリフト検出部をさらに含んでもよい。
【0015】
サンプリング回路は、第3データ列の値とカウンタのカウント値の関係にもとづいて、カウンタのカウント値を増減させるドリフト検出部をさらに含んでもよい。
ドリフト検出部は、第3データ列とカウンタのカウント値の関係にもとづいて、ベースバンド信号のビット周期や、デューティ比の変動を検出することができる。
【0016】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る復号回路によれば、シリアルデータを正確に復号することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0020】
図3は、第1の実施の形態に係る復号回路2の構成を示す回路図である。復号回路2は、オーバーサンプリング回路10、変化点検出回路20、ストレッチ回路30、サンプリング回路40を備え、ひとつの半導体基板に一体集積化される。本明細書において、ある信号Sを、1クロック周期遅延した信号をS’と表記する。
【0021】
復号回路2は、シリアルビットストリームを含むベースバンド信号S
INを復号する。ベースバンド信号S
INは、
図1(a)に示すように、1ビット期間Tpごとにレベルが遷移し、ビットが第1値をあらわすとき、そのビット期間Tp内においてレベルを維持し、ビットが第2値をあらわすとき、そのビット期間Tp内においてレベル遷移するように符号化されている。
【0022】
復号回路2には、ベースバンド信号S
INの1/M倍のクロック周期Tck(=Tp/M)を有するよう生成されたクロック信号CKが供給される。このクロック信号CKは、ベースバンド信号S
INと非同期であり、その周期Tckの公称値は、ベースバンド信号のビット周期Tpの公称値の1/M倍であるが、それらは独立に変動するため、クロック周期Tckとビット周期Tpは、Tp=Tck×Mの関係から逸脱しうる。
【0023】
オーバーサンプリング回路10は、ベースバンド信号S
INを、クロック信号CKでサンプリングし、第1データ列(オーバーサンプリングデータ)S1を生成する。整数Mは、たとえば4、8、16など2
Xの値、あるいは、3、5、7、9など別の値も取り得、本発明において特に限定されないが、本実施の形態では、理解の容易化と説明の簡潔化のため、M=8の場合について説明する。
【0024】
たとえばオーバーサンプリング回路10は、直列に接続された複数のフリップフロップ12_1、12_2を含む。フリップフロップ12_1は、ベースバンド信号SINを、クロック信号CKのエッジでラッチ(リタイミング)する。後段のフリップフロップ12_2は、フリップフロップ12_1の出力をクロック信号CKのエッジでラッチする。複数のフリップフロップを設けることで、グリッジ(ヒゲ)の発生を抑制できる。もちろん、フリップフロップは1段であってもよいし、3段以上であってもよい。
【0025】
変化点検出回路20は、第1データ列S1に応じて第2データ列(変化点データ)S2を生成する。変化点検出回路20は、第1データ列S1にビット変化が発生すると、1クロック期間Tckの間、第2データ列S2をアサート(たとえばハイレベル)する。
【0026】
たとえば変化点検出回路20は、遅延素子22およびXORゲート24を含む。遅延素子22は、第1データ列S1を、1クロック周期Tck遅延させる。遅延素子22は、第1データ列S1をクロック信号CKのエッジでラッチするフリップフロップ(ラッチ回路)であってもよい。XORゲート24は、第1データ列S1と、遅延素子22から出力される遅延されたデータ列S1’の排他的論理和を取り、第2データ列S2を生成する。なお変化点検出回路20の構成は
図3のそれには限定されず、その他の公知の回路を用いてもよい。
【0027】
ストレッチ回路30は、第2データ列S2を受け、第2データ列S2がアサートされる期間を、N倍(ただし、Nは、N<M/2を満たす整数)に引き延ばし、第3データ列S3を生成する。本実施の形態において、N=M/2−1であり、ストレッチ回路30から出力される第3データ列S3は、第1データ列S1にビット変化が発生すると、Nクロック周期N×Tckの間、アサート状態(ハイレベル)が持続する。
【0028】
たとえばストレッチ回路30は、(N−1)個の遅延素子32_1、…、32_Nと、ORゲート34を含む。本実施の形態では、N−1=2であるため、2個の遅延素子32_1、32_2が設けられる。
【0029】
(N−1)個の遅延素子32_1、32_2は直列に接続され、それぞれが第2データ列S2を1クロック周期Tckずつ遅延させる。ORゲート34は、遅延前の第2データ列S2と、(N−1)個の遅延素子32_1、32_2それぞれから出力される遅延されたデータ列の論理和をとり、第3データ列S3を生成する。
【0030】
ストレッチ回路30の構成も
図3のそれには限定されず、その他の構成を用いてもよい。
【0031】
サンプリング回路40は、クロック信号CKと同期して、第3データ列S3に含まれる複数M個のビットのうち、ベースバンド信号S
INのレベル遷移が発生する位置に対応するビットをラッチすることにより、ベースバンド信号S
INに含まれる各ビットが表す値を示す復調データS
OUTを生成する。
【0032】
本実施の形態において、サンプリング回路40は、カウンタ42、データ取得部44を含む。カウンタ42は、クロック信号CKをカウントする。M=2
Xであるとき、カウンタ42は、Xビットカウンタであってもよい。本実施の形態ではM=2
3であるので、カウンタ42は3ビットのカウンタで構成することができる。カウンタ42は、クロック信号CKと同期して0〜M−1までカウントアップし、0にリセットする動作を繰り返す。
【0033】
データ取得部44は、カウンタ42のカウント値CNTが設定値Yになるたびに、第3データ列S3の値を取り込む。設定値Yは、各ビット周期Tpにおいて、ビット変化点が発生する箇所に対応して定められる。設定値Yは、第3データ列S3がアサートされる期間の中心付近に定めることが望ましい。本実施の形態において、第3データ列S3は、カウント値が3、4、5の期間にアサートされるため、Y=4に設定される。
【0034】
たとえばデータ取得部44は、ANDゲート46およびフリップフロップ48を含む。カウンタ42は、そのカウント値CNTが設定値Yとなるたびにアサート(ハイレベル)されるストローブ信号S4を生成する。ANDゲート46は、ストローブ信号S4と第3データ列S3の論理積S5を生成する。ANDゲート46は、ストローブ信号S4がアサートされている期間、つまり第3データ列S3を取り込むべきクロック周期Tpの間、第3データ列S3を通過させ、その他の期間は第3データ列S3をマスクする。フリップフロップ48は、ANDゲート46の出力S5を、クロック信号CKのエッジで取り込む。
【0035】
サンプリング回路40の構成も、
図3のそれには限定されない。たとえばANDゲート46を省略し、フリップフロップ48の入力端子に、第3データ列S3を入力し、そのクロック端子(ゲート端子)に、ストローブ信号S4を入力し、ストローブ信号S4に応じて第3データ列S3をラッチする構成としてもよい。
【0036】
以上が復号回路2の構成である。続いてその動作を説明する。
図4(a)は、復号回路2の動作を示すタイムチャートであり、
図4(b)は、
図2(a)、(b)に示す、比較技術におけるタイムチャートである。
【0037】
図4(a)、(b)には、あるビット(ここでは先頭のビット)のビット周期Tp
0が公称値より長く、Tp=Tck×(M+1)となった状態が示される。
【0038】
本発明の効果を明確化するため、先に
図4(b)を参照し、比較技術の動作を再度説明する。比較技術は、
図3の復号回路2からストレッチ回路30を省略した構成に対応する。
【0039】
あるビット周期Tp
0が長くなることにより、次のビット周期Tp
1において、第2データ列(変化点データ)S2がアサートされるサイクルが、ストローブ信号S4がアサートされるサイクル(ハッチングを付している)より前に発生する。したがって、ベースバンド信号S
INの2番目以降のビットb
1、b
2、…においてビットエラーが発生することになる。
【0040】
翻って
図4(a)を参照し、
図2の復号回路2の動作を説明する。
図2の復号回路2においては、ストレッチ回路30が、ビット変化を示す第2データ列S2のパルス幅(アサート期間)を複数サイクルN×Tckに引き延ばした第3データ列S3を、サンプリング回路40に供給する。あるビット周期Tp
0が長くなった場合でも、ストローブ信号S4がアサートされるサイクル(ハッチングを付している)において、第3データ列S3は、ベースバンド信号S
INのレベル遷移の有無を示す情報を有しているため、サンプリング回路40は、ベースバンド信号S
INの各ビットの値を正確に判定できる。
【0041】
図5(a)は、復号回路2の動作を示すタイムチャートであり、
図5(b)は、
図2(a)、(b)に示す、比較技術におけるタイムチャートである。
図5(a)、(b)には、あるビット(先頭)のビット周期Tp
0が公称値より短く、Tp=Tck×(M−1)となった状態が示される。
【0042】
図5(b)に示す比較技術では、先頭のビット周期Tp
0が短くなることにより、次のビット周期Tp
1において、第2データ列(変化点データ)S2がアサートされるサイクルが、ストローブ信号S4がアサートされるサイクル(ハッチングを付している)より後ろに発生する。したがって、ベースバンド信号S
INの2番目以降のビットb
1、b
2、…においてビットエラーが発生することになる。
【0043】
一方、
図5(a)に示すように、あるビットb
0のビット周期Tp
0が短くなった場合でも、ストローブ信号S4がアサートされるサイクル(ハッチングを付している)において、第3データ列S3は、ベースバンド信号S
INのレベル遷移の有無を示す情報を有しているため、サンプリング回路40は、ベースバンド信号S
INの各ビットの値を正確に判定できる。
【0044】
このように、実施の形態に係る復号回路2によれば、あるビット周期において、ビット周期Tpとクロック周期Tckの関係がTp=Tck×Mの関係から逸脱したとしても、それ以降のビット周期において、ベースバンド信号S
INを正しく復号できる。
【0045】
当業者であれば、Nの値を大きくするほど、大きな周波数変動に対応することが可能であることが理解される。
【0046】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、あるビット周期が長い状態が持続すると、やがて、ストローブ信号S4がアサートされるサイクルが、第3データ列S3のアサート期間(パルス幅)から外れることになり、ビットエラーが発生する。第2の実施の形態では、このような状況においても、正しくベースバンド信号を復号可能な復号回路2について説明する。
【0047】
図6は、第2の実施の形態に係る復号回路2aの構成を示す回路図である。復号回路2aのサンプリング回路40aは、
図3のサンプリング回路40に加えて、ドリフト検出部50を備える。
【0048】
カウンタ42aは、外部からの制御に応じて、カウント値CNTが増減可能に構成される。ドリフト検出部50は、ベースバンド信号S
INのビット周期Tpの長さに応じて、カウンタ42のカウント値CNTを変化させる。
【0049】
ドリフト検出部50は、第3データ列S3の値とカウンタ42aのカウント値CNTの関係にもとづいて、以下のようにカウント値CNTを制御することができる。
【0050】
(制御1)
ドリフト検出部50は、ビット周期Tpが長いとき、カウント値CNTを1減少させる。具体的にはドリフト検出部50は、(i)カウント値CNTが7のときに、第3データ列S3が0ならば、カウント値CNTを1減少させる。
【0051】
(制御2)
ドリフト検出部50は、ビット周期Tpが短いとき、カウント値CNTを1増加させる。具体的にはドリフト検出部50は、(ii)カウント値CNTが6のときに、第3データ列S3が1ならば、カウント値CNTを1増加させる。
【0052】
(制御3)
ドリフト検出部50は、ビットストリーム信号S
INのデューティ比が50%より長いとき、カウント値CNTを1増加する。具体的にはドリフト検出部50は、(iii)カウント値CNTが3のときに、第3データ列S3が0、かつカウント値CNTが4のときに、第3データ列S3が1ならば、カウント値CNTを1増大させる。
【0053】
図7(a)〜(d)は、ドリフト検出部50によるカウント値の制御を示すタイムチャートである。
図7(a)は正常時の、
図7(b)はビット周期Tpが長いとき、
図7(c)はビット周期Tpが短いとき、
図7(d)はデューティ比が50%より長いときの様子を示す。ドリフト検出部50によれば、ビット周期Tpおよびデューティ比の変動に追従して、サンプリングのタイミングをシフトさせることができる。
【0054】
以上が復号回路2aの構成である。続いてその動作を説明する。
【0055】
図8(a)、(b)は、第2の実施の形態に係る復号回路2aおよび第1の実施の形態に係る復号回路2それぞれの動作を示すタイムチャートである。
図8(a)、(b)には、連続する2つのビット(ここでは先頭と2番目のビット)のビット周期Tp
0、Tp
1が公称値より長く、Tp=Tck×(M+1)となった状態が示される。
【0056】
第2の実施の形態の効果を明確化するため、先に
図8(b)を参照し、第1の実施の形態の動作を説明する。
図8(b)に示すように、ビット周期Tpが公称値より長い状態が続くと、ストローブ信号S4がアサートされるサイクル(ハッチングを付している)が、第3データ列S3がアサートされる期間から外れる。その結果、3ビット目以降については、エラーが発生する。
【0057】
翻って
図8(a)を参照し、
図6の復号回路2aの動作を説明する。復号回路2aにおいては、ドリフト検出部50によって、あるビット周期Tp
0が長くなると、次のビット周期Tp1において、第3データ列S3をラッチするタイミング、すなわちストローブ信号S4のタイミングが、第3データ列S3に対して相対的に後ろにシフトされる(制御1)。これにより、ビット周期Tpが公称値より長い状態が持続したとしても、それに追従してストローブ信号S4のタイミングを補正することができ、3ビット目以降についても、正しく復号することができる。
【0058】
図9(a)、(b)は、第2の実施の形態に係る復号回路2aおよび第1の実施の形態に係る復号回路2それぞれの動作を示すタイムチャートである。
図9(a)、(b)には、連続する2つのビット(ここでは先頭と2番目のビット)のビット周期Tp
0、Tp
1が公称値より短く、Tp=Tck×(M−1)となった状態が示される。
【0059】
第2の実施の形態の効果を明確化するため、先に
図9(b)を参照し、第1の実施の形態の動作を説明する。
図9(b)に示すように、ビット周期Tpが公称値より短い状態が続くと、ストローブ信号S4がアサートされるサイクル(ハッチングを付している)が、第3データ列S3がアサートされる期間から外れる。その結果、3ビット目以降については、エラーが発生する。
【0060】
翻って
図9(a)を参照し、
図6の復号回路2aの動作を説明する。復号回路2aにおいては、ドリフト検出部50によって、あるビット周期Tp
0が短くなると、次のビット周期Tp1において、第3データ列S3をラッチするタイミング、すなわちストローブ信号S4のタイミングが、第3データ列S3に対して相対的に前にシフトされる(制御2)。これにより、ビット周期Tpが公称値より短い状態が持続したとしても、それに追従してストローブ信号S4のタイミングを補正することができ、3ビット目以降についても、正しく復号することができる。
【0061】
図10(a)、(b)は、第2の実施の形態に係る復号回路2aの動作を示すタイムチャートである。
図10(a)、(b)には、
図8(a)、(b)と同様に、連続する2つのビットのビット周期Tp
0、Tp
1が公称値より長い状態が示される。
図10(a)、(b)では、
図8(a)、(b)よりも、ベースバンド信号S
INのデューティ比が長くなっている。
【0062】
図10(b)には、制御1のみを行い、制御3を行わない場合の動作を、
図10(a)には、制御1および制御3を併用したときの動作を示す。
図10(b)に示すように、制御1のみを行った場合、カウント値CNTが7のとき、第3データ列S3が0の状態が複数回、連続して発生してしまい、ストローブ信号S4のタイミングを正しくシフトさせることができず、ビットエラーが発生する。
【0063】
これに対して
図10(a)に示すように、制御1と制御3を併用することで、デューティ比が50%より長い状態が発生しても、ストローブ信号S4のタイミングを適切にシフトすることができ、ベースバンド信号S
INを正しく復号できる。
【0064】
また、制御3は、ベースバンド信号S
INのビット周期Tpが公称値に安定化される状況において、デューティ比が50%より大きくなる場合にも有用である。
図11(a)、(b)は、第2の実施の形態に係る復号回路2aの動作を示すタイムチャートである。
図11(a)、(b)には、ビット周期Tpが公称値と等しいが、ベースバンド信号S
INのデューティ比が長い状態を示す。
【0065】
図11(b)には、制御1のみを行い、制御3を行わない場合の動作を、
図11(a)には、制御1および制御3を併用したときの動作を示す。
図11(b)に示すように、制御1のみを行った場合、カウント値CNTが7のとき、第3データ列S3が0の状態が複数回、連続して発生してしまい、ストローブ信号S4のタイミングを正しくシフトさせることができず、ビットエラーが発生する。
【0066】
これに対して
図11(a)に示すように、制御1と制御3を併用することで、デューティ比が50%より長い状態が発生しても、ストローブ信号S4のタイミングを適切にシフトすることができ、ベースバンド信号S
INを正しく復号できる。
【0067】
続いて、第1、第2の実施の形態に係る復号回路2の用途を説明する。復号回路2は、Qi規格に準拠するワイヤレス給電装置に利用することができる。
図12は、実施の形態に係る復号回路2を備える給電装置100を示すブロック図である。給電装置100は、給電コイル102、復調回路104、復号回路2、コントローラ106、ドライバ108を備える。
【0068】
給電コイル102は、電力信号S10を発生するとともに、図示しないレシーバから変調された信号S11を受信する。ドライバ108は、給電コイル102に駆動電流を供給することにより、給電コイル102に電力信号S10を発生させる。復調回路104は、給電コイル102によって受信した信号を復調し、ベースバンド信号S
INを生成する。復号回路2は、復調回路104から出力されるベースバンド信号S
INを復号する。コントローラ106は、復号回路2からの信号にもとづいて、ドライバ108を制御する。
【0069】
ワイヤレス給電システムでは、レシーバから給電装置(トランスミッタ)に対して、送信すべき電力を指示する情報が、変調された送信される。実施の形態に係る復号回路2を用いることにより、レシーバからの情報を正確に復号でき、電力制御の精度を高めることができる。
【0070】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0071】
(変形例1)
第1、第2の実施の形態では、M=8、N=3の場合を説明したが、本発明はそれには限定されない。Nは、M/2より小さい範囲においてなるべく大きくすることが望ましいが、想定される周期変動が小さい場合には、Nをさらに小さくすることができる。Nを小さくすることにより、回路規模を小さくできる。
【0072】
(変形例2)
第2の実施の形態では、ドリフト検出部50によってカウント値を変化させることにより、ストローブ信号S4のタイミングをシフトする場合を説明したが、本発明はそれには限定されない。ドリフト検出部50は、ベースバンド信号のビット周期Tpやデューティ比に応じて、カウント値CNTに代えて、設定値Yを変化させてもよい。
【0073】
(変形例3)
第2の実施の形態では、ドリフト検出部50は、第3データ列S3とカウント値CNTの関係にもとづいて、ベースバンド信号のビット周期Tpやデューティ比の変動を検出したが本発明はそれには限定されない。たとえばドリフト検出部50は、第2データ列S2とカウント値CNTの関係にもとづいて、それらの変動を検出してもよい。
【0074】
(変形例4)
実施の形態では、復号回路2を給電装置に利用する場合を説明したが、その用途は特に限定されず、さまざまな回路間のデータ伝送に利用可能である。
【0075】
(変形例5)
実施の形態において、各信号のハイレベルとローレベルの割り当ては例示であり、当業者によれば、各信号の論理値を適宜反転しうることが理解される。
【0076】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。