(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
住戸外に設置され来訪者が住戸内の在室者を呼出して通話を行うインターホン子機と、前記住戸内に設置され前記来訪者からの呼出しに応答した前記在室者が通話を行うインターホン親機と、住戸玄関に設置された電気錠とを有するインターホンシステムであって、
前記インターホン親機から前記インターホン子機を経由して制御され前記電気錠を施解錠する電気錠コントローラが前記住戸内に設置され、
前記インターホン子機、前記インターホン親機及び前記電気錠コントローラはそれぞれ、LAN等の汎用ネットワークを経由して相互に接続され、
前記インターホン親機は、前記在室者が前記電気錠を解錠させるための解錠操作を行う解錠操作部と、前記解錠操作部の操作情報を検出して前記インターホン子機に送信する親機CPUとを備え、
前記インターホン子機は、前記電気錠コントローラに割当てられたIPアドレス等の識別符号を記憶する子機記憶部と、前記インターホン親機の前記親機CPUから送信されてくる前記操作情報を受信して当該操作情報が有効であると判定したとき、前記子機記憶部から読出した前記識別符号に一致する前記電気錠コントローラを前記汎用ネットワークを経由して制御し、前記電気錠の解錠を行う子機CPUとを備えることを特徴とするインターホンシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術に記載の集合住宅インターホンシステムによれば、電気錠が集合玄関機に直接接続されているため、この集合玄関機を例えば、破壊して機器内部の配線を取出した後、特定のリレー端子をメークすると、電気錠が解錠されてしまう難点があった。
【0005】
本発明は、この難点を解消するためになされたもので、電気錠を施解錠する電気錠コントローラをインターホン子機とは別体で住戸内に設置し、インターホン親機による解錠操作をもとにインターホン子機を経由して送信されてくる信号により電気錠コントローラを制御することで、誤動作が発生せず安全に電気錠の解錠が可能なインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるインターホンシステムは、住戸外に設置され来訪者が住戸内の在室者を呼出して通話を行うインターホン子機と、住戸内に設置され来訪者からの呼出しに応答した在室者が通話を行うインターホン親機と、住戸玄関に設置された電気錠とを有する当該システムであって、インターホン親機からインターホン子機を経由して制御され電気錠を施解錠する電気錠コントローラが住戸内に設置されている。インターホン子機、インターホン親機及び電気錠コントローラはそれぞれ、LAN等の汎用ネットワークを経由して相互に接続されている。インターホン親機は、在室者が電気錠を解錠させるための解錠操作を行う解錠操作部と、解錠操作部の操作情報を検出してインターホン子機に送信する親機CPUとを備えている。インターホン子機は、電気錠コントローラに割当てられたIPアドレス等の識別符号を記憶する子機記憶部と、インターホン親機の親機CPUから送信されてくる操作情報を受信して当該操作情報が有効であると判定したとき、子機記憶部から読出した識別符号に一致する電気錠コントローラを汎用ネットワークを経由して制御し電気錠の解錠を行う子機CPUとを備えている。
【0007】
この態様のインターホンシステムによれば、電気錠を施解錠する電気錠コントローラをインターホン子機とは別体で住戸内に設置し、インターホン親機の解錠操作部の使用による解錠操作を検出した親機CPUから送信されてくる操作情報が有効であるとインターホン子機の子機CPUで判定したとき、この子機CPUにより子機記憶部から読出された識別番号に一致する電気錠コントローラを制御することができる。これにより、電気錠コントローラは、インターホン子機を経由して送信されてくる信号で制御されるため、誤動作が発生せず安全に電気錠の解錠が可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のインターホンシステムによれば、電気錠を施解錠する電気錠コントローラをインターホン子機とは別体で住戸内に設置し、住戸内に設置されたインターホン親機による解錠操作をもとにインターホン子機を経由して送信されてくる信号により電気錠コントローラを制御することで、誤動作や悪戯が発生せず安全に電気錠の解錠が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のインターホンシステムを適用した実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施例によるインターホンシステムの具体的な構成を示すブロック図である。このインターホンシステムは、住戸外、例えば、住戸玄関の周囲近傍に設置され来訪者が住戸内の在室者を呼出して通話を行うインターホン子機1と、住戸内に設置され来訪者からの呼出しに応答した在室者が通話を行うインターホン親機2と、住戸玄関(の玄関戸)に設置された電気錠3と、住戸内であって電気錠3の近傍に設置されインターホン親機2からインターホン子機1を経由して送信されてくる信号をもとに制御されて電気錠3を施解錠する電気錠コントローラ4と、インターホン子機1、インターホン親機2及び電気錠コントローラ4をそれぞれ接続するLAN(、WAN)等の汎用ネットワーク5とを有している。なお、インターホン親機2によれば、その設置場所として、住戸玄関から離れていてもよい。
【0012】
なお、同図において、インターホン子機1及び汎用ネットワーク5間、インターホン親機2及び汎用ネットワーク5間、電気錠コントローラ4及び汎用ネットワーク5間はそれぞれ、図示のような有線による接続の態様に限定されるものではなく、不図示の無線による接続の態様も好適とされる。
【0013】
次に、同図に示すインターホン子機1は、自子機に割当てられた識別符号としての例えば、IPアドレス(以下、子機アドレスという)を有しており、子機操作部10、映像撮像部11、子機映像処理部12、子機マイク13、子機スピーカ14、子機音声処理部15、子機記憶部16、子機CPU17及び子機インターフェース(I/F)18が備えられている。
【0014】
このインターホン子機1において、子機操作部10は、来訪者が在室者を呼出すための呼出操作を行うものであって、例えば、呼出(押圧)ボタンで構成されている。また、映像撮像部11は、来訪者の映像や住戸玄関の周囲近傍の映像(監視映像を含む)を撮像し、所定の信号処理により映像信号を生成するものであって、例えば、CCD、CMOS等の各種の映像撮像媒体で構成されている。さらに、子機映像処理部12は、映像撮像部11で生成された映像信号についての信号処理、例えば、FM変調や信号増幅等を行うものである。なお、映像撮像部11によれば、不図示の人体感知センサ等が有する人体感知機能に連動させて、インターホン子機1の周囲近傍に人体の存在が感知されたときに、その動作を能動として映像信号を生成することもできる。
【0015】
子機マイク13及び子機スピーカ14は、来訪者が在室者との間で通話を行うための音声(音声信号)を入出力するものである。また、子機音声処理部15は、子機マイク13及び子機スピーカ14の使用により入出力される音声(音声信号)についての信号処理、例えば、FM変調又はFM復調や信号増幅等を行うものである。
【0016】
子機記憶部16は、電気錠コントローラ4に割当てられた識別符号としての例えば、IPアドレス(以下、コントローラアドレスという)を記憶するものであって、例えば、RAM、EEPROM等の各種の記憶媒体で構成されている。また、子機CPU17は、当該インターホン子機の構成各部を制御するものである。さらに、子機I/F18は、子機映像処理部12から汎用ネットワーク5への信号伝送路、子機音声処理部15及び汎用ネットワーク5間の信号伝送路、子機CPU17及び汎用ネットワーク5間の信号伝送路をそれぞれ形成し、形成された信号伝送路を経由して各種の信号を送受信するものである。なお、子機記憶部16は、図示のような子機CPU17と別体で設けられる構成の態様に限定されるものではなく、子機CPU17と一体でその内部(不図示)に備えることもできる。
【0017】
次に、同図に示すインターホン親機2は、自親機に割当てられた識別符号としての例えば、IPアドレス(以下、親機アドレスという)を有しており、通話操作部20、解錠操作部21、表示部22、親機映像処理部23、親機マイク24、親機スピーカ25、親機音声処理部26、親機CPU27及び親機I/F28が備えられている。
【0018】
このインターホン親機2において、通話操作部20は、来訪者からの呼出しに在室者が応答して親機マイク24及び親機スピーカ25の使用による通話を開始させるための応答操作やその通話を終了させるための終話操作が行われるものであって、例えば、通話(押圧)ボタンや表示部22の前面に配置されたタッチパネル上の操作ボタン(不図示)で構成されている。また、解錠操作部21は、在室者が電気錠3を解錠させるための解錠操作を行うものであって、例えば、ワンプッシュ操作が可能な電気錠(押圧)ボタンや表示部22の前面に配置されたタッチパネル上の操作ボタン(不図示)で構成されている。
【0019】
表示部22は、インターホン子機1の映像撮像部11で生成された映像信号を表示するものであって、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等の各種の表示媒体で構成されており、この表示部22としては、来訪者からの呼出しがあることを示す例えば、文字メッセージや絵データ等を表示することもできる。なお、表示部22は、来訪者からの呼出しがあることを所定の発光色の点滅パターンや点灯パターンで表示する例えば、LED(不図示)を適用することもできる。また、親機映像処理部23は、表示部22に表示される映像信号についての信号処理、例えば、FM復調や信号増幅等を行うものである。
【0020】
親機マイク24及び親機スピーカ25は、在室者が来訪者との間で通話を行うための音声(音声信号)を入出力するものであって、この親機スピーカ25としては、来訪者からの呼出しがあることを示す例えば、呼出音や音声メッセージ等を出力することもできる。また、親機音声処理部26は、親機マイク24及び親機スピーカ25の使用により入出力される音声(音声信号)についての信号処理、例えば、FM変調又はFM復調や信号増幅等を行うものである。
【0021】
親機CPU27は、当該インターホン親機の構成各部を制御するものである。また、親機I/F28は、汎用ネットワーク5から親機映像処理部23への信号伝送路、親機音声処理部26及び汎用ネットワーク5間の信号伝送路、親機CPU27及び汎用ネットワーク5間の信号伝送路をそれぞれ形成し、形成された信号伝送路を経由して各種の信号を送受信するものである。
【0022】
このように構成された本発明の実施例によるインターホンシステムにおいて、以下、具体的な動作について説明する。
【0023】
住戸内の在室者を呼出すにあたり、住戸外(住戸玄関)に居る来訪者が
図1に示すインターホン子機1の子機操作部10を使用して呼出操作を行うと、この操作を検出した子機CPU17は、例えば、SIP対応の信号フォーマットで自子機アドレス及びインターホン親機2を指定する親機アドレスを付加した呼出信号を生成する。また、子機CPU17で生成された呼出信号は、子機I/F18から汎用ネットワーク5を経由してインターホン親機2の親機I/F28に伝送される。
【0024】
また、インターホン子機1の子機CPU17によれば、前述の呼出操作を検出すると、映像撮像部11及び子機映像処理部12を能動とする。この制御により、映像撮像部11で生成された来訪者の映像信号が、子機映像処理部12で例えば、FM変調や信号増幅等された後、SIP対応の信号フォーマットで自子機アドレス及びインターホン親機2を指定する親機アドレスを付加した当該信号で、子機I/F18から汎用ネットワーク5を経由してインターホン親機2の親機I/F28に伝送される。
【0025】
インターホン親機2の親機CPU27は、親機I/F28を経由して受信した呼出信号に付加されている親機アドレスが自親機に割当てられた親機アドレスと一致するため、同様に付加されている子機アドレスに該当するインターホン子機1で呼出操作を行った住戸外(住戸玄関)に居る来訪者からの呼出しがあることを検出し、その旨の呼出音や音声メッセージ等を親機スピーカ25から出力させて呼出報知を行うことができる。また、親機CPU27は、表示部22及び親機映像処理部23を能動とする。この制御により、親機映像処理部23は、親機I/F28を経由して受信した映像信号を例えば、FM復調や信号増幅等して表示部22に送出することで、来訪者の映像(映像信号)を表示部22に表示させることができるばかりでなく、この表示部22には、来訪者からの呼出しがあることを示す文字メッセージや絵データ等を表示(呼出表示)させることもできる。
【0026】
この後、前述の呼出報知(呼出表示)及び映像表示を確認した住戸内の在室者が、インターホン親機2の通話操作部20を使用して応答操作を行うと、この操作を検出した親機CPU27は、親機音声処理部26を能動として親機マイク24及び親機スピーカ25と当該親機音声処理部を経由して親機I/F28との間の信号伝送路を形成するとともに、例えば、SIP対応の信号フォーマットで自親機アドレス及びインターホン子機1を指定する子機アドレスを付加した応答信号を生成する。また、親機CPU27で生成された応答信号は、前述の呼出信号と逆の信号伝送路を経由してインターホン子機1の子機I/F18に伝送される。
【0027】
インターホン子機1の子機CPU17は、子機I/F18を経由して受信した応答信号に付加されている子機アドレスが自子機に割当てられた子機アドレスと一致するため、同様に付加されている親機アドレスに該当するインターホン親機2で応答操作を行った住戸内の在室者による応答操作があったことを検出し、子機音声処理部15を能動として子機マイク13及び子機スピーカ14と当該子機音声処理部を経由して子機I/F18との間の信号伝送路を形成することで、来訪者が使用する子機マイク13及び子機スピーカ14と在室者が使用する親機マイク24及び親機スピーカ25との間の信号伝送路、すなわち、通話路が形成され、形成された通話路を経由して音声信号を送受信することで通話が成立する。なお、この通話時において在室者は、表示部22に表示されている来訪者の映像(映像信号)を確認しながらの通話が可能となる。
【0028】
また、在室者によれば、前述のような通話時において住戸外(住戸玄関)に居る来訪者を住戸内に招き入れるにあたり、インターホン親機2の解錠操作部21を使用して解錠操作を行うことができる。この操作を検出した親機CPU27は、その操作情報である例えば、電気錠解錠コードと自親機アドレス及びインターホン子機1を指定する子機アドレスとを付加した例えば、SIP対応の信号フォーマットの解錠起動制御信号を生成する。また、親機CPU28で生成された解錠起動制御信号は、前述の応答信号と同様な信号伝送路を経由してインターホン子機1の子機I/F18に伝送される。
【0029】
インターホン子機1の子機CPU17は、子機I/F18を経由して受信した解錠起動制御信号に付加されている子機アドレスが自子機に割当てられた子機アドレスと一致するばかりでなく、同様に付加されている操作情報である例えば、電気錠解錠コードが、電気錠3を解錠させるために予め定められた電気錠解錠コードと一致するため、その操作情報が有効であると判定する。この子機CPU17は、子機記憶部16から読出した、電気錠コントローラ4を指定するコントローラアドレスと自子機IDとを付加した例えば、SIP対応の信号フォーマットのコントローラ制御信号を生成する。また、子機CPU17で生成されたコントローラ制御信号は、子機I/F18から汎用ネットワーク5を経由して伝送され、前述のコントローラアドレスが一致する電気錠コントローラ4で有効な信号として受信されることになる。
【0030】
ここで、電気錠コントローラ4は、インターホン親機2による解錠操作をもとにインターホン子機1を経由して送信されてくるコントローラ制御信号で制御され、電気錠解錠信号を生成して電気錠3に送出することで誤動作や悪戯が発生せず安全に当該電気錠を解錠させることができる。したがって、住戸外(住戸玄関)に居る来訪者は、電気錠3が解錠された玄関戸を開けて住戸内に入ることができる。
【0031】
なお、住戸内の在室者によれば、例えば、前述のような電気錠3を解錠させるための解錠操作をインターホン親機2の解錠操作部21を使用して行った後のタイミングで、通話操作部20を使用して終話操作を行うと、この操作を検出した親機CPU27及びインターホン子機1の子機CPU17の制御によって前述の通話路が遮断され通話を終了させることができる。
【0032】
また、前述までの説明によれば、住戸内の在室中がインターホン親機2の解錠操作部21を使用して解錠操作を行うタイミングが、住戸外(住戸玄関)に居る来訪者からの呼出しに応答して成立された通話時であったが、このタイミングに限定されるものではない。例えば、インターホン子機1からインターホン親機2への呼出しがない待受時や、同様な待受時で在室者が住戸外の様子を監視するにあたって通話操作部20を操作し前述のような通話路を形成させたモニタ監視時においても同様な解錠操作を行うことができる。
【0033】
前述までの説明から明らかなように、本発明の実施例によれば、電気錠3を施解錠する電気錠コントローラ4をインターホン子機1とは別体で住戸内に設置し、インターホン親機2の解錠操作部21の使用による解錠操作を検出した親機CPU27から送信されてくる操作情報が有効であるとインターホン子機1の子機CPU17で判定したとき、この子機CPU17により子機記憶部16から読出された識別番号に一致する電気錠コントローラ4を制御することができる。これにより、電気錠コントローラ4は、インターホン子機1を経由して送信されてくる信号で制御されるため、誤動作や悪戯が発生せず安全に電気錠3の解錠が可能となる。
【0034】
本発明のインターホンシステムにおいては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成の当該システムであっても採用できるということはいうまでもないことである。
【0035】
具体的に、本発明の実施例においては、インターホン子機1の映像撮像部11で生成された映像信号をインターホン親機2の表示部22に表示させたが、例えば、汎用ネットワーク5に不図示のサーバを接続することで、この映像信号をサーバで保存・管理することもできる。
【0036】
また、本発明の実施例においては、住戸外に設置されるインターホン子機1として映像撮像部11及び子機映像処理部12を備えた当該インターホン子機を適用したが、この態様に限定されるものではない。例えば、映像撮像部11及び子機映像処理部12が不備とされる当該インターホン子機を適用することもできる。
【0037】
さらに、本発明の実施例においては、住戸内に設置されるインターホン親機2として表示部22及び親機映像処理部23を備えた当該親機を適用したが、この態様に限定されるものではない。例えば、前述のようにインターホン子機1の映像撮像部11及び子機映像処理部12が不備とされる場合には、これに対応させて、表示部22及び親機映像処理部23が不備とされる当該インターホン親機を適用することもできる。