(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043199
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】シャトルコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B65G 21/14 20060101AFI20161206BHJP
B65G 15/26 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
B65G21/14 A
B65G15/26
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-23218(P2013-23218)
(22)【出願日】2013年2月8日
(65)【公開番号】特開2014-152017(P2014-152017A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108567
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】清水 一義
【審査官】
中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】
特公平7−64325(JP,B2)
【文献】
特開2006−36479(JP,A)
【文献】
特開2003−227804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 21/14
B65G 15/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトに対して内接する複数の内接ローラと前記ベルトに対して外接する少なくとも1つの外接ローラとのうち、端部の前記内接ローラとその下方向の近傍に位置する前記外接ローラとを備える可動部と、残りの前記ローラを備える固定部とでコンベヤユニットが構成されていて、前記固定部に対して前記可動部を移動させることで搬送距離を可変するシャトルコンベヤにおいて、
前記可動部は、前記固定部に対して、前記搬送距離を可変にするために移動可能であり且つメンテナンス位置において跳ね上げ可能な可動部フレームを備えており、
前記外接ローラは、前記可動フレームから脱着可能に構成されており、
前記メンテナンス位置において、前記可動部を跳ね上げることで前記ベルトが弛んだ状態で、前記外接ローラが前記可動部フレームから離脱可能であることを特徴とするシャトルコンベヤ。
【請求項2】
前記コンベヤユニットは駆動部を備えたベースユニットに対して脱着可能に構成されており、前記駆動部からの駆動力は前記コンベヤユニットを前記ベースユニットに対して装着した状態で、前記固定部に属する前記ローラに伝達されることを特徴とする請求項1に記載のシャトルコンベヤ。
【請求項3】
前記可動部は、前記可動部フレームの外側にガイドピンとピニオンとを備えており、前記固定部は、前記ガイドピンを前記可動部の可動方向に沿って案内するとともに前記ガイドピンの前記可動方向と交差する方向の動きを規制する溝部が設けられたガイド部材と、前記ピニオンと噛み合い且つ前記ピニオンを前記可動方向に沿って案内するラックを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャトルコンベヤ。
【請求項4】
前記ガイド部材の前記溝部は一方の端部が切欠きを通して開放されており、前記可動部が前記メンテナンス位置に達することに応じて、前記ガイドピンが前記切欠きを通して前記溝部から離脱し、前記可動部は跳ね上げ動作が可能となることを特徴とする請求項3に記載のシャトルコンベヤ。
【請求項5】
前記可動部は、前記ピニオンが前記ラックと噛み合った状態で前記可動部フレームが前記ピニオンの軸の回りに回動することにより、跳ね上げられることを特徴とする請求項4に記載のシャトルコンベヤ。
【請求項6】
前記ピニオンは前記可動部フレームに支持されたシャフトに取り付けられており、前記シャフトの一方の端部には前記ピニオンを操作するための調整ノブが設けられ、前記シャフトの他方の端部には前記ピニオンの前記ラックに対する位置を固定する固着具が設けられていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のシャトルコンベヤ。
【請求項7】
前記可動部フレームは、前記内接ローラを備える前記端部とは反対側の端部において、前記外接ローラの軸と離脱可能に係合する係合端部を備えていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のシャトルコンベヤ。
【請求項8】
前記係合端部は、前記可動部フレームの端部が順次折り曲がって渦巻き状に形成されて、係脱経路を通じて外部に開いた係合溝に構成されており、前記外接ローラの前記軸が前記係脱経路を通じて前記係合溝と係脱可能であることを特徴とする請求項7に記載のシャトルコンベヤ。
【請求項9】
ボックスモーションタイプの横型製袋充填包装機のエンドシーラ部や包装される製品の整列・搬送などの包装機械及びその周辺装置における製品の搬送に適用されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のシャトルコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送距離が可変なシャトルコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送距離が可変なコンベヤの一つとしてシャトルコンベヤが提供されている。シャトルコンベヤは、通常、2つのシャトルコンベヤ部が対で用いられ、互いに搬送距離を可変することで様々な働きをする。例えば、ボックスモーションタイプの横型製袋充填包装機のエンドシーラ部(特許文献1参照)や被包装品の整列・搬送(特許文献2参照)など、包装機械及びその周辺装置に広く用いられている。
【0003】
シャトルコンベヤの一例として、
図7に示されているものがある。図示のシャトルコンベヤ50は、対に成った2つのシャトルコンベヤ部51,52から構成されている。シャトルコンベヤ部51,52は、それぞれ、ベルト53,54に対して内接する3以上の複数のローラ(シャトルコンベヤ部51の可動ローラA及び固定ローラB,C,D;シャトルコンベヤ部52の可動ローラF及び固定ローラG,H,I)と、ベルト53,54に対して外接する少なくとも1つのローラ(シャトルコンベヤ部51の可動ローラE;シャトルコンベヤ部52のJ)から構成される。下流側のシャトルコンベヤ部52は、上流側のシャトルコンベヤ部51と向きを対向させた配置となっていること以外は、同じ構成を備えている。
【0004】
シャトルコンベヤ部51においては、ベルト53に係合された1つの外接する可動ローラEと1つの内接する可動ローラAとが可動部の動作によって同期して同一方向に移動し、シャトルコンベヤ部52においては、ベルト54に係合された1つの外接する可動ローラJと1つの内接する可動ローラFとが可動部の動作によって同期して同一方向に移動することで、搬送面の長さが可変となる。可動ローラA,Fは、互いの間隔が広がることなく同じ間隔を保ちながら移動するので、可動ローラA,Fがどの位置にあっても、製品は常に移載される。
【0005】
図8には、シャトルコンベヤ部51を上流側のコンベヤとし、シャトルコンベヤ部52を下流側のコンベヤとして、シャトルコンベヤ50の搬送距離を可変とし、製品を次段の搬送コンベヤ55へ搬送する使用態様が示されている。
図8(a)に示すシャトルコンベヤ50は、長さが比較的に短い製品aに対する使用状態を示しており、上流側のシャトルコンベヤ部51の可動ローラAと可動ローラEが下流側のシャトルコンベヤ部52側に進出した位置にあり、その進出移動分だけ、下流側のシャトルコンベヤ部52の可動ローラFと可動ローラJが後退した位置にある。
【0006】
図8(b)に示すシャトルコンベヤ50は、上流側のシャトルコンベヤ部51の可動ローラAと可動ローラEが
図8(a)に示す位置よりも後退し、その後退移動分だけ、シャトルコンベヤ部52の可動ローラFと可動ローラJがシャトルコンベヤ部51側に進出した位置を占めている。シャトルコンベヤ部52においては、
図8(b)に示された状態の搬送路長さが
図8(a)に示された状態の場合よりも長くなっており、比較的長さが長い製品bの全体を載せることができ、次段の搬送コンベヤ55への製品搬送の際に、製品Bをシャトルコンベヤ部52上で待機させることができる。このように、上流側のシャトルコンベヤ部51から下流側のシャトルコンベヤ部52へ製品が移載される位置を変更することができ、製品が移載位置をまたいで停止することがないように、製品の長さに応じてシャトルを移動させて移載位置が調整される。
【0007】
包装機械及びその周辺装置に広く用いられる搬送装置については、搬送物が食品であった場合、搬送ベルトを清潔に保つためにベルトを取外して清掃・洗浄する必要がある。ベルトの洗浄が必要な搬送コンベヤの場合、一般的には、簡単にベルトが着脱できるような工夫が施されている。例えば、コンベヤの端部を跳ね上げ可能な構成にし、跳ね上げることでベルトを弛ませ、着脱を容易にしている(特許文献3参照)。また、コンベヤユニットごと装置本体から取り外し可能に構成し、メンテナンスの利便性を図っているものもある(特許文献4参照)。
【0008】
しかしながら、搬送装置が
図7、
図8に示すようなシャトルコンベヤである場合、構造が複雑になっているので、簡単に端部を跳ね上げるように構成することが困難である。更に、コンベヤユニットの取外しができたとしても、端部の跳ね上げ機構を備えていなければ、ベルトに内接するローラの位置を後退させるなどしてベルトを弛めないと、ベルトを取り外すことはできない。
【0009】
図9は、ベルトが巻き掛けられるローラを後退させることでベルトを取り外す機構の一例を示す図である。
図9の(a)は上面図であり、(b)は側面図である。コンベヤフレーム60は、ローラの搬送幅に相当する距離だけ離れた二枚の細長いフレーム板61,61から成っている。各フレーム板61のローラを支持する端部近傍の外側に、ブラケット62がブラケット固定ボルト65,65によって固定されている。ブラケット62は、フレーム板61に沿った基部63と、基部63から起立した起立部64とを備えており、起立部64にローラの位置を調整するための調整ボルト66がねじ込まれている。各フレーム板61のブラケット62が固定された位置よりも更に端部側にはローラ支持部材67が設けられている。ローラ支持部材67は、フレーム板61に沿った基部68と、基部68から起立してブラケット62の起立部64と対向したボルト当て部69と、基部68の先端部分に設けられたローラ軸支持部70とを備えている。基部68には、フレーム板61の長手方向に沿って長孔71が形成されており、長孔71を通して支持部材固定ボルト72,72をフレーム板61にねじ込むことにより、ローラ支持部材67をフレーム板61に固定することができる。フレーム板61,61のローラ軸支持部70,70にローラの軸を支持することで、ローラをコンベヤフレーム60に対して回転自在に支持することができる。
【0010】
支持部材固定ボルト72,72によるローラ支持部材67の締付けを弛めた状態で、起立部64に対する調整ボルト66のねじ込み量を加減することで、ボルト当て部69を介してローラ支持部材67を長孔71の長さの範囲内でフレーム板61に沿って移動させることができ、これによってベルトの張力を調整することができる。調整後に支持部材固定ボルト72,72を締め付けてローラ支持部材67を固定する。ベルトを取り外す場合には、支持部材固定ボルト72,72によるローラ支持部材67の締付けを弛めた状態で、調整ボルト66を最大に弛めて、ローラ支持部材67を最も後退させる。
図9に示す機構では、ローラを後退させてベルトを取り外そうとする場合、取外しに手間がかかるばかりでなく、調整後に再度取り付ける際もローラの平行を調整するのが難しく、更に、正しく調整しないとベルトが搬送走行中に蛇行をする原因ともなる。
【0011】
また、シャトルコンベヤにおいてベルトの着脱を容易にする機構の例が提案されている(特許文献5参照)。この提案によるものは、片持ち式で旋回してベルトから離間可能な外接するテンションローラを余分に設けることとなり、複雑な構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特公平07−064325号公報
【特許文献2】特許第4236302号公報
【特許文献3】実開昭63−113009号公報
【特許文献4】特開平11−091707号公報
【特許文献5】特開2009−091034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、シャトルコンベヤにおいて、簡易な構成でベルトの着脱が容易に行えることが要望されている。
【0014】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、フレームからシャトルコンベヤ部の取外しが容易であり、かつシャトルコンベヤ部の取外し後、シャトルコンベヤ部からコンベヤベルトを簡単に外すことができ、取り外したベルトを清掃・洗浄しやすくするシャトルコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、この発明によるシャトルコンベヤは、ベルトに対して内接する複数の内接ローラと前記ベルトに対して外接する少なくとも1つの外接ローラとのうち、端部の前記内接ローラとその下方向の近傍に位置する前記外接ローラとを備える可動部と、残りの前記ローラを備える固定部とでコンベヤユニットが構成されていて、前記固定部に対して前記可動部を移動させることで搬送距離を可変するシャトルコンベヤにおいて、前記可動部は、前記固定部に対して、前記搬送距離を可変にするために移動可能であり且つメンテナンス位置において跳ね上げ可能な可動部フレームを備えており、前記外接ローラは、前記可動フレームから脱着可能に構成されており、 前記メンテナンス位置において、前記可動部を跳ね上げることで前記ベルトが弛んだ状態で、前記外接ローラが前記可動部フレームから離脱可能であることを特徴としている。
【0016】
このシャトルコンベヤによれば、端部の内接ローラとその下方向の近傍に位置する外接ローラとを備える可動部は、固定部に対して、搬送距離を可変にするために移動可能であり且つメンテナンス位置において跳ね上げ可能な可動部フレームを備えているので、当該内接ローラと外接ローラとを備えたまま、メンテナンス位置において、固定部に対して可動部フレームが跳ね上げ可能となる。この可動部フレームの跳ね上げによって、シャトルコンベヤにおける固定部と可動部との相対姿勢が変化し、ベルトの正味巻き掛け長さが減少する。その結果、各ローラに緊張状態に巻き掛けられていたベルトが緩み、可動部において外接ローラを可動部フレームから離脱させることが容易になる。可動部において外接ローラを可動部フレームから離脱させると、ベルトの緩みは更に大きくなり、ベルトをシャトルコンベヤから取り外すことが容易になる。
【0017】
このシャトルコンベヤにおいて、前記コンベヤユニットは駆動部を備えたベースユニットに対して脱着可能に構成されており、前記駆動部からの駆動力は前記コンベヤユニットを前記ベースユニットに対して装着した状態で、前記固定部に属する前記ローラに伝達させることができる。コンベヤユニットはベースユニットに対して脱着可能であるので、コンベヤユニットは、ベースユニットから取り外すときに駆動部との動力伝達経路も切断され、ベースユニットから分離した状態でコンベヤユニットからベルトを容易に取り外すことができる。コンベヤユニットをベースユニットに対して装着したときには、駆動部からの固定部に属するローラへの伝達経路が接続され、駆動部の駆動力が伝達可能となって、シャトルコンベヤを駆動することができる。
【0018】
このシャトルコンベヤにおいて、前記可動部は、前記可動部フレームの外側にガイドピンとピニオンとを備えており、前記固定部は、前記ガイドピンを前記可動部の可動方向に沿って案内するとともに前記ガイドピンの前記可動方向と交差する方向の動きを規制する溝部が設けられたガイド部材と、前記ピニオンと噛み合い且つ前記ピニオンを前記可動方向に沿って案内するラックを備えていることができる。可動部と固定部のこの構成によれば、可動部は、ガイドピンがガイド部材の溝部によって規制されながら当該溝部の延びる方向に案内され、且つピニオンがラックに噛み合っていることで、ピニオンがラック上を噛み合いながら転動することで、可動部の可動方向、即ち、ガイド部材による案内方向に沿って移動することができる。
【0019】
このシャトルコンベヤにおいて、前記ガイド部材の前記溝部は一方の端部が切欠きを通して開放されており、前記可動部が前記メンテナンス位置に達することに応じて、前記ガイドピンが前記切欠きを通して前記溝部から離脱し、前記可動部を跳ね上げ動作可能にすることができる。可動部をメンテナンス位置に至らしめると、可動部フレームに備わるガイドピンは、ガイド部材に設けられている溝部の一方の端部に形成されている切欠きを通して溝部との係合から離脱する。したがって、ガイドピンは固定部との係合から外れるので、可動部フレームは固定部に対して跳ね上げ動作可能となる。この場合、更に、前記可動部は、前記ピニオンが前記ラックと噛み合った状態で前記可動部フレームが前記ピニオンの軸の回りに回動することにより、跳ね上げ可能とすることができる。
【0020】
このシャトルコンベヤにおいて、前記ピニオンは前記可動部フレームに支持されたシャフトに取り付けられており、前記シャフトの一方の端部には前記ピニオンを操作するための調整ノブを設け、前記シャフトの他方の端部には前記ピニオンの前記ラックに対する位置を固定する固着具を設けることができる。シャフトの一方の端部に設けられた調整ノブを操作することでピニオンを回転させると、ピニオンはラック上を噛み合いながら転動するので、固定部に対して可動部を移動させることができる。シャフトの他方の端部に設けられた固着具を操作することで、固定部に対する可動部の位置を固定、或いはその固定を弛めて可動部を別の位置へ移動させることができる。
【0021】
このシャトルコンベヤにおいて、前記可動部フレームは、前記内接ローラを備える前記端部とは反対側の端部において、前記外接ローラの軸と離脱可能に係合する係合端部を備えることができる。この場合、更に、前記係合端部は、前記可動部フレームの端部が順次折り曲がって渦巻き状に形成されて、係脱経路を通じて外部に開いた係合溝に構成されており、前記外接ローラの前記軸が前記係脱経路を通じて前記係合溝と係脱可能であるとすることができる。可動部フレームの内接ローラを備える端部とは反対側の端部の形状を工夫することで、外接ローラの軸と離脱可能に係合する係合端部を簡単な構造にて構成することができる。
【0022】
このシャトルコンベヤは、ボックスモーションタイプの横型製袋充填包装機のエンドシーラ部や包装される製品の整列・搬送などの包装機械及びその周辺装置における製品の搬送に適用することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によるシャトルコンベヤは、上記のように構成されているので、メンテナンス位置において、内接ローラと外接ローラとを備えた可動部フレームを、固定部に対して跳ね上げ可能とすることができ、シャトルコンベヤにおける固定部と可動部との相対姿勢が変化してベルトの正味巻き掛け長さが減少するので、各ローラに緊張状態に巻き掛けられていたベルトが緩み、可動部において外接ローラを可動部フレームから離脱させることが容易になる。可動部において外接ローラを可動部フレームから離脱させると、ベルトの緩みは更に大きくなり、シャトルコンベヤにおけるベルトの着脱を極めて容易に行うことができる。シャトルコンベヤが包装装置及びその周辺で使用される場合には、ベルトが包装物の破片や粉状物質で汚れる可能性があるが、このシャトルコンベヤを適用することで、シャトルコンベヤからのベルトの取外しが簡単な作業で短時間に行うことができ、清掃・洗浄の後の取付けも極めて容易であるため、包装装置及びその周辺装置の稼働効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】この発明によるシャトルコンベヤの固定側構造の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すシャトルコンベヤの可動側構造の一例を示す正面図である。
【
図5】この発明によるシャトルコンベヤの可動側構造における外接可動ローラの軸との係合関係を示す図である。
【
図6】この発明によるシャトルコンベヤのベルト取外し手順を示す説明図である。
【
図7】シャトルコンベヤの基本構造を示す図である。
【
図8】
図7に示すシャトルコンベヤの使用例を示す図である。
【
図9】コンベヤにおけるローラ位置調整の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面に基づいて、この発明によるシャトルコンベヤの実施例を説明する。
図1は、この発明によるシャトルコンベヤの固定部の一例を示す斜視図である。
図2〜図は4、
図1に示すシャトルコンベヤの可動部の一例を示す図であって、
図2はその正面図、
図3はその上面図、
図4はその斜視図である。
【0026】
シャトルコンベヤ1は、
図1に示す固定部2及び
図2〜
図4に示す可動部3から成るコンベヤユニット5(
図2、
図3、
図6参照のこと)と、コンベヤユニット5を取外し可能に固定するコンベヤベース部4とから構成されている。コンベヤユニット5は、固定部2において、コンベヤベース部4に対して固定用蝶ねじ6によって取外し可能に固定されている。固定部2は、コンベヤの両側に配設された一対の固定フレーム7,7を備えており、各固定フレーム7は、コンベアベース部4に重なる水平フレーム部8と、当該水平フレーム部8から折れ曲がって垂直に起立した側壁フレーム部9とから構成されている。
【0027】
各固定フレーム7の水平フレーム部8には切欠き部分10が形成されており、切欠き部分10の一部として外に開いた凹部11が形成されている。凹部11に固定用蝶ねじ6を挿通して、固定用蝶ねじ6をコンベヤベース部4に形成されているねじ穴4aにねじ込むことによって、固定フレーム7(したがってコンベヤユニット5の固定部2)はコンベヤベース部4に固定される。また、各側で固定用蝶ねじ6,6を弛めた状態で固定フレーム7,7をコンベヤベース部4に沿ってスライドさせて固定用蝶ねじ6を切欠き部分10の凹部11から外すことによって、コンベヤユニット5をコンベヤベース部4から分離することができる。コンベアベース部4には、ねじ穴4aに対して所定の距離を置いた位置にホルダー部4bが設けられている。ホルダー部4bは、傾斜したガイド部4cと突き当たり部4dを備えている。固定フレーム7の水平フレーム部8をガイド部4cで案内させつつスライドさせ、水平フレーム部8の端縁をホルダー部4bに突き当てると、水平フレーム部8はホルダー部4bによってコンベヤベース部4上で浮き上がり不能となり、その状態で固定用蝶ねじ6をねじ穴4aにねじ込むことで、固定フレーム7はコンベヤベース部4に固定される。このように、固定用蝶ねじ6と凹部11の組み合わせによって、コンベヤユニット5をコンベヤベース部4に対して容易に着脱可能に構成することができる。
【0028】
一対の固定フレーム7,7間には、固定フレーム7,7に対して位置が固定されている固定ローラB,C,Dがそれぞれ回転自在に支持されている。シャトルコンベヤ1の可動ローラA,Eについては、
図2〜
図4に示す可動部3に設けられているので、
図1には図示されていない。シャトルコンベヤ1は、モータから成る駆動部を備えたベースユニット(コンベヤベース部4)と、該ベースユニットに脱着可能に構成されたコンベヤユニット5から構成される。駆動部である図示しないモータの回転出力は、モータ軸12に取り付けられた駆動ギア13とこれに噛み合うもう一つの駆動ギア14及びその回転軸15を介して、コンベヤユニット5の固定ローラDに伝えられ、固定ローラDから各ローラに巻きかけられるコンベアベルトを駆動する。シャトルコンベヤ1においては、ベルトに対して内接するローラ3以上の複数のローラであることが好ましい。また、ベルトに対して外接するローラは、少なくとも1つのローラがあればよい。
【0029】
固定部2において、各固定フレーム7の側壁フレーム部9には、上辺近傍に当該上辺に沿って水平方向に長く延びるシャフト貫通長孔16が形成されている。固定フレーム7,7のシャフト貫通長孔16,16同士は、互いに位置と形状が整合して形成されている。各側壁フレーム部9の内側壁には、シャフト貫通長孔16に対応してガイド部材17が取り付けられている。ガイド部材17には、シャフト貫通長孔16の開口を塞ぐことがないように、シャフト貫通長孔16に沿って延びる溝部18が形成されており、溝部18はシャトルコンベヤの移載位置(以下、「コンベヤ移載位置」という)側のみが切欠き19となって開いている。更に、ガイド部材17には、溝部18の下方に、当該溝部18に沿って延びるラック20が取り付けられている。
【0030】
図2〜
図4には、シャトルコンベヤ1の可動部3が示されている。可動部3は、コンベヤ移載位置側に配置され且つコンベヤベルトに対して内接する可動ローラAと、コンベヤ移載位置とは反対側に配置され且つコンベヤベルトに対して外接する可動ローラEとを備えている。可動部3は、コンベヤベルトの幅方向の両側においてコンベヤ搬送方向に延びる可動部フレーム21,21を備えており、可動ローラAは可動部フレーム21,21のコンベヤ移載位置側端部22,22間において回転自在に支持されている。可動部フレーム21,21のコンベヤ移載位置とは反対側の端部は「G」字のように渦巻き状に形成された係合端部23,23に形成されており、可動ローラEは、この係合端部23,23において、離脱可能に係合されている。
図2〜
図4に示す状態では、可動部3は水平状態にある。コンベヤユニット5においては、端部の内接ローラAとその下方向の近傍に位置する外接ローラEが可動部3を構成し、残りのローラB〜Dは固定部2を構成している。
【0031】
可動部3において、各可動部フレーム21の長手方向中央付近には、外側に向けて突出するガイドピン24が設けられている。可動部フレーム21,21の係合端部23,23付近には、シャフト25が両可動部フレーム21,21に対して交差する態様で貫通している。シャフト25が可動部フレーム21,21を貫通して外側へ突出した突出部分には、可動部フレーム21に平行な面内で回転するピニオン26,26が取り付けられている。シャフト25の一方の突出部分において、ピニオン26の外側には操作用の調整ノブ27が設けられている。また、シャフト25の他方の突出部分において、シャフト25を固定フレーム7に固定するための固定用蝶ねじ28が設けられている。
【0032】
可動部3を固定部2に組み付けた状態では、ガイドピン24は固定部2のガイド部材17の溝部18に嵌合され、ピニオン26は、固定部2のガイド部材17に取り付けられたラック20と噛み合っている。また、調整ノブ27と固定用蝶ねじ28とは、この組付け状態では、対応する固定フレーム7,7の外側に位置するようにシャフト25に取り付けられているので、オペレータによる調整ノブ27又は固定用蝶ねじ28の操作を容易にしている。固定用蝶ねじ28を弛めてシャフト25の固定フレーム7への固定を解除した状態で調整ノブ27を回転操作することで、ピニオン26は、ラック20上で噛み合いながら転動し、ラック20によって案内される。このとき、ガイドピン24は、ガイド部材17の溝部18内を、上下方向の動きを規制されつつ水平方向に案内されて移動するので、可動部3は固定部2に対して姿勢を維持しながら平行移動する。可動部3の位置を固定する場合には、固定用蝶ねじ28を締め付ける。可動部3は手動により調整ノブ27を操作することで、シャトルコンベヤ1の搬送距離を可変とすることができる。
【0033】
この発明によるシャトルコンベヤ1の可動部3について、外接する可動ローラEの軸との係合関係が
図5に示されている。
図5(a)には可動部3が水平状態にあるときの係合関係が、そして
図5(b)には可動部3が起立状態にあるときの係合関係が示されている。可動部フレーム21は、ガイドピン24やシャフト25を備える本体部30、本体部30の端部から直角に折れ曲がった第1屈曲部31、第1屈曲部31から更に直角に順に折れ曲がった第2屈曲部32及び第3屈曲部33、そして第3屈曲部33から更に直角に回り込んだ第4屈曲部34を備えており、係合端部23は第1屈曲部31〜第4屈曲部34で「G」字のような渦巻き状に形成されている。本体部30、第1屈曲部31、第2屈曲部32及び第4屈曲部34で囲まれる経路は、可動ローラEの軸29が通過するための係脱経路35となっており、第3屈曲部33に形成された円弧状の溝は、外接可動ローラEの軸29を受け止める係合溝36となっている。
【0034】
図5(a)に示す状態では、可動部フレーム21は全体として水平状態にあり、可動ローラEの軸29は係合溝36内に嵌まっている。コンベヤベルトに外接している可動ローラEがコンベヤベルトからのベルト張力を受けることで、可動ローラEの軸29が係合溝36内での係合状態が維持され、係合溝36から離脱することはない。可動部3をメンテナンス位置に移動させると、可動部フレーム21,21は、シャフト25の回りに跳ね上げ可能となる。
図5(b)に示す状態では、可動部フレーム21,21は起立状態にあり、固定部2と可動部3の相対姿勢が変わり可動ローラAの軸位置が移動することで、コンベヤベルトが弛む。コンベヤベルトのベルト張力が消失するので、可動ローラEを係合溝36内に付勢することもない。可動ローラEの軸29は係合溝36から離脱可能となり、
図5(b)において矢印で示すように係脱経路35を通じて可動部フレーム21から脱することができる。
【0035】
図6には、シャトルコンベヤにおけるベルト取外し手順を示している。
図6(a)は、コンベヤユニット5の可動部3が最後退位置にある状態を示している。シャトルコンベヤ1の可動部3を最後退位置に移動させて、その位置で固定用蝶ねじ6を弛めて、コンベヤユニット5をコンベヤベース部4から取り外す。
図6(b)は、コンベヤユニット5の可動部3が最前進位置にある状態を示している。
図6(c)は、コンベヤユニット5の可動部3を最前進位置から更に僅かに前進したメンテナンス位置にまで移動させ、その後、可動部3を跳ね上げて起立させた状態を示している。メンテナンス位置では、ガイドピン24がガイド部材17の溝部18から切欠き19を通して外側に離脱可能となるので、ガイドピン24が溝部18から離脱した状態で可動部フレーム21,21は跳ね上げ可能になる。この状態では、コンベヤベルトは破線で示すように僅かに弛むが、取り外せるまで弛んではいない。
図6(d)は、更に、コンベヤユニット5の可動部3の可動ローラEを、起立状態にある可動部3の可動部フレーム21の係合溝36から離脱させた状態を示している。この状態では、コンベヤベルトを押し込んでいる可動ローラEを完全に離脱させているので、コンベヤベルトは大きく弛み、コンベヤベルトをコンベヤユニット5から容易に取り外すことができる。コンベヤベルトのコンベヤユニット5への組付け、及びコンベヤユニット5のコンベヤベース部4への装着は、上記手順を逆の順に行うことにより容易に実行することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 シャトルコンベヤ 2 固定部 3 可動部
4 コンベヤベース部 4a ねじ穴 4b ホルダー部
4c ガイド部 4d 突き当たり部
5 コンベヤユニット 6 固定用蝶ねじ
7,7 固定フレーム 8 水平部 9 側壁フレーム部
10 切欠き部分 11 凹部 12 モータ軸
13,14駆動ギア 15 回転軸 16 シャフト貫通長孔
17 ガイド部材 18 溝部 19 切欠き
20 ラック 21 可動部フレーム
22 コンベヤ移載位置側端部 23,23 係合端部
24 ガイドピン 25 シャフト 26 ピニオン
27 調整ノブ 28 固定用蝶ねじ 29 外接可動ローラEの軸
30 本体部 31 第1屈曲部 32 第2屈曲部
33 第3屈曲部 34 第4屈曲部 35 係脱経路
36 係合溝
A,E 可動ローラ B,C,D 固定ローラ