【文献】
HAIDONG HUANG,COMPETITIVE INHIBITION OF URACIL DNA GLYCOSYLASE BY A MODIFIED NUCLEOTIDE 以下備考,JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,米国,AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2009年 2月 4日,V131 N4,P1344-1345,WHOSE TRIPHOSPHATE IS A SUBSTRATE FOR DNA POLYMERASE
【文献】
PETER GRUENEFELD,SYNTHESIS OF A 1'-AMINOMETHYLTHYMIDINE AND OLIGODEOXYRIBONUCLEOTIDES 以下備考,THE JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY,米国,AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2004年10月 1日,V69 N22,P7543-7551,WITH 1'-ACYLAMIDOMETHYLTHYMIDINE RESIDUES
【文献】
TETSUYA KODAMA,AN EFFICIENT METHOD FOR THE PREPARATION OF 1'α-BRANCHED-CHAIN SUGAR PYRIMIDINE 以下備考,CHEMISTRY - A EUROPEAN JOURNAL,2001年 6月 1日,V7 N11,P2332-2340,RIBONUCLEOSIDES FROM URIDINE: THE FIRST CONVERSION OF A NATURAL NUCLEOSIDE 以下省略
【文献】
VALERIE UTEZA,SYNTHESIS AND STRUCTURE DETERMINATION OF THE FIRST 1'-C -CYANO-β-D-NUCLEOSIDES,TETRAHEDRON,1993年 9月 1日,V49 N38,P8579-8588
【文献】
GROUILLER, A. et al,Novel p-Toluenesulfonylation and Thionocarbonylation of Unprotected Thymine Nucleosides,SYNLETT,1993年,No. 3,pp. 221-222
【文献】
REGISTRY FILE(STN),ChemSpider (database),2008年 9月29日,Registry No. 1054663-23-8
【文献】
RAVINDRA, B. B. et al,2'-Spiro ribo- and arabinonucleosides: synthesis, molecular modelling and incorporation into oligodeoxynucleotides,Organic & Biomolecular Chemistry,2003年,Vol. 1, No. 20,pp. 3514-3526
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インターフェロン、リバビリン類似体、NS3プロテアーゼ阻害剤、NS5a阻害剤、NS5bポリメラーゼ阻害剤、α−グルコシダーゼ1阻害剤、シクロフィリン阻害剤、肝臓保護剤、HCVの他のヌクレオシド阻害剤、HCVの非ヌクレオシド阻害剤、およびHCVを治療するための他の薬物からなる群から選択される、少なくとも1つの追加の治療剤をさらに含む、請求項2に記載の薬学的組成物。
前記ウイルスノイラミニダーゼ阻害剤またはウイルスM2チャネル阻害剤は、オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、アマンタジン、およびリマンタジンからなる群から選択される、請求項4に記載の薬学的組成物。
前記ウイルスは、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、クンジンウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ジカウイルス、およびC型肝炎ウイルスからなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
インターフェロン、リバビリン類似体、NS3プロテアーゼ阻害剤、NS5bポリメラーゼ阻害剤、NS5a阻害剤、α−グルコシダーゼ1阻害剤、シクロフィリン阻害剤、肝臓保護剤、HCVの他のヌクレオシド阻害剤、HCVの非ヌクレオシド阻害剤、およびHCVを治療するための他の薬剤からなる群から選択される、少なくとも1つの追加の治療剤をさらに含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載の組成物。
前記ウイルスは、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、クンジンウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ジカウイルス、およびC型肝炎ウイルスからなる群から選択される、請求項13に記載の薬学的組成物。
インターフェロン、リバビリン類似体、NS3プロテアーゼ阻害剤、NS5bポリメラーゼ阻害剤、NS5a阻害剤、α−グルコシダーゼ1阻害剤、シクロフィリン阻害剤、肝臓保護剤、HCVの他のヌクレオシド阻害剤、HCVの非ヌクレオシド阻害剤、およびHCVを治療するための他の薬剤からなる群から選択される、少なくとも1つの追加の治療剤をさらに含む、請求項13〜15のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のある特定の実施形態について言及しており、それらの実施例は、添付の記述、構造、および式において説明されている。本発明は列挙される実施形態と併せて説明されるが、それらは、本発明をそれらの実施形態に限定することを意図されていないことを理解されたい。それとは逆に、本発明は、本発明の範囲内に包含され得るすべての代替物、修正、および等価物を包含するよう意図されている。
化合物
【0023】
一態様において、本発明は、式Iの化合物:
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
またはその薬学的に許容される塩を提供し、
式中、
塩基は、天然に存在するか、または修飾されたピリミジン塩基であり、
R
1は、H、CN、OR
a、(C
1−C
4)アルキル、(C
1−C
4)置換アルキル、(C
2−C
4)アルケニル、(C
2−C
4)置換アルケニル、(C
2−C
4)アルキニル、(C
2−C
4)置換アルキニル、またはS(O)
nR
aであり、
R
2は、H、OR
a、N(R
a)
2、N
3、CN、NO
2、S(O)
nR
a、(C
1−C
4)アルキル、(C
4−C
6)シクロアルキルアルキル、(C
1−C
4)置換アルキル、(C
2−C
4)アルケニル、(C
2−C
4)置換アルケニル、(C
2−C
4)アルキニル、または(C
2−C
4)置換アルキニルであるか、
あるいは、R
1およびR
2は、それらが結合する炭素と一緒になって、3〜6員シクロアルキル環を形成し、前記シクロアルキル環の1〜3個の炭素原子は、OまたはS(O)
nによって任意に置換され、
R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立して、H、OR
a、N(R
a)
2、N
3、CN、NO
2、S(O)
nR
a、ハロゲン、(C
1−C
4)アルキル、(C
4−C
8)シクロアルキルアルキル、(C
1−C
4)置換アルキル、(C
2−C
4)アルケニル、(C
2−C
4)置換アルケニル、(C
2−C
4)アルキニル、または(C
2−C
4)置換アルキニルであるか、
あるいは、隣接する炭素原子上のR
3、R
4、またはR
5のうちのいずれか2つは、一緒になると、−O(CO)O−であるか、またはそれらが結合する環炭素原子と一緒になると、二重結合を形成し、
R
6は、CN、エテニル、2−ハロエテン−1−イル、または(C
2−C
8)アルキン−1−イルであり、
各nは、独立して、0、1、または2であり、
各R
aは、独立して、H、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、アリール(C
1−C
8)アルキル、(C
4−C
8)シクロアルキルアルキル、−C(=O)R
11、−C(=O)OR
11、−C(=O)NR
11R
12、−C(=O)SR
11、−S(O)R
11、−S(O)
2R
11、−S(O)(OR
11)、−S(O)
2(OR
11)、または−SO
2NR
11R
12であり、
R
7は、H、−C(=O)R
11、−C(=O)OR
11、−C(=O)NR
11R
12、−C(=O)SR
11、−S(O)R
11、−S(O)
2R
11、−S(O)(OR
11)、−S(O)
2(OR
11)、−SO
2NR
11R
12、または式Iaの基であり、
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
Yは、O、S、NR、
+N(O)(R)、N(OR)、
+N(O)(OR)、またはN−NR
2であり、
W
1およびW
2は、一緒になると、−Y
3(C(R
y)
2)
3Y
3−であるか、
あるいは、W
1またはW
2のうちの一方は、R
3またはR
4のいずれかと一緒になって、−Y
3−であり、W
1またはW
2のもう一方は、式Ibであるか、
あるいは、W
1およびW
2は、それぞれ、独立して、式Ibの基であり、
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
各Y
1は、独立して、O、S、NR、
+N(O)(R)、N(OR)、
+N(O)(OR)、またはN−NR
2であり、
各Y
2は、独立して、結合、O、CR
2、NR、
+N(O)(R)、N(OR)、
+N(O)(OR)、N−NR
2、S、S−S、S(O)、またはS(O)
2であり、
各Y
3は、独立して、O、S、またはNRであり、
M2は、0、1、または2であり、
各R
xは、式Icの基であり、
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
各M1a、M1c、およびM1dは、独立して、0または1であり、
M1bは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、
各R
yは、独立して、H、F、Cl、Br、I、−CN、−N
3、−NO
2、−OR、−C(R)
2−O−C(R)
3、−C(=Y
1)R、−C(=Y
1)R
13,−C(=Y
1)OR、−C(=Y
1)N(R)
2、−N(R)
2、−
+N(R)
3、−SR、−S(O)R、−S(O)
2R、−S(O)
2R
13,−S(O)(OR)、−S(O)
2(OR)、−OC(=Y
1)R、−OC(=Y
1)OR、−OC(=Y
1)(N(R)
2)、−SC(=Y
1)R、−SC(=Y
1)OR、−SC(=Y
1)(N(R)
2)、−N(R)C(=Y
1)R、−N(R)C(=Y
1)OR、−N(R)C(=Y
1)N(R)
2、−SO
2NR
2、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
6−C
20)アリール、(C
3−C
20)シクロアルキル、(C
2−C
20)複素環式環、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、
各(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
6−C
20)アリール、(C
3−C
20)シクロアルキル、(C
2−C
20)複素環式環、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルは、1〜3個のR
20基で任意に置換されるか、
あるいは、同一炭素原子上の2個のR
yは、一緒になると、3〜7個の炭素原子のシクロアルキル環を形成し、
各Rは、独立して、H、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
6−C
20)アリール、(C
3−C
20)シクロアルキル、(C
2−C
20)複素環式環、またはアリールアルキルであり、
R
8は、H、(C
1−C
4)アルキル、または(C
1−C
4)置換アルキルであり、
各R
11またはR
12は、独立して、H、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
4−C
8)シクロアルキルアルキル、(C
3−C
20)シクロアルキル、(C
2−C
20)複素環式環、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−C(=O)(C
1−C
8)アルキル、−S(O)
n(C
1−C
8)アルキルまたはアリール(C
1−C
8)アルキルであるか、R
11およびR
12は、それらが共に結合する窒素と一緒になって、3〜7員複素環式環を形成し、前記複素環式環のうちいずれか1個の炭素原子は、−O−、−S−、または−NR
a−で任意に置換されてもよく、
各R
13は、独立して、1〜3個のRもしくはR
20基で任意に置換されたシクロアルキルまたは複素環であり、
各R
20は、独立して、ハロゲン、CN、N
3、N(R)
2、OR、−SR、−S(O)R、−S(O)
2R、−S(O)(OR)、−S(O)
2(OR)、−C(=Y
1)R、−C(=Y
1)OR、またはC(=Y
1)N(R)
2であり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
8、R
11、またはR
12のそれぞれの各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールは、独立して、1〜3個のハロ、ヒドロキシ、CN、N
3、N(R
a)
2、またはOR
aで任意に置換され、各前記(C
1−C
8)アルキルの非末端炭素原子のうちの1〜3個は、−O−、−S−、または−NR
a−で任意に置換されてもよいが、
但し、
a) R
1、R
3、およびR
5が水素であり、R
2およびR
4がヒドロキシであり、R
6がシアノであり、R
7およびR
8が水素であるとき、塩基は、ウラシルまたはチミンでないことと、
b) R
1およびR
4がヒドロキシであり、R
2、R
3、およびR
5が水素であり、R
6がシアノであり、R
7およびR
8が水素であるとき、塩基は、ウラシルまたはシトシンでないことと、
c) R
1、R
2、R
3、およびR
5が水素であり、R
4がヒドロキシであり、R
6がシアノであり、R
7およびR
8が水素であるとき、塩基は、ウラシル、シトシン、チミンまたは5−iodo−ウラシルでないことと、
d) R
1、R
3、およびR
5が水素であり、R
2およびR
4がヒドロキシであり、R
6がエテニルであり、R
7およびR
8が水素であるとき、塩基は、ウラシルまたはシトシンでないことと、
e) R
5がH以外であるとき、R
8は、Hであることと、
f) R
1がヒドロキシであり、R
2、R
3、R
5、およびR
8が水素であり、R
6がシアノであり、R
4が水素またはベンゾイルであり、R
7が水素またはベンゾイルであるとき、塩基は、シトシンではないことと、
g) R
1がアセチルまたはヒドロキシであり、R
2、R
3、R
5、R
7、およびR
8が水素であり、R
4がヒドロキシまたは−OC(O)フェニルであるとき、塩基は、2−オキソ−4−ヒドロキシピリミジニルではないことと、
h) R
1がアセトキシであり、R
4がベンゾイルオキシであり、R
6がシアノであり、R
7がベンゾイルであり、R
2、R
3、R
5、およびR
8が水素であるとき、塩基は、ウラシルではないことと、
i) R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1つは、水素ではないことと、
を条件とする。
【0024】
本明細書を通して論じられる条件において、ウラシルまたはチミン等の塩基が置換されていると具体的に述べることなく塩基に言及するとき、この条件は、置換されていない塩基のみを指すことに留意されたい。
【0025】
いくつかの実施形態において、R
1は、H、CN、OR
a、(C
1−C
4)アルキル、(C
2−C
4)アルケニル、または(C
2−C
4)アルキニルである。いくつかの実施形態において、R
1は、水素、メチル、またはヒドロキシである。
【0026】
いくつかの実施形態において、R
2は、HまたはOR
aである。いくつかの実施形態において、R
2は、水素、メトキシ、またはヒドロキシである。
【0027】
いくつかの実施形態において、R
1およびR
2は、それらが結合する炭素と一緒になって、4員シクロアルキル環を形成し、前記シクロアルキル環の1〜3個の炭素原子は、Oによって任意に置換される。
【0028】
いくつかの実施形態において、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立して、H、OR
a、N
3、CN、(C
1−C
4)アルキル、または(C
2−C
4)アルキニルである。いくつかの実施形態において、R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立して、H、ヒドロキシ、N
3、または−OC(O)−イソプロピルである。
【0029】
いくつかの実施形態において、塩基は、ほんの一例として、フルオロ等のハロゲンで任意に置換されたウラシルである。他の実施形態では、塩基は、ほんの一例として、フルオロ等のハロゲンで任意に置換されたシトシンである。
【0030】
いくつかの実施形態において、塩基は、式VIまたはVIIで表されるピリミジン
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
式VI 式VII
またはその互変異性体であり、
式中、
各X
1またはX
2は、独立して、C−R
10またはNであるが、但し、X
1またはX
2のうちの少なくとも1つがC−R
10であることを条件とし、
各R
9は、H、ハロゲン、NR
11R
12、N(R
11)OR
11、NR
11NR
11R
12、N
3、NO、NO
2、OR
11、またはSR
11であり、
各R
10は、独立して、H、ハロゲン、NR
11R
12、N(R
11)OR
11、NR
11NR
11R
12、N
3、NO、NO
2、CHO、CN、−CH(=NR
11)、−CH=NHNR
11、−CH=N(OR
11)、−CH(OR
11)
2、−C(=O)NR
11R
12、−C(=S)NR
11R
12、−C(=O)OR
11、R
11、OR
11、またはSR
11であり、
各R
11またはR
12は、独立して、H、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
4−C
8)シクロアルキルアルキル、(C
3−C
20)シクロアルキル、(C
2−C
20)複素環式環、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−C(=O)(C
1−C
8)アルキル、−S(O)
n(C
1−C
8)アルキル、またはアリール(C
1−C
8)アルキルであるか、あるいはR
11およびR
12は、それらが共に結合する窒素と一緒になって、3〜7員複素環式環を形成し、前記複素環式環のうちいずれか1個の炭素原子は、−O−、−S−または−NR
a−で任意に置換されてもよく、
R
14は、H、(C
1−C
8)アルキル、または(C
4−C
8)シクロアルキルアルキルである。
【0031】
いくつかの実施形態において、R
6は、CN、エテニル、またはエチニルである。
【0032】
いくつかの実施形態において、R
7は、Hまたは以下の式である。
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【0033】
いくつかの実施形態において、R
7は、Hまたは以下の式であり、
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
式中、W
1およびW
2は、それぞれ、独立して、式Ibの基である。
【0034】
R
7のさらなる実施形態が以下に記載される。
【0035】
いくつかの実施形態において、
R
1は、H、OH、CN、(C
1−C
4)アルキル、(C
2−C
4)アルケニル、または(C
2−C
4)アルキニルであり、
R
2は、H、OHまたはO(C
1−C
4)アルキルであるか、
あるいは、R
1およびR
2は、それらが結合する炭素と一緒になって、3〜6員シクロアルキル環を形成し、前記シクロアルキル環の1〜3個の炭素原子は、Oによって任意に置換され、
R
3は、Hまたは(C
1−C
4)アルキルであり、
R
4は、H、OH、O(C
1−C
4)アルキル、またはOC(O)−(C
1−C
4)アルキルであり、
R
5は、H、CN、N
3、(C
1−C
4)アルキル、(C
2−C
4)アルケニル、または(C
2−C
4)アルキニルであり、
R
6は、CN、エテニル、2−ハロエテン−1−イル、または(C
2−C
8)アルキン−1−イルであり、
R
8は、Hまたは(C
1−C
4)アルキルである。
【0036】
いくつかの実施形態において、
R
1は、H、OH、または(C
1−C
4)アルキルであり、
R
2は、H、OH、またはO(C
1−C
4)アルキルであるか、
あるいは、R
1およびR
2は、それらが結合する炭素と一緒になって、4員シクロアルキル環を形成し、前記シクロアルキル環1個の炭素原子は、Oによって任意に置換され、
R
3は、Hまたは(C
1−C
4)アルキルであり、
R
4は、H、OH、O(C
1−C
4)アルキル、または−OC(O)−(C
1−C
4)アルキルであり、
R
5は、H、N
3、または(C
1−C
4)アルキルであり、
R
6は、CN、エテニル、またはエチニルであり、
R
8は、Hまたは(C
1−C
4)アルキルである。
【0037】
いくつかの実施形態において、
塩基は、天然に存在するか、または修飾されたピリミジン塩基であり、
R
1は、H、OH、CN、(C
1−C
4)アルキル、(C
2−C
4)アルケニル、または(C
2−C
4)アルキニルであり、
R
2は、H、OH、またはO(C
1−C
4)アルキルであるか、
あるいは、R
1およびR
2は、それらが結合する炭素と一緒になって、3〜6員シクロアルキル環を形成し、前記シクロアルキル環の1〜3個の炭素原子は、Oによって任意に置換され、
R
3は、Hまたは(C
1−C
4)アルキルであり、
R
4は、H、OH、O(C
1−C
4)アルキル、または−OC(O)−(C
1−C
4)アルキルであり、
R
5は、H、CN、N
3、(C
1−C
4)アルキル、(C
2−C
4)アルケニル、または(C
2−C
4)アルキニルであり、
R
6は、CN、エテニル、2−ハロエテン−1−イル、または(C
2−C
8)アルキン−1−イルであり、
R
7は、H、−C(=O)R
11、−C(=O)OR
11、−C(=O)NR
11R
12、−C(=O)SR
11、−S(O)R
11、−S(O)
2R
11、−S(O)(OR
11)、−S(O)
2(OR
11)、−SO
2NR
11R
12、または式Iaであり、
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
Yは、O、S、NR、
+N(O)(R)、N(OR)、
+N(O)(OR)、またはN−NR
2であり、
W
1およびW
2は、一緒になると、−Y
3(C(R
y)
2)
3Y
3−であるか、
あるいは、W
1またはW
2のうちの一方は、R
3またはR
4のいずれかと一緒になって、−Y
3−であり、W
1またはW
2のもう一方は、式Ibであるか、
あるいは、W
1およびW
2は、それぞれ、独立して、式Ibの基であり、
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
各Y
1は、独立して、O、S、NR、
+N(O)(R)、N(OR)、
+N(O)(OR)、またはN−NR
2であり、
各Y
2は、独立して、結合、O、CR
2、NR、
+N(O)(R)、N(OR)、
+N(O)(OR)、N−NR
2、S、S−S、S(O)、またはS(O)
2であり、
各Y
3は、独立して、O、S、またはNRであり、
M2は、0、1、または2であり、
各R
xは、独立して、R
yまたは以下の式であり、
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
各M1a、M1c、およびM1dは、独立して、0または1であり、
M1bは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、
各R
yは、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(R)
2−O−C(R)
3、−C(=Y
1)R、−C(=Y
1)R
13,−C(=Y
1)OR、−C(=Y
1)N(R)
2、−N(R)
2、−
+N(R)
3、−SR、−S(O)R、−S(O)
2R、−S(O)
2R
13,−S(O)(OR)、−S(O)
2(OR)、−OC(=Y
1)R、−OC(=Y
1)OR、−OC(=Y
1)(N(R)
2)、−SC(=Y
1)R、−SC(=Y
1)OR、−SC(=Y
1)(N(R)
2)、−N(R)C(=Y
1)R、−N(R)C(=Y
1)OR、−N(R)C(=Y
1)N(R)
2、−SO
2NR
2、−CN、−N
3、−NO
2、−OR、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
6−C
20)アリール、(C
3−C
20)シクロアルキル、(C
2−C
20)ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、
各(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
6−C
20)アリール、(C
3−C
20)シクロアルキル、(C
2−C
20)複素環式環、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルは、1〜3個のR
20基で任意に置換されるか、
あるいは、同一炭素原子上の2個のR
yは、一緒になると、3〜7個の炭素原子のシクロアルキル環を形成し、
各Rは、独立して、H、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
6−C
20)アリール、(C
3−C
20)シクロアルキル、(C
2−C
20)複素環式環、またはアリールアルキルであり、
R
8は、H、(C
1−C
4)アルキル、または(C
1−C
4)置換アルキルであり、
各R
11またはR
12は、独立して、H、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
4−C
8)シクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−C(=O)(C
1−C
8)アルキル、−S(O)
n(C
1−C
8)アルキルまたはアリール(C
1−C
8)アルキルであるか、あるいは、R
11およびR
12は、それらが共に結合する窒素と一緒になって、3〜7員複素環式環を形成し、前記複素環式環のうちいずれか1個の炭素原子は、−O−、−S−、または−NR
a−で任意に置換されてもよく、
各R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
8、R
11、またはR
12の各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリールは、独立して、1〜3個のハロ、ヒドロキシ、CN、N
3、N(R
a)
2、またはOR
aで任意に置換され、各前記(C
1−C
8)アルキルの非末端炭素原子のうちの1〜3個は、−O−、−S−または−NR
a−で任意に置換されてもよいが、
但し、R
1、R
2、R
3、およびR
4のうちの少なくとも1つが、ヒドロキシであることを条件とする。
【0038】
いくつかの実施形態において、R
7は、Hまたは以下の式である。
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
【0039】
いくつかの実施形態において、基−R
7−O−C(R
8)−C(R
5)−C(R
3)(R
4)−は、以下の式のものである:
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
【0040】
いくつかの実施形態において、基−R
7−O−C(R
8)−C(R
5)−C(R
3)(R
4)−は、以下の式のものである:
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
【0041】
いくつかの実施形態において、該化合物は、以下の式のものである:
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
【0042】
いくつかの実施形態において、該化合物は、以下の式のものである:
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
【0043】
いくつかの実施形態において、R
1、R
2、R
3、およびR
4のうちの少なくとも1つは、ヒドロキシである。いくつかの実施形態において、R
1、R
2、R
3、およびR
4のうちの少なくとも2つは、ヒドロキシである。
【0044】
いくつかの実施形態において、該化合物は、式IIで表され、
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
式中、各YおよびY
1は、Oであり、塩基、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
7、およびR
8はそれぞれ、上述の通りである
【0045】
いくつかの実施形態において、該化合物は、式IIIで表され、
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
式中、各YおよびY
1は、Oであり、塩基、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
7、およびR
8はそれぞれ、上述の通りである
【0046】
いくつかの実施形態において、該化合物は、式IVで表され、
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
式中、各YおよびY
1は、Oであり、塩基、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
7、およびR
8はそれぞれ、上述の通りである
【0047】
いくつかの実施形態において、該化合物は、式Vで表され、
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
式中、各YおよびY
1は、Oであり、Xは、ハロゲンであり、塩基、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
7、およびR
8はそれぞれ、上述の通りである。いくつかの実施形態において、ハロゲンは、フルオロ、クロロ、またはヨードである。いくつかの実施形態において、ブロモビニル基は、R
6位に含まれない。
【0048】
別の実施形態において、式I〜Vの化合物は、以下からなる群から選択される化合物:
【化32-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化32-2】
[この文献は図面を表示できません]
【化32-3】
[この文献は図面を表示できません]
またはその薬学的に許容される塩である。
【0049】
別の実施形態において、式I〜Vの化合物は、以下からなる群から選択される化合物:
【化33-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化33-2】
[この文献は図面を表示できません]
またはその薬学的に許容される塩である。
【0050】
いくつかの実施形態において、以下の化合物は、該化合物に含まれないが、本発明の方法に有用であり得る。
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
薬学的組成物
【0051】
別の実施形態において、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせて、有効量の式I〜Vの化合物もしくは本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物が提供される。
【0052】
別の実施形態において、有効量の式Iの化合物
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
またはその薬学的に許容される塩と組み合わせて、薬学的に許容される希釈剤または担体を含む薬学的組成物が提供され、
式中、
塩基は、天然に存在するか、または修飾されたピリミジン塩基であり、
R
1は、H、CN、OR
a、(C
1−C
4)アルキル、(C
1−C
4)置換アルキル、(C
2−C
4)アルケニル、(C
2−C
4)置換アルケニル、(C
2−C
4)アルキニル、(C
2−C
4)置換アルキニル、またはS(O)
nR
aであり、
R
2は、H、OR
a、N(R
a)
2、N
3、CN、NO
2、S(O)
nR
a、(C
1−C
4)アルキル、(C
4−C
6)シクロアルキルアルキル、(C
1−C
4)置換アルキル、(C
2−C
4)アルケニル、(C
2−C
4)置換アルケニル、(C
2−C
4)アルキニル、または(C
2−C
4)置換アルキニルであるか、
あるいは、R
1およびR
2は、それらが結合する炭素と一緒になって、3〜6員シクロアルキル環を形成し、前記シクロアルキル環の1〜3個の炭素原子は、OまたはS(O)
nによって任意に置換され、
R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立して、H、OR
a、N(R
a)
2、N
3、CN、NO
2、S(O)
nR
a、ハロゲン、(C
1−C
4)アルキル、(C
4−C
8)シクロアルキルアルキル、(C
1−C
4)置換アルキル、(C
2−C
4)アルケニル、(C
2−C
4)置換アルケニル、(C
2−C
4)アルキニル、または(C
2−C
4)置換アルキニルであるか、
あるいは、隣接する炭素原子上のR
3、R
4またはR
5のうちのいずれか2つは、一緒になると、−O(CO)O−であるか、またはそれらが結合する環炭素原子と一緒になると、二重結合を形成し、
R
6は、CN、エテニル、2−ハロエテン−1−イル、または(C
2−C
8)アルキン−1−イルであり、
各nは、独立して、0、1、または2であり、
各R
aは、独立して、H、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、アリール(C
1−C
8)アルキル、(C
4−C
8)シクロアルキルアルキル、−C(=O)R
11、−C(=O)OR
11、−C(=O)NR
11R
12、−C(=O)SR
11、−S(O)R
11、−S(O)
2R
11、−S(O)(OR
11)、−S(O)
2(OR
11)、または−SO
2NR
11R
12であり、
R
7は、H、−C(=O)R
11、−C(=O)OR
11、−C(=O)NR
11R
12、−C(=O)SR
11、−S(O)R
11、−S(O)
2R
11、−S(O)(OR
11)、−S(O)
2(OR
11)、−SO
2NR
11R
12、または式Iaの基であり、
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
Yは、O、S、NR、
+N(O)(R)、N(OR)、
+N(O)(OR)、またはN−NR
2であり、
W
1およびW
2は、一緒になると、−Y
3(C(R
y)
2)
3Y
3−であり、
あるいは、W
1またはW
2のうちの一方は、R
3またはR
4のいずれかと一緒になって、−Y
3−であり、W
1またはW
2のもう一方は、式Ibであるか、
あるいは、W
1およびW
2は、それぞれ、独立して、式Ibの基であり、
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
各Y
1は、独立して、O、S、NR、
+N(O)(R)、N(OR)、
+N(O)(OR)、またはN−NR
2であり、
各Y
2は、独立して、結合、O、CR
2、NR、
+N(O)(R)、N(OR)、
+N(O)(OR)、N−NR
2、S、S−S、S(O)、またはS(O)
2であり、
各Y
3は、独立して、O、S、またはNRであり、
M2は、0、1、または2であり、
各R
xは、式Icの基であり、
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
各M1a、M1c、およびM1dは、独立して、0または1であり、
M1bは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、
各R
yは、独立して、H、F、Cl、Br、I、−CN、−N
3、−NO
2、−OR、−C(R)
2−O−C(R)
3、−C(=Y
1)R、−C(=Y
1)R
13,−C(=Y
1)OR、−C(=Y
1)N(R)
2、−N(R)
2、−
+N(R)
3、−SR、−S(O)R、−S(O)
2R、−S(O)
2R
13,−S(O)(OR)、−S(O)
2(OR)、−OC(=Y
1)R、−OC(=Y
1)OR、−OC(=Y
1)(N(R)
2)、−SC(=Y
1)R、−SC(=Y
1)OR、−SC(=Y
1)(N(R)
2)、−N(R)C(=Y
1)R、−N(R)C(=Y
1)OR、−N(R)C(=Y
1)N(R)
2、−SO
2NR
2、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
6−C
20)アリール、(C
3−C
20)シクロアルキル、(C
2−C
20)複素環式環、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、
各(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
6−C
20)アリール、(C
3−C
20)シクロアルキル、(C
2−C
20)複素環式環、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルは、1〜3個のR
20基で任意に置換されるか、
あるいは、同一炭素原子上の2個のR
yは、一緒になると、3〜7個の炭素原子のシクロアルキル環を形成し、
各Rは、独立して、H、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
6−C
20)アリール、(C
3−C
20)シクロアルキル、(C
2−C
20)複素環式環、またはアリールアルキルであり、
R
8は、H、(C
1−C
4)アルキル、または(C
1−C
4)置換アルキルであり、
各R
11またはR
12は、独立して、H、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
4−C
8)シクロアルキルアルキル、(C
3−C
20)シクロアルキル、(C
2−C
20)複素環式環、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−C(=O)(C
1−C
8)アルキル、−S(O)
n(C
1−C
8)アルキル、またはアリール(C
1−C
8)アルキルであるか、あるいは、R
11およびR
12は、それらが共に結合する窒素と一緒になって、3〜7員複素環式環を形成し、前記複素環式環のうちいずれか1個の炭素原子は、−O−、−S−または−NR
a−で任意に置換されてもよく、
各R
13は、独立して、1〜3個のRもしくはR
20基で任意に置換されたシクロアルキルまたは複素環であり、
各R
20は、独立して、ハロゲン、CN、N
3、N(R)
2、OR、−SR、−S(O)R、−S(O)
2R、−S(O)(OR)、−S(O)
2(OR)、−C(=Y
1)R、−C(=Y
1)OR、またはC(=Y
1)N(R)
2であり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
8、R
11またはR
12のそれぞれの各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールは、独立して、1〜3個のハロ、ヒドロキシ、CN、N
3、N(R
a)
2、またはOR
aで任意に置換され、各前記(C
1−C
8)アルキルの非末端炭素原子のうちの1〜3個は、−O−、−S−または−NR
a−で任意に置換されてもよいが、
但し、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの少なくとも1つが、水素ではないことを条件とする。
【0053】
別の実施形態において、薬学的組成物は、インターフェロン、リバビリン類似体、NS3プロテアーゼ阻害剤、NS5a阻害剤、NS5bポリメラーゼ阻害剤、α−グルコシダーゼ1阻害剤、シクロフィリン阻害剤、肝臓保護剤、HCVの他のヌクレオシド阻害剤、HCVの非ヌクレオシド阻害剤、およびHCVを治療する他の薬物からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる治療剤をさらに含む。
【0054】
さらに他の実施形態において、薬学的組成物は、ほんの一例として、オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、アマンタジン、およびリマンタジン等の少なくとも1つのウイルスノイラミニダーゼ阻害剤またはウイルスM2チャネル阻害剤をさらに含む。
【0055】
さらなる併用療法が以下に提供される。
方法
【0056】
別の実施形態において、HCVポリメラーゼを阻害する方法が提供され、該方法は、それを必要とする哺乳動物に、本発明の化合物を投与することを含む。
【0057】
別の実施形態において、本発明は、HCVポリメラーゼを阻害する方法を対象とし、該方法は、それを必要とする哺乳動物に、治療有効量の式Iの化合物:
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
またはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、
式中、
塩基は、天然に存在するか、または修飾されたピリミジン塩基であり、
R
1は、H、CN、OR
a、(C
1−C
4)アルキル、(C
1−C
4)置換アルキル、(C
2−C
4)アルケニル、(C
2−C
4)置換アルケニル、(C
2−C
4)アルキニル、(C
2−C
4)置換アルキニル、またはS(O)
nR
aであり、
R
2は、H、OR
a、N(R
a)
2、N
3、CN、NO
2、S(O)
nR
a、(C
1−C
4)アルキル、(C
4−C
6)シクロアルキルアルキル、(C
1−C
4)置換アルキル、(C
2−C
4)アルケニル、(C
2−C
4)置換アルケニル、(C
2−C
4)アルキニル、または(C
2−C
4)置換アルキニルであるか、
あるいは、R
1およびR
2は、それらが結合する炭素と一緒になって、3〜6員シクロアルキル環を形成し、前記シクロアルキル環の1〜3個の炭素原子は、OまたはS(O)
nによって任意に置換され、
R
3、R
4、およびR
5は、それぞれ独立して、H、OR
a、N(R
a)
2、N
3、CN、NO
2、S(O)
nR
a、ハロゲン、(C
1−C
4)アルキル、(C
4−C
8)シクロアルキルアルキル、(C
1−C
4)置換アルキル、(C
2−C
4)アルケニル、(C
2−C
4)置換アルケニル、(C
2−C
4)アルキニル、または(C
2−C
4)置換アルキニルであるか、
あるいは、隣接する炭素原子上のR
3、R
4、またはR
5のうちのいずれか2つは、一緒になると、−O(CO)O−であるか、またはそれらが結合する環炭素原子と一緒になると、二重結合を形成し、
R
6は、CN、エテニル、2−ハロエテン−1−イル、または(C
2−C
8)アルキン−1−イルであり、
各nは、独立して、0、1、または2であり、
各R
aは、独立して、H、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、アリール(C
1−C
8)アルキル、(C
4−C
8)シクロアルキルアルキル、−C(=O)R
11、−C(=O)OR
11、−C(=O)NR
11R
12、−C(=O)SR
11、−S(O)R
11、−S(O)
2R
11、−S(O)(OR
11)、−S(O)
2(OR
11)、または−SO
2NR
11R
12であり、
R
7は、H、−C(=O)R
11、−C(=O)OR
11、−C(=O)NR
11R
12、−C(=O)SR
11、−S(O)R
11、−S(O)
2R
11、−S(O)(OR
11)、−S(O)
2(OR
11)、−SO
2NR
11R
12、または式Iaの基であり、
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
Yは、O、S、NR、
+N(O)(R)、N(OR)、
+N(O)(OR)、またはN−NR
2であり、
W
1およびW
2は、一緒になると、−Y
3(C(R
y)
2)
3Y
3−であるか、
あるいは、W
1またはW
2のうちの一方は、R
3またはR
4のいずれかと一緒になって、−Y
3−であり、W
1またはW
2のもう一方は、式Ibであるか、
あるいは、W
1およびW
2は、それぞれ、独立して、式Ibの基であり、
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
各Y
1は、独立して、O、S、NR、
+N(O)(R)、N(OR)、
+N(O)(OR)、またはN−NR
2であり、
各Y
2は、独立して、結合、O、CR
2、NR、
+N(O)(R)、N(OR)、
+N(O)(OR)、N−NR
2、S、S−S、S(O)、またはS(O)
2であり、
各Y
3は、独立して、O、S、またはNRであり、
M2は、0、1、または2であり、
各R
xは、式Icの基であり、
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
各M1a、M1c、およびM1dは、独立して、0または1であり、
M1bは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、
各R
yは、独立して、H、F、Cl、Br、I、−CN、−N
3、−NO
2、−OR、−C(R)
2−O−C(R)
3、−C(=Y
1)R、−C(=Y
1)R
13,−C(=Y
1)OR、−C(=Y
1)N(R)
2、−N(R)
2、−
+N(R)
3、−SR、−S(O)R、−S(O)
2R、−S(O)
2R
13,−S(O)(OR)、−S(O)
2(OR)、−OC(=Y
1)R、−OC(=Y
1)OR、−OC(=Y
1)(N(R)
2)、−SC(=Y
1)R、−SC(=Y
1)OR、−SC(=Y
1)(N(R)
2)、−N(R)C(=Y
1)R、−N(R)C(=Y
1)OR、−N(R)C(=Y
1)N(R)
2、−SO
2NR
2、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、C
6−C
20アリール、C
3−C
20シクロアルキル、C
2−C
20複素環式環、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、
各(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
6−C
20)アリール、(C
3−C
20)シクロアルキル、(C
2−C
20)複素環式環、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルは、1〜3個のR
20基で任意に置換されるか、
あるいは、同一炭素原子上の2個のR
yは、一緒になると、3〜7個の炭素原子のシクロアルキル環を形成し、
各Rは、独立して、H、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、C
6−C
20アリール、C
3−C
20シクロアルキル、C
2−C
20複素環式環、またはアリールアルキルであり、
R
8は、H、(C
1−C
4)アルキル、または(C
1−C
4)置換アルキルであり、
各R
11またはR
12は、独立して、H、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
4−C
8)シクロアルキルアルキル、(C
3−C
20)シクロアルキル、(C
2−C
20)複素環式環、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、−C(=O)(C
1−C
8)アルキル、−S(O)
n(C
1−C
8)アルキル、またはアリール(C
1−C
8)アルキルであるか、あるいは、R
11およびR
12は、それらが共に結合する窒素と一緒になって、3〜7員複素環式環を形成し、前記複素環式環のうちいずれか1個の炭素原子は、−O−、−S−、または−NR
a−で任意に置換されてもよく、
各R
13は、独立して、1〜3個のRもしくはR
20基で任意に置換されたシクロアルキルまたは複素環であり、
各R
20は、独立して、ハロゲン、CN、N
3、N(R)
2、OR、−SR、−S(O)R、−S(O)
2R、−S(O)(OR)、−S(O)
2(OR)、−C(=Y
1)R、−C(=Y
1)OR、またはC(=Y
1)N(R)
2であり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
8、R
11、またはR
12のそれぞれの各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールは、独立して、1〜3個のハロ、ヒドロキシ、CN、N
3、N(R
a)
2、またはOR
aで任意に置換され、各前記(C
1−C
8)アルキルの非末端炭素原子のうちの1〜3個は、−O−、−S−、または−NR
a−で任意に置換されてもよいが、
但し、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1つが、水素ではないことを条件とする。
【0058】
一実施形態において、本発明は、フラビウイルス科ウイルスによって引き起こされるウイルス感染を治療する方法を対象とし、該方法は、それを必要とする哺乳動物に、上述の治療有効量の化合物または薬学的組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態において、該ウイルスは、デング熱ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、クンジンウイルス、マレー渓谷脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス、ジカウイルスおよびC型肝炎ウイルスからなる群から選択される。一実施形態において、ウイルス感染は、C型肝炎ウイルスによって引き起こされる。
【0059】
本発明の方法において、該方法は、インターフェロン、リバビリン類似体、NS3プロテアーゼ阻害剤、NS5bポリメラーゼ阻害剤、NS5a阻害剤、α−グルコシダーゼ1阻害剤、シクロフィリン阻害剤、肝臓保護剤、HCVの他のヌクレオシド阻害剤、HCVの非ヌクレオシド阻害剤、およびHCVを治療するための他の薬物からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる治療剤を投与することをさらに含む。
【0060】
別の実施形態において、本発明は、パラミクソウイルス科ウイルスによって引き起こされるウイルス感染を治療する方法を対象とし、該方法は、それを必要とする哺乳動物に、上述の治療有効量の化合物または薬学的組成物を投与することを含む。一実施形態において、ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルスである。
【0061】
別の実施形態において、本発明は、オルソミクソウイルス科ウイルスによって引き起こされるウイルス感染を治療する方法を対象とし、該方法は、それを必要とする哺乳動物に、上述の治療有効量の化合物または薬学的組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態において、該ウイルスは、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、またはC型インフルエンザウイルスである。いくつかの実施形態において、該方法は、オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、アマンタジンおよびリマンタジンからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる治療剤を投与することをさらに含む。
【0062】
さらに他の実施形態において、本発明は、ピコルナウイルス科ウイルスによって引き起こされるウイルス感染を治療する方法を対象とし、該方法は、それを必要とする哺乳動物に、上述の治療有効量の化合物または薬学的組成物を投与することを含む。いくつかの方法において、該ウイルスは、エンテロウイルスである。いくつかの方法において、プレコナリルおよび/またはBTA−798等のさらなる作用物質が投与される。
定義
【0063】
別途提示されない限り、本明細書に使用される以下の用語および語句は、以下の意味を有することが意図される。
【0064】
本明細書において商標名が使用される場合、出願者らは、商標名の製品および商標名の製品の活性薬学的成分(複数可)を、独立して含むことを意図する。
【0065】
本明細書に使用されるとき、「化合物」、「本発明の化合物」、または「式Iの化合物」は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を意味する。同様に、単離可能な中間体に関して、「式(数)の化合物」という語句は、その式の化合物およびその薬学的に許容される塩を意味する。
【0066】
「アルキル」は、ノルマル、第2級、第3級、または環状の炭素原子を含有する炭化水素である。例えば、アルキル基は、1〜20個の炭素原子(すなわち、C
1−C
20アルキル)、1〜8個の炭素原子(すなわち、C
1−C
8アルキル)、1〜6個の炭素原子(すなわち、C
1−C
6アルキル)、または1〜4個の炭素原子(すなわち、C
1−C
4アルキル)を有し得る。好適なアルキル基の例には、限定されないが、メチル(Me、−CH
3)、エチル(Et、−CH
2CH
3)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CH
2CH
2CH
3)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH
3)
2)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CH
2CH(CH
3)
2)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH
3)CH
2CH
3)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH
3)
3)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−ペンチル(−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
3)、3−ペンチル(−CH(CH
2CH
3)
2)、2−メチル−2−ブチル(−C(CH
3)
2CH
2CH
3)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH
3)CH(CH
3)
2)、3−メチル−1−ブチル(−CH
2CH
2CH(CH
3)
2)、2−メチル−1−ブチル(−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
3)、1−ヘキシル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2−ヘキシル(−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3)、3−ヘキシル(−CH(CH
2CH
3)(CH
2CH
2CH
3))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CH
3)
2CH
2CH
2CH
3)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH
3)CH(CH
3)CH
2CH
3)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH
3)CH
2CH(CH
3)
2)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH
3)(CH
2CH
3)
2)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CH
2CH
3)CH(CH
3)
2)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CH
3)
2CH(CH
3)
2)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH
3)C(CH
3)
3、およびオクチル(−(CH
2)
7CH
3)が挙げられる。
【0067】
「アルコキシ」は、式−O−アルキルを有する基を意味し、そこで、上に定義されるアルキル基が、酸素原子を介して親分子に結合される。アルコキシ基のアルキル部分は、1〜20個の炭素原子(すなわち、C
1−C
20アルコキシ)、1〜12個の炭素原子(すなわち、C
1−C
12アルコキシ)、または1〜6個の炭素原子(すなわち、C
1−C
6アルコキシ)を有し得る。好適なアルコキシ基の例には、限定されないが、メトキシ(−O−CH
3または−OMe)、エトキシ(−OCH
2CH
3または−OEt)、t−ブトキシ(−O−C(CH
3)
3または−OtBu)等が挙げられる。
【0068】
「ハロアルキル」は、上に定義されるように、アルキル基であり、アルキル基の1つ以上の水素原子が、ハロゲン原子で置換される。ハロアルキル基のアルキル部分は、1〜20個の炭素原子(すなわち、C
1−C
20ハロアルキル)、1〜12個の炭素原子(すなわち、C
1−C
12ハロアルキル)、または1〜6個の炭素原子(すなわち、C
1−C
6アルキル)を有し得る。好適なハロアルキル基の例には、限定されないが、−CF
3、−CHF
2、−CFH
2、−CH
2CF
3等が挙げられる。
【0069】
「アルケニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素−炭素、sp
2二重結合を有するノルマル、第2級、第3級、または環状の炭素原子を含有する炭化水素である。例えば、アルケニル基は、2〜20個の炭素原子(すなわち、C
2−C
20アルケニル)、2〜8個の炭素原子(すなわち、C
2−C
8アルケニル)、2〜6個の炭素原子(すなわち、C
2−C
6アルケニル)、または2〜4個の炭素原子(すなわち、C
2−C
4アルケニル)を有し得る。好適なアルケニル基の例には、限定されないが、エテニルまたはビニル(いずれも、構造−CH=CH
2を有する)、アリル(−CH
2CH=CH
2)、シクロペンテニル(−C
5H
7)、および5−ヘキセニル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH=CH
2)が挙げられる。
【0070】
「アルキニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素−炭素、sp三重結合を有する、ノルマル、第2級、第3級、または環状炭素原子を含有する、炭化水素である。例えば、アルキニル基は、2〜20個の炭素原子(すなわち、C
2−C
20アルキニル)、2〜8個の炭素原子(すなわち、C
2−C
8アルキン)、2〜6個の炭素原子(すなわち、C
2−C
6アルキニル)、または2〜4個の炭素原子(すなわち、C
2−C
4アルキニル)を有し得る。好適なアルキニル基の例には、限定されないが、
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
等が挙げられる。
【0071】
「アルキレン」は、2つの水素原子を親アルカンの同一または2つの異なる炭素原子から除去することにより誘導される2つの一価ラジカル中心を有する飽和、分岐もしくは直鎖、または環状炭化水素ラジカルを指す。例えば、アルキレン基は、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、または1〜6個の炭素原子を有し得る。典型的なアルキレンラジカルには、限定されないが、メチレン(−CH
2−)、1,1−エチル(−CH(CH
3)−)、1,2−エチル(−CH
2CH
2−)、1,1−プロピル(−CH(CH
2CH
3)−)、1,2−プロピル(−CH
2CH(CH
3)−)、1,3−プロピル(−CH
2CH
2CH
2−)、1,4−ブチル(−CH
2CH
2CH
2CH
2−)等が挙げられる。
【0072】
「アルケニレン」は、2つの水素原子を親アルケンの同一または2つの異なる炭素原子から除去することにより誘導される、2つの一価ラジカル中心を有する、飽和、分岐もしくは直鎖、または環状炭化水素ラジカルを指す。例えば、アルケニレン基は、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、または1〜6個の炭素原子を有し得る。典型的なアルケニレンラジカルには、限定されないが、1,2−エチレン(−CH=CH−)が挙げられる。
【0073】
「アルキニレン」は、2つの水素原子を親アルキンの同一または2つの異なる炭素原子から除去することより誘導される、2つの一価ラジカル中心を有する、飽和、分岐もしくは直鎖、または環状炭化水素ラジカルを指す。例えば、アルキニレン基は、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、または1〜6個の炭素原子を有し得る。典型的なアルキニレンラジカルには、限定されないが、
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
が挙げられる。
【0074】
「アミノ」は、概して、式−N(X)
2を有する、アンモニアの誘導体であると見なされ得る窒素ラジカルを指し、各「X」は、独立して、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換炭素環式環、置換または非置換複素環式環等である。窒素のハイブリダイゼーションは、おおよそsp
3である。アミノの非限定的な種類には、−NH
2、−N(アルキル)
2、−NH(アルキル)、−N(炭素環式環)
2、−NH(炭素環式環)、−N(複素環式環)
2、−NH(複素環式環)、−N(アリール)
2、−NH(アリール)、−N(アルキル)(アリール)、−N(アルキル)(複素環式環)、−N(炭素環式環)(複素環式環)、−N(アリール)(ヘテロアリール)、−N(アルキル)(ヘテロアリール)等が挙げられる。「アルキルアミノ」という用語は、少なくとも1つのアルキル基で置換されたアミノ基を指す。アミノ基の非限定的な例には、−NH
2、−NH(CH
3)、−N(CH
3)
2、−NH(CH
2CH
3)、−N(CH
2CH
3)
2、−NH(フェニル)、−N(フェニル)
2、−NH(ベンジル)、−N(ベンジル)
2等が挙げられる。置換アルキルアミノは、概して、上で定義されるアルキルアミノ基を指し、そこで、本明細書で定義される少なくとも1つの置換アルキルがアミノ窒素原子に結合する。置換アルキルアミノの非限定的な例には、−NH(アルキレン−C(O)−OH)、−NH(アルキレン−C(O)−O−アルキル)、−N(アルキレン−C(O)−OH)
2、−N(アルキレン−C(O)−O−アルキル)
2等が挙げられる。
【0075】
「炭素環」または「炭素環式環」は、単環として3〜7個の炭素原子、二環として7〜12個の炭素原子、多環として最大約20個の炭素原子を有する、飽和(すなわち、「シクロアルキル」)、部分不飽和(例えば、「シクロアルケニル」、シクロアルカジエニル等)、または芳香族の環を指す。単環式炭素環は、3〜7個の環原子、さらにより典型的には、5または6個の環原子を有する。ある特定の実施形態において、シクロアルキル基は、3〜6個の炭素原子、または5個もしくは6個の炭素原子を有し得る。二環式炭素環は、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、もしくは[6,6]系として配置される、7〜12個の環原子、またはビシクロ[5,6]もしくは[6,6]系として配置される9もしくは10個の環原子、またはスピロ縮合環を有する。単環式炭素環の非限定的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペント−1−エニル、1−シクロペント−2−エニル、1−シクロペント−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキシ−1−エニル、1−シクロヘキシ−2−エニル、1−シクロヘキシ−3−エニル、およびフェニルが挙げられる。二環式炭素環の非限定的な例には、ナフチル、テトラヒドロナフタレン、およびデカリンが挙げられる。
【0076】
「シクロアルキルアルキル」または「炭素環式アルキル」または「シクロアルキルアルキレン」は、炭素原子に結合する水素原子のうちの1つが、本明細書に記載のシクロアルキルまたは炭素環式ラジカルで置換される非環式アルキルラジカルを指す。シクロアルキルアルキル基の典型的であるが非限定的な例には、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、およびシクロヘキシルメチルが挙げられる。シクロアルキル−アルキレン基中には、典型的には、4〜20個の(すなわち、C
4〜C
20)炭素原子が含まれ、例えば、この基のアルキル部分は、1〜6個の(すなわちC
1〜C
6)炭素原子であり、シクロアルキル部分は、3〜14個の炭素原子である。
【0077】
「アリール」は、1つの水素原子を親芳香族環系の単一炭素原子から除去することにより誘導される芳香族炭化水素ラジカルを意味する。例えば、アリール基は、6〜20個の炭素原子、6〜14個の炭素原子、または6〜10個の炭素原子を有し得る。典型的なアリール基には、限定されないが、ベンゼン(例えば、フェニル)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル等に由来するラジカルが挙げられる。
【0078】
「アリールアルキル」は、非環式アルキルラジカルを指し、そこで、炭素原子、典型的には、末端またはsp
3炭素原子に結合する水素原子のうちの1つがアリールラジカルで置換される。典型的なアリールアルキル基には、限定されないが、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イル等が挙げられる。アリールアルキル基は、7〜20個の炭素原子を含むことができ、例えば、アルキル部分は、1〜6個の炭素原子であり、アリール部分は、6〜14個の炭素原子である。
【0079】
アルキル、アルキレン、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、複素環式環、ヘテロアリール、炭素環式環等、例えば、「置換アルキル」、「置換アルキレン」、「置換アリール」、「置換アリールアルキル」、「置換複素環式環」、および「置換炭素環式環」に関して「置換」という用語は、それぞれ、アルキル、アルキレン、アリール、アリールアルキル、複素環式環、炭素環式環を意味し、そこで、1つ以上の水素原子が、それぞれ独立して、非水素置換基で置換される。典型的な置換基には、限定されないが、−X
1、−R
b、−O
−、=O、−OR
b、−SR
b、−S
−、−NR
b2、−N
+R
b3、=NR
b、−CX
3、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO
2、=N
2、−N
3、−NHC(=O)R
b、−OC(=O)R
b、−NHC(=O)NR
b2、−S(=O)
2−、−S(=O)
2OH、−S(=O)
2R
b、−OS(=O)
2OR
b、−S(=O)
2NR
b2、−S(=O)R
b、−OP(=O)(OR
b)
2、−P(=O)(OR
b)
2、−P(=O)(O
−)
2、−P(=O)(OH)
2、−P(O)(OR
b)(O
−)、−C(=O)R
b、−C(=O)X、−C(S)R
b、−C(O)OR
b、−C(O)O
−、−C(S)OR
b、−C(O)SR
b、−C(S)SR
b、−C(O)NR
b2、−C(S)NR
b2、−C(=NR
b)NR
b2が挙げられ、各X
1は、独立して、ハロゲン、すなわち、F、Cl、Br、またはIであり、各R
bは、独立して、H、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、または保護基もしくはプロドラッグ部分である。アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレン基も同様に置換され得る。別途示されない限り、「置換」という用語が、2つ以上の置換可能な部分を有するアリールアルキル等の基と共に用いられる場合、置換基は、アリール部分、アルキル部分、またはそれら両方に結合することができる。
【0080】
本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、生物学系に投与されると、自然の化学反応(複数可)、酵素触媒化化学反応(複数可)、光分解、および/または代謝化学反応(複数可)の結果として、製剤原料、すなわち、活性成分を生成する任意の化合物を指す。したがって、プロドラッグは、治療活性化合物の共有結合的に修飾された類似体または潜在形態である。
【0081】
本明細書で使用される「複素環」または「複素環式環」は、一例であって限定するものではないが、Paquette,Leo A.;Principles of Modern Heterocyclic Chemistry(W.A.Benjamin,New York,1968)、具体的には、第1、3、4、6、7、および9章、The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A Series of Monographs(John Wiley&Sons,New York,1950年〜現在)、具体的には、第13、14、16、19、および28巻、ならびにJ.Am.Chem.Soc.(1960)82:5566に記載される複素環を含む。本発明の1つの特定の実施形態において、「複素環」は、本明細書で定義される「炭素環」を含み、1つ以上(例えば、1、2、3、または4個)の炭素原子が、ヘテロ原子(例えば、O、N、またはS)で置換されている。「複素環」または「複素環式環」という用語は、飽和環、部分不飽和環、および芳香族環(すなわち、ヘテロ芳香族環)を含む。置換複素環式環には、例えば、カルボニル基を含む本明細書に開示される置換基のうちのいずれかで置換される複素環式環が含まれる。カルボニル置換複素環式環の非限定的な例は、
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0082】
複素環の例には、一例であって限定するものではないが、ピリジル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、硫酸化テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾシニル、トリアジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チエニル、チアントレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキシアチニル、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾキサゾリニル、イサチノイル、およびビス−テトラヒドロフラニル、
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
が挙げられる。
【0083】
一例であって限定するものではないが、炭素結合した複素環は、ピリジンの2、3、4、5、もしくは6位、ピリダジンの3、4、5、もしくは6位、ピリミジンの2、4、5、もしくは6位、ピラジンの2、3、5、もしくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール、またはテトラヒドロピロールの2、3、4、もしくは5位、オキサゾール、イミダゾール、またはチアゾールの2、4、もしくは5位、イソキサゾール、ピラゾール、またはイソチアゾールの3、4、もしくは5位、アジリジンの2もしくは3位、アゼチジンの2、3、もしくは4位、キノリンの2、3、4、5、6、7、もしくは8位、あるいはイソキノリンの1、3、4、5、6、7、もしくは8位で結合する。なおもさらに典型的には、炭素結合した複素環には、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、または5−チアゾリルが挙げられる。
【0084】
一例であって限定するものではないが、窒素結合した複素環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドールまたはイソインドリンの2位、モルホリンの4位、カルバゾール、またはβ−カルボリンの9位で結合する。なおもさらに典型的には、窒素結合した複素環には、1−アジリジル、1−アゼテジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、および1−ピペリジニルが挙げられる。
【0085】
「複素環式環アルキル」または「複素環式環アルキレン」は、非環式アルキルラジカルを指し、そこで、炭素原子、典型的には、末端またはsp
3炭素原子に結合する水素原子のうちの1つが、複素環式環ラジカル(すなわち、複素環式環−アルキレン部分)で置換される。典型的な複素環式環アルキル基には、限定されないが、複素環式−CH
2−、2−(複素環式)エタン−1−イル等が挙げられ、「複素環式」部分は、Principles of Modern Heterocyclic Chemistryに記載されるものを含む、上述の複素環式基のいずれかを含む。当業者であれば、結果として得られる基が化学的に安定しているという条件で、複素環式基が、炭素−炭素結合または炭素−ヘテロ原子結合によって、複素環式アルキルのアルキル部分に結合し得ることも理解するであろう。複素環式アルキル基は、3〜20個(すなわち、C
3〜C
20)の炭素原子を含み、例えば、その基のアルキル部分は、1〜6個(すなわち、C
1〜C
6)の炭素原子であり、複素環式部分は、2〜14個の炭素原子である。複素環式アルキルの例には、一例であって限定するものではないが、チアゾリルメチル、2−チアゾリルエタン−1−イル、イミダゾリルメチル、オキサゾリルメチル、チアジアゾリルメチル等、硫黄、酸素、および/または窒素を含有する5員の複素環、ピペリジニルメチル、ピペラジニルメチル、モルホリニルメチル、ピリジニルメチル、ピリジジルメチル、ピリミジルメチル、ピラジニルメチル等、硫黄、酸素、および/または窒素を含有する6員の複素環が挙げられる。
【0086】
「ヘテロアリール」は、少なくとも1つのヘテロ原子を環に有する芳香族複素環式環を指す。芳香族環に含まれ得る好適なヘテロ原子の非限定的な例には、酸素、硫黄、および窒素が挙げられる。ヘテロアリール環の非限定的な例には、「複素環式環」の定義において列挙される芳香族環のすべてが挙げられ、ピリジニル、ピロリル、オキサゾリル、インドリル、イソインドリル、プリニル、フラニル、チエニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、カルバゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、キノリル、イソキノリル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジル等を含む。
【0087】
「ヘテロアリールアルキル」は、本明細書で定義されるアルキル基を指し、そこで、水素原子が本明細書で定義されるヘテロアリール基で置換される。ヘテロアリールアルキルの非限定的な例には、−CH
2−ピリジニル、−CH
2−ピロリル、−CH
2−オキサゾリル、−CH
2−インドリル、−CH
2−イソインドリル、−CH
2−プリニル、−CH
2−フラニル、−CH
2−チエニル、−CH
2−ベンゾフラニル、−CH
2−ベンゾチオフェニル、−CH
2−カルバゾリル、−CH
2−イミダゾリル、−CH
2−チアゾリル、−CH
2−イソキサゾリル、−CH
2−ピラゾリル、−CH
2−イソチアゾリル、−CH
2−キノリル、−CH
2−イソキノリル、−CH
2−ピリダジル、−CH
2−ピリミジル、−CH
2−ピラジル、−CH(CH
3)−ピリジニル、−CH(CH
3)−ピロリル、−CH(CH
3)−オキサゾリル、−CH(CH
3)−インドリル、−CH(CH
3)−イソインドリル、−CH(CH
3)−プリニル、−CH(CH
3)−フラニル、−CH(CH
3)−チエニル、−CH(CH
3)−ベンゾフラニル、−CH(CH
3)−ベンゾチオフェニル、−CH(CH
3)−カルバゾリル、−CH(CH
3)−イミダゾリル、−CH(CH
3)−チアゾリル、−CH(CH
3)−イソキサゾリル、−CH(CH
3)−ピラゾリル、−CH(CH
3)−イソチアゾリル、−CH(CH
3)−キノリル、−CH(CH
3)−イソキノリル、−CH(CH
3)−ピリダジル、−CH(CH
3)−ピリミジル、−CH(CH
3)−ピラジル等が挙げられる。
【0088】
式I〜Vの化合物の特定の部分に関する「任意に置換された」という用語(例えば、任意に置換されたアリール基)は、すべての置換基が水素であるか、またはその部分の水素のうちの1つ以上が「置換」という定義の下で列挙された置換基等の置換基によって置換され得る部分を指す。
【0089】
式I〜Vの化合物の特定の部分に関して「任意に置換された」(例えば、前記(C
1−C
8)アルキルの炭素原子が、−O−、−S−、または−NR
a−によって任意に置換され得る)という用語は、(C
1−C
8)アルキルのメチレン基のうちの1つ以上が、指定された基(例えば、−O−、−S−、または−NR
a−)の0、1、2、またはそれ以上で置換され得ることを意味する。
【0090】
アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン部分に関する「非末端炭素原子(複数可)」という用語は、その部分の最初の炭素原子とその部分の最後の炭素原子の間に介在する部分における炭素原子を指す。したがって、一例であって限定するものではないが、アルキル部分−CH
2(C
*)H
2(C
*)H
2CH
3またはアルキレン部分−CH
2(C
*)H
2(C
*)H
2CH
2−において、C
*原子は、非末端炭素原子であると考えられる。
【0091】
ある特定のYおよびY
1の代替物は、
+N(O)(R)または
+N(O)(OR)等の酸化窒素である。本明細書において炭素元素に結合するように示されるこれらの酸化窒素は、それぞれ、
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
または
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
等の電荷分離基で表すこともでき、本発明を説明する目的で、前述の表示と同等であることが意図される。
【0092】
「ピリミジン」塩基という用語は、限定されないが、チミン、シトシン、5−フルオロシトシン、5−メチルシトシン、6−アザシトシンを含む6−アザピリミジン、2−および/もしくは4−メルカプトピリミジン、ウラシル、5−フルオロウラシルを含む5−ハロウラシル、C
5−アルキルピリミジン、C
5−ベンジルピリミジン、C
5−ハロピリミジン、C
5−ビニルピリミジン、C
5−アセチレンピリミジン、C
5−アシルピリミジン、C
5−アミドピリミジン、C
5−シアノピリミジン、C
5−5−ヨードピリミジン、C
6−ヨード−ピリミジン、C
5−Br−ビニルピリミジン、C
6−Br−ビニルピリミジン、C
5−ニトロピリミジン、C
5−アミノ−ピリミジン、5−アザシチジニル、ならびに5−アザウラシリル等、天然に存在するか、または修飾されたピリミジン塩基を含む。これらの塩基の互変異性体も本発明の範囲内に含まれる。例えば、ウラシル互変異性体は、以下の構造を有する。
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
【0093】
式I〜Vのピリミジン塩基は、塩基の窒素原子を介してリボース糖またはその類似体に結合する。塩基上の官能性酸素基および窒素基を、必要に応じて、または所望される場合、保護することができる。好適な保護基は、当業者に周知であり、トリメチルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t−ブチルジメチルシリルおよびt−ブチルジフェニルシリル、トリチル、アルキル基、ならびにアセチルおよびプロピオニル等のアシル基、メタンスルホニル、ならびにp−トルエンスルホニルが挙げられる。
【0094】
別途示されない限り、式I〜Vの化合物の炭素原子は、4価を有することが意図される。炭素原子が結合して4価を生成するのに十分な数の変数を有しないいくつかの化学構造図において、4価をもたらすために必要とされる残りの炭素置換基は、水素であると想定されるはずである。例えば、
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
は、と同一の意味を有する。
【0095】
「保護基」は、官能基の特性または化合物全体の特性をマスクするか、または変更する化合物の部分を指す。保護基の化学構造は、広範に異なる。保護基の1つの機能は、親製剤原料の合成において、中間体として機能することである。化学保護基および保護/脱保護のための戦略は、当該技術分野において周知である。“Protective Groups in Organic Chemistry”,Theodora W.Greene(John Wiley & Sons,Inc.,New York,1991を参照されたい。保護基は、多くの場合、ある官能基の反応性をマスクし、所望される化学反応の効率を支援する、例えば、化学反応を規則的かつ計画的に作製および切断するために利用される。化合物の官能基の保護は、極性、脂溶性(疎水性)、および一般的な分析ツールで測定可能な他の特性等の保護官能基の反応性以外の物理特性を変化させる。化学的に保護された中間体は、それ自体が生物学的に活性であるか、または不活性であってもよい。
【0096】
保護された化合物は、変更された特性、場合によっては最適化された特性、例えば、細胞膜の浸透および酵素分解または隔離に対する耐性を、生体外および生体内で呈する場合もある。この役割において、意図される治療効果を有する保護された化合物は、プロドラッグと称され得る。保護基の別の機能は、親薬物をプロドラッグに変換することであり、それによって、親薬物は、プロドラッグの変換時に生体内で放出される。活性プロドラッグは、親薬物よりも効率的に吸収され得るため、プロドラッグは、親薬物よりも生体内で優れた能力を有し得る。保護基は、化学中間体の場合には生体外、またはプロドラッグの場合には生体内のいずれかで除去される。化学中間体を用いる場合、脱保護後に得られる生成物、例えば、アルコールが、生理学的に許容されることは特に重要ではないが、一般に、生成物が薬理学的に無害であることがより望ましい。
【0097】
「プロドラッグ部分」は、代謝中、全身的に、細胞内で、加水分解、酵素切断、または何らかの他のプロセスによって、活性な阻害化合物から分離する不安定な官能基を意味する(Bundgaard,Hans,“Design and Application of Prodrugs”in(1991),P.Krogsgaard−Larsen and H.Bundgaard,Eds. Harwood Academic Publishers Textbook of Drug Design and Development,pp.113−191)。本発明のホスホン酸塩プロドラッグ化合物による酵素活性機序が可能な酵素には、限定されないが、アミダーゼ、エステラーゼ、微生物酵素、ホスホリパーゼ、コリンエステラーゼ、およびホスファーゼが挙げられる。プロドラッグ部分は、薬物送達、生物学的利用能、および有用性を最適化するように、溶解性、吸収、および脂溶性を強化する機能を果たし得る。
【0098】
プロドラッグ部分は、活性代謝物または薬物自体を含んでもよい。
【0099】
例示的なプロドラッグ部分は、加水分解に敏感または不安定なアシルオキシメチルエステル−CH
2OC(=O)R
30およびアシルオキシメチル炭酸塩−CH
2OC(=O)OR
30を含み、R
30は、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6置換アルキル、C
6−C
20アリール、またはC
6−C
20置換アリールである。アシルオキシアルキルエステルを、カルボン酸のプロドラッグ戦略として使用し、次いで、Farquhar et al.(1983)J.Pharm.Sci.72:324、さらに米国特許第4816570号、同第4968788号、同第5663159号、および同第5792756号に従って、リン酸塩およびホスホン酸塩に適用した。本発明のある特定の化合物において、プロドラッグ部分は、リン酸基の一部である。アシルオキシアルキルエステルを使用して、リン酸を細胞膜全体に送達し、経口生物学的利用能を強化してもよい。アシルオキシアルキルエステルの近似変異型であるアルコキシカルボニルオキシアルキルエステル(炭酸塩)は、本発明の組み合わせの化合物において、プロドラッグ部分として経口生物学的利用能も強化し得る。例示的なアシルオキシメチルエステルは、ピバロイルオキシメトキシ(POM)−CH
2OC(=O)C(CH
3)
3である。例示的なアシルオキシメチル炭酸塩プロドラッグ部分は、ピバロイルオキシメチル炭酸塩(POC)−CH
2OC(=O)OC(CH
3)
3である。
【0100】
リン酸基は、リン酸プロドラッグ部分であり得る。ピバロイルオキシメチル炭酸塩(POC)またはPOM基を含むプロドラッグ部分等であるが、これらに限定されないプロドラッグ部分は、加水分解に敏感であり得る。あるいは、プロドラッグ部分は、乳酸エステルまたはホスホンアミダート−エステル基等の酵素強化切断に敏感であり得る。
【0101】
リン酸基のアリールエステル、特にフェニルエステルは、経口生物学的利用能を強化することが報告されている(DeLambert et al.(1994)J.Med.Chem.37:498)。リン酸塩に対してオルトであるカルボキシルエステルを含有するフェニルエステルについても記載されている(Khamnei and Torrence,(1996)J.Med.Chem.39:4109−4115)。ベンジルエステルは、親ホスホン酸を生成することが報告されている。いくつかの事例において、オルトまたはパラ位の置換基は、加水分解を加速させ得る。アシル化フェノールまたはアルキル化フェノールを有するベンジル類似体は、例えば、エステラーゼ、オキシダーゼ等の酵素の作用を介して、フェノール化合物を生成し得、次いで、ベンジルC−O結合の切断を受けて、ホスホン酸およびキノンメチド中間体を生成する。この分類のプロドラッグの例は、Mitchell et al.(1992)J.Chem.Soc.Perkin Trans.I 2345、Brookらの国際公開第91/19721号によって説明されている。さらに他のベンジルプロドラッグは、ベンジルメチレンに結合するカルボキシルエステル含有基を含有すると説明されている(Glazierらの国際公開第91/19721号)。チオ含有プロドラッグは、リン酸塩薬物の細胞内送達に有用であると報告されている。これらのプロエステルは、エチルチオ基を含有し、そこで、チオール基は、アシル基でのエステル化または別のチオール基との組み合わせのいずれかを経て、ジスルフィドを形成する。ジスルフィドの脱エステル化または還元は、後にリン酸およびエピスルフィドに分解される遊離チオ中間体を生成する(Puech et al.(1993) Antiviral Res.,22:155−174、Benzaria et al.(1996)J.Med.Chem.39:4958)。環式リン酸エステルは、リン酸含有化合物のプロドラッグとしても記載されている(Erionらの米国特許第6312662号)。
【0102】
式I〜Vの範囲内にある化合物およびその薬学的に許容される塩の、すべてのエナンチオマー、ジアステレオマー、およびにラセミ混合物、互変異性体、多形体、偽多形体が、本発明に包含されることに留意されたい。そのようなエナンチオマーおよびジアステレオマーのすべての混合物が本発明の範囲内である。
【0103】
式I〜Vの化合物およびその薬学的に許容される塩は、異なる多形体または偽多形体として存在してもよい。本明細書で使用されるとき、結晶性多形性は、結晶性化合物が異なる結晶構造で存在することができる能力を意味する。結晶性多形性は、結晶充填(充填多形性)の差または同一の分子の異なる配座異性体間の充填(立体配座多形性)の差に起因し得る。本明細書で使用されるとき、結晶性偽多形性は、化合物の水和物または溶媒和物が、異なる結晶構造で存在することができる能力を意味する。本発明の偽多形は、結晶充填(充填偽多形性)の差のため、または同一の分子の異なる配座異性体間の充填(立体配座偽多形性)の差のため存在し得る。本発明は、式I〜Vの化合物、およびそれらの薬学的に許容される塩のすべての多形および偽多形を含む。
【0104】
式I〜Vの化合物およびその薬学的に許容される塩は、非晶質固体として存在する場合もある。本明細書で使用されるとき、非晶質固体は、固体中に原子位置の長距離秩序が存在しない固体である。この定義は、結晶寸法が2ナノメートル以下である場合も同様に適用される。溶媒を含む添加剤を用いて、本発明の非晶質形態を作製することができる。本発明は、式I〜Vの化合物およびその薬学的に許容される塩のすべての非晶質形態を含む。
【0105】
式I〜Vの化合物を含む選択された置換基は、再帰的程度まで存在する。この文脈において、「再帰的置換基」は、置換基がそれ自体の別の例を列挙し得ることを意味する。そのような置換基の再帰的性質のため、理論上、多くの化合物が、任意の所与の実施形態に存在し得る。例えば、R
xは、R
y置換基を含む。R
yは、Rであり得る。Rは、W
3であり得る。W
3は、W
4であり得、W
4は、Rであるか、またはR
yを含む置換基を含み得る。医薬品化学分野の当業者であれば、そのような置換基の総数が、意図される化合物の所望される特性によって合理的に制限されることを理解するであろう。そのような特性には、一例であって限定するものではないが、分子量、溶解性、またはlogP等の物理特性、意図される標的に対する活性等の適用特性、ならびに合成の容易さ等の実践的特性が挙げられる。
【0106】
一例であって限定するものではないが、W
3およびR
yは、ある特定の実施形態において、再帰的置換基である。典型的には、各再帰的置換基は、独立して、所与の実施形態において、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、または0回発生じ得る。より典型的には、各再帰的置換基は、独立して、所与の実施形態において、12回以下生じ得る。さらにより典型的には、各再帰的置換基は、独立して、所与の実施形態において3回以下生じ得る。例えば、所与の実施形態において、W
3は、0〜8回生じ、R
yは、0〜6回生じる。なおもさらに典型的には、所与の実施形態において、W
3は、0〜6回生じ、R
yは、0〜4回生じる。
【0107】
再帰的置換基は、本発明の意図される態様である。医薬品化学の当業者であれば、そのような置換基の多様性を理解する。再帰的置換基が本発明の実施形態に存在する程度まで、総数は上述のように決定される。
【0108】
量に関連して使用される修飾詞「約」は、提示された値を含み、文脈によって示される意味を有する(例えば、特定の量の測定値と関連する誤差の程度を含む)。
【0109】
式I〜Vの化合物は、リン酸基をR
7として含んでもよく、それは、プロドラッグ部分
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
であり得、各YまたはY
1は、独立して、O、S、NR、
+N(O)(R)、N(OR)、
+N(O)(OR)、またはN−NR
2であり、W
1およびW
2は、一緒になって−Y
3(C(R
y)
2)
3Y
3−であるか、またはW
1もしくはW
2の一方が、R
3もしくはR
4と一緒になって、−Y
3−であり、W
1もしくはW
2のもう一方が、式Ibであるか、またはW
1およびW
2は、それぞれ、独立して、式Ibの基であり、
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
各Y
2は、独立して、結合、O、CR
2、NR、
+N(O)(R)、N(OR)、
+N(O)(OR)、N−NR
2、S、S−S、S(O)、またはS(O)
2であり、
各Y
3は、独立して、O、S、またはNRであり、
M2は、0、1または2であり、
各R
yは、独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、R、−C(=Y
1)R、−C(=Y
1)OR、−C(=Y
1)N(R)
2、−N(R)
2、−
+N(R)
3、−SR、−S(O)R、−S(O)
2R、−S(O)(OR)、−S(O)
2(OR)、−OC(=Y
1)R、−OC(=Y
1)OR、−OC(=Y
1)(N(R)
2)、−SC(=Y
1)R、−SC(=Y
1)OR、−SC(=Y
1)(N(R)
2)、−N(R)C(=Y
1)R、−N(R)C(=Y
1)OR、または−N(R)C(=Y
1)N(R)
2、−SO
2NR
2、−CN、−N
3、−NO
2、−OR、保護基、またはW
3であるか、あるいは、同一炭素原子上の2個のR
yは、一緒になると、3〜7個の炭素原子の炭素環を形成し、
各R
xは、独立して、R
y、保護基または以下の式であり、
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
M1a、M1c、およびM1dは、独立して、0または1であり、
M1bは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、
各Rは、H、ハロゲン、(C
1−C
8)アルキル、(C
1−C
8)置換アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)置換アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、(C
2−C
8)置換アルキニル、C
6−C
20アリール、C
6−C
20置換アリール、(C
2−C
20)複素環、(C
2−C
20)置換複素環式環、アリールアルキル、置換アリールアルキル、または保護基であり、
W
3は、W
4またはW
5であり、W
4は、R、−C(Y
1)R
y、−C(Y
1)W
5、−SO
2R
y、または−SO
2W
5であり、W
5は、炭素環または複素環であり、W
5は、独立して、0〜3個のR
y基で置換される。
【0110】
W
5炭素環およびW
5複素環は、独立して、0〜3個のR
y基で置換されてもよい。W
5は、単環式もしくは二環式炭素環または複素環を含む、飽和環、不飽和環、または芳香環であってもよい。W
5は、3〜10個の環原子、例えば、3〜7個の環原子を有してもよい。該W
5環は、3個の環原子を含有する場合に飽和であり、4個の環原子を含有する場合に飽和または単不飽和であり、5個の環原子を含有する場合に飽和、単不飽和、または二不飽和であり、6個の環原子を含有する場合に飽和、単不飽和、または二不飽和、または芳香族である。
【0111】
W
5複素環は、3〜7個の環員を有する単環(N、O、P、およびSから選択される2〜6個の炭素原子および1〜3個のヘテロ原子)または7〜10個の環員を有する二環(N、O、P、およびSから選択される4〜9個の炭素原子および1〜3個のヘテロ原子)であってもよい。W
5複素環単環は、3〜6個の環原子(N、O、およびSから選択される2〜5個の炭素原子および1〜2個のヘテロ原子)、または5個もしくは6個の環原子(NおよびSから選択される3〜5個の炭素原子および1〜2個のヘテロ原子)を有してもよい。W
5複素環二環は、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、または[6,6]系として配列される7〜10個の環原子(N、O、およびSから選択される6〜9個の炭素原子および1〜2個のヘテロ原子)またはビシクロ[5,6]または[6,6]系として配列される9〜10個の環原子(NおよびSから選択される8〜9個の炭素原子および1〜2個のヘテロ原子)を有する。W
5複素環は、炭素、窒素、硫黄、または他の原子を介して安定した共有結合によってY
2に結合されてもよい。
【0112】
W
5複素環には、例えば、ピリジル、ジヒドロピリジル異性体、ピペリジン、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、s−トリアジニル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チオフラニル、チエニル、およびピロリルが含まれる。W
5には、以下の例等も含まれるが、これらに限定されない:
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
【0113】
W
5炭素環および複素環は、上で定義されるように、独立して、0〜3個のR基で置換されてもよい。例えば、置換W
5炭素環には、以下のものが挙げられる:
【化55-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化55-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0114】
置換フェニル炭素環の例には、以下のものが挙げられる:
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
【0115】
式I〜Vの化合物の
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
の実施形態は、
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
等の部分構造を含み、式中、各Y
2bは、独立して、OまたはN(R)である。本実施形態の別の態様において、各Y
2bは、Oであり、各R
xは、独立して、
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、M1bは、1、2、または3であり、各Y
2は、独立して、結合、O、CR
2、またはSである。本実施形態の別の態様において、一方のY
2b−R
xは、NH(R)であり、もう一方のY
2b−R
xは、O−R
xであり、R
xは、
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、M1bは、2である。本実施形態の別の態様において、各Y
2bは、Oであり、各R
xは、独立して、
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、M1bは、2である。本実施形態の別の態様において、各Y
2bは、Oであり、各R
xは、独立して、
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、M1bは、1であり、Y
2は、結合、O、またはCR
2である。
式I〜Vの化合物の
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
の他の実施形態は、
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
等の部分構造を含み、式中、各Y
3は、独立して、OまたはN(R)である。本実施形態の別の態様において、各Y
3は、Oである。本実施形態の別の態様において、部分構造は、
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、R
yは、本明細書で定義されるW
5である。.
【0116】
式I〜Vの
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
の別の実施形態は、以下の部分構造を含み、
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
式中、各Y
2cは、独立して、O、N(R
y)またはSである。
【0117】
式I〜V化合物の
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
の別の実施形態は、この部分構造を含み、W
1またはW
2のうちの一方は、R
3またはR
4のいずれかと一緒になって、−Y
3−であり、W
1またはW
2のもう一方は、式Ibである。そのような実施形態は、以下から選択される式Icの化合物で表される:
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
【0118】
式Idの実施形態の別の態様では、各YおよびY
3は、Oである。式Idの実施形態の別の態様において、W
1またはW
2は、Y
2b−R
xであり、各Y、Y
3、およびY
2bは、Oであり、R
xは、
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、M1bは、1、2、または3であり、各Y
2は、独立して、結合、O、CR
2、またはSである。式Idの実施形態の別の態様では、W
1またはW
2は、Y
2b−R
xであり、各Y、Y
3、およびY
2bは、Oであり、R
xは、
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
M1b
であり、式中、M1bは、2である。式Idの実施形態の別の態様では、W
1またはW
2は、Y
2b−R
xであり、各Y、Y
3、およびY
2bは、Oであり、R
xは、
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、M1bは、1であり、Y
2は、結合、O、またはCR
2である。
【0119】
式I〜Vの化合物の
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
の別の実施形態は、以下の部分構造を含み、
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
式中、W
5は、フェニルまたは置換フェニル等の炭素環である。本実施形態の別の態様において、この部分構造は、
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、Y
2bは、OまたはN(R)であり、フェニル炭素環は、0〜3個のR基で置換される。この部分構造の実施形態の別の態様では、R
xは、
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、M1bは、1、2、または3であり、各Y
2は、独立して、結合、O、CR
2、またはSである。
式I〜Vの
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
の別の実施形態は、以下の部分構造を含む:
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
【0120】
アミノ酸および乳酸部分のキラル炭素は、RもしくはS構造またはラセミ混合物のいずれかであり得る。
【0121】
式I〜Vの
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
の別の実施形態は、以下の部分構造であり、
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
式中、各Y
2は、独立して、−O−または−NH−である。本実施形態の別の態様において、R
yは、(C
1−C
8)アルキル、(C
1−C
8)置換アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)置換アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、または(C
2−C
8)置換アルキニルである。本実施形態の別の態様において、R
yは、(C
1−C
8)アルキル、(C
1−C
8)置換アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)置換アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、または(C
2−C
8)置換アルキニルであり、Rは、CH
3である。本実施形態の別の態様において、R
yは、(C
1−C
8)アルキル、(C
1−C
8)置換アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)置換アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、または(C
2−C
8)置換アルキニルであり、Rは、CH
3であり、各Y
2は、−NH−である。本実施形態の態様において、W
1およびW
2は、独立して、窒素結合型の天然に存在するアミノ酸または天然に存在するアミノ酸エステルである。本実施形態の別の態様において、W
1およびW
2は、独立して、天然に存在する2−ヒドロキシカルボン酸または天然に存在する2−ヒドロキシカルボン酸エステルであり、その酸またはエステルは、2−ヒドロキシ基を介してPに結合される。
【0122】
式I〜Vの
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
の別の実施形態は、以下の部分構造である:
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
【0123】
本実施形態の一態様において、各R
xは、独立して、(C
1−C
8)アルキルである。本実施形態の別の態様において、各R
xは、独立して、C
6−C
20アリールまたはC
6−C
20置換アリールである。
【0124】
一実施形態において、
【化83】
[この文献は図面を表示できません]
は、以下から選択される:
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
【0125】
いくつかの実施形態において、基−R
7−O−C(R
8)−C(R
5)−C(R
3)(R
4)−は、以下の式のものである:
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
【0126】
式I〜Vの
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
の別の実施形態は、以下の部分構造であり、
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
式中、W
1およびW
2は、独立して、以下の表1.1〜1.37および表2.1の式のうちの1つから選択される。表1.1〜1.37で使用される変形(例えば、W
23、R
21等)は、別途示されない限り、表1.1〜1.37にのみ関連する。
【0127】
表1.1〜1.37で使用される変形は、以下の定義を有する:
各R
21は、独立して、Hまたは(C
1−C
8)アルキルであり、
各R
22は、独立して、H、R
21、R
23、またはR
24であり、式中、各R
24は、独立して、0〜3個のR
23で置換され、
各R
23は、独立して、R
23a、R
23b、R
23c、またはR
23dであるが、但し、R
23がヘテロ原子に結合される場合、R
23は、R
23cまたはR
23dであることを条件とし、
各R
23aは、独立して、F、Cl、Br、I、−CN、N
3、または−NO
2であり、
各R
23bは、独立して、Y
21であり、
各R
23cは、独立して、−R
2x、−N(R
2x)(R
2x)、−SR
2x、−S(O)R
2x、−S(O)
2R
2x、−S(O)(OR
2x)、−S(O)
2(OR
2x)、−OC(=Y
21)R
2x、−OC(=Y
21)OR
2x、−OC(=Y
21)(N(R
2x)(R
2x))、−SC(=Y
21)R
2x、−SC(=Y
21)OR
2x、−SC(=Y
21)(N(R
2x)(R
2x))、−N(R
2x)C(=Y
21)R
2x、−N(R
2x)C(=Y
21)OR
2x、または−N(R
2x)C(=Y
21)(N(R
2x)(R
2x))であり、
各R
23dは、独立して、−C(=Y
21)R
2x、−C(=Y
21)OR
2x、または−C(=Y
21)(N(R
2x)(R
2x))であり、
各R
2xは、独立して、H、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、(C
2−C
8)アルキニル、アリール、ヘテロアリールであるか、または2個のR
2xは、それらが共に結合する窒素と一緒になって、3〜7員複素環式環を形成し、前記複素環式環のうちいずれか1個の炭素原子は、−O−、−S−、または−NR
21−で任意に置換されてもよく、各前記(C
1−C
8)アルキルの非末端炭素原子のうちの1個以上は、−O−、−S−、または−NR
21−で任意に置換されてもよく、
各R
24は、独立して、(C
1−C
8)アルキル、(C
2−C
8)アルケニル、または(C
2−C
8)アルキニルであり、
各R
25は、独立して、R
24であり、式中、各R
24は、0〜3個のR
23基で置換され、
各R
25aは、独立して、(C
1−C
8)アルキレン、(C
2−C
8)アルケニレン、または(C
2−C
8)アルキニレンであり、前記(C
1−C
8)アルキレン、(C
2−C
8)アルケニレン、または(C
2−C
8)アルキニレンのうちのいずれか1つは、0〜3個のR
23基で置換され、
各W
23は、独立して、W
24またはW
25であり、
各W
24は、独立して、R
25、−C(=Y
21)R
25、−C(=Y
21)W
25、−SO
2R
25、または−SO
2W
25であり、
各W
25は、独立して、炭素環または複素環式環であり、W
25は、独立して、0〜3個のR
22基で置換され、
各Y
21は、独立して、OまたはSである。
【0128】
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
【化90】
[この文献は図面を表示できません]
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
【化92】
[この文献は図面を表示できません]
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
【化94】
[この文献は図面を表示できません]
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
【化97】
[この文献は図面を表示できません]
【化98】
[この文献は図面を表示できません]
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
【化100】
[この文献は図面を表示できません]
【化101-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化101-2】
[この文献は図面を表示できません]
【化102】
[この文献は図面を表示できません]
【化103】
[この文献は図面を表示できません]
【化104】
[この文献は図面を表示できません]
【化105】
[この文献は図面を表示できません]
【化106】
[この文献は図面を表示できません]
【化107】
[この文献は図面を表示できません]
【化108】
[この文献は図面を表示できません]
【化109】
[この文献は図面を表示できません]
【化110】
[この文献は図面を表示できません]
【化111】
[この文献は図面を表示できません]
【化112】
[この文献は図面を表示できません]
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
【化114】
[この文献は図面を表示できません]
【化115】
[この文献は図面を表示できません]
【化116】
[この文献は図面を表示できません]
【化117】
[この文献は図面を表示できません]
【化118】
[この文献は図面を表示できません]
【化119】
[この文献は図面を表示できません]
【化120】
[この文献は図面を表示できません]
【化121】
[この文献は図面を表示できません]
【化122】
[この文献は図面を表示できません]
【化123】
[この文献は図面を表示できません]
【化124】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
。
【0129】
R
xの実施形態は、エステル、カルバミン酸塩、炭素塩、チオエステル、アミド、チオアミド、および尿素基を含む:
【化125】
[この文献は図面を表示できません]
。
【0130】
本明細書に記載される本発明の化合物に関する任意の参照は、その生理学的に許容される塩に関する参照も含む。本発明の化合物の生理学的に許容される塩の例には、適切な塩基、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類(例えば、Na
+、Li
+、K
+、Ca
+2、およびMg
+2)、アンモニウム、およびNR
4+(Rは、本明細書で定義される)に由来する塩が挙げられる。窒素原子またはアミノ基の生理学的に許容される塩には、(a)例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸で形成される酸付加塩、(b)例えば、酢酸、オキサル酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギニン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸、マロン酸、スルホサリシル酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、パモ酸、サリシル酸、ステアリン酸、フタル酸、マンデル酸、乳酸、エタンスルホン酸、リシン、アルギニン、グルタミン酸、グリシン、セリン、トレオニン、アラニン、イソロイシン、ロイシン等の有機酸で形成される塩、および(c)例えば、塩素、臭素、およびヨウ素等の必須アニオンから形成される塩が挙げられる。ヒドロキシ基の化合物の生理学的に許容される塩は、Na
+およびNR
4+等の好適なカチオンと組み合わせて、前記化合物のアニオンを含む。
【0131】
治療用途の場合、本発明の化合物の活性成分の塩は、生理学的に許容されるものであり、すなわち、それらは、生理学的に許容される酸または塩基に由来する塩である。しかしながら、生理学的に許容されない酸または塩基の塩は、例えば、生理学的に許容される化合物の調製または精製における使用を見出すこともできる。すべての塩は、生理学的に許容される酸または塩基に由来するか否かにかかわらず、本発明の範囲内である。
【0132】
最後に、本明細書の組成物は、非イオン化ならびに双性イオン形態の本発明の化合物、および加水分解において見られるような化学量論量の水との組み合わせを含むことを理解されたい。
【0133】
式I〜Vに例示される本発明の化合物は、キラル中心、例えば、キラル炭素またはリン原子を有してもよい。したがって、本発明の化合物は、エナンチオマー、ジアステレオマー、およびアトロピソマーを含むすべての立体異性体のラセミ混合物を含む。加えて、本発明の化合物は、任意またはすべての非対称キラル原子において、濃縮または分解された光学異性体を含む。つまり、図から明らかなキラル中心は、キラル異性体またはラセミ混合物として提供される。ラセミ混合物およびジアステレオマー混合物の両方、ならびに単離または合成された、実質的にそれらのエナンチオマーまたはジアステレオマーのパートナーを含まない個別の光学異性体は、すべて本発明の範囲内である。ラセミ混合物は、周知の技法、例えば、光学的に活性な付加物、例えば、光学的に活性な物質に変換した後の酸または塩基で形成されるジアステレオマー塩の分離等によって、それらの個別の実質的に光学的に純粋な異性体に分離される。ほとんどの場合、所望の光学異性体は、所望の出発物質の適切な立体異性体から始まる立体特異的反応によって合成される。
【0134】
「キラル」という用語が、鏡像パートナーを重ね合わせることができないという特性を有する分子を指す一方で、「アキラル」という用語は、それらの鏡像パートナーを重ね合わせることができる分子を指す。
【0135】
「立体異性体」という用語は、同一の化学構造を有するが、空間における原子または基の配置に関して異なる化合物を指す。
【0136】
「ジアステレオマー」とは、2つ以上のキラリティーの中心を有する立体異性体を指し、それらの分子は、相互に鏡像ではない。ジアステレオマーは、異なる物理的特性、例えば、溶解点、沸点、スペクトル特性、および反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動およびクロマトグラフィー等の高解像度分析手順下で分離することができる。
【0137】
「エナンチオマー」は、相互に重ね合わせることができない鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。
【0138】
本明細書で使用される立体化学的定義および慣例は、概して、S.P.Parker,Ed.,McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company,New York、およびEliel,E.and Wilen,S.,Stereochemistry of Organic Compounds(1994)John Wiley&Sons,Inc.,New Yorkに従う。多くの有機化合物は、光学的に活性な形態で存在し、すなわち、それらは、平面偏光の平面を回転させる能力を有する。光学的に活性な化合物を説明する際に、接頭辞DおよびLまたはRおよびSを使用して、そのキラル中心(複数可)の周囲の分子の絶対構成を示す。前置詞dおよびl、DおよびL、または(+)および(−)を用いて、化合物による平面偏光の回転の記号を指定し、S、(−)、または1のついた化合物が左旋性である一方で、前置詞R(+)またはdのついた化合物は、右旋性であることを意味する。所与の化学構造の場合、これらの立体異性体は、それらが相互に鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体は、エナンチオマーと称される場合もあり、そのような異性体の混合物は、多くの場合、エナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物またはラセミ化合物と称され、化学反応または過程において立体選択または立体特異性がなかった場合に起こり得る。「ラセミ混合物」および「ラセミ化合物」という用語は、光学活性を欠いた2つのエナンチオマー種の等モル混合物を指す。
【0139】
本明細書に記載の化合物が、同一の指定基のうちの2個以上、例えば、「R」または「R
1」で置換される場合は常に、基が同一または異なり得る、すなわち、各基が独立して選択されることを理解されたい。波線
【化126】
[この文献は図面を表示できません]
は、隣接する部分構造、基、部分、または原子に対する共有結合付着部位を示す。
【0140】
本発明の化合物は、ある特定の場合において、互変異性体として存在することもできる。1つのみの非局在化共鳴構造が示され得るが、そのような形態はすべて、本発明の範囲内であると企図される。例えば、エン−アミン互変異性体は、プリン、ピリミジン、イミダゾール、グアニジン、アミジン、およびテトラゾール系に対して存在し、それらの可能性のある互変異性体はすべて、本発明の範囲内である。
HCVポリメラーゼの阻害方法
【0141】
本発明の別の態様は、HCVポリメラーゼの活性を阻害する方法に関し、該方法は、HCVを含有する疑いのある試料を本発明の組成物で処理するステップを含む。
【0142】
本発明の組成物は、そのような阻害剤の中間体として、HCVポリメラーゼの阻害剤の機能を果たし得るか、または以下に記載される他の実用性を有し得る。該阻害剤は、HCVポリメラーゼに特有の形状を有するHCVポリメラーゼの表面上または空洞内の位置に結合する。HCVポリメラーゼに結合する組成物は、様々な可逆度で結合し得る。実質的に不可逆的に結合する化合物は、本発明の方法における使用に理想的な候補である。標識化されると、実質的に不可逆的な結合組成物は、HCVポリメラーゼの検出のためのプローブとして有用である。したがって、本発明は、HCVポリメラーゼを含有する疑いのある試料中のHCVポリメラーゼを検出する方法に関し、該方法は、HCVポリメラーゼを含有する疑いのある試料を、標識に結合した本発明の化合物を含む組成物で処理するステップ、および標識の活性に対する試料の作用を観察するステップを含む。好適な標識は、診断の分野において周知であり、安定した遊離基、フルオロフォア、放射性同位体、酵素、化学発光基、およびクロモゲンを含む。本明細書に記載の化合物は、ヒドロキシル、カルボキシル、スルフヒドリル、またはアミノ等の官能基を用いる従来の様式で標識化される。
【0143】
本発明の文脈内で、HCVポリメラーゼを含有する疑いのある試料には、生命有機体;組織または細胞培養物;生体試料等の生物学的試料(血液、血清、尿、脳脊髄液、涙液、痰、唾液、組織試料等);実験室試料;食物、水、または空気試料;細胞抽出物、特に所望の糖タンパク質を合成する組換え細胞等の生物学的生成物試料等の天然または人工物質が含まれる。典型的には、該試料は、HCVポリメラーゼを産生する有機体、多くの場合、HCV等の病原体を含有する疑いがある。試料は、水および有機溶媒/水混合物を含む任意の媒体中に含有されてもよい。試料には、ヒト等の生命有機体、および細胞培養物等の人工物質が含まれる。
【0144】
本発明の処理ステップは、本発明の組成物を試料に添加することを含むか、または組成物の前駆体を試料に添加することを含む。追加のステップは、上述の任意の投与方法を含む。
【0145】
所望の場合、組成物適用後のHCVポリメラーゼの活性を、HCVポリメラーゼ活性を検出する直接的および間接的方法を含む任意の方法によって観察することができる。HCVポリメラーゼ活性を決定する定量的、定質的、および半定量的方法がすべて企図される。典型的には、上述のスクリーニング方法のうちの1つが適用されるが、生命有機体の生理学的特性の観察等の任意の他の方法も適用可能である。
【0146】
HCVポリメラーゼを含有する有機体は、HCVウイルスを含む。本発明の化合物は、動物またはヒトにおけるHCV感染の治療または予防において有用である。
【0147】
しかしながら、ヒト免疫不全ウイルスを阻害することができる化合物のスクリーニングにおいて、酵素アッセイの結果が細胞培養アッセイと相関しない場合があることに留意すべきである。したがって、細胞に基づくアッセイは、一次スクリーニングツールであるべきである。
HCVポリメラーゼ阻害剤のスクリーニング
【0148】
本発明の組成物は、酵素活性を評価するための従来技法のうちのいずれかを用いて、HCVポリメラーゼに対する阻害活性についてスクリーニングされる。本発明の文脈内で、典型的には、組成物は、最初に生体外でHCVポリメラーゼの阻害についてスクリーニングされ、次に、阻害活性を示す組成物が、生体内で活性についてスクリーニングされる。生体外で約5×10
−6M未満、好ましくは、約1×10
−7M未満のKi(阻害定数)を有する組成物が、生体内使用に好ましい。
【0149】
有用な生体外スクリーニングが詳細に説明されているため、ここでは詳述しない。しかしながら、実施例では、好適な生体外アッセイを説明する。
薬学的製剤
【0150】
本発明の化合物は、通常の実践に従って選択される従来の担体および賦形剤と共に製剤化される。錠剤は、賦形剤、流動促進剤、充填剤、結合剤等を含有する。水性製剤は、滅菌形態で調製され、経口投与以外の送達が意図される場合は、概して、等張性である。すべての製剤は、“Handbook of Pharmaceutical Excipients”(1986)に記載される賦形剤等の賦形剤を任意に含有する。賦形剤には、アスコルビン酸および他の抗酸化剤、EDTA等のキレート剤、デキストラン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸等の炭水化物が挙げられる。製剤のpHは、約3〜約11の範囲であるが、通常は約7〜10である。
【0151】
活性成分を単独で投与することは可能である一方で、それらを薬学的製剤として提示することが好ましくあり得る。動物およびヒトの両方で用いる本発明の製剤は、1つ以上の許容される担体および任意で他の治療成分と共に、上で定義される少なくとも1つの活性成分を含む。担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合し、そのレシピエントに対して生理学的に無害であるという意味で「許容」されなければならない。
【0152】
製剤は、前述の投与経路に好適なものを含む。製剤は、単位剤形で好都合に提示されてもよく、薬学の技術分野において周知の方法のうちのいずれかによって調製されてもよい。技法および製剤は、概して、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.,Easton,PA)で見出される。そのような方法は、活性成分を、1つ以上の副成分を構成する担体と会合させるステップを含む。概して、製剤は、活性成分を、液体担体もしくは微粉化した固体担体またはそれら両方と均一かつ密接に会合させ、必要に応じて、生成物を成形することによって調製される。
【0153】
経口投与に好適な本発明の製剤は、それぞれ既定量の活性成分を含有する、カプセル、カシェ、もしくは錠剤等の個別の単位;粉末もしくは顆粒;水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;または水中油型乳濁液もしくは油中水型乳濁液として提示され得る。活性成分を、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与することもできる。
【0154】
錠剤は、任意で1つ以上の副成分と共に、圧縮または成形によって作製される。圧縮錠剤は、好適な機械において、任意で結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、表面活性剤、または分散剤と混合される粉末または顆粒等の自由流動形態の活性成分を圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、好適な機械において、不活性希釈液で湿らせた粉末活性成分の混合物を成形することによって作製され得る。錠剤は、任意にコーティングされるか、または切れ目をつけられてもよく、そこから活性成分の持続放出または制御放出を提供するように任意に製剤化される。
【0155】
眼または他の外部組織、例えば、口および皮膚の感染の場合、製剤は、好ましくは、例えば、0.075〜20w/w%(0.1%〜20%の範囲で、0.1w/w%、例えば、0.6w/w%、0.7w/w%等の増分で活性成分を含む)、好ましくは0.2〜15w/w%、最も好ましくは0.5〜10w/w%の量の活性成分を含有する局所軟膏またはクリームとして適用される。軟膏に製剤化される場合、活性成分は、パラフィンまたは水混和性軟膏基剤のいずれかと共に用いられてもよい。あるいは、活性成分は、水中油型クリーム基剤と共にクリームに製剤化されてもよい。
【0156】
所望の場合、クリーム基剤の水相は、例えば、少なくとも30w/w%の多価アルコール、すなわち、プロピレングリコール、ブタン1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、およびポリエチレングリコール(PEG400を含む)等の2個以上のヒドロキシル基を有するアルコールおよびその混合物を含み得る。局所製剤は、望ましくは、皮膚または他の罹患領域を介する活性成分の吸収または浸透を強化する化合物を含み得る。そのような皮膚浸透エンハンサーの例には、ジメチルスルホキシドおよび関連類似体が挙げられる。
【0157】
本発明のエマルジョンの油相は、既知の方法で既知の成分から構成されてもよい。該相は、単に乳化剤(さもなければエマルジェントとして既知)を含んでもよいが、望ましくは、少なくとも1つの乳化剤と脂質もしくは油または脂質および油の両方の混合物を含む。好ましくは、親水性乳化剤は、安定剤の機能を果たす脂溶性乳化剤と共に含まれる。油および脂質の両方を含むことも好ましい。乳化剤(複数可)は、安定剤(複数可)の有無にかかわらず、いわゆる乳化ろうを構成し、該ろうは、油および脂質と共に、クリーム製剤の油性分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基剤を構成する。
【0158】
本発明の製剤における使用に好適なエマルジェントおよび乳化安定剤には、Tween(登録商標)60、Span(登録商標)80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、およびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0159】
製剤に好適な油または脂質の選択は、所望の美容特性の達成に基づいている。クリームは、好ましくは、チューブまたは他の容器からの漏出を防ぐのに好適な粘稠度を有する、ベタベタしない非染色性の水溶性製品でなければならない。直鎖または分岐鎖の一塩基または二塩基アルキルエステル、例えば、ジイソアジピン酸塩、ステアリン酸イソセチル、ヤシ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリステアリン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、2−パルミチン酸エチルヘキシル、またはクロダモールCAPとして既知の分岐鎖エステルの混合物を使用してもよく、最後の3つは好ましいエステルである。これらは、要求される特性に応じて、単独で、または組み合わせて使用されてもよい。あるいは、白色軟パラフィンおよび/もしくは液体パラフィン、または他の鉱物油等の融点の高い脂質が使用される。
【0160】
本発明に従う薬学的製剤は、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤および任意に他の治療剤との本発明に従う組み合わせを含む。活性成分を含有する薬学的製剤は、意図される投与方法に好適な任意の形態であり得る。経口用途に使用されるとき、例えば、錠剤、トローチ、ドロップ、水性もしくは油懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルジョン、硬質もしくは軟質カプセル、シロップ、またはエリキシル剤が調製され得る。経口用途を目的とした組成物は、薬学的組成物の製造に関する技術分野において既知の任意の方法に従って調製されてもよく、そのような組成物は、口当たりの良い製剤を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、および保存剤を含む1つ以上の薬剤を含有してもよい。錠剤の製造に好適な非毒性の薬学的に許容される賦形剤が混ぜられた活性成分を含有する錠剤が許容される。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム等の不活性希釈剤、トウモロコシデンプンまたはアルギニン酸等の造粒剤および崩壊剤、デンプン、ゼラチン、またはアカシアゴム等の結合剤、ならびにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルク等の潤滑剤であり得る。錠剤は、コーティングされなくてもよいか、または消化管内での崩壊および吸着を遅延させ、それによって、長期間にわたって持続的な作用を提供するために、マイクロカプセル化を含む既知の技法によってコーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリル等の時間遅延物質を、単独で、またはろうと共に用いることができる。
【0161】
経口用途のための製剤を、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合される硬質ゼラチンカプセルとして、あるいは活性成分が水または油媒体、例えばピーナッツ油、液体パラフィン、またはオリーブ油と混合される軟質ゼラチンカプセルとして提示することもできる。
【0162】
本発明の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤が混ぜられた活性物質を含有する。そのような賦形剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギニン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアカシアゴム等の懸濁化剤、ならびに天然に存在するリン脂質(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレン祖ルビ痰モノオレイン酸塩)等の分散剤または湿潤剤が挙げられる。また、水性懸濁液は、エチルまたはn−プロピルp−ヒドロキシ−安息香酸等の1つ以上の保存剤、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、およびスクロースまたはサッカリン等の1つ以上の甘味剤を含有してもよい。
【0163】
油懸濁液は、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、もしくはココナツ油等の植物油、または液体パラフィン等の鉱物油に活性成分を懸濁することによって製剤化されてもよい。経口懸濁液は、蜜ろう、硬質パラフィン、またはセチルアルコール等の増粘剤を含有してもよい。上述の甘味剤等の甘味剤、および香味剤を添加して、口当たりの良い経口製剤を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸等の抗酸化剤の添加によって保存されてもよい。
【0164】
水の添加による水性懸濁剤の調製に好適な本発明の分散性粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および1つ以上の保存剤が混ぜられた活性成分を提供する。好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、上に開示されるものによって例示される。さらなる賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤、および着色剤が存在する場合もある。
【0165】
本発明の薬学的組成物は、水中油型エマルジョンの形態でもあり得る。油性相は、オリーブ油もしくはラッカセイ油等の植物油、液体パラフィン等の鉱物油、またはこれらの混合物であり得る。好適な乳化剤には、例えば、アカシアゴムおよびトラガカントゴム等の天然のゴム、大豆レチシン等の天然のホスファチド、ソルビタンモノオレイン酸塩等の脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステル、ならびにポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸塩等のこれらの部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物が挙げられる。エマルジョンは、甘味剤および香味剤も含有し得る。シロップおよびエリキシル剤は、グリセロール、ソルビトール、またはスクロース等の甘味剤で製剤化されてもよい。そのような製剤は、粘滑剤、保存剤、香味剤、または着色剤も含有し得る。
【0166】
本発明の薬学的組成物は、水性または油性の滅菌注入懸濁液等の滅菌注入製剤の形態であってもよい。この懸濁液は、既知の技術分野に従って、上述の好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて製剤化されてもよい。滅菌注入製剤は、1,3−ブタン−ジオール溶液等の非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注入溶液もしくは懸濁液でもあり得るか、あるいは凍結乾燥した粉末として調製されてもよい。使用することのできる許容される媒体および溶媒は、水、リンガー溶液、および等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌固定油を、溶媒または懸濁媒体として、従来方式で用いてもよい。この目的で、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油を用いてもよい。加えて、オレイン酸等の脂肪酸も同様に、注入剤の調製において使用することができる。
【0167】
担体物質と合わせて単一剤形を生成することができる活性成分の量は、治療を受ける宿主および特定の投与形態に応じて異なる。例えば、ヒトへの経口投与が意図される持続放出製剤は、組成物全体の約5〜約95%(重量:重量)に及び得る適切かつ便利な量の担体物質と配合される約1〜1000mgの活性物質を含有してもよい。薬学的組成物を、投与のために容易に測定可能な量を提供するように調製することができる。例えば、静脈内注入を目的とする水溶液は、好適な量の注入が約30mL/時間の速度で起こり得るように、溶液1mL当たり約3〜500μgの活性成分を含有してもよい。
【0168】
眼への局所投与に好適な製剤には、点眼薬も含まれ、その中で、該活性成分が、好適な担体、特に活性成分の水性溶媒中に溶解または懸濁される。該活性成分は、好ましくは、0.5〜20w/w%、有利には、0.5〜10w/w%、具体的には、約1.5w/w%の濃度でそのような製剤中に存在する。
【0169】
口内の局所投与に好適な製剤には、香味付けした基質、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に活性成分を含むトローチ、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア等の不活性基質に活性成分を含むトローチ、ならびに好適な液体担体中に活性成分を含むマウスウォッシュが挙げられる。
【0170】
肛門投与のための製剤は、例えば、ココアバターまたはサリチル酸塩を含む好適な基質を伴う坐薬として提示され得る。
【0171】
肺内または経鼻投与に好適な製剤は、例えば、0.1〜500ミクロンの範囲、例えば、0.5、1、30、35等の粒径を有し、肺胞嚢に到達するように、鼻腔からの急速な吸入、または口からの吸入によって投与される。好適な製剤は、活性成分の水溶液または油性溶液を含む。エアロゾルまたは乾燥粉末投与に好適な製剤は、従来の方法に従って調製されてもよく、以下に記載されるように、HCV感染の治療または予防に使用される従来の化合物等の他の治療剤と共に送達されてもよい。
【0172】
膣投与に好適な製剤は、活性成分に加えて、当該技術分野において適切であることで知られる担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡、または噴霧製剤として提示され得る。
【0173】
非経口投与に好適な製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、および製剤を対象とするレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性および非水性滅菌注入液、ならびに懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。
【0174】
製剤は、単位用量または多用量容器、例えば、密閉アンプルおよびバイアルで提示されてもよく、使用直前に、滅菌液担体、例えば、注入用の水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管されてもよい。即時注入溶液および懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製される。好ましい単位用量製剤は、本明細書において上述されるように、日用量または単位日副用量の活性成分、またはその適切な画分を含有するものである。
【0175】
上で具体的に言及された成分に加えて、本発明の製剤は、問題の製剤の種類を考慮して、当該技術分野において常用の他の薬剤を含んでもよいこと、例えば、経口投与に好適な製剤は、香味剤を含んでもよいことを理解されたい。
【0176】
本発明は、上に定義される少なくとも1つの活性成分をその獣医学的担体と共に含む獣医学的組成物をさらに提供する。
【0177】
獣医学的担体は、組成物を投与する目的で有用な物質であり、それ以外では不活性であるか、または獣医学の分野において許容され、活性成分と適合する、固体、液体、または気体物質であってもよい。これらの獣医学的組成物は、経口、非経口、または任意の他の所望の経路によって投与されてもよい。
【0178】
本発明の化合物を使用して、活性成分の放出が制御および調節され、投与頻度の減少または所与の活性成分の薬物動態または毒性プロファイルの改善を可能にする、活性成分として本発明の1つ以上の化合物を含有する制御放出薬学的製剤(「制御放出製剤」)を提供する。
【0179】
有効用量の活性成分は、少なくとも処置される状態の性質、毒性、化合物が予防的に(低用量で)使用されるか否か、または活発なウイルス感染に対して使用されるか否か、送達方法、および薬学的製剤に依存し、従来の用量増加研究を用いて、医師によって決定される。それは、1日当たり約0.0001〜約100mg/kg(体重)、典型的には、1日当たり約0.01〜約10mg/kg(体重)、さらに典型的には、1日当たり約0.01〜約5mg/kg(体重)、最も典型的には、1日当たり約0.05〜約0.5mg/kg(体重)であることが予想され得る。例えば、体重約70kgの成人に対する候補日用量は、1mg〜1000mgの範囲、好ましくは5mg〜500mgであり、単回または複数回投与の形態を取ってもよい。
投与の経路
【0180】
本発明の1つ以上の化合物(本明細書では活性成分と称される)は、処置される状態に適切な任意の経路によって投与される。適切な経路には、経口、肛門、鼻腔、局所(口腔および舌下を含む)、膣、ならびに非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内、および硬膜外を含む)等が挙げられる。好ましい経路が、例えば、レシピエントの状態によって異なり得ることが理解される。本発明の化合物の利点は、それらが経口的に生物学的に利用可能であり、経口投与できることである。
併用療法
【0181】
本発明の組成物は、他の活性成分と併せても使用される。HCV感染の治療について、他の活性治療成分または薬剤は、インターフェロン、リバビリン類似体、NS3プロテアーゼ阻害剤、NS5a阻害剤、NS5bポリメラーゼ阻害剤、α−グルコシダーゼ1阻害剤、シクロフィリン阻害剤、肝臓保護剤、HCVの他のヌクレオシド阻害剤、HCVの非ヌクレオシド阻害剤、およびHCVを治療するための他の薬物である。
【0182】
式I〜Vの化合物の組み合わせは、典型的には、治療される状態、成分の交差反応性、およびその組み合わせの薬理学的特性に基づいて選択される。例えば、感染(例えば、HCV)を治療する場合、本発明の組成物は、他の活性治療剤(本明細書に記載のもの等)と組み合わせられる。
【0183】
式I〜Vの化合物と組み合わせることができる好適な活性治療剤または成分には、インターフェロン、例えば、ペグ化rIFN−α2b、ペグ化rIFN−α2a、rIFN−α2b、IFNα−2b XL、rIFN−α2a、コンセンサスIFNα、インフェルゲン、レビフ、ロクテロン、AVI−005、PEG−インフェルゲン、ペグ化IFN−β、経口インターフェロンα、フェロン、レアフェロン、インターマックスα、r−IFN−β、インフェルゲン+アクティミューン、DUROSを伴うIFN−Ω、およびアルブフェロン;リバビリン類似体、例えば、レベトール、コペグス、VX−497、およびビラミジン(タリバビリン);NS5a阻害剤、例えば、A−831、A−689、およびBMS−790052;NS5bポリメラーゼ阻害剤、例えば、NM−283、バロピシタビン、R1626、IDX184、PSI−7851、PSI−6130(R1656)、HCV−796、BILB 1941、MK−0608、NM−107、R7128、VCH−759、PF−868554、GSK625433、およびXTL−2125;NS3プロテアーゼ阻害剤、およびSCH−503034(SCH−7)、VX−950(テラプレビル)、ITMN−191、およびBILN−2065;α−グルコシダーゼ1阻害剤、例えば、MX−3253(セルゴシビル)、およびUT−231B;肝臓保護剤、例えば、IDN−6556、ME 3738、MitoQ、およびLB−84451;HCVの非ヌクレオシド阻害剤、例えば、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾ−1,2,4−チアジアジン誘導体、およびフェニルアラニン誘導体;ならびにHCVを治療するための他の薬物、例えば、ザダキシン、ニタゾキサニド(アリネア)、BIVN−401(ビロスタット)、DEBIO−025、VGX−410C、EMZ−702、AVI 4065、バビツキシマブ、オグルファニド、PYN−17、KPE02003002、アクチロン(CPG−10101)、KRN−7000、シバシル、GI−5005、ANA−975、XTL−6865、ANA 971、NOV−205、タルバシン、EHC−18、およびNIM811が含まれ得る。
【0184】
さらに別の実施形態において、本出願は、少なくとも1つの追加治療剤、ならびに薬学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせて、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒、および/もしくはエステルを含む、薬学的組成物を開示する。
【0185】
本発明に従って、本発明の化合物と組み合わせられる治療剤は、本発明の化合物と組み合わせられる場合に治療効果を有する任意の薬剤であり得る。例えば、本発明の化合物と組み合わせて使用される治療剤は、インターフェロン、リバビリン類似体、NS3プロテアーゼ阻害剤、NS5a阻害剤、NS5bポリメラーゼ阻害剤、α−グルコシダーゼ1阻害剤、シクロフィリン阻害剤、肝臓保護剤、HCVの他のヌクレオシド阻害剤、HCVの非ヌクレオシド阻害剤、およびHCVを治療するための他の薬剤であり得る。
【0186】
別の実施形態において、本出願は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルと、ペグ化rIFN−α2b、ペグ化rIFN−α2a、rIFN−α2b、IFNα−2b XL、rIFN−α2a、コンセンサスIFNα、インフェルゲン、レビフ、ロクテロン、AVI−005、PEG−インフェルゲン、ペグ化IFN−β、経口インターフェロンα、フェロン、レアフェロン、インターマックスα、r−IFN−β、インフェルゲン+アクティミューン、DUROSを伴うIFN−Ω、アルブフェロン、レベトール、コペグス、VX−497、ビラミジン(タリバビリン)、A−831、A−689、NM−283、バロピシタビンR1626、PSI−6130(R1656)、IDX184、PSI−7851、HCV−796、BILB 1941、MK−0608、NM−107、R7128、VCH−759、PF−868554、GSK625433、XTL−2125、SCH−503034(SCH−7)、VX−950(テラプレビル)、ITMN−191、およびBILN−2065、MX−3253(セルゴシビル)、UT−231B、IDN−6556、ME 3738、MitoQ、およびLB−84451、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾ−1,2,4−チアジアジン誘導体、およびフェニルアラニン誘導体、ザタキシン、ニタゾキサニド(アリネア)、BIVN−401(ビロスタット)、DEBIO−025、VGX−410C、EMZ−702、AVI 4065、バビツキシマブ、オグルファニド、PYN−17、KPE02003002、アクチロン(CPG−10101)、KRN−7000、シバシル、GI−5005、ANA−975、XTL−6865、ANA 971、NOV−205、タルバシン、EHC−18、およびNIM811、ならびに薬学的に許容される担体または賦形剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる治療剤との組み合わせを含む薬学的組成物を提供する。
【0187】
さらに別の実施形態において、本出願は、以下を含む複合医薬品を提供する:
a) 本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルを含む、第1の薬学的組成物、ならびに
b) HIVプロテアーゼ阻害化合物、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオシド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオチド阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、gp41阻害剤、CXCR4阻害剤、gp120阻害剤、CCR5阻害剤、インターフェロン、リバビリン類似体、NS3プロテアーゼ阻害剤、NS5a阻害剤、α−グルコシダーゼ1阻害剤、シクロフィリン阻害剤、肝臓保護剤、HCVの他のヌクレオシド阻害剤、HCVの非ヌクレオシド阻害剤、およびHCVを治療するための他の薬物、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの治療剤を含む、第2の薬学的組成物。
【0188】
式I〜Vの化合物と追加の活性治療剤との組み合わせは、HCV、およびHIV感染等の他の状態に感染した患者を治療するために選択され得る。したがって、式I〜Vの化合物は、HIVの治療に有用な1つ以上の化合物、例えば、HIVプロテアーゼ阻害化合物、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオシド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオチド阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、gp41阻害剤、CXCR4阻害剤、gp120阻害剤、CCR5阻害剤、インターフェロン、リバビリン類似体、NS3プロテアーゼ阻害剤、NS5a阻害剤、α−グルコシダーゼ1阻害剤、シクロフィリン阻害剤、肝臓保護剤、HCVの他のヌクレオシド阻害剤、HCVの非ヌクレオシド阻害剤、およびHCVを治療するための他の薬物と組み合わせられてもよい。
【0189】
より具体的には、本発明の1つ以上の化合物は、1)HIVプロテアーゼ阻害剤、例えば、アンプレナビル、アタザナビル、ホサンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、リトナビル、ロピナビル+リトナビル、ネルフィナビル、サキナビル、チプラナビル、ブレカナビル、ダルナビル、TMC−126、TMC−114、モゼナビル(DMP−450)、JE−2147(AG1776)、AG1859、DG35、L−756423、RO0334649、KNI−272、DPC−681、DPC−684、およびGW640385X、DG17、PPL−100、2)逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤、例えば、カプラビリン、エミビリン、デラビリジン、エファビレンズ、(+)カラノリドA、エトラビリン、GW5634、DPC−083、DPC−961、DPC−963、MIV−150、およびTMC−120、TMC−278(リルピビリン)、エファビレンズ、BILR 355 BS、VRX 840773、UK−453,061、RDEA806、3)逆転写酵素のHIVヌクレオシド阻害剤、例えば、ジドブジン、エントリシタビン、ジダノシン、スタブジン、ザルシタビン、ラミブジン、アバカビル、アンドキソビル、エルブシタビン、アロブジン、MIV−210、ラシビル(±−FTC)、D−d4FC、エントリシタビン、ホスファジド、ホジブジンチドキシル、ホサルブジンチドキシル、アプリシチビン(AVX754)、アンドキソビル、KP−1461、アバカビル+ラミブジン、アバカビル+ラミブジン+ジドブジン、4)逆転写酵素のHIVヌクレオチド阻害剤、例えば、テノホビル、テノホビルジソプロキシルフマル酸+エントリシタビン、テノホビルジソプロキシルフマル酸+エントリシタビン+エファビレンズ、5)HIVインテグラーゼ阻害剤、例えば、クルクミン、クルクミンの誘導体、チコリ酸、チコリ酸の誘導体、3,5−ジカフェオイルキニン酸、3,5−ジカフェオイルキニン酸の誘導体、アウリントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸の誘導体、カフェイン酸フェネチルエステル、カフェイン酸フェネチルエステルの誘導体、チルホスチン、チルホスチンの誘導体、クエルセチン、クエルセチンの誘導体、S−1360、ジンテビル(AR−177)、L−870812、およびL−870810、MK−0518(ラルテグラビル)、BMS−707035、MK−2048、BA−011、BMS−538158、GSK364735C、6)gp41阻害剤、例えば、エンフビルチド、シフビルチド、FB006M、TRI−1144、SPC3、DES6、Locus gp41、CovX、およびREP 9、7)CXCR4阻害剤、例えば、AMD−070、8)侵入阻害剤、例えば、SP01A、TNX−355、9)gp120阻害剤、例えば、BMS−488043およびBlockAide/CR、10)G6PDおよびNADH−オキシダーゼ阻害剤、例えば、イムニチン、10)CCR5阻害剤、例えば、アプラビロク、ビクリビロク、INCB9471、PRO−140、INCB15050、PF−232798、CCR5mAb004、およびマラビロク、11)インターフェロン、例えば、ペグ化rIFN−α2b、ペグ化rIFN−α2a、rIFN−α2b、IFNα−2b XL、rIFN−α2a、コンセンサスIFNα、インフェルゲン、レビフ、ロクテロン、AVI−005、PEG−インフェルゲン、ペグ化IFN−β、経口インターフェロンα、フェロン、レアフェロン、インターマックスα、r−IFN−β、インフェルゲン+アクティミューン、DUROSを伴うIFN−Ω、およびアルブフェロン、12)リバビリン類似体、例えば、レベトールコペグス、VX−497、およびビラミジン(タリバビリン)、13)NS5a阻害剤、例えば、A−831、A−689、およびBMS−790052、14)NS5bポリメラーゼ阻害剤、例えば、NM−283、バロピシタビン、R1626、PSI−6130(R1656)、IDX184、PSI−7851、HCV−796、BILB 1941、MK−0608、NM−107、R7128、VCH−759、PF−868554、GSK625433、およびXTL−2125、15)NS3プロテアーゼ阻害剤、例えば、SCH−503034(SCH−7)、VX−950(テラプレビル)、ITMN−191、およびBILN−2065、16)α−グルコシダーゼ1阻害剤、例えば、MX−3253(セルゴシビル)、およびUT−231B、17)肝臓保護剤、例えば、IDN−6556、ME 3738、MitoQ、およびLB−84451、18)HCVの非ヌクレオシド阻害剤、例えば、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾ−1,2,4−チアジアジン誘導体、およびフェニルアラニン誘導体、19)HCVを治療するための他の薬物、例えば、ザダキシン、ニタゾキサニド(アリネア)、BIVN−401(ビロスタット)、DEBIO−025、VGX−410C、EMZ−702、AVI 4065、バビツキシマブ、オグルファニド、PYN−17、KPE02003002、アクチロン(CPG−10101)、KRN−7000、シバシル、GI−5005、ANA−975、XTL−6865、ANA 971、NOV−205、タルバシン、EHC−18、およびNIM811、19)薬物動態エンハンサー、例えば、BAS−100およびSPI452、20)RNAse H阻害剤、例えば、ODN−93およびODN−112、21)他の抗HIV剤、例えば、VGV−1、PA−457(ベビリマト)、アンプリゲン、HRG214、シトリン、ポリムン、VGX−410、KD247、AMZ 0026、CYT 99007、A−221 HIV、BAY 50−4798、MDX010(イピリムマブ)、PBS119、ALG889、およびPA−1050040からなる群から選択される、1つ以上の化合物と合わされてもよい。
【0190】
パラミクソウイルス科のウイルス感染の治療の場合、好ましくは、他の活性治療剤は、パラミクソウイルス科のウイルス感染、具体的には、呼吸器合胞体ウイルス感染および/またはパラインフルエンザウイルス感染に対して活性である。これらの他の活性治療剤の非限定的な例には、リバビリンおよび/またはパリビズマブが挙げられる。
【0191】
オルソミクソウイルス科のウイルス感染の治療の場合、好ましくは、他の活性治療剤は、オルソミクソウイルス科のウイルス感染、具体的には、インフルエンザウイルス感染に対して活性である。これらの他の活性治療剤の非限定的な例として、ウイルスノイラミニダーゼ阻害剤および/またはウイルスM2チャネル阻害剤がある。ノイラミニダーゼ阻害剤の非限定的な例には、オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、およびペラミビルが挙げられる。ウイルスM2チャネル阻害剤の非限定的な例には、アマンタジンおよびリマンタジンが挙げられる。
【0192】
ピコルナウイルス科のウイルス感染の治療の場合、好ましくは、他の活性治療剤は、ピコルナウイルス科のウイルス感染、具体的には、エンテロウイルス感染に対して活性である。これらの他の活性治療剤の非限定的な例として、プレコナリル、BTA−798、ならびにWuら(米国第7,078,403号)およびWatson(米国第7,166,604号)によって開示される他の化合物等のカプシド結合阻害剤がある。
【0193】
パラミクソウイルス科、オルソミクソウイルス科、およびピコルナウイルス科のウイルスの感染の多くは、呼吸器感染である。したがって、呼吸器症状および感染の続発症を治療するために使用される追加の活性治療剤は、式I〜Vの化合物と組み合わせて使用されてもよい。例えば、ウイルス呼吸器感染の治療のために式I〜Vの化合物と組み合わせられる他の好ましいさらなる治療剤には、限定されないが、気管支拡張剤およびコルチコステロイドが挙げられる。1950年に、喘息の治療として初めて導入されたグルココルチコイドは(Carryer,Journal of Allergy,21,282−287,1950)、依然として、この疾患に対してもっとも強力で確実に効果がある治療であるが、それらの作用機構は、依然として完全に理解されていない(Morris,J.Allergy Clin.Immunol.,75(1Pt)1−13,1985)。残念なことに、経口グルココルチコイド療法は、体幹の肥満、高血圧、緑内障、耐糖能障害、白内障形成の加速、骨塩量減少、および精神的影響等の深刻な望ましくない副作用と関連し、これらはすべて、長期間の治療剤としてのそれらの使用を制限する(Goodman and Gilman、10
th edition,2001)。全身性副作用の解決策は、炎症部位に直接ステロイド薬を送達することである。吸入コルチコステロイド(ICS)は、経口ステロイドの重大な副作用を軽減するために開発された。式I〜Vの化合物との組み合わせで使用可能なコルチコステロイドの非限定的な例として、デキサメタゾン、リン酸ナトリウム、フルオロメトロン、酢酸フルオロメトロン、ロテプレドノール、エタボン酸ロテプレドノール、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、フルドコルチゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルニソリド、フルオコルチン−21−ブチレート、フルメタゾン、ピバル酸フルメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸ハロベタゾール、フランカルボン酸モメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、シクレソニド、またはそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0194】
抗炎症カスケードを通して機能する他の抗炎症剤も、ウイルス呼吸器感染の治療のために式I〜Vの化合物と組み合わせたさらなる治療剤として有用である。ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、PDE−4、PDE−5、またはPDE−7特異的)、転写因子阻害剤(例えば、IKK阻害を通じてNFκBを妨害する)、またはキナーゼ阻害剤(例えば、P38 MAP、JNK、PI3K、EGFR、もしくはSykを妨害する)等の「抗炎症シグナル形質導入調節因子」(本文脈ではAISTMと称される)を適用することは、これらの小分子が、わずかな数の通常の細胞内経路、すなわち、抗炎症治療的介入に重要な点であるシグナル伝達経路を標的とするため、炎症を打ち消す論理的なアプローチである(P.J.Barnes,2006による概説を参照のこと)。これらの非限定的な追加的治療剤には、5−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1−イソブチル−1H−インダゾール−6−カルボン酸(2−ジメチルアミノ−エチル)−アミド(P38 Mapキナーゼ阻害剤ARRY−797)、3−シクロプロピルメトキシ−N−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−4−ジフルオロメトキシ−ベンズアミド(PDE−4阻害剤ロフルミラスト)、4−[2−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−2−フェニル−エチル]−ピリジン(PDE−4阻害剤CDP−840)、N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−(ジフルオロメトキシ)−8−[(メチルスルホニル)アミノ]−1−ジベンゾフランカルボキサミド(PDE−4阻害剤オグレミラスト)、N−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−2−[1−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル]−2−オキソ−アセトアミド(PDE−4阻害剤AWD12−281)、8−メトキシ−2−トリフルオロメチル−キノリン−5−カルボン酸(3,5−ジクロロ−1−オキシ−ピリジン−4−イル)−アミド(PDE−4阻害剤Sch 351591)、4−[5−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メタンスルフィニル−フェニル)−1H−イミダゾール−4−イル]−ピリジン(P38阻害剤SB−203850)、4−[4−(4−フルオロ−フェニル)−1−(3−フェニル−プロピル)−5−ピリジン−4−イル−1H−イミダゾール−2−イル]−ブト−3−イン−1−オール(P38阻害剤RWJ−67657)、4−シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシ−フェニル)−シクロヘキサンカルボン酸2−ジエチルアミノ−エチルエステル(2−ジエチル−エチルエステル(シロミラストのプロドラッグ、PDE−4阻害剤)、(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−[7−メトキシ−6−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−キナゾリン−4−イル]−アミン(ゲフィチニブ、EGFR阻害剤)、および4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミド(イマチニブ、EGFR阻害剤)が挙げられる。
【0195】
式I〜Vの化合物と、フォルモテロール、アルブテロール、またはサルメテロール等の吸入されるβ2−アドレナリン受容体作動薬気管支拡張剤を含む組み合わせは、呼吸器ウイルス感染の治療に有用な、好適であるが非限定的な組み合わせでもある。
【0196】
フォルモテロールまたはサルメテロール等の吸入されるβ2−アドレナリン受容体作動薬気管支拡張剤とICSとの組み合わせは、気管支収縮および炎症の両方の治療にも使用される(それぞれ、Symbicort(登録商標)およびAdvair(登録商標))。式I〜Vの化合物に加えて、これらのICSおよびβ2−アドレナリン受容体作動薬の組み合わせを含む組み合わせは、呼吸器ウイルス感染の治療に有用な、好適であるが非限定的な組み合わせでもある。
【0197】
肺気管支収縮の治療または予防の場合、抗コリン作用薬が実用的であり、したがって、ウイルス性呼吸器感染の治療のための式I〜Vの化合物と組み合わせたさらなる治療剤として有用である。これらの抗コリン作用薬には、限定されないが、ヒトにおいて、COPDにおけるコリン作動性状態の制御に治療効果を示している(Witek,1999)ムスカリン受容体の拮抗薬(特に、M3サブタイプのもの);1−{4−ヒドロキシ−1−[3,3,3−トリス−(4−フルオロ−フェニル)−プロピオニル]−ピロリジン−2−カルボニル}−ピロリジン−2−カルボン酸(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−アミド;3−[3−(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−2−フェニル−プロピオニルオキシ]−8−イソプロピル−8−メチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン(イプラトロピウム−N,N−ジエチルグリシネート);1−シクロヘキシル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクト−3−イルエステル(ソフィフェナシン);2−ヒドロキシメチル−4−メタンスルフィニル−2−フェニル−酪酸1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクト−3−イルエステル(レバトロペート(Revatropate));2−{1−[2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−イル)−エチル]−ピロリジン−3−イル}−2,2−ジフェニル−アセトアミド(ダリフェナシン);4−アゼパン−1−イル−2,2−ジフェニル−ブチルアミド(ブゼピド);7−[3−(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−2−フェニル−プロピオニルオキシ]−9−エチル−9−メチル−3−オキサ−9−アゾニア−トリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン(オキシトロピウム−N,N−ジエチルグリシネート);7−[2−(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−2,2−ジチオフェン−2−イル−アセトキシ]−9,9−ジメチル−3−オキサ−9−アゾニア−トリシクロ[3.3.1.02,4]ノナン(チオトロピウム−N,N−ジエチルグリシネート);ジメチルアミノ−酢酸2−(3−ジイソプロピルアミノ−1−フェニル−プロピル)−4−メチル−フェニルエステル(トルテロジン−N,N−ジメチルグリシネート);3−[4,4−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル]−1−メチル−1−(2−オキソ−2−ピリジン−2−イル−エチル)−ピロリジニウム;1−[1−(3−フルオロ−ベンジル)−ピペリジン−4−イル]−4,4−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−イミダゾリジン−2−オン;1−シクロオクチル−3−(3−メトキシ−1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1−フェニル−プロプ−2−イン−1−オール;3−[2−(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−2,2−ジチオフェン−2−イル−アセトキシ]−1−(3−フェノキシ−プロピル)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン(アクリジニウム(Aclidinium)−N,N−ジエチルグリシネート);または(2−ジエチルアミノ−アセトキシ)−ジチオフェン−2−イル−酢酸1−メチル−1−(2−フェノキシ−エチル)−ピペリジン−4−イルエステルが挙げられる。
【0198】
式I〜Vの化合物は、呼吸器感染症の感染および症状の両方を治療するために、粘液溶解剤と組み合わせることもできる。粘液溶解剤の非限定的な例には、アンブロキソールがある。同様に、式I〜Vの化合物は、呼吸器感染症の感染および症状の両方を治療するために、去痰薬と組み合わせてもよい。去痰薬の非限定的な例には、グアイフェネシンがある。
【0199】
患者に同時または連続投与するために、単位剤形で本発明の任意の化合物を1つ以上の他の活性治療剤と組み合わせることも可能である。併用療法は、同時または連続レジメンとして投与してもよい。連続的に投与する場合、併用薬は、2回以上の投与で投与されてもよい。
【0200】
本発明の化合物を1つ以上の他の活性治療剤と同時投与することは、概して、治療有効量の本発明の化合物および1つ以上の他の活性治療剤の両方が、患者の体内に存在するように、本発明の化合物および1つ以上の他の活性治療剤を同時または連続投与することを指す。
【0201】
同時投与は、1つ以上の他の活性治療剤の単位用量の投与前または後に本発明の化合物の単位用量を投与すること、例えば、1つ以上の他の活性治療剤の投与の数秒、数分、または数時間以内に、本発明の化合物を投与することを含む。例えば、本発明の化合物の単位用量を最初に投与し、数秒または数分以内に、1つ以上の他の活性治療剤の単位用量を投与してもよい。あるいは、1つ以上の他の治療剤の単位用量を最初に投与し、数秒または数分以内に、本発明の化合物の単位用量を投与してもよい。ある場合には、本発明の化合物の単位用量を最初に投与し、数時間(例えば、1〜12時間)後に、1つ以上の他の活性治療剤の単位用量を投与することが望ましくあり得る。他の場合において、1つ以上の他の活性治療剤の単位用量を最初に投与し、数時間(例えば、1〜12時間)後、本発明の化合物の単位用量を投与することが望ましくあり得る。
【0202】
併用療法は、「相乗効果」および「相乗性」を提供することができ、すなわち、活性成分が一緒に使用されるときに達成される効果は、化合物を別々に使用することによって得られる効果の合計を上回る。相乗効果は、活性成分が、(1)複合製剤で同時製剤化され、かつ投与もしくは送達される場合、(2)別個の製剤として交互にもしくは並行して送達される場合、または(3)他の何らかのレジメンによって得られ得る。交互療法で送達される場合、相乗効果は、化合物が、例えば、別個の錠剤、丸剤、もしくはカプセルで、または別個のシリンジでの別々の注入によって、連続的に投与または送達される場合に得られ得る。概して、交互療法中、各活性成分の有効用量は、連続的、すなわち、逐次的に投与されるが、併用療法の場合、2つ以上の活性成分の有効用量は、同時に投与される。相乗的な抗ウイルス効果とは、併用薬中の個別の化合物の予測される純粋な相加効果を上回る抗ウイルス効果を意味する。
【0203】
なおもさらに別の実施形態において、本出願は、細胞中のHCVポリメラーゼを阻害する方法を提供し、該方法は、HCVに感染した細胞を、式I〜Vの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルの有効量と接触させ、それによって、HCVポリメラーゼが阻害されることを含む。
【0204】
なおもさらに別の実施形態において、本出願は、細胞中のHCVを阻害する方法を提供し、該方法は、HCVに感染した細胞を、式I〜Vの化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/もしくはエステルの有効量、ならびに少なくとも1つの追加の活性治療剤と接触させ、それによって、HCVポリメラーゼが阻害されることを含む。
【0205】
なおもさらに別の実施形態において、本出願は、細胞中のHCVポリメラーゼを阻害する方法を提供し、該方法は、HCVに感染した細胞を、式I〜Vの化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/もしくはエステルの有効量、ならびにインターフェロン、リバビリン類似体、NS3プロテアーゼ阻害剤、NS5a阻害剤、α−グルコシダーゼ1阻害剤、シクロフィリン阻害剤、肝臓保護剤、HCVの他のヌクレオシド阻害剤、HCVの非ヌクレオシド阻害剤、およびHCVを治療するための他の薬物からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる活性治療剤と接触させることを含む。
【0206】
なおもさらに別の実施形態において、本出願は、患者におけるHCVを治療する方法を提供し、該方法は、患者に、治療有効量の式I〜Vの化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/もしくはエステルを投与することを含む。
【0207】
なおもさらに別の実施形態において、本出願は、患者におけるHCVを治療する方法を提供し、該方法は、患者に、治療有効量の式I〜Vの化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/もしくはエステル、ならびに少なくとも1つのさらなる活性治療剤を投与し、それによって、HCVポリメラーゼが阻害されることを含む。
【0208】
なおもさらに別の実施形態において、本出願は、患者におけるHCVを治療する方法を提供し、該方法は、患者に、治療有効量の式I〜Vの化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/もしくはエステル、ならびにインターフェロン、リバビリン類似体、NS3プロテアーゼ阻害剤、NS5a阻害剤、α−グルコシダーゼ1阻害剤、シクロフィリン阻害剤、肝臓保護剤、HCVの他のヌクレオシド阻害剤、HCVの非ヌクレオシド阻害剤、およびHCVを治療するための他の薬物からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる活性治療剤を投与することを含む。
【0209】
なおもさらに別の実施形態において、本出願は、患者におけるHCV感染を治療するための薬剤の調製のために、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/もしくはエステルの使用を提供する。
本発明の化合物の代謝物
【0210】
本明細書に記載の化合物の生体内代謝産物も、そのような産物が先行技術において新規かつ非自明である範囲で、本発明の範囲内に入る。そのような産物は、主に酵素プロセスに起因して、例えば、投与される化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化等の結果、生じ得る。したがって、本発明は、本発明の化合物を、その代謝産物を産出するのに十分な期間、哺乳動物と接触させることを含むプロセスによって産生される新規かつ非自明の化合物を含む。そのような産物は、典型的には、本発明の放射標識された(例えば、
14Cまたは
3H)化合物を調製し、ラット、マウス、テンジクネズミ、サル、またはヒト等の動物に、それを検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kgより大きい用量)で非経口投与し、代謝が起こるのに十分な時間(典型的には、約30秒〜30時間)を割り当て、尿、血液、または他の生体試料由来の変換産物を単離することによって識別される。これらの産物が標識化されているため、それらは容易に単離される(その他のものは、代謝物内に生存するエピトープに結合することができる抗体の使用によって単離される)。代謝物の構造は、従来の様式で、例えば、MSまたはNMR分析によって決定される。概して、代謝物の分析は、当業者に周知の従来の薬物代謝研究と同一の方法で行われる。変換産物は、それらが別途生体内で見出されない限り、それらが自らHCVポリメラーゼ阻害活性を有しない場合であっても、診断アッセイにおいて本発明の化合物の治療的投与に有用である。
【0211】
代理消化管分泌物における化合物の安定性を決定する製法および方法が知られている。化合物は、37℃で1時間インキュベートした時点で、保護基の約50モルパーセント未満が代理腸液または胃液中で脱保護される消化管内で安定していると本明細書で定義される。化合物が消化管に対して安定しているというだけで、それらが生体内で加水分解することができないわけではない。本発明のプロドラッグは、典型的には、消化器系で安定しているが、消化管腔、肝臓、もしくは他の代謝臓器内で、または一般に細胞内で実質的に加水分解されて、親薬物になり得る。
実施例
【0212】
ある特定の略語および頭字語が、実験の詳細を説明する際に使用される。それらの大半は当業者によって理解されるが、表3は、これらの略語および頭字語の多くの一覧を含有する。
表3 略語および頭字語の一覧
【表1-1】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-2】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-3】
[この文献は図面を表示できません]
【0213】
1’−CN置換ヌクレオシド(化合物G−C)を、Tetrahedron Letters,1993,8579に記載される方法に類似した方法に従って調製することができる。したがって、対応する1’−シアノヘキソース(化合物G−A)とNBS等の臭素化剤との反応から得られる適切に保護された1’−ブロモ−1’−シアノヘキソース(化合物G−B)を、四塩化スズ、シアン水銀、または銀トリフラート等のルイス酸を用いて、または用いることなく、シリル化ピリミジン塩基にカップリングする。その後、カップリングされた生成物を脱保護して、1’−CN置換ヌクレオシド(化合物G−C、スキーム1)を得る。個々の化合物G−Aの調製についての参照は、以下の実施例の項に引用される。
スキーム1
【化127】
[この文献は図面を表示できません]
1’−アルケニル、1’−ハロエテニルまたは1’−アルキニル置換ヌクレオシドの調製の一般方法
【0214】
1’−アルケニル、1’−ハロエテニル、または1’−アルキニル置換ヌクレオシドを、Journal of Organic Chemistry,2004,1831に記載される方法に類似した方法に従って調製することができる。したがって、適切に保護された1’,2’−不飽和ウリジンヌクレオシド(化合物G−D)を、1’,2’−エポキシド(化合物G−E)に変換し、適切なトリ(アルケニル)、トリ(ハロエテニル)またはトリ(アルキニル)アルミニウムと反応させて、1’−アルケニル、1’−ハロエテニル、またはアルキニル置換ウリジンヌクレオシド(化合物G−F)(スキーム2A)を得る。ウリジン類似体を、ヌクレオシド化学の実践において確立された一般方法に従って、対応するシチジン類似体(化合物G−G)に変換することができ、それらの詳細な手順うちのいくつかは、以下の実施例の項に記載される(スキーム2B)。
スキーム2A
【化128】
[この文献は図面を表示できません]
スキーム2B
【化129】
[この文献は図面を表示できません]
例示的な化合物の調製
化合物1
【化130】
[この文献は図面を表示できません]
【0215】
化合物1a(J.Organic Chemistry,1968,2490に従って調製されたもの)を、国際公開第WO200512308号に記載される反応条件に類似した反応条件に供し、化合物1b(収率74%)を得た。融点:101〜103℃。
【化131】
[この文献は図面を表示できません]
【0216】
化合物1bを、Tetrahedron Letters,1993,8579に記載される反応条件に類似した反応条件に供し、化合物1cを得た。融点:44〜49℃。
【化132】
[この文献は図面を表示できません]
【0217】
化合物1c(300mg、0.53mmol)をアルゴン下でマイクロ波バイアル内に設置し、無水ジクロロエタンおよびアセトニトリルの1:1混合物(12mL)で溶解した。2,6−ルチジン(0.3mL、2.6mmol)、続いて0.3mLのビス−TMSウラシルを添加した。その後、300mg(1.17mmol)のAg(OTf)を添加し、その混合物を密封し、マイクロ波反応器の使用を介して150℃になるまで30分間加熱した。この時間後、LC/MS分析により反応が完了したと判断した。反応物を濾過し、濾液を300mLのDCMで希釈した。有機層を、300mLの飽和重炭酸ナトリウム溶液、次いで、2倍の300mLのH
2O、その後、300mLの飽和ブライン溶液で洗浄した。有機相を疎水性膜フィルタに通過させて乾燥させ、揮発物を除去して、330mgの粗生成物を得た。40gのシリカカラムおよび7:3のヘキサン/EtOAc〜100%のEtOAcの勾配を用いたクロマトグラフィーにより、単一の異性体として90mgの1d(28%収率)を得た。
1H−NMR(400MHz、CD
3CN):
[この文献は図面を表示できません]
δ9.30(bs、1H)、8.15(m、1H)、8.08(m、2H)、7.78(d、J=8.4Hz、2H)、7.65(m、2H)、7.58(m、4H)、7.25(m、2H)、5.92(d、J=2.8Hz、1H)、5.72(d、J=8.4Hz、1H)、4.98(m、1H)、4.87(m、2H)、1.68(s、3H)。MS=596(M+H
+)。3.5分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=2.48分間。
【化133】
[この文献は図面を表示できません]
【0218】
室温のMeOH(1mL)中の化合物1d(40mg、0.07mmol)の溶液に、2mLの濃縮アンモニア水溶液を添加した。反応混合物を室温で20時間撹拌した。LC/MS分析は、反応が完了したことを示した。反応物を濃縮して残渣にし、40mgの粗生成物を水中に溶解し、逆相HPLCにより精製した。生成物画分の濃縮により、14mg(74%収率)のトリス脱ベンジル化生成物、化合物1を得た。
1H−NMR(400MHz、D
2O):□δ7.91(d、J=8.4Hz、1H)、5.78(d、J=8.4Hz、1H)、4.15(m、1H)、3.94(m、1H)、3.75(m、1H)、3.67(m、1H)、1.18(s、3H)。MS=282(M−H
+)。3.5分間のLC/MS方法におけるLC/MS保持時間(極性RPカラム)=0.52分間。
化合物2
【化134】
[この文献は図面を表示できません]
【0219】
0
oCのピリジン(8mL)中の化合物1c(250mg、0.4mmol)の溶液に、0.5g(2mmol、5当量)の4−Cl−フェニルホスホロジクロリダート、その後、350mg(5mmol、12.5当量)の1,2,4−トリアゾールを添加した。反応物を室温になるまで加温させ、さらに3時間撹拌した。LC/MS分析は、反応が完了したことを示した。反応物を濃縮して残渣にし、100mLのDCM中に溶解し、2×50mLの水、50mLの50%飽和NaHCO
3水溶液で洗浄し、その後、乾燥させ、濃縮して、340mgの粗中間生成物を得た。
【0220】
175mgの粗残渣を10mLの1:3の濃縮NH
4OH水溶液およびジオキサン混合物中に取り込んだ。反応物を5時間撹拌し、その時点で、溶媒を除去し、残渣をトルエンと共沸させて、160mgの中間生成物を得た。この時点で、メタノール中の10mLの7N NH
3を添加し、結果として得られた溶液を18時間撹拌した。LC/MSは、反応が完了したことを示し、結果として得られた物質を逆相HPLCにより精製した。生成物画分の濃縮により、23mg(28%全収率)のトリス脱ベンジル化生成物、化合物2を得た。
1H−NMR(400MHz、D
2O):
[この文献は図面を表示できません]
δ7.74(d、J=8.0Hz、1H)、5.84(d、J=8.0Hz、1H)、4.20(m、1H)、3.81(m、1H)、3.68(m、1H)、3.62(m、1H)、1.08(s、3H)。MS=281(M−H
+)。3.5分間のLC/MS方法におけるLC/MS保持時間(極性RPカラム)=0.37分間。
化合物3
【化135】
[この文献は図面を表示できません]
【0221】
化合物3a(Tetrahedron Letters,1993,8579に従って調製されたもの、16.4g、30mmol)を、400mLの高圧容器内で、それぞれ75mLのDCEおよびACN中に溶解した。これに、固体のビス(TMS)ウラシル(12g、47mmol)を添加し、最後にAg(OTf)(11g、43mmol)を添加した。反応物を密封し、135℃で90分間加熱した。その後、反応混合物を室温になるまで冷却し、AgBrを迅速に濾去した。その後、溶媒を真空下で除去し、結果として得られた残渣をEtOAcおよびNaHCO
3水溶液中に再溶解した。結果として得られた混合物をEtOAcで3回抽出し、その後、有機物を水(1回)、重炭酸ナトリウム水溶液(2回)、水(2回)、およびブライン(1回)で洗浄した後、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。その後、溶液を濾過し、蒸発乾燥させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Hex:EtOAc)により精製して、3b(12.8g、74%収率)を得た。MS[M+H
+]=581.9.
1H NMR:(400MHz、CD
3OD)δ8.15(1H、d、J=8.4Hz)、5.68(1H、d、J=8.4Hz)、4.52(1H、d)、4.26(1H、m)、4.06(1H、dd)、3.97(1H、dd、J=12.8、2.0Hz)、3.73(1H、dd、J=12.8、2.0Hz)。MS[M−H
+]=268.0。
【化136】
[この文献は図面を表示できません]
【0222】
化合物3bを、化合物1の調製に類似した方法で、化合物3に変換した。
化合物4
【化137】
[この文献は図面を表示できません]
ACN(100mL)中の化合物3b(2g、3.44mmol)の撹拌溶液に、TEA(0.96mL、6.88mmol)、その後、2,4,6トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(2.08g、6.88mmol)を添加した。最後に、DMAP(840mg、6.88mmol)を添加し、反応物を、室温で一晩、アルゴン下で撹拌させた。翌日、LCMSにより反応が完了したと判断し、溶媒を減圧下で除去した。その後、粗製物をアミノ化し、その後、化合物2の調製に記載される手順に従って脱ベンゾイル化した。結果として得られた粗生成物を水中に溶解し、分取HPLCにより精製して、化合物4(330mg、36%収率)を得た。MS[M−H
+]=267.0。
1H NMR:(400MHz、D
2O)δ7.84(1H、d、J=7.6Hz)、5.91(1H、d、J=7.6Hz)、4.44(1H、d)、4.26(1H、m)、3.96(1H、dd)、3.88(1H、dd、J=12.8、2.0Hz)、3.67(1H、dd、J=12.8、2.0Hz)。MS[M−H
+]=267.0。
化合物5
【化138】
[この文献は図面を表示できません]
【0223】
化合物5を、ビス(TMS)5−非置換ウラシルの代わりにビス(TMS)5−Fウラシルを用いて、化合物3の調製に類似した方法で調製した。
1H NMR:(400MHz、D
2O)δ8.16(1H、d、J=7.2Hz)、4.15(1H、m)、3.95(1H、dd、J=12.8、2.4Hz)、3.73(1H、dd、J=12.8、2.4Hz)、3.69(1H、d、J=8.8Hz)、1.19(3H、s)。
19F NMR:(376MHz、D
2O)δ−165.4ppm。
LC/MS:m/z(M−H)
−=300、保持時間=3.5分間のC18 HPLC方法において0.67分間。
化合物6
【化139】
[この文献は図面を表示できません]
【0224】
化合物6を、化合物4の調製に類似した方法で調製した。
1H NMR(400MHz、CD
3OD)δ8.47(d、J=7.5Hz、1H)、4.15(dt、J=8.5、2.5Hz、1H)、4.01(dd、J=12.8、2.3Hz、1H)、3.80(dd、J=12.8、2.6Hz、1H)、3.73(t、J=9.4Hz、1H)、1.24(s、3H)。MS=301(M+H
+)。3.5分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=0.50分間。
化合物7
【化140】
[この文献は図面を表示できません]
【0225】
濃縮した硫酸(0.7mL)を、アセトン(70mL)中の化合物3(2.57g、9.5mmol)の(濁った)溶液に添加した。結果として得られた溶液(透明)を室温で3時間撹拌した。反応物をトリエチルアミン(3.5mL)で中和し、溶媒を減圧下で除去した。結果として得られた黄色の油を、0〜100%の勾配で(ジクロロメタン中20%のメタノール)およびジクロロメタンの溶離液を用いてシリカゲルクロマトグラフィーに供した。生成物を含有する画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去して、化合物7a(2.13g、72%)を得た。
【化141】
[この文献は図面を表示できません]
【0226】
2−ヨードキシ安息香酸(IBX)(3g、4.8mmol、45重量%)を、滑らかな混合物が生じるまで酢酸エチル(15mL)を用いて15分間撹拌した。固体を吸引濾過により単離し、その後、アセトニトリル(20mL)中の化合物7a(500mg、1.6mmol)の溶液に添加した。混合物を80℃で30分間加熱した。反応混合物を氷浴中で冷却し、母液を吸引濾過により単離した。溶媒を減圧下で除去し、白色の固体をトルエンと共沸させた。この物質、化合物7bを即座に使用し、収率は、100%であると推定された。
【化142】
[この文献は図面を表示できません]
【0227】
臭化メチルマグネシウム(2.69mL、8.1mmol、ジエチルエーテル中3M)の溶液を、アルゴン雰囲気下で、テトラヒドロフラン(20mL)中の化合物7b(495mg、1.6mmol)の溶液に−20℃で添加した。5分後、混合物を室温になるまで加温させた。45分後、混合物を0℃になるまで冷却し、反応物を飽和塩化アンモニウム(10mL)で反応停止処理した。テトラヒドロフランを減圧下で除去し、水相を酢酸エチル(3×25mL)で抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。溶媒を減圧下で除去した。結果として得られた残渣を、水およびアセトニトリルの溶離液を用いて逆相HPLCに供した。生成物を含有する画分を合わせ、溶媒を凍結乾燥により除去して、化合物(R)−7c(35mg、7%)および化合物(S)−7c(15mg、3%)を得た。
【化143】
[この文献は図面を表示できません]
【0228】
水(1mL)中の化合物(S)−7c(15mg、0.046mmol)およびトリフルオロ酢酸(1mL)の溶液を室温で5.5時間撹拌した。溶液を水(5mL)およびアセトニトリル(5mL)で希釈し、溶媒を凍結乾燥により除去した。結果として得られた残渣を、水およびアセトニトリルの溶離液を用いて逆相HPLCに供した。生成物を含有する画分を合わせ、溶媒を凍結乾燥により除去して、化合物7(4.2mg、32%)を得た。
1H−NMR(400MHz、D
2O):□δ8.15(d、J=8.4Hz、1H)、5.59(d、J=8.4Hz、1H)、4.42(d、J=4.4Hzm、1H)、4.00(dd、J
1=2.8Hz、J
2=8.8Hz、1H)、3.94(dd、J
1=4.0Hz、J
2=8.4Hz、1H)、3.85(dd、J
1=2.4Hz、J
2=6.4Hz、1H)、1.27(d、J=6.4Hz、3H)。MS=281.8(M−H
+)。6.0分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=0.33分間。
化合物8
【化144】
[この文献は図面を表示できません]
【0229】
化合物8a(Journal of Medicinal Chemistry,2000,43,2566で報告された方法によって調製されたもの、1.0g、2.06mmol)を、室温でニトロメタン(20mL)中に溶解した。TMS−シアン化物(296mg、2.97mmol)、その後、BF
3エーテラート(0.246mL)を添加した。室温で撹拌し続けた。45分後、揮発物を真空内で除去した。粗物質をDCMに取り込み、溶液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒の濾過および蒸発により、粗物質である化合物8b(923mg)を得て、これをさらに精製することなく次にステップで使用した。
1H−NMR(400MHz、CDCl
3):□δ8.08(m、2H)、7.92(m、4H)、7.57(m、3H)、7.43〜7.35(m、6H)、6.00〜5.93(m、2H)、5.51(m、1H)、4.94(d、J=4.4Hz、1H)、4.53(m、1H)、1.52(d、J=6.8Hz、3H)ppm。6.0分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=4.87分間。
【化145】
[この文献は図面を表示できません]
【0230】
化合物8b(923mg、1.90mmol)を、Tetrahedron Letters,1993,8579に記載される反応条件に類似した反応条件に供して、化合物8c(768.0mg、1.36mmol)を得た。化合物8cを2個の異性体の混合物として得た。
1H−NMR(400MHz、CDCl
3):□δ8.10〜7.88(m、6H)、7.62〜7.34(m、9H)、6.33〜6.26(m、1H)、6.10&5.90(m、1H)、5.58(m、1H)、4.81〜4.75(m、1H)、1.56&1.52(d、J=6.8Hz、3H)ppm。6.0分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=5.14分間。
【化146】
[この文献は図面を表示できません]
【0231】
化合物8c(703mg、1.24mmol)、ビス−TMSウラシル(630mg、2.46mmol)、および銀(I)トリフラート(630mg、2.46mmol)を、アルゴン下でマイクロ波バイアル内に設置し、無水ジクロロエタン(5mL)およびアセトニトリル(5mL)を添加した。混合物をマイクロ波反応器の使用を介して135℃で30分間加熱した。反応混合物を室温になるまで冷却し、濾過し、揮発物を真空内で除去した。粗物質を、シリカゲル(溶離液:ヘキサン/EtOAc)上でのクロマトグラフィーにより精製して、単一の異性体として化合物8d(504mg、0.845mmol)を得た。
1H−NMR(400MHz、CDCl
3):□δ8.08(d、J=7.2Hz、2H)、8.03〜8.00(m、4H)、7.62〜7.37(m、10H)、6.36(d、J=5.6Hz、1H)、6.11(m、1H)、5.66(dq、J=7.2/2.8Hz、1H)、4.50(dd、J=8.4/2.4Hz、1H)、4.90(m、1H)、1.57(d、J=6.8Hz、3H)ppm。MS=596(M+H
+)。6分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=4.43分間。
【化147】
[この文献は図面を表示できません]
【0232】
室温のMeOH(1mL)中の化合物8d(65mg、0.109mmol)の溶液に、2mLの濃縮アンモニア水溶液を添加した。反応混合物を室温で8時間撹拌した。LC/MS分析は、ほぼすべての出発物質が消費されたことを示した。反応物を真空内で濃縮した。粗反応生成物を水中に溶解し、逆相HPLC(溶離液:水/MeCN)により精製した。
生成物を含有する画分を合わせ、凍結させ、凍結乾燥させて、化合物8(22.0mg、0.077mmol)を得た。
1H−NMR(400MHz、D
2O):□δ7.93(d、J=8.4Hz、1H)、5.75(d、J=8.4Hz、1H)、4.50(m、1H)、4.15(m、3H)、1.16(d、J=6.8Hz、3H)ppm。MS=282(M−H
+)。6分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=0.97分間。
化合物9
【化148】
[この文献は図面を表示できません]
【0233】
2,4,6−トリイソプロピルベンゼン−1−スルホニルクロリド(1.58g、5.2mmol)を、アセトニトリル(30mL)中の化合物8d(1.56g、2.6mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(640mg、5.2mmol)、およびトリエチルアミン(0.73mL、5.2mmol)の溶液に添加し、室温で30分間撹拌した。濃縮した水酸化アンモニウム水溶液(6mL)を添加し、15分後、アセトニトリルを減圧下で除去した。残渣を酢酸エチル(75mL)中に取り込み、水(20mL)、飽和塩化アンモニウム(20mL)、その後、ブライン(20mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、メタノールおよびジクロロメタンの溶離液を用いてシリカゲルクロマトグラフィーに供した。生成物を含有する画分を合わせ、溶媒を圧力下で除去して、化合物9a(920mg、60%)を得た。
【化149】
[この文献は図面を表示できません]
【0234】
濃縮した水酸化アンモニウム(30mL)を1,4−ジオキサン(15mL)中の化合物9a(460mg、7.7mmol)の溶液に添加した。溶液を密封容器内で50℃で撹拌した。9時間後、溶液を冷却し、溶媒を10mLになるまで濃縮した。混合物を0℃で5分間冷却し、濾過した。濾液を、水およびアセトニトリルの溶離液を用いて逆相HPLCに供した。生成物を含有する画分を合わせた。溶媒を凍結乾燥により除去して、化合物9(148mg、67%)を得た。
1H−NMR(400MHz、D
2O):□δ7.88(d、J=7.6Hz、1H)、5.91(d、J=8.0Hz、1H)、4.42(d、J=5.2Hz、1H)、4.16(m、1H)、4.09(m、2H)、1.16(d、J=7.2Hz、3H)。MS=283.1(M+H
+)。6.0分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=0.28分間。
化合物10
【化150】
[この文献は図面を表示できません]
【0235】
室温のピリジン/氷酢酸(55mL/13.5mL)中の化合物8d(4.32g、7.25mmol)の溶液に、ヒドラジン水和物(598mg、10.87mmol)を添加した。反応混合物を室温で40時間撹拌した。アセトン(4mL)を添加し、室温で撹拌し続けた。さらに2時間後、溶媒の体積を、真空内で、最初の体積の約1/3に減らした。混合物をEtOAcで希釈し、HCl水溶液(1N)および飽和重炭酸ナトリウム水溶液/ブライン(1/1)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒の濾過および蒸発により、粗化合物10a(3.33g、6.77mmol)を得た。この物質をさらに精製することなく次のステップで使用した。
1H−NMR(400MHz、CDCl
3):
[この文献は図面を表示できません]
δ8.43(m、1H)、8.17(d、J=6.8Hz、2H)、7.86(d、J=7.6Hz、2H)、7.61〜7.41(m、7H)、6.04(dd、J=5.2/1.2Hz、1H)、5.63(m、2H)、4.99(s、1H)、4.94(m、1H)、4.79(m、1H)、1.54(d、J=6.8Hz、3H)ppm。MS=489(M−H
+)。6分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=3.53分間。
【化151】
[この文献は図面を表示できません]
【0236】
室温のピリジン(40mL)中の化合物10a(3.25g、6.61mmol)の溶液に、塩化メタンスルホニル(1.51g、13.22mmol)を添加した。反応混合物を室温で撹拌した。3時間後、さらにメチルスルホニルクロリド(0.75g、6.61mmol)を添加し、室温で撹拌し続けた。5時間後、揮発物を真空内で除去した。粗反応混合物をEtOAcで希釈し、HCl水溶液(1N)および飽和重炭酸ナトリウム水溶液/ブライン(1/1)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒の濾過および蒸発により、粗物質を得て、これをシリカゲル(溶離液:EtOAc/ヘキサン)上でのクロマトグラフィーにより精製して、化合物10b(2.53g、4.27mmol)を得た。
1H−NMR(400MHz、CDCl
3):
[この文献は図面を表示できません]
δ9.22(m、1H)、8.07(d、J=7.6Hz、2H)、7.95(d、J=7.2Hz、2H)、7.61(m、2H)、7.47〜7.39(m、5H)、5.81〜5.72(m、3H)、5.29(d、d、J=8.4/1.6Hz、1H)、4.87(dd、J=9.2/3.2Hz、1H)、3.36(s、3H)、1.45(d、J=7.2Hz、3H)ppm。MS=570(M+H
+)。6分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=3.84分間。
【化152】
[この文献は図面を表示できません]
【0237】
室温のアセトニトリル(40mL)中の化合物10b(2.45g、4.30mmol)の溶液に、トリエチルアミン(2.45g、24.20mmol)を添加した。反応混合物を65℃で加熱した(油浴)。2時間後、反応物を室温になるまで冷却し、揮発物を真空内で除去した。粗反応混合物をEtOAcで希釈し、HCl水溶液(1N)および飽和重炭酸ナトリウム水溶液/ブライン(1/1)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒の濾過および蒸発により、生成物、化合物10c(1.78g、3.76mmol)を得た。
1H−NMR(400MHz、CDCl
3):
[この文献は図面を表示できません]
δ8.07(d、J=7.2Hz、2H)、7.92(d、J=7.2Hz、2H)、7.69〜7.37(m、7H)、6.01(d、J=7.6Hz、1H)、5.91(m、1H)、5.78(d、J=0.8Hz、1H)、5.43(m、1H)、4.81(m、1H)、1.40(d、J=6.4Hz、3H)ppm。MS=472(M−H
+)。6分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=4.09分間。
【化153】
[この文献は図面を表示できません]
【0238】
DMF(10mL)中の化合物10c(1.70g、3.59mmol)の溶液に、HCl水溶液(1N、10mL)を室温で添加した。結果として得られた懸濁液に、DMF(10mL)をさらに添加した。反応混合物を40℃で加熱した(油浴)。30分後、反応物を室温になるまで冷却し、EtOAcで希釈し、ブライン、LiCl水溶液(5%)、および飽和重炭酸ナトリウム水溶液/ブライン(1/1)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒の濾過および蒸発により、粗反応混合物を得て、これをシリカゲル(溶離液:EtOAc/ヘキサン)上でのクロマトグラフィーにより精製して、生成物、化合物10d(1.65g、3.37mmol)を得た。
1H−NMR(400MHz、CDCl
3):
[この文献は図面を表示できません]
δ10.08(s、1H)、8.13(d、J=7.2Hz、2H)、8.07(d、J=7.2Hz、2H)、7.57〜7.37(m、7H)、5.77(m、1H)、5.71(m、1H)、5.13(s、1H)、5.04(s、1H)、4.79(d,d、J=8.4/1.6Hz、1H)、4.59(m、1H)、1.52(d、J=6.8Hz、3H)ppm。MS=492(M−H
+)。6分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=3.71分間。
【化154】
[この文献は図面を表示できません]
【0239】
室温のMeOH(1mL)中の化合物10d(65.2mg、0.132mmol)の溶液に、2mLの濃縮アンモニア水溶液を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応物を真空内で濃縮した。粗反応生成物を水中に溶解し、逆相HPLC(溶離液:水/MeCN)により精製した。生成物を含有する画分を合わせ、凍結させ、凍結乾燥させて、化合物10(10.3mg、0.036mmol)を得た。
1H−NMR(400MHz、D
2O):
[この文献は図面を表示できません]
δ7.74(d、J=8.4Hz、1H)、5.76(d、J=8.4Hz、1H)、4.69(m、1H)、4.26(m、1H)、4.13(m、1H)、3.99(m、1H)、1.17(d、J=6.4Hz、3H)ppm。MS=284(M+H
+)。6分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=1.37分間。
化合物11
【化155】
[この文献は図面を表示できません]
【0240】
室温のピリジン(2mL)中の化合物10d(189.2mg、0.385mmol)の溶液に、無水酢酸(47.5mg、0.462mmol)を添加した。2時間後、揮発物を真空内で除去した。粗反応混合物をEtOAcで希釈し、HCl水溶液(1N)および飽和重炭酸ナトリウム水溶液/ブライン(1/1)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒の濾過および蒸発により、粗物質を得て、これをシリカゲル(溶離液:EtOAc/ヘキサン)上でのクロマトグラフィーにより精製して、化合物11a(185.5mg、0.348mmol)を得た。
1H−NMR(400MHz、CDCl
3):
[この文献は図面を表示できません]
δ8.15(m、3H)、8.04(d、J=7.6Hz、2H)、7.65〜7.44(m、7H)、5.99(s、1H)、5.81〜5.73(m、3H)、4.69(m、1H)、1.57〜1.54(m、6H)ppm。MS=533(M+H
+)。6分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=3.89分間。
【化156】
[この文献は図面を表示できません]
【0241】
室温のアセトニトリル(8mL)中の化合物11a(180.0mg、0.338mmol)、DMAP(82.4mg、0.676mmol)、およびトリエチルアミン(68.2mg、0.676mmol)の溶液に、トリイソプロピルフェニルスルホニルクロリド(204mg、0.676mmol)を添加した。室温で撹拌し続けた。30分後、反応物を0℃になるまで冷却した。濃縮したNH
3水溶液(2mL)を添加し、反応物を室温になるまで加温させた。さらに30分後、反応混合物の体積を真空内で減らした。粗反応混合物をEtOAcで希釈し、HCl水溶液(1N)および飽和重炭酸ナトリウム水溶液/ブライン(1/1)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒の濾過および蒸発により、粗物質を得て、これをシリカゲル(溶離液:EtOAc/ヘキサン)上でのクロマトグラフィーにより精製して、化合物11bおよびその2O’デス−アセチル誘導体(合わせて128.5mg)の混合物を得た。この混合物を次の反応で使用した。6分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=3.59分間(化合物11b)および3.42分間(デス−アセチル誘導体)。
【化157】
[この文献は図面を表示できません]
【0242】
室温のジオキサン(1mL)中の化合物11bおよびそのデス−アセチル誘導体(11.0mg、約0.230mmol)の溶液に、2mLの濃縮アンモニア水溶液を添加した。反応混合物を室温で1.5時間、および50℃で6時間撹拌した。反応物を室温になるまで冷却し、真空内で濃縮した。粗反応生成物を水中に溶解し、逆相HPLC(溶離液:水/MeCN)により精製した。生成物を含有する画分を合わせ、凍結させ、凍結乾燥させて、化合物11(22.7mg、0.081mmol)を得た。
1H−NMR(400MHz、D
2O):
[この文献は図面を表示できません]
δ7.68(d、J=7.6Hz、1H)、5.91(d、J=7.6Hz、1H)、4.70(s、1H)、4.23(m、1H)、4.10(m、1H)、3.98(m、1H)、1.17(d、J=6.4Hz、3H)ppm。MS=283(M+H
+)。6分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=0.62分間。
化合物12
【化158】
[この文献は図面を表示できません]
【0243】
化合物3(2.0g、7.4mmol)を乾燥ピリジン(24mL)中に溶解した。この混合物に、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン(2mL、1.3当量)を滴加した。溶液を室温で16時間撹拌した。その後、溶媒を真空下で除去し、結果として得られた残渣をEtOAc中に溶解し、H
2Oおよびブラインで洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、蒸発乾燥させた。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサンを用いたシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物12a(2.1g、55%収率)を得た。MS=510(M−H
+)。3.5分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=2.49分間。
【化159】
[この文献は図面を表示できません]
【0244】
トリエチルアミン(0.089mL、0.64mmol)を、CH
3CN(5mL)中の化合物12a(300mg、0.49mmol)の撹拌溶液に添加した。2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(192mg、0.64mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(78mg、0.64mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。エタノール(25mL)をさらなるトリエチルアミン(0.34mL)とともに混合物に添加した。溶液を室温で5時間撹拌した。その後、溶媒を真空下で除去し、結果として得られた残渣をEtOAc中に溶解し、濃縮NH
4Cl、H
2O、およびブラインで洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、蒸発乾燥させた。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサンを用いたシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物12b(250g、95%収率)を得た。MS=540(M+H
+)。3.5分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=2.69分間。
【化160】
[この文献は図面を表示できません]
【0245】
化合物12b(900mg、1.8mmol)を乾燥アセトン(20mL)中に溶解した。酸化銀(I)(3.3g、14mmol)をこの溶液に添加し、その後、ヨウ化メチル(2.5g、18mmol)を添加した。溶液を室温で16時間撹拌した。混合物を濾過して浮遊した酸化物を除去し、真空下で濃縮し、酢酸エチル/ヘキサンを用いたシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物12c(250g、26%収率)を得た。MS=554(M+H
+)。3.5分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=2.75分間。
【化161】
[この文献は図面を表示できません]
【0246】
化合物12c(220mg、0.40mmol)をメタノール(6mL)中に溶解し、結果として得られた溶液を0℃になるまで氷浴内で冷却した。塩酸(0.6mL、H
2O中1M)を滴加した。添加が完了した後、混合物を、室温になるまで加温させ、12時間撹拌した。溶媒を濃縮し、残渣をDCMで2回洗浄して、シリル不純物を除去した。粗製物を、MeOH/DCMを用いたシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物12(80mg、70%収率)を得た。MS=284(M+H
+)。3.5分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=0.90分間。
化合物13
【化162】
[この文献は図面を表示できません]
【0247】
化合物12(70mg、0.25mmol)を乾燥ピリジン(2mL)中に溶解した。この混合物に、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン(0.10mL、1.3当量)を滴加した。溶液を室温で2時間撹拌した。その後、溶媒を真空下で除去し、結果として得られた残渣をEtOAc中に溶解し、H
2Oおよびブラインで洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、蒸発乾燥させた。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサンを用いたシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物13a(120mg、55%収率)を得た。MS=526(M+H
+)。3.5分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=2.57分間。
【化163】
[この文献は図面を表示できません]
【0248】
トリエチルアミン(60mg、0.60mmol)を、CH
3CN(1mL)中の化合物13a(155mg、0.30mmol)の撹拌溶液に添加した。2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(179mg、0.60mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(72mg、0.0.60mmol)を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を蒸発乾燥させた。残渣をCH
3CN(3mL)中に溶解し、NH
3(28%の水溶液、6mL)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。その後、溶媒を真空下でを除去し、残渣をCH
2Cl
2中に溶解し、ブラインで洗浄した。有機相をNa
2SO
4上で乾燥させ、蒸発乾燥させた。粗生成物を、酢酸エチル/メタノール3:1を用いたシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物13b(80mg、52%収率)を得た。MS=556(M+H
+)。3.5分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=2.45分間。
【化164】
[この文献は図面を表示できません]
【0249】
化合物13b(240mg、0.46mmol)を無水THF(6mL)中に溶解した。テトラブチルアンモニウムジフルオロジフェニルシリケート(TBAT)を添加し(540mg、1.01mmol)、結果として得られた溶液を室温で20分間撹拌した。酢酸(0.06mL、1.0mmol)を添加した。混合物を濃縮し、残渣を水中に溶解した。不溶性の物質を濾過により除去した。濾液をHPLC(中立モード、RP極性カラム)により精製して、化合物13(30mg、24%収率)を得た。MS=283(M+H
+)。
1H NMR(400MHz、CD
3OD)δ8.14(d、J=7.7Hz、1H)、5.89(d、J=7.7Hz、1H)、4.16(dd、J=10.1、4.4Hz、2H)、3.80(s、3H)、3.73(dd、J=10.0、2.5Hz、1H)。3.5分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=0.48分間。
化合物14
【化165】
[この文献は図面を表示できません]
【0250】
アルゴンでパージした乾燥した丸底フラスコ(25mL)に、化合物1および無水ピリジン(4mL)を添加した。1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン(1.33mL、4.16mmol)を滴加し、反応物を0℃で2時間撹拌した。その後、氷浴を除去し、混合物を室温になるまで加温し、出発物質が完全に見えなくなるまで撹拌し続けた。加温してから10分後、反応物を10mLのH
2Oで希釈し、所望の物質を真空濾過して回収した。物質をさらに乾燥させるために、一晩高真空下に置いた。1.90g(96%収率)の所望の物質、化合物14aを回収した。MS=526.4(M−H
+)。6.0分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=5.09分間。
【化166】
[この文献は図面を表示できません]
【0251】
アルゴンでパージした乾燥した丸底フラスコ(50mL)に、化合物14a(1.7g、3.23mmol)、無水ジクロロメタン(10mL)、および無水アセトニトリル(10mL)を添加した。その後、ジメチルアミノピリジン(1.19g、9.7mmol)を分割して添加し、その後、クロロオキソ酢酸メチル(0.89mL、9.7mmol)を滴加した。出発物質が完全に見えなくなるまで、反応物を室温で撹拌させた。1.5時間後、粗反応混合物をEtOAcで希釈し、その後、NaHCO
3(飽和)、水、およびブラインで洗浄した。合わせた有機層をNaSO
4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。混合物をトルエンを用いて共沸乾燥させ、完全な状態にするために、高真空下に一晩置いた。1.72g(87%収率)の所望の物質、化合物14bを回収した。
1H−NMR(400MHz、CD3OD):
[この文献は図面を表示できません]
δ7.82(d、J=8.4Hz、1H)、5.78(d、J=8.4Hz、1H)、4.47(m、1H)、4.30(m、1H)、4.20(m、2H)、3.93(s、3H)、2.89(s、3H)、1.08(m、28H)。MS=609.8(M−H
+)。6.0分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=5.35分間。
【化167】
[この文献は図面を表示できません]
【0252】
アルゴンでパージした乾燥した丸底フラスコ(500mL)に、化合物14b(1.75g、2.86mmol)および無水トルエン(120mL)を添加した。その後、AIBN(118.8g、0.49mmol)およびBu
3SnH(2.3mL、8.78mmol)を添加し、フラスコを加熱ブロック内に設置し、100℃に設定した。3時間後、溶媒を減圧下で除去し、粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィー(Hex/EtOAc)を用いて精製した。所望の物質、化合物14cを、α異性体(900mg、62%、78:22β/α)に加えて回収した。カラム分離後のβ異性体:
1H−NMR(400MHz、CD3OD):
[この文献は図面を表示できません]
δ7.82(d、J=8.4Hz、1H)、5.73(d、J=8.4Hz、1H)、4.22(m、2H)、4.09(m、2H)、3.15(m、1H)、1.01(m、31H)。MS=507.9(M−H
−)。6.0分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=5.18分間。
【化168】
[この文献は図面を表示できません]
【0253】
アルゴンでパージした乾燥した丸底フラスコ(100mL)に、化合物14c(500mg、1.00mmol)および無水アセトニトリル(13mL)を添加した。その後、ジメチルアミノピリジン(244mg、2.0mmol)およびトリエチルアミン(0.28mL、2.0mmol)をフラスコに添加した。最後に、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド(0.28mL、2mmol)を混合物に添加し、溶液が黄色になった。出発物質が完全に見えなくなるまで、反応物を室温で撹拌し続けた。45分後、水酸化アンモニウム(2.6mL、20体積%)を0℃で添加し、反応物を室温になるまで緩徐に加温させた。さらに20分後、溶媒を減圧下で除去した。粗反応混合物をEtOAcで希釈し、その後、NaHCO
3(飽和)、水、およびブラインで洗浄した。合わせた有機層をNaSO
4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。その後、粗反応混合物をフラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH)を用いて精製した。380mg(75%収率)の所望の物質、化合物14dを回収した。
1H−NMR(400MHz、CD3OD):
[この文献は図面を表示できません]
δ7.77(d、J=8.4Hz、1H)、5.93(d、J=8.4Hz、1H)、4.23(m、2H)、4.07(m、2H)、3.17(m、1H)、1.25(m、1H)、1.09(m、27H)、0.96(m、3H)。MS=509.1(M−H
+)。6.0分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=4.83分間。
【化169】
[この文献は図面を表示できません]
【0254】
アルゴンでパージした乾燥した丸底フラスコ(50mL)に、化合物14d(180mg、0.35mmol)および無水テトラヒドロフラン(9mL)を添加した。その後、TBAF(0.23mL、0.778mmol)を添加し、出発物質が完全に見えなくなるまで、反応物を室温で撹拌させた。10分後、酢酸を添加して溶液を中和し、その後、溶媒を減圧下で除去した。粗反応混合物を水中に溶解し、不溶物を濾過し、濾液を分取HPLCを用いて精製した。80mg(86%)の所望の物質、化合物14を回収した。
1H−NMR(400MHz、CD3OD):
[この文献は図面を表示できません]
δ7.77(d、J=8.4Hz、1H)、5.94(d、J=8.4Hz、1H)、4.24(m、1H)、3.91(m、1H)、3.83(m、1H)、3.70(m、1H)、3.07(m、1H)、0.66(d、J=7.5Hz、3H)。MS=267.1(M+H
+)。3.0分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=0.40分間。
化合物15
【化170】
[この文献は図面を表示できません]
【0255】
化合物14dから化合物14への変換において記載される条件に類似した条件下で、化合物15を化合物14cから調製した。
1H−NMR(400MHz、CD3OD):
[この文献は図面を表示できません]
δ7.83(d、J=8.4Hz、1H)、5.78(d、J=8.4Hz、1H)、4.24(m、1H)、3.94(m、1H)、3.84(dd、1H)、3.71(dd、1H)、3.07(m、1H)、0.76(d、J=7.5Hz、3H)。MS=268.1(M+H
+)。3.0分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=0.79分間。
化合物16
【化171】
[この文献は図面を表示できません]
【0256】
化合物16を上述の合成順序に従って化合物3から得ることができ、その手順は、Journal of Organic Chemistry,1981,46,3603に記載される。簡潔に、ピリジン中の化合物3および塩化トリチル(約1.1当量)の溶液を室温で撹拌する。必要に応じて、塩化トリチルを約24時間および約48時間時点でさらに添加する。反応が完了した後、溶媒を除去し、残渣をジクロロメタンと水との間に分配する。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。その後、トリチル化された中間体を、DMF中の(チオカルボニル)ジイミダゾール(約1.4当量)で約1〜24時間処理して、通常の後処理後、2’,3’−O−チオカーボネートを得る。トルエン中のチオカーボネートの溶液を、約80〜約120℃で約30分〜5時間、トルエン中のトリ−n−ブチルスズ水素化物(3〜4当量)およびAIBNの触媒量の溶液で処理する。通常の後処理および精製により、2’−デオキシ生成物に加えて、3’−デオキシ生成物を得る。その後、所望の3’−デオキシ中間体を80〜95%のギ酸で処理して、化合物16を得る。
化合物17
【化172】
[この文献は図面を表示できません]
【0257】
化合物17を、化合物4の調製の手順に類似した手順に従って、化合物16から得る。
化合物18
【化173】
[この文献は図面を表示できません]
【0258】
化合物18を、化合物8の合成順序に類似した合成順序に従って、化合物8aの代わりに化合物18aを用いて調製する。
18aの調製
【化174】
[この文献は図面を表示できません]
【0259】
化合物18aを上述の反応順序によって得ることができる。オキセタン環の詳細な作成手順は、Organic Biomolecular Chemistry,2003,1,3513に記載されている。この調製における保護および脱保護は、ヌクレオシド化学の実践において確立された一般方法によって達成される。
化合物19
【化175】
[この文献は図面を表示できません]
【0260】
化合物19を、化合物4の調製の手順に類似した手順に従って、化合物18から得る。
1’−CN−4’−アジド置換ヌクレオシドの調製の一般方法
【0261】
1’−CN置換ヌクレオシドの4’位でのアジド基の組み込みは、化合物G−Hから化合物G−Iへの脱水、その後、G−Jへのアジドヒドロキシル化から成る(スキーム3)。化合物G−Jを、当該技術分野で確立された方法に従って調製する。関連参考文献には、Arch.Pharm.Res.,1995,364、Antiviral Chemistry and Chemotherapy,2009,99、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,2007,2570、Journal of Medicinal Chemistry,1992,1440、Journal of Medicinal Chemistry,2007,5463、Journal of Medicinal Chemistry,2009,2971、Synlett,2011,57、欧州特許第371366号,1990が挙げられる。
スキーム3
【化176】
[この文献は図面を表示できません]
化合物20
【化177】
[この文献は図面を表示できません]
化合物20
【0262】
化合物20を、化合物3から出発して、一般方法に従って調製する。
化合物21
【化178】
[この文献は図面を表示できません]
【0263】
化合物21を、化合物15から出発して、一般方法に従って調製する。
化合物22
【化179】
[この文献は図面を表示できません]
【0264】
化合物22を、化合物20から出発して調製する。2’−α−OHの立体化学は、化合物10の調製に類似した方法で、2’−β−OHに切り替えられる。
化合物23
【化180】
[この文献は図面を表示できません]
【0265】
化合物23bを、ジ−t−ブチル−ジクロロシランおよび硝酸銀を用いて、Tetrahedron Letters,1995,1683に記載される方法に類似した方法により、(Tetrahedron,2000,5363に従って調製された)化合物23aから得る。
【化181】
[この文献は図面を表示できません]
【0266】
化合物23cを、ジメチルジオキシランおよびトリエチニルアルミニウムを用いて、Journal of Organic Chemistry,2004,1831に記載される方法に類似した方法により、化合物23bから得る。
【化182】
[この文献は図面を表示できません]
【0267】
化合物23を、ピリジニウムポリ(フッ化水素)を用いて、Tetrahedron Letters,1995,1683に記載される方法に類似した方法により、化合物23cから得る。
化合物24
【化183】
[この文献は図面を表示できません]
化合物24
【0268】
化合物24を、化合物4の調製の手順に類似した手順に従って、化合物23から得る。
化合物25
【化184】
[この文献は図面を表示できません]
【0269】
化合物25を、トリエチニルアルミニウムの代わりにトリビニルアルミニウムを用いることを除いて、化合物23の調製に類似した方法により得る。
化合物26
【化185】
[この文献は図面を表示できません]
【0270】
化合物26を、化合物4の調製の手順に類似した手順に従って、化合物25から得る。
三リン酸ヌクレオチドの調製の一般手順:
【0271】
西洋ナシ形のフラスコ(5〜15mL)にヌクレオシド(約20mg)を充填する。リン酸トリメチル(0.5〜1.0mL)を添加する。溶液を氷水浴で冷却する。POCl
3(40〜45mg)を添加し、反応が完了するまで0℃で撹拌する(1〜4時間、反応の進行をイオン交換HPLCにより監視し、分析試料を、約3μLの反応混合物を取って、これを1.0MのEt
3NH
2CO
3(30〜50μL)と希釈することによって調製する)。その後、アセトニトリルまたはDMF(1〜1.5mL)中のピロリン酸塩−Bu
3N(250mg)およびBu
3N(90〜105mg)の溶液を添加する。混合物を0℃で0.3〜2.5時間撹拌し、その後、反応物を1.0MのEt
3NH
2CO
3(約5mL)で反応停止処理する。結果として得られる混合物を、室温になるまで加温しながら、さらに0.5〜1時間撹拌する。混合物を濃縮乾燥させ、水(4mL)中に再溶解し、イオン交換HPLCにより精製する。所望の生成物を含有する画分を濃縮乾燥させ、水(約5mL)中に溶解し、濃縮乾燥させ、水(約5mL)中に再溶解する。NaHCO
3(30〜50mg)を添加し、濃縮乾燥させる。残渣を水中に溶解し、再度濃縮乾燥させる。このプロセスを2〜5回繰り返す。その後、残渣を、C−18 HPLC精製に供して、ナトリウム塩として所望の生成物を得る。あるいは、粗反応混合物を最初にC−18 HPLCに、その後、イオン交換HPLC精製に供して、トリエチルアンモニウム塩として所望の生成物を得る。
化合物27
【化186】
[この文献は図面を表示できません]
【0272】
化合物27を、出発物質として化合物1を用いて、一般方法によって調製した。
1H NMR(400MHz、D
2O):δ7.82(d、1H)、5.75(d、1H)、4.1〜4.3(m、3H)、3.95(d、1H)、1.10(s、3H)。
31P NMR(162MHz、D
2O):δ−5.5(d)、−10.9(d)、−21.3(t)。MS=522.0(M−H
+)。
化合物28
【化187】
[この文献は図面を表示できません]
【0273】
化合物28を、出発物質として化合物2を用いて、一般方法によって調製した。
1H NMR(400MHz、D
2O):δ7.95(d、1H)、6.04(d、1H)、4.1〜4.4(m、3H)、3.87(d、1H)、3.10(NCH
2CH
3)、1.10(s、3H、NCH
2CH
3と重複)。
31P NMR(162MHz、D
2O):δ−10.7(d)、−11.5(d)、−23.2(t)。MS=521.0(M−H
+)。
ヌクレオシドプロドラッグPD−A型の調製の一般手順:
【0274】
本発明を含むモノホスホラミデートプロドラッグの非限定的な例を、一般スキーム4に従って調製することができる。
スキーム4
【化188】
[この文献は図面を表示できません]
【0275】
この一般手順は、約2〜10当量の好適な塩基の存在下での、アミノ酸エステル塩化合物100b、例えば、HCl塩と、アリールジクロロホスフェート化合物100aとの反応を含み、ホスホラミデート化合物100cをもたらす。好適な塩基には、イミダゾール、ルチジンおよびDMAP等のピリジン、トリエチルアミンおよびDABCO等の第3級アミン、ならびにDBNおよびDBU等の置換アミジンが含まれるが、これらに限定されない。第3級アミンが特に好ましい。好ましくは、それぞれのステップの生成物を、再結晶またはクロマトグラフィーを行うことなく、その後のステップで直接使用する。化合物100a、化合物100b、および化合物100cの具体的であるが、非限定的な例を、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第WO2006/121820号で見出すことができる。ヌクレオシドは、好適な塩基の存在下で、塩化リン化合物100cと反応する。好適な塩基には、イミダゾール、ルチジンおよびDMAP等のピリジン、トリエチルアミンおよびDABCO等の第3級アミン、ならびにDBNおよびDBU等の置換アミジンが含まれるが、これらに限定されない。生成物化合物PD−Aを、再結晶および/またはクロマトグラフィーにより単離することができる。
PD−Aの代替一般手順
【0276】
塩化リン化合物100cは、好適な塩基の存在下で、4−ニトロフェノール、2−ニトロフェノール、および2,4−ジニトロフェノール等の活性化フェノールと反応し、リンフェノラート化合物100dをもたらし、これは、さらなる精製に安定したものである。その後、化合物100dをヌクレオシドとカップリングし、NMP(約30mL/mmol)中のヌクレオシドの溶液を、氷浴を用いて0℃になるまで冷却する。この混合物に、THF(1.0M、ヌクレオシドに対して1.5〜2.5当量)中のt−BuMgClの溶液を滴加する。その後、THF(約15mL/mmol)中の化合物100d(ヌクレオシドに対して約1.5当量)の溶液を反応混合物に滴加する。結果として得られる混合物を室温になるまで加温させ、16時間撹拌する。その後、溶液をH
2O(約30mL/mmol)で反応停止処理し、逆相HPLC(H
2O中30〜60%のCH
3CN)により精製する。生成物画分を合わせ、真空下で濃縮し、その後、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(CH
2Cl
2中1〜35%のMeOH)を用いてさらに精製して、一リン酸塩プロドラッグ化合物PD−Aを得る。化合物100dのジアステレオマー混合物を、ヌクレオシドとのカップリングの前に、結晶化またはクロマトグラフィーにより、2個の単一の立体異性体化合物(S)−100dおよび化合物(R)−100dに任意に分けて、単一の立体異性体化合物(S)−PD−Aまたは化合物(R)−PD−Aを得る。
化合物29
【化189】
[この文献は図面を表示できません]
【0277】
NMP(4mL)中の化合物1(37mg、0.13mmol)の溶液を、氷浴を用いて0℃になるまで冷却した。この混合物に、THF(0.46mL、1.0M)中のt−BuMgClの溶液を滴加した。その後、THF(2mL)中の化合物100d−1(82mg、0.20mmol)の溶液を反応混合物に滴加した。結果として得られた混合物を室温になるまで加温させ、16時間撹拌した。その後、溶液をH
2O(4mL)で反応停止処理し、逆相HPLC(H
2O中30〜60%のCH
3CN)により精製した。生成物画分を合わせ、真空下で濃縮し、その後、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(CH
2Cl
2中2〜35%のMeOH)を用いてさらに精製して、ジアステレオマー混合物として化合物29(8mg、14%)を得た。
1H NMR(400MHz、CD
3OD)δ7.86(d、J=8.4Hz、1H)、7.36(t、J=7.9Hz、2H)、7.31〜7.14(m、3H)、5.62(d、J=8.4Hz、1H)、4.96(dt、J=12.5、6.3Hz、1H)、4.55(ddd、J=12.2、6.3、1.9Hz、1H)、4.45〜4.24(m、2H)、4.08(q、J=7.1Hz、1H)、3.98〜3.60(m、2H)、1.34(dd、J=7.1、0.6Hz、3H)、1.27〜1.17(m、9H)。
31P NMR(162MHz、CD
3OD)δ−4.16、−4.02。MS=551(M−H
+)。3.5分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=1.89分間。
化合物30
【化190】
[この文献は図面を表示できません]
【0278】
NMP(4mL)中の化合物2(40mg、0.14mmol)の溶液を、氷浴を用いて0℃になるまで冷却した。この混合物に、THF(0.49mL、1.0M)中のt−BuMgClの溶液を滴加した。その後、THF(2mL)中の化合物(S)−100d−1(86mg、0.21mmol)の溶液を反応混合物に滴加する。結果として得られた反応混合物を室温になるまで加温させ、16時間撹拌した。その後、この溶液をH
2O(4mL)で反応停止処理し、逆相HPLC(H
2O中30〜60%のCH
3CN)により精製した。生成物画分を合わせ、真空下で濃縮し、その後、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(CH
2Cl
2中2〜40%のMeOH)を用いてさらに精製して、化合物(S)−30(16mg、21%)を得た。
1H NMR(400MHz、CD
3OD)δ7.83(t、J=9.0Hz、1H)、7.35(t、J=7.9Hz、2H)、7.28〜7.12(m、3H)、5.87(dd、J=12.8、7.8Hz、1H)、4.96(dt、J=12.6、6.3Hz、1H)、4.64〜4.46(m、1H)、4.35(ddd、J=11.7、6.4、2.9Hz、2H)、3.91(dq、J=14.1、7.1Hz、1H)、3.66(d、J=7.7Hz、1H)、1.33(t、J=9.3Hz、3H)、1.21(dd、J=6.2、2.0Hz、6H)、1.11(s、3H)。
31P NMR(162MHz、CD
3OD)δ−4.00。MS=552(M+H
+)。3.5分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=1.80分間。
化合物(S)−100d−1の調製
【化191】
[この文献は図面を表示できません]
【0279】
アラニンイソプロピルエステル塩酸塩(7.95g、47.4mmol)をジクロロメタン(100mL)中に懸濁した。化合物100a(10g、47.4mmol)を添加した。その後、トリエチルアミン(13.2mL、95mmol)を15分間にわたって滴加した(内部反応温度:−10℃〜−3℃)。反応がほぼ完了した時点で(リンNMRにより)、p−ニトロフェノール(6.29g、45.0mmol)を固体として一度に添加した。結果として得られたスラリーに、トリエチルアミン(6.28mL、45mmol)を15分間にわたって添加した。その後、混合物を室温になるまで加温した。反応が完了した時点で、MTBE(100mL)を添加した。白色の沈殿物を濾過により除去した。濾過ケーキをMTBE(3×50mL)で洗浄した。濾液および洗浄物を合わせ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜50%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、1:1のジアステレオマー混合物(14.1g、77%)として化合物100d−1を得た。
1H NMR(300MHz、CDCl
3):δ8.22(2d、2H)、7.2−7.4(m、7H)、5.0(m、1H)、4.09(m、1H)、3.96(m、1H)、1.39(2d、3H)、1.22(m、6H)。MS=409.0(M+H
+)、407.2(M−H
+)。
化合物100d−1の2個のジアステレオマーの分離
【化192】
[この文献は図面を表示できません]
【0280】
2個のジアステレオマーを、以下の条件下で、キラルカラムクロマトグラフィーにより分離した:
カラム:Chiralpak IC、2×25cm
溶媒系:70%ヘプタンおよび30%イソプロパノール(IPA)
流速:6mL/分
1回当たりの装填容量:1.0mL
装填試料の濃度:70%ヘプタンおよび30%IPA中150mg/mL
【0281】
化合物(S)−100d−1:保持時間:43分間。
31P NMR(162.1MHz、CDCl
3):δ−2.99(s)。化合物(R)−100d−1:保持時間:62分間。
31P NMR(162.1MHz、CDCl
3):δ−3.02(s)。
【0282】
あるいは、2個のジアステレオマーを、以下の手順で、結晶化によって分離した。
【0283】
化合物100d−1をジエチルエーテル(約10mL/g)中に溶解した。その後、撹拌しながら、溶液が不透明になるまでヘキサンを添加した。種晶(化合物(S)−100d−1の約10mg/g)を添加して、結晶化を促進した。結果として得られた懸濁液を16時間緩やかに撹拌し、約0℃になるまで冷却し、さらに2時間撹拌し、濾過して、結晶性物質(結晶性物質の回収率:35%〜35%)を回収した。この結晶性物質は、約95%の化合物(S)−100d−1および約5%の化合物(R)−100d−1を含有する。再結晶化により、99%のジアステレオマー的に純粋な(S)−異性体を得た。
化合物31
【化193】
[この文献は図面を表示できません]
【0284】
NMP(5mL)中の化合物4(50mg、0.188mmol)の溶液を、アルゴン下で0℃になるまで冷却した。これに、3.5当量のt−BuMgClを滴加した。結果として得られた懸濁液に、THF(3mL)中に予め溶解した化合物(S)−100d−1(218mg、0.47mmol)を滴加した。その後、反応物を即座に50℃まで加熱し、反応進行をLCMSにより完了について監視した(45〜60分間)。反応が完了したと判断した時点で、反応物を冷却し、それぞれ0.5mLの水およびMeOHを反応物に添加し、反応物を濾過し、分取HPLCにより精製して、化合物(S)−31(43mg、43%収率)を得た。MS[M+H
+]=538.9
化合物32
【化194】
[この文献は図面を表示できません]
【0285】
1,4−ジオキサン(6mL)中の化合物9(148mg、0.52mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物(76mg、0.40mmol)、およびトリメチルオルトギ酸塩(6mL)の溶液を室温で1.5時間撹拌した。反応物をトリエチルアミン(0.06mL)で中和し、溶媒を減圧下で除去した。残渣をメタノール(8mL)に取り込み、室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣を、ジクロロメタン中のメタノールおよび1%トリエチルアミンの溶離液を用いて、シリカゲルクロマトグラフィーに供した。生成物を含有する画分を合わせ、溶媒を圧力下で除去して、化合物PD−9a(143mg、84%)を得た。
【化195】
[この文献は図面を表示できません]
【0286】
テトラヒドロフラン中のtert−ブチルマグネシウムクロリド(0.23mL、0.23mmol、1.0M)の溶液を、アルゴン下で、テトラヒドロフラン(2mL)中の化合物PD−9a(50mg、0.15mmol)溶液に添加した。白色の固体が生じた。30分後、テトラヒドロフラン(1mL)中の化合物(S)−100d−1(126mg、0.31mmol)の溶液を添加し、その混合物を50℃になるまで加熱した。20分後、その固体が溶解し、溶液は黄色であった。反応物を0℃になるまで冷却し、メタノール(1mL)で反応停止処理した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、ジクロロメタン中のメタノールの溶離液を用いて、シリカゲルクロマトグラフィーに供した。生成物を含有する画分を合わせ、溶媒を圧力下で除去して、化合物(S)−PD−9b(76.8mg、83%)を得た。
【化196】
[この文献は図面を表示できません]
【0287】
ギ酸(5mL、95%)および水(1mL)中の化合物(S)−PD−9b(76.8mg、0.13mmol)の溶液を20分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルと共沸させた。結果として得られた残渣を、アセトニトリルおよび水の溶離液を用いて、逆相クロマトグラフィーに供した。生成物を含有する画分を合わせた。溶媒を凍結乾燥により除去して、化合物(S)−32(8.3mg、31%)を得た。
1H−NMR(400MHz、DMSO):
[この文献は図面を表示できません]
δ7.92(d、J=7.6Hz、1H)、7.45(s、1H)、7.39(s、1H)、7.35(t、J=8.0Hz、2H)、7.16(m、3H)、6.72(d、J=5.2Hz、1H)、6.04(dd、J
1=10.0Hz、J
2=13.2Hz、1H)、5.68(d、J=7.6Hz、1H)、5.27(d、J=7.2HZ、1H)、4.83(m、2H)、4.22(m、2H)、3.87(m、1H)、3.75(m、1H)、1.38(d、J=6.8Hz、3H)、1.18(d、J=6.8Hz、3H)、1.11(m、6H)。
31P−NMR(400MHz、DMSO):
[この文献は図面を表示できません]
δ3.22(s)。MS=552.0(M+H
+)。6.0分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=2.52分間。
化合物33
【化197】
[この文献は図面を表示できません]
【0288】
化合物(S)−33を、出発物質として化合物8を用いたことを除いて、化合物(S)−32の調製手順に従って調製した。
1H−NMR(400MHz、DMSO):
[この文献は図面を表示できません]
δ11.53(d、18Hz)、7.91(m、1H)、7.30(m、2H)、7.12(m、3H)、6.74(d、J=6.0HZ、1H)、5.97(m、1H)、5.32(m、2H)、4.78(m、2H)、4.32(t、J=5.2Hz、1H)、3.89(m、1H)、3.73(m、1H)、1.31(m、3H)、1.47(m、3H)、1.07(m、6H)。
31P−NMR(400MHz、DMSO):
[この文献は図面を表示できません]
δ3.52(s)。MS=553.3(M+H
+)。6.0分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=2.76分間。
化合物34
【化198】
[この文献は図面を表示できません]
【0289】
NMP(1mL)中の化合物12(10mg、0.035mmol)の溶液を、氷浴を用いて0℃になるまで冷却した。この混合物に、THF(0.12mL、1.0M)中のt−BuMgClの溶液を滴加した。その後、THF(1mL)中の化合物(S)−100d−1(22mg、0.053mmol)の溶液を反応混合物に滴加した。結果として得られた混合物を、室温になるまで加温させ、16時間撹拌した。その後、この溶液をH
2O(2mL)で反応停止処理し、逆相HPLC(H
2O中30〜60%のCH
3CN)により精製して、化合物(S)−34(1mg、10%)を得た。
1H NMR(400MHz、CD
3OD)δ7.86(d、J=8.3Hz、1H)、7.36(t、J=7.9Hz、2H)、7.28〜7.11(m、3H)、5.59(d、J=8.3Hz、1H)、4.95(dt、J=12.5、6.2Hz、1H)、4.52(dd、J=10.8、5.9Hz、1H)、4.42〜4.21(m、2H)、4.02(dd、J=9.7、4.9Hz、1H)、3.89(dt、J=17.4、7.3Hz、1H)、3.78(s、3H)、1.41〜1.12(m、10H)。MS=553(M+H
+)。
31P NMR(162.1MHz、CDOD):δ4.03(s)。3.5分間のLC/MS方法(極性RPカラム)におけるLC/MS保持時間=2.04分間。
ヌクレオシドプロドラッグPD−B型の調製の一般手順:
【0290】
本発明を含む3’−O−アシル化モノホスホラミデートプロドラッグの非限定的な例を、一般スキーム5に従って調製することができ、
スキーム5
【化199】
[この文献は図面を表示できません]
式中、R
zは、(C
1−C
8)アルキルである。
【0291】
一般手順は、化合物PD−A(R
4=OH)と、塩化アシルもしくは酸無水物等のカルボン酸または活性化カルボキシレートとの反応を含み、これは、当業者に一般に知られている(Journal of Medicinal Chemistry,2006,49,6614およびOrganic Letters,2003,6,807)。R
8がNH
2であるとき、アミノ基の保護が必要であり得る。簡潔に、アセトニトリル(2mL)中の化合物PD−Aの溶液に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(約1.1当量)を添加し、室温で1時間撹拌する。6−アミノ基の保護が完了した時点で、混合物を濃縮乾燥させる。残渣に、DCC(約4当量)、アセトニトリル、およびカルボン酸(約2当量)等の脱水剤を添加する。混合物を室温で24〜48時間撹拌する。水(0.2mL)およびトリフルオロ酢酸(0.1mL)を0℃で添加し、室温で64時間撹拌する。重炭酸ナトリウムを0℃で添加する。混合物を室温で0.5時間撹拌し、濾過する。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物PD−Bを得た。塩化アシルまたは酸無水物を使用する場合、脱水剤の代わりにトリエチルアミン等の好適な塩基を添加する。
化合物35
【化200】
[この文献は図面を表示できません]
【0292】
アルゴン雰囲気下の室温のTHF(0.8mL)中の化合物(S)−30(34mg、0.062mmol)の溶液に、N,N−ジメチルホルムアミド−ジメチルアセタール(8.2μL、0.062mmol)を添加した。8時間後、N,N−ジメチルホルムアミド−ジメチルアセタール(10μL)をさらに添加し、16時間撹拌した。反応混合物を濃縮した。反応物をDCMに取り込み、濃縮した。このプロセスを2回繰り返した。結果として得られた残渣をTHF(0.8mL)に取り込み、アルゴン雰囲気下で0℃になるまで冷却した。この溶液に、トリエチルアミン(11μL、0.075mmol)およびDMAP(0.4mg、0.003mmol)を添加した。5分後、塩化イソブチリル(7.4μL、0.07mmol)を添加した。30分後、反応物を室温になるまで加温させ、3時間撹拌した。混合物を0℃になるまで冷却し、水中の5%のTFA溶液で反応停止処理し、その後、室温で4時間撹拌させた。結果として得られた混合物を固体重炭酸ナトリウムで中和し、水で希釈し、酢酸エチル(3倍)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をRP HPLC(アセトニトリル/水)により精製して、化合物(S)−35(32mg、83%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl
3):δ7.96(br s、1H)、7.76(d、1H)、7.13〜7.32(m、5H)、6.29(br s、1H)、5.94(s、1H)、5.87(d、1H)、5.00(m、2H)、4.48〜4.58(m、2H)、4.29(m、1H)、3.88〜4.05(m、2H)、2.67(m、1H)、1.39(d、3H)、1.22(12H)、1.02(s、3H)。
31P NMR(161MHz、CDCl
3):δ3.20(s)。
LC/MS=622(M
+H
+)。
ヌクレオシドプロドラッグPD−C型の調製の一般手順:
【0293】
本発明を含む3’,5’−環状モノホスホラミデートプロドラッグの非限定的な例を、一般スキーム6に従って調製することができる。
スキーム6
【化201】
[この文献は図面を表示できません]
【0294】
スキーム6は、化合物PD−Cの調製に有用であり得る化学プロセスを図解する。したがって、Arが電子求引性のp−ニトロまたはp−クロロ基で置換されるときに、化合物PD−Aを塩基の存在下で化合物PD−Cに変換する(European Journal of Medicinal Chemistry,2009,44,3769)。あるいは、ヌクレオシドを、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,2007,17,2452に従って、環状ホスフェート化合物71に変換し、その後、アミノ酸エステル塩とカップリングして、化合物PD−Cを形成する。
化合物36
【化202】
[この文献は図面を表示できません]
【0295】
DMSO中の化合物36aの溶液を、室温で、t−ブトキシドカリウム(約1当量)で処理し、結果として得られる混合物を約10分間〜約2時間撹拌する。その後、混合物を0℃になるまで冷却し、1N HClで中和して、約pH6にする。混合物をHPLCにより精製して、化合物36を得る。中間化合物36aを、化合物100a(ArO=4−クロロフェノール)、化合物100b(アラニン塩酸塩の2’−エチルブチルエステル)、および化合物2から出発して、プロドラッグ型化合物PD−Aの調製の一般方法により得る。
化合物37
【化203】
[この文献は図面を表示できません]
【0296】
化合物2をPO(OMe)
3(0.1〜0.5Mの溶液)中に溶解し、アルゴン下で0℃になるまで冷却する。この撹拌溶液に、POCl
3(1.0〜5.0当量)を滴加し、反応混合物を室温になるまで約2〜16時間加温する。結果として得られる溶液を、アセトニトリルおよび0.05〜0.5MのKOH水溶液の急速撹拌溶液に滴加する。滴加が完了した時点で、溶媒を減圧下で除去する。結果として得られる残渣を水中に溶解し、HPLCにより精製して、化合物71−2を得る。
【化204】
[この文献は図面を表示できません]
【0297】
DCMおよびPO(OMe)
3中の化合物71−2の溶液を調製し、0℃になるまで冷却する。この溶液に、塩化オキサリル(1.0〜5.0当量)、その後、DMFの触媒量を添加する。混合物を約10分間〜約1時間撹拌させる。活性化が完了した時点で、大量の2−プロパノールを反応混合物に添加し、撹拌させ、室温になるまで加温させる。溶媒を減圧下で除去し、結果として得られる粗物質を分取HPLCにより精製して、化合物37を得る。
化合物38
【化205】
[この文献は図面を表示できません]
【0298】
化合物38を、2−プロパノールの代わりに2−アミノプロパンを用いて、化合物37の調製に類似した方法で、化合物71−2から調製する。
化合物39
【化206】
[この文献は図面を表示できません]
【0299】
約1.25mmolの化合物1および約1.9mmolのトリエチルアンモニウム2−(2,2−ジメチル−3−(トリチルオキシ)プロパノイルチオ)ホスフィン酸エチル(国際公開第WO2008082601号)の混合物を、無水ピリジン(約19mL)中に溶解する。塩化ピバロイル(約2.5mmol)を約−30〜約0℃で滴加し、溶液を約30分間〜約24時間撹拌する。反応物を塩化メチレンで希釈し、塩化アンモニウム水溶液(約0.5M)で中和する。ジクロロメタン相を蒸発させ、残渣を乾燥させ、クロマトグラフィーにより精製して、化合物39を得る。
化合物40
【化207】
[この文献は図面を表示できません]
【0300】
無水四塩化炭素(約5mL)中の約0.49mmolの化合物39の溶液に、ベンジルアミン(約2.45mmol)を滴加する。反応混合物を約1〜約24時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、残渣をクロマトグラフィーにより精製して、化合物40を得る。
化合物41
【化208】
[この文献は図面を表示できません]
【0301】
ジクロロメタン(約10mL)中の約2mmolの化合物40の溶液を、トリフルオロ酢酸水溶液(90%、約10mL)で処理する。反応混合物を約25〜約60℃で約1〜約24時間撹拌する。反応混合物をエタノールで希釈し、揮発物を蒸発させ、残渣をクロマトグラフィーにより精製して、化合物41を得る。
化合物42
【化209】
[この文献は図面を表示できません]
【0302】
THF中の約90mMの化合物1を約−78℃になるまで冷却し、約2.2〜約5当量のt−ブチルマグネシウムクロリド(THF中約1M)を添加する。混合物を約0℃になるまで約30分間加温し、約−78℃になるまで再度冷却した。2−{[クロロ(1−フェノキシ)ホスホリル]アミノ}イソ酪酸エチル(国際公開第WO2008085508号)(THF中1M、約2当量)の溶液を滴加する。冷却を除去し、反応物を約1〜約24時間撹拌する。反応物を水で反応停止処理し、混合物を酢酸エチルで抽出する。抽出物を乾燥させ、蒸発させ、残渣をクロマトグラフィーにより精製して、化合物42を得る。
抗ウイルス活性
【0303】
本発明の別の態様は、ウイルス感染を阻害する方法に関し、該方法は、そのような阻害の必要性の疑いのある試料または対象を本発明の組成物で治療するステップを含む。
【0304】
本発明の文脈内で、ウイルスを含有する疑いのある試料には、生命有機体;組織または細胞培養物;生物学的物質試料等の生体試料(血液、血清、尿、脳脊髄液、涙液、痰、唾液、組織試料等);実験室試料;食物、水、または空気試料;細胞の抽出物、特に所望の糖タンパク質を合成する組換え細胞等の生物学的生成物試料等の天然または人工物質が含まれる。典型的には、該試料は、ウイルス感染、多くの場合、腫瘍ウイルス等の病原体を誘導する有機体を含有する疑いがある。試料は、水および有機溶媒水混合物を含む任意の媒体内に含有されてもよい。試料には、ヒト等の生命有機体、および細胞培養物等の人工物質が含まれる。
【0305】
所望の場合、組成物適用後の本発明の化合物の抗ウイルス活性を、そのような活性を検出する直接および間接的方法を含む任意の方法によって観察することができる。そのような活性を決定する定量的、定質的、および半定量的方法がすべて企図される。典型的には、上述のスクリーニング方法のうちの1つが適用されるが、生命有機体の生理学的特性の観察等の任意の他の方法も適用可能である。
【0306】
本発明の化合物の抗ウイルス活性を、既知の標準のスクリーニングプロトコルを用いて測定することができる。例えば、化合物の抗ウイルス活性を、以下の一般的なプロトコルを用いて測定することができる。
細胞に基づくフラビウイルス免疫検出アッセイ
【0307】
BHK21またはA549細胞をトリプシン処理し、計数し、2%のウシ胎児血清(FBS)および1%のペニシリン/ストレプトマイシンが補充されたHams F−12培地(A549細胞)またはRPMI−1640培地(BHK21細胞)で2×10
5細胞/mLに希釈する。2×10
4細胞/ウェルを透明な96ウェル組織培養物プレート中に分注し、37℃で5%CO
2に一晩置く。翌日、細胞を、様々な濃度の試験化合物の存在下において、37℃で1時間、5%CO
2でさらに48時間、0.3の感染多重度(MOI)でウイルスに感染させる。細胞をPBSで1回洗浄し、冷メタノールで10分間固定する。PBSで2回洗浄した後、固定した細胞を、1%のFBSおよび0.05%のTween−20を含有するPBSで、室温で1時間ブロッキングする。その後、一次抗体溶液(4G2)を、1%のFBSおよび0.05%のTween−20を含有するPBS中1:20〜1:100の濃度で3時間添加する。その後、細胞をPBSで3回洗浄し、続いて、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)共役抗マウスIgG(Sigma、1:2000の希釈)で1時間インキュベートする。PBSで3回洗浄した後、50マイクロリットルの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)基質溶液(Sigma)を、各ウェルに2分間添加する。0.5Mの硫酸を添加して、反応を停止する。ウイルス量定量化のために、プレートを450nmの吸光度で読み取る。測定後、細胞をPBSで3回洗浄し、その後、ヨウ化プロピジウムで5分間インキュベートする。細胞数の定量化のために、プレートをTecan Safire(商標)リーダー(励起537nm、発光617nm)で読み取る。用量応答曲線を、試験化合物の濃度の平均吸光度対ログからプロットする。EC
50を非線形回帰分析により計算する。N−ノニル−デオキシノジリマイシン等の陽性対照を用いてもよい。
細胞に基づくフラビウイルス細胞変性効果アッセイ
【0308】
西ナイルウイルスまたは日本脳炎ウイルスに対する効果を試験するために、BHK21細胞をトリプシン処理し、2%のFBSおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシンが補充されたRPMI−1640培地で4×10
5細胞/mLの濃度に希釈する。デング熱ウイルスに対する効果を試験するために、Huh7細胞をトリプシン処理し、5%のFBSおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシンが補充されたDMEM培地で4×10
5細胞/mLの濃度に希釈する。1ウェル当たり50マイクロリットルの細胞懸濁液(2×10
4個の細胞)を、96ウェルオプティカルボトムPITポリマーベースのプレート(Nunc)に分注する。細胞を、37℃および5%CO
2の培養培地で一晩増殖させ、その後、異なる濃度の試験化合物の存在下で、西ナイルウイルス(例えば、B956株)もしくは日本脳炎ウイルス(例えば、中山株)にMOI=0.3で、またはデング熱ウイルス(例えば、DEN−2 NGC株)にMOI=1で感染させる。ウイルス化合物を含有するプレートを37℃および5%CO
2で72時間、さらにインキュベートする。インキュベーションの最後に、100マイクロリットルのCellTiter−Glo(商標)試薬を各ウェルに添加する。内容物を軌道振盪機上で2分間混合して、細胞溶解を誘導する。プレートを室温で10分間インキュベートして、発光シグナルを安定化する。発光測定値をプレートリーダーを用いて記録する。N−ノニル−デオキシノジリマイシン等の陽性対照を用いてもよい。
デング熱感染のマウスモデルにおける抗ウイルス活性
【0309】
化合物を、デング熱ウイルス感染のマウスモデルにおいて生体内で試験する(Schul et al.J.Infectious Dis.2007;195:665−74)。6〜10週齢のAG129マウス(B&K Universal Ltd,Hll,UK)を、個別に換気されたケージ内に収容する。マウスに0.4mLのTSV01デング熱ウイルス2懸濁液を腹腔内注入する。血液試料を、イソフルラン麻酔下での逆軌道穿刺により採取する。血液試料をクエン酸ナトリウムを含有する管内に回収して0.4%の最終濃度にし、即座に6000gで3分間遠心分離して、血漿を得る。血漿(20マイクロリットル)を780マイクロリットルのRPMI−1640培地で希釈し、プラークアッセイ分析のために液体窒素内でスナップ凍結させた。残りの血漿をサイトカインおよびNS1タンパク質のレベル決定のために取っておく。マウスは、デング熱ウイルス血症を発現し、数日間にわたって上昇し、感染後3日目にピークに達した。
【0310】
抗ウイルス活性を試験するために、本発明の化合物を、ビヒクル流体、例えば、10%のエタノール、30%のPEG300、および60%のD5W(水中5%のデキストロース、または6NのHCl(1.5当量):1NのNaOH(pHを3.5に調整):100mMのクエン酸塩緩衝剤pH3.5(0.9v/v%:2.5v/v%:96.6v/v%)中に溶解する。36匹の6〜10週齢のAG129マウスを、6匹のマウスずつ6つの群に分ける。すべてのマウスを上述のデング熱ウイルスに感染させる(0日目)。第1群に、200mL/マウスの経口栄養補給により、0.2mg/kgの本発明の化合物を1日2回(1回目は早朝、2回目は午後遅くに)、0日目から開始して3日連続で投与する(最初の投与は、デング熱感染の直前)。第2群、第3群、および第4群に、同一の方法で、それぞれ、1mg/kg、5mg/kg、および25mg/kgの化合物を投与する。(2R,3R,4R,5R)−2−(2−アミノ−6−ヒドロキシ−プリン−9−イル)−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオール等の陽性対照を用いてもよく、先の群と同一の方法で200マイクロリットル/マウスの経口栄養補給により投与される。さらなる群をビヒクル流体のみで処理する。
【0311】
感染後3日目に、約100マイクロリットルの(クエン酸ナトリウムで抗凝固した)血液試料を、イソフルラン麻酔下での逆軌道穿刺により、マウスから採取する。血漿を各血液試料から遠心分離で得て、プラークアッセイ分析のために、液体窒素内でスナップ凍結する。回収した血漿試料を、Schulらが説明するように、プラークアッセイにより分析する。サイトカイもSchulが説明するように分析する。NS1タンパク質レベルをPlatelia(商標)キット(BioRad Laboratories)を用いて分析する。抗ウイルス効果は、サイトカインレベルおよび/またはNS1タンパク質レベルの減少により示される。
【0312】
典型的には、約5〜100倍、より典型的には、10〜60倍、最も典型的には、20〜30倍のウイルス血症の減少は、5〜50mg/kgの本発明の化合物を1日2回投与することで得られる。
HCV IC
50決定
【0313】
アッセイプロトコル:野生型またはS282T(Migliaccio,et al.,J.Biol.Chem.2003,49164−49170、Klumpp,et al.,J.Biol.Chem.2006,3793−3799)変異体ポリメラーゼ酵素のいずれかを本アッセイで用いた。NS5bポリメラーゼアッセイ(40μL)を、28μLのポリメラーゼ混合物(最終濃度:pH7.5の50mMのトリス−HCl、10mMのKCl、5mMのMgCl
2、1mMのDTT、10mMのEDTA、4ng/μLのRNA鋳型、および75nMのHCV Δ21 NS5bポリメラーゼ)を添加して組み立てて、プレートをアッセイし、その後、4μLに化合物を希釈した。ポリメラーゼおよび化合物を35℃で10分間再インキュベートした後、8μLのヌクレオチド基質混合物(K
Mでの33P−γ−標識化競合ヌクレオチドおよび0.5mMの残りの3個のヌクレオチド)を添加した。アッセイプレートを覆い、35℃で90分間インキュベートした。その後、反応物を、真空下で96ウェルDEAE−81フィルタプレートを通して濾過した。その後、フィルタプレートを、真空下で、複数の量の0.125MのNaHPO
4、水、およびエタノールで洗浄して、組み込まれていない標識を除去した。その後、プレートをTopCount上で計数して、バックグラウンド対照に対して生成物合成のレベルを評価する。IC
50値を、Prism当てはめプログラムを用いて決定する。
【0314】
好ましくは、本明細書に記載の化合物は、1000μM未満、より好ましくは100μM未満、最も好ましくは10μM未満のIC
50を有するNS5bポリメラーゼを阻害した。代表的な化合物のデータは、以下の表で見出される。
【表2-1】
[この文献は図面を表示できません]
【表2-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0315】
レプリコン細胞を、ジェネテシンを除いて、100μLの培養培地において8×10
3細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種した。化合物を100%のDMSO中で連続希釈し、その後、1:200の希釈比で細胞に添加し、DMSOの最終濃度0.5%および全容積200μLを得た。プレートを37℃で3日間インキュベートし、その後、培養培地を除去し、細胞を、Promegaのルシフェラーゼアッセイシステムによって提供される溶解緩衝液中で溶解した。製造業者の指示に従って、100μLのルシフェラーゼ基質を溶解した細胞に添加し、ルシフェラーゼ活性をTopCount照度計で測定した。好ましくは、本明細書に記載の化合物は、1000μM未満、より好ましくは100μM未満、および最も好ましくは10μM未満のEC50を有する。
代表的な化合物のデータは、以下の表に示される。
【表3-1】
[この文献は図面を表示できません]
【0316】
3倍に連続希釈した化合物を、5日間の処理後のこの化合物のCC
50値に近い濃度から始めて、96ウェルプレートに二重に調製した。100μM以上のCC
50を有する化合物について、開始濃度は100μMであった。PC−3細胞を、0.5%に等しい一定量のDMSOを有する1ウェル当たり100μLの最終アッセイ容量において、2.5×10
3細胞/ウェルの密度でプレーティングした。5日間のインキュベーション後、細胞を、培養細胞中の複合体IIおよびIVのタンパク質レベルを測定するために定量的免疫細胞化学を用いるMitoSciences MitoBiogenesis(商標)In−Cell ELISAキット(カタログ番号MS642)を用いて分析した。細胞を96ウェルプレート内に固定し、標的タンパク質を、高度に特異的な特徴のはっきりしたモノクローナル抗体を用いて検出した。IRDye(登録商標)標識化二次抗体を用いて、タンパク質レベルを定量化した。LI−COR(登録商標)Odyssey機器を用いて、IR画像化および定量化を行った。すべての比率を、0.5%のDMSO対照の割合として表した。細胞生存率が深刻な影響を受けた場合、低シグナルに関連した重大なエラーのため、ミトコンドリア発生のデータを分析に含まなかった。クロラムフェニコールを本アッセイの陽性対照として用いた。
【0317】
本発明の化合物の細胞毒性を、以下の一般的なプロトコルを用いて決定することができる。
細胞毒性細胞培養アッセイ(CC50の決定)
【0318】
本アッセイは、代謝基質を用いた試験化合物の細胞毒性効果の評価に基づく。
CC
50の決定のためのアッセイプロトコル:
1. 5%のウシ胎児血清および抗生物質が補充されたRPMI−1640培地にMT−2細胞を維持する。
2. この細胞を96ウェルプレート(1ウェル当たり100μLの培地において20,000個の細胞)に分配し、様々な濃度の試験化合物を三重に添加する(100μL/ウェル)。未処理の対照を含む。
3. 細胞を37℃で5日間インキュベートする。
4. XTT溶液(1アッセイプレート当たり6mL)を、2mg/mLの濃度で、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中で、暗所で調製する。溶液を、55℃で5分間、水浴内で加熱する。6mLのXTT溶液当たり50μLのN−メチルメチルフェナゾニウムメタサルフェート(5μg/mL)を添加する。
5. 100μLの培地をアッセイプレート上の各ウェルから除去し、1ウェル当たり100μLのXTT基質溶液を添加する。CO
2インキュベーター内で、37℃で45〜60分間インキュベートする。
6. 1ウェル当たり20μLの2%Triton X−100を添加して、XTTの代謝変換を停止する。
7. 吸光度を450nmで読み取り、650nmでバックグラウンドを差し引く。
8. 未処理の対照に対する吸光度の割合をプロットし、薬物濃度としてCC
50値を推定し、細胞増殖の50%の阻害をもたらす。吸光度が細胞増殖に正比例すると見なす。
【0319】
今回特許請求するR
6を有するヌクレオシド類似体が、R
6=Hの対照物よりも強化された細胞選択性を有し得ることが観察されている。以下の表に示されるように、構造的に密接に関連した化合物化合物A(R
6=H)および化合物30(R
6=CN)は、同一のレベルの抗ウイルス活性を有し、化合物Aは2.5μMのEC
50を示し、化合物30は2.6μMのEC
50を示した。しかしながら、これらの2個の化合物のミトコンドリア毒性は、相互間で驚くほどに異なった。化合物Aが、43μMでミトコンドリアタンパク質レベルの50%の阻害を示した一方で、化合物30は、ミトコンドリア発生アッセイにおいて試験する最大濃度である100μMでさえも阻害作用を示さなかった。
【表3-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0320】
MDCK細胞(Friedrich−Loeffler Institute,Riems,Germany)を、10%のウシ胎児血清、100U/mLのペニシリン、および100U/mLのストレプトマイシンが補充されたイーグル最小必須培地(EMEM)で増殖させる。プラーク減少アッセイで適用される培地に、約2μg/mLのトリプシンおよび約1.2mMの重炭酸塩を配合し、この培地は、血清を含有しない。
【0321】
A/Horneburg/IDT7489/08およびBrest/IDT490/08を、孵化鶏卵内で、かつ臨床症状を有するブタから得た鼻腔スワブから単離する。
【0322】
H1N1 A型インフルエンザウイルス/PR/8/34(Institute of Virology,Philipps University,Marburg)のストック、オセルタミビル耐性ヒトH1N1分離株(A/342/09(Robert Koch Institute,Berlin,Germany))ならびに
ブタH1N1分離株(A/ベルチヒ/2/01、A/ポツダム/15/81(Dr.Schrader,Bundesinstitut f
【数1】
[この文献は図面を表示できません]
r Risikoforschung,Berlin,Germany)
、A/ホルネブルク/IDT7489/08、およびブレスト/IDT490/08)をMDCK細胞中で繁殖させ、一定分量に分け、使用するまで−80℃で保存する。
【0323】
使用直前に、化合物ストックを水中で調製し、4℃で保存する。化合物のストック溶液をDMSO中で調製する。
試験化合物の細胞毒性ならびに抗ウイルス活性を、Schmidtke(Antivir.Res.2002,55,117−127)によって以前に説明されたように、3日齢のMDCK細胞単層上で決定する。簡潔に、CC
50を決定するために、96ウェルプレートで増殖させたコンフルエントな細胞単層を、化合物、試験化合物、またはオセルタミビル等の標準物の2倍の連続希釈(それぞれ三重に)で、72時間(37℃、5%のCO
2)インキュベートする。その後、細胞を固定し、クリスタルバイオレットホルマリン溶液で染色する。染料抽出後、個々のウェルの光学密度を、マイクロプレートリーダーを用いて、550/630nmで分光光度的に定量化する。個々の化合物で処理されたウェルの細胞生存率を、100%に設定した6個の偽処理された細胞対照から生じる光学密度の平均値の割合として評価する。CC
50を、未処理の細胞培養物の生存率を50%減少させる化合物濃度と定義する。これを、2個の独立したアッセイの平均用量−応答曲線から計算する。
【0324】
プラーク減少アッセイを、MDCK細胞上でのA型インフルエンザウイルス/プエルトリコ/8/34での抗ウイルス試験に用いる。細胞単層をウイルスの約70個のプラーク形成単位(pfu)で接種し、2倍の連続化合物濃度で補充された0.4%の寒天で覆い、それぞれ二重に試験する。1個の感染していない未処理の細胞対照ならびに3個の感染した未処理のウイルス対照をすべてのアッセイに含める。37℃で48時間のインキュベーション後、プレートを固定し、クリスタルバイオレットホルマリン溶液で染色し、ウイルスによって誘導されるプラークの数を計数し、化合物によって誘導されたプラーク減少を計算する。プラークの数を50%減少させるのに必要とされる濃度を、少なくとも2つの独立したアッセイの平均用量−応答曲線から計算する。
抗エンテロウイルスアッセイ
【0325】
臨床ウイルス分離株を、それらの最初の単離に使用する細胞株で1回継代して、作業ウイルスストックを確立し、その後、一定分量として−80℃でガラス製アンプル中に保存する。エンテロウイルス(EV)を、10%の加熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)が補充された最小必須培地(MEM)で増殖させたヒト胎児性横紋筋肉腫(RD)細胞中で繁殖させる。CVA9およびCVB分離株を、5%FBSを有するMEMで増殖させたLLC−MK
2D細胞で継代する。CVA9分離株を除いて、それらの最初の単離に使用する細胞株における薬物感受性についてウイルスをアッセイし、CVA9分離株をHeLa細胞でアッセイする。
ウイルス細胞変性効果アッセイ
【0326】
エンテロウイルスの式Iの化合物への感受性を、感染した細胞単層の薬物によるウイルスの細胞変性効果からの保護を測定する細胞培養アッセイで決定することができる。15個の最も一般に単離されるエンテロウイルス(Strikas,et al.,J.Infect.Dis.1986,153,346−351)の原型株の例が表IIに示されている。96ウェル組織培養プレート(Costar3598)を、HeLa細胞(5%FBSを有するMEM中)では2.8×10
4細胞/ウェル、LLC−MK
2D細胞(5%FBSを有するMEM中)では3.6×10
4細胞/ウェル、またはRD細胞(10%FBSを有するMEM中)では6×10
4細胞/ウェルの密度で播種する。これらの細胞をアッセイで使用する前に、5%CO
2の加湿雰囲気下で、37℃で24時間インキュベートする。
【0327】
アッセイにおいてウイルス接種を決定するために、個々のウイルスの0.5log
10連続希釈物を、1mL当たり30mMのMgCl
2および15μgのDEAEデキストランが補充された5%FBSを有する培地199(M199)(完全M199培地)中のそれぞれの細胞株上に八重にプレーティングする。プレートを3日間インキュベートし、その後、5%のグルタルアルデヒドで固定し、0.1%のクリスタルバイオレットで染色する。すすぎおよび乾燥後、570nm(OD
570)の波長でのウェルの光学密度をBio−Tek300プレートリーダー上で読み取る。15%以下の細胞培養対照値のOD
570読み取りを引き起こすウイルスの最高希釈物を、薬物感受性試験に使用する。
【0328】
薬物感受性を試験するために、96ウェルプレート中の細胞を、37℃の150μLの完全M199培地で適切なウイルス希釈物に感染させる。1時間のウイルス付着期間中、式Iの化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)中で可溶化して、本アッセイで試験する400倍の最高濃度にし、その後、U字底の96ウェルポリプロピレンプレート(Costar3790)中のDMSOで2倍に連続希釈して、10個の化合物希釈物を得る。その後、DMSO化合物希釈物の2マイクロリットルを198μLの完全M199培地内で希釈し、100倍の化合物希釈物を得る。ウイルス付着後、この薬物希釈物の50μLを150μLのウイルス接種に添加して、0.25%のDMSO中400倍の最終化合物希釈物を得る。各化合物濃度を四重に実行する。感染していない細胞および化合物の不在下でウイルスを受容した細胞を各プレートに含む。その後、プレートを、固定および染色前に、2.5%CO
2の加湿雰囲気下で、37℃で3日間インキュベートする。50%の阻害濃縮(IC
50)を、細胞単層の50%をウイルスによって誘導される細胞変性効果から保護する化合物の濃度と定義する。
表4:一般に単離されるエンテロウイルス
【表4-1】
[この文献は図面を表示できません]
【表4-2】
[この文献は図面を表示できません]
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の抗ウイルス活性および細胞毒性アッセイ
抗RSV活性
【0329】
RSVに対する抗ウイルス活性を、Hep2細胞における生体外細胞保護アッセイを用いて決定する。本アッセイにおいて、ウイルス複製を阻害する化合物は、ウイルスによって引き起こされる細胞殺滅に対する細胞保護効果を呈し、それを細胞生存率試薬を用いて定量化することができる。使用する方法は、既刊文献(Chapman et al.,Antimicrob Agents Chemother.2007,51(9):3346−53)で以前に説明された方法に類似する。
【0330】
Hep2細胞をATCC(Manassas、VI)から得て、10%のウシ胎児血清およびペニシリン/ストレプトマイシンが補充されたMEM培地中で維持する。細胞を週に2回継代し、サブコンフルエントな段階で保つ。市販のストックRSV株A2(Advanced Biotechnologies,Columbia,MD)を滴定した後、化合物を試験して、Hep2細胞において望ましい細胞変性効果を生み出すウイルスストックの適切な希釈を決定する。
【0331】
抗ウイルス試験について、アッセイの24時間前に、Hep2細胞を3,000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート中に播種する。別個の96ウェルプレート上で、試験する化合物を細胞培養培地で連続希釈する。3倍の連続希釈で増分する8個の濃縮物を各試験化合物毎に調製し、100μL/ウェルの各希釈物を、播種されたHep2細胞を有するプレートに二重に移す。その後、滴定によって先に決定されたウイルスストックの適切な希釈物を細胞培養培地内で調製し、細胞および連続希釈した化合物を含有する試験プレートに100μL/ウェルを添加する。各プレートは、それぞれ、0%および100%のウイルス阻害対照の機能を果たす、3個の感染した未処理の細胞のウェルおよび3個の感染していない細胞のウェルを含む。RSVでの感染後、試験プレートを組織培養インキュベーター内で4日間インキュベートする。インキュベーション後、RSVによって誘導される細胞変性効果を、Cell TiterGlo試薬(Promega,Madison,WI)を用いて決定し、その後、発光を読み取る。阻害の割合を、0%および100%の阻害対照に対して各試験濃度毎に計算し、各化合物のEC50値を、RSVによって誘導される細胞変性効果を50%阻害する濃度として、非線形回帰によって決定する。リバビリン(Sigma,St.Louis,MOから購入)を抗ウイルス活性の陽性対照として用いる。
【0332】
384ウェルフォーマットを用いて、化合物を、Hep2細胞におけるRSVに対する抗ウイルス活性についても試験した。3倍増分の10段階の連続希釈を用いて、それぞれ4個の隣接複製物における自動化によって、化合物をDMSO中で希釈した。8個の化合物を各希釈プレート毎に試験した。次に、0.4uLの希釈化合物を、Biomekを用いて、20μLの培地(Mediatech Inc.、グルタミン、10%のFBS、およびPen/Strepが補充されたMEM)を含有する384ウェルプレート(Nunc142761または164730 w/lid 264616)に刻印した。DMSOおよび80μMのGS−329467または10μMの427346等の好適な陽性対照化合物を、それぞれ、100%および0%の細胞殺滅対照に用いた。
【0333】
Hep2細胞(1.0×105細胞/mL)を上述のようにバッチ調製して、少なくとも40mLの過度の試料プレート(1プレート当たり8mLの細胞混合物)の数にし、ベンダー供給の(ABI)RSV株A2に感染させて、1:1000(ウイルス数:細胞数)または1:3000(ウイルス体積:細胞体積)のMOIに達した。ウイルスの添加直後、RSV感染したHep2細胞懸濁液を、uFlowディスペンサーを用いて、1ウェル当たり20μLで各刻印された384ウェルプレートに添加し、40μL/ウェルの最終体積を得て、それぞれ2000個の感染した細胞を有した。その後、プレートを37℃および5%のCO2で5日間インキュベートした。インキュベーション後、プレートをバイオセーフティーキャビネットフード内で1.5時間、室温に平衡化し、40μLのCell−Titer Glo生存率試薬(Promega)を、uFlowを用いて、各ウェルに添加した。10〜20分間のインキュベーション後、EnVisionまたはVictor発光プレートリーダー(Perkin−Elmer)を用いてプレートを読み取った。その後、データをアップロードし、RSV細胞感染性および8−プレートEC50−Hep2−384または8−プレートEC50−Hep2−想定プロトコル下で、生物情報学ポータル上で分析した。
【0334】
384ウェル方法を用いたRSVによって誘導される細胞変性効果に対する本発明の化合物の代表的な活性は、以下の表に示される。
【表5-1】
[この文献は図面を表示できません]
【表5-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0335】
抗ウイルス活性と並行して、感染していないHep2細胞における試験化合物の細胞毒性を、他の細胞型(Cihlar et al.,Antimicrob Agents Chemother.2008,52(2):655−65)について以前に説明された方法と同様の方法で、細胞生存率試薬を用いて決定する。細胞がRSVに感染していないことを除いて、抗ウイルス活性決定プロトコルと同一のプロトコルを、化合物細胞毒性の測定に用いる。代わりに、該ウイルスを有しない新鮮な細胞培養培地(100μL/ウェル)を、細胞および予め希釈された化合物を有する試験プレートに添加する。その後、細胞を4日間インキュベートし、続いて、細胞滴定Glo試薬を用いた細胞生存率試験および発光読み取りを行う。未処理の細胞および50ug/mLのピューロマイシン(Sigma,St.Louis,MO)で処理した細胞を、それぞれ、100%および0%の細胞生存率対照として用いる。細胞生存の割合を、0%および100%の対照に対して、各試験化合物濃度毎に計算し、CC
50値を、細胞生存率を50%減少させる化合物濃度として、非線形回帰によって決定する。
【0336】
上の本明細書で引用されるすべての出版物、特許、および特許文献は、参照により個別に組み込まれるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、様々な特定かつ好ましい実施形態および教示を参照して説明されている。しかしながら、当業者であれば、本発明の精神および範囲内に留まる限り、多くの変形および修正が行われてもよいことを理解する。