(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043325
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】乳酸菌の配合物並びに感染症および炎症の予防および/または処置のためのその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 35/747 20150101AFI20161206BHJP
A61K 35/74 20150101ALI20161206BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20161206BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20161206BHJP
A61P 15/02 20060101ALI20161206BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20161206BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20161206BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20161206BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20161206BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20161206BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20161206BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20161206BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20161206BHJP
A61K 9/02 20060101ALI20161206BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20161206BHJP
A61K 9/68 20060101ALI20161206BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20161206BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20161206BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20161206BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
A61K35/747
A61K35/74 A
A61P1/02
A61P13/02
A61P15/02
A61P27/02
A61P27/16
A61P29/00
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/12
A61K9/20
A61K9/02
A61K9/48
A61K9/68
A61K9/08
A61K47/46
A61K47/18
A61K47/02
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-204243(P2014-204243)
(22)【出願日】2014年10月2日
(62)【分割の表示】特願2012-774(P2012-774)の分割
【原出願日】2000年6月16日
(65)【公開番号】特開2015-43775(P2015-43775A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2014年10月31日
(31)【優先権主張番号】RM99A000400
(32)【優先日】1999年6月21日
(33)【優先権主張国】IT
【微生物の受託番号】DSMZ DSM11988
(73)【特許権者】
【識別番号】503220679
【氏名又は名称】アクティアル・ファルマセウティカ・ソシエダデ・ポル・クオタス・デ・レスポンサビリダデ・リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ・デ・シモーネ
【審査官】
佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第94/019950(WO,A1)
【文献】
特表平11−504048(JP,A)
【文献】
特表平09−508782(JP,A)
【文献】
特開昭60−190707(JP,A)
【文献】
特開昭61−091126(JP,A)
【文献】
特表2002−504324(JP,A)
【文献】
特許第4949580(JP,B2)
【文献】
特開2012−110334(JP,A)
【文献】
特開平09−241173(JP,A)
【文献】
特開平02−174675(JP,A)
【文献】
特開平11−322621(JP,A)
【文献】
特開平08−268899(JP,A)
【文献】
特開平08−298982(JP,A)
【文献】
特開平10−330274(JP,A)
【文献】
国際公開第99/007826(WO,A1)
【文献】
LEDESMA,O.V. et al,A SYNTHETIC MEDIUM FOR COMPARATIVE NUTRITIONAL STUDIES OF LACTOBACILLI,Journal of Applied Bacteriology,1977年,Vol.42, No.1,p.123-133
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00−35/76
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)H2O2生産性乳酸菌の少なくとも1菌株からなる第1成分、および
(b)アルギニン利用性乳酸菌の少なくとも1菌株からなる第2成分、を含む細菌の増殖阻害用組成物であって、成分(a)と成分(b)の組み合わせが、(a)ラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、(b)ラクトバシラス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、(a)ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)および(b)ラクトバシラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)の組み合わせである、組成物。
【請求項2】
(a)H2O2生産性乳酸菌の少なくとも1菌株からなる第1成分、および
(b)アルギニン利用性乳酸菌の少なくとも1菌株からなる第2成分、を含む細菌の増殖阻害用組成物であって、成分(a)と成分(b)の組み合わせが、(a)ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)および(b)DSM(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH、Braunschweig、Germany)に、1998年2月6日付で、ブタペスト条約のもと受託番号DSM11988で寄託されているラクトバシラス・ブレビスCD2(Lactobacillus brevis CD2)菌株の組み合わせである、組成物。
【請求項3】
成分(a)の細菌の数の、成分(b)の細菌の数に対する比が、1:100から100:1である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
比率が1:5から5:1である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
比率が1:1である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
成分(a)の細菌1x102個から5x1011個および成分(b)の細菌1x102個から5x1011個を含む単位用量単位の、請求項1−5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
成分(a)の細菌1x109個および成分(b)の細菌3x109個を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
錠剤、口内錠剤(sucking tablet)、菓子、チユーインガム、ゼラチンカプセル、ペッサリー、坐薬、極小の浣腸剤、ペレット、歯科用クリームおよびゲル、義歯粉、うがい薬、歯磨き粉、スプレー、懸濁液並びに軟膏の形態である、請求項1−7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・カテナフォルメ(Lactobacillus catenaforme)、ラクトバシラス・セロビオサス(Lactobacillus cellobiosus)、ラクトバシラス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバシラス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバシラス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバシラス・ジェンセニイ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバシラス・ライヒマニ(Lactobacillus leichmannii)、ラクトバシラス・ミヌツス(Lactobacillus minutus)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバシラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバシラス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アングラツム(Bifidobacterium angulatum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラツム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)、ビフィドバクテリウム・エリクソニ(Bifidobacterium eriksonii)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・プランタルム(Bifidobacterium plantarum) および ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)からなる群から選択される乳酸菌の少なくとも1つの他菌株を付加的に含む、請求項1−8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
ビタミン類、第四アンモニウム塩基類、無機塩類、抗酸化剤および抗歯垢剤を付加的に含む、請求項1−9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
細菌の増殖が、口、膣、尿道、鼻、目および耳内で阻害される、請求項1−10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
細菌に起因する感染症および炎症の予防および/または治療用である、請求項1−11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
感染症および炎症が、歯肉炎、歯周病および再発性アフタ潰瘍を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
口腔の処置のための、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
抗炎症剤、抗齲歯剤および/または抗歯垢剤である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
消臭剤である、請求項14に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳酸菌の配合物、並びに細菌、ウイルスまたはかびに起因する、特に口、膣、尿道、鼻、目および耳内での感染症および炎症の予防および/または処置用の食品添加物、衛生用品または医薬品を製造するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
乳酸菌はブドウ糖の発酵により乳酸を生産するグラム陽性菌である。Streptococcus thermophilusもまた、慣例によりこの定義に含まれる。
【0003】
H
2O
2を生産する乳酸菌の菌株は、体の開口部内および粘膜上の菌叢のレギュレーターとして働き得ることが良く知られている。H
2O
2生産性乳酸菌は、E. coli、N. gonorrhoea、G. vaginalis、C. trachomatis、U. urealyticumおよびB. biviusに拮抗し得ることが示されてきた。しかし、医療業務で使われるとき、これらの細菌には限られた利点しかなかった。このことは、上記の微生物の感染(例えば、膣炎)の処置を目的とする、乳酸菌をベースとする製剤(例えば、ペッサリ−)が、自分たちの患者を抗生物質または化学療法剤で処置することの方を好む医師たちから高い関心を得ていなかったという事実からうかがえる。
【0004】
発明者の知る限りでは、アルギニン利用性乳酸菌には、体の開口部内および粘膜上での抗菌または叢調節作用はないとされてきた。
【発明の概要】
【0005】
驚くべきことに、此度、H
2O
2生産性乳酸菌の活性が、1またはそれ以上のアルギニン利用能のある乳酸菌の菌株の付加により、顕著に上昇することが分った。アルギニンは生物体液中にみられる様々な小ペプチドの一部を構成し、また遊離アルギニンとしても生じる。多くの細菌種がそれ(アルギニン)を自身の栄養摂取と増殖に利用する。それゆえに、アルギニン利用性乳酸菌は、他の、病原性または病原性の可能性のある細菌から顕著な量のアルギニンを奪い、そのことは、それらの増殖を停止させるには十分ではないにしても、乳酸菌が生産するH
2O
2の作用をより受けやすくさせる。
【0006】
それゆえに、本発明は、(a)H
2O
2生産性乳酸菌の少なくとも1菌株からなる第1成分、および(b)アルギニン利用性乳酸菌の少なくとも1菌株からなる第2成分、を含む乳酸菌の配合物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
成分(a)中の乳酸菌の菌株は、好ましくはLactobacillus crispatus、Lactobacillus salivariusおよびLactobacillus caseiの種の菌株群からなる群から選択され、一方成分(b)中の乳酸菌の菌株は、Lactobacillus brevis、Lactobacillus gasseriおよびLactobacillus fermentumの種の菌株群からなる群から選択される。より詳しくは、成分(b)中の乳酸菌の菌株は、DSM、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH、Braunschweig、Germanyに、1998年2月6日付で、ブタペスト条約のもと受託番号DSM11988で寄託されているLactobacillus brevis CD2、またはその変異株または誘導体である。
【0008】
成分(a)中の細菌数の、成分(b)中の細菌数に対する比は、好ましくは1 : 100から100 : 1までであり、とりわけ1 : 5から5 : 1までであり、最も好ましい比は1 : 1である。
【0009】
本発明の配合物は、成分(a)の細菌1 x 10
2個から5 x 10
11個まで、および成分(b)の細菌1 x 10
2個から5 x 10
11個まで、好ましくは成分(a)の細菌1 x 10
9個および成分(b)の細菌3 x 10
9個、を含む単位用量形態で投与できる。
【0010】
本発明の配合物は、錠剤、口内錠剤、菓子、チユーインガム、ゼラチンカプセル、ペッサリー、坐薬および極小の浣腸剤、同様に、ペレット、歯科用クリームおよびゲル、義歯粉、うがい薬、歯磨き粉、スプレー、懸濁液並びに軟膏の形態でも投与できる。
【0011】
本発明の他の実施態様によると、該配合物は、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus buchneri、Lactobacillus casei、Lactobacillus catenaforme、Lactobacillus cellobiosus、Lactobacillus crispatus、Lactobacillus curvatus、 Lactobacillus delbrueckii、Lactobacillus jensenii、Lactobacillus leichmannii、Lactobacillus minutus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus salivarius、Lactobacillus brevis、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus fermentum、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium angulatum、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium catenulatum、 Bifidobacterium dentium、Bifidobacterium eriksonii、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium plantarumおよびStreptococcus thermophilusからなる群から選択される乳酸菌の少なくとも1つの他菌株を付加的に含む。
【0012】
本発明の配合物はまた、ビタミン類、第四アンモニウム塩基類、無機塩類、抗酸化剤および抗歯垢剤も含み得る。
【0013】
本発明はまた、特に口、膣、尿道、鼻、目および耳内での、細菌、ウイルスまたはかびに起因する感染症および炎症の予防および/または治療用の食品添加物、衛生用品または医薬製剤の製造を目的とする、(a)H
2O
2生産性乳酸菌の少なくとも1菌株からなる第1成分、および(b)アルギニン利用性乳酸菌の少なくとも1菌株からなる第2成分、を含む乳酸菌の配合物の使用にも関する。これらの感染症および炎症は、歯肉炎、歯周病、医薬品および/または天然物質に起因する粘膜炎および口内炎、ベーチェット症候群、口腔の角化症(diakeratosis)、 舌炎、咽喉痛、唾液腺炎、唾石症、天疱瘡、平扁苔癬、シェーグレン症候群、膣疾患、膣炎、尿道炎、前立腺炎、直腸炎、耳炎、結膜炎、鼻炎、副鼻腔炎、白板症、アフタ、ヘルペス疱疹、口腔内のHelicobacter pilori感染、を含む。
【0014】
本発明の配合物はまた、消口臭剤、抗炎症剤、抗齲歯剤および/または抗歯垢剤として、口腔の処置に役立てるためにも使用できる。
【0015】
以下の実施例は、本発明の様々な態様をより詳細に説明するのに役立つが、いかなる点においても本発明を限定するように解釈されるべきでない。
【実施例】
【0016】
実施例1
H
20
2生産性乳酸菌(成分A);アルギニン利用性乳酸菌(成分B);および特に比が1:1の両菌株の配合物(配合物AB)の、潜在的に病原性のある細菌の増殖に対する阻害効果を評価した。
【0017】
概略すると、酸性のpHはそれ自体が細菌の増殖を阻害するので、調べる乳酸菌の培養物を、最初に中性のpHに合わせた。該懸濁液を滅菌濾過し、濾過液を吸収紙の多数のディスクを浸すのに使用した(ディスク1枚当り30μlの濾過液)。それらのディスクを、30μlの蒸留水で浸しただけの対照のディスクとともに、0.1mlのGardnerella vaginalis(膣疾患を引き起こす菌株で、実験室で単離したもの)を植菌した選択増殖培地プレート上に置いた。24時間、37℃でのインキュベーションの後、ディスクの周りのハローの直径をミリメートル単位で計測することで、病原菌の増殖阻害を評価した。
【0018】
2組目の試験は、歯垢および齲歯の原因物質であるStreptococcus mutansを標的病原菌として用いて行った。
【0019】
H
20
2生産菌としてのこの細菌の特性分析は、H
20
2生産性の細菌コロニーを青い着色によって明らかにする、古典的なベンジジンペルオキシダーゼ反応によって行った。アルギニンデヒドロラーゼの活性は、乳酸菌がアルギニンを利用する能力を評価することで測定した[M. C. Manca de Nadra, Milchwissenschaft, 37 (1982) pp. 669-670]。
乳酸菌はAmerican Type Culture Collection (ATCC)、Rockville、USAから入手した。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
実施例2
以下の成分組成の口内錠剤を調製した。
【表3】
【0023】
これらの錠剤を、評価に先立つ週の間、歯の掃除をしたりガムを噛んだりしないように指示された4人の志願者に投与した。被験者は、1週間、1日3錠を食後に摂取し、錠剤を口の中で溶かした。歯の歯垢指数および歯肉の歯垢指数の両者について、臨床評価を行った。
【0024】
歯の歯垢について、6本の歯(右上第1大臼歯;左上中切歯;左上第1小臼歯;左下第1大臼歯;右下中切歯;右下第1小臼歯)に次のスコアシステムを用いた。
0-全く歯垢無し
1-可視の歯垢無し
2-可視の歯垢
3-非常に明らかな歯垢
【0025】
次のスコアシステムを、上記の6本の歯の縁を用いて歯肉の歯垢を評価するのに採用した。
0-炎症無し
1-僅かな炎症
2-触ると出血をともなう中程度の炎症
3-自然出血の傾向をともなう顕著な炎症
【0026】
4人の志願者の6本の歯について得られた結果の組み合わせデータは以下の通りである。
【表4】
【0027】
実施例3
臨床的におよび組織学的に再発性アフタ潰瘍と診断された4人の被験者を、10日間、実施例2に記した成分の口内錠剤1日6錠で処置した。
【0028】
処置したすべての患者は10日間の過程の終わりに潰瘍の完治を示し、以降1か月の間、彼らの誰も新たな潰瘍を生じなかった。
【0029】
細菌配合物ABの風味と外観を改善するために、習慣的に行われ当業者に周知なように、適切な着色料並びにサッカリン、ミント油およびキシリトールのような甘味料を加え得る。
【0030】
配合物ABは、ペレット、菓子、チユーインガム、ゼラチンカプセル、歯科用クリームおよびゲル、義歯粉、うがい薬、歯磨き粉、錠剤、ペッサリ−、坐薬、スプレー、懸濁液および極小の浣腸剤の形態で投与できる。
【0031】
実施例4
練り歯磨きの製造
【表5】
【表6】
【0032】
すりつぶして50メッシュのふるいを通したリン酸カルシウム2水和物にグリセロールを加えた。混合物を水和させ、濃い一様のペーストを得た。香料(1%のペパーミント油)は、この段階で加えた。
【0033】
カルボキシメチルセルロースナトリウムを一晩中、水中で水和した(純水中4.6%の濃度)。
サッカリンナトリウム溶液を、得られた濃いゲルに加えた。
【0034】
重合体のゲルを、すでにグリセロールで水和したリン酸カルシウムが入っている乳鉢に注ぎ、内容物を激しく攪拌した。
【0035】
約28%のラウリル硫酸ナトリウムの純水溶液を、別に調製した。
該ラウリル硫酸ナトリウム溶液を、濃い第二リン酸カルシウムのペーストに加えた。
【0036】
得られた流動学的に優れた特性を有する濃い一様のペーストを数分間攪拌し、次いでローラーを有する精製機を通して精製した。こうして、ミントの心地よい芳香を有する雪白色の一様なペーストを得た。
【0037】
38.5 gの凍結乾燥した乳酸菌(L. salivarius + L. brevis、 1 : 1; 10
10 CFU/g)を50メッシュのふるいに通し、少量を上記の練り歯磨きベースの残り(770 g)に加えた。得られた一様なペーストは僅かな淡い茶色と、ミントの香りを有した。
【0038】
実施例5
速放性の膣錠剤の調製
沸騰性の層に包まれた膣錠剤を、湿式造粒で調製した。該錠剤はそれぞれ重量が2100mgであり、活性物質として乳酸菌の配合物各100mgを含有した。
各膣錠剤は以下の組成を有した。
【表7】