(54)【発明の名称】4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンラクテート一水和物を含む医薬組成物
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1種又は複数の増量剤が、微結晶セルロース(MCC)102、MCC105、MCC112、MCC200、マンニトール又はそれらの組合せを含むリストから選択される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
1種又は複数の増量剤が、微結晶セルロース(MCC)102、MCC105、MCC112、MCC200又はそれらの組合せを含むリストから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
顆粒内相及び/又は顆粒外相中の流動促進剤が0.5重量%〜2重量%の量であり、滑沢剤が1重量%〜4重量%の量である、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
i)4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン一水和物モノラクテート、1種又は複数の増量剤、崩壊剤並びに流動促進剤及び/又は滑沢剤の顆粒内相のための混合物を調製するステップ
ii)ステップ(i)の混合物を篩いにかけるステップ
iii)ステップ(ii)の混合物を滑沢剤によって滑沢化するステップ
iv)ステップ(iii)の混合物をローラー圧縮によって加工するステップ
v)ステップ(iv)の粉砕された顆粒を崩壊剤及び流動促進剤とブレンドするステップ
vi)滑沢剤によって滑沢化するステップ
vii)ステップ(vi)の混合物をカプセル封入するステップ
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
i)4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン一水和物モノラクテート、1種または複数の増量剤、崩壊剤並びに流動促進剤及び/又は滑沢剤の顆粒内相のための混合物を調製するステップ
ii)前記混合物を篩いにかけるステップ
iii)滑沢剤を加えるステップ
iv)ステップiii)の混合物をローラー圧縮によって加工するステップ
v)ステップ(iv)の粉砕された顆粒を流動促進剤、増量剤及び崩壊剤とブレンドし、混合するステップ
vi)滑沢剤によって滑沢化するステップ
vii)ステップ(vi)の組成物の圧縮によって錠剤を形成するステップ
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン又は医薬として許容される塩又は水和物又は溶媒和物は、式I
【0014】
この化合物及び一乳酸塩を含むその塩の調製については、米国特許第6,605,617号、第6,774,237号、第7,335,774号及び第7,470,709号、並びに米国特許出願第10/982,757号、第10/982,543号及び第10/706,328号、並びに国際特許出願公開WO2006/127926及びWO2009/115562に記載されており、これらのそれぞれは参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0015】
式Iの化合物の乳酸塩は、例えば、A型などの無水物の形態及びH
A型(これはまた、WO2006/127926においてB型として記載されている)などの一水和物の形態を含む種々の結晶形態で存在する。
【0016】
一部の具体的な実施形態において、乳酸塩は、例えばH
A型(B型としても記載されている)などの一水和物結晶の形態である。式Iの化合物の乳酸塩の結晶型Bは、2θに換算して約17.6°、約19.3°及び約26.0°に特性ピークを含むX線粉末回折パターンを有する。B型のX線粉末回折パターンは、2θに換算して約23.3°、約23.5°及び約28.2°に特性ピークを更に含み得る。B型のX線粉末回折パターンは、2θに換算して約11.9°、約15.3°、約16.1°及び約18.5°に特性ピークを更に含み得る。B型のX線粉末回折パターンは、2θに換算して約10.2°及び約12.9°に特性ピークを更に含み得る。結晶型Bは、2θに換算して約10.2、約11.3、約11.6、約11.9、約12.9、約15.3、約15.6、約16.1、約17.6、約18.5、約19.3、約22.3、約23.3、約23.5、約23.9、約26.0、約28.2、約29.3、約29.8、約30.7、約32.2、約32.6、約33.1及び約34.3°から選択される位置に、少なくとも3つの特性ピークを含むX線粉末回折パターンを有する。B型のX線回折線図パターンは実質的に、WO2006/127926の
図6に示されている通りである。
【0017】
用語「崩壊剤」は、有効成分が組成物から可能な限り効率的に放出されて急速に溶解されるように、投与後の組成物の崩壊を促進する物質又は物質の混合物を意味するものと理解される(例えば、「Remington's Pharmaceutical Science」第18版(1990年)、「The Theory and Practice of Industrial Pharmacy」Lachmanら、Lea & Febiger(1970年)を参照されたい)。
【0018】
崩壊剤として本発明の組成物は、澱粉、クレイ、セルロース、アルギン酸塩、ガム、架橋ポリマー、例えば、架橋ポリビニルピロリドン又はクロスポビドン、例えば、BASF製のコリドン、例えば、International Speciality Products(Wayne、NJ)製のポリプラスドン、例えば、クロスポビドンXL、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース又はクロスカルメロースナトリウム、例えば、FMC製のAC−DI−SOL、架橋カルシウムカルボキシメチルセルロース、大豆多糖類及びグアーガムを含むことができる。崩壊剤は、組成物の約0.1重量%〜約10重量%の量で存在することができる。一実施形態において、崩壊剤は、組成物の約4重量%〜約8重量%の量で又は組成物の4重量%超〜8重量%、例えば、5重量%〜8重量%、例えば、6%〜8%、例えば、6.5〜7.5%の量で存在する。
【0019】
崩壊剤は、好ましくは水不溶性である、クロスポビドン、例えば、クロスポビドンXLであることができる。崩壊剤は、高い毛管能力又は顕著な水和能力を迅速に示すがゲル形成の傾向がほとんどないのが理想的である。本発明によれば、クロスポビドン、例えばクロスポビドンXLは、4重量%超〜8重量%、例えば5重量%〜8重量%、例えば6%〜8%、例えば6.5%〜7.5%の量で存在する(重量による量は、組成物の総重量に対するものである)。
【0020】
本発明の組成物は、1種又は複数の増量剤を更に含んでもよい。医薬として許容される増量剤の例としては、粉砂糖、圧縮糖(compressible sugar)、デキストレート(dextrate)、デキストリン、デキストロース、ラクトース、マンニトール、微結晶セルロース、粉末状セルロース、ソルビトール、スクロース、リン酸二カルシウム、澱粉、アルファ化澱粉(pregelatinated starch)及びタルクが挙げられるが、これらに限定されず、本発明の一実施形態において、増量剤は、微結晶セルロース、例えば、MCC102、MCC105、MCC112、MCC200及び/又はマンニトールである。増量剤は、約15重量%〜約60重量%の量で存在することができ、例えば、1種又は複数の増量剤は、30重量%〜60重量%、例えば35重量%〜60重量%、例えば38重量%〜50重量%の量で存在する(重量による量は、組成物の総重量に対するものである)。本発明の組成物は、微結晶セルロース、例えば、MCC102、MCC105、MCC200及びマンニトールから選択される1種又は複数の増量剤を、30重量%〜60重量%、例えば32重量%〜50重量%、例えば32重量%〜46重量%の増量剤の総量で含む(重量による量は、組成物の総重量に対するものである)。
【0021】
本発明の組成物は、結合剤を更に含んでもよい。医薬として許容される結合剤の例としては、澱粉、セルロース及びそれらの誘導体、例えば、微結晶セルロース、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、デキストロース、コーンシロップ、多糖類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、コポビドン、例えば、BASF製のコリドンVA64が挙げられるが、これらに限定されない。結合剤は、組成物の約0重量%〜約50重量%、例えば、10重量%〜40重量%の量で存在することができる。
【0022】
本発明の組成物は、滑沢剤又は流動促進剤を更に含んでもよい。医薬として許容される滑沢剤及び医薬として許容される流動促進剤の例としては、コロイドシリカ、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、三珪酸マグネシウム、澱粉、タルク、第三リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ポリエチレングリコール、粉末状セルロース及び微結晶セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。滑沢剤は、例えば、組成物の約0.1重量%〜約5重量%の量で存在できるのに対して、流動促進剤は、例えば、組成物の約0.1重量%〜約10重量%の量で存在でき、例えば、二酸化ケイ素は0.5〜2%の量で存在でき;ステアリン酸マグネシウムは、組成物の1重量%〜4重量%の量で存在できる。
【0023】
例えば、Fiedlerの「Lexicon der Hilfstoffe」、第4版、ECV Aulendorf 1996年及び「Handbook of Pharmaceutical Excipients」Wade及びWeller編(1994年)(これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれている)のような文献に開示されている他の添加剤を、本発明による医薬組成物中に使用してもよい。
【0024】
マンニトールを、増量剤として使用してもよい。マンニトールは、親水性成分である。したがって、マンニトールが水と接触すると、例えば、胃液は急速にそれを可溶化して、水が容易に浸透し得る多孔質構造を残す。これは、それが本発明の即時放出医薬組成物にとって重要な要因である溶解速度を増加させるという利点を有する。
【0025】
更なる態様において、本発明は、本発明の組成物の製造方法を提供する。本発明の組成物は、活性剤を添加剤で処理することによって調製できる。提供される方法は、乾式造粒法である。乾式造粒法は、作製プロセスの間における原薬及び添加剤の粘着などの原薬の性質を克服する利点を提供する。一般に、本発明の組成物は、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンと、上記の医薬添加剤、例えば、増量剤、追加の増量剤、崩壊剤、流動促進剤、滑沢剤などとの混合物を標準的な方法によって調製するステップと、混合物をローラー圧縮によって加工して、粉砕された顆粒を得るステップと、粉砕された顆粒を標準的な方法によってカプセル剤又は錠剤に加工するステップとによって得ることができる。
【0026】
方法A
本発明の組成物は、
(i)4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン、1種又は複数の増量剤、例えば、増量剤、追加の増量剤、崩壊剤及び流動促進剤の混合物を調製するステップ
(ii)ステップ(i)の混合物を篩いにかけるステップ
(iii)ステップ(ii)の混合物を滑沢剤によって滑沢化するステップ
(iv)ステップ(iii)の混合物をローラー圧縮によって加工するステップ
(v)ステップ(iv)の粉砕された顆粒を崩壊剤及び流動促進剤とブレンドするステップ
(vi)滑沢剤によって滑沢化するステップ
(vii)ステップ(vi)の混合物をカプセル封入するステップ
によって得ることができる
【0027】
方法B
本発明の組成物は、
(i)4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン又は医薬として許容される塩又は水和物又は溶媒和物、増量剤、崩壊剤及び滑沢剤の混合物を調製するステップ
(ii)混合物を篩いにかけるステップ
(iii)滑沢剤を加えるステップ
(iv)ステップiii)の混合物をローラー圧縮によって加工するステップ
(v)ステップ(iv)の粉砕された顆粒を流動促進剤、増量剤及び崩壊剤とブレンドし、混合するステップ
(vi)滑沢剤によって滑沢化するステップ
(vii)圧縮によって錠剤を形成するステップ
(viii)任意選択で、錠剤をコーティングすることができる
によって得ることができる
【0028】
ステップvii)の得られた粉末ブレンドは、シングルパンチプレス(Korsh EKO)、6ステーション−ロータリープレス(Korsh PH106)、17ステーション−ロータリープレス(Korsh PH 230)又は43ステーション−ロータリープレス(Fette PT2090)上で圧縮される。
【0029】
本発明の組成物は、硬ゼラチンカプセル剤などのゼラチンカプセル剤として製剤化することができる。乾燥充填カプセルとしても知られている硬ゼラチンカプセルは、一方が他方にはまる2つの部分から構成されており、したがって薬物製剤を完全に取り囲む(カプセル封入する)。
【0030】
本発明の組成物は、錠剤として製剤化することができる。
【0031】
一実施形態において、本発明は、例えば、60〜250N、好ましくは110N〜190Nの平均硬度を有する錠剤組成物を提供する。
【0032】
前述の作製方法Bによって得られる粒子若しくは顆粒、又は錠剤は、当技術分野において知られている非機能性被膜、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)被膜によってコーティングすることができる。適当な被膜は、セルロース又は誘導体を基材とする被膜、例えば、エチルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えば、カルボキシメチルセルロース、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、例えば、セルロースアセテート、例えば、セルロースアセテートフタレート、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネート、メチルアクリレート又はポリメチルアクリレート、ポリメタクリル酸ポリマー、例えば、Eudragitを含むことができる
【0033】
本発明の医薬組成物の有用性は、バイオアベイラビリティ試験を含む標準的な臨床試験において、例えば、治療化合物の治療有効血中レベルを生じさせる薬物投与量の既知の指標において;例えば、75kgの哺乳動物、例えば、成人に対して及び標準的な動物モデルにおいて1日あたり25〜1000mgの治療化合物の範囲の投与量又は代替の投与計画を使用して、観察することができる。
【0034】
種、年齢、個々の状態及び問題となっている臨床像に応じて、有効用量、例えば、週用量約500〜4000mgの4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン又は医薬として許容される塩又は水和物又は溶媒和物をヒトに投与する。
【0035】
本発明は、製剤の総重量の、40重量%〜65重量%、例えば50%の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン一水和物モノラクテート、5重量%〜7重量%の量の1種又は複数の増量剤、例えば、微結晶セルロース102、105及び/又は200、例えば、MCC102及びMCC200又はMCC105及びMCC200、クロスポビドン、例えば、クロスポビドンXL、1〜1.5重量%の二酸化ケイ素、2重量%〜3重量%の量のステアリン酸マグネシウムを含む医薬組成物に関する。
【0036】
顆粒内相(intragranular phase)中に、製剤の総重量の、40重量%〜65重量%、例えば50%の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン一水和物モノラクテート、例えば30重量%〜50重量%の量の1種又は複数の増量剤、例えば、微結晶セルロース又は微結晶セルロース及びマンニトール、例えば、微結晶セルロース102、105又はそれらの混合物、2重量%〜7重量%の量のクロスポビドン、例えばクロスポビドンXL、0.5重量%〜1重量%の二酸化ケイ素、0.1重量%〜1重量%の量のステアリン酸マグネシウムを含み、且つ顆粒外相(extragranular phase)中に、製剤の総重量の、例えば0.2〜1%の量の二酸化ケイ素、1重量%〜3重量%の量のステアリン酸マグネシウム、1重量%〜5重量%の量のクロスポビドン、例えばクロスポビドンXLを含む本発明による医薬組成物。
【0037】
組成物が錠剤である場合には、顆粒外相は、製剤の総重量の3重量%〜7重量%の量の増量剤、例えば、微結晶セルロースを含む。
【0038】
本発明による錠剤組成物は、顆粒内相中に、製剤の総重量の、45重量%〜65重量%、例えば50重量%の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン一水和物モノラクテート、例えば30重量%〜50重量%の量の1種又は複数の増量剤、例えば、微結晶セルロース、例えば、微結晶セルロース102、105又はそれらの混合物、2重量%〜6重量%の量のクロスポビドン、例えばクロスポビドンXL、0.5重量%〜1重量%の二酸化ケイ素、0.1〜0.5重量%の量のステアリン酸マグネシウムを含み、且つ顆粒外相中に、製剤の総重量の、例えば0.2重量%〜1重量%の量の二酸化ケイ素、1重量%〜3重量%の量のステアリン酸マグネシウム、3重量%〜5重量%、例えば4重量%〜5重量%の量のクロスポビドン、例えばクロスポビドンXL、例えば3重量%〜5重量%の量の増量剤、例えば、微結晶セルロース、例えばMCC200を含む。本発明による錠剤は、フィルムコーティング錠である。
【0039】
本発明によるカプセル剤組成物は、顆粒内相中に、30重量%〜50重量%、例えば40重量%〜42重量%の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン一水和物モノラクテート、例えば30重量%〜50重量%の量の1種又は複数の増量剤、例えば、微結晶セルロース、例えば、微結晶セルロース102、105、200、マンニトール又はそれらの混合物、4重量%〜6重量%の量のクロスポビドン、例えばクロスポビドンXL、0.5重量%〜1重量%の二酸化ケイ素、0.1重量%〜0.5重量%の量のステアリン酸マグネシウムを含み、且つ顆粒外相中に例えば0.2重量%〜1重量%の量の二酸化ケイ素、1重量%〜3重量%の量のステアリン酸マグネシウム、3重量%〜5重量%、例えば4重量%〜5重量%の量のクロスポビドン、例えばクロスポビドンXL、例えば3重量%〜5重量%の量の増量剤、例えば、微結晶セルロース、例えばMCC200(重量による量は、組成物の総重量に対するものである)を含む。錠剤は、コーティング、例えば、フィルムコーティングされている、又はされていてもよい。
【0040】
本発明は、45重量%以下の量の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン又は医薬として許容される塩又は水和物又は溶媒和物、15重量%〜70重量%の量の増量剤、15重量%未満の量の崩壊剤、0.1重量%〜10重量%の量の流動促進剤及び/又は滑沢剤(重量による量は、組成物の総重量に対するものである)を含む経口投与用の医薬組成物に関し、前記組成物は、マンニトールであることができる追加の増量剤を、例えば組成物の総重量の0.1重量%〜5重量%の量で更に含むことができる。
【0041】
本発明はまた、45重量%以下の量の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン又は医薬として許容される塩、15重量%〜60重量%の量の微結晶セルロース、10重量%〜40重量%の量のマンニトール、15重量%未満の量の崩壊剤、0.1重量%〜10重量%の量の流動促進剤及び/又は滑沢剤(重量による量は、組成物の総重量に対するものである)を含み、例えば、崩壊剤がクロスポビドンであり且つ/又は流動促進剤がステアリン酸マグネシウムである、経口投与用の医薬組成物に関する。
なお、本発明には、以下の実施形態が包含される。
[1]40重量%〜65重量%の量の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンモノラクテート一水和物、
30重量%〜60重量%の量の1種又は複数の増量剤、
5重量%〜15重量%の量の崩壊剤、
0.1重量%〜10重量%の量の流動促進剤及び/又は滑沢剤
を含む経口投与用の医薬組成物であって、
重量による量は組成物の総重量に対するものである、前記医薬組成物。
[2]増量剤が微結晶セルロース101でない、[1]に記載の医薬組成物。
[3]1種又は複数の増量剤が、MCC102、MCC105、MCC112、MCC200、マンニトール又はそれらの組合せを含むリストから選択される、[1]又は[2]に記載の医薬組成物。
[4]崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムでない、[1]から[3]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[5]前記医薬製剤がカプセル剤であり、1種の増量剤がマンニトールである、[1]から[4]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[6]1種又は複数の増量剤が、MCC102、MCC105、MCC200又はそれらの組合せを含むリストから選択される、[1]から[4]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[7]40重量%〜65重量%の量の4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンモノラクテート一水和物、
30重量%〜60重量%の量の、微結晶セルロース102、105、112、200から選択される1種又は複数の増量剤、
5重量%〜15重量%の量の崩壊剤、
0.1重量%〜10重量%の量の二酸化ケイ素及び/又はステアリン酸マグネシウム、
[1]に記載の医薬組成物であって、
重量による量は組成物の総重量に対するものである、前記医薬組成物。
[8]崩壊剤がクロスポビドンXLである、[1]から[7]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[9]崩壊剤が、4重量%超〜8重量%、例えば、5重量%〜8重量%の量で存在する、[1]から[8]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[10]流動促進剤、例えば、二酸化ケイ素が0.5重量%〜2重量%の量であり、滑沢剤、ステアリン酸マグネシウムが1重量%〜4重量%の量である、[1]から[9]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[11]実質的な乾燥条件下で造粒を使用して、例えば、ローラー圧縮によって実施される、前記[1]から[10]のいずれかに記載の組成物の製造方法。
[12]i)4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン一水和物モノラクテート、1種又は複数の増量剤、例えば、1種の増量剤及び追加の1種の増量剤、崩壊剤並びに流動促進剤の混合物を調製するステップ
ii)ステップ(i)の混合物を篩いにかけるステップ
iii)ステップ(ii)の混合物を滑沢剤によって滑沢化するステップ
iv)ステップ(iii)の混合物をローラー圧縮によって加工するステップ
v)ステップ(iv)の粉砕された顆粒崩壊剤及び流動促進剤をブレンドするステップ
vi)滑沢剤によって滑沢化するステップ
vii)ステップ(vi)の混合物をカプセル封入するステップ
を含む、[1]から[10]のいずれかに記載の組成物の製造方法。
[13]i)4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン一水和物モノラクテート、増量剤、崩壊剤及び滑沢剤の混合物を調製するステップ
ii)前記混合物を篩いにかけるステップ
iii)滑沢剤を加えるステップ
iv)ステップiii)の混合物をローラー圧縮によって加工するステップ
v)ステップ(iv)の粉砕された顆粒を流動促進剤、増量剤及び崩壊剤とブレンドし、混合するステップ
vi)滑沢剤によって滑沢化するステップ
vii)圧縮によって錠剤を形成するステップ
を含む、[1]から[10]に記載の組成物の製造方法。
[14]4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの乳酸塩がH
A型である、[1]から[10]のいずれか一項に記載の組成物又は[11]、[12]若しくは[13]に記載の方法。
【0042】
以下は、実施例による非限定的な説明である。
【0043】
以下の実施例及び上記の明細によれば、カプセル剤又は錠剤の用量は、製剤中に存在する4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン乳酸の重量を指し、例えば、100mgの錠剤は、100mgの4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン乳酸を含み、したがって、128mgの4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン乳酸モノラクテート一水和物を含む。以下に詳述する組成物中の百分率は、錠剤の総重量に基づく重量対重量で表され、有効成分の場合には、百分率は、組成物中に存在するその一水和物モノラクテート塩の百分率に相当する。
【実施例1】
【0044】
4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン乳酸一水和物(化合物X)の100mgのカプセル剤を、乾式造粒法を使用して調製する
【0045】
【表1】
【0046】
化合物X、微結晶セルロース、クロスポビドン、マンニトール及びアエロジルの混合物を形成する。この混合物を篩いにかけ、ステアリン酸マグネシウムによって滑沢化する。混合物を、ローラー圧縮によって加工する。得られた粉砕された顆粒を、クロスポビドン及びアエロジルとブレンドする。混合物を、ステアリン酸マグネシウムによって滑沢化し、混合物をカプセル封入する。
【実施例2】
【0047】
4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン乳酸一水和物(化合物X)の25mgのカプセル剤を、乾式造粒法を使用して調製する
【0048】
【表2】
【0049】
化合物X、微結晶セルロース、クロスポビドン、マンニトール及びアエロジルの混合物を形成する。この混合物を篩いにかけ、ステアリン酸マグネシウムによって滑沢化する。混合物を、ローラー圧縮によって加工する。得られた粉砕された顆粒を、クロスポビドン及びアエロジルとブレンドする。混合物を、ステアリン酸マグネシウムによって滑沢化し、混合物をカプセル封入する。
【実施例3】
【0050】
4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン乳酸一水和物(化合物X)の100mgの錠剤を、乾式造粒法を使用して調製する
【0051】
【表3】
【0052】
化合物X、微結晶セルロース、クロスポビドン及びアエロジルの混合物を形成する。この混合物を篩いにかけ、ステアリン酸マグネシウムによって滑沢化する。混合物を、ローラー圧縮によって加工する。得られた粉砕された顆粒を、アエロジル及びクロスポビドンとブレンドする。この混合物を、ステアリン酸マグネシウムによって滑沢化する。圧縮によって錠剤を形成する。
【実施例4】
【0053】
4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン乳酸一水和物(化合物X)の250mgの錠剤を、乾式造粒法を使用して調製する
【0054】
【表4】
【0055】
化合物X、微結晶セルロース、クロスポビドン及びアエロジルの混合物を形成する。この混合物を篩いにかけ、ステアリン酸マグネシウムによって滑沢化する。混合物を、ローラー圧縮によって加工する。得られた粉砕された顆粒を、アエロジル及びクロスポビドンとブレンドする。この混合物を、ステアリン酸マグネシウムによって滑沢化する。圧縮によって錠剤を形成する。
【実施例5】
【0056】
4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン乳酸一水和物(化合物X)の25mgの錠剤を、乾式造粒法を使用して調製する
【0057】
【表5】
【0058】
化合物X、微結晶セルロース、クロスポビドン、コリドンVA64及びアエロジルの混合物を形成する。この混合物を篩いにかけ、ステアリン酸マグネシウムによって滑沢化する。混合物を、ローラー圧縮によって加工する。得られた粉砕された顆粒を、アエロジル及びクロスポビドンとブレンドする。この混合物を、ステアリン酸マグネシウムによって滑沢化する。圧縮によって錠剤を形成する。
【実施例6】
【0059】
カプセル剤及び錠剤は、有効物質の速やかな放出をもたらす。溶解速度を、例えば、USPの装置2(Rotary Paddle)を使用して摂氏37度において溶解速度媒体A(pH約1.5;0.04モルのHCl+2g/リットルのNaCl)中及び溶解速度媒体B(pH4.5の酢酸塩緩衝液)中で50rpmの攪拌速度で行う標準的な溶解試験で測定し、6以上、例えば12の剤形の平均に基づく。
【0060】
【表6】
【実施例7】
【0061】
バイオアベイラビリティ研究
イヌでの研究において、4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オン乳酸一水和物を含む本発明の組成物(錠剤及びカプセル剤)を試験し、無水物の形態の原薬(製剤Y)を使用したWO2007/064719に記載されている製剤と比較した。薬物動態パラメーターCmax及びAUCを測定した。研究は、25mgの製剤を使用して各製剤について6匹のイヌを用いて行われた。パラメーターCmax及びAUCは、同等であることがわかった。
【0062】
【表7】
【実施例8】
【0063】
4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの無水物モノラクテートを含むカプセル剤対4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの一水和物モノラクテートを含む錠剤のバイオアベイラビリティの評価。
合計21名の対象を、1日目は錠剤として500mg又はカプセル剤として500mg、次いで2日目から8日目は休薬、9日目は1日目と同様とする、2つの治療シーケンスに無作為化した。全無作為化対象のうち、合計17名(81%)に、サイクル1の間に500mgの計画用量の両方を投与し、評価可能な薬物動態データを得て、この解析に含めた。
【0064】
正式な統計解析を行って、本発明による4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンのカプセル製剤の相対的バイオアベイラビリティを、US2008/0293738A1によるカプセル製剤、カプセル剤組成物13と比較して評価した。線形混合効果モデル(linear mixed effects model)を、対数変換されたPKパラメーターに当てはめた(AUC
0−tlast、AUC
0−∞及びC
max)。モデルには、固定因子としての治療、期間及びシーケンス、並びにランダム因子としての、シーケンス内にネストされた対象が含められた。
【0065】
バイオアベイラビリティ解析に関しては、本発明によるカプセル製剤が被験物質であり、インタクトなカプセル製剤がUS2008/0293738A1の参照物質であった。対数スケールの差(被験物質−参照物質)の最小二乗平均に関する両側90%CIを計算した。これを逆対数にして、未変換スケールで、幾何平均の比に関する点推定値及び90%信頼区間を得た。
【0066】
PKパラメーター(C
max、AUC
0−tlast、AUC
0−∞)に関する統計解析(調整幾何平均、幾何平均比及び90%信頼区間)、並びにT
maxに関する最小及び最大範囲とともに中央値の概要を、治療群毎に下記の表に示す。
【0067】
(500mg)錠剤と(500mg)カプセル剤とを比較して、主要なPKパラメーターに関する幾何平均比及び90%CIを以下に示す:
AUC
inf(hr xng/mL):0.88(0.72〜1.07)
AUC
0−tlast(hr xng/mL):0.96(0.89〜1.04)
C
max(ng/mL):0.99(0.91〜1.08)
【0068】
PKパラメーター(C
max、AUC
0−tlast、AUC
0−∞)に関する統計解析(調整幾何平均、幾何平均比及び90%信頼区間)、並びにT
maxに関する最小及び最大範囲とともに中央値の概要を、治療群毎に下記の表に示す。
【0069】
【表8】
【0070】
この研究から、本発明による錠剤が、US2008/0293738A1によるカプセル剤、カプセル剤組成物13のものと同等のバイオアベイラビリティを有効成分に与えるという結論が得られる。この結果は予見できないことであった。
【0071】
8.2 4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの無水物モノラクテートを含むカプセル剤対4−アミノ−5−フルオロ−3−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]−1H−キノリン−2−オンの一水和物モノラクテートを含むカプセル剤(下記の実施例中の化合物X)のバイオアベイラビリティの評価。
研究設計
合計20名の適格患者を登録し、下記の表に示した2つの治療シーケンスのうちの1つに無作為に割付けた。
【0072】
【表9】
【0073】
PKパラメーター(C
max、AUC
0−tlast、AUC
0−∞)に関する統計解析(調整幾何平均、幾何平均比及び90%信頼区間)、並びにT
maxに関する最小及び最大範囲とともに中央値の概要を、治療群毎に下記の表に示す。
【0074】
【表10】
【0075】
FMI(500mg)とCSF(500mg)とを比較して、主要なPKパラメーターに関する幾何平均比及び90%CIを以下に示す:
AUC
inf(hr x xng/mL):0.88(0.79〜0.98)
AUC
0−tlast(hr xng/mL):0.88(0.80〜0.95)
C
max(ng/mL):0.94(0.85〜1.04)
【0076】
上記のPKパラメーター全てに関する個人間変動は、US2008/0293738A1によるカプセル剤、カプセル剤組成物13と本発明によるカプセル剤との間で同様であった。PKの結果は、2つのカプセル剤が同等のバイオアベイラビリティを有することを立証している。
【実施例9】
【0077】
(実施例9)
有効成分の化合物X 36.6%、MCC200 40%、マンニトール10%、ヒドロキシプロピルセルロース4%、クロスカルメロースナトリウム6%、二酸化ケイ素0.86%、ステアリン酸マグネシウム2.57%から作られたブレンドを圧縮して錠剤にした。緩徐放出プロフィールに加えて、錠剤パラメーター、主に摩損度は満足できるものでなかった。
【0078】
(実施例9−2)
有効成分36.6%、MCC112 42.6%、MCC200 4.8%、PVPK30 4.9%、クロスポビドンXL 8%、二酸化ケイ素1.14%、ステアリン酸マグネシウム2%のブレンドを調製し、圧縮して錠剤にした。溶解放出プロフィールは実施例8の場合より速やかであったが、錠剤は、結合剤が存在するにもかかわらず摩損度試験に合格しなかった。
【実施例10】
【0079】
錠剤は以下の組成を有する
【0080】
【表11】
【0081】
錠剤を、ローラー圧縮によって調製した。溶解時間及び摩損度の結果は満足なものであった。
【0082】
MCC105の代わりにMCC101又はMCC112を含みより少ない量のクロスポビドンを含む対応する錠剤は、ローラーへの粘着を示し、酢酸塩緩衝液(pH4.5)中及びSGF中での10分における平均溶解放出がより低かった。したがって、驚くべきことに、試験結果を考慮すれば、MCC101は、本発明による錠剤の作製において圧縮プロセスに関して変化をもたらすようである。
【実施例11】
【0083】
有効成分63%、それに対応して減少させたMCC105、及び増加させた他の添加剤を含む、実施例10のものと同様な製剤を調製した。製剤は、摩損度試験及びDT試験については満足な結果を示したが、pH4.5における溶解が低かった。
【実施例12】
【0084】
MCC105及びPVPK30の代わりに11.3%のMCC105及びアルファ化澱粉(例えば、Starch 1500)15%を含む、実施例10及び11の場合と同様な製剤を調製した。錠剤は、摩損度試験に合格せず、溶解は、崩壊時間が10分以内であったにもかかわらず、両媒体において緩徐であった。驚くべきことに、これは、アルファ化澱粉が、一水和物の形態の有効成分との関連で適切でない可能性があったことを示している。
【実施例13】
【0085】
55%の薬物負荷を有する実施例10と同様な製剤は、崩壊時間が15分であったにも関わらず、摩損度試験及び溶解試験の両方を満たした。
【実施例14】
【0086】
実施例14は、55%の薬物負荷を有する実施例13のものと同様な製剤に相当し、ここで、ポビドンK30をコポビドン、例えば、コリドンVA64 Fine 8%に置き換え、それに応じてMCC105の量を減少させた。摩損度は、実施例13と比較して増加し、溶解速度は、特に10分の時点において10%低下した。驚くべきことに、16から18分の間の崩壊時間にもかかわらず、溶解速度は速やかであった。
【実施例15】
【0087】
製剤は、50%の薬物負荷、8%のコリドンVA64 Fine及び諸量の他の添加剤を有する。ローラー圧縮の間に、ダイローラー上への粘着が観察された。
【0088】
実施例14及び15を要約すると、添加剤としてのコポビドンは、摩損度の点において、予想に反して製剤の性質を改善しなかった。
【実施例16】
【0089】
【表12】
【0090】
この製剤は、良好な加工性を示し、粘着を示さなかったが、ピッキング(picking)が観察され、ピッキングは、0.5%のステアリン酸マグネシウムを顆粒内相中に加えることによって又は圧縮力を増加させることによって回避できた。
【0091】
別法として、ステアリン酸マグネシウムが顆粒内相中に存在しており且つ粘着の問題によりプロセスが中断された場合には、顆粒外相中のステアリン酸マグネシウムの量を0.5%増加させる。
【実施例17】
【0092】
この製剤は、クロスポビドンが合計4%で存在し、MCC200が顆粒外相中に存在せず且つコポビドンが4%の量で存在する実施例16の製剤に相当する。ローラーへの粘着が観察されただけでなく、不良な溶解放出及び過度に緩徐な崩壊時間が観察された。
【0093】
このデータにより、コポビドンが製剤中に使用可能でなく良好な放出プロフィールを妨げ得たことが確認される。
【実施例18】
【0094】
【表13】
【0095】
これらの製剤は、行った全ての試験に成功裏に適合し、作製プロセスの間に問題は起こらなかった。
【実施例19】
【0096】
モノラクテート一水和物の形態の化合物Xを含むカプセル剤は、化合物Xを無水物の形態で含むカプセル剤のものに可能な限り近い放出プロフィールを有するべきである。製剤の組成はまた、ロバストなプロセスが実行可能である必要がある。最後に、製剤は安定性の標準を満たすものとする。
【0097】
驚くべきことに、クロスカルメロースナトリウムの使用は適当でないことがわかった。これは、pH4.5において一水和物の形態の化合物Xとこの添加剤との間に、満足な放出プロフィール、即ち、pH4.5の媒体中での60分間の約75〜80%の放出プロフィールの達成を妨げる相互作用があったためである。これは予想されないことであった。
【0098】
プロセスの間におけるローラーへの粘着は、解決すべきであった。カプセル封入プロセスの間におけるサイズ1のカプセルの過剰充填の理由で不完全なカプセル剤が得られ、したがって、全重量を減少させることによって、この問題に対処した。
【0099】
ヒドロキシプロピルセルロースを増量剤として試験し、溶解放出はより緩徐であった。10%以下のマンニトールを含め、これは溶解放出に悪影響を及ぼさなかった。驚くべきことに、MCC101は、カプセル製剤のより不良な放出プロフィールをもたらすことがわかり、これは、前述と同じ理由から、即ち、MCC101がWO2007/064719による製剤の調製において言及されているため、予想されないことであった。
【0100】
【表14】