特許第6043210号(P6043210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043210
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】ミラートロンスパッタ装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   C23C14/34 D
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-34926(P2013-34926)
(22)【出願日】2013年2月25日
(65)【公開番号】特開2014-162951(P2014-162951A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年12月14日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代大型有機ELディスプレイ基盤技術の開発(グリーンITプロジェクト)」委託研究、産業技術強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(73)【特許権者】
【識別番号】591097632
【氏名又は名称】長州産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094581
【弁理士】
【氏名又は名称】鯨田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】田尾 鋭司
(72)【発明者】
【氏名】青江 一規
(72)【発明者】
【氏名】末永 真吾
(72)【発明者】
【氏名】濱永 教彰
(72)【発明者】
【氏名】田中 文平
(72)【発明者】
【氏名】大田 一樹
【審査官】 國方 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−255389(JP,A)
【文献】 特開2006−257546(JP,A)
【文献】 特開2008−184625(JP,A)
【文献】 特開平10−036967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁に後記カソードユニットが通過可能な開口部を有する真空容器と、
ターゲットを、真空容器内に配置可能に且つスパッタ電源と電気的に接続可能に、保持するカソードユニットと、
前記カソードユニットを、前記カソードユニットが前記真空容器の内部に配置される第1位置と前記カソードユニットの少なくとも主要部分が前記真空容器の外部に配置される第2位置との間で、前記開口部を介して移動可能に支持するユニット支持部と、
前記カソードユニットの前記真空容器から離れる側の端部又はその近傍部分に設けられた密閉蓋部であって、前記カソードユニットが前記第1位置に配置されたとき、前記真空容器の開口部を気密に塞ぐ密閉蓋部と、
前記カソードユニットが前記第2位置に配置されたときに前記カソードユニットの前記真空容器と反対側の端部が上下方向に円弧状に回動可能なように、前記カソードユニットの前記真空容器側の端部を、前記ユニット支持部に接続する接続部であって、前記円弧状の回動の支点となる接続部と、
を備えたことを特徴とするミラートロンスパッタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカソードユニットを備えたミラートロンスパッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば図7に示すように、ターゲット1をスパッタ電極(図示せず)と電気的に接続可能に保持するホルダ(図示せず)や磁場発生手段(磁石)3などを備えたカソードユニットが真空容器2の一方の外壁2a側(真空容器2の被処理基板Wが配置される他方の外壁2bと反対側の外壁2a側)にその外側から固定的に設置されて成るミラートロンスパッタ装置が知られている。このようなミラートロンスパッタ装置では、前記カソードユニットにおいてターゲット1にスパッタ電源からの電圧を印加し、これによりターゲット1周辺に導入された不活性ガスをイオン化してプラズマを生成し、このプラズマによりターゲット1をスパッタしてターゲット構成原子及び粒子を飛散させ、その飛散して前記基板Wの近傍まで到達したターゲット構成原子及び粒子を、前記基板Wの周辺に導入された反応性ガスと反応させその生成物を前記基板W表面に付着、堆積させて成膜するようにしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−255389号公報
【特許文献2】特開2011−52272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のミラートロンスパッタ装置、特に被処理基板Wを基板搬送機構などとの関係から前記カソードユニットが設置される外壁2aとは反対側の外壁2bの近傍に配置せざるを得ず、且つ大型化する基板Wに対応する等のため真空容器2も大型化させその外壁も厚くせざるを得ないような近年のミラートロンスパッタ装置においては、カソードユニットを真空容器2の一方の外壁2aの開口部の周辺に大気側から装着する構成を採用する場合は、真空容器2の一方の外壁2aの近傍に位置するターゲット1と真空容器2内の前記外壁2aと反対側の外壁2bの近傍に位置する基板Wとの距離が長くなってしまい、ターゲット1から飛散したターゲット構成原子及び粒子が効率的に基板Wの近傍まで到達することができず、その結果、成膜速度を高速化することができずまた高価なターゲットの利用効率を向上させることができないという問題があった。
【0005】
また、前述のような従来のミラートロンスパッタ装置においては、近年の基板サイズの大型化に伴ってサイズや重量が大きくなったカソードユニットを真空容器の外壁の開口部近傍に大気側から固定的に設置するようにしていたため、作業者がカソードユニットの周辺に入り込む隙間が無く作業者がメンテナンスの対象部分に容易に近づけないなど、メンテナンスが容易に行えないという問題があった。
【0006】
また、従来より、スパッタリング装置において、例えば図8に示すように、成膜速度を向上させるなどの目的から、ターゲットをその表面が基板の表面と直交する角度ではなくV型に傾斜する角度に配置する方式が知られているが(特許文献2参照)、従来の装置では、ターゲットをその表面が基板の表面に対して直交するように配置する方式と基板の表面に対して傾斜するように配置する方式との双方をターゲットの種類などに応じて任意に使い分けることはできなかった。
【0007】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、大気側(真空容器の外側)に配置可能なカソードユニットに保持されたターゲットをスパッタ中は基板に近い位置に配置することを可能とし、ターゲットから飛散したターゲット構成原子及び粒子が効率的に基板の近傍に到達できるようにして、成膜速度を高速化し、高価なターゲットの利用効率を向上させることができるミラートロンスパッタ装置を提供することを目的とする。また、本発明は、近年の基板サイズの大型化に伴ってサイズや重量が大きくなったカソードユニットに対してもメンテナンスを容易に行うことができるミラートロンスパッタ装置を提供することを目的とする。また、本発明の一部においては、上記目的に加えて、一つのカソードユニット内のターゲットをその表面が基板の表面に対して直交するように配置する方式と基板の表面に対して傾斜するように配置する方式との双方をターゲットの種類などに応じて任意に使い分けることができるミラートロンスパッタ装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような課題を解決するための本発明によるミラートロンスパッタ装置は、側壁に後記カソードユニットが通過可能な開口部を有する真空容器と、ターゲットを、真空容器内に配置可能に且つスパッタ電源と電気的に接続可能に、保持するカソードユニットと、前記カソードユニットを、前記カソードユニットが前記真空容器の内部に配置される第1位置と前記カソードユニットの少なくとも主要部分が前記真空容器の外部に配置される第2位置との間で、前記開口部を介して移動可能に支持するユニット支持部と、前記カソードユニットの前記真空容器から離れる側の端部又はその近傍部分に設けられた密閉蓋部であって、前記カソードユニットが前記第1位置に配置されたとき、前記真空容器の開口部を気密に塞ぐ密閉蓋部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明によるミラートロンスパッタ装置においては、前記カソードユニットは、全体として略直方体状又は略円筒状に形成されており、前記ユニット支持部は、前記カソードユニットをその長手方向と略平行に移動可能に支持するものであってもよい。
【0010】
また、本発明によるミラートロンスパッタ装置においては、前記カソードユニットは、各ターゲットをそれぞれ保持する2つのカソード部を備えるものであり、前記各カソード部を、それぞれ、前記カソードユニットの前記移動方向と略直交する方向に回動可能に支持する回動支持機構部が備えられていてもよい。
【0011】
さらに、本発明によるミラートロンスパッタ装置においては、前記カソードユニットが前記第2位置に配置されたときに前記カソードユニットの前記真空容器と反対側の端部が上下方向に円弧状に回動可能なように、前記カソードユニットの前記真空容器側の端部を、前記ユニット支持部に接続する接続部であって、前記円弧状の回動の支点となる接続部が備えられていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明においては、ターゲットを保持するカソードユニットが、前記カソードユニットが真空容器の内部に配置される第1位置と前記カソードユニットの少なくとも主要部分(例えば前記真空容器の外部でターゲットや部品の交換などの作業を行うときの前記作業の対象となる部分)が前記真空容器の外部(大気側)に配置される第2位置との間で、真空容器の側壁の開口部を介して移動可能に支持されている(前記移動そのものは動力によるか人力によるかいずれも可能)。また、前記カソードユニットが前記開口部を介して真空容器内に挿入された後は、前記密閉蓋部により前記開口部を気密に塞ぐことが可能とされている。
【0013】
よって、本発明によれば、前記カソードユニットを前記真空容器の側壁の開口部に対して大気側(外側)から挿入・装着する場合でも、前記カソードユニットを真空容器の内部に挿入し、それが保持しているターゲットを真空容器内の奥深くの位置に配置することなどが可能となるので、スパッタ中におけるターゲットと基板との距離を短くして、ターゲットから飛散したターゲット構成原子及び粒子が効率的に基板Wの近傍に到達できるようにし、成膜速度を高速化し、高価なターゲットの利用効率を向上させることができるようになる(以上に対して、従来のカソードユニットを大気側から真空容器の外壁の開口部に取り付けるタイプでは、カソードユニットの位置はほとんど真空容器の側壁の近傍に固定されるため、真空容器の内部に配置される基板との距離が長くなってしまっていた)。
【0014】
また、前述のように、本発明においては、前記ユニット支持部によりカソードユニットの少なくとも主要部分を真空容器の外部に移動可能としているので、カソードユニットの一部についてメンテナンスを行う場合は、その対象部分を大気側に居る作業者の位置まで移動させてターゲットや部品の交換等を行うことができるので、メンテナンス作業が極めて効率的に行えるようになる(以上に対して、カソードユニットが大型化し且つその機械部分が緻密に集約されている近年の状況においては、従来のようなカソードユニットを大気側から真空容器の端部に取り付けるタイプでは、作業者がメンテナンスの対象部分に容易に近づけないためメンテナンス作業が困難になるという問題があった)。
【0015】
また、本発明において、前記カソードユニット中の各ターゲットをそれぞれ備える2つのカソード部をそれぞれ前記移動方向と略直交する方向に回動可能に支持する回動支持機構部を備える(前記回動そのものは動力でも人力でも可能)ようにしたときは、各ターゲットをその表面が基板表面と直交する角度にも基板表面と傾斜する角度にも配置できるようになるので、各カソード部のターゲットをその表面が基板W表面に対して直交するように配置する方式と基板W表面に対して傾斜するように配置する方式との双方をターゲットの種類などに応じて任意に使い分けられるようになる。
【0016】
また、前述のように、前記カソードユニット中の各ターゲットをそれぞれ備える2つの各カソード部をそれぞれ前記移動方向と略直交する方向に回動可能に支持するようにしたときは、各カソード部のターゲットや部品の交換などのメンテナンス時に、交換などの対象となるターゲットや部品のある箇所を上側(作業者側)に向くように各カソード部を回動させることなどが可能となるので、ターゲット交換などのメンテナンス作業をより容易に行なえるようになる。
【0017】
さらに、本発明において、前記カソードユニットの真空容器側の端部を、前記接続部により、カソードユニットが前記第2位置に配置されたときにカソードユニットが前記接続部を支点として上下方向に円弧状に回動可能となるように、真空容器内を移動可能な支持部に対して接続するようにしたときは、例えばカソードユニットの修理等の対象となっている下側部分を、作業者が作業し易い位置である上方に移動・上昇させた上で作業を行うなど、カソードユニットのメンテナンス作業を作業者がより容易に行なうことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態においてカソードユニットが真空容器から大気側に出されている状態のミラートロンスパッタ装置を示す中央側断面図である。
図2】本実施形態においてカソードユニットが真空容器内に挿入されている状態のミラートロンスパッタ装置を示す中央側断面図である。
図3】本実施形態に係るカソードユニットを含むミラートロンスパッタ装置の正面図である。
図4】本実施形態によるミラートロンスパッタ装置の動作を説明するための斜視図である。
図5】本実施形態によるミラートロンスパッタ装置の動作を説明するための斜視図である。
図6】本実施形態によるミラートロンスパッタ装置の動作を説明するための斜視図である。
図7】従来のカソードユニットを備えたスパッタ装置の一例を示す図である。
図8】従来のスパッタ装置における、ターゲットをその表面が基板W表面に対して直交するように配置する方式、及び基板W表面に対して傾斜するように配置する方式を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1,2は、本実施形態に係る内部挿入型(インナー式)カソードユニットを有するミラートロンスパッタ装置を示す中央側断面図で、図1はカソードユニットが真空容器から大気側に出されている状態、図2はカソードユニットが真空容器内に挿入されている状態を示す図である。
【0020】
図1,2において、21は真空容器、21aは前記真空容器21の側壁に形成された開口部、22はターゲットを保持するカソードユニット、23は前記カソードユニット22を前記開口部21aを介して前記真空容器21の内側と外側(大気側)との間で図示左右方向に移動可能に支持する支持台、24は前記カソードユニット22の大気側(図示左側)端部22aを前記支持台23上に取り付け固定するための取付部、25は前記カソードユニット22の真空容器側(図示右側)端部22bを前記真空容器21の底部上面21bの上を摺動又は移動可能に支持する摺動支持部、23aは前記支持台23を床に対して支持する脚部、23bは前記支持台23を前記移動方向(図示左右方向)に滑らかに移動可能とするために前記脚部23aの下端に取り付けられたキャスター、Wは前記真空容器21内の図示上方に配置された被処理基板である。
【0021】
本実施形態においては、前記の支持台23、取付部24、摺動支持部25、脚部23a、及びキャスター23bなどにより、前記カソードユニット22を前記真空容器21に対して前記開口部21aを介して出し入れ自在(図1の左右方向に移動可能)に支持するユニット支持部が構成されている。また、図示していないが、本実施形態では、前記カソードユニット22を前記支持台23などと共に図1の左右方向に移動させるためのモーターなどの駆動機構も備えられている(なお、前記カソードユニット22などは人力により図1の左右方向に移動させることも可能である)。
【0022】
また図1,2において、26は、前記カソードユニット22の大気側(前記真空容器21から離れる側。図示左側)の端部22a又はその近傍部分に固定された、鍔(フランジ)状の密閉蓋部である。前記密閉蓋部26は、前記カソードユニット22が前記真空容器21内に挿入されたとき、前記真空容器21の側壁にボルト締めなどにより前記開口部21aを気密に塞ぐために備えられている。
【0023】
また図1において、27は、前記カソードユニット22の真空容器側(図示右側)端部22bと前記摺動支持部25とを、前記カソードユニット22の大気側(図示左側)端部22aが所定範囲の円弧状に上下方向(図1の矢印α参照)に回動可能なように(図1の符号22’,22a’参照)、接続する接続部である。また、図示していないが、本実施形態では、前記カソードユニット22の前記端部22aを、前記接続部27を支点として円弧状(図1の矢印α参照)に上下動させるためのモーターなどの駆動機構も備えられている(なお、前記カソードユニット22は人力により図1の矢印α方向に移動させることも可能である)。
【0024】
また、図3図1,2のミラートロンスパッタ装置を示す正面図である。本実施形態では、前記カソードユニット22は、その全体が前記移動方向(図1の左右方向)を長手方向とする略直方体状に形成されており、且つ、図3に示すようにそれぞれが各ターゲットを保持する左右の2つのカソード部31,32を含んでいる。前記各カソード部31,32は、それぞれ互いに対向する面側にターゲット33,34を備えている。また、前記各カソード部31,32は、その長手方向に沿う中央軸31a,32aを回転中心として、それぞれ、図3の矢印β,γ方向(前記のカソードユニット22の移動方向と略直交する方向)に回動可能に支持されている。
【0025】
以上のように、本実施形態では、前記の支持台23、取付部24、及び摺動支持部25などにより、前記カソードユニット22が、前記真空容器21の内部に配置される状態(図2参照)と外部(大気側)に配置される状態(図1参照)との間で、前記真空容器21の側壁の開口部21aを介して移動可能に支持されている。そして、前記カソードユニット22が前記真空容器21内に挿入されたときは、前記密閉蓋部26により前記真空容器21の開口部21aが気密に塞がれるようになっている。
【0026】
よって、本実施形態によれば、メンテナンス時には、前記カソードユニット22を前記真空容器21から大気側に引き出すことができるので、ターゲット33,34や部品の交換などの作業を容易に行うことができるようになると共に、スパッタリング時には、前記カソードユニット22を前記真空容器21の内部に挿入して前記密閉蓋部26により前記開口部21aを気密に塞ぎ、前記真空容器21内でターゲット33,34を基板Wとの距離が短くなるように配置することにより、スパッタリング時にターゲット33,34から飛散した原子や粒子を効率的に基板W近くまで到達させられるようになるので、成膜時間を短縮し、ターゲットの利用効率を高めることができるようになる。
【0027】
また、図4〜6は本実施形態の動作を説明するための斜視図である。本実施形態では、前述のように、前記カソードユニット22内の2つのカソード部31,32がそれぞれ図3の矢印β,γ方向に回動可能に支持されている。よって、本実施形態においては、例えばモーターなどの駆動機構により、前記各カソード部31,32に保持されている各ターゲット33,34表面の基板W(例えば真空容器21の上方に配置される基板W)の表面に対する角度を、任意に調整することができる(図4,5参照)。また、前記各カソード部31,32のいずれか一方又は双方を、各ターゲット33,34が上方に配置される位置まで回動させることも可能である(図6参照)。
【0028】
このように、本実施形態においては、2つの各カソード部31,32がそれぞれ図3の矢印β,γ方向に回動可能とされている(図4,5参照)ので、各カソード部31,32のターゲット33,34の表面が基板W表面に対して直交するように配置されている方式と基板W表面に対して傾斜するように配置されている方式(図8参照)との双方を、例えばターゲット33,34の種類などに応じて、任意に使い分けることができる。
【0029】
また、本実施形態においては、図6に示すように、前記各カソード部31,32のいずれか又は双方を、各ターゲット33,34が上方に配置される位置まで回動可能としているので、各カソード部31,32のターゲット33,34や部品の交換などのメンテナンス時に、各ターゲット33,34や該当部品が配置された箇所が上側になるように各カソード部31,32を回動させることにより、メンテナンス作業をより容易に行なうことができる。
【0030】
さらに、本実施形態においては、前述のように、前記カソードユニット22の少なくとも主要部分が前記真空容器21より大気側に配置されたとき、前記摺動支持部25及び接続部27により、前記カソードユニット22の大気側の端部22aが、前記接続部27を支点として図1の矢印α方向に上下動可能となるように構成されている。よって、本実施形態によれば、例えば前記カソードユニット22の修理等の対象とする部分である下側部分を、作業者が作業し易い位置である上方に移動・上昇させることができるなど、カソードユニット22のメンテナンス作業を作業者がより容易に行なえるようになる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施形態においては、前記カソードユニット22は全体として略直方体形状のものとしたが、本発明においては他の形状、例えば略円筒状などのものでもよい。
【符号の説明】
【0032】
21 真空容器
21a 開口部
21b 底部上面
22 カソードユニット
22a,22b カソードユニットの端部
23 支持台
23a 脚部
23b キャスター
24 取付部
25 摺動支持部
26 密閉蓋部
27 接続部
31,32 カソード部
33,34 ターゲット
W 基板
図4
図5
図6
図7
図8
図1
図2
図3