特許第6043350号(P6043350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043350
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】酸化亜鉛上に支持された銅を含む脱硫材
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/06 20060101AFI20161206BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20161206BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20161206BHJP
   C10G 67/06 20060101ALI20161206BHJP
   C10G 45/08 20060101ALI20161206BHJP
   C10G 25/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B01J20/06 A
   B01J20/30
   B01D53/04
   C10G67/06
   C10G45/08 Z
   C10G25/00
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-520714(P2014-520714)
(86)(22)【出願日】2012年4月12日
(65)【公表番号】特表2014-521497(P2014-521497A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】GB2012050808
(87)【国際公開番号】WO2013014415
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年4月9日
(31)【優先権主張番号】1112606.7
(32)【優先日】2011年7月22日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】マクラウド, ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン, ゴードン エドワード
【審査官】 松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−513061(JP,A)
【文献】 特開昭52−027404(JP,A)
【文献】 特開平11−335101(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/033280(WO,A1)
【文献】 特開平1−320212(JP,A)
【文献】 特表平9−510141(JP,A)
【文献】 特表2008−526488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00−20/34
B01D 53/00−53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状酸化亜鉛担体材料に支持された一種又は複数種の銅化合物を含む粒子状脱硫材であって、一種又は複数種の粉末状銅化合物、亜鉛酸化物、一種又は複数種の亜鉛酸化物前駆体の焼成により生成する亜鉛酸化物、及び一種又は複数種のバインダを含む顆粒の形態であり、0.1〜5.0重量%のCuOとして表される銅含有量≧1.55kg/lのタップ嵩密度、≦0.22cm/gの細孔容積、及び≦23m/gのBET表面積を有する、脱硫材。
【請求項2】
1〜10mmの範囲の粒径を有する請求項1に記載の脱硫材。
【請求項3】
前記一種又は複数種の銅化合物が、銅金属、酸化銅、水酸化銅およびヒドロキシ炭酸銅からなる群から選択される請求項1または2に記載の脱硫材。
【請求項4】
一種又は複数種のバインダが、粘土バインダおよびセメントバインダおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項1からのいずれか一項に記載の脱硫材。
【請求項5】
一種又は複数種の耐火性酸化物から選択される第2の担体材料を、20重量%までのレベルでさらに含む請求項1からのいずれか一項に記載の脱硫材。
【請求項6】
鉄、マンガン、コバルトまたはニッケルの一種又は複数種の化合物から選択される第2の金属化合物をさらに含む請求項1からのいずれか一項に記載の脱硫材。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の脱硫材を製造する方法であって、
(i)粉末状銅化合物を、亜鉛酸化物、焼成により亜鉛酸化物を生成する一種又は複数種の亜鉛酸化物前駆体、及び一種又は複数種のバインダを含む粒子状亜鉛担体材料と混合して、銅含有組成物を生成する工程、
(ii)顆粒化により銅含有組成物を成形する工程、および
(iii)得られた顆粒化した材料を乾燥させ焼成する工程
を含む方法。
【請求項8】
銅化合物が、酸化銅、水酸化銅、またはヒドロキシ炭酸銅からなる群から選択される請求項に記載の方法。
【請求項9】
銅化合物および酸化亜鉛担体材料を一種又は複数種のバインダと合わせて顆粒化し、1〜10mmの範囲の直径を有するアグロメレート化球体を形成する請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
プロセス流体流の脱硫方法であって、前記流体流と場合により水素を、請求項1からのいずれか一項に記載の脱硫材または請求項からのいずれか一項に従って調製される脱硫材と接触させる工程を含んでなる方法。
【請求項11】
プロセス流が炭化水素ガスと水素を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
プロセス流体流を水素と混合し、水素化脱硫触媒と接触させて、処理済みプロセス流を形成し、次いで処理済みプロセス流を脱硫材と接触させる請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
脱硫材を、250〜450℃の範囲の温度でプロセス流体と接触させる請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱硫材、特に銅および酸化亜鉛を含む脱硫材に関する。
【背景技術】
【0002】
合成ガスの発生に使用することが意図される炭化水素原料は、感受性の下流触媒を不活性化から保護するために、まず脱硫しなければならない。硫黄の除去は、従来では、水素化脱硫(HDS)触媒作用(通常、CoMoまたはNiMo触媒に基づく)および酸化亜鉛に基づく吸収剤の組合せを用いて行われる。亜鉛系吸収剤は、以下の式に従ってHSを捕捉するように設計される;
ZnO+HS→ZnS+H
【発明の概要】
【0003】
硫黄捕捉のために使用されるZnO系吸収剤の性能は、密度と多孔性との歩み寄りである。高い密度は、単位体積基準で容器に充填されるべきZnOを多くすることができるため、利用可能な理論上の硫黄獲得量を増大させ、交換期間を可能性として延長できる。しかし、実際にはこうした高密度材料の低い多孔性および関連する低い表面積が、硫化プロセスに対して動力学的障壁を生じ、このことが反応器に存在する多量のZnOを効率良く利用するのを妨げる。
【0004】
こうしたことを考慮すると、商業的な操作に使用される当代のZnO系生成物の密度に対して実質的には上限が設けられる。この上限は1.5kg/lの領域である。
【0005】
驚くべきことに、低レベルの銅が、硫化プロセスの速度を顕著に速めることができ、結果として顕著により高密度の材料を効率良く利用できるようになることを見出した。
【0006】
従って、本発明は、酸化亜鉛担体材料に支持された一種又は複数種の銅化合物を含む粒子状の顆粒化脱硫材を提供し、ここでこの脱硫材は、CuOとして表される場合に、0.1〜5.0重量%の範囲の銅含有量、および≧1.55kg/lのタップ嵩密度を有する。
【0007】
本発明はさらに、脱硫材を製造する方法と、プロセス流体流の脱硫方法であって、場合により水素の存在下、前記流体流を脱硫材と接触させる工程を含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
高密度の生成物は、設置された吸収剤の単位体積あたりの硫黄除去の観点(例えばkgS/m)で、高い硫黄容量を提供する。銅プロモータの使用により、硫化速度は、妥当な床長さ内で反応ゾーン(物質移動ゾーン)を維持するのに十分速いことを確実にする。この組合せは、吸収剤床の有効性を最大限にし、交換時期を延長し、最終的には生成物が使用されるプラントの作動効率を改善する。
【0009】
銅の存在はまた、ある程度の水素化能を有する吸収剤を提供し、これは上流のHDS触媒を擦り抜けたトレースレベルの有機硫黄化合物を除去することに関して有益となり得る。これは、そのHDS触媒に対する転化率が平衡により制限されることが多いCOSについて特にあてはまる。
【0010】
本発明の脱硫材の物理的特性は、硫黄収着容量を向上させる。粒子状触媒および収着剤について一般に行われる測定であるタップ嵩密度は、≧1.55kg/l、好ましくは≧1.60kg/lである。タップ嵩密度(TBD)測定は、次のように行われ得る:1リットルの測定シリンダを粒子状脱硫材で満たし、一定の体積が得られるまでタップする。タップされた体積が記録される。次いで材料を計量し、その密度を計算する。脱硫材の粒径、すなわち粒子の直径または幅は、好ましくは1〜10mm、より好ましくは1.5〜7.5mm、最も好ましくは2.5〜5.0mmである。アスペクト比、すなわち粒子高さで除した直径または幅は、好ましくは≦2である。
【0011】
脱硫材の細孔容積は、受容可能な表面積を提供するために、≦0.22cm/gであってもよい。好ましくは細孔容積は、≧0.05cm/g、より好ましくは≧0.10cm/gである。BET表面積は、≦23m/gであってもよい。BET表面積は、好ましくは≧5m/g、より好ましくは≧10m/gである。BET表面積は、窒素物理吸着によって決定できる。細孔容積は、水銀ポロシメトリーを用いて決定されてもよい。
【0012】
CuOとして表される脱硫材の銅含有量は、0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜4.0重量%、より好ましくは1.0〜3.5重量%の範囲である。銅化合物は、銅金属、酸化銅、水酸化銅、硝酸銅、酢酸銅およびヒドロキシ炭酸銅から選択され得る。材料の調製に使用される銅化合物は、最終的な材料におけるものと同じまたは異なっていてもよい。1つの実施形態において、ヒドロキシ炭酸銅は、亜鉛担体材料と組み合わされ、得られた混合物は焼成されて、酸化銅の形態で銅を有する脱硫材を提供する。銅が、使用時、酸化銅または別の銅化合物の形態であるかどうかに拘わらず、材料を還元ガス流に曝してもよく、こうして銅化合物は、銅金属に還元され得る。
【0013】
粒子状亜鉛材料は、酸化亜鉛、酸化亜鉛/アルミナ混合物または亜鉛−アルミナヒドロタルサイト材料から選択されてもよい。粒子状亜鉛材料はまた、焼成時に酸化亜鉛を形成する一種又は複数種の前駆体を含んでいてもよい。焼成後のZn含有量(ZnOとして表される)は、脱硫材中好ましくは≧80重量%、特に≧87重量%である。
【0014】
脱硫材は、所望により、物理的特性を変更するまたは硫黄容量を変更するために第2の担体材料または第2の金属化合物をさらに含んでいてもよい。
【0015】
第2の担体材料は、一種又は複数種の耐火性酸化物、特にアルミナであってもよく、これは、20重量%までの焼成された材料中のレベルで存在してもよい。
【0016】
第2の金属化合物は、鉄、マンガン、コバルトまたはニッケル、好ましくはニッケルの一種又は複数種の化合物であってもよい。第2の金属化合物は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属硝酸塩、金属酢酸塩および金属ヒドロキシカルボネートからなる群から選択されてもよい。材料の調製に使用された第2の金属化合物は、最終材料におけるものと同じまたは異なってもよい。例えば、金属ヒドロキシカルボネートは、他の構成成分と合わせて、得られた混合物を焼成して、金属酸化物の形態で第2の金属を有する材料を提供してもよい。ニッケルおよびコバルトについては、金属が、使用時、酸化コバルト、酸化ニッケルまたは別の金属化合物の形態であるかどうかに拘わらず、材料は、ニッケル化合物またはコバルト化合物が金属に還元されてもよいような還元ガス流に曝されてもよい。還元または非還元状態の材料に存在する第2の金属化合物の量は、好ましくは第2の金属含有量が、0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜5重量%の範囲となるような量である。
【0017】
脱硫材は、既知の方法、例えば粒子状酸化亜鉛担体材料の一種又は複数種の銅化合物による含侵、続く乾燥および焼成、または酸化亜鉛担体材料および銅化合物を含むペーストの押出成型、続く乾燥および焼成;または通常バインダの存在下での粉末化銅化合物および亜鉛担体材料の顆粒化、続く乾燥および焼成によって調製されてもよい。
【0018】
故に、本発明に従う脱硫材の製造方法は、以下の工程を含む:
(i)銅化合物を粒子状亜鉛担体材料と混合して、銅含有組成物を形成する工程、
(ii)この銅含有組成物を成形する工程、および
(iii)この得られた材料を乾燥および焼成する工程。
【0019】
成形工程は、当業者に既知の方法に従う顆粒化、ペレット化または材料を成形されたダイに通す押出成型によるものであってもよい。故に脱硫材は、球状、ペレット、シリンダ、リングまたは多孔ペレットのような成形されたユニットの形態であってもよく、これは多葉型または波形、例えばクローバリーフ断面を有するものであってもよい。
【0020】
好ましくは、脱硫材は顆粒化によって成形される。この技術において、粉末化銅化合物、亜鉛担体材料および一種又は複数種のバインダは、粗い球形のアグロメレートを形成するために、少量の水の存在下で混合される。好適なバインダとしては、セメントバインダ、例えばカルシウムアルミネートセメント、および粘土バインダ、例えばアタパルジャイトまたはセピオライト粘土が挙げられる。顆粒化された材料は、乾燥および焼成されて、酸化形態の脱硫材を形成する。
【0021】
脱硫材の密度は、使用されるZnO前駆体材料の適切な選択によって制御されてもよい。物理的特徴は、既知の方法を用いて調節でき、所望の生成物密度を提供する。
【0022】
故に、特に好ましい実施形態において、脱硫材は、一種又は複数種の銅化合物、酸化亜鉛担体材料および一種又は複数種のバインダから形成される顆粒を含む。一種又は複数種のバインダは、粘土バインダおよびセメントバインダおよびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。顆粒は、好ましくは1〜10mm、より好ましくは1.5〜7.5mm、最も好ましくは2.5〜5.0mmの範囲の粒子直径を有する。
【0023】
乾燥および焼成は、1段階または2段階にて行われてもよい。乾燥は、通常、40〜120℃で行われる。焼成は、250℃〜750℃にて24時間までで行われてもよいが、好ましくは250〜550℃で1〜10時間にわたって行われる。焼成は、いずれかの非酸化性銅および亜鉛化合物を酸化銅および酸化亜鉛に転化し、存在する場合はバインダを組成物と反応させることによって、生成物の強度を増大させる。
【0024】
脱硫材は、最終使用者によって設置されるためにその焼成された形態で提供されてもよい。
【0025】
本発明は、プロセス流体流の脱硫方法であって、該流体流を脱硫材と接触させる工程を含む方法を含む。脱硫材は、炭化水素、例えば天然ガス、液体天然ガス、天然ガス液体、精油所オフガスおよび燃料ガス、ケロセン、分解ナフサ、ディーゼル燃料;二酸化炭素、一酸化炭素、水素およびこれらの混合物(合成ガス混合物を含む)を含む、広範囲の硫黄含有液体およびガスの、広範囲の組成物による脱硫に適用されてもよい。特に脱硫材は、水素を含んでいてもよいガス状炭化水素流に適用されてもよい。好ましくは、脱硫材は、水蒸気改質ユニットへのフィードとして使用することを意図するガス状炭化水素流に適用される。こうした炭化水素流は、硫黄含有天然ガスおよび関連するガス流ならびに炭層メタンおよび他のメタンリッチガスを含む。
【0026】
粒子状脱硫材は、250〜450℃、好ましくは300〜400℃、より好ましくは320〜400℃の範囲の温度にて、1〜100bar absの範囲の圧力にて使用されてもよい。水素は、使用中に必要とされないが、通常は、0.1〜25体積%、好ましくは1〜5体積%の範囲のレベルで流体流に提供されてもよい。
【0027】
脱硫材は、吸収によって硫化水素を除去するように主に設計されるが、特に供給流が水素または別の還元剤を含んでいる場合、他の硫黄化合物、例えばカルボニルスルフィド、二硫化炭素、メルカプタン、例えばt−ブチルメルカプタン、ジアルキルスルフィド、例えばジメチルスルフィド、環状スルフィド、例えばテトラヒドロチオフェン、ジアルキルジスルフィド、例えばジエチルジスルフィドおよびチオフェン性種も捕捉されうる。しかし、有機硫黄化合物が供給流中に存在する場合、脱硫材は、好ましくは上流HDS触媒、例えば従来のCoMoまたはNiMo系HDS触媒と組み合わせて使用され、これは、原料中の有機硫黄を脱硫材と接触する前に硫化水素に転化するために使用される。
【0028】
ここで本発明は、以下の実施例を参照してさらに記載される。
【0029】
タップ嵩密度(TBD)を、1リットルの測定シリンダを粒子状脱硫材で満たし、一定体積が得られるまで、その壁をタップすることによって測定された。タップされた体積を記録した。次いで材料を計量し、その密度を計算した。
【0030】
使用された脱硫材の硫黄含有量は、LECO SC632機器を用いて決定された。
【0031】
BET表面積は、Micromeritics ASAP2420およびMicromeritics Tristar3000設備を用いて測定された。サンプルは、乾燥窒素パージで少なくとも1時間140℃でガス放出された。すべての機器は、ASTM D3663−03(N2BET面積)およびASTM D4222−03(N2ads/des等温線)に従った。
【0032】
細孔容積は、ASTM D4284−03に従って設計されたMicromeritics AutoPore9520水銀ポロシメーターを用いて水銀ポロシメトリーから誘導された。サンプルを分析前に115℃で一晩乾燥させた。粒子間侵入後に60000psiaにて測定された細孔容積は除かれた。
【0033】
デンシトメトリー:細孔容積は、サンプルの骨格および幾何学形状密度から計算した。骨格密度は、Micromeritics AccuPyc1330ヘリウムピクノメーターを用いて測定された。幾何学形状密度は、インハウス水銀ピクノメータを用いて測定された。
【0034】
再びサンプルを115℃にて分析前に一晩乾燥させた。両方の方法は、ASTM D6761−02に従った。
【0035】
実施例1(比較例)
第1のテストにおいて、60mlのサンプルのKATALCOJM(商標)32−5(2.8〜4.75mm、91.5重量%ZnO)は、19mmIDのガラス反応管に充填した。続いてサンプルを370℃まで流動窒素中で加熱した。この温度になったら、次いでガスフィードを、大気圧で42l/hrにて送達される5体積%HS+95体積%Hに切り替えた。次いで吸収剤床を出るHSレベルは、出口HSレベルが100ppmvを超えるまでDragger管を用いて周期的にモニターした。この時点でテストを中止した。硫化吸収剤は、続いて6個の区別可能な層に放出した。それぞれの層での硫黄獲得量を、LECO機器を用いて測定した。得られた結果は、続いて床平均硫黄獲得量を決定するために使用された(6個のサブ床硫黄測定の平均)。得られた結果を、kgS/lの単位で表1に報告する。
【0036】
フレッシュなKATALCOJM32−5について対応するタップ嵩密度、BET表面積、水銀ポロシメトリーおよびデンシトメトリーデータを表2に示す。
【0037】
実施例2(比較例)
75部のZnOに、25部の塩基性炭酸亜鉛および7.0部のカルシウムアルミネートバインダを添加した。得られた粉末を完全に混合し、次いでオービタルプラネタリミキサを用いて適切な水の添加により顆粒化した。次いで生成された顆粒をシーブし、オンサイズのフラクション(2.8〜4.75mm)を焼成した。最終生成物中のZnO充填量を、XRFによって測定し、92.7重量%であることがわかった。続いて、加速された硫化テストをこの材料に対して、実施例1で特定された条件と同一条件下で行った。同様に、得られた結果をkgS/lの単位で表1に報告する。
【0038】
フレッシュな材料について、対応するタップ嵩密度、BET表面積、水銀ポロシメトリーおよびデンシトメトリーデータも同様に表2に示す。
【0039】
実施例3(本発明)
75部のZnOに、25部の亜鉛ヒドロキシカルボネート、7.0部のカルシウムアルミネートバインダおよび2.2部のヒドロキシ炭酸銅を添加した。得られた粉末を完全に混合し、次いでオービタルプラネタリミキサを用いて適切な水の添加により顆粒化した。次いで生成された顆粒をシーブし、オンサイズのフラクション(2.8〜4.75mm)を焼成した。最終生成物中のCuOおよびZnO充填量を、XRFによって測定し、それぞれ1.7重量%および92.1重量%であることがわかった。続いて、加速された硫化テストをこの材料に対して、実施例1で特定された条件と同一条件下で行った。同様に、得られた結果をKgS/lの単位で表1に報告する。
【0040】
フレッシュな材料について、対応するタップ嵩密度、BET表面積、水銀ポロシメトリーおよびデンシトメトリーデータも同様に表2に示す。
表1.加速された硫化テスト結果
【表1】
【0041】
表2.窒素物理吸着および水銀ポロシメトリーデータ
【表2】
表2(続き).デンシトメトリーデータ
【表3】
【0042】
実施例1および2の結果を比較して、ZnO吸収剤の密度を増大させるだけでは、それ自体、生成物の硫黄獲得量を改善するのに有効な戦略とはならないことが明らかである。実施例2の材料が、実施例1よりも単位体積基準において顕著に多いZnOを含有していたが、これは高密度生成物の低表面積および多孔性が原因で、さらなる硫黄捕捉のためにこの追加のZnOを有効に利用することはできなかった(100vppmHSブレークスルーポイントにおけるZnOの転化効率は、テスト条件下でこれら2つの場合の間で46%から38%に降下した)。対照的に、銅促進を増大した密度と組み合わせる場合、実施例3にあるように、生成物の多孔性および表面積は低下するが、材料は、硫黄吸収のために利用可能なZnOをより有効に利用でき、このことが、吸収剤単位体積あたりの硫黄捕捉の顕著な増大をもたらす。
【0043】
これは、密度の増大、さらに細孔容積および表面積の低下が、硫黄化合物の吸収を低減し得るという通常の想定からは驚くべきことである。
【0044】
実施例4(比較例)
KATALCOJM32−5を含有する2つの85cm容量サンプルバスケットを、リードラグモードにて、高温で作動する産業用脱硫容器に入れた。1つのバスケットは、容器の入口に置き、もう一方は出口に置いた。オンラインの期間後、バスケットを取り出し、硫黄採取をLECO機器を用いて測定した。得られた結果を表3に報告する。
【0045】
実施例5(本発明)
サンプルバスケットを同様に、容器の入口および出口の両方に置き、上記実施例3に記載されるように調製した脱硫材で満たした以外は実施例4の詳細を繰り返した。得られた結果を表3に報告する。
【0046】
表3.産業用反応器の硫黄獲得量結果:入口バスケット
【表4】
表3(続き).産業用反応器の硫黄獲得量結果:出口バスケット
【表5】
【0047】
実施例4および5は、オンラインの同じ時間長さの間、同じ脱硫容器にて同時にテストした。実施例4および5は、上記で議論された改善された性能がまた現実のプラント条件下でも観察されることを示す。