【実施例1】
【0016】
本発明の海上構造物の上部コンクリート打設用型枠は、
図1及び
図2に示すように、コンクリート製の断面L字状型枠13よりなり、この断面L字状型枠13は、海上構造物の下部躯体7上に上部コンクリートを形成するために打設されるコンクリートの外周面に対応するよう上方に延びて形成された壁板部14と、この壁板部14の下端のコンクリート打設面14a側から、上記下部躯体7の上面に沿って水平方向に延びて形成された底板部15とよりなり、上記壁板部14と上記底板部15とは一体に形成されている。
【0017】
また、上記断面L字状型枠13の底板部15には、上下に貫通する複数の孔16を設ける。
【0018】
なお、17は、上記ケーソン4等の上端面4bと、載置された上記断面L字状型枠13の下面との間に介挿した止水材である。
【0019】
次に、上記断面L字状型枠13を用いて、海上構造物の上部コンクリートを形成する方法を説明する。
【0020】
海底の捨石マウンド上に重力式ケーソン4やセルラーブロックなどを据え付け、これらケーソン4等の内部に中詰砂5を投入し、上記ケーソン4等の上端に蓋コンクリート6を打設して上端を塞いで下部躯体7を形成する。
【0021】
次に、
図1及び
図3に示すように、上記下部躯体7上面の外周部に、クレーン等により複数の上記断面L字状型枠13を載置し、上記下部躯体7上にコンクリート打設のための囲いを形成する。
【0022】
なお、18は、上記底板部15の遊端部15aと上記蓋コンクリート6との間に設けた、上記底板部15を水平に載置するためのブロックである。
【0023】
次に、上記断面L字状型枠13の内側にコンクリートを打設し、上記打設したコンクリートを硬化させれば、上記打設されたコンクリートと上記断面L字状型枠13が一体となり、上部コンクリートが形成されるようになる。
【0024】
また、上記底板部15の孔16に、打設されたコンクリートが入り込んで一体化するので、上記断面L字状型枠13と上記打設されたコンクリートとが強固に一体化するようになる。
【0025】
なお、
図4に示すように、上記断面L字状型枠13の壁板部14の所望の高さ、例えば、上記底板部15上面の高さまでコンクリートを打設して、硬化させ、上記打設されたコンクリート19と上記底板部15とを一体にし、上記断面L字状型枠13を強固に下部躯体7に固定されるようにし、そして、
図5に示すように、更に、上記断面L字状型枠13の壁板部14の内側にコンクリートを打設して硬化させ、上記打設されたコンクリート19、20と上記断面L字状型枠13とを一体とし、上部コンクリートを形成するようにしてもよい。
【0026】
本発明の海上構造物の上部コンクリート打設用型枠及びこの型枠を用いた上部コンクリートの形成方法によれば、断面L字状型枠を上記下部躯体上に載置し、そして、打設したコンクリートを硬化させて、上記打設したコンクリートと断面L字状型枠とを一体化することによって、上記断面L字状型枠13を下部躯体7に固定するので、型枠設置のための足場を確保できないような場合であっても、ケーソン4の側面などにブラケットの設置が不要になる。
【0027】
また、上記断面L字状型枠13は打設したコンクリートと一体化するので、型枠の撤去が不要となる。
【0028】
従って、ケーソン上での作業を減らすことができ、安全性や施工性を高めることができるようになる。
【0029】
なお、上部コンクリート打設時にコンクリートによる側圧等で上記断面L字状型枠13が変形して破損してしまうのを防止するために、上記断面L字状型枠13の壁板部14と上記底板部15とを補強部材によって連結してもよい。
【0030】
上記補強部材には、例えば、
図6に示すように、断面L字状型枠13の壁板部14の上端と底板部15の遊端部15aとを連結したワイヤーや棒状部材などの線状体21がある。
【0031】
また、上記補強部材には、例えば、
図7に示すように、上記断面L字状型枠13の壁板部14の打設面と上記底板部の上面とを連結した、貫通孔22を有する三角状の板部材などの板状体23がある。
【0032】
また、上部コンクリート打設時において、上記断面L字状型枠13の転倒や滑動などを防止して、安定性を確保するために、上記海上構造物の下部躯体7やこの躯体に付属する蓋コンクリート6等にアンカー筋などの連結部材(図示せず)を設置し、この連結部材により、上記下部躯体7等と上記断面L字状型枠13の底板部15とを連結するようにしてもよい。