特許第6043212号(P6043212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043212
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】無線呼出システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20161206BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H04M9/00 H
   H04M9/00 D
   G08B25/04 J
   G08B25/04 K
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-35659(P2013-35659)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-165713(P2014-165713A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
【審査官】 松平 英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−282596(JP,A)
【文献】 特開2006−033164(JP,A)
【文献】 特開2006−095038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 9/00−15/12
99/00
G08B19/00−31/00
H04M 3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療施設においてベッド上の患者がナースステーションの看護師を呼び出す、あるいは住宅内及び住宅近傍で居住者が住宅内の他の居住者や管理人を呼び出す無線呼出システムにおいて、
ベッドに入院している患者が前記ナースステーションの看護師を呼び出すためにベッド上などの患者に近い位置に設置される、あるいは住宅内で居住者が他の居住者を呼び出すために介助を必要とする位置に設置される、あるいは集合住宅の共用室、エントランス、エレベーターホール等の共用部で居住者が管理人や他の居住者を呼び出すために介助を必要とする位置に設置されるインターホン用無線押しボタン(2)と、前記インターホン用無線押しボタンからの呼出信号を受信する無線受信機(4)を備え、
前記無線受信機は、病室のベッド近傍に設置されたナースコール子機(3)又は住宅内に設置されたインターホン親機(6)に接続することができる(以下、ナースコール子機とインターホン親機を総称して「接続機器」と称する。)ものであって、
前記無線受信機は、前記インターホン用無線押しボタンの固有符号を記憶する記憶部(42)を備え、
さらに前記無線受信機は、前記記憶部に記憶された前記固有符号と同一の固有符号の呼出を受信した際には前記接続機器に呼出信号を送信する中継モードと、前記接続機器に対する呼出信号の送信を抑止する完結モードの2つの動作モードを有し、
前記無線受信機は、前記中継モードにおいて、前記記憶部に記憶された前記固有符号と異なる固有符号の呼出を受信した際には前記接続機器への呼出信号の送信を抑止するとともに、前記接続機器との接続が切り離されたことを検出すると中継モードから完結モードに移行するための受信機CPU(43)を備え、
前記無線受信機は、前記完結モードにおいて、呼出音を鳴動するスピーカ(47)を備えることを特徴とする無線呼出システム。
【請求項2】
前記中継モードでは、前記無線受信機における呼出音の鳴動を停止することを特徴とする請求項1記載の無線呼出システム。
【請求項3】
前記完結モードは、前記接続機器への呼出信号を送信しないものであるとともに、前記無線受信機は、前記接続機器との接続を維持した状態のまま中継モードから完結モードに移行するための切替スイッチ(46)を備えることを特徴とする請求項1記載の無線呼出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院等の医療施設に設置されるナースコール用インターホンや戸建住宅、集合住宅に設置されるインターホンに接続可能な無線呼出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の無線呼出システムとして、呼出ボタンの電源として電池を使用した無線式の無線呼出システムが知られている。例えば、特許文献1のナースコール装置では、使用者が無線子機を操作して家族の人を呼び出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−249999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナースコール装置では、特許文献1の段落[0012]に記載されているように、電池切れの検出等の信頼性を確保するために定期的に通信を行なわなければならないため、医療施設等、患者が常時ナースコールを使用するような場所では電池消耗が早すぎて使用することができなかった。
この改善策として、電池を使用せず、呼出操作による運動エネルギーにより発電して呼出信号を送信する無線子機が望まれていたが、この形態では無線子機において呼出確認信号を受信することができないため、無線受信機との通信の信頼性を確保することができなかった。
【0005】
さらに、電池を使用しない無線子機においては、動作確認のために1日1回程度の動作確認試験を必要とするが、そのたびに呼出信号が送出されるため誤報と区別がつかないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述の難点を解消するためになされたもので、発電により呼出信号を送信する無線子機において、使用開始時にペアリング動作により無線受信機との接続を確立した後に無線受信機と接続機器との接続を解除する、あるいは切替スイッチを完結モード側に切り替えると、無線受信機が中継モードから完結モードに移行して、完結モードで無線子機の呼出操作を行なうと無線受信機から呼出音や呼出確認表示がなされることによって動作確認が容易となるとともに、中継モードでは遠方の居室親機やナースコール親機に呼出を通知するとともに無線受信機からの呼出音を抑止して受信機周辺の静寂性を確保することができる。さらに、動作確認時以外でも完結モードに移行することにより、無線子機と無線受信機のみの組合せで独立して動作することができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明による無線呼出システムは、医療施設、あるいは戸建住宅、集合住宅、及び住宅近傍で、ナースステーションの看護師、あるいは居住者や管理人を呼び出す呼出システムにおいて、呼出信号を無線で送信するインターホン用無線押しボタンと、インターホン用無線押しボタンからの呼出信号を受信するために無線呼出システムに接続され、インターホン用無線押しボタンからの呼出信号を受信する無線受信機を備え、無線受信機は、病室のベッド近傍に設置されたナースコール子機、住宅内に設置されたインターホン親機からなる接続機器のいずれにも接続することができるものであって、インターホン用無線押しボタンは電源部を有しないものであり、電源部に代えて、押しボタンを押下すると押下による運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電部を備えるとともに、電気エネルギーにより固有符号を含む無線信号を送信するとともに無線信号の送信後は再び押下による電気エネルギーを得るまで動作を停止する無線送信部を備え、さらに押下による運動エネルギーを少量とするために無線受信部を有しないものであり、受信機制御部は、インターホン用無線押しボタンのID等の固有符号を記憶する記憶部を備え、さらに無線受信機は、記憶部に記憶された固有符号と同一の固有符号の呼出を受信した際には接続機器に呼出信号を送信する中継モードと、接続機器に対する呼出信号の送信を抑止する完結モードの2つの動作モードを有し、
中継モードでは、記憶部に記憶された固有符号と異なる固有符号の呼出を受信した際には接続機器への呼出信号の送信を抑止するとともに、完結モードでは、中継モードでの呼出信号を送信する動作に代えて呼出音を鳴動するスピーカを備え、無線受信機は、接続機器との接続が切り離されたことを検出すると中継モードから完結モードに移行するための受信機CPUを備えるものである。
【0008】
また、本発明による無線呼出システムは、中継モードでは無線受信機における呼出音の鳴動を停止するものである。
【0009】
また、本発明による無線呼出システムは、無線受信機は、接続機器との接続を維持した状態のまま中継モードから完結モードに移行するための切替スイッチを備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の無線呼出システムによれば、ペアリング完了後に無線子機と無線受信機のみで接続確認ができるため、無線子機が無線受信部を有していない場合においても、ペアリングの信頼度を向上させて無線子機からの呼出操作が失報することを防ぐことができる。さらには、接続確認時以外の通常使用においても接続機器と接続せずに使用することができるため、無線受信部を可搬して使用範囲が広範となるとともに、最少の使用形態では接続機器そのものが不要となり、コストを低減することができる。
【0011】
請求項2の無線呼出システムによれば、完結モード時以外は呼出音が無線受信機から鳴動しないため、例えば複数の患者が入院する病室等で他の患者の不快感を防止することができる。
【0012】
請求項3の無線呼出システムによれば、切替スイッチの操作により接続機器との接続を解除せずに完結モードに移行して呼出音が無線受信機から鳴動するとともに、呼出通知を接続機器に送信しないため、接続機器との接続をしたままでの動作確認が容易となるとともに、無駄な呼出信号を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の医療施設における実施例による無線呼出システムの全体(外観)構成を示す構成図である。
図2図2は、本発明の住宅における実施例による無線呼出システムの全体(外観)構成を示す構成図である。
図3図3は、本発明の集合住宅における実施例による無線呼出システムの全体(外観)構成を示す構成図である。
図4図4は、本発明の実施例による無線呼出システムにおいて、インターホン用無線押しボタン及び無線受信機の具体的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の無線呼出システムを適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の医療施設における一実施例による無線呼出システムの全体構成を示す構成図であり、看護師を呼び出すために病室内の病床にそれぞれ設置される複数のナースコール子機3と、ナースステーション内に設置され病室からの呼出信号を受信して呼出報知を行なうナースコール親機1と、病室出入口の廊下に設置されてナースコール子機の信号をナースコール親機1に伝送するとともにナースコール子機の呼出信号を報知する廊下灯5と、病室のベッドに入院している患者が前記ナースコール親機1を呼び出すためにベッド上などの患者に近い位置に設置されるインターホン用無線押しボタン2と、インターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信するためにナースコール子機3に接続される無線受信機4とで構成されている。
【0015】
ナースコール親機1には、ベッド近傍に設置されたナースコール子機3が廊下灯5を介して接続されている。
ナースコール子機3には患者が看護師を呼び出す呼出握りボタン31が接続されているとともに、看護師がベッドまで来て対応を完了した旨をナースコール親機1に通知するための復旧ボタン33と、呼出握りボタン31の操作により呼び出された看護師がナースコール親機1で応答した際に当該看護師と通話を行なうための通話部32とを備えている。なお、通話部32は、図1のようにナースコール子機3と一体のもの及びナースコール子機3と別体のものがそれぞれ存在するが、外観の違いのみで動作は同様である。
また、ナースコール子機3には、呼出握りボタン31あるいは無線受信機4の少なくとも1つが接続されていれば呼出を行なうことができ、さらには呼出握りボタン31及び無線受信機4の双方を1つのナースコール子機3に接続することも好適である。
【0016】
無線受信機4は、インターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信した際に、自らは呼出音の鳴動を行なわず、ナースコール子機3に呼出信号を転送する中継モードと、ナースコール子機3への呼出信号の送信を抑止し、独立して呼出音を鳴動する完結モードと、インターホン用無線押しボタン2との接続関係を確立するためのペアリングモードの3つの動作モードが存在する。
無線受信機4にはペアリング時に操作することによって無線受信機4をペアリングモードに遷移させるペアリング開始ボタン41と、呼出信号受信やペアリング完了を通知する表示灯45と、完結モードでインターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信した際に呼出音を鳴動するスピーカ47と、ペアリングモード以外の状態でかつナースコール子機3が接続されている際に無線受信機4を完結モードあるいは中継モードのいずれかに設定するかを選択する切替スイッチ46とを備えている。
なお、無線受信機4にナースコール子機3が接続されていない状態では、中継先の機器がないことから、無線受信機4は常にペアリングモードあるいは完結モードのいずれかのモードで動作し、中継モードで動作することはない。
【0017】
図2は、本発明の住宅における一実施例による無線呼出システムの全体構成を示す構成図であり、玄関に設置されて住宅内の居住者を呼び出すとともに玄関周辺の映像を撮像する玄関子機7と、住宅内に設置されて、玄関子機7やインターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信すると呼出音を鳴動するとともに、玄関子機7の撮像映像を出画しつつ玄関子機7と通話するインターホン親機6と、図1と同様の構成であるインターホン用無線押しボタン2と、住宅内で居住者が他の居住者を呼び出すために介助を必要とする位置に設置される無線受信機4とで構成されている。
無線受信機4は、インターホン親機6に接続されており、無線受信機4が中継モードになっている際にはインターホン親機6に呼出信号が転送される。また、無線受信機4にインターホン親機6が接続されていない状態では、図1と同様に無線受信機4は常にペアリングモードあるいは完結モードのいずれかのモードで動作し、中継モードで動作することはない。
【0018】
図3は、本発明の集合住宅における一実施例による無線呼出システムの全体構成を示す構成図であり、各住宅の玄関子機7、インターホン親機6、インターホン用無線押しボタン2と、無線受信機4については図2と同様の構成であるため、一部の構成を省略している。
各住宅のインターホン親機6は集合住宅のインターホン全体の通話路を制御する制御装置9に接続され、制御装置9には、集合住宅の玄関に設置されて訪問者が各居住者のインターホン親機6を呼び出して通話する集合玄関機10と、集合住宅の管理人室に設置されて、インターホン親機6からの警報信号を受信して報知するとともに、管理人が各居住者のインターホン親機6を呼び出して通話する管理室親機8とが接続され、さらに、制御装置9と管理室親機8には、集合住宅内の共用室、エントランス、エレベーターホール等の共用部、あるいは集合住宅近傍のインターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信する無線受信機4が接続されている。また、無線受信機4にインターホン親機6、管理室親機8、制御装置9がいずれも接続されていない状態では、図1と同様に無線受信機4は常にペアリングモードあるいは完結モードのいずれかのモードで動作し、中継モードで動作することはない。
【0019】
図4はインターホン用無線押しボタン2、無線受信機4の具体的な構成を示すブロック図である。インターホン用無線押しボタン2には、患者が看護師を呼び出すために表面に露出する可動ボタン21と、可動ボタン21の動作による運動エネルギーを用いて発電を行なう発電部22と、発電部22の電力によって予めインターホン用無線押しボタン2内に記憶されているID等の固有符号とともに呼出信号を送信する無線送信部23とを備えている。無線受信機4は、前述したペアリング開始ボタン41、表示灯45、切替スイッチ46、スピーカ47のほか、インターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を固有符号とともに受信する受信アンテナ44と、ペアリング相手のインターホン用無線押しボタンの固有符号を記憶する記憶部42と、無線受信機4の各部を制御する受信機CPU43とを備えている。なお、インターホン用無線押しボタン2に呼出確認信号を受信するための無線受信部を設置すると動作の信頼性が向上するが、インターホン用無線押しボタン2には電源部が存在しないことから発電部22が発電する電力を大きくしなければならないが、可動ボタン21の操作を容易とするためには、可動ボタン21の動作による運動エネルギーを少量とする必要があるため、無線受信部を設置することは困難である。
なお、無線受信機4には、少なくともナースコール子機3とインターホン親機6が接続機器として接続可能であるが、さらに、図3における集合住宅における実施例のように、制御装置9と管理室親機8にも接続可能とすることも好適である。
【0020】
このように構成された本発明の一実施例による無線呼出システムにおいて、以下、その動作について説明する。なお、ナースコール子機3の呼出握りボタン31を操作して看護師を呼び出して通話する動作については、従来のナースコールと同様であるため説明を省略する。
【実施例1】
【0021】
まず、インターホン用無線押しボタン2の呼出信号の送信方法について説明する。図1の構成図及び図4のブロック図において、インターホン用無線押しボタン2の可動ボタン21を押下すると、可動ボタン21の動作により発生した運動エネルギーによって発電部22が発電を行なって電気エネルギーに変換し、無線送信部23に電源が供給される。なお、可動部の運動エネルギーによって発電を行なう技術そのものについては既存技術であるため説明を省略する。
無線送信部23は動作電源の供給を受けると、予めインターホン用無線押しボタン2の内部に記憶されている固有符号を読出し、呼出信号とともに無線送信を行なう。なお、この無線信号は微弱なものであり、到達距離は概ね1mから3mほどである。また、発電部22の発電量は微弱であるため、1回の可動ボタン21の操作による無線送信部23の動作可能時間は1秒乃至5秒程度であり、発電部22からの電力供給が停止すると、無線送信部23の動作も停止する。
【0022】
次に、インターホン用無線押しボタン2の使用開始時における無線受信機4とのペアリング動作について図1及び図4を用いて説明する。ペアリング動作とは、無線受信機4がどのインターホン用無線押しボタン2の呼出信号を受信するかを予め登録し、異なったナースコール子機に呼出が誤発生してしまうことを防止するための登録操作である。
【0023】
ペアリング開始時には、無線受信機4のペアリング開始ボタン41を操作すると、ペアリング開始ボタン41の操作を検出した受信機CPU43は、表示灯45を点滅させてペアリングモードに移行したことを視覚的に通知する。無線受信機4がペアリング動作中にインターホン用無線押しボタン2の可動ボタン21を押下すると、前述の通り無線送信部23は固有符号を付加した呼出信号を無線送信する。無線受信機4の受信機CPU43は、受信アンテナ44を介して呼出信号を受信すると、受信した呼出信号から固有符号を取出し、記憶部42に上書きして記憶するとともに、ペアリング完了通知を当該固有符号とともにナースコール子機3、廊下灯5を介してナースコール親機1に送信するとともに、表示灯45を一定時間点灯させてペアリングが完了したことを通知する。
【0024】
次に、中継モードにおける医療施設での呼出動作について図1及び図4を用いて説明する。中継モードにおける無線受信機4がインターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信すると、受信機CPU43は受信した呼出信号から固有符号を取出し、記憶部42に記憶された固有符号と比較する。双方の固有符号が異なっている場合には何も動作せずに待受状態を維持するとともに、双方の固有符号が同一である場合には呼出信号を当該固有符号とともにナースコール子機3、廊下灯5を介してナースコール親機1に送信するとともに、表示灯45を点灯させて呼出操作が受け付けられたことを視覚的に通知する。なお、無線受信機4はインターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信した場合でも呼出音が鳴動することはない。
呼出信号を受信したナースコール親機1は、呼出音、呼出表示等の呼出通知によりインターホン用無線押しボタン2からの呼出を報知する。
ナースコール親機1による呼出通知を認識した看護師は、ナースコール親機1の図示しない通話部でナースコール子機3の通話部32との通話路を確立して通話を行なうとともに、通話終了後に病室の患者のもとへ駆けつけ、ナースコール子機3の復旧ボタン33を操作して呼出動作を終了する。
【実施例2】
【0025】
第2の実施例として、完結モードにおける医療施設での呼出動作及び1日に1回行なう動作確認について図1及び図4を用いて説明する。なお、ペアリングに関する動作については全ての実施例で共通であることから、説明を省略する。無線受信機4を中継モードから完結モードに変更するには、無線受信機4とナースコール子機3の接続線を取り外すか、あるいは切替スイッチ46を完結モード側へ切り替えることにより実施できる。
動作確認のため、看護師は、インターホン用無線押しボタン2を操作する。完結モードにある無線受信機4がインターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信すると、受信機CPU43は受信した呼出信号から固有符号を取出し、記憶部42に記憶された固有符号と比較する。双方の固有符号が異なっている場合には何も動作せずに待受状態を維持するとともに、双方の固有符号が同一である場合には呼出音をスピーカ47から鳴動して呼出を報知する。呼出音を確認した看護師は、無線受信機4の図示しない復旧ボタンを操作して呼出動作を終了する。
また、副次的効果として、ナースコール親機1を呼ぶまでもない簡易的な呼出の目的でインターホン用無線押しボタン2を使用する方法について説明する。完結モードにある無線受信機4がインターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信すると、受信機CPU43は受信した呼出信号から固有符号を取出し、記憶部42に記憶された固有符号と比較する。双方の固有符号が異なっている場合には何も動作せずに待受状態を維持するとともに、双方の固有符号が同一である場合には呼出音をスピーカ47から鳴動して呼出を報知する。呼出音に気づいた看護師は、病室の患者のもとへ駆けつけ、無線受信機4の図示しない復旧ボタンを操作して呼出動作を終了する。
【実施例3】
【0026】
第3の実施例として、中継モードにおける住宅での呼出動作について図2及び図4を用いて説明する。なお、ペアリングに関する動作については全ての実施例で共通であることから、説明を省略する。中継モードにおける無線受信機4がインターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信すると、受信機CPU43は受信した呼出信号から固有符号を取出し、記憶部42に記憶された固有符号と比較する。双方の固有符号が異なっている場合には何も動作せずに待受状態を維持するとともに、双方の固有符号が同一である場合には呼出信号を当該固有符号とともにインターホン親機6に送信するとともに、表示灯45を点灯させて呼出操作が受け付けられたことを視覚的に通知する。なお、無線受信機4はインターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信した場合でも呼出音が鳴動することはない。
呼出信号を受信したインターホン親機6は、呼出音、呼出表示等の呼出通知によりインターホン用無線押しボタン2からの呼出を報知する。
インターホン親機6による呼出通知を認識した居住者は、インターホン親機6の呼出音停止スイッチ、あるいは終話スイッチ等のスイッチを操作して呼出を停止させるとともに、呼出を行なった居住者のもとへ駆けつける。さらに、一定時間インターホン親機6によるスイッチの操作を検出できなかった場合には、インターホン親機6から玄関子機7に呼出信号を送信し、玄関子機7からも呼出音を鳴動して住宅内で異常が発生していることを知らせることができる。
【0027】
なお、完結モードにおいて1日に1回行なう動作確認及び簡易的な呼出動作については第2の実施例と同様であるため説明を省略する。
【実施例4】
【0028】
第4の実施例として、中継モードにおける集合住宅での呼出動作について図3及び図4を用いて説明する。なお、ペアリングに関する動作については全ての実施例で共通であることから、説明を省略する。図3において、無線受信機4は制御装置9、管理室親機8、インターホン親機6に接続されている。
インターホン親機6に接続された中継モードにおける無線受信機4がインターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信すると、受信機CPU43は受信した呼出信号から固有符号を取出し、記憶部42に記憶された固有符号と比較する。双方の固有符号が異なっている場合には何も動作せずに待受状態を維持するとともに、双方の固有符号が同一である場合には呼出信号を当該固有符号とともにインターホン親機6に送信するとともに、表示灯45を点灯させて呼出操作が受け付けられたことを視覚的に通知する。
呼出信号を受信したインターホン親機6は、呼出音、呼出表示等の呼出通知によりインターホン用無線押しボタン2からの呼出を報知する。
インターホン親機6による呼出通知を認識した居住者は、インターホン親機6の呼出音停止スイッチ、あるいは終話スイッチ等のスイッチを操作して呼出を停止させるとともに、呼出を行なった居住者のもとへ駆けつける。さらに、一定時間インターホン親機6によるスイッチの操作を検出できなかった場合には、インターホン親機6から玄関子機7に呼出信号を送信し、玄関子機7からも呼出音を鳴動するとともに、インターホン親機6から制御装置9を経由して管理室親機8へ呼出信号を送信して管理室親機8で呼出音を鳴動することにより、管理人や近隣の居住者に住宅内で異常が発生していることを知らせることができる。
【0029】
また、管理室親機8に接続された中継モードにおける無線受信機4がインターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信すると、受信機CPU43は受信した呼出信号から固有符号を取出し、記憶部42に記憶された固有符号と比較する。双方の固有符号が異なっている場合には何も動作せずに待受状態を維持するとともに、双方の固有符号が同一である場合には呼出信号を当該固有符号とともに管理室親機8に送信するとともに、表示灯45を点灯させて呼出操作が受け付けられたことを視覚的に通知する。
呼出信号を受信した管理室親機8は、呼出音、呼出表示等の呼出通知によりインターホン用無線押しボタン2からの呼出を報知する。
管理室親機8による呼出通知を認識した管理人は、管理室親機8の呼出音停止スイッチ、あるいは終話スイッチ等のスイッチを操作して呼出を停止させるとともに、呼出を行なった居住者のもとへ駆けつける。
【0030】
また、制御装置9に接続された中継モードにおける無線受信機4がインターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信すると、受信機CPU43は受信した呼出信号から固有符号を取出し、記憶部42に記憶された固有符号と比較する。双方の固有符号が異なっている場合には何も動作せずに待受状態を維持するとともに、双方の固有符号が同一である場合には呼出信号を当該固有符号とともに制御装置9に送信するとともに、表示灯45を点灯させて呼出操作が受け付けられたことを視覚的に通知する。なお、無線受信機4はインターホン用無線押しボタン2からの呼出信号を受信した場合でも呼出音が鳴動することはない
呼出信号を受信した制御装置9は、複数のインターホン親機6の中から固有符号をもとに呼出信号を操作した居住者の居住するインターホン親機6を特定し、当該インターホン親機6及び管理室親機8に対して呼出信号を送信する。
呼出信号を受信したインターホン親機6及び管理室親機8は、呼出音、呼出表示等の呼出通知によりインターホン用無線押しボタン2からの呼出を報知する。
インターホン親機6及び管理室親機8による呼出通知を認識した居住者又は管理人は、インターホン親機6及び管理室親機8の呼出音停止スイッチ、あるいは終話スイッチ等のスイッチを操作して呼出を停止させるとともに、呼出を行なった居住者のもとへ駆けつける。
【0031】
なお、完結モードにおいて1日に1回行なう動作確認及び呼出動作については第2の実施例と同様であるため説明を省略するが、図3の構成において制御装置9に接続された無線受信機4において完結モードでの簡易的な呼出動作を使用する際には、集合住宅の共用部あるいは集合住宅周辺の無線受信機4を設置した地点において呼出音が鳴動するため、呼出の場合には通りすがりの居住者等の近隣の人が駆けつけることになる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
なお、本実施例ではペアリングの台数に際して詳述していないが、1台の無線受信機には1台あるいは複数台のインターホン用無線押しボタンをペアリング設定して設置することができる。複数台の場合には記憶部には複数の固有符号を記憶するとともに、ペアリング成功時には新たな固有符号を記憶部に追加する。
また、本実施例では制御装置に接続された無線受信機からの固有符号のみ操作者を特定していたが、これに限らず、全ての実施例において固有符号をもとに操作者を特定することも好適である。
【符号の説明】
【0033】
2 インターホン用無線押しボタン
22 発電部
23 無線送信部
3 ナースコール子機
4 無線受信機
42 記憶部
43 受信機CPU
46 切替スイッチ
47 スピーカ
6 インターホン親機
図1
図2
図3
図4