【実施例】
【0041】
実験パート:
出発物質の製造方法が詳しく記載されていない場合、当該化合物は、公知のものであるか、または、当該技術分野で知られている方法と同様に、または下記のように、製造され得る。
【0042】
下記の実施例は、本発明を例示するものであり、如何なる限定も伴わない。
【0043】
略語:
【表1】
【0044】
全ての化合物の化学名は、AutoNom(登録商標)を用いて命名した。
【0045】
NMRスペクトルは、室温で、Bruker Avance DPX 400分光計にて記録した。
【0046】
用いたLCMS法:
LC法1(Rt
(1)):保持時間(Rt)は、勾配液(溶媒A:水+0.1%ギ酸、溶媒B:アセトニトリル;t=0分:99%A、1%B;t=1分 98%A、2%B;t=2.25分 1%A、99%B;t=4.5分 0%A、100%B)を適用するWaters BEH C18 1.7μm 2.1×50mmカラム(流速=0.7ml/分;検出240〜350nm;DAD)を用いて、Waters ZQ 2000質量分析計と連結したWaters Acquity UPLCシステムにて得られた。
【0047】
LC法2(Rt
(2)):保持時間(Rt)は、勾配液(H
2O+0.05%ギ酸+3.75mM酢酸アンモニウム)/(CH
3CN+0.04%ギ酸)90/10〜5/95を溶媒流として1.2mL/分で1.7分間にわたって、次いで、5/95を溶媒流として1.4mL/分で0.7分間にわたって、40℃のオーブン温度で適用するAscentis(登録商標)ExpressカラムC18 2.7μm、30×2.1mm(Supelco)を有するAgilent HPLCシステムにて得られた。検出法UV 214〜350nm−MS。
【0048】
精製法:
分取逆相Gilson HPLC
Column SunFire prep C18 OBD 5μm、30×100mm(WATERSから)。移動相としてH
2O+0.1%TFAおよびアセトニトリル+0.1%TFAを用いた。検出法UV 220〜400nm
【0049】
実施例1:リン酸モノ−[3−[3−(4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタ−7−イル)−イソキノリン−1−イル]−4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イルメチル]エステル
【化6】
7−{1−[1−(ジ−tert−ブトキシ−ホスホリルオキシメチル)−4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル]−イソキノリン−3−イル}−4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.90g、2.42mmol)の1,2−ジクロロエタン(50mL)中溶液にアルゴン下にて0℃でTFA(8.27g、72.5mmol)を添加した。該反応混合物を、UPLC−MSが出発物質の完全な変換を示すまでアルゴン下にて0℃で3.5時間撹拌した。該反応混合物を1,2−ジクロロエタン(50mL)で希釈し、減圧濃縮して、粗製生成物を赤色固体として得た。該粗製反応生成物をMeOHに溶解し、結晶化が始まるまで徐々に減圧濃縮した。ペンタンを添加し、該固体を濾過し、Et
2Oで洗浄した。粗製生成物をDMSOに懸濁した後、30分間音波処理することにより、さらなる精製を行った。該固体を濾過し、Et
2Oで洗浄し、高真空下(<1mmHg)にて乾燥させて、標記化合物を暗赤色固体として得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):12.10(s,1H)、8.08(d,1H)、7.65−7.61(m,2H)、7.44(t,1H)、7.20(s,1H)、7.06(t,1H)、6.74(d,1H)、6.43(t,1H)、6.00(d,1H)、5.29(d,2H)、3.87−3.01(m,6H)、2.37(s,3H)、0.97−0.62(m,4H)。
31P−NMR(162MHz,DMSO−d6):−6.0.LCMS:[M+1]
+=574.0、Rt
(1)=1.77分、Rt
(2)=0.71分。
【0050】
7−{1−[4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル]−イソキノリン−3−イル}−4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタン−4−カルボン酸tert−ブチルエステルの製造
【化7】
7−{1−[1−ヒドロキシメチル−4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル]−イソキノリン−3−イル}−4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(7.30g、12.30mmol)のアセトニトリル(60mL)中溶液にアルゴン下にて室温でDBU(0.374g、0.371mL、2.46mmol)のトリクロロアセトニトリル(17.8g、12.3mL、123mmol)中溶液を滴下した。該反応混合物を、TLC(SiO
2、EtOAc/シクロヘキサン 6:4)が完全な変換を示すまで室温で5時間撹拌した。該反応混合物を減圧下にて蒸発乾固させ、残留物をアセトニトリル(60mL)に懸濁させた。リン酸ジ−tert−ブチルエステル(3.36g、15.99mmol)を添加し、該反応混合物を、TLC(SiO
2、EtOAc/シクロヘキサン 6:4)が反応の完了を示すまでアルゴン下にて室温で約3.5時間撹拌した。該反応混合物を減圧濃縮し、残留物をEtOAcと水とに分配した。層を分取し、有機相を水(5回)で洗浄した。有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、減圧濃縮して、赤色固体を得た。粗製生成物をFCC(Biotage SP4
TMシステム、SiO
2、シクロヘキサン/EtOAc 20:80)によって精製して、標記化合物を赤色固体として得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):12.03(s,1H)、8.08(d,1H)、7.70−7.65(m,2H)、7.47(t,1H)、7.11(s,1H)、7.11−7.07(m,1H)、6.77(d,1H)、6.44(t,1H)、5.97(d,1H)、5.39(d,1H)、3.49−3.08(m,6H)、2.39(s,3H)、1.45(s,18H)、1.41(s,9H)、0.87−0.56(m,4H)。
31P−NMR(162MHz,DMSO−d6):−12.1。LCMS:[M+1]
+=786.4、Rt
(1)=2.53分、Rt
(2)=1.62分。
【0051】
7−{1−[1−ヒドロキシメチル−4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル]−イソキノリン−3−イル}−4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタン−4−カルボン酸tert−ブチルエステルの製造
【化8】
7−{1−[4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル]−イソキノリン−3−イル}−4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(3.00g、5.32mmol)のMeOH(25mL)中溶液にアルゴン下にて室温でホルムアルデヒドの37%水溶液(9.5g、8.72mL、117mmol)を添加した。該反応混合物を85℃に加熱し、4時間撹拌した。該反応混合物を連続撹拌下にて室温に冷却し、濾過した。該固体を氷水で洗浄し、高真空下(<1mmHg)にて乾燥させて、標記化合物を暗赤色結晶として得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):11.96(s,1H)、8.05(s,1H)、7.69−7.64(m,2H)、7.47(t,1H)、7.12−7.06(m,2H)、6.76(d,1H)、6.42(t,1H)、6.01(d,1H)、5.00(d,2H)、3.49−3.10(m,6H)、2.39(s,3H)、1.41(s,9H)、0.89−0.57(m,4H)。LCMS:[M]
+=593.7、Rt
(1)=2.34分。
【0052】
7−{1−[4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル]−イソキノリン−3−イル}−4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタン−4−カルボン酸tert−ブチルエステルの製造
【化9】
二炭酸ジ−tert−ブチル(2.77g、10.8mmol)およびトリエチルアミン(2.18g、21.6mmol)をアルゴン下にて室温で3−[3−(4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタ−7−イル)−イソキノリン−1−イル]−4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオン(5.0g、10.8mmol)のTHF(50mL)中溶液に添加した。該反応混合物を16時間撹拌し、減圧濃縮した。残留物をNH
4Cl飽和水溶液とCH
2Cl
2とに分配した。層を分配し、水層をCH
2Cl
2で抽出した。合わせた有機層をNaHCO
3飽和水溶液およびブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧濃縮して、標記化合物を橙色の固体として得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):11.88(s,1H)、11.15(s,1H)、8.00(d,1H)、7.68−7.65(m,2H)、7.46(t,1H)、7.09(t,1H)、7.06(s,1H)、6.73(d,1H)、6.41(t,1H)、6.01(d,1H)、3.48−3.16(m,6H)、2.38(s,3H)、1.40(s,9H)、0.87−0.54(m,4H)。LCMS:[M+1]
+=563.9、Rt
(1)=3.51分、Rt
(1)=2.36分、Rt
(2)=1.37分。
【0053】
実施例2:3−[3−(4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタ−7−イル)−イソキノリン−1−イル]−1−ヒドロキシメチル−4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオン
【化10】
7−{1−[1−ヒドロキシメチル−4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル]−イソキノリン−3−イル}−4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(500mg、0.842mmol)の1,2−ジクロロエタン(5mL)中溶液にTFA(1.44g、0.973mL、12.7mmol)をアルゴン下にて0℃で添加した。該反応混合物をアルゴン下にて0℃で1時間撹拌した後、さらなるTFA(0.768g、0.52mL、6.74mmol)を添加した。0℃で1.5時間撹拌し続けた。該反応混合物を減圧下にて蒸発乾固させ、粗製生成物をMeOHから結晶化させて、標記化合物を赤色固体として、TFA塩を暗赤色固体として得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):12.01(d,1H)、9.06(bs,2H)、8.11(d,1H)、7.71−7.66(m,2H)、7.51(t,1H)、7.27(s,1H)、7.14(t,1H)、6.77(d,1H)、6.45−6.39(m,2H)、5.92(d,1H)、5.00(d,2H)、3.84−3.54(m,6H)、2.39(s,3H)、0.96−0.67(m,4H)。LCMS:[M+1]
+=493.7、Rt
(1)=1.84分。
【0054】
実施例3:3−[3−(4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタ−7−イル)−イソキノリン−1−イル]−4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオン
【化11】
標記化合物の合成は、WO03082859において実施例69として記載されている。
【0055】
実施例4:リン酸モノ−{3−(1H−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イルメチル}エステル
【化12】
アルゴン下にて、リン酸ジ−tert−ブチルエステルクロロメチルエステル(1.24g、4.81mmol)およびCs
2CO
3(3.14g、9.63mmol)を3−(1H−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオン(2.0g、4.01mmol)のアセトン(40mL)中溶液に添加した。該反応混合物をアルゴン下にて50℃で16時間撹拌し、次いで、減圧濃縮した。残留物をEtOAcとNH
4Cl飽和水溶液とに分配し、層を分取し、有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させた。減圧濃縮して、粗製生成物を赤色の泡沫体として得た。該粗製生成物を上記逆相Gilson HPLCによって精製した。所望のフラクションを真空濃縮した後、赤色固体を得た。UPLC−MSは、t−ブチルエステル基の部分開裂が生じたことを示した。このようにして得られた混合物(280mg)を1,2−ジクロロエタン(4mL)とアセトニトリル(2.0mL)との混合物に溶解した。TFA(145mg、98μL、1.27mmol)を添加し、得られた溶液をアルゴン下にて0℃で3時間撹拌し、UPLC−MSは、出発物質の完全な変換が生じたことを示した。該反応混合物を1,2−ジクロロエタン(4.0mL)で希釈し、減圧濃縮して、粗製生成物を赤色固体として得た。該粗製反応生成物をMeOH(3mL)に溶解し、結晶化が開始されるまで徐々に減圧濃縮した。結晶を濾過し、Et
2Oおよびペンタンで洗浄して、標記化合物を橙色の固体として得た。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):12.27(s,1H)、8.21(s,1H)、7.72−7.66(m,2H)、7.58(d,1H)、7.40(d,1H)、7.14(t,1H)、7.02(t,1H)、6.65(t,1H)、6.24(d,1H)、5.34(d,2H)、4.14−3.72(bs,4H)、3.00−2.73(bs,4H)、2.60(s,3H)。
31P−NMR(162MHz,DMSO−d6):−2.7。LCMS:[M]
+=548.6、Rt
(1)=1.72分、Rt
(2)=0.73分。
【0056】
実施例1の化合物の結晶体の製造:
リン酸モノ−[3−[3−(4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタ−7−イル)−イソキノリン−1−イル]−4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イルメチル]エステル(実施例1)2gをエタノール800mlと水200mlとの混合物中に分散させた。この懸濁液を室温3日間撹拌した。その後、該懸濁液を焼結ガラスフィルターで濾過し、このようにして得た結晶を通常の大気流にて乾燥させた。これらの結晶1gに80%エタノール/20%水(vol/vol)の溶液4mlを添加し、得られた混合物を大気圧下にて蒸発乾固させて、実施例1の化合物の一水和物を得た。
【0057】
図1
上記結晶性一水和物のX線回折図を
図1に示し、角度2θに対するピークを表1に記載する。
【0058】
【表2】
【0059】
したがって、別の実施態様では、本発明は、好ましくは、特に
図1に示されるような、9.525、16.356、17.091、18.005、20.859(各々、±0.2)の屈折角2θでのピークのうち、少なくとも1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ、さらに好ましくは4つ、特に5つ、最も好ましくは全てを有するX線粉末回折パターンを有する、リン酸モノ−[3−[3−(4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタ−7−イル)−イソキノリン−1−イル]−4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イルメチル]エステル、特にその一水和物、の結晶体を提供する。
【0060】
【表3】
【0061】
DSC(示差走査熱量測定)およびTGA(熱重量分析)で示された熱イベントをまとめた表
【表4】
【0062】
図2
結晶性の実施例1の一水和物の吸水プロファイルを
図2に示す。下記の湿度にさらす:50%RHで6時間平衡、次いで、10%RHずつで、50%RH〜90%RH〜0%RH〜90%RH〜0%RH〜50%RHのRHサイクル2回(RH=相対湿度)。
【0063】
製剤のパート
本発明の化合物、例えば、遊離形または医薬上許容される塩もしくは水和物形態の式(I)、(II)、(III)または(IV)で示される化合物および同類のものは、下記の試験、例えば、インビトロ試験およびインビボ試験に記載されるような有益な薬理学的性質を示し、したがって、治療に用いられる。
【0064】
A.インビトロ
1.プロテインキナーゼCαおよびθアッセイ
下記の方法に従って、種々のPKCアイソタイプに対する本発明の化合物の活性を試験した。アッセイは全て、384ウェルマイクロタイタープレートにて行われた。各アッセイプレートは、40種類の試験化合物について8段階の段階希釈、および参照化合物としてスタウロスポリンの2種類の16段階の段階希釈に加えて16の高対照および16の低対照を含んだ。液体処理工程およびインキュベーション工程は、Innovadyne Nanodrop Expressを装備した自動化ワークステーションで行われた。
1ウェルにつき50nLの化合物の90%DMSO中溶液を添加して、該アッセイプレートを調製した。1ウェルにつき4.5μlの2×ペプチド/ATP溶液および1ウェルにつき4.5μlの2×酵素溶を滴下して、キナーゼ反応を開始させた。キナーゼ反応の間の試薬の最終濃度は、下記のとおりであった:50mM HEPES、pH7.5、1mM DTT、0.02%Tween20、0.02%BSA、0.6%DMSO、10mM β−グリセロホスフェート、および10μMオルトバナジン酸ナトリウム。PKCαアッセイおよびPKCβアッセイで使用されたペプチド基質は、Dy495−X5−ME−Mpr−RFARKGSLRQKNV−COOHであった。どちらの酵素も、昆虫細胞内で発現された全長ヒト組換えタンパク質であった。(スイス国バーゼルのInvitrogen AG)。他の成分は、各キナーゼアッセイに特異的に調節された:PKCα:12pM酵素、17μM ATP、1μMペプチド基質、7mM MgCl
2、0.2mM CaCl
2。PKCθ:29pM酵素、70μM ATP、1μMペプチド基質、7mM MgCl
2、0.2mM CaCl
2。
キナーゼ反応を30℃で60分間インキュベートし、次いで、1ウェルにつき16μlの停止液(100mM HEPES pH7.5、5%DMSO、0.1%Caliperコーティング試薬、10mM EDTA、および0.015%Brij35)を添加して停止させた。
読み取りのために、キナーゼ反応を停止させたプレートをCaliper LC3000ワークステーションに移した。Caliperマイクロフルイディック移動度シフト技術を用いてリン酸化ペプチドおよび非リン酸化ペプチドを分取し、形成されたホスホペプチドの量からKinase活性を算出した。
【0065】
【表5】
【0066】
上記試験結果および下記試験結果は、本発明の化合物のプロドラッグ概念を支持し得る。
【0067】
2.骨髄細胞増殖(BM)アッセイ
CBAマウス由来の骨髄細胞(平底組織培養マイクロタイタープレート中2.5×10
4細胞/ウェル)を、増殖因子および段階希釈化合物の供給源としての10%FCS、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン(スイス国バーゼルのGibco BRL)、50μM 2−メルカプトエタノール(スイス国ブーフスのFluka)、WEHI−3条件培地(7.5% v/v)およびL929条件培地(3% v/v)を含有するRPMI培地100μL中にてインキュベートした。試験化合物につき二重に7つの3倍希釈工程を行った。4日間のインキュベーション後、1μCi
3H−チミジンを添加した。さらに4時間のインキュベーション期間の後、細胞を収穫し、標準的な手順に従って、取り込まれた
3H−チミジンを決定した。条件培地は、以下のとおり調製した。WEHI−3細胞(ATCC TIB68)およびL929細胞(ATCC CCL 1)をRPMI培地中にてコンフルエンスとなるまでそれぞれ4日間および1週間増殖させた。細胞を収穫し、同培養フラスコ中にて、WEHI−3細胞については1%FCS含有培地C(Schreier and Tess 1981)およびL929細胞についてはRPMI培地中にて再懸濁させ、2日間(WEHI−3)または1週間(L929)、インキュベートした。上清を回収し、0.2μmで濾過し、アリコートに分けて−80℃で貯蔵した。試験化合物を含まない培養物、WEHI−3およびL929上清を含まない培養を低対照として使用した。全ての値から低対照値を差し引いた。いかなる試料も用いない高対照は、100%増殖とした。各試料による阻害パーセントを算出し、50%阻害に必要な濃度(IC
50値)を決定した。
【0068】
【表6】
【0069】
B.インビボ:
実施例1の化合物の投与
実施例1の化合物の単一用量(3.0mg/kg)を3匹の雄性ビーグル犬に経口投与した。化合物1を、結晶性一水和物のメチルセルロース(0.5%):Tween 80(1%)(90:10)中水性懸濁液として投与した。静脈穿刺によって一定間隔で採血し、該試料を最大24時間分析した。実施例1、2および3の化合物を経時的に定量的に評価し、結果を下記の表に示す:
【0070】
【表7】
【0071】
実施例1の経口投与後の1、2および3についての重要な薬物動態学的パラメーター(平均値±標準偏差(n=3))。
【表8】
【0072】
実施例3の化合物の投与
実施例3の化合物を、絶食した6匹の雄性ビーグル犬にハードゼラチンカプセル剤で一酢酸塩として経口投与した。イヌ1匹につき100mgの名目用量を投与し、8.9〜11.3mg/kg(当該イヌの体重は、8.9〜11.3kgの範囲である)の用量とした。静脈穿刺によって採血し、最大で32時間試料採取した。3についての生化学分析決定を行った結果を下記の表に示す:
【0073】
【表9】
【0074】
上記の経口投与後の化合物3の重要な薬物動態学的パラメーター(平均値または範囲)。
【表10】
【0075】
物理化学セクション
溶解性の評価
室温での人工胃液および人工腸液における実施例1の化合物の溶解性
【表11】
【0076】
人工胃液における実施例3の化合物(遊離形態/酢酸塩形態)の溶解性:
【表12】
【0077】
安定性の評価
37℃での人工胃液および人工腸液中での実施例1の化合物の安定性:
【表13】
【0078】
37℃での人工胃液および人工腸液中での実施例3の化合物(遊離形態/酢酸塩形態)の安定性:
【表14】
【0079】
利用能のセクション
本発明の化合物は、典型的には、PKC、または他のキナーゼのメディエーターが一因となる障害または疾患、例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、マスト細胞、好酸球または心筋細胞が介在する疾患または障害の予防または治療に有用であり、故に、典型的には、臓器または組織の同種移植または異種移植の急性または慢性の拒絶反応、移植片対宿主病、宿主体移植片病、アテローム性動脈硬化症、脳梗塞、血管形成術のような血管損傷に起因する血管閉塞、再狭窄、線維症(特に、肺であるが、腎線維症のような他のタイプの線維症も)、血管新生、高血圧、心不全、慢性閉塞性肺疾患、CNS病、例えば、アルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症、癌、感染性疾患、例えば、AIDS、敗血症性ショックまたは成人呼吸窮迫症候群、虚血/再灌流損傷、例えば、心筋梗塞、脳卒中、腸虚血、腎不全または出血性ショック、または外傷性ショックに適応する。
【0080】
本発明の化合物は、また、急性または慢性の炎症性疾患または障害または自己免疫疾患、例えば、サルコイドーシス、肺線維症、特発性間質性肺炎、閉塞性気道疾患(喘息、内因性喘息、外因性喘息、埃喘息、特に慢性または難治性喘息(例えば、遅発型喘息および気道過敏症)、気管支喘息を含む気管支炎、小児喘息のような症状を含む)、関節リウマチ、変形性関節症、全身性紅斑性狼瘡、ネフローゼ症候群ループス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病およびそれに伴う合併症、II型成人発症型糖尿病、ブドウ膜炎、ネフローゼ症候群、ステロイド依存性およびステロイド抵抗性ネフローゼ、掌蹠膿疱症、アレルギー性脳脊髄炎、糸球体腎炎、乾癬、乾癬性関節炎、アトピー性湿疹(アトピー性皮膚炎)、アレルギー性接触皮膚炎、刺激性接触皮膚炎およびさらなる湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性類天疱瘡、表皮水疱症、じんま疹、血管浮腫、血管炎、紅斑症、非皮膚性好酸球増加症、ざ瘡、円形脱毛症、好酸球性筋膜炎、アテローム性動脈硬化症、結膜炎、角結膜炎、角膜炎、春期カタル、ベーチェット病に関連するブドウ膜炎、疱疹性角膜炎、円錐角膜、シェーグレン症候群、角膜上皮ジストロフィー、角膜白斑、眼球天疱瘡、モーレン潰瘍、強膜炎、グレーブス眼症、重症眼内炎、ロイコトリエンB4介在疾患のような粘膜または血管炎症、胃潰瘍、虚血性疾患および血栓症により生じた血管損傷、心臓肥大、虚血性腸疾患、炎症性腸疾患(例えばクローン病または潰瘍性大腸炎)、壊死性腸炎、間質性腎炎を含む腎臓疾患、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群および糖尿病性ネフロパシー、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、メニエール病および神経根障害から選ばれる神経疾患、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症およびシェーグレン症候群を含む膠原病、自己免疫肝炎、原発性胆汁性肝硬変症および硬化性胆管炎を含む慢性自己免疫肝臓疾患、肝臓部分切除術、急性肝臓壊死(例えば毒素、ウイルス肝炎、ショックまたは無酸素症により生じた壊死)、肝硬変、劇症肝炎、膿疱性乾癬、ベーチェット病、活性慢性肝炎、エバンス症候群、花粉症、特発性上皮小体機能低下症、アジソン病、自己免疫萎縮性胃炎、ルポイド肝炎、尿細管間質性腎炎、膜性腎炎、またはリウマチ熱の治療および/または予防に有用である。
【0081】
本発明の化合物は、また、腫瘍の治療に有用であり、この例には乳癌、尿生殖器癌、肺癌、胃腸癌、表皮癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、神経芽細胞腫、頭部および/または頸部癌または膀胱癌、または広義の意味での腎臓癌、脳の癌または胃癌、特に(i)乳房腫瘍、表皮腫瘍、例えば表皮頭部および/または頸部腫瘍または口部腫瘍;肺腫瘍、例えば小細胞または非小細胞肺腫瘍;胃腸腫瘍、例えば結腸直腸腫瘍;または泌尿生殖器腫瘍、例えば前立腺癌(特に耐ホルモン性前立腺癌);または(ii)別の化学療法での治療では効果がない増殖性疾患;または(iii)多剤耐性により別の化学療法での治療では効果がない腫瘍がある。
【0082】
当該化合物は、また、血液およびリンパ系腫瘍(例えばホジキン病、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫、悪性免疫増殖性疾患、多発性骨髄腫および悪性形質細胞腫、リンパ性白血病、急性または慢性骨髄性白血病、急性または慢性リンパ球性白血病、単球性白血病、特定の細胞タイプの別の白血病、不特定の細胞タイプの白血病、別のおよび不特定のリンパ球性悪性新生物、造血性および関連する組織、例えばびまん性大細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫または皮膚T細胞リンパ腫)の治療にも有用である。骨髄癌としては、例えば急性または慢性骨髄白血病が挙げられる。
【0083】
腫瘍、腫瘍疾患、がん腫またはがんが言及される場合は、腫瘍および/または転移の場所がどこであっても、本来の臓器または組織および/または別の場所への転移もまた、代替としてまたは追加として意味される。
【0084】
好ましくは、本発明の化合物は、特に、Tリンパ球が介在する疾患または障害、例えば、臓器または組織の同種移植または異種移植の急性または慢性の拒絶反応、移植片対宿主病、宿主体移植片病、多発性硬化症、乾癬、または関節リウマチの予防および/または治療に有用である。
【0085】
製剤のバイオアベイラビリティの乏しさは、非常によく、医薬的に有効な成分の制限因子となっている。さらにまた、バイオアベイラビリティは、種依存性である。例えば、マウス、ラットまたはイヌまたは同類のものにおいて吸収性に優れた薬物が、ヒトにおいて適正なバイオアベイラビリティとなり得ない場合がある。本発明は、特にヒトにおいて、親化合物の有益なバイオアベイラビリティを提供する式(I)で示されるプロドラッグ化合物を提供する。例えば、実験セクション(セクションB、インビボ)において示されるように、実施例1の化合物は、例えば、投与直後(例えば、約1時間後)に主要成分として血液中にて検出され得る実施例3の化合物に変換され、故に、親化合物への有効かつ有益な変換を示す。
【0086】
上記の使用について、必要な用量は、もちろん、投与様式、処置しようとする特定の症状および所望の効果によって変わるであろう。一般に、体重1kgにつき約0.02〜25mgの一日量で全身的に得られる満足のいく結果が示される。大型哺乳動物、例えば、ヒトにける所定の一日量は、典型的には、約0.2mg〜約2gの範囲で、好都合には、例えば1日4回までの分割量でまたは遅延形態で、投与され得る。経口投与に適した単位投与形態は、典型的には、活性成分を約0.1〜500mg含有し得る。
【0087】
本発明の化合物は、いずれかの慣用経路によって、特に非経口的に、例えば注射用液剤または懸濁剤の剤形で、または経腸的に、例えば経口的に、例えば錠剤またはカプセル剤の剤形で、または局所的に、例えばローション剤、ゲル剤、軟膏剤またはクリーム剤の剤形で、または経鼻剤形もしくは坐剤剤形で、投与され得る。局所投与は、例えば、皮膚に対してであり得る。局所投与のさらなる剤形は、眼に対するものであり得る。本発明の化合物を少なくとも1種類の医薬上許容される担体または希釈剤と合わせて含有する医薬組成物は、医薬上許容される担体または希釈剤と混合することによって慣用的な方法で製造され得る。
【0088】
本発明の化合物は、遊離形態または医薬上許容される塩の形態または水和物の形態、例えば上記したような形態で投与され得る。このような塩または水和物は、慣用的な方法で製造され得、典型的には、遊離化合物と同程度の活性を示し得る。
【0089】
上記にしたがって、本発明は、また、以下のものを提供する:
(1)医薬として使用するための本発明の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは水和物;
(2)PKC阻害剤として使用するための、例えば上記の特定適応症のいずれかに使用するための、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは水和物;
(3)本発明の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは水和物を、1種類以上の医薬上許容される希釈剤または担体と一緒に含有する、例えば上記適応症のいずれかに使用するための、医薬組成物;
(4)本発明の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは水和物の有効量を対象体に投与することを含む、PKC活性化が一因となるかまたは関与している疾患または症状の治療方法または予防方法、例えば治療を必要としている対象体における上記の特定適応症のいずれかの治療方法;
(5)上記で示されるような、PKC活性化が一因となるかまたは関与している疾患または症状の治療用または予防用医薬の製造のための、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは水和物の使用。
【0090】
組合せ
本発明の化合物は、唯一の活性成分として、または、例えば免疫抑制療法もしくは免疫調節療法における、他の薬物、または、例えば急性または慢性の同種移植片または異種移植片拒絶反応または炎症性疾患または自己免疫疾患の治療または予防のための、他の抗炎症剤、化学療法剤または抗感染症薬、例えば抗ウイルス薬、例えば抗レトロウイルス薬または抗生物質と、例えばアジュバントとして、組み合わせて、投与され得る。
【0091】
例えば、本発明の化合物は、下記のものと組み合わせて使用することができる:カルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンA、ISA247またはFK506;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン、CCI779、ABT578、TAFA−93、AP23573、AP23464、AP23841、bアイオリムス7またはバイオリムス9;免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えばABT−281、ASM981など;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;レフルノミド;ミゾリビン;ミコフェノール酸または塩;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスパガリンまたはその免疫抑制性ホモログ、アナログもしくは誘導体;PKC阻害剤、例えばWO02/38561またはWO03/82859に記載されているもの、例えば実施例56または70の化合物;S1P受容体アゴニストまたは調節剤、例えばリン酸化されていてもよいFTY720またはそのアナログ、例えばリン酸化されていてもよい2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]エチル−1,3−プロパンジオールまたは1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸またはその医薬上許容される塩;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば、白血球受容体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD52、CD58、CD80、CD86またはそれらのリガンドに対するモノクローナル抗体;他の免疫調節化合物、例えば、CTLA4の細胞外ドメインの少なくとも一部またはその変異体を有する組換え結合分子、例えば非−CTLA4タンパク質配列と結合したCTLA4の少なくとも細胞外部分またはその変異体、例えばCTLA4Ig(例えば指定ATCC68629)またはその変異体、例えばLEA29Y;接着分子阻害剤、例えばLFA−1アンタゴニスト、ICAM−1アンタゴニストまたはICAM−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニストまたはVLA−4アンタゴニスト、例えばナタリズマブ(ANTEGREN(登録商標));または抗ケモカイン抗体または抗ケモカイン受容体抗体、または低分子量ケモカイン受容体抗体、例えば抗MCP−1抗体。
【0092】
本発明の化合物は、また、他の抗増殖剤と組み合わせて使用することができる。かかる抗増殖剤としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:
(i)アロマターゼ阻害剤、例えばステロイド類、特にエキセメスタンおよびフォルメスタン、ならびに、特に、非ステロイド類、特にアミノグルテチミド、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾール、および特にレトロゾール;
(ii)抗エストロゲン、例えばタモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェンおよび塩酸ラロキシフェン;
(iii)トポイソメラーゼI阻害剤、例えばトポテカン、イリノテカン、9−ニトロカンプトテシンおよび巨大分子カンプトテシンコンジュゲートPNU−166148(WO99/17804の化合物A1);
(iv)トポイソメラーゼII阻害剤、例えばアントラサイクリン系薬剤、ドキソルビシン(リポソーム製剤、例えばCAELYX
TMを含む)、エピルビシン、イダルビシンおよびネモルビシン、アントラキノン系薬剤、ミトキサントロンおよびロソキサントロン、ならびにポドフィロトキシン系薬剤、エトポシドおよびテニポシド;
(v)微小管活性剤、例えばタキサン類、例えばパクリタキセルおよびドセタキセル、ビンカアルカロイド類、例えば、ビンブラスチン、特に硫酸ビンブラスチン、ビンクリスチン、特に硫酸ビンクリスチン、およびビノレルビン、ディスコデルモリド、およびエポチロン類、例えばエポチロンBまたはD;
(vi)アルキル化化合物、例えばシクロホスファミド、イフォスファミドおよびメルファラン;
(vii)ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;
(viii)ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;
(ix)COX−2阻害剤、例えば、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))およびルミラコキシブ(COX189);
(x)MMP阻害剤;
(xi)mTOR阻害剤;
(xii)抗新生物代謝拮抗剤、例えば5−フルオロウラシル、テガフール、カペシタビン、クラドリビン、シタラビン、リン酸フルダラビン、フルオロウリジン、ゲムシタビン、6−メルカプトプリン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、エダトレキサートおよびかかる化合物の塩類、さらにまたZD1694(RALTITREXED
TM)、LY231514(ALIMTA
TM)、LY264618(LOMOTREXOL
TM)およびOGT719;
(xiii)プラチン化合物、例えばカルボプラチン、シスプラチンおよびオキサリプラチン;
(xiv)タンパク質キナーゼ活性を低減する化合物およびさらに抗血管形成化合物、例えば(i)血管内皮増殖因子(VEGF)(b)上皮増殖因子(EGF)、c−Src、プロテインキナーゼC、血小板由来増殖因子(PDGF)、Bcr−Ablチロシンキナーゼ、c−Kit、Flt−3およびインスリン様増殖因子I受容体(IGF−IR)およびサイクリン依存性キナーゼ(CDK);(ii)イマチニブ、ミドスタウリン、Iressa
TM(ZD1839)、CGP75166、バタラニブ、ZD6474、GW2016、CHIR−200131、CEP−7055/CEP−5214、CP−547632およびKRN−633;(iii)サリドマイド(THALOMID)、セレコキシブ(Celebrex)、SU5416およびZD6126;
(xv)ゴナドレリンアゴニスト、例えばアバレリクス、ゴセレリンおよび酢酸ゴセレリン;
(xvi)抗アンドロゲン、例えばビカルタミド(CASODEX
TM);
(xvii)ベンガミド類;
(xviii)ビスホスホネート類、例えばエチドロン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸およびゾレドロン酸;
(xix)抗増殖性抗体、例えばトラスツマブ(Herceptin
TM)、トラスツマブ−DM1、エルロチニブ(Tarceva
TM)、ベバシズマブ(Avastin
TM)、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、PRO64553(抗CD40)および2C4抗体;
(xx)テモゾロミド(TEMODAL(登録商標));
(xxi)スタチン系薬剤。
【0093】
コード番号、一般名および商品名によって同定される活性薬剤の構造は、標準的概説書“The Merck Index”の現行版からまたはデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)から取り得る。
【0094】
上記に従って、本発明は、さらに以下のものを提供する:
(6)治療上有効量のa)式Iで示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは水和物およびb)第2の薬剤を、例えば付随してまたは順次に、共投与することを含む上記で定義した方法(ここで、第2の薬剤は、例えば上記の特定適応症のいずれかに使用するためのものである);
(7)治療上有効量の式Iで示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは水和物および第2の薬剤を含む組合せ剤、例えばキット(ここで、第2の薬剤は、例えば上記のものである)。
【0095】
本発明の化合物が他の免疫抑制剤/免疫調節剤、抗炎症剤または抗新生物剤(例えば、上記のもの)と組み合わせて投与される場合、共投与される薬剤の投与量は、もちろん、使用される併用薬剤の種類、または使用される特定の薬剤、または処置される症状などに応じて変わるであろう。
【0096】
別の実施態様では、式(I):
【化13】
[式中、Xは、CHまたはNであり;Rは、HまたはPO
3H
2であり;R1は、HまたはC
1−4アルキルであり;R2は、HまたはC
1−4アルキルであり;R3は、H、C
1−4アルキル、CN、HalまたはOHであり;R4およびR5は、お互いに独立して、H、またはC
1−4アルキルであるか;またはR4およびR5は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3〜6員シクロアルキル基を形成する]
で示される化合物の製造方法であって、
(a)任意に、R1および/またはR2が水素である化合物の場合、式(Va)で示されるマレイミドをTHFまたはジクロロメタンのような溶媒および/またはトリエチルアミンのような塩基の存在下または不在下にて例えば二炭酸ジ−tert−ブチルで処理することによって、必要に応じてR1および/またはR2において水素の代わりにtert−ブトキシカルボニル基を含む式(Va)で示されるマレイミドを得ること;
(b)保護されていてもよい式(Va)で示されるマレイミドを溶媒および/または炭酸カリウムのような塩基の存在下または不在下にて例えばホルムアルデヒドで処理することによって、R=Hである式(Vb)で示されるアルコールを得ること;
(c)任意に、式(Vb)で示されるアルコールを典型的には塩基(例えば、DBUまたはトリメチルアミン)の存在下にて例えばトリクロロアセトニトリルで処理して、反応性エステルを形成し、次いで、典型的には塩基(例えば、DBUまたはトリメチルアミン)の存在下にてリン酸化剤(例えばリン酸エステル、例えばリン酸ジ−tert−ブチルエステル)で処理し、次いで、得られたエステル中間体を溶媒(例えば、THF、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたは同類のもの)の不在下または存在下にて適当な酸(例えば、塩酸またはTFA)で処理して、一般式(I)で示される最終生成物を得るか、または代替工程(c)として、式(Vb)で示されるアルコールをリン酸エステル(例えばリン酸二tert−ブチルエステル)で、例えばミツノブ反応条件下にて直接反応させて、リン酸エステルを得、次いで、例えばトリフルオロ酢酸で例えばジクロロメタン中にて加水分解して、式(I)で示される最終生成物を得ること
を含む方法が提供される。
【化14】
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
式(I):
【化1】
[式中、
Xは、CHまたはNであり;
Rは、HまたはPO3H2であり;
R1は、HまたはC1−4アルキルであり;
R2は、HまたはC1−4アルキルであり;
R3は、H、C1−4アルキル、CN、HalまたはOHであり;
R4およびR5は、お互いに独立して、HまたはC1−4アルキルであるか;またはR4およびR5は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3〜6員シクロアルキル基を形成する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは水和物。
[2]
XがCHであり;
RがHであり;
R1がHであり;
R2がHまたはC1−4アルキルであり;
R3がHまたはC1−4アルキルであり;
R4およびR5がお互いに独立してHであるか;またはR4およびR5が、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3〜6員シクロアルキル基を形成する、
[1]に記載の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは水和物。
[3]
XがNであり;
RがPO3H2であり;
R1がHであり;
R2がHまたはC1−4アルキルであり;
R3がHであり;
R4およびR5がお互いに独立してHであるか;またはR4およびR5が、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3〜6員シクロアルキル基を形成する、
[1]に記載の式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは水和物。
[4]
式(III):
【化2】
で示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは水和物である[1]に記載の化合物。
[5]
リン酸モノ−[3−[3−(4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタ−7−イル)−イソキノリン−1−イル]−4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イルメチル]エステル一水和物である、[1]または[4]記載の化合物。
[6]
3−[3−(4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタ−7−イル)−イソキノリン−1−イル]−1−ヒドロキシメチル−4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−ピロール−2,5−ジオンまたはその医薬上許容される塩である、[1]または[2]記載の化合物。
[7]
リン酸モノ−{3−(1H−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イルメチル}エステルまたはその医薬上許容される塩である、[1]または[3]記載の化合物。
[8]
特にPKCまたは他のキナーゼのメディエーターが一因となる障害または疾患の処置に使用するための、医薬として使用するための[1]〜[7]いずれか1項記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは水和物。
[9]
PKC活性化が一因となるかまたは関与する疾患または症状の治療または予防を必要とする対象体における当該治療または予防の方法であって、該対象体に[1]〜[7]いずれか1項記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは水和物の有効量を投与することを含む、方法。
[10]
当該治療または予防が、Tリンパ球、Bリンパ球、マスト細胞、好酸球または心筋細胞が介在し得、故に、臓器または組織の同種移植または異種移植の急性または慢性の拒絶反応、移植片対宿主病、宿主体移植片病、アテローム性動脈硬化症、脳梗塞、血管形成術のような血管損傷に起因する血管閉塞、再狭窄、線維症(特に、肺であるが、腎線維症のような他のタイプの線維症も)、血管新生、高血圧、心不全、慢性閉塞性肺疾患、CNS病、例えば、アルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症、癌、感染性疾患、例えば、AIDS、敗血症性ショックまたは成人呼吸窮迫症候群、虚血/再灌流損傷、例えば、心筋梗塞、脳卒中、腸虚血、腎不全または出血性ショック、または外傷性ショックに適応し得る、[8]に記載の使用のための化合物または[9]に記載の処置方法。
[11]
当該治療または予防が臓器または組織の同種移植または異種移植の急性または慢性の拒絶反応、移植片対宿主病、宿主体移植片病、多発性硬化症、乾癬または関節リウマチに立ち向かうものである、[8]に記載の使用のための化合物または[9]に記載の処置方法。
[12]
[1]〜[7]いずれか1項記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは水和物の治療上有効量、および第2の薬剤を含む、組合せ、例えばキット。
[13]
好ましくは、特に図1および/または表1に示されるような、9.525、16.356、17.091、18.005、20.859(各々、±0.2)の屈折角2θでのピークのうち、少なくとも1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つ、さらに好ましくは4つ、特に5つ、最も好ましくは全てを有するX線粉末回折パターンを有する、リン酸モノ−[3−[3−(4,7−ジアザ−スピロ[2.5]オクタ−7−イル)−イソキノリン−1−イル]−4−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イルメチル]エステル、特にその一水和物、の結晶体。
[14]
[1]で定義した式(I):
【化3】
[式中、
Xは、CHまたはNであり;
Rは、HまたはPO3H2であり;
R1は、H;またはC1−4アルキルであり;
R2は、H;またはC1−4アルキルであり;
R3は、H;C1−4アルキル;CN;Hal;またはOHであり;and
R4およびR5は、お互いに独立して、HまたはC1−4アルキルであるか;またはR4およびR5は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3〜6員シクロアルキル基を形成する、
で示される化合物の製造方法であって、
(a)任意に、R1および/またはR2が水素である化合物の場合、式(Va)で示されるマレイミドをTHFまたはジクロロメタンのような溶媒および/またはトリエチルアミンのような塩基の存在下または不在下にて例えば二炭酸ジ−tert−ブチルで処理することによって、必要に応じてR1および/またはR2において水素の代わりにtert−ブトキシカルボニル基を含む式(Va)で示されるマレイミドを得ること;
(b)保護されていてもよい式(Va)で示されるマレイミドを溶媒および/または炭酸カリウムのような塩基の存在下または不在下にて例えばホルムアルデヒドで処理することによって、R=Hである式(Vb)で示されるアルコールを得ること;
(c)任意に、式(Vb)で示されるアルコールを典型的には塩基(例えば、DBUまたはトリメチルアミン)の存在下にて例えばトリクロロアセトニトリルで処理して、反応性エステルを形成し、次いで、典型的には塩基(例えば、DBUまたはトリメチルアミン)の存在下にてリン酸化剤(例えばリン酸エステル、例えばリン酸ジ−tert−ブチルエステル)で処理し、次いで、得られたエステル中間体を溶媒(例えば、THF、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたは同類のもの)の不在下または存在下にて適当な酸(例えば、塩酸またはTFA)で処理して、一般式(I)で示される最終生成物を得るか、または代替工程(c)として、式(Vb)で示されるアルコールをリン酸エステル(例えばリン酸二tert−ブチルエステル)で、例えばミツノブ反応条件下にて直接反応させて、リン酸エステルを得、次いで、例えばトリフルオロ酢酸で例えばジクロロメタン中にて加水分解して、式(I)で示される最終生成物を得ること
を含む方法。
【化4】