特許第6043308号(P6043308)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーゲイト テクノロジー エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043308
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】摩擦力測定アセンブリおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/455 20060101AFI20161206BHJP
   G11B 21/21 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G11B5/455 D
   G11B21/21 F
   G11B21/21 M
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-44975(P2014-44975)
(22)【出願日】2014年3月7日
(65)【公開番号】特開2014-175042(P2014-175042A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年3月17日
(31)【優先権主張番号】13/790,820
(32)【優先日】2013年3月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500373758
【氏名又は名称】シーゲイト テクノロジー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Seagate Technology LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フアチョウ・ルー
(72)【発明者】
【氏名】リン・チョウ
【審査官】 斎藤 眞
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−257532(JP,A)
【文献】 特開2010−244642(JP,A)
【文献】 特開2005−004909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/40−5/465
G11B 5/62−5/858
G11B 21/16−21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリであって、
面内軸に沿って延在する細長い長さを有する負荷ビームと、
ヘッドとを含み、
前記ヘッドは、前記面内軸を横切る面外軸に沿って前記ヘッドに負荷力を供給するように、ジンバルばねを介して前記負荷ビームに結合されており、
前記アセンブリはさらに、
前記負荷ビームに結合され、トランスデューサ素子を含むセンサ装置を含み、
前記トランスデューサ素子は、前記負荷ビームの前記面内軸に沿って前記トランスデューサ素子に加えられた力または歪に応答する電気的出力を提供するために、前記面内軸に沿って配向された感知軸を有し、前記負荷ビームは、近位部と、前記ジンバルばねを介して前記ヘッドに結合された遠位部とを含み、前記センサ装置は、前記負荷ビームの前記近位部と前記遠位部との間で前記負荷ビームに接続されている、アセンブリ。
【請求項2】
1つ以上のトランスデューサ素子を含むヘッドと、
前記ヘッドの前記1つ以上のトランスデューサ素子を媒体の方に作動させるように、前記ヘッドに結合されたアクチュエータ素子と、
前記ヘッドに加えられた摩擦力に応答する電圧信号を出力するよう構成されたセンサ装置と、
前記1つ以上のトランスデューサ素子を前記媒体の方に周期的に作動させるように、パワーオン/オフ周波数で前記アクチュエータ素子をパワーオンおよびパワーオフするよう構成された測定構成要素と、
前記センサ装置に結合され、摩擦力の測定値を提供するために前記パワーオン/オフ周波数を利用して前記センサ装置からの出力を処理するよう構成されたセンサ回路とを含み、前記アクチュエータ素子の励起周波数は、前記ヘッドおよびサスペンションアセンブリの振動モードの周波数よりも低い、アセンブリ。
【請求項3】
前記ヘッドは、負荷ビームとジンバルばねとを含むサスペンションアセンブリに結合され、
前記ヘッドは、前記ジンバルばねを介して前記負荷ビームに結合され、
前記センサ装置は、前記ヘッドに加えられた摩擦力に応答する出力電圧信号を提供するために前記負荷ビーム上にある、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記アクチュエータ要素はヒータであり、
前記ヒータはコントローラを介して制御され、
前記コントローラは、前記パワーオン/オフ周波数を利用して、前記1つ以上のトランスデューサ素子を前記媒体の方に作動させるように、前記ヒータにパワーを周期的に印加する、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項5】
ヘッド−媒体間界面での摩擦力を測定するための方法であって
前記ヘッドを前記媒体の方に突出させるように、前記ヘッドに結合されるアクチュエータにパワーを印加するステップを含み、前記アクチュエータの励起周波数は、前記ヘッドおよびサスペンションアセンブリの振動モードの周波数よりも低く、前記方法はさらに、
前記ヘッドに加えられた摩擦力に応答する電圧信号を出力するように構成されたセンサ装置からの入力を受信するステップと、
前記センサ装置からの入力を処理して、摩擦力の測定値を出力するステップとを含む、方法。
【請求項6】
トランスデューサ素子に加えられた前記力または歪に応答する前記電気的出力を処理して前記負荷ビームに平行な摩擦力の出力測定値を提供するために、前記トランスデューサ素子に結合された接点を介して前記センサ装置に結合されたセンサ回路を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記センサ回路は、基準信号を利用して、前記センサ装置からの前記電気的出力から摩擦力の前記測定値を抽出するよう構成された検出器構成要素を含む、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記検出器構成要素は、ロックインアンプ検出器である、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記トランスデューサ素子は圧電トランスデューサ素子であり、前記圧電トランスデューサ素子の第1の端に結合された第1の電極と、前記面内軸に沿って前記第1の電極から軸方向に間隔をおいた、前記圧電トランスデューサ素子の第2の端に結合された第2の電極とを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記第1および第2の電極に結合されたリード線を介して前記圧電トランスデューサ素子に結合され、前記圧電トランスデューサ素子からの前記電気的出力を利用して摩擦力の測定値を出力するよう構成されたセンサ回路を含む、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記センサ装置は歪ゲージであり、前記トランスデューサ素子は、前記面内軸に沿って配向された細長い長さを有する抵抗素子と、前記抵抗素子の間隔をおいた両端に結合された接触パッドとを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記接触パッドに結合されたリード線を介して前記抵抗素子に結合されたセンサ回路を含む、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記センサ装置は、前記負荷ビームをアクチュエータブロックに接続するかしめ板と、前記ヘッドから間隔をおいた前記負荷ビームの近位端との間で、前記負荷ビームに結合されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記負荷ビームの前記近位部は、アクチュエータブロックに結合されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記センサ回路は、前記パワーオン/オフ周波数を用いて、前記ヘッドに加えられた前記摩擦力に起因する前記センサ装置の励起を検出する検出器構成要素を含む、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記センサ装置は、前記負荷ビームの面内軸に沿って間隔をおいた第1および第2の電極間に延在する細長い長さを有する圧電トランスデューサ素子を含み、前記負荷ビームは、面外軸に沿って前記ヘッドに負荷力を印加するよう構成されている、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記センサ装置は、前記負荷ビームの面内軸に沿って延在する長さを有し、概して面外軸を横切る前記面内軸に沿って歪を検出する抵抗トランスデューサ素子を含む歪ゲージを含む、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記パワーを印加するステップは、
前記ヘッドを前記媒体の方に間欠的に突出させるように、パワーオン/オフ周波数で周期的に前記アクチュエータをパワーオンおよびオフするステップと、
前記パワーオン/オフ周波数を利用して、前記摩擦力に応答する前記センサ装置の励起を検出し、前記摩擦力の測定値を出力するステップとを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項19】
前記測定された摩擦力対アクチュエータへの印加パワーを用いて、合否測定値を出力するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項20】
前記測定された摩擦力を用いて、ヘッド−媒体間間隔制御パラメータを生成し、読出または書込動作のためのヘッド−媒体間間隔を制御するように、前記アクチュエータに前記パワーを印加するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
データ記憶装置は、記憶媒体からデータを読出し、記憶媒体にデータを書込むために、記憶媒体の上方にヘッドを位置付ける。媒体からのヘッドの間隔は、読出信号の強度および書込信号の強度に影響を与える。より高い記録密度を達成するために、ヘッドは媒体のより近くに位置付けられ、それは媒体上方のヘッドの浮上高さを減少させる。浮上高さの減少は、ヘッドがディスクに接触する傾向を増加させて、読出および書込動作を劣化させ、ヘッドまたは媒体への損傷の傾向を増加させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
概要
本願は、接触検出のためにヘッド−媒体間界面での摩擦力を測定するためのセンサ装置に関する。センサ装置はトランスデューサ素子を有し、トランスデューサ素子は、面内軸に沿ってセンサ装置のトランスデューサ素子に加えられた力または歪に応答する電気的出力を提供するために、面内軸に沿って配向された感知軸を有する。摩擦力の出力測定値を提供するために、トランスデューサ素子には接点を介してセンサ回路が結合されている。例示された実施例では、ヘッドは、ヘッドの局所的部分を周期的に突出させるようにオン/オフ周波数でパワーオン/オフされるアクチュエータ素子を含む。オン/オフ周波数は、ヘッド−媒体間界面での摩擦力によるセンサ素子の励起を検出するために、センサ回路によって使用される。この発明の実施例を特徴付ける他の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読み、関連図面を検討することによって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】データ記憶媒体と、データ記憶媒体からデータを読出し、および/またはデータ記憶媒体にデータを書込むためのヘッドとを含む、データ記憶装置の概略図である。
図2】ヘッドが媒体上方に示されている、ヘッド−媒体間界面の概略図である。
図3】摩擦力とヘッド−媒体間間隔との関係をグラフで示す図である。
図4】ヘッドおよび摩擦力を測定するためのセンサ装置の一実施例の概略図である。
図5】摩擦力を測定するための負荷ビーム上のセンサ装置の一実施例の概略図である。
図6A】負荷ビームに結合されたセンサ装置を含むヘッドサスペンションアセンブリの一実施例を示す図である。
図6B】負荷ビームに結合されたセンサ装置を含むヘッドサスペンションアセンブリの一実施例を示す図である。
図7A】負荷ビームの近位部と遠位部との間に結合されたセンサ装置を含むヘッドサスペンションアセンブリの別の実施例を示す図である。
図7B】負荷ビームの近位部と遠位部との間に結合されたセンサ装置を含むヘッドサスペンションアセンブリの別の実施例を示す図である。
図8A】摩擦力を測定するために面内力または歪を検出するためのセンサ装置の実施例を示す図である。
図8B】摩擦力を測定するために面内力または歪を検出するためのセンサ装置の実施例を示す図である。
図9】ヘッドの局所的部分を突出させるためのアクチュエータまたはヒータ素子を有するヘッドと、ヘッド−媒体間界面での摩擦力の測定値を出力するために面内力を検出するためのセンサ装置とを示す図である。
図10A】ヘッドを媒体の方に突出させるようにアクチュエータまたはヒータを励起するためのパワーオン/オフ周波数を有するパワー入力を示す図である。
図10B】アクチュエータまたはヒータのパワーオン/オフ周波数に対応する、センサ装置からの出力を示す図である。
図10C】摩擦力の測定値を出力するためにセンサ装置に結合されたセンサ回路の一実施例の概略図である。
図11A】摩擦力を測定し、摩擦力の測定値を利用して合否判定を出力するよう構成された測定構成要素の一実施例を示す図である。
図11B】摩擦力を測定し、摩擦力の測定値を利用して合否判定を出力するよう構成された測定構成要素の一実施例を示す図である。
図12A】ヘッドAについての摩擦力とヒータパワーとの関係をグラフで示す図である。
図12B】ヘッドBについての摩擦力とヒータパワーとの関係をグラフで示す図である。
図13A】アクチュエータまたはヒータ素子の動作を制御するために、摩擦力を測定し、ヘッド−媒体間間隔制御パラメータを出力する測定プロセスまたは手順を実施するよう構成された測定構成要素の一実施例を示す図である。
図13B】アクチュエータまたはヒータ素子の動作を制御するために、摩擦力を測定し、ヘッド−媒体間間隔制御パラメータを出力する測定プロセスまたは手順を実施するよう構成された測定構成要素の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
例示的な実施例の詳細な説明
本願は、ヘッド−媒体間界面での摩擦力を測定するための測定機器またはアセンブリに関し、それは図1に示すタイプのデータ記憶装置用の用途を有する。図1に示すデータ記憶装置100は、デジタル符号化されたデータを記憶するためのデータ記憶媒体102を含む。データ記憶媒体102からデータを読出し、および/またはデータ記憶媒体102にデータを書込むために、媒体102の上方にヘッド104が位置付けられている。図示された実施例では、データ記憶媒体102は、回転するディスクである。読出および書込動作のために、スピンドルモータ106(概略的に示す)が矢印108で示すように媒体102を回転させ、アクチュエータ機構110が、媒体102上のデータトラックに対してヘッド104を位置付ける。ヘッド104は、1つ以上の読出/書込(R/W)トランスデューサ素子(図1に図示せず)を含む。1つ以上のR/Wトランスデューサ素子は、データ記憶媒体102上のデータを符号化し、データ記憶媒体102からのデータを復号するために、R/W回路112に電気的に結合されている。図示されているように、スピンドルモータ106およびアクチュエータ機構110は、駆動回路114を介して動作される。装置100の駆動回路114およびR/W回路112は、データ記憶装置100の動作のために、ホストシステム116に結合されている。
【0005】
図示されているように、図2では、ヘッド104は、媒体102からデータを読出し、および/または媒体102にデータを書込むために、媒体102と界接している。媒体102は、磁気的に符号化されたデータを記憶するための磁気層118を含む。媒体102は、ビットパターン化された媒体を形成するために、ビットパターンを含んでいてもよい。当業者には理解されるように、データは、垂直または水平記録手法を用いて媒体上に記憶可能である。図示されているように、媒体102の外面上には、薄膜潤滑剤層120が形成されている。動作については、媒体102を回転させるために、力FMがスピンドルモータ106を介して印加される。図示されているように、回転前に潤滑剤層120がヘッド104と媒体102との間に接着または吸着力を提供するように、ヘッド104は法線力Fnを介して薄膜潤滑剤層120の方に付勢される。ヘッド104と媒体102との接着は静止摩擦力fsを付与し、媒体102を回転させるにはそれに打ち勝つ必要がある。静止摩擦力fsは、ヘッド104と媒体102との間の静的摩擦の係数μと、ヘッドの付勢力Fnとに関連している(fs=μFn)。式1によって示すように、媒体の回転は、印加力FM−摩擦力fsに比例する。
【0006】
【数1】
【0007】
図2に示すように、FMを介し、ヘッド104と移動する媒体との間の摩擦または吸着を介して、ダウントラック引張り力FHがヘッド104に部分的に加えられる。ダウントラック力FHは、媒体に対して面内方向にあり、Fnは面外方向においてFHに垂直である。ヘッドに加えられる力FHは、ヘッドと媒体との間の摩擦の大きさに比例しており、このため、ヘッドに加えられるFHの測定値は、ヘッド104と媒体102との間の静止および動摩擦力の測定値を提供する。図3にグラフで示すように、ヘッド−媒体間間隔が増加するにつれて、静止および動摩擦力の大きさは減少する。
【0008】
図4は、本願の測定アセンブリの一実施例を示す。図4に示すように、アセンブリは、ヘッド10と媒体10との間のFHまたは摩擦力の測定値134を提供するよう構成されたセンサ装置130およびセンサ回路132を含む。センサ装置130は、センサ装置130に加えられた歪または力に比例する出力電圧または信号を生成する圧電または他のトランスデューサ素子を含む。センサ装置130は、ダウントラック方向における軸方向の力FHまたは歪がセンサ装置130に加えられて、力FHに比例する出力電圧を生成するように、ヘッドに結合されている。センサ装置130からの出力電圧または信号は、センサ装置130に加えられた面内方向の力または歪の大きさに基づいて摩擦力の測定値134を求めるために、センサ回路132によって処理される。
【0009】
図5は、摩擦力を測定するためのセンサ装置130を含むヘッド104用のヘッドサスペンションアセンブリ138の一実施例を示す。ヘッドサスペンションアセンブリは、負荷ビーム140を含む。図示されているように、ヘッド104は、ジンバルばね142を介して負荷ビーム140に結合されている。概略的に図示されているように、ヘッド104はスライダ144を含み、スライダ144は、その上に作製された1つ以上のR/Wトランスデューサ素子146(概略的に示す)を有する。例示的なR/Wトランスデューサ素子146は、誘導書込素子および磁気抵抗読出素子、または当該技術分野で公知であるような他のR/Wトランスデューサ素子を含む。負荷ビーム140は、スライダ144が縦揺れおよび横揺れする中心となるジンバル点を規定する負荷点またはディンプル148を介して、負荷力Fnをスライダ144に印加する。動作について前述したように、媒体を108の方向(図1に示す)に回転させるために、力FMがスピンドルモータ106によって供給される。方向108における媒体の回転は、スライダ144の空気軸受面150に沿って、スライダ144の前縁152から後縁154への空気流を引き起こす。スライダ144の空気軸受面150に沿った空気流は、媒体102から離れる面外方向において上向きの揚力Flを提供する圧力プロファイルを作り出す。上向きの力Flに、媒体102に向かう下向き方向の力Fnが対抗する。上向きの力Flと下向きの力Fnとのつり合いが、読出および/または書込動作のための媒体またはディスク102上方のヘッドの浮上高さを規定する。
【0010】
図5に示すように、負荷ビーム140は、アクチュエータブロック162を介して、データ記憶装置のフレームまたはデッキ160(概略的に示す)に回転結合されている。アクチュエータブロック162は、軸受アセンブリ164(概略的に示す)を介して、ベースまたはデッキ160に回転結合されている。アクチュエータ機構110はアクチュエータブロック162を回転させて、負荷ビーム140を介してヘッドを、記憶媒体102上の選択されたデータトラックに対して動かす。図5に示す実施例では、アセンブリは、ヘッド−媒体間界面でヘッドに加えられた力FHを測定するための負荷ビーム140上のセンサ装置130を含む。FHは、ジンバル点148を介して、負荷ビーム140に力FlBおよび/またはモーメントMLBを加える。図示されているように、センサ装置は、力の印加点からのセンサ装置130の距離により、センサ装置130に加えられる力または歪が増加するように、ジンバル点148から間隔をおいた距離で負荷ビーム140に結合されている。前述のように、センサ装置130は、センサ装置130からの出力電圧を処理してヘッド−媒体間界面での摩擦力の測定値134を提供するために、センサ回路132に結合されている。
【0011】
図6A図6Bは、前述のように静止および動摩擦力を測定するためのセンサ装置130を含むヘッドサスペンションアセンブリ138の一実施例を示す。図示されているように、負荷ビーム140は、負荷ビーム140の近位端170と遠位端172との間に延在する細長い長さを有する。負荷ビーム140の近位端170は、かしめ板174を介してアクチュエータブロック162にかしめられ、ヘッド104は、前述のようにジンバルばね142を介して負荷ビーム140の遠位端172に結合されている。当該技術分野では公知であるように、回転するアクチュエータブロック162にかしめ板174を材料変形を通して接続するために、かしめ工具(図示せず)が使用される。負荷ビーム140をアクチュエータブロック162に接続するために、かしめ工具は、かしめ板174およびアクチュエータブロック162の開口部176、178(図6Bに示す)に挿入される。図示された実施例では、センサ装置130は、負荷ビームとアセンブリの静止または固定部160との間の負荷経路において、かしめ板174と負荷ビーム140の近位端170との間に配置されている。前述のように、ヘッド104からの力FHが負荷ビーム140に加えられ、ヘッド−媒体間界面での摩擦力に比例するセンサ装置130への軸方向の力をひずませ、または加える。センサ回路132は、センサ装置130からの出力を受信して、ヘッド−媒体間界面での摩擦力の測定値を提供する。
【0012】
図7A図7Bは、図6A図6Bに前述したような、ヘッド104およびジンバルばね142から間隔をおいて負荷ビーム140の長さに沿って配置されたセンサ装置130を含む測定機器の別の実施例を示す。図7A図7Bに示すように、センサ装置130は、負荷ビーム140の近位端と遠位端との間に位置しており、負荷ビームの遠位区分182から負荷ビーム140の近位区分180を隔てている。近位区分180は、かしめ板174からセンサ装置130の近位端184へと延在しており、負荷ビーム140の遠位区分182は、センサ装置130の遠位端186から負荷ビーム140の遠位端172へと延在している。このため、図示された実施例では、センサ装置130は、ヘッドアセンブリのジンバル点148から間隔をおいて負荷ビームに沿って位置している。前述のように、センサ装置130は、静止および動摩擦力を測定するために力または歪に応答する電圧信号または入力を提供するトランスデューサ素子を含む。
【0013】
前述の図面に示すセンサ装置130は、入力された力または歪に比例する出力電圧または信号を提供するために、異なるトランスデューサ素子を使用可能である。図8A図8Bは、入力された力または歪に応答する電気的出力を提供するために異なるトランスデューサ素子を利用する代替的なセンサ装置を示す。図8Aに示す一実施例では、センサ装置130は、圧電素子または材料200を含む。図示されているように、圧電素子200は、軸方向に間隔をおいた電極202、204間で面内軸に沿って延在する長さを有する。電極202、204間に延在するトランスデューサ素子200の長さは、面内軸に沿った力または歪を検出するために面内軸に沿って同じ長さに延在する感知軸を形成する。図示されているように、電極202、204は、面内軸に沿った力または歪に応答する入力電圧信号を提供するために、リード線206208を介してセンサ回路130に電気的に接続されている。図示された圧電トランスデューサ素子200は、測定用にバイアス電圧または電流を必要とはしない受動感知素子を提供する。
【0014】
Bに示す別の実施例では、センサ装置130は、抵抗トランスデューサ素子210(図式的に示す)を採用している。センサ回路132は、抵抗素子210の両端間の抵抗の変化を検出するために、接触パッド212、214に接続されている。抵抗素子210は、前述のように面内方向の歪または力を検出するための感知軸を提供するよう配向された細長い長さを有する。図示されているように、抵抗素子210の両端にバイアス電流または電圧216が印加され、接触パッド212、214間の抵抗が、リード線218、219を介して接触パッド212、214に接続されたセンサ回路132を介して測定される。測定された抵抗または歪は、前述のように摩擦力の測定値134を出力するために、センサ回路132によって使用される。
【0015】
図9に示すように、ヘッド104は、R/W回路112に接続された1つ以上のトランスデューサ素子146と、スライダの後縁の近傍のアクチュエータ素子220とを含む。アクチュエータ素子220は、コントローラ222の制御の下で、ヘッドの局所的部分およびトランスデューサ素子146を媒体の方に突出させるように励起される。図示された実施例では、アクチュエータ素子220は、ヘッド104の局所的部分を突出させるように、コントローラ222によって動作され、または動力を供給される抵抗ヒータ素子である。図示されているように、アセンブリは、摩擦力を測定する測定アルゴリズムまたは手順を実施するための測定構成要素224を含む。測定構成要素224は、ヘッド104の局所的部分を突出させるようにアクチュエータまたはヒータ220を動作させるためのアクチュエータ制御パラメータ225を提供する。測定構成要素224は、センサ回路132からの出力を利用して、メモリに記憶され、および/またはデータ記憶装置によって使用される摩擦力の出力測定値を提供する。測定構成要素224によって実施されるアルゴリズムまたは手順は、FLASH、EPROMMなどの不揮発性メモリを含むメモリに記憶された命令を用いて、もしくは、デジタルまたはアナログ回路構成要素を介して実施可能である。抵抗加熱素子が図示されているが、用途は加熱素子に限定されておらず、圧電アクチュエータ素子といった他のアクチュエータ素子を採用して、ここに記載されるようにヘッドの局所的部分を突出させてもよい。
【0016】
図10Aは、アクチュエータまたはヒータ220を動作させるためのパワー入力226を示し、センサ装置130の対応する変形または励起227が図10Bに示されている。図10Aに示すように、パワー入力226は、時間に対するパワーオン/オフ周期または周波数228を含む。パワーは、最大パワー振幅まで「オン」周期をなし、ゼロ近くまで「オフ」周期をなす。図10A図10Bに協調的に示されるように、低パワーレベル(パワー<100mW)では、接触前、センサ出力227または摩擦力は、ゼロまたはほぼゼロである。パワーが増加して(100mWを上回り)、ヘッドが媒体10にほぼ接触または接触すると、静止および動摩擦の測定値ならびにセンサ出力227は、図示されているように増加する。
【0017】
図10Cに示すように、パワーオン/オフ周波数228は、ヘッド−媒体間界面での摩擦力またはFHに対応するセンサ装置130の励起を抽出するために使用される基準周波数を提供する。特に、摩擦力の結果としてのセンサ装置130の励起の周波数は、パワーオン/オフ周波数228に対応しており、このため、パワーオン/オフ周波数228を用いて、摩擦力に起因するセンサ装置130からの出力を、ノイズもしくは他の励起または力から分離することができる。アクチュエータ素子またはヒータ220のオン/オフ周期または周波数228はまた、信号ドリフトを減少させる。摩擦モードに対応するセンサ装置130の励起周波数が、ヘッドおよびサスペンションアセンブリの振動モードの周波数ならびに他の高周波ノイズよりも低くなるように、低いパワーオン/オフ周波数228が使用される。
【0018】
図10Cは、出力摩擦測定値134を提供するために出力センサ信号227を処理するセンサ回路132の一実施例を示す。図10Cに示すように、センサ回路132は検出器構成要素230を含み、それは、出力センサ信号227とパワー基準信号または周波数228とを受信して、基準周波数228を用いてセンサ出力227から摩擦力成分を抽出する。例示された実施例では、検出器構成要素230は、基準信号を用いて出力信号227から摩擦成分を抽出するロックインアンプ検出器である。パワーオン/オフ周波数228は、アクチュエータまたはヒータ220がアクチュエータまたはヒータの「オン」期間の間十分に作動された状態に到達できるように、周波数がアクチュエータまたはヒータの時間的制約に関連付けられた周波数よりも低くなるように選択される。加えて、パワーオン/オフ周波数228は、静止または動摩擦の測定値のための明確な周波数応答を提供するために、スピンドルモータまたはサスペンションアセンブリの共鳴モードといった、装置の構成要素の共鳴周波数とは異なっている。
【0019】
図11A図11Bは、装置またはドライブ100についての合否測定値を判定するためのセンサ装置130の用途を例示する。図11Aに示す実施例では、測定構成要素224は、合否アルゴリズム234を実施するよう構成されている。合否アルゴリズム234は、センサ装置130を用いて摩擦力を測定するために、パワーオン/オフ周波数228でヘッド104の局所的部分を突出させるようにアクチュエータ220を動作させる。図示されているように、測定構成要素224は、合否判定部235も含む。センサ装置130からの出力または測定値は、合否判定部235に提供される。合否判定部235は、測定された摩擦力を用いて、ドライブまたは装置100が品質基準を満たすかどうかを判定し、出力合否測定値236を提供する。図11Bに示すように、合否アルゴリズム234は、ステップ240に示すように、スライダ144の後縁部を媒体の方に突出させるように、アクチュエータまたはヒータ220にパワーを印加する。ステップ242で、センサ装置130からの出力を処理して、摩擦力の測定値を提供する。図示されているように、ステップ244で、測定された摩擦力を合否基準と比較して、合否測定値236を出力する。上述のように、合否アルゴリズム234は、品質制御検査のために、測定された摩擦力と合否基準とを用いて、合否測定値236を出力する。
【0020】
図12A図12Bは、ヘッドAおよびヘッドBについての測定された摩擦力250、252対ヒータパワーをそれぞれグラフで示す。図12Aに示すように、しきい値パワーレベル254およびそれより上では、ヘッドは媒体102に接触する。このため、しきい値レベル254より下では、ヘッドは媒体上方にあり、または媒体と間隔をおいており、このため摩擦力はゼロまたはほぼゼロである。アクチュエータ素子220のためにヘッド媒体接触垂直作動パワーを決定することは、データ記憶装置が、ヘッドを確実に動作させるための正しいヘッド−媒体間間隔を設定するうえで重要である。対照的に、図12Bでは、ヘッドBは、しきい値レベル254より下で間欠的なヘッド−媒体間接触を示す摩擦力の測定値があるように、不安定である。図示されているように、センサ装置130からの出力摩擦力は、品質制御のために欠陥のあるヘッドまたは構成要素を検出するために、図11Aに示す判定部235によって使用される。図12AのヘッドAについて測定された摩擦力に基づいて、判定部235は合格測定値を出力し、例示された一実施例では、コントローラ回路222は、接触しきい値パワーレベル254に基づいて正しい作動パワーでアクチュエータ素子220を動作させるであろう。一方、図12BのヘッドBについては、判定部235は不合格測定値を出力するであろう。なぜなら、ヘッドBについての浮上高さは、ヘッド−媒体接触しきい値254より下の低いパワーレベルでは不安定であるためである。
【0021】
図13A図13Bは、摩擦力の出力測定値134を利用してヘッド−媒体間間隔の能動的制御を提供するための一実施例を例示する。図示されているように、図13Aの例示された実施例では、測定構成要素224は、摩擦力を測定するためにヘッド104の局所的部分を突出させるようにアクチュエータまたはヒータ220をパワーオン/オフするアルゴリズム260と、読出および書込動作のための望ましい浮上高さを提供するようにアクチュエータまたはヒータ220を動作させるヘッド−媒体間間隔制御パラメータ264を提供する能動的制御構成要素262とを含む。図13Bに例示されるように、アルゴリズム260は、ステップ266に例示されるように、パワーオン/オフ周波数228でパワーを印加して、摩擦力を測定する。ステップ267で、能動的制御構成要素262は、摩擦力の出力測定値を用いて、所望のヘッド−媒体間間隔を提供するように適正量のパワーをアクチュエータ220に提供する能動的制御パラメータ264を求める。ステップ268で、コントローラは能動的制御パラメータ264を用いて、読出および書込動作中のヘッド−媒体間間隔を最適化するようにヘッドを突出させるよう、パワーをアクチュエータ220に印加する。
【0022】
本願では測定アセンブリのさまざまな使用が開示されているが、実施例は、本願に開示されたある特定の用途または使用に限定されない。前述の説明において、この発明のさまざまな実施例の多くの特徴および利点が、この発明のさまざまな実施例の構造および機能の詳細とともに説明されてきたが、この開示は単なる例示であり、添付された請求項を表現している用語の広範な一般的意味によって示されたこの発明の原理の最大範囲内で、特に部品の構造および配置の事項において変更が詳細に行なわれてもよい、ということが理解されるべきである。たとえば、特定の要素は、システムについての特定の用途に依存して、実質的に同じ機能性を保ちながら、この発明の範囲および精神から逸脱することなく変更されてもよい。加えて、ここに説明された好ましい実施例はある特定のデータ記憶システムに向けられているが、この発明の教示が、この発明の範囲および精神から逸脱することなく、光学装置などの他のデータ記憶装置に適用可能であるということが、当業者には理解されるであろう。
【符号の説明】
【0023】
102:データ記憶媒体、104:ヘッド、130:センサ装置、140:負荷ビーム、142:ジンバルばね、146:トランスデューサ素子、220:アクチュエータ素子、224:測定構成要素。
図11A
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B