特許第6043228号(P6043228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043228
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】光学モジュールおよび光照射装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/28 20060101AFI20161206BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20161206BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20161206BHJP
   B23K 26/073 20060101ALI20161206BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20161206BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G02B27/28 Z
   G02F1/13 505
   B23K26/064 Z
   B23K26/073
   G02B5/04 D
   G02B5/30
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-79803(P2013-79803)
(22)【出願日】2013年4月5日
(65)【公開番号】特開2014-202956(P2014-202956A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年12月4日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)独立行政法人科学技術振興機構、研究成果最適展開支援事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124291
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 卓
(72)【発明者】
【氏名】寺田 浩敏
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−276043(JP,A)
【文献】 特開2000−019455(JP,A)
【文献】 特開2005−144524(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/105312(WO,A1)
【文献】 特開昭64−079722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/28
G02F 1/13
G02F 1/09
G02B 5/00 − 5/136
G02B 5/30
G02B 9/00 − 21/36
B23K 26/00 − 26/42
G01N 21/62 − 21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光照射装置において、光源から出力された照射光を変調して変調光を生成し、該変調光を照射対象物へ供給する光学モジュールであって、
前記照射光に含まれるs偏光成分を反射してp偏光成分を透過する光分岐面を有する偏光ビームスプリッタと、
偏光面を回転させる非相反性の光学活性を有し、前記照射光のうち前記光分岐面を透過した第1の偏光成分の光路上に配置された第1の偏光素子と、
前記第1の偏光素子を通過した前記第1の偏光成分を変調して第1の変調光を生成するとともに、前記第1の変調光を前記第1の偏光素子へ反射する第1の反射型空間光変調器と、
偏光面を回転させる非相反性の光学活性を有し、前記照射光のうち前記光分岐面において反射された第2の偏光成分の光路上に配置された第2の偏光素子と、
前記第2の偏光素子を通過した前記第2の偏光成分を変調して第2の変調光を生成するとともに、前記第2の変調光を前記第2の偏光素子へ反射する第2の反射型空間光変調器と、を備え、
前記第1の偏光素子を再び通過した後、前記光分岐面において反射された前記第1の変調光と、前記第2の偏光素子を再び通過した後、前記光分岐面を透過した前記第2の変調光とが互いに合波されて前記偏光ビームスプリッタから出力され、前記変調光として前記照射対象物へ出射されることを特徴とする、光学モジュール。
【請求項2】
前記第1及び第2の反射型空間光変調器が液晶型であり、
前記第1の反射型空間光変調器の液晶の配向方向と、前記第2の反射型空間光変調器の液晶の配向方向とが互いに直交することを特徴とする、請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項3】
相反性の光学活性を有し、前記偏光ビームスプリッタと前記第1の反射型空間光変調器との間の光路上、又は前記偏光ビームスプリッタと前記第2の反射型空間光変調器との間の光路上に配置された偏光素子を更に備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学モジュール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載された光学モジュールと、
前記照射光を前記光学モジュールへ出力する光源と、
前記光学モジュールから出力された前記変調光を前記照射対象物へ導く導光光学系と
を備えることを特徴とする、光照射装置。
【請求項5】
光照射装置において、光源から出力された照射光を変調して変調光を生成し、該変調光を照射対象物へ供給する光学モジュールであって、
s偏光成分を反射してp偏光成分を透過する光分岐面を有し、p偏光成分を含む第1の照射光を前記光分岐面に受ける第1の偏光ビームスプリッタと、
偏光面を回転させる非相反性の光学活性を有し、前記第1の偏光ビームスプリッタの前記光分岐面を透過した前記第1の照射光の光路上に配置された第1の偏光素子と、
前記第1の偏光素子を通過した前記第1の照射光を変調して第1の変調光を生成するとともに、前記第1の変調光を前記第1の偏光素子へ反射する第1の反射型空間光変調器と、
s偏光成分を反射してp偏光成分を透過する光分岐面を有し、s偏光成分及びp偏光成分のうち何れかの偏光成分を含む第2の照射光を前記光分岐面に受ける第2の偏光ビームスプリッタと、
偏光面を回転させる非相反性の光学活性を有し、前記第2の偏光ビームスプリッタの前記光分岐面において透過及び反射のうち一方を経た前記第2の照射光の光路上に配置された第2の偏光素子と、
前記第2の偏光素子を通過した前記第2の照射光を変調して第2の変調光を生成するとともに、前記第2の変調光を前記第2の偏光素子へ反射する第2の反射型空間光変調器と、を備え、
前記第1の変調光は、前記第1の偏光素子を再び通過した後、前記第1の偏光ビームスプリッタの前記光分岐面において反射され、前記第2の変調光は、前記第2の偏光素子を再び通過した後、前記第2の偏光ビームスプリッタの前記光分岐面において透過及び反射のうち他方を経て前記第1の偏光ビームスプリッタの前記光分岐面に達し、
前記第1及び第2の変調光が互いに合波されて前記第1の偏光ビームスプリッタから出力され、前記変調光として前記照射対象物へ出射されることを特徴とする、光学モジュール。
【請求項6】
前記第1の偏光ビームスプリッタと前記第1の反射型空間光変調器との間の光路上に設けられた光路長調整素子を更に備えることを特徴とする、請求項に記載の光学モジュール。
【請求項7】
相反性の光学活性を有し、前記第1の偏光ビームスプリッタと前記第2の偏光ビームスプリッタとの間の光路上に設けられた偏光素子を更に備えることを特徴とする、請求項5または6に記載の光学モジュール。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載された光学モジュールと、
前記第1及び第2の照射光を前記光学モジュールへ出力する一又は二以上の光源と、
前記光学モジュールから出力された前記変調光を前記照射対象物へ導く導光光学系と
を備えることを特徴とする、光照射装置。
【請求項9】
前記第1の照射光の光路上に配置され、波長成分もしくは偏光成分に基づいて前記第1の照射光を分光する第1の分光素子と、
前記第2の照射光の光路上に配置され、波長成分もしくは偏光成分に基づいて前記第2の照射光を分光する第2の分光素子と
を更に備えることを特徴とする、請求項8に記載の光照射装置。
【請求項10】
2分の1波長板を更に備え、前記2分の1波長板は前記第1の照射光の光路上及び前記第2の照射光の光路上のうち少なくとも一方に配置されることを特徴とする、請求項8に記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学モジュールおよび光照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、反射型の空間光変調器を備えるレーザ加工装置が記載されている。このレーザ加工装置は、レーザ光源及び空間光変調器を備えており、レーザ光源と空間光変調器との間の光路上には、偏光ビームスプリッタが配置されている。加えて、偏光ビームスプリッタと空間光変調器との間の光路上には、ファラデーローテータが配置されている。
【0003】
このレーザ加工装置において、レーザ光源から出力された光は、偏光ビームスプリッタを透過し、ファラデーローテータを経て空間光変調器に達し、その位相や振幅が変調される。そして、変調後の光は再びファラデーローテータを通過して偏光ビームスプリッタに達する。ここで、ファラデーローテータは、往路で偏光面を45°回転させ、復路で偏光面を同じ回転方向に45°回転させる。従って、再び偏光ビームスプリッタに達した光は、その偏光面が90°回転しているため偏光ビームスプリッタにおいて反射される。
【0004】
特許文献2には、反射型の位相変調器を備える位相変調システムが記載されている。この位相変調システムは、位相変調器に入射される光の光路上に配置された偏光ビームスプリッタと、位相変調器と偏光ビームスプリッタとの間に配置されたファラデーローテータとを備えている。この位相変調システムにおいても、特許文献1に記載されたレーザ加工装置と同様の作用によって光が変調される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−144524号公報
【特許文献2】特表2010−518431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、光照射装置において様々な形態の照射光を実現するために、空間光変調器(SLM;Spatial Light Modulator)を用いて照射光の強度分布や位相分布を変調する技術が研究されている。例えば特許文献1,2に記載された装置では、一つのSLMを用いて光の位相を変調している。しかしながら、レーザ加工装置などの光照射装置においては、照射対象物における様々な照射形態を実現するために、複数のSLMによって種々の変調が施された複数の光を同時に照射対象物に照射できることが望まれる。このような照射形態によって、同一箇所に異なる集光深さでもって光を照射したり、或いは、パルス幅や繰り返し周波数などの照射条件がそれぞれ異なる複数の光を照射対象物に同時に照射するといった、更に多様な照射形態を使用者に提供することが可能となる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、より多様な照射形態を使用者に提供することが可能な光学モジュールおよび光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明による第1の光学モジュールは、光照射装置において、光源から出力された照射光を変調して変調光を生成し、該変調光を照射対象物へ供給する光学モジュールであって、照射光に含まれるs偏光成分を反射してp偏光成分を透過する光分岐面を有する偏光ビームスプリッタと、偏光面を回転させる非相反性の光学活性を有し、照射光のうち光分岐面を透過した第1の偏光成分の光路上に配置された第1の偏光素子と、第1の偏光素子を通過した第1の偏光成分を変調して第1の変調光を生成するとともに、第1の変調光を第1の偏光素子へ反射する第1の反射型SLMと、偏光面を回転させる非相反性の光学活性を有し、照射光のうち光分岐面において反射された第2の偏光成分の光路上に配置された第2の偏光素子と、第2の偏光素子を通過した第2の偏光成分を変調して第2の変調光を生成するとともに、第2の変調光を第2の偏光素子へ反射する第2の反射型SLMと、を備え、第1の偏光素子を再び通過した後、光分岐面において反射された第1の変調光と、第2の偏光素子を再び通過した後、光分岐面を透過した第2の変調光とが互いに合波されて偏光ビームスプリッタから出力され、変調光として照射対象物へ出射されることを特徴とする。
【0009】
この第1の光学モジュールにおいて、偏光ビームスプリッタを透過した第1の偏光成分(p偏光成分)は、その偏光面が第1の偏光素子によって回転されたのち、第1の反射型SLMに入射する。第1の偏光成分は、第1の反射型SLMによって変調されて第1の変調光となり、この第1の変調光の偏光面は、第1の偏光素子によって再び回転される。第1の偏光素子は非相反性の光学活性を有するので、このように第1の偏光素子を往復した後の第1の変調光は、偏光ビームスプリッタにおいて反射されるs偏光成分を含むことができる。なお、好適には、変調前の第1の偏光成分の偏光面が第1の偏光素子によって45°回転され、変調後の第1の変調光の偏光面が第1の偏光素子によって更に45°回転されるとよい。
【0010】
また、偏光ビームスプリッタにおいて反射された第2の偏光成分(s偏光成分)は、その偏光面が第2の偏光素子によって回転されたのち、第2の反射型SLMに入射する。第2の偏光成分は、第2の反射型SLMによって変調されて第2の変調光となり、この第2の変調光の偏光面は、第2の偏光素子によって再び回転される。第2の偏光素子は非相反性の光学活性を有するので、このように第2の偏光素子を往復した後の第2の変調光は、偏光ビームスプリッタを透過するp偏光成分を含むことができる。なお、好適には、変調前の第2の偏光成分の偏光面が第2の偏光素子によって45°回転され、変調後の第2の変調光の偏光面が第2の偏光素子によって更に45°回転されるとよい。
【0011】
その後、s偏光成分を含む第1の変調光は偏光ビームスプリッタにおいて反射され、p偏光成分を含む第2の変調光は偏光ビームスプリッタを透過する。これらの変調光は互いに合波され、偏光ビームスプリッタから出力される。
【0012】
以上に説明したように、上記第1の光学モジュールでは、入射光のp偏光成分及びs偏光成分を分離させた後にそれぞれ変調し、変調後の第1及び第2の変調光を合波して出力することができる。したがって、この第1の光学モジュールによれば、第1及び第2の変調光に対して異なる集光深さを与えたり、或いは、パルス幅や繰り返し周波数などの照射条件を互いに異ならせる等、より多様な照射形態を使用者に提供することができる。
【0013】
また、液晶型などのSLMの構成によっては直線偏光成分しか変調できない場合がある。そのような場合、例えば特許文献1,2に記載された構成のように他の偏光成分が利用されないと、光利用効率(光源から出力された光の強度と、照射対象物に照射される光の強度との比)が小さく抑えられてしまう。これに対し、上記第1の光学モジュールによれば、照射光のs偏光成分およびp偏光成分の双方を有効に利用することができるので、光利用効率を効果的に高めることができる。
【0014】
また、第1の光学モジュールは、第1及び第2の反射型SLMが液晶型であり、第1の反射型SLMの液晶の配向方向と、第2の反射型SLMの液晶の配向方向とが互いに直交することを特徴としてもよい。これにより、偏光面が互いに直交する第1及び第2の偏光成分それぞれを、第1及び第2の反射型SLMそれぞれにおいて効率良く変調することができる。
【0015】
また、第1の光学モジュールは、相反性の光学活性を有し、偏光ビームスプリッタと第1の反射型SLMとの間の光路上、又は偏光ビームスプリッタと第2の反射型SLMとの間の光路上に配置された偏光素子を更に備えることを特徴としてもよい。これにより、第1の反射型SLMに入射する直前の第1の偏光成分の偏光面の角度、または第2の反射型SLMに入射する直前の第2の偏光成分の偏光面の角度を任意に制御することができる。
【0016】
また、本発明による第1の光照射装置は、上記いずれかの第1の光学モジュールと、照射光を光学モジュールへ出力する光源と、光学モジュールから出力された変調光を照射対象物へ導く導光光学系とを備えることを特徴とする。この第1の光照射装置によれば、上述した第1の光学モジュールを備えることにより、より多様な照射形態を使用者に提供することが可能となり、また、照射光の光利用効率を高めることができる。
【0017】
本発明による第2の光学モジュールは、光照射装置において、光源から出力された照射光を変調して変調光を生成し、該変調光を照射対象物へ供給する光学モジュールであって、s偏光成分を反射してp偏光成分を透過する光分岐面を有し、p偏光成分を含む第1の照射光を光分岐面に受ける第1の偏光ビームスプリッタと、偏光面を回転させる非相反性の光学活性を有し、第1の偏光ビームスプリッタの光分岐面を透過した第1の照射光の光路上に配置された第1の偏光素子と、第1の偏光素子を通過した第1の照射光を変調して第1の変調光を生成するとともに、第1の変調光を第1の偏光素子へ反射する第1の反射型SLMと、s偏光成分を反射してp偏光成分を透過する光分岐面を有し、s偏光成分及びp偏光成分のうち何れかの偏光成分を含む第2の照射光を光分岐面に受ける第2の偏光ビームスプリッタと、偏光面を回転させる非相反性の光学活性を有し、第2の偏光ビームスプリッタの光分岐面において透過及び反射のうち一方を経た第2の照射光の光路上に配置された第2の偏光素子と、第2の偏光素子を通過した第2の照射光を変調して第2の変調光を生成するとともに、第2の変調光を第2の偏光素子へ反射する第2の反射型SLMと、を備え、第1の変調光は、第1の偏光素子を再び通過した後、第1の偏光ビームスプリッタの光分岐面において反射され、第2の変調光は、第2の偏光素子を再び通過した後、第2の偏光ビームスプリッタの光分岐面において透過及び反射のうち他方を経て第1の偏光ビームスプリッタの光分岐面に達し、第1及び第2の変調光が互いに合波されて第1の偏光ビームスプリッタから出力され、変調光として照射対象物へ出射されることを特徴とする。
【0018】
第1の偏光ビームスプリッタを透過した第1の照射光は、その偏光面が第1の偏光素子によって回転されたのち、第1の反射型SLMに入射する。第1の照射光は、第1の反射型SLMによって変調されて第1の変調光となり、この第1の変調光の偏光面は、第1の偏光素子によって再び回転される。第1の偏光素子は非相反性の光学活性を有するので、このように第1の偏光素子を往復した後の第1の変調光は、偏光ビームスプリッタにおいて反射されるs偏光成分を含むことができる。なお、好適には、変調前の第1の照射光の偏光面が第1の偏光素子によって45°回転され、変調後の第1の変調光の偏光面が第1の偏光素子によって更に45°回転されるとよい。
【0019】
また、第2の偏光ビームスプリッタにおいて透過及び反射のうち一方を経た第2の照射光は、その偏光面が第2の偏光素子によって回転されたのち、第2の反射型SLMに入射する。第2の照射光は、第2の反射型SLMによって変調されて第2の変調光となり、この第2の変調光の偏光面は、第2の偏光素子によって再び回転される。第2の偏光素子は非相反性の光学活性を有するので、このように第2の偏光素子を往復した後の第2の変調光は、偏光ビームスプリッタにおいて透過及び反射のうち他方を経て、第1の偏光ビームスプリッタの光分岐面に達する。なお、好適には、変調前の第2の照射光の偏光面が第2の偏光素子によって45°回転され、変調後の第2の変調光の偏光面が第2の偏光素子によって更に45°回転されるとよい。
【0020】
その後、s偏光成分を含む第1の変調光が第1の偏光ビームスプリッタにおいて反射され、第1の偏光ビームスプリッタの光分岐面に到達した第2の変調光と合波されて、第1の偏光ビームスプリッタから出力される。
【0021】
以上に説明したように、上記第2の光学モジュールでは、第1及び第2の照射光を個別に変調し、変調後の第1及び第2の変調光を合波して出力することができる。したがって、この第2の光学モジュールによれば、第1及び第2の変調光に対して異なる集光深さを与えたり、或いは、パルス幅や繰り返し周波数などの照射条件を互いに異ならせる等、より多様な照射形態を使用者に提供することができる。
【0022】
また、第2の光学モジュールは、第1の偏光ビームスプリッタと第1の反射型SLMとの間の光路上に設けられた光路長調整素子を更に備えてもよい。
【0023】
また、第2の光学モジュールは、相反性の光学活性を有し、第1の偏光ビームスプリッタと第2の偏光ビームスプリッタとの間の光路上に設けられた偏光素子を更に備えることを特徴としてもよい。これにより、第2の偏光ビームスプリッタの光分岐面において反射された第2の変調光の偏光面を回転させ、第1の偏光ビームスプリッタの光分岐面を透過させることができる。
【0024】
また、本発明による第2の光照射装置は、上記いずれかの第2の光学モジュールと、第1及び第2の照射光を光学モジュールへ出力する一又は二以上の光源と、光学モジュールから出力された変調光を照射対象物へ導く導光光学系とを備えることを特徴とする。この第2の光照射装置によれば、上述した第2の光学モジュールを備えることにより、より多様な照射形態を使用者に提供することができる。
【0025】
また、第2の光照射装置は、前記第1の照射光の光路上に配置され、波長成分もしくは偏光成分に基づいて前記第1の照射光を分光する第1の分光素子と、前記第2の照射光の光路上に配置され、波長成分もしくは偏光成分に基づいて前記第2の照射光を分光する第2の分光素子とを更に備えてもよい。
【0026】
また、第2の光照射装置が2分の1波長板を更に備え、前記2分の1波長板は、前記第1の照射光の光路上及び前記第2の照射光の光路上のうち少なくとも一方に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、より多様な照射形態を使用者に提供することが可能な光学モジュールおよび光照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態に係る光学モジュールの構成を示す図である。
図2】第1実施形態の光学モジュールを備える光照射装置の構成を示す図である。
図3】上記実施形態の第1変形例に係る光学モジュールの構成を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る光学モジュールの構成を示す図である。
図5】第2実施形態の光学モジュールを備える光照射装置の構成を示す図である。
図6】上記実施形態の第2変形例に係る光学モジュールの構成を示す図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る光学モジュールの構成を示す図である。
図8】第3実施形態の光学モジュールを備える光照射装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しながら本発明による光学モジュールおよび光照射装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学モジュール1Aの構成を示す図である。また、図2は、光学モジュール1Aを備える光照射装置2Aの構成を示す図である。なお、理解の容易のため、図1及び図2にはXYZ直交座標系が併せて示されている。また、図1及び図2では、理解の容易のため、光L2の光軸と光L3の光軸とが離れているが、実際には光L2の光軸と光L3の光軸とは一部で重なっている。光L4及び光L5についても同様である。
【0031】
図1に示されるように、光学モジュール1Aは、偏光ビームスプリッタ10Aと、第1の偏光素子20と、第1の反射型SLM30と、第2の偏光素子40と、第2の反射型SLM50とを備えている。
【0032】
偏光ビームスプリッタ10Aは、光分岐面11を有する光学部品である。光分岐面11は、第1の方向(本実施形態ではX軸方向)、及び第1の方向と交差する第2の方向(本実施形態ではY軸方向)の双方に対して傾斜しており、その傾斜角は例えば45°である。光分岐面11は、これらの方向から入射した光に含まれるs偏光成分を反射し、p偏光成分を透過する。光分岐面11は、光学モジュール1Aの外部からX軸方向に沿って入射された照射光L1を受ける。この照射光L1は、p偏光成分及びs偏光成分の双方を含む光であり、例えばp偏光でもs偏光でもない直線偏光、無偏光(ランダム偏光)、円偏光、楕円偏光の光、或いはp偏光の光にそれと波長の異なるs偏光の光が重なった光である。
【0033】
また、XY平面に沿った偏光ビームスプリッタ10Aの断面形状は矩形状を呈している。そして、偏光ビームスプリッタ10Aは、この断面に現れる光入射面12、光出射面13、第1の面14および第2の面15を有している。光入射面12は、X軸方向と交差する平面に沿っており、照射光L1を受ける。光出射面13は、Y軸方向と交差する平面に沿っており、合成変調光L6を出力する。第1の面14はX軸方向と交差する平面に沿っており、光入射面12及び第1の面14はX軸方向に並んで配置されている。第2の面15はY軸方向と交差する平面に沿っており、光出射面13及び第2の面15はY軸方向に並んで配置されている。これら4つの面のうち、光入射面12および第2の面15は光分岐面11の一方の面側に配置されており、光出射面13および第1の面14は光分岐面11の他方の面側に配置されている。
【0034】
第1の偏光素子20は、偏光ビームスプリッタ10Aの第1の面14と光学的に結合されており、照射光L1のうち光分岐面11を透過した第1の偏光成分L2(光分岐面11を透過した時点ではp偏光成分)の光路上に配置されている。なお、第1の偏光成分L2の光路とは、照射光L1のうち光分岐面11を透過した光の光路を指す。本実施形態の第1の偏光素子20は、偏光ビームスプリッタ10Aの光分岐面11に対してX軸方向に並んで配置されている。第1の偏光素子20は、第1の偏光成分L2の偏光面を回転させるための非相反性の光学活性を有する。ここで、非相反性の光学活性とは、順方向に進む光の回転の向きと、逆方向に進む光の回転の向きとが互いに等しい偏光特性を意味する。例えば、或る方向から第1の偏光素子20を通過した光の偏光面が所定の向きに所定の角度(例えば、45°もしくは135°)だけ回転する場合、逆方向から第1の偏光素子20を通過した光の偏光面は、上記の所定の向きに更に同じ角度だけ回転する。例えば、所定の角度が45°である場合、第1の偏光素子20を光が往復すると、その光の偏光面は90°回転することとなる。第1の偏光素子20は、一例ではファラデーローテータによって好適に構成される。
【0035】
なお、光学性結晶から成る1/2波長板も通過光の偏光面を回転させるものであるが、1/2波長板では順方向に進む光の回転の向きと逆方向に進む光の回転の向きとが互いに逆である相反性の光学活性を有するため、光が往復すると、その光の偏光面は元に戻ってしまう。したがって、1/2波長板は、非相反性の光学活性を有する偏光素子ではなく、第1の偏光素子20としては用いられない。
【0036】
第1の反射型SLM30は、第1の偏光素子20を通過した第1の偏光成分L2を変調して第1の変調光L3を生成するとともに、第1の変調光L3を第1の偏光素子20へ反射する。第1の反射型SLM30としては、位相変調型、強度変調(振幅変調)型、或いは偏光変調型といった種々のSLMが適用される。第1の反射型SLM30は、一次元又は二次元に配列された複数の領域(画素)を含む変調面31を有する。第1の反射型SLM30は、その複数の領域毎に第1の偏光成分L2の位相、強度等を変調することにより、第1の変調光L3を生成する。一例では、第1の反射型SLM30は、平行配向ネマティック液晶を有するLCOS(Liquid Crystal on Silicon)型のSLMである。第1の反射型SLM30は、電気アドレス型の液晶素子に限られず、例えば光アドレス型の液晶素子や、液晶以外の電気光効果材料を有する素子、多数のマイクロミラーによって構成される素子、可変鏡型の光変調器であってもよい。
【0037】
第2の偏光素子40は、偏光ビームスプリッタ10Aの第2の面15と光学的に結合されており、照射光L1のうち光分岐面11において反射された第2の偏光成分L4(光分岐面11において反射された時点ではs偏光成分)の光路上に配置されている。本実施形態の第2の偏光素子40は、偏光ビームスプリッタ10Aの光分岐面11に対してY軸方向に並んで配置されている。第2の偏光素子40は、第2の偏光成分L4の偏光面を回転させるための非相反性の光学活性を有する。なお、非相反性の光学活性の定義は前述した第1の偏光素子20と同様である。第2の偏光素子40は、一例ではファラデーローテータによって好適に構成される。
【0038】
第2の反射型SLM50は、第2の偏光素子40を通過した第2の偏光成分L4を変調して第2の変調光L5を生成するとともに、第2の変調光L5を第2の偏光素子40へ反射する。第2の反射型SLM50としては、第1の反射型SLM30と同様に、位相変調型、強度変調(振幅変調)型、或いは偏光変調型といった種々のSLMが適用される。第2の反射型SLM50は、一次元又は二次元に配列された複数の領域(画素)を含む変調面51を有する。第2の反射型SLM50は、その複数の領域毎に第2の偏光成分L4の位相、強度等を変調することにより、第2の変調光L5を生成する。一例では、第2の反射型SLM50は、平行配向ネマティック液晶を有するLCOS型のSLMである。第2の反射型SLM50は、電気アドレス型の液晶素子に限られず、例えば光アドレス型の液晶素子や、液晶以外の電気光効果材料を有する素子、多数のマイクロミラーによって構成される素子、可変鏡型の光変調器であってもよい。
【0039】
なお、反射型SLM30,50がLCOS型のSLMである場合、振動方向が液晶の配向方向と平行である直線偏光成分しか変調されないため、偏光素子20,40による回転後の偏光面の角度に合わせて反射型SLM30,50を配置するとよい。
【0040】
図2に示されるように、本実施形態の光照射装置2Aは、上述した光学モジュール1Aに加えて、照射光L1を光学モジュール1Aへ出力する光源3と、光学モジュール1Aから出力された合成変調光L6を照射対象物4へ導く導光光学系5とを備えている。光源3は、p偏光成分およびs偏光成分の双方を含む照射光L1を出力する。前述したように、照射光L1は、無偏光(ランダム偏光)、円偏光、或いは楕円偏光の光である。光源3から出力された照射光L1は、レンズなどを含む導光光学系6を介して、偏光ビームスプリッタ10Aの光入射面12に導かれる。導光光学系5は、ステージ7上に載置された照射対象物4へ向けて合成変調光L6を集光するための対物レンズを含む。
【0041】
以上の構成を備える光学モジュール1A及び光照射装置2Aの動作について説明する。光源3から出力された照射光L1は、導光光学系6を通過して偏光ビームスプリッタ10Aに達する。X軸方向に沿って偏光ビームスプリッタ10Aの光入射面12に入射した照射光L1のうち、第1の偏光成分L2は光分岐面11を透過し、第1の面14から出射される。また、第2の偏光成分L4は光分岐面11において反射され、第2の面15から出射される。第1の偏光成分L2は第1の偏光素子20を通過するが、このとき、第1の偏光成分L2の偏光面は、第1の偏光素子20によってp偏光面から所定の向きに例えば45°若しくは135°回転する。その後、第1の偏光成分L2は、第1の反射型SLM30によって変調されて第1の変調光L3と成り、同時に第1の偏光素子20に向けて反射される。第1の変調光L3は、第1の偏光素子20を再び通過するが、このとき、第1の変調光L3の偏光面は、第1の偏光素子20によって上記所定の向きに例えば45°若しくは135°回転する。その結果、第1の変調光L3はs偏光成分を主に含む(或いは、s偏光成分のみから成る)こととなる。
【0042】
一方、第2の偏光成分L4は第2の偏光素子40を通過するが、このとき、第2の偏光成分L4の偏光面は、第2の偏光素子40によってs偏光面から所定の向きに例えば45°若しくは135°回転する。その後、第2の偏光成分L4は、第2の反射型SLM50によって変調されて第2の変調光L5と成り、同時に第2の偏光素子40に向けて反射される。第2の変調光L5は、第2の偏光素子40を再び通過するが、このとき、第2の変調光L5の偏光面は、第2の偏光素子40によって上記所定の向きに例えば45°若しくは135°回転する。その結果、第2の変調光L5はp偏光成分を主に含む(或いは、p偏光成分のみから成る)こととなる。
【0043】
その後、s偏光成分を含む第1の変調光L3は偏光ビームスプリッタ10Aにおいて反射され、p偏光成分を含む第2の変調光L5は偏光ビームスプリッタ10Aを透過する。これらの変調光L3,L5は互いに合波され、合成変調光L6として偏光ビームスプリッタ10Aの光出射面13から出力される。合成変調光L6は、導光光学系5に含まれる対物レンズによって集光されつつ、照射対象物4に照射される。
【0044】
以上に説明した本実施形態の光学モジュール1A及び光照射装置2Aによって得られる効果について説明する。光学モジュール1Aでは、照射光L1のp偏光成分(第1の偏光成分L2)及びs偏光成分(第2の偏光成分L4)を分離させた後にそれぞれ変調し、変調後の第1及び第2の変調光L3,L5を合波して出力することができる。したがって、本実施形態の光学モジュール1Aによれば、第1及び第2の変調光L3,L5に対して異なる変調パターンを与えることができる。これにより、例えば光軸に垂直な面内での光位相分布や光強度分布が互いに異なる2つの照射パターンを合成して照射したり、偏光成分毎に異なる集光深さを与えたり、また、パルス幅や繰り返し周波数などの照射条件を偏光成分毎に異ならせることができる。或いは、偏光成分毎に独立して収差を補正することもできる。これらのように、本実施形態の光学モジュール1A及び光照射装置2Aによれば、例えば特許文献1,2に記載されたような従来の装置よりも多様な照射形態を使用者に提供することを可能にできる。また、個別に変調された第1及び第2の変調光L3,L5を合波して出力するので、照射対象物4への照射光(合成変調光L6)に生じるスペックルを低減することができる。なお、本実施形態では、第1の反射型SLM30及び第2の反射型SLM50が、同一の変調パターンを呈示してもよい。
【0045】
また、液晶型などのSLMの構成によっては直線偏光成分しか変調できない場合がある。そのような場合、例えば特許文献1,2に記載された構成のように他の偏光成分が利用されないと、光利用効率(光源から出力された光の強度と、照射対象物に照射される光の強度との比)が小さく抑えられてしまう。これに対し、本実施形態の光学モジュール1A及び光照射装置2Aによれば、照射光L1のs偏光成分およびp偏光成分の双方を有効に利用することができるので、光利用効率を効果的に高めることができる。これにより、例えば安価なランダム偏光の光源を用いた場合であっても、十分な光量の光を照射対象物4に照射することができる。
【0046】
また、光学モジュール1Aでは、一つの偏光ビームスプリッタ10Aの周囲に2つの反射型SLM30,50が配置されている。そして、第1の反射型SLM30への入射光(第1の偏光成分L2)は偏光ビームスプリッタ10Aから入射し、変調後の光(第1の変調光L3)は偏光ビームスプリッタ10Aに向けて反射される。同様に、第2の反射型SLM50への入射光(第1の偏光成分L3)は偏光ビームスプリッタ10Aから入射し、変調後の光(第2の変調光L5)は偏光ビームスプリッタ10Aに向けて反射される。このような構成により、反射型SLM30,50の各変調面31,51の法線方向に沿って光を入射及び反射させることができるので、光軸の調整が容易であり、SLMへの入射効率、およびSLMからの出射効率を高めることができる。また、照射光L1の光軸と合成変調光L6の光軸とを斜めではなく直交させることができるので、他の光学系との接続を容易にすることができ、また収差の発生を低減することができる。更に、一部の光路において光を往復させるので、光学系全体の構成を簡素にでき、小型化が可能となる。
【0047】
本実施形態の光学モジュール1Aにおいて、第1及び第2の反射型SLM30,50が液晶型である場合、前述したように、振動方向が液晶の配向方向と平行である直線偏光成分しか変調されない。したがって、第1の反射型SLM30の液晶の配向方向と、第2の反射型SLM50の液晶の配向方向とが互いに直交するように、第1及び第2の反射型SLM30,50が配置されることが好ましい。これにより、偏光面が互いに直交する第1及び第2の偏光成分L2,L4それぞれを、第1及び第2の反射型SLM30,50それぞれにおいて効率良く変調することができる。
【0048】
(第1の変形例)
図3は、上記実施形態の一変形例に係る光学モジュール1Bの構成を示す図である。本変形例の光学モジュール1Bは、上記実施形態の光学モジュール1Aの構成に加えて、相反性の光学活性を有する偏光素子である1/2波長板8を更に備えている。本変形例では、1/2波長板8は偏光ビームスプリッタ10Aと第1の反射型SLM30との間の光路上に配置されており、図には偏光ビームスプリッタ10Aと第1の偏光素子20との間の光路上に配置された例が示されている。
【0049】
この例において、偏光ビームスプリッタ10Aの光分岐面11を透過した第1の偏光成分L2は、1/2波長板8を通過する。このとき、第1の偏光成分L2の偏光面は、1/2波長板8によってp偏光面から或る回転方向に90°回転する。その後、第1の偏光成分L2は、第1の偏光素子20と第1の反射型SLM30との間を往復して第1の変調光L3となり、1/2波長板8を再び通過する。このとき、第1の変調光L3の偏光面は、1/2波長板8によって上記とは逆の向きに90°回転する。その結果、偏光ビームスプリッタ10Aに入射するときの第1の変調光L3の偏光面は、第1実施形態と同様になる。
【0050】
本変形例では、第1の反射型SLM30に入射する際の第1の偏光成分L2の偏光面を90°回転させている。これにより、第1の反射型SLM30に入射する直前の第1の偏光成分L2の偏光面の角度を任意に制御することができる。したがって、例えば第1及び第2の反射型SLM30,50は液晶型SLMである場合に、第1の反射型SLM30の液晶の配光方向を任意に設定することができる。これにより、例えば第1の反射型SLM30の液晶の配光方向と第2の反射型SLM50の液晶の配光方向とを揃える(互いに平行にする)ことが可能となり、第1及び第2の反射型SLM30,50のそれぞれに入力される変調データに対し、第1及び第2の反射型SLM30,50の制御を共通化することが可能になる。
【0051】
なお、1/2波長板8は、第1の偏光素子20と第1の反射型SLM30との間の光路上に配置されてもよく、或いは、偏光ビームスプリッタ10Aと第2の反射型SLM50との間(偏光ビームスプリッタ10Aと第2の偏光素子40との間、もしくは第2の偏光素子40と第2の反射型SLM50との間)の光路上に配置されてもよい。1/2波長板8が偏光ビームスプリッタ10Aと第2の反射型SLM50との間の光路上に配置される場合、第2の反射型SLM50に入射する直前の第2の偏光成分L4の偏光面の角度を任意に制御することができ、上述した効果を同様に奏することができる。なお、導光光学系5には、ビームの進行方向を変更するビームスキャナが含まれていても良い。
【0052】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る光学モジュール1Cの構成を示す図である。また、図5は、光学モジュール1Cを備える光照射装置2Cの構成を示す図である。なお、理解の容易のため、図4及び図5にはXYZ直交座標系が併せて示されている。また、図4及び図5では、理解の容易のため、光L7の光軸と光L8の光軸とが離れているが、実際には光L7の光軸と光L8の光軸とは一部で重なっている。光L9及び光L10についても同様である。
【0053】
図4に示されるように、光学モジュール1Cは、第1の偏光ビームスプリッタ10Bと、第2の偏光ビームスプリッタ10Cと、第1の偏光素子22と、第1の反射型SLM32と、第2の偏光素子42と、第2の反射型SLM52と、光路長調整素子60と、1/2波長板70とを備えている。
【0054】
第1及び第2の偏光ビームスプリッタ10B,10Cは、第1実施形態の偏光ビームスプリッタ10Aと同様の構成を有する。すなわち、第1及び第2の偏光ビームスプリッタ10B,10Cは、入射光のs偏光成分を反射し、p偏光成分を透過する光分岐面11と、光入射面12と、光出射面13と、第1の面14と、第2の面15とを有する。第1の偏光ビームスプリッタ10Bは、p偏光成分を含む第1の照射光L7を光分岐面11に受ける。第2の偏光ビームスプリッタ10Cは、p偏光成分を含む第2の照射光L9を光分岐面11に受ける。第1及び第2の偏光ビームスプリッタ10B,10Cは、第1の偏光ビームスプリッタ10Bの第2の面15と、第2の偏光ビームスプリッタ10Cの光出射面13とが互いに光結合されるように、Y軸方向に並んで配置されている。第1の偏光ビームスプリッタ10Bと第2の偏光ビームスプリッタ10Cとの間の光路上には、相反性の光学活性を有する偏光素子である1/2波長板70が設けられている。
【0055】
第1の偏光素子22は、偏光ビームスプリッタ10Bの第1の面14と光学的に結合されており、光分岐面11を透過した第1の照射光L7の光路上に配置されている。本実施形態の第1の偏光素子22は、偏光ビームスプリッタ10Bの光分岐面11に対してX軸方向に並んで配置されている。第1の偏光素子22は、第1の照射光L7の偏光面を回転させるための非相反性の光学活性を有する。なお、非相反性の光学活性の定義は第1実施形態と同様である。第1の偏光素子22は、一例ではファラデーローテータによって好適に構成される。
【0056】
第1の反射型SLM32は、第1の偏光素子22を通過した第1の照射光L7を変調して第1の変調光L8を生成するとともに、第1の変調光L8を第1の偏光素子22へ反射する。第1の反射型SLM32としては、第1実施形態の第1の反射型SLM30と同様に、位相変調型、強度変調(振幅変調)型、或いは偏光変調型といった種々のSLMが適用される。第1の反射型SLM32は、一次元又は二次元に配列された複数の領域(画素)を含む変調面33を有する。第1の反射型SLM32は、その複数の領域毎に第1の照射光L7の位相、強度等を変調することにより、第1の変調光L8を生成する。
【0057】
光路長調整素子60は、第1の偏光ビームスプリッタ10Bと第1の反射型SLM32との間の光路上に設けられており、第1の照射光L7および第1の変調光L8の光路長を調整する。一例では、第1の照射光L7および第1の変調光L8の光路長が、後述する第2の照射光L9および第2の変調光L10の光路長と等しくなるように、光路長調整素子60の長さが設定される。なお、図では光路長調整素子60が第1の偏光ビームスプリッタ10Bと第1の偏光素子22との間に配置されているが、光路長調整素子60は第1の偏光素子22と第1の反射型SLM32との間に配置されてもよい。
【0058】
第2の偏光素子42は、偏光ビームスプリッタ10Cの第1の面14と光学的に結合されており、光分岐面11を透過した第2の照射光L9の光路上に配置されている。本実施形態の第2の偏光素子42は、偏光ビームスプリッタ10Cの光分岐面11に対してX軸方向に並んで配置されている。第2の偏光素子42は、第2の照射光L9の偏光面を回転させるための非相反性の光学活性を有する。なお、非相反性の光学活性の定義は第1実施形態と同様である。第2の偏光素子42は、一例ではファラデーローテータによって好適に構成される。
【0059】
第2の反射型SLM52は、第2の偏光素子42を通過した第2の照射光L9を変調して第2の変調光L10を生成するとともに、第2の変調光L10を第2の偏光素子42へ反射する。第2の反射型SLM52としては、第1実施形態の第2の反射型SLM50と同様に、位相変調型、強度変調(振幅変調)型、或いは偏光変調型といった種々のSLMが適用される。第2の反射型SLM52は、一次元又は二次元に配列された複数の領域(画素)を含む変調面53を有する。第2の反射型SLM52は、その複数の領域毎に第2の照射光L9の位相、強度等を変調することにより、第2の変調光L10を生成する。
【0060】
一例では、第1の反射型SLM32および第2の反射型SLM52は、平行配向ネマティック液晶を有するLCOS型のSLMである。反射型SLM32,52は、電気アドレス型の液晶素子に限られず、例えば光アドレス型の液晶素子や、可変鏡型の光変調器であってもよい。なお、反射型SLM32,52がLCOS型のSLMである場合、振動方向が液晶の配向方向と平行である直線偏光成分しか変調されないため、偏光素子22,42による回転後の偏光面の角度に合わせて反射型SLM32,52を配置するとよい。
【0061】
図5に示されるように、本実施形態の光照射装置2Cは、上述した光学モジュール1Cに加えて、第1の照射光L7を光学モジュール1Cへ出力する光源3Aと、第2の照射光L9を光学モジュール1Cへ出力する光源3Bと、光学モジュール1Cから出力された合成変調光L11(後述)を照射対象物4へ導く導光光学系5とを備えている。光源3Aから出力された第1の照射光L7は、レンズなどを含む導光光学系6A、および偏光成分に基づいて第1の照射光L7を分光する偏光板(第1の分光素子)9Aを介して、偏光ビームスプリッタ10Bの光入射面12に導かれる。同様に、光源3Bから出力された第2の照射光L9は、レンズなどを含む導光光学系6B、および偏光成分に基づいて第2の照射光L9を分光する偏光板(第2の分光素子)9Bを介して、偏光ビームスプリッタ10Cの光入射面12に導かれる。導光光学系5は、ステージ7上に載置された照射対象物4へ向けて合成変調光L11を集光するための対物レンズを含む。
【0062】
以上の構成を備える光学モジュール1C及び光照射装置2Cの動作について説明する。光源3Aから出力された第1の照射光L7は、導光光学系6Aを通過し、偏光板9A(第1の分光素子)によってs偏光成分が除去されたのち(すなわち、p偏光成分のみを透過し)、偏光ビームスプリッタ10Bに達し、光分岐面11を透過して第1の面14から出射される。この第1の照射光L7は第1の偏光素子22を通過するが、このとき、第1の照射光L7の偏光面は、第1の偏光素子22によってp偏光面から所定の向きに例えば45°回転する。その後、第1の照射光L7は、第1の反射型SLM32によって変調されて第1の変調光L8となり、同時に第1の偏光素子22に向けて反射される。第1の変調光L8は、第1の偏光素子22を再び通過するが、このとき、第1の変調光L8の偏光面は、第1の偏光素子22によって上記所定の向きに例えば45°回転する。その結果、第1の変調光L8はs偏光成分を主に含む(或いは、s偏光成分のみから成る)こととなる。
【0063】
一方、光源3Bから出力された第2の照射光L9は、導光光学系6Bを通過し、偏光板(第2の分光素子)9Bによってs偏光成分が除去されたのち(すなわち、p偏光成分のみを透過し)、偏光ビームスプリッタ10Cに達し、光分岐面11を透過して第1の面14から出射される。この第2の照射光L9は第2の偏光素子42を通過するが、このとき、第2の照射光L9の偏光面は、第2の偏光素子42によってp偏光面から所定の向きに例えば45°回転する。その後、第2の照射光L9は、第2の反射型SLM52によって変調されて第2の変調光L10となり、同時に第2の偏光素子42に向けて反射される。第2の変調光L10は、第2の偏光素子42を再び通過するが、このとき、第2の変調光L10の偏光面は、第2の偏光素子42によって上記所定の向きに例えば45°回転する。その結果、第2の変調光L10はs偏光成分を主に含む(或いは、s偏光成分のみから成る)こととなる。
【0064】
その後、s偏光成分を含む第1の変調光L8は偏光ビームスプリッタ10Bの光分岐面11において反射される。また、s偏光成分を含む第2の変調光L10は、偏光ビームスプリッタ10Cの光分岐面11において反射されたのち、1/2波長板70を通過して偏光ビームスプリッタ10Bの光分岐面11に達する。第2の変調光L10が1/2波長板70を通過する際、第2の変調光L10の偏光面はs偏光面から或る回転方向に例えば90°回転する。したがって、第2の変調光L10は、p偏光成分を主に含む(或いは、p偏光成分のみから成る)こととなり、偏光ビームスプリッタ10Bの光分岐面11を透過する。そして、これらの変調光L8,L10は互いに合波され、合成変調光L11として偏光ビームスプリッタ10Bの光出射面13から出力される。合成変調光L11は、導光光学系5に含まれる対物レンズによって集光されつつ、照射対象物4に照射される。
【0065】
以上に説明した本実施形態の光学モジュール1C及び光照射装置2Cによれば、前述した第1実施形態の光学モジュール1A及び光照射装置2Aと同様の効果が得られる。すなわち、本実施形態では、第1の照射光L7および第2の照射光L9をそれぞれ変調し、変調後の第1及び第2の変調光L8,L10を合波して出力することができる。したがって、本実施形態の光学モジュール1C及び光照射装置2Cによれば、第1及び第2の変調光L8,L10に対して異なる変調パターンを与えることができる。これにより、第1実施形態と同様に、多様な照射形態を使用者に提供することを可能にできる。なお、本実施形態においても、第1の反射型SLM32及び第2の反射型SLM52が、同一の変調パターンを呈示してもよい。
【0066】
また、光学モジュール1Cでは、第1の反射型SLM32への入射光(第1の照射光L7)は偏光ビームスプリッタ10Bから入射し、変調後の光(第1の変調光L8)は偏光ビームスプリッタ10Bに向けて反射される。また、第2の反射型SLM52への入射光(第2の照射光L9)は偏光ビームスプリッタ10Cから入射し、変調後の光(第2の変調光L10)は偏光ビームスプリッタ10Cに向けて反射される。このような構成により、反射型SLM32,52の各変調面33,53の法線方向に沿って光を入射及び反射させることができるので、光軸の調整が容易であり、SLMへの入射効率、およびSLMからの出射効率を高めることができる。また、第1及び第2の照射光L7,L9の光軸と合成変調光L11の光軸とを斜めではなく直交させることができるので、他の光学系との接続を容易にすることができ、また収差の発生を低減することができる。更に、一部の光路において光を往復させるので、光学系全体の構成を簡素にでき、小型化が可能となる。
【0067】
また、本実施形態のように、第1の偏光ビームスプリッタ10Bと第2の偏光ビームスプリッタ10Cとの間の光路上には、相反性の光学活性を有する偏光素子(例えば1/2波長板70)が設けられることが好ましい。これにより、第2の偏光ビームスプリッタ10Cの光分岐面11において反射されたs偏光成分を含む第2の変調光L10の偏光面を回転させてp偏光成分を含むようにし、第1の偏光ビームスプリッタ10Bの光分岐面11を好適に透過させることができる。また、これにより、第1の反射型SLM32の液晶の配光方向と第2の反射型SLM52の液晶の配光方向とを揃える(互いに平行にする)ことが可能となり、第1及び第2の反射型SLM32,52のそれぞれに入力される変調データに対する第1及び第2の反射型SLM32,52の制御を共通化することが可能になる。
【0068】
なお、偏光板9A及び9Bの少なくとも一方を、1/2波長板に置き換えてもよい。その場合、光源は、s偏光成分を含む照射光を出力するとよい。また、導光光学系5には、ビームの進行方向を変更するビームスキャナが含まれていても良い。
【0069】
(第2の変形例)
図6は、上記実施形態の一変形例に係る光学モジュール1Dの構成を示す図である。本変形例の光学モジュール1Dは、上記実施形態の光学モジュール1Cの構成に加えて、波長フィルタ80A,80Bを更に備えている。本変形例では、波長フィルタ(第1の分光素子)80Aは偏光ビームスプリッタ10Bに入射する第1の照射光L7の光路上に配置されており、波長成分に基づいて第1の照射光L7を分光する。また、波長フィルタ(第2の分光素子)80Bは偏光ビームスプリッタ10Cに入射する第2の照射光L9の光路上に配置されており、波長成分に基づいて第2の照射光L9を分光する。
【0070】
この変形例では、第1の波長範囲の第1の照射光L7が偏光ビームスプリッタ10Bに入射され、第1の波長範囲とは異なる第2の波長範囲の第2の照射光L9が偏光ビームスプリッタ10Cに入射される。したがって、合成変調光L11を構成する第1の変調光L8は第1の波長範囲に含まれる光となり、第2の変調光L10は第2の波長範囲に含まれる光となる。そして、波長フィルタ80Aは、第1の波長範囲の光を透過して第2の波長範囲の光を遮断するものであり、波長フィルタ80Bは、第2の波長範囲の光を透過して第1の波長範囲の光を遮断するものである。なお、偏光ビームスプリッタ10Bには第1の波長範囲に対応したものが用いられ、偏光ビームスプリッタ10Cには第2の波長範囲に対応したものが用いられる。また、第2の波長範囲における偏光ビームスプリッタ10Bの透過率が高いことが尚好ましい。
【0071】
本変形例の光学モジュール1Dによれば、偏光成分が異なり波長も異なる第1及び第2の変調光L8,L10を合波して照射することができる。また、波長フィルタ80A及び80Bを設けることにより、第1の照射光L7を出力する光源と、第2の照射光L9を出力する光源との相互間で互いの光が入射することを防止できる。
【0072】
(第3の実施の形態)
図7は、本発明の第3実施形態に係る光学モジュール1Eの構成を示す図である。また、図8は、光学モジュール1Eを備える光照射装置2Eの構成を示す図である。本実施形態の光学モジュール1Eが第2実施形態の光学モジュール1Cと相違する点は、第2の偏光素子42および第2の反射型SLM52の配置、並びに1/2波長板70を備えない点である。
【0073】
本実施形態では、偏光板(第2の分光素子)9Bにおいて第2の照射光L9からp偏光成分が除去される(すなわち、s偏光成分の光のみが透過する)。そして、第2の偏光素子42は、第2の偏光ビームスプリッタ10Cの第2の面15と光学的に結合されており、第2の偏光ビームスプリッタ10Cの光分岐面11において反射された第2の照射光L9の光路上に配置されている。本実施形態の第2の偏光素子42は、偏光ビームスプリッタ10Cの光分岐面11に対してY軸方向に並んで配置されている。第2の反射型SLM52は、第2の偏光素子42を通過した第2の照射光L9を変調して第2の変調光L10を生成するとともに、第2の変調光L10を第2の偏光素子42へ反射する。
【0074】
上記の構成において、第2の偏光ビームスプリッタ10Cの光分岐面11において反射されたs偏光成分を含む第2の照射光L9は、第2の偏光素子42を通過する。その際、第2の照射光L9の偏光面が第2の偏光素子42によってs偏光面から所定の向きに例えば45°回転する。その後、第2の照射光L9は、第2の反射型SLM52によって変調されて第2の変調光L10となり、同時に第2の偏光素子42に向けて反射される。第2の変調光L10は、第2の偏光素子42を再び通過するが、このとき、第2の変調光L10の偏光面は、第2の偏光素子42によって上記所定の向きに例えば45°回転する。その結果、第2の変調光L10はp偏光成分を主に含む(或いは、p偏光成分のみから成る)こととなる。その後、p偏光成分を含む第2の変調光L10は、第1の偏光ビームスプリッタ10Bの光分岐面11を透過し、第1の変調光L8と合波されて、合成変調光L11として偏光ビームスプリッタ10Bの光出射面13から出力される。
【0075】
本実施形態の光学モジュール1Eを備える光照射装置2Eによれば、第2実施形態と同様に、第1及び第2の変調光L8,L10に対して異なる変調パターンを与えることができるので、多様な照射形態を使用者に提供することを可能にできる。また、反射型SLM32,52の各変調面33,53の法線方向に沿って光を入射及び反射させることができるので、光軸の調整が容易であり、SLMへの入射効率、およびSLMからの出射効率を高めることができる。更に、第1及び第2の照射光L7,L9の光軸と合成変調光L11の光軸とを斜めではなく直交させることができるので、他の光学系との接続を容易にすることができ、また収差の発生を低減することができる。また、一部の光路において光を往復させるので、光学系全体の構成を簡素にでき、小型化が可能となる。
【0076】
本発明による光学モジュールおよび光照射装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記各実施形態では断面矩形状の偏光ビームスプリッタを用いているが、偏光ビームスプリッタの形状はこれに限られず、例えば板状であってもよい。また、上記各実施形態では反射型SLMに対して光を垂直に入射および出射させているが、反射型SLMに対する入反射角は0°より大きくてもよい。
また、一般的に、SLMを含む光学系には収差が発生するが、上記各実施形態において、収差を補正するためのパターンを第1及び第2の反射型SLMに表示させてもよい。このようなパターンを所望の位相パターンに加えることにより、収差の補正が可能となる。この場合、第1の変調光に生じる収差と、第2の変調光に生じる収差とを独立して求め、それらの収差を第1及び第2の反射型SLMそれぞれで個別に除去するとよい。
【符号の説明】
【0077】
1A〜1E…光学モジュール、2A,2C,2E…光照射装置、3,3A,3B…光源、4…照射対象物、5,6,6A,6B…導光光学系、7…ステージ、8…1/2波長板、9A…偏光板(第1の分光素子)、9B…偏光板(第2の分光素子)、10A…偏光ビームスプリッタ、10B…第1の偏光ビームスプリッタ、10C…第2の偏光ビームスプリッタ、11…光分岐面、12…光入射面、13…光出射面、14…第1の面、15…第2の面、20,22…第1の偏光素子、30,32…第1の反射型SLM、40,42…第2の偏光素子、50,52…第2の反射型SLM、60…光路長調整素子、70…1/2波長板、80A…波長フィルタ(第1の分光素子)、80B…波長フィルタ(第2の分光素子)、L1…照射光、L2…第1の偏光成分、L3,L8…第1の変調光、L4…第2の偏光成分、L5,L10…第2の変調光、L6,L11…合成変調光、L7…第1の照射光、L9…第2の照射光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8