特許第6043362号(P6043362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許60433621,4−ジヒドロ−ナフチリジン誘導体ならびにその医薬組成物および使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043362
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】1,4−ジヒドロ−ナフチリジン誘導体ならびにその医薬組成物および使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20161206BHJP
   C07D 471/14 20060101ALI20161206BHJP
   C07D 495/14 20060101ALI20161206BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20161206BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20161206BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20161206BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20161206BHJP
   A61P 3/12 20060101ALI20161206BHJP
   A61P 3/14 20060101ALI20161206BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20161206BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   C07D471/04 114A
   C07D471/14 101
   C07D495/14 DCSP
   A61K31/4745
   A61K31/4375
   A61K31/506
   A61P43/00 111
   A61P3/12
   A61P3/14
   A61P9/00
   A61P25/28
【請求項の数】8
【全頁数】71
(21)【出願番号】特願2014-545084(P2014-545084)
(86)(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公表番号】特表2015-500250(P2015-500250A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】CN2012086145
(87)【国際公開番号】WO2013083070
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年6月9日
(31)【優先権主張番号】201110405079.2
(32)【優先日】2011年12月7日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514138112
【氏名又は名称】江蘇欧威医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU SIMOVAY PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン ロン
(72)【発明者】
【氏名】フォン リン
(72)【発明者】
【氏名】チャン チェンピン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ファン
(72)【発明者】
【氏名】トン チンリー
(72)【発明者】
【氏名】リー フーロン
(72)【発明者】
【氏名】ワン レイ
(72)【発明者】
【氏名】ホア ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シーバオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ペン
【審査官】 黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】 スペイン国特許出願公開第2144353(ES,A1)
【文献】 スペイン国特許出願公開第2277741(ES,A1)
【文献】 特開平03−220189(JP,A)
【文献】 特開昭63−264485(JP,A)
【文献】 特開平03−218361(JP,A)
【文献】 Marco-Contelles, Jose.,Tacripyrines, the First Tacrine-Dihydropyridine Hybrids, as Multitarget-Directed Ligands for the Treatment of Alzheimer's Disease,Journal of Medicinal Chemistry,2009年,52(9),2724-2732
【文献】 Leon, Rafael. et al.,New tacrine-dihydropyridine hybrids that inhibit acetylcholinesterase, calcium entry, and exhibit neuroprotection properties,Bioorganic & Medicinal Chemistry ,2008年,16(16),7759-7769
【文献】 Marco-Contelles, Jose et al.,Novel Multipotent Tacrine-Dihydropyridine Hybrids with Improved Acetylcholinesterase Inhibitory and Neuroprotective Activities as Potential Drugs for the Treatment of Alzheimer's Disease,Journal of Medicinal Chemistry,2006年,49(26),7607-7610
【文献】 Chen, Na et al.,3D-QSAR study of multi-target-directed AchE inhibitors based on autodocking,Medicinal Chemistry Research,2012年,21(2),245-256,DOI 10.1007/s00044-010-9516-x First online 25 december 2010
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのある種の化合物または薬学的に許容されるその塩
【化1】
[式中、Rは、フェニルであり、前記フェニルは、ハロゲン原子またはニトロによって、環上の任意の位置で置換されており;
Xは、−O−であり;
は、C〜Cアルキルから選択され;
は、Cアルキルから選択され;
は、水素であり;
Yは、置換C〜Cアルキレンから選択され、前記置換C〜Cアルキレン上の任意の位置は、ハロゲン原子またはC〜Cアルキルのうちの1つまたは2つ以上によって置換されている]。
【請求項2】
Rが、フェニルであり、前記フェニルは、ハロゲン原子またはニトロによって、環上の任意の位置で置換されており;
Xが、−O−であり;
が、C〜Cアルキルから選択され;
が、Cアルキルから選択され;
が、水素であり;
Yが、置換Cアルキレンから選択され、前記置換Cアルキレン上の任意の位置は、メチル、エチルおよびプロピルのうちの2つによって置換されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
【化2】
化合物1:S1によって示される、5−アミノ−4−(2−クロロフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸エチルエステル;
【化3】
化合物3:S3によって示される、5−アミノ−4−(3−フルオロフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸イソプロピルエステル;
【化4】
化合物6:S6によって示される、5−アミノ−4−(3−クロロフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸エチルエステル;
【化5】
化合物8:S8によって示される、5−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸イソプロピルエステル;
【化6】
化合物10:S10によって示される、5−アミノ−4−(2−クロロフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸メトキシルエチルエステル;
【化7】
化合物15:S15によって示される、5−アミノ−4−(3−ニトロフェニル)−2,9−ジメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル;
【化8】
化合物20:S20によって示される、5−アミノ−7,7−ジクロロ−2−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸エチルエステル;
【化9】
化合物27:S27によって示される、5−アミノ−4−(2,3−ジクロロフェニル)−2,7−ジメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル;
【化10】
化合物32:S32によって示される、5−アミノ−2,7,7−トリメチル−4−(2−クロロフェニル)−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸イソプロピルエステル;
からなる群から選択されることを特徴とする、化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
カルシウムチャネル阻害剤として使用される医薬の調製における、請求項1または2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項5】
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤として使用される医薬の調製における、請求項1または2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項6】
カルシウムホメオスタシスの調節;心血管疾患、もしくは脳血管疾患の治療;または認知症の治療をするための医薬の調製における、請求項または2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項7】
認知症が、アルツハイマー病または血管性認知症であることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
請求項1または2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩および薬学的に許容される担体を含むことによって特徴付けられる、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医化学の分野に関し、特に、1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン化合物または薬学的に許容されるその塩、ならびにこの化合物または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物に関し、この化合物または薬学的に許容されるその塩、およびこの化合物または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物のL型カルシウムチャネル遮断剤または/およびアセチルコリンエステラーゼ阻害剤としての使用、特に、心血管疾患、脳血管疾患または認知症を治療するための医薬を調製するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病はヒト中枢神経系の変性疾患であり、慢性の進行性の認知機能障害および記憶力低下によって主に特徴付けられる。アルツハイマー病は老人斑、神経原線維変化およびニューロン損失によって兆候が現れ、患者の認知機能、記憶力、言語機能および生活能力、感情および性格に大きな影響を及ぼす。現在、アルツハイマー病の病因に対して、「コリン作動性枯渇理論(cholinergic depletion theory)」が世界中で広く受け入れられている。この理論によれば、神経伝達物質であるアセチルコリンの枯渇がアルツハイマー病の主要な要因と考えられる。
【0003】
コリンエステラーゼは、生物の神経伝達において極めて重要な酵素であり、コリン作動性シナプスにおいて、アセチルコリンを分解して、シナプス後膜上における神経伝達の興奮効果を終結して、生物体内における神経シグナルの正常な伝達を確実なものとすることが可能である。しかし、アセチルコリンエステラーゼは、アセチルコリンの開裂反応を触媒するその能力によって、アセチルコリンの枯渇をもたらし、シグナル伝達の不全および認知機能、記憶力などの生物体の機能に影響を与えることにさらにつながる可能性がある。現在、アルツハイマー病を治療する目的で、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤によってコリンエステラーゼの活性を阻害し、アセチルコリンの加水分解速度を遅くして、シナプス間隙におけるアセチルコリンレベルを上昇させることが通常行われている。
【0004】
血管性認知症は、様々な脳血管疾患によって引き起こされる、知能低下の後天性症候群であり、記憶力、計算、注意力および遂行力などにおける知能退行を含む臨床症状を伴い、現在、アルツハイマー病に続いて認知症で最も一般的な原因である。研究者によれば、脳梗塞、虚血性および低酸素性低灌流(hypoxic hypoperfusion)ならびに出血性病理が損傷メカニズムの一つであり、これらが脳組織体積の減少、遅発性神経細胞死をもたらし、さらに、脳内のアセチルコリン作動性神経の損傷、アセチルコリン放出の減少につながり、記憶障害、認知機能障害ならびに社会生活機能および日常生活機能の減退が徐々に現れてくると考えられている。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の投与により、患者の認知機能、遂行力および日常生活の活動力は改善する。
【0005】
血管性認知症の患者における大脳皮質ニューロンに対する損傷の別のメカニズムは、カルシウムの脳への流入の増加であり、この増加は、学習機能および記憶機能の減退をもたらす。ニモジピンなどのカルシウムチャネルアンタゴニストが脳組織に入りカルシウムチャネル関連受容体と可逆的に結合して、カルシウムイオンの神経細胞への流入を抑制すれば、虚血への耐性の改善、脳血管の拡張、脳血液供給の改善、ニューロンの保護および血管性認知症の患者の認知機能の効率的な改善などの、利益を達成することができる。
【0006】
しかし、現在では、アセチルコリンエステラーゼの活性を阻害できるだけでなく、カルシウムチャネルを通じた細胞への細胞外カルシウムイオンの流入を遮断することもできる化合物は存在せず、よって、そのような種類の化合物を開発することが非常に重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】BURGER’S MEDICINAL CHEMISTRY AND DRUG CHEMISTRY、第5版、第1巻、172〜178頁、949〜982頁(1995年)
【非特許文献2】J.Med.Chem.2009年、52巻、2724〜2732頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、アセチルコリンエステラーゼの活性を阻害できるだけでなく、カルシウムチャネルを通じた細胞への細胞外カルシウムイオンの流入を遮断することもできるある種の化合物、それを含む医薬組成物、ならびにL型カルシウムチャネル遮断剤または/およびアセチルコリンエステラーゼ阻害剤としての、この化合物および医薬組成物の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した技術的課題を解決するために、本明細書において以下で技術的な提案がなされる:
式Iのある種の化合物または薬学的に許容されるその塩
【0010】
【化1】
【0011】
[式中、Rは、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、前記アリールまたはヘテロアリールは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アミノ、ニトロ、シアノ、トリハロアルキル、カルボキシル、アシル、アルコキシル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環式基、C〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルによって環上で任意選択で置換されていてもよく、2つの任意選択の位置の置換基は、合わせて、脂肪族環、複素環式環、芳香族環または複素芳香族環を形成していてよく、前記C〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、−SO−、−C(O)−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記C〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルは、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、複素脂環式基、アミノ、ヒドロキシおよび−NRのうちの1つまたは2つ以上によって任意選択で置換されていてよく;
Xは、−O−および−NR−からなる群から選択され;
およびRは、水素、アリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルキニルからなる群から独立して選択されるか、または、RおよびRは、合わせて、複素脂環式基を形成しており;
およびRは、水素、アリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルおよびC〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルからなる群から独立して選択され;
は、水素、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルキニルからなる群から選択され、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、−SO−、−C(O)−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意の位置は、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、アミノおよび−NRのうちの1つまたは2つ以上によって置換されていてよく;
は、水素、ハロゲン原子、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、トリハロアルキル、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルキニルからなる群から選択され、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、−SO−、−C(O)−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意の位置は、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、アミノおよび−NRのうちの1つまたは2つ以上によって置換されていてよく;
は、水素、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され、前記C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、−SO−、−C(O)−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル上の任意の位置は、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、アミノおよび−NRのうちの1つまたは2つ以上によって置換されていてよく;
Yは、C〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンおよび非水素置換C〜Cアルキレンからなる群から選択され、前記C〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンまたは非水素置換C〜Cアルキレン上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、−C(O)−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記置き換えられているまたは置き換えられていないC〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンまたは非水素置換C〜Cアルキレン上の任意の位置は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アミノ、シアノ、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、複素脂環式基、−NR、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルキニルのうちの1つまたは2つ以上によって置換されていてよく、2つの隣接する位置の置換基は、合わせて、脂肪族環、複素環式環、芳香族環または複素芳香族環を形成していてよい]。
【0012】
好ましくは、上記の化合物において、
Rは、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、前記アリールまたはヘテロアリールは、ハロゲン原子、アミノ、ニトロ、シアノ、トリハロアルキル、アシル、アルコキシル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環式基、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルによって、環上の任意選択の位置で置換されており、2つの任意選択の位置の置換基は、合わせて、脂肪族環、複素環式環、芳香族環または複素芳香族環を形成していてよく、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、−SO−、−C(O)−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルは、ハロゲン原子、シアノ、アミノ、ヒドロキシおよび−NRのうちの1つまたは2つ以上によって任意選択の位置で置換されていてよく;
Xは、−O−および−NR−からなる群から選択され;
およびRは、水素、アリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、RおよびRが、合わせて、複素脂環式基を形成しており;
は、水素、アリール、ヘテロアリール、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
は、水素、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルキニルからなる群から選択され、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、−C(O)−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意の位置は、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、アミノおよび−NRのうちの1つまたは2つ以上によって置換されていてよく;
は、ハロゲン原子、トリハロアルキル、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルキニルからなる群から選択され、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意の位置は、ハロゲン原子、シアノ、アリール、ヘテロアリール、アミノおよび−NRのうちの1つまたは2つ以上によって置換されていてよく;
は、水素、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され、前記C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、−C(O)−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル上の任意の位置は、ハロゲン原子のうちの1つまたは2つ以上によって置換されていてよく;
Yは、C〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンおよび非水素置換C〜Cアルキレンからなる群から選択され、前記C〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンまたは非水素置換C〜Cアルキレン上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、−C(O)−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記置き換えられているまたは置き換えられていないC〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンまたは非水素置換C〜Cアルキレン上の任意の位置は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アミノ、シアノ、ニトロ、複素脂環式基、−NR、C〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルおよびC〜Cアルケニルのうちの1つまたは2つ以上によって置換されていてよく、2つの隣接する位置の置換基は、合わせて、脂肪族環、複素環式環、芳香族環または複素芳香族環を形成していてよい。
【0013】
より好ましくは、上記の化合物において、
Rは、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、前記アリールまたはヘテロアリールは、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ、トリハロアルキル、アシル、アルコキシル、複素脂環式基、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルによって環上の任意選択の位置で置換されており、2つの任意選択の位置の置換基は、合わせて、脂肪族環、複素環式環、芳香族環、または複素芳香族環を形成していてよく、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、−SO−、−C(O)−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルは、ハロゲン原子、シアノ、アミノおよび−NRのうちの1つまたは2つ以上によって任意選択の位置で置換されていてよく;
Xは、−O−および−NR−からなる群から選択され;
およびRは、水素、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、または、RおよびRは、合わせて、複素脂環式基を形成しており;
は、水素、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され;
は、水素およびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルキニルからなる群から選択され、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、−C(O)−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意の位置は、ハロゲン原子、アリール、ヘテロアリール、アミノおよび−NRのうちの1つまたは2つ以上によって置換されていてよく;
は、トリハロアルキル、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から選択され、前記C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル上の任意の位置は、ハロゲン原子、アリール、ヘテロアリール、および−NRのうちの1つまたは2つ以上によって置換されていてよく;
は、水素、C〜Cアルキルからなる群から選択され;
Yは、C〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンおよび非水素置換C〜Cアルキレンからなる群から選択され、前記C〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンまたは非水素置換C〜Cアルキレン上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、−C(O)−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記置き換えられているまたは置き換えられていないC〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンまたは非水素置換C〜Cアルキレン上の任意の位置は、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、複素脂環式基、−NR、C〜Cアルキル、C〜CシクロアルキルおよびC〜Cアルケニルのうちの1つまたは2つ以上によって置換されていてよく、2つの隣接する位置の置換基は、合わせて、脂肪族環、複素環式環、芳香族環または複素芳香族環を形成していてよい。
【0014】
より好ましくは、上記の化合物において、
Rは、フェニルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、前記フェニルまたはヘテロアリールは、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ、トリハロアルキル、アシル、アルコキシル、複素脂環式基、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルによって環上の任意選択の位置で置換されており、2つの隣接する置換基は、合わせて、脂肪族環、複素環式環、芳香族環または複素芳香族環を形成していてよく、前記C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく;
Xは、−O−であり;
、RおよびRは、水素、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から独立して選択され;
は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルキニルからなる群から選択され、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意の位置は、ハロゲン原子および−NRのうちの1つまたは2つ以上によって置換されていてよく;
は、トリハロアルキルおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
は、水素およびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
Yは、C〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンおよび非水素置換C〜Cアルキレンからなる群から選択され、前記C〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンまたは非水素置換C〜Cアルキレン上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、−C(O)−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記置き換えられているまたは置き換えられていないC〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンまたは非水素置換C〜Cアルキレン上の任意の位置は、ハロゲン原子、C〜CアルキルおよびC〜Cアルケニルのうちの1つまたは2つ以上によって置換されていてよく、2つの隣接する位置の置換基は、合わせて、脂肪族環、複素環式環、芳香族環または複素芳香族環を形成していてよい。
【0015】
より好ましくは、上記の化合物において、
Rは、フェニルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、前記フェニルまたはヘテロアリールは、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ、トリハロアルキル、アシル、アルコキシル、複素脂環式基、C〜Cアルキルによって環上の任意の位置で置換されており、2つの隣接する置換基は、合わせて、脂肪族環、複素環式環、芳香族環または複素芳香族環を形成していてよく、前記C〜Cアルキル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく;
Xは、−O−であり;
およびRは、水素およびC〜Cアルキルからなる群から独立して選択され;
は、水素およびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルキニルからなる群から選択され、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意の位置は、1つまたは2つ以上の−NRによって置換されていてよく;
は、トリハロアルキルおよびC〜Cアルキルからなる群から選択され;
は、水素、メチルおよびエチルからなる群から選択され;
Yは、C〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンおよび非水素置換C〜Cアルキレンからなる群から選択され、前記C〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンまたは非水素置換C〜Cアルキレン上の任意選択の−CH−は、−O−、−S−、−C(O)−または/および−NR−のうちの1つまたは2つ以上によって置き換えられていてよく、前記置き換えられているまたは置き換えられていないC〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンまたは非水素置換C〜Cアルキレン上の任意の位置は、ハロゲン原子、メチル、エチルおよびプロピルのうちの1つまたは2つ以上によって置換されていてよく、2つの隣接する位置の置換基は、合わせて、脂肪族環、複素環式環、芳香族環または複素芳香族環を形成していてよい。
【0016】
別段の指摘がない限り、本特許請求の範囲および本明細書中で使用される以下の用語は、以下で説明される意味を有する。
【0017】
本明細書中で言及される基の炭素原子数の表現法、たとえば、C〜C10は、その基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子および最大で10個の炭素原子を含有してよいことを意味する。
【0018】
アルキルとは、直鎖および分枝鎖ヒドロカルボニルが含まれる、飽和脂肪族基を指し、これには、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等が含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
アルキレンとは、二価のアルキルを指す。
【0020】
アルケニルとは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む不飽和の直鎖または分枝鎖ヒドロカルボニルを指し、これには、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、t−ブチレン、n−ペンテン、イソペンテン、n−ヘキシレン基等が含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
アルケニレンとは、二価のアルケニルを指す。
【0022】
アルキニルとは、1つまたは2つ以上の炭素−炭素三重結合を含む不飽和の直鎖または分枝鎖ヒドロカルボニルを指し、これには、アセテニル、アリレン、イソアリレン、ブチン、イソブチン、t-ブチン、ペンチンおよびヘキシン基が含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
アルキニレンとは、二価のアルキニルを指す。
【0024】
シクロアルキルとは、炭素原子のみからなる単環式環または縮合環であって(縮合環とは、系内の各環が、系内の他の環と、炭素原子の隣接するペアを共有していることを意味する)、環のうちの1つまたは複数は完全に共役したπ電子系を含有していなくてよい単環式環または縮合環を指し、シクロアルキルの例には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、アダマンタン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロヘプタジエン、シクロヘプタトリエン等が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
アルコキシルとは、酸素結合を介して連結された、アルキルまたはシクロアルキルを指す。
【0026】
アリールオキシとは、−O−アリールおよび−O−ヘテロアリールを指し、これには、フェノキシ、ピリジルオキシ、フリルオキシ、チエニルオキシ、ピリミジニルオキシ、ピラジニルオキシおよびこれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
置換されているフェニルとは、1つまたは2つ以上の置換基によって置換されているフェニルを指し、置換基には、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルコキシル、C〜Cアルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシ、カルボキシル、ヒドロペルオキシル、ウレイド、カルバモイル、カルバミノ、カルボニル、アミノ、ヒドロキシアミノ、ホルムアミド、ホルミル、グアニル、シアノ、シアノアミノ、イソシアノ、イソシアナト、ジアゾ、アジド、ジアザニル、トリアザノ、ニトリロ、ニトロ、ニトロソ、イソニトロソ、ニトロソアミノ、イミド、ニトロソイミノ、オキソ、C〜Cアルキルチオ、スルホアミノ、スルファモイル、スルフェニル、スルフヒドリル、スルフィニル、スルホ、スルホニル、チオアルコキシル、チオシアノ、イソチオシアノ、チオホルムアミド、ハロ−、ハロアルキル、クロロシル、クロリル、ペルクロリル、トリフルオロメチル、ヨードシル、ヨージル、ホスフィノ、ホスフィニル、ホスホ、ホスホノ、アルシノ、セラニル、ジシラニル、シロキシ、シリル、シリレンならびに炭素環式部分および複素環式部分が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
アリールとは、1つまたは2つ以上の閉環を有する環式芳香族炭化水素部分を指す。非限定的な例には、フェニル、ベンジル、ナフチル、アントラセニル、フェナントラセニル、ビフェニル等が含まれる。アリールは置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ、トリハロアルキル、アシル、複素脂環式基、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、モノアルキル−またはジアルキル−アミノ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルコキシル、アルキルチオ等からなる(しかしこれらに限定されない)群から独立して選択される、好ましくは1つまたは複数の、より好ましくは1つ、2つまたは3つの置換基によって置換されている。
【0029】
「ヘテロアリール」とは、5〜12個の環原子を有する単環式環または縮合環であって、1個、2個、3個または4個のヘテロ原子が、N、OおよびSからなる群から選択され、残りがC原子であり、環が、完全に共役したπ電子系をさらに含有する単環式環または縮合環を指す。置換されていないヘテロアリールには、ピロール、フラン、チオフラン、イミダゾール、ピリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアジル、ピラゾール、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、プリン、カルバゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾジアゾール等が含まれるが、これらに限定されない。ヘテロアリールは、置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ、トリハロアルキル、アシル、複素脂環式基、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、モノアルキル−またはジアルキル−アミノ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルコキシル、アルキルチオ等からなる(しかしこれらに限定されない)群から独立して選択される、好ましくは1つまたは複数の、より好ましくは1つ、2つまたは3つの置換基によって置換されている。
【0030】
複素脂環式基とは、環中に5〜9個の環原子を有する単環式環または縮合環であって、1個、2個または3個の環原子が、N、OおよびS(O)からなる群から選択されるヘテロ原子であり(ここでmは0〜2の整数である)、残りがC原子である、単環式環または縮合環を指す。これらの環は、完全に共役したπ電子系を有さない、0、1つまたはそれを超える二重結合を有していてよい。置換されていない複素脂環式基には、ピロリジニル、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、ホモピペラジノ等が含まれるが、これらに限定されない。複素脂環式基は、置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合、置換基は、好ましくは1つまたは2つ以上であり、より好ましくは1つまたは2つまたは3つであり、より好ましくは1つまたは2つであり、置換基には、低級アルキル、トリハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシル、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、アシル、チオアシル、O−カルバモイル、N−カルバモイル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、ニトロ、N−スルホンアミド、S−スルホンアミドが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、複素脂環式基は、1つまたは2つの置換基によって任意選択で置換されていてもよく、置換基には、ハロゲン、低級アルキル、トリハロアルキル、ヒドロキシ、スルフヒドリル、シアノ、N−アミド、モノアルキル−もしくはジアルキル−アミノ、カルボキシルまたはN−スルホンアミドが含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素基を指す。
【0032】
トリハロアルキルとは、−CX基を指し、ここで、Xは上記で定義されたハロゲン原子である。
【0033】
脂肪族環とは、3〜9個の炭素原子を有する環基であって、これらの環は0、1つまたはそれを超える二重結合を有していてよいが、完全に共役したπ電子系を有さない環基を指す。脂肪族環は、置換されていても置換されていなくてもよく、置換基は、好ましくは1つまたは2つ以上であり、より好ましくは1つ、2つまたは3つであり、より好ましくは1つまたは2つであり、置換基は、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ、トリハロアルキル、アシル、複素脂環式基、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、モノアルキル−またはジアルキル−アミノ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルコキシル、アルキルチオ等からなる(しかしこれらに限定されない)群から独立して選択される。
【0034】
複素環式環とは、5〜9個の環原子を有する環であって、1個、2個または3個の環原子がN、OおよびS(O)からなる群から選択されるヘテロ原子であり(ここでmは0〜2の整数である)、残りがC原子である環を指す。これらの環は、0、1つまたはそれを超える二重結合を有していてよいが、完全に共役したπ電子系を有さない。置換されていない複素環式環には、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ホモピペラジン等が含まれるが、これらに限定されない。複素環式環は、置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合、置換基は、好ましくは1つまたは2つ以上であり、より好ましくは1つまたは2つまたは3つであり、より好ましくは1つまたは2つであり、置換基には、低級アルキル、トリハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシル、スルフヒドリル、アルキルチオ、シアノ、アシル、チオアシル、O−カルバモイル、N−カルバモイル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、ニトロ、N−スルホンアミド、S−スルホンアミドが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、複素環式基は、1つまたは2つの置換基によって任意選択で置換されていてもよく、置換基には、ハロゲン、低級アルキル、トリハロアルキル、ヒドロキシ、スルフヒドリル、シアノ、N−アミド、モノアルキル−もしくはジアルキル−アミノ、カルボキシルまたはN−スルホンアミドが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
芳香族環とは、1つまたは2つ以上の閉環を有する環式芳香族炭化水素部分を指す。例には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等が含まれるが、これらに限定されない。芳香族環は、置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ、トリハロアルキル、アシル、複素脂環式基、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、モノアルキル−またはジアルキル−アミノ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルコキシル、アルキルチオ等からなる(しかしこれらに限定されない)群から独立して選択される、好ましくは1つまたは複数の、より好ましくは1つ、2つまたは3つの置換基によって置換されている。
【0036】
複素芳香族環とは、5〜12個の環原子を有する単環式環または縮合環であって、1個、2個、3個または4個の環原子が、N、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子で、残りがC原子であり、環が完全に共役したπ電子系をさらに含有する、単環式環または縮合環を指す。置換されていない複素芳香族環には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアジル、ピラゾール、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、プリン、カルバゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾジアゾール等が含まれるが、これらに限定されない。複素芳香族環は、置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ、トリハロアルキル、アシル、複素脂環式基、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、モノアルキル−またはジアルキル−アミノ、ヒドロキシ、スルフヒドリル、アルコキシル、アルキルチオ等からなる(しかしこれらに限定されない)群から独立して選択される、好ましくは1つまたは複数の、より好ましくは1つ、2つまたは3つの置換基によって置換されている。
【0037】
本発明で提供される化合物は、本化合物の薬学的に許容される等価物またはその混合物をさらに含む。
【0038】
好ましくは、本発明で提供される化合物の薬学的に許容される等価物には、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、代謝産物、プロドラッグおよび等価体(isostere)のうちの1つ、またはこれらの混合物が含まれ得る。
【0039】
好ましくは、本発明で提供される化合物の薬学的に許容される等価物のうち、薬学的に許容される塩は、本発明で提供される化合物の酸性塩または塩基性塩を含む。薬学的に許容される塩は、本化合物の薬学的活性を有し、生物学的用途および実用用途の両方における需要に応える。
【0040】
本発明で提供される化合物の薬学的に許容される等価物のうち、薬学的に許容される酸性塩には、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、アジピン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、トシル酸塩、メシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩 臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタン−スルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
好ましくは、本発明で提供される化合物の薬学的に許容される等価物のうち、薬学的に許容される塩基性塩には、アンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミンなどの有機塩基との塩ならびにアルギニンおよびリシンなどのアミノ酸との塩が含まれ得る。好ましくは、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピルおよび塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピルおよび臭化ブチルならびにヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピルおよびヨウ化ブチルなどのハロゲン化低級アルキル;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチルおよび硫酸ジアミルなどの硫酸ジアルキル;塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチルおよび塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチルおよび臭化ステアリルならびにヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチルおよびヨウ化ステアリルなどの長鎖ハロゲン化物;ならび臭化フェニルなどのハロゲン化アラルキルが含まれるが、これらに限定されない薬剤を用いて、塩基性窒素含有基を四級化することができる。
【0042】
好ましくは、本発明で提供される化合物の薬学的に許容される等価物のうち、プロドラッグとは、その薬理学的効果を示す前に代謝などの生体内変化を受ける、本発明による化合物の誘導体を指す。プロドラッグは、改善された化学的安定性、改善された患者の受容およびコンプライアンス、改善された生物学的利用能、延長された作用期間、改善された器官選択性、改善された配合(たとえば、増加した水溶性)または減少した副作用(たとえば、毒性)を有する材料と共に配合される。プロドラッグは、従来の手段を使用して、本発明による化合物から容易に調製できる。たとえば、BURGER’S MEDICINAL CHEMISTRY AND DRUG CHEMISTRY、第5版、第1巻、172〜178頁、949〜982頁(1995年)を参照されたい。
【0043】
本発明において、等価体とは、異なる分子式を有するが類似または同一の物理的特性を示す、構成部分、官能基、置換基、分子またはイオンを指す。たとえば、テトラゾールとカルボン酸は異なる分子式を有しているものの、テトラゾールはカルボン酸と特性が似ているため、テトラゾールはカルボン酸の等価体である。典型的には、2つの等価体分子は、類似または同一のサイズおよび形状を有する。理想的には、等価体分子は、同形で共結晶化が可能でなければならない。等価体分子が通常共有する他の物理的特性には、沸点、密度、粘度および熱伝導率が含まれる。しかし、外部軌道が異なって混成している可能性があるので、いくつかの特性(双極子モーメント、極性、偏光、サイズおよび形状)は異なっている可能性がある。等価体は、生物学的等価体(bioisostere)を包含する。生物学的等価体とは、それらの物理的類似性に加え、いくつかの共通する生物学的特性を共有する等価体である。典型的には、生物学的等価体は同じ認識部位と相互作用するか、または広く類似した生物学的効果をもたらす。
【0044】
本発明において、有効量とは、所望の効果、たとえば、カルシウムホメオスタシスの調節、カルシウムホメオスタシスの調節異常が関与する疾患の治療、心血管疾患、卒中もしくは認知症の治療、またはアセチルコリンエステラーゼもしくはL型カルシウムチャネルの阻害をもたらすのに必要とされる量を指す。
【0045】
本発明において、代謝産物とは、代謝によって、または代謝的なプロセスによって生成される物質を指す。
【0046】
本発明は、カルシウムチャネル阻害剤およびアセチルコリンエステラーゼ阻害剤としての医薬の調製における、1,4−ジヒドロ−ナフチリジン誘導体の使用を提供する。
【0047】
本発明はまた、カルシウムホメオスタシスを調節するための、心血管疾患、脳血管疾患を治療するための、または認知症を治療するための医薬の調製における、1,4−ジヒドロ−ナフチリジン誘導体の使用を提供する。
【0048】
中でも、認知症は、好ましくはアルツハイマー病または血管性認知症である。
【0049】
本発明の実施例において、本発明者らは、パッチクランプ技法およびハイコンテントスクリーニング分析を使用して、1,4−ジヒドロ−ナフチリジン誘導体によるL型Ca2+チャネルの遮断活性を検出した。その結果は、L型Ca2+チャネルの強力な遮断活性は1,4−ジヒドロ−ナフチリジン誘導体に共通しており、陽性対照であるニフェジピンおよびニモジピンの活性よりも高いことを示した。
【0050】
本発明の実施例において、本発明者は、1,4−ジヒドロ−ナフチリジン誘導体によるアセチルコリンエステラーゼの阻害活性を検出した。その結果は、1,4−ジヒドロ−ナフチリジン誘導体はアセチルコリンエステラーゼの活性を阻害することが可能であることを示した。
【0051】
上記の実験結果に基づくと、本発明による化合物は、アセチルコリンエステラーゼの活性を阻害することができるだけでなく、カルシウムチャネルを通じた細胞への細胞外カルシウムイオンの流入を遮断することもでき、すなわち、二重活性を有する。
【0052】
当技術分野における知識と共に調製および効果の実施例に基づくと、本発明の一般式における置換基Rがアリールまたはヘテロアリールであり、アリールまたはヘテロアリールの任意の位置が、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル等で置換されているか、または環を形成している場合、得られる化合物は同一または類似の効果を有し、簡便かつ容易に調製することができると推測することができる。中でも、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニルの任意の位置は、置換基によって置換されていてよく、その任意の−CH−は置き換えられていてもよい。
【0053】
当技術分野における知識と共に調製および効果の実施例に基づくと、本発明の一般式における置換基Rが水素、ヒドロキシ、アリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであり、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意の位置が、置換基によって置換されているか、またはその任意の−CH−が置き換えられている場合、得られる化合物は同一または類似の効果を有し、簡便かつ容易に調製することができると推測することができる。
【0054】
当技術分野における知識と共に調製および効果の実施例に基づくと、本発明の一般式における置換基Rが水素、ハロゲン原子、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、トリハロアルキル、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであり、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニル上の任意の位置が、置換基によって置換されているか、またはその任意の−CH−が置き換えられている場合、得られる化合物は同一または類似の効果を有し、簡便かつ容易に調製することができると推測することができる。
【0055】
当技術分野における知識と共に調製および効果の実施例に基づくと、本発明の一般式における置換基Rが水素、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル上の任意の位置が、置換基によって置換されているか、またはその任意の−CH−が置き換えられている場合、得られる化合物は同一または類似の効果を有し、簡便かつ容易に調製することができると推測することができる。
【0056】
当技術分野における知識と共に調製および効果の実施例に基づくと、本発明の一般式における置換基YがC〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンまたは非水素置換C〜Cアルキレンであり、C〜Cアルケニレン、C〜Cアルキニレンまたは非水素置換C〜Cアルキレン上の任意の位置が、置換基によって置換されているか、もしくはその任意の−CH−が置き換えられているか、または任意の2つの位置が環を形成している場合、得られる化合物は同一または類似の効果を有し、簡便かつ容易に調製することができると推測することができる。
【0057】
当技術分野における知識と共に調製および効果の実施例に基づくと、本発明の一般式における置換基Xが−O−または−NR−である場合、得られる化合物は同一または類似の効果を有し、簡便かつ容易に調製することができると推測することができる。中でも、Rは水素、アリール、ヘテロアリール、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルである。
【0058】
本発明はまた、1,4−ジヒドロ−ナフチリジン誘導体、薬学的に許容されるその等価物またはその混合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0059】
本発明による一般式の化合物は、以下の経路に基づいて合成することができる:
【0060】
【化2】
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明において、1,4−ジヒドロ−ナフチリジン誘導体およびその医薬組成物ならびにそれらの使用が開示され、これらは、当業者が本明細書の内容を参照してプロセスパラメータについて適切な改善を施すことによって達成することができる。特に、類似した置き換えおよび改変はいずれも当業者には明らかであり、そのすべてが本発明に含まれるとみなされる点には留意されたい。本発明の方法およびその適用を、好ましい実施例によって記述する。本発明に開示された技法を実現および適用するために、改変または適切な変更およびこれらの組合せが、本発明の内容、趣旨および範囲から逸脱せずに、当業者によって行われてよいことは明らかである。
【0062】
本発明を、当業者が本発明の技術的解決法をよりよく理解できるようにするために、以下の具体的な実施例を参照してさらに記述する。
【0063】
本実施例において調製される化合物は、以下の通りである:
【0064】
【化3】
【0065】
化合物1:S1によって示される、5−アミノ−4−(2−クロロフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸エチルエステル
【0066】
【化4】
【0067】
化合物2:S2によって示される、5−アミノ−2,7−ジメチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸エチルエステル
【0068】
【化5】
【0069】
化合物3:S3によって示される、5−アミノ−4−(3−フルオロフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸イソプロピルエステル
【0070】
【化6】
【0071】
化合物4:S4によって示される、5−アミノ−4−(3−トリフルオロメチルフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸エチルエステル
【0072】
【化7】
【0073】
化合物5:S5によって示される、5−アミノ−4−(3−ニトロフェニル)−2,7,7−トリアリル1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸アリルエステル
【0074】
【化8】
【0075】
化合物6:S6によって示される、5−アミノ−4−(3−クロロフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][6,8]ナフチリジン−3−カルボン酸エチルエステル
【0076】
【化9】
【0077】
化合物7:S7によって示される、5−アミノ−4−フェニル−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル
【0078】
【化10】
【0079】
化合物8:S8によって示される、5−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸イソプロピルエステル
【0080】
【化11】
【0081】
化合物9:S9によって示される、5−アミノ−4−(2−フルオロフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸シクロブチルエステル
【0082】
【化12】
【0083】
化合物10:S10によって示される、5−アミノ−4−(2−クロロフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸メトキシルエチルエステル
【0084】
【化13】
【0085】
化合物11:S11によって示される、5−アミノ−4−(2−クロロフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸シクロプロピルメチルエステル
【0086】
【化14】
【0087】
化合物12:S12によって示される、5−アミノ−2,7−ジメチル−4−フェニル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロピリド[2,3−b][1,6]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル
【0088】
【化15】
【0089】
化合物13:S13によって示される、5−アミノ−2−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−7−エチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロピリド[2,3−b][1,6]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル
【0090】
【化16】
【0091】
化合物14:S14によって示される、5−アミノ−2−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−7−プロピル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロピリド[2,3−b][1,6]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル
【0092】
【化17】
【0093】
化合物15:S15によって示される、5−アミノ−4−(3−ニトロフェニル)−2,9−ジメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル
【0094】
【化18】
【0095】
化合物16:S16によって示される、5−アミノ−2−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4,6,8−テトラヒドロチエノ[3,4−b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル
【0096】
【化19】
【0097】
化合物17:S17によって示される、12−アミノ−9−メチル−11−(3−ニトロフェニル)−5,6,8,11−テトラヒドロナフト[2,1−b][1,8]ナフチリジン−10−カルボン酸メチルエステル
【0098】
【化20】
【0099】
化合物18:S18によって示される、5−アミノ−2,8−ジメチル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4,6,7−テトラヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル
【0100】
【化21】
【0101】
化合物19:S19によって示される、5−アミノ−7,7−ジフルオロ−2−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸エチルエステル
【0102】
【化22】
【0103】
化合物20:S20によって示される、5−アミノ−7,7−ジクロロ−2−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸エチルエステル
【0104】
【化23】
【0105】
化合物21:S21によって示される、5−アミノ−9−クロロ−2−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル
【0106】
【化24】
【0107】
化合物22:S22によって示される、5−アミノ−2,8−ジメチル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル
【0108】
【化25】
【0109】
化合物23:S23によって示される、5−アミノ−2−メチル−4−フェニル−4,6,8,9−テトラヒドロ−1H−チオピラノ[4,3−b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル
【0110】
【化26】
【0111】
化合物24:S24によって示される、5−アミノ−7,7−ジメチル−4−(3−ニトロフェニル)−2−トリフルオロメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸エチルエステル
【0112】
【化27】
【0113】
化合物25:S25によって示される、5−アミノ−7,7−ジメチル−4−(3−ニトロフェニル)−2−エチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル
【0114】
【化28】
【0115】
化合物26:S26によって示される、5−アミノ−2,7,7−トリメチル−4−(ピリミジン−5−イル)−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸イソプロピルエステル
【0116】
【化29】
【0117】
化合物27:S27によって示される、5−アミノ−4−(2,3−ジクロロフェニル)−2,7−ジメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル
【0118】
【化30】
【0119】
化合物28:S28によって示される、5−アミノ−4−(2−メトキシフェニル)−2,7−ジメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸エチルエステル
【0120】
【化31】
【0121】
化合物29:S29によって示される、5−アミノ−7,7−ジフルオロ−2−メチル−4−フェニル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸2−(ジメチルアミノ)エチルエステル
【0122】
【化32】
【0123】
化合物30:S30によって示される、5−アミノ−2,7,7−トリメチル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル
【0124】
【化33】
【0125】
化合物31:S31によって示される、5−アミノ−2,7,7−トリメチル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸エチルエステル
【0126】
【化34】
【0127】
化合物32:S32によって示される、5−アミノ−2,7,7−トリメチル−4−(2−クロロフェニル)−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸イソプロピルエステル
【0128】
【化35】
【0129】
化合物33:S33によって示される、5−アミノ−2,7,7−トリメチル−4−(3−クロロフェニル)−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸イソプロピルエステル
【0130】
【化36】
【0131】
化合物34:S34によって示される、5−アミノ−2,7,7−トリメチル−4−(3−フルオロフェニル)−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸エチルエステル
【0132】
【化37】
【0133】
化合物35:S35によって示される、5−アミノ−4−(3−フルオロフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸アリルエステル
【0134】
【化38】
【0135】
化合物36:S36によって示される、5−アミノ−2,7,7−トリメチル−4−(3−フルオロフェニル)−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸プロパルギルエステル
【0136】
【化39】
【0137】
化合物37:S37によって示される、5−アミノ−4−(3−ニトロフェニル)−2,7,7−トリメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸プロパルギルエステル
【0138】
【化40】
【0139】
化合物38:S38によって示される、5−アミノ−4−(2−クロロフェニル)−1,2,7,7−テトラメチル−1,4,6,7,8,9−ヘキサヒドロベンゾ[b][1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸エチルエステル
【実施例1】
【0140】
化合物S1の合成
合成経路:
【0141】
【化41】
【0142】
ステップ1 原材料Aの合成
6.64gのマロノニトリル(10.06mmol)および4.63gの無水アルコール(10.06mmol)を混合し、反応ボトル中で室温で均一に撹拌し、続いて、氷浴中に置いたエチルエーテル(10.39mmol)中の塩酸溶液を添加した。混合物を室温に加温して3時間撹拌すると、大量の沈殿固体が生じた。次に、混合物を冷蔵庫内に終夜維持し、濾過し、洗浄し、乾燥して、A(12.1g)を、収率80.4%で得た。
【0143】
ESI−MS:113.1[M+H]
ステップ2 化合物Cの合成
アセト酢酸エチル(13.0g、0.1mol)および無水酢酸(7.5g、0.073mol)を混合し、次に、氷浴中で撹拌しながら硫酸(0.8mL)を添加した。次いで、2−クロロベンズアルデヒド(14.1g、0.11mol)を添加し、ゆっくりと溶解させた。1時間の撹拌後、反応の終結をTLCによって観察した。次いで、5mLの水を添加し、混合物をジクロロメタン(20mL×3)によって抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水溶液で洗浄した。次に、これを無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濃縮した。得られたものを、シリカゲルカラムを使用したクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)によって分離して、淡黄色の油状生成物C1を、収率50.4%で得た。
【0144】
ステップ3 中間体Dの合成
A(2.2g、0.015mol)、酢酸アンモニウム(3.3g、0.043mol)および10mlのメタノールを反応ボトルに添加し、撹拌し、30分間還流した。次に、C1(3.6g、0.014mol)を添加し、混合物を続けてさらに30分間還流した。反応の終了をTLCによって検出した。得られた生成物を真空下で濃縮し、粗生成物を、シリカゲルカラムを使用したクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)によって分離して、黄色の粉末D1(1.4g)を、収率31%で得た。
【0145】
ステップ4
中間体D1(110mg、0.35mmol)を10mLの1,2−ジクロロエタン中に溶解し、これに4,4−ジメチルシクロヘキサノン(80mg、0.63mmol)およびAlCl(85mg、0.63mmol)を添加した。混合物を窒素雰囲気保護下で終夜、加熱によって還流した。原材料が完全に消費されたことをTLCによって確認した後、反応物の加熱を停止し、室温に冷却させた。次に、反応混合物をTHF:HO=1:1(15mL)の溶液中に注ぎ、撹拌しながら、pH>7になるまで10%のNaOH水溶液を滴加した。混合物をジクロロメタン(15mL×3)によって抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水溶液で洗浄した。次に、これを無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濃縮した。得られた生成物を、シリカゲルカラムを使用したクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)によって分離して、58.6mgの黄色の油状生成物S1を、収率40%で得た。
【0146】
ESI−MS:426.0[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.49(1H,td,J=1.2 , 8.0),7.27(1H , td,J=1.2,8.0), 7.18(1H, dd, J=1.6, 8.0), 7.10(1H, dd,J=1.6, 8.0), 5.44 (1H, s), 4.62 (2H, s), 4.12 (2H, q,J=7.2), 2.72(2H, m), 2.46(3H, s), 2.07(2H, m), 1.57 (2H, m), 1.22(3H, t, J=7.2), 1.00 (6H, s).
【実施例2】
【0147】
化合物S2の合成
合成経路:
【0148】
【化42】
【0149】
ステップ1 中間体D2の合成
p−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(174mg、1.0mmol)、中間体A(150mg、1.0mmol)、アセト酢酸エチル(169mg、1.3mmol)および酢酸アンモニウム(100mg、1.3mmol)を精確に秤量して50mLの丸底フラスコに入れ、10mLのメタノールを添加することによって溶解した。撹拌しながら5時間加熱によって還流した後、混合物を室温に冷却し、真空下で濃縮した。得られた生成物を、シリカゲルカラムを使用したクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)によって分離して、40mgの黄色の固体生成物C2を、収率11%で得た。
【0150】
ESI−MS:352.0[M+H]
【0151】
ステップ2
中間体D2(35.1mg、0.1mmol)を3mLの1,2−ジクロロエタンに溶解し、これに4−メチルシクロヘキサノン(24.4mg、0.2mmol)およびAlCl(26.6mg、0.2mmol)を添加した。混合物をアルゴン雰囲気下で終夜、加熱によって還流した。原材料が完全に消費されたことをTLCによって確認した後、反応物の加熱を停止し、室温に冷却させた。次に、反応混合物をTHF:HO=1:1(10mL)の溶液中に注ぎ、撹拌しながら、pH>7になるまで10%のNaOH水溶液を滴加した。混合物をジクロロメタン(10mL×3)によって抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水溶液で洗浄した。次に、これを無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濃縮した。得られた生成物を、シリカゲルカラムを使用したクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)によって分離して、40mgの黄色の油状生成物S2を、収率90%で得た。
【0152】
ESI−MS:446.0[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.48 (4H, m), 5.09 (1H, s), 4.12 (4H, m), 2.72 (2H, m), 2.39 (3H, s), 1.89 (2H, m), 1.62 (3H, m), 1.27 (3H, m), 1.09 (3H, d, J = 6.4 Hz).
【実施例3】
【0153】
化合物S3の合成
合成経路:
【0154】
【化43】
【0155】
ステップ1
実施例2におけるD2の合成法を参照することによって、3−フルオロベンズアルデヒド(1.5g、12.1mmol)、アセト酢酸イソプロピル(2.26g、15.7mmol)、中間体A(1.8g、12.1mmol)および酢酸アンモニウム(1.2g、15.7mmol)を反応させて、200mgの黄色の固体(標的中間体D3)を、収率6%で得た。
【0156】
ステップ2(マイクロ波補助反応)
中間体D3(80mg、0.254mmol)をマイクロ波反応管に入れ、3mLの1,2−ジクロロエタン中に溶解し、これに、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(64mg、0.508mmol)およびAlCl(67.5mg、0.508mmol)を添加した。混合物を、温度T=120℃のマイクロ波反応装置内で時間t=1時間の間反応させた。原材料が完全に消費されたことをTLCによって確認した後、反応を停止し、室温に冷却させた。次に、反応混合物をTHF:HO=1:1(10mL)の溶液中に注ぎ、撹拌しながら、pH>7になるまで10%のNaOH水溶液を滴加した。混合物をジクロロメタン(10mL×3)によって抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水溶液で洗浄した。次に、これを無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濃縮した。得られた生成物を、シリカゲルカラムを使用したクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)によって分離して、32mgの黄色の油状生成物S3を、収率30%で得た。
【0157】
ESI−MS:424.3[M+H]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ9.17 (1H, s), 7.18 (2H, m), 7.10 (1H, m), 6.89 (1H, m), 5.38 (2H, br s), 5.01 (1H, s), 4.81 (1H, m), 2.56 (2H, m), 2.28 (3H, s), 2.14 (1H, d, J = 16 Hz), 2.02 (1H, d, J = 16 Hz), 1.48 (2H, t, J = 6.6 Hz),1.21 (3H, d, J = 6.0 Hz), 1.07 (3H, d, J = 6.0 Hz), 0.95 (6H, s).
【実施例4】
【0158】
化合物S4の合成
合成経路:
【0159】
【化44】
【0160】
ステップ1
実施例1の合成経路を使用して、アセト酢酸エチル(1.95g、0.015mol)を精確に秤量して30mlのトルエン中に溶解し、これに、m−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(2.61g、0.015mol)を添加した。撹拌しながら、3滴のピペリジンをゆっくりと滴加し、さらに2分間撹拌した。次に、3滴の酢酸を滴加し、系を続けて撹拌したところ、大量の白煙が発生した。反応が定常状態になった後、上記の反応系を95℃の油浴に入れ、加熱下で還流した。TLCによって反応を検出した。4時間後、反応を停止させ、冷却し、真空下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラムを使用したクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1)によって分離して、3.4gの淡黄色の油状生成物C4を、収率80%で得た。
【0161】
ステップ2
実施例1における中間体D1の合成を参照することによって、中間体C4(3.4g、0.012mol)、A(1.78g、0.012mol)および酢酸アンモニウム(2.77g、0.036mol)の間で反応を行って、1.39gの中間体D4を、収率33%で得た。ESI−MS:352.1[M+H]
【0162】
ステップ3
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D4(100mg、0.28mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(215mg、1.70mmol)および三塩化アルミニウム(75mg、0.56mmol)を反応させて、60mgの白色の固体化合物S4を、収率42%で得た。
【0163】
ESI−MS:460.3[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.33〜7.61 (4H, m),5.00 (1H, s),4.12 (2H, m),4.00 (2H, s),2.71 (2H, m),2.38 (3H, s),2.05 (2H, m),1.58 (2H, t, J=6.8), 1.26 (3H, m), 0.99 (6H, d, J=3.2).
【実施例5】
【0164】
化合物S5の合成
合成経路:
【0165】
【化45】
【0166】
ステップ1
実施例4における化合物D4の合成を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸アリル(0.03mol)、3−ニトロベンズアルデヒド(0.03mol)および酢酸アンモニウム(0.072mol)ならびに原材料A(0.026mol)を使用することによって二段階反応を実施して、2.85gの黄色の固体中間体D5を、全体の収率28%で得た。
【0167】
ステップ2
実施例3におけるS3の合成を参照することによって、中間体D5(200mg、0.58mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(370mg、2.93mmol)および三塩化アルミニウム(195mg、1.46mmol)を使用することによってマイクロ波補助反応を実施して、100mgの黄色の固体化合物S5を、収率38%で得た。
【0168】
ESI−MS:449.2[M+H];ESI−MS:447.2[M−H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.02 (1H, m), 8.06 (1H, m), 7.68 (1H, d, J=8.0), 7.43 (1H, t, J=8.0), 5.94 (1H, m), 5.24 (2H, m), 5.16 (1H, s), 4.60 (2H, m), 4.14 (2H, s), 2.75 (2H, m), 2.44 (3H, s), 2.02-2.13(2H,m),1.60 (2H, t, J=7.2), 1.02 (6H, d, J=2.0).
【実施例6】
【0169】
化合物S6の合成
合成経路:
【0170】
【化46】
【0171】
ステップ1
実施例1におけるD1の合成方法を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸エチル(0.03mol)、3−クロロベンズアルデヒド(0.03mol)および酢酸アンモニウム(0.075mol)ならびに原材料A(0.025mol)を使用することによって二段階反応を実施して、2.85gの黄色の固体中間体D6を、全体の収率30%で得た。ESI−MS:316.1[M−H]
【0172】
ステップ2
実施例3におけるS3の合成を参照することによって、中間体D6(150mg、0.47mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(300mg、2.36mmol)および三塩化アルミニウム(125mg、0.94mmol)を使用することによってマイクロ波補助反応を実施して、73.3mgの黄色の固体化合物S6を、収率40%で得た。
【0173】
ESI−MS:391.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.34 (1H, t, J=1.6), 7.25 (1H, dt, J=1.6, 7.2), 7.18 (1H, m), 7.15 (1H,m), 6.70(1H, s), 5.01(1H, s), 4.51 (2H, m), 4.02 (2H, s), 2.73 (2H, m), 2.39 (3H, s), 2.07 (2H, m), 1.61 (2H, m), 1.01 (3H, s), 1.03 (3H, s), 1.30 (3H, m).
【実施例7】
【0174】
化合物S7の合成
合成経路:
【0175】
【化47】
【0176】
ステップ1
実施例1におけるD1の合成方法を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸メチル(0.03mol)、ベンズアルデヒド(0.03mol)、酢酸アンモニウム(0.069mol)ならびに原材料A(0.023mol)を使用することによって二段階反応を実施して、3.06gの黄色の固体中間体D7を、全体の収率38%で得た。ESI−MS:268.1[M−H]
【0177】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D7(150mg、0.56mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(427mg、3.36mmol)および三塩化アルミニウム(136mg、1.02mmol)を反応させて、95.0mgの黄色の固体化合物S7を、収率45%で得た。
【0178】
ESI−MS:378.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ9.67 (1H, s), 7.25-7.34 (5H, m), 5.00 (1H, s), 4.73 (2H, s), 3.69 (3H,s), 2.85-2.92 (2H, m), 2.46(3H, s), 2.09 (1H, d, J = 15.6 Hz), 1.99 (1H, d, J = 15.6 Hz), 1.59-1.64 (2H, m), 1.03 (6H, s).
【実施例8】
【0179】
化合物S8の合成
合成経路:
【0180】
【化48】
【0181】
ステップ1
実施例4における中間体D4の合成を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸イソプロピル(0.03mol)、2−フルオロベンズアルデヒド(0.03mol)、酢酸アンモニウム(0.06mol)ならびに原材料A(0.02mol)を使用することによって二段階反応を実施して、3.40gの黄色の固体中間体D8を、全体の収率36%で得た。ESI−MS:316.3[M+H];ESI−MS:313.9[M−H]
【0182】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D8(150mg、0.48mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(363mg、2.86mmol)および三塩化アルミニウム(127mg、0.96mmol)を反応させて、178mgの黄色の固体化合物S8を、収率88%で得た。
【0183】
ESI−MS:424.3[M+H]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ9.27 (1H, s), 7.01-7.36 (4H, m), 5.16 (1H, s), 5.04 (2H, s), 4.74-4.77 (1H, m), 2.50-2.52(2H, m), 2.33 (3H, s),1.98-2.18 (2H, m),1.48-1.51 (2H, m), 1.18 (3H, m), 0.94 (9H, m).
【実施例9】
【0184】
化合物S9の合成
合成経路:
【0185】
【化49】
【0186】
ステップ1 中間体B9の合成
2,2,6−トリメチル−1,3−ダイオキシン−4−オン(1.97g、13.9mmol)およびシクロブタノール(1g、13.9mmol)をジメチルベンゼン(30mL)中に溶解し、125℃に加熱して終夜撹拌した。反応が完了した後、得られた生成物を真空下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラムを使用したクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=40:1)によって分離して、1.5gの無色の液体生成物B9を、収率69%で得た。
【0187】
ステップ2
実施例4における中間体D4の合成を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸シクロブチル(0.03mol)、2−フルオロベンズアルデヒド(0.03mol)、酢酸アンモニウム(0.06mol)ならびに原材料A(0.02mol)を使用することによって二段階反応を実施して、3.40gの黄色の固体中間体D9を、全体の収率36%で得た。ESI−MS:328.2[M+H];ESI−MS:325.9[M−H]
【0188】
ステップ3
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D9(150mg、0.46mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(116mg、0.92mmol)および三塩化アルミニウム(122mg、0.92mmol)を反応させて、168mgの黄色の固体化合物S9を、収率88%で得た。
【0189】
ESI−MS:434.3[M+H]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ9.32 (1H, s), 7.01-7.37 (4H, m), 5.19 (1H, s), 5.07 (2H, s), 4.79-4.83 (1H, m), 2.50-2.56(2H, m), 2.32 (3H, s),2.00-2.28 (4H, m), 1.62-1.72 (2H,m), 1.44-1.55 (4H, m), 0.94 (6H, m).
【実施例10】
【0190】
化合物S10の合成
合成経路:
【0191】
【化50】
【0192】
ステップ1
実施例4における中間体D4の合成を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸メトキシルエチル(0.03mol)、2−クロロベンズアルデヒド(0.03mol)、酢酸アンモニウム(0.078mol)ならびに原材料A(0.026mol)を使用することによって二段階反応を実施して、5.51gの黄色の固体中間体D10を、全体の収率53%で得た。ESI−MS:346.1[M−H]
【0193】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D10(150mg、0.43mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(164mg、1.29mmol)および三塩化アルミニウム(114mg、0.86mmol)を反応させて、147mgの黄色の固体化合物S10を、収率75%で得た。
【0194】
ESI−MS:456.3[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.07-7.51 (4H, m), 6.92 (1H, s), 5.45 (1H, s), 4.52 (2H, s), 4.17-4.23 (2H, m), 3.56-3.61 (2H, m), 3.33 (3H, s), 2.61-2.78 (2H, m), 2.44 (3H, s),1.92-2.18 (2H, m),1.50-1.51 (2H, m), 0.99 (6H, m).
【実施例11】
【0195】
化合物S11の合成
合成経路:
【0196】
【化51】
【0197】
ステップ1
実施例4における中間体D4の合成を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸シクロプロピルメチル(0.03mol)、2−クロロベンズアルデヒド(0.03mol)、酢酸アンモニウム(0.069mol)ならびに原材料A(0.023mol)を使用することによって二段階反応を実施して、2.78gの黄色の固体中間体D11を、全体の収率27%で得た。ESI−MS:342.1[M−H]
【0198】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D11(150mg、0.44mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(168mg、1.32mmol)および三塩化アルミニウム(116mg、0.88mmol)を反応させて、109mgの黄色の固体化合物S11を、収率55%で得た。
【0199】
ESI−MS[M+H]452.3;
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ10.74 (1H, s), 7.43-7.18 (4H, m), 5.45-5.41 (2H, m), 3.91-3.86 (1H, m), 2.89-2.87 (1H, m), 2.53 (3H, s), 2.10-1.95 (2H, m), 1.62-1.60 (8H, m), 1.03 (6H, m), 0.52-0.49 (1H, m).
【実施例12】
【0200】
化合物S12の合成
合成経路:
【0201】
【化52】
【0202】
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D7(150mg、0.56mmol)、N−メチル−4−ピペリドン(126mg、1.12mmol)および三塩化アルミニウム(149mg、1.12mmol)を反応させて、88mgの黄色の固体化合物S12を、収率43%で得た。
【0203】
ESI−MS:365.1[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.15-7.35 (5H, m), 6.82 (1H, s), 5.05 (1H, s), 3.99 (2H, s), 3.70 (3H, s), 3.31 (1H, d, J = 13.6 Hz), 3.14 (1H, d, J = 13.6 Hz), 2.70-2.89 (4H, m), 2.49(3H, s), 2.39 (3H, s).
【実施例13】
【0204】
化合物S13の合成
合成経路:
【0205】
【化53】
【0206】
ステップ1
実施例1における中間体D1の合成を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸メチル(0.03mol)、3−ニトロベンズアルデヒド(0.03mol)、酢酸アンモニウム(0.045mol)ならびに原材料A(0.015mol)を使用することによって二段階反応を実施して、1.03gの黄色の固体中間体D13を、全体の収率11%で得た。ESI−MS:313.1[M−H]
【0207】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D13(150mg、0.48mmol)、N−エチル−4−ピペリドン(122mg、0.96mmol)および三塩化アルミニウム(127mg、0.96mmol)を反応させて、52.7mgの黄色の固体化合物S13を、収率26%で得た。
【0208】
ESI−MS:424.1[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.19 (1H, t, J = 1.6), 8.04 (1H, dt, J=1.6, 8.0), 7.64(1H, t, J=8.0), 7.41(1H, d, J=8.0), 5.16 (1H, s), 4.13 (2H, s), 3.69 (3H, s), 3.15 (2H, m), 2.85 (2H, m), 2.72 (2H, m), 2.39(3H, s), 1.26(2H, m), 1.17(3H, m).
【実施例14】
【0209】
化合物S14の合成
合成経路:
【0210】
【化54】
【0211】
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D13(150mg、0.48mmol)、N−プロピル−4−ピペリドン(135mg、0.96mmol)および三塩化アルミニウム(127mg、0.96mmol)を反応させて、21mgの黄色の固体化合物S14を、収率10%で得た。
【0212】
ESI−MS:438.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.19 (1H, t, J=1.6), 8.04 (1H , dt, J=1.6,8.0), 7.64 (1H, t, J=8.0), 7.41(1H, d, J=8.0), 5.16 (1H, s), 4.13 (2H, s), 3.69 (3H, s), 3.30 (2H, m), 2.78 (4H, m), 2.53 (2H, m), 2.36 (3H, s), 1.61 (2H, m), 0.92 (3H, m).
【実施例15】
【0213】
化合物S15の合成
合成経路:
【0214】
【化55】
【0215】
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D13(150mg、0.48mmol)、2−メチル−シクロヘキサノン(107mg、0.96mmol)および三塩化アルミニウム(127mg、0.96mmol)を反応させて、41mgの黄色の固体化合物S15を、収率21%で得た。
【0216】
ESI−MS:409.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.20 (1H, t, J=2.0), 8.04 (1H, dt, J=1.2,7.4), 7.68 (1H, d, J=8.0), 7.42(1H, t, J=8.0), 7.13 (1H, s), 5.15 (1H, s), 4.09 (2H, s), 3.68 (3H, s), 2.79(1H, m), 2.41(3H, s), 2.33(1H, m), 2.25(1H, m), 1.92(2H, m), 1.76(1H,m), 1.58(1H, m), 0.89(3H, s).
【実施例16】
【0217】
化合物S16の合成
合成経路:
【0218】
【化56】
【0219】
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D13(150mg、0.48mmol)、テトラヒドロチオフェン−3−オン(98mg、0.96mmol)および三塩化アルミニウム(127mg、0.96mmol)を反応させて、23mgの黄色の固体化合物S16を、収率12%で得た。
【0220】
ESI−MS:399.1[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.18 (1H, d, J =1.4), 8.06(1H , dd, J=1.4, 8.0), 7.67(1H, d, J=8.0), 7.44(1H, t, J=8.0), 7.10 (1H, s), 5.18 (1H, s), 4.04 (2H, s), 3.70(3H, s), 3.41(2H, m), 3.27(2H, m), 2.42(3H, s).
【実施例17】
【0221】
化合物S17の合成
合成経路:
【0222】
【化57】
【0223】
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D13(150mg、0.48mmol)、2−テトラロン(140mg、0.96mmol)および三塩化アルミニウム(127mg、0.96mmol)を反応させて、46.7mgの黄色の固体化合物S17を、収率22%で得た。
【0224】
ESI−MS:443.1[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.29 (1H, t, J=1.0), 8.00 (1H , dt, J=1.0, 8.0), 7.78(1H, d, J=8.0), 7.69(1H, d, J=8.0), 7.54 (1H, t, J=8.0), 7.27(1H , d, J=6.8), 7.21(1H, t, J=7.6), 7.11(1H, d, J=7.6), 5.86 (2H, s), 5.42 (1H, s), 3.58 (3H, s), 2.72 (2H,m), 2.62 (2H, m), 2.35 (3H, s).
【実施例18】
【0225】
化合物S18の合成
合成経路:
【0226】
【化58】
【0227】
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D13(150mg、0.48mmol)、3−メチル−2−シクロヘキセノン(106mg、0.96mmol)および三塩化アルミニウム(127mg、0.96mmol)を反応させて、76.0mgの黄色の固体化合物S18を、収率39%で得た。
【0228】
ESI−MS:407.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.22(1H, s), 8.04(1H, d, J=7.6), 7.68 (1H, d, J=7.2), 7.42(1H , t, J=7.6), 7.25(1H, s), 6.15(1H, s), 5.18 (1H, s), 4.05 (2H, s), 3.70 (3H, s), 2.56(2H, m), 2.39 (3H, s), 2.32(2H, m), 1.94(3H, s).
【実施例19】
【0229】
化合物S19の合成
合成経路:
【0230】
【化59】
【0231】
ステップ1
実施例2における中間体D2の合成を参照することによって、実施例2の経路を使用して、ベンズアルデヒド(0.03mol)、原材料A(0.03mol)、アセト酢酸メチル(0.039mol)および酢酸アンモニウム(0.039mol)を反応させて、2.75gの黄色の固体中間体D19を、全体の収率28%で得た。ESI−MS:327.2[M−H]
【0232】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D19(150mg、0.46mmol)、4,4−ジフルオロシクロヘキサノン(123mg、0.92mmol)および三塩化アルミニウム(149mg、0.92mmol)を反応させて、127mgの黄色の固体化合物S19を、収率62%で得た。
【0233】
ESI−MS:445.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.21(1H, t, J=2.0), 8.08(1H , dt, J=2.0, 8.0), 7.67(1H, dt, J=1.2, 8.0), 7.44(1H, t, J=8.0), 5.16 (1H, s), 4.15 (2H,m), 4.07 (2H, s), 2.97 (2H, m), 2.78 (2H, m), 2.43(3H, s), 2.27 (2H, m), 1.31 (3H,m).
【実施例20】
【0234】
化合物S20の合成
合成経路:
【0235】
【化60】
【0236】
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D19(150mg、0.46mmol)、4,4−ジクロロシクロヘキサノン(153mg、0.92mmol)および三塩化アルミニウム(149mg、0.92mmol)を反応させて、114mgの黄色の固体化合物S20を、収率52%で得た。
【0237】
ESI−MS:477.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.21(1H, t, J=2.0), 8.04(1H , dt, J=1.2, 8.0), 7.67(1H, dt, J=1.2, 8.0), 7.42(1H, t, J=8.0), 7.08(1H, s), 5.16 (1H, s), 4.13 (2H,m), 4.08 (2H, s), 3.30 (2H, m), 3.00 (2H, m), 2.63 (2H, m), 2.39(3H, s), 1.28 (3H, m).
【実施例21】
【0238】
化合物S21の合成
合成経路:
【0239】
【化61】
【0240】
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D13(150mg、0.48mmol)、2−クロロシクロヘキサノン(127mg、0.96mmol)および三塩化アルミニウム(127mg、0.96mmol)を反応させて、81.6mgの黄色の固体化合物S21を、収率39%で得た。
【0241】
ESI−MS:429.1[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.22(1H, t, J=1.6), 8.03(1H, d, J=8.0), 7.68(1H, d, J=8.0), 7.43(1H, t, J=8.0), 5.15 (1H, s), 4.31 (2H, s), 3.67(3H, s), 3.30 (2H, m), 3.01 (2H,m), 1.74 (2H, m), 2.42(3H, s), 1.46(2H, m).
【実施例22】
【0242】
化合物S22の合成
合成経路:
【0243】
【化62】
【0244】
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D13(150mg、0.48mmol)、3−メチルシクロヘキサノン(107mg、0.96mmol)および三塩化アルミニウム(127mg、0.96mmol)を反応させて、152.7mgの黄色の固体化合物S22を、収率78%で得た。
【0245】
ESI−MS:409.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.20 (1H, d , J=1.6), 8.05(1H, dt, J=1.6, 8.0), 7.67(1H, dd, J=1.6, J=8.0), 7.43(1H, t, J=8.0), 5.15 (1H, s), 4.18 (2H, s), 3.70 (3H, s), 2.74(1H, m), 2.42(3H, s), 2.38(4H, m), 1.37(2H, m), 1.09(3H, s).
【実施例23】
【0246】
化合物S23の合成
合成経路:
【0247】
【化63】
【0248】
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D7(150mg、0.56mmol)、テトラヒドロチオピラン−4−オン(130mg、1.12mmol)および三塩化アルミニウム(149mg、1.12mmol)を反応させて、108.9mgの黄色の固体化合物S23を、収率53%で得た。
【0249】
ESI−MS:368.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): 7.17-7.36 (5H, m), 6.88 (1H, s), 5.03 (1H, s), 4.15 (2H, s), 3.69 (3H, s), 3.45 (1H, d, J = 15.2 Hz), 3.36 (1H, d, J = 15.2 Hz), 3.04 (2H, t, J = 6.0 Hz), 2.89 (2H, t, J = 6.0 Hz), 2.40(3H, s).
【実施例24】
【0250】
化合物S24の合成
合成経路:
【0251】
【化64】
【0252】
ステップ1
実施例2におけるD2の合成法を参照することによって、実施例2の経路を使用して、3−ニトロベンズアルデヒド(1.51g、0.01mol)、トリフルオロアセト酢酸エチル(2.4g、0.013mol)、中間体A(1.5g、0.01mol)および酢酸アンモニウム(0.92g、0.012mol)を反応させて、760mgの黄色の固体標的中間体D24を、収率20%で得た。
【0253】
ステップ2
中間体D24(120mg、0.314mmol)をマイクロ波反応管に入れ、3mLの1,2−ジクロロエタン中に溶解し、これに、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(237mg、1.88mmol)および三塩化アルミニウム(84mg、0.628mmol)を添加した。混合物を、温度T=120℃のマイクロ波反応装置内で時間t=1時間の間反応させた。原材料が完全に消費されたことをTLCによって確認した後、反応を停止させ、室温に冷却させた。次に、反応混合物をTHF:HO=1:1(10mL)の溶液中に注ぎ、撹拌しながら、pH>7になるまで10%のNaOH水溶液を滴加した。混合物をジクロロメタン(10mL×3)によって抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水溶液で洗浄した。次に、これを無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濃縮した。得られた生成物を、シリカゲルカラムを使用したクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)によって分離して、60mgの黄色の油状生成物S24を、収率40%で得た。
【0254】
ESI−MS:491.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ8.32 (1H, s), 8.02 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.68 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.55 (1H, t, J = 8.0 Hz), 5.99 (2H, br s), 5.32 (1H, s), 4.04 (2H, q, J = 7.0 Hz), 2.62-2.58 (2H, m), 2.18 (1H, d, J = 16.4 Hz), 1.97 (1H, d, J = 16.0 Hz), 1.51-1.48 (2H, m), 1.18 (3H, t, J = 7.2 Hz), 0.95-0.94 (6H, m).
【実施例25】
【0255】
化合物S25の合成
合成経路:
【0256】
【化65】
【0257】
ステップ1
実施例2におけるD2の合成法を参照することによって、実施例2の経路を使用して、3−ニトロベンズアルデヒド(1.51g、10mmol)、プロピオニル酢酸メチル(1.69g、13mmol)、中間体A(1.5g、10mmol)および酢酸アンモニウム(0.92g、12mmol)を反応させて、760mgの黄色の固体標的中間体D25を、収率23%で得た。
【0258】
ステップ2
実施例3におけるS3の合成法を参照することによって、中間体C8(120mg、0.366mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(277mg、2.196mmol)および三塩化アルミニウム(97mg、0.732mmol)を使用することによってマイクロ波補助反応を実施して、30mgの黄色の固体標的生成物S25を、収率19%で得た。
【0259】
ESI−MS:437.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ9.37 (1H, s), 8.28 (1H, s), 7.96 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.76 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.50 (1H, t, J = 8.0 Hz), 5.59 (2H, br s), 5.25 (1H, s), 3.54 (3H, s), 2.82-2.70 (2H, m), 2.61-2.55 (2H, m), 2.20-1.95 (2H, m), 1.50-1.47 (2H, m), 1.12 (3H, t, J = 7.2 Hz), 0.95-0.94 (6H, m).
【実施例26】
【0260】
化合物S26の合成
合成経路:
【0261】
【化66】
【0262】
ステップ1
実施例1における中間体D1の合成を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸イソプロピル(0.03mol)、5−ピリミジンホルムアルデヒド(0.03mol)、酢酸アンモニウム(0.045mol)ならびに原材料A(0.02mol)を使用することによって二段階反応を実施して、2.87gの黄色の固体中間体D26を、全体の収率32%で得た。ESI−MS:297.9[M−H]
【0263】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D26(125mg、0.42mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(53mg、0.42mmol)およびAlCl(84mg、0.63mmol)を反応させて、34mgの黄色の固体化合物S26を、収率29.4%で得た。
【0264】
ESI−MS:408.3[M+H]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ9.36 (1H, s), 8.91 (1H, s), 8.71 (2H, s), 5.61 (2H, s), 5.06 (1H, s), 4.82 (1H, m), 2.57 (2H, m), 2.32 (3H, s), 1.49 (2H, t, J = 6.4 Hz), 1.22 (3H,d, J = 6.0 Hz), 1.05 (3H, d, J = 6.0 Hz), 0.95 (6H, s), 0.88 (2H, m).
【実施例27】
【0265】
化合物S27の合成
合成経路:
【0266】
【化67】
【0267】
ステップ1
実施例1における中間体D1の合成を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸メチル(0.03mol)、2,3−ジクロロベンズアルデヒド(0.03mol)、酢酸アンモニウム(0.045mol)ならびに原材料A(0.02mol)を使用することによって二段階反応を実施して、3.04gの黄色の固体中間体D27を、全体の収率30%で得た。ESI−MS:337.9[M−H]
【0268】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D27(150mg、0.44mmol)、4−メチルシクロヘキサノン(98mg、0.88mmol)およびAlCl(117mg、0.88mmol)を反応させて、152mgの黄色の固体化合物S26を、収率80%で得た。
【0269】
ESI−MS:432.0[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): 7.41-7.30 (2H, m), 7.12 (1H, t, J = 8.0 Hz), 6.93 (1H, s), 5.48 (1H, s), 4.58 (2H, br s), 3.65 (3H, s), 2.74-2.69 (2H, m), 2.45 (3H, s), 1.82-1.60(5H, m), 1.11-1.05 (3H, m).
【実施例28】
【0270】
化合物S28の合成
合成経路:
【0271】
【化68】
【0272】
ステップ1
実施例1における中間体D1の合成を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸エチル(0.03mol)、2−メトキシベンズアルデヒド(0.03mol)、酢酸アンモニウム(0.06mol)ならびに原材料A(0.02mol)を使用することによって二段階反応を実施して、3.74gの黄色の固体中間体D28を、全体の収率39%で得た。ESI−MS:312.0[M−H]
【0273】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D28(150mg、0.48mmol)、4−メチルシクロヘキサノン(98mg、0.88mmol)およびAlCl(117mg、0.88mmol)を反応させて、127mgの黄色の固体化合物S28を、収率65%で得た。
【0274】
ESI−MS:408.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.21(1H, dd, J=1.6, 8.0), 7.16 (1H , t, J=8.0), 7.10(1H, d, J= 8.0), 6.88 (1H, d, J=8.0), 5.30 (1H, s), 3.88 (3H, s), 3.86 (2H, m), 2.64 (2H, m), 2.36 (3H, s), 1.98(1H, m), 1.78(2H, m), 1.32 (2H, m), 1.03(6H, m).
【実施例29】
【0275】
化合物S29の合成
合成経路:
【0276】
【化69】
【0277】
ステップ1
2,2,6−トリメチル−1,3−ダイオキシン−4−オン(1.97g、13.9mmol)およびN,N−ジメチルエタノール(1.23g、13.9mmol)をキシレン(30mL)中に溶解し、125℃に加熱して終夜撹拌した。反応が完了した後、得られた生成物を真空下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラムを使用したクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=40:1)によって分離して、1.99gの無色の液体生成物B29を、収率83%で得た。
【0278】
ステップ2
実施例1における中間体D1の合成を参照することによって、B29(0.03mol)、ベンズアルデヒド(0.03mol)、酢酸アンモニウム(0.06mol)ならびに原材料A(0.02mol)を使用することによって二段階反応を実施して、6.3gの黄色の固体中間体D29を、全体の収率65%で得た。ESI−MS:327.2[M+H];ESI−MS:325.2[M−H]
【0279】
ステップ3
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D29(150mg、0.46mmol)、4,4−ジフルオロシクロヘキサノン(98mg、0.88mmol)およびAlCl(117mg、0.88mmol)を反応させて、104mgの黄色の固体化合物S29を、収率51%で得た。
【0280】
ESI−MS:443.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): 7.16-7.39 (5H, m), 6.93 (1H, s), 5.10 (1H, s), 4.19-4.25 (4H, m), 2.57-2.96 (6H, m), 2.43(3H, s), 2.31(6H, s), 2.17-2.33 (2H, m).
【実施例30】
【0281】
化合物S30の合成
合成経路:
【0282】
【化70】
【0283】
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D13(314mg、1.0mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(252mg、2.0mmol)および三塩化アルミニウム(264mg、2.0mmol)を反応させて、223.6mgの黄色の固体化合物S30を、収率53%で得た。
【0284】
ESI−MS:423.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ9.04(1H, s), 8.20(1H, s), 8.03(1H, d, J=7.6), 7.67 (1H, d, J=7.6), 7.42(1H, t, J=7.6), 5.15(1H, s), 4.38 (2H, s), 3.68 (3H, s), 2.62-2.75(2H, m), 2.42 (3H, s), 1.94-2.13(2H, m), 1.55-1.62 (2H, m),0.99(6H, s).
【実施例31】
【0285】
化合物S31の合成
合成経路:
【0286】
【化71】
【0287】
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D19(177mg、0.54mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(136.1mg、1.08mmol)および三塩化アルミニウム(143mg、1.08mmol)を反応させて、108.3mgの黄色の固体化合物S31を、収率46%で得た。
【0288】
ESI−MS:437.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.23(1H, m), 8.05(1H, d, J=7.6), 7.68 (1H, d, J=7.6), 7.43(1H , t, J=7.6), 6.78(1H, s), 5.15(1H, s), 4.15(2H, m), 4.04 (2H, s), 2.71-2.78(2H, m), 2.42 (3H, s), 2.01-2.13(2H, m), 1.59-1.62 (2H, m),1.31(1H , t, J=7.1), 1.02(6H, s).
【実施例32】
【0289】
化合物S32の合成
合成経路:
【0290】
【化72】
【0291】
ステップ1
実施例4における中間体D4の合成を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸イソプロピル(0.05mol)、2−クロロベンズアルデヒド(0.05mol)、酢酸アンモニウム(0.10mol)ならびに原材料A(0.03mol)を使用することによって二段階反応を実施して、3.09gの黄色の固体中間体D30を、全体の収率28%で得た。ESI−MS:332.1[M+H];ESI−MS:330.9[M−H]
【0292】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D30(331mg、1.0mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(252mg、2.0mmol)および三塩化アルミニウム(264mg、2.0mmol)を反応させて、276.6mgの黄色の固体化合物S32を、収率63%で得た。
【0293】
ESI−MS:424.3[M+H]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ9.65 (1H, s), 7.15-7.36 (4H, m), 5.18 (1H, s), 5.01 (2H, s), 4.79-4.84 (1H, m), 2.50-2.52(2H, m), 2.30 (3H, s),1.96-2.17 (2H, m),1.49-1.52 (2H, m), 1.20 (3H, m), 0.94 (9H, m).
【実施例33】
【0294】
化合物S33の合成
合成経路:
【0295】
【化73】
【0296】
ステップ1
実施例4における中間体D4の合成を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸イソプロピル(0.03mol)、3−クロロベンズアルデヒド(0.03mol)、酢酸アンモニウム(0.06mol)ならびに原材料A(0.02mol)を使用することによって二段階反応を実施して、2.12gの黄色の固体中間体D30を、全体の収率32%で得た。ESI−MS:332.1[M+H];ESI−MS:330.9[M−H]
【0297】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D31(331mg、1.0mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(252mg、2.0mmol)および三塩化アルミニウム(264mg、2.0mmol)を反応させて、258.0mgの黄色の固体化合物S33を、収率61%で得た。
【0298】
ESI−MS:424.3[M+H]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ9.74 (1H, s), 7.47(1H, s),7.11-7.22 (3H, m), 5.40(2H, s), 5.01 (1H, s), 4.79-4.84 (1H, m), 2.55-2.58 (2H, m), 2.28 (3H, s),2.16(1H, d,16.4),1.98(1H, d,16.4),1.46-1.50 (2H, m), 1.22 (3H, d,6.4), 1.09(3H, d,6.0),0.94 (6H, m).
【実施例34】
【0299】
化合物S34の合成
合成経路:
【0300】
【化74】
【0301】
ステップ1
実施例4における中間体D4の合成を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸エチル(0.03mol)、3−フルオロベンズアルデヒド(0.03mol)、酢酸アンモニウム(0.06mol)ならびに原材料A(0.02mol)を使用することによって二段階反応を実施して、2.17gの黄色の固体中間体D32を、全体の収率36%で得た。ESI−MS:302.1[M+H];ESI−MS:300.4[M−H]
【0302】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D32(150.5mg、0.5mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(126mg、1.0mmol)および三塩化アルミニウム(132mg、1.0mmol)を反応させて、147.2mgの黄色の固体化合物S34を、収率72%で得た。
【0303】
ESI−MS:410.3[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.22-7.31 (1H, m), 7.14(1H, d,6.0),7.09 (1H, m), 6.88 (1H, m), 5.05(1H, s), 4.10-4.23 (2H, m), 4.05 (2H, s), 2.68-2.73 (2H, m), 2.40 (3H, s),2.01-2.15(2H, m),1.61 (2H, t,6.8), 1.28 (3H, t,7.2), 1.03(3H, 6,7.2).
【実施例35】
【0304】
化合物S35の合成
合成経路:
【0305】
【化75】
【0306】
ステップ1
実施例4における化合物D4の合成を参照することによって、実施例1の経路を使用して、アセト酢酸アリル(0.03mol)、3−フルオロベンズアルデヒド(0.03mol)、酢酸アンモニウム(0.072mol)ならびに原材料A(0.026mol)を使用することによって二段階反応を実施して、1.87gの黄色の固体中間体D33を、全体の収率23%で得た。
【0307】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D33(313mg、1.0mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(252mg、2.0mmol)および三塩化アルミニウム(264mg、2.0mmol)を反応させて、138.9mgの黄色の固体化合物S35を、収率33%で得た。
【0308】
ESI−MS:422.2[M+H];ESI−MS:420.2[M−H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.18-7.29 (1H, m), 7.15 (1H, m), 7.05 (1H, d, J=10.0), 6.95 (1H, s), 6.87 (1H, t, J=8.0), 5.90-6.01 (1H, m), 5.22-5.29 (2H, m), 5.07 (1H, s), 4.61 (2H, m), 4.05 (2H, s), 2.71-2.76 (2H, m), 2.41 (3H, s), 2.01-2.14(2H, m),1.61 (2H, t, J=6.4), 1.03 (6H, d, J=6.8).
【実施例36】
【0309】
化合物S36の合成
合成経路:
【0310】
【化76】
【0311】
ステップ1
実施例29における化合物D29の合成を参照することによって、実施例29の経路を使用して、2,2,6−トリメチル−1,3−ダイオキシン−4−オン(0.05mol)、プロパルギルアルコール(0.05mol)、3−フルオロベンズアルデヒド(0.045mol)、および酢酸アンモニウム(0.08mol)ならびに原材料A(0.035mol)を使用することによって二段階反応を実施して、2.29gの黄色の固体中間体D34を、全体の収率21%で得た。
【0312】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D34(311mg、1.0mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(252mg、2.0mmol)および三塩化アルミニウム(264mg、2.0mmol)を反応させて、108.9mgの黄色の固体化合物S36を、収率26%で得た。
【0313】
ESI−MS:420.2[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ7.16-7.28 (2H, m), 7.09 (1H, d, J=10.0), 6.93 (1H, s), 6.89 (1H, t,J=10.0), 5.06 (1H, s), 4.69-4.72(2H, m),4.04 (2H, s), 2.71-2.74 (2H, m), 2.40-2.43(1H,m),2.42 (3H, s), 2.01-2.14(2H, m),1.61 (2H, t, J=6.4), 1.03 (6H, d, J=6.4).
【実施例37】
【0314】
化合物S37の合成
合成経路:
【0315】
【化77】
【0316】
ステップ1
実施例29における化合物D29の合成を参照することによって、実施例29の経路を使用して、2,2,6−トリメチル−1,3−ダイオキシン−4−オン(0.05mol)、プロパルギルアルコール(0.05mol)、3−ニトロベンズアルデヒド(0.045mol)、酢酸アンモニウム(0.08mol)ならびに原材料A(0.035mol)を使用することによって二段階反応を実施して、2.25gの黄色の固体中間体D35を、全体の収率19%で得た。
【0317】
ステップ2
実施例1におけるS1の合成を参照することによって、中間体D35(338mg、1.0mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(252mg、2.0mmol)および三塩化アルミニウム(264mg、2.0mmol)を反応させて、138.3mgの黄色の固体化合物S37を、収率31%で得た。
【0318】
ESI−MS:447.3[M+H]
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.23(1H, s),8.04-8.07 (1H, m), 7.71 (1H, d, J=10.0), 7.43 (1H, t, J=10.0), 7.02 (1H, s), 5.16 (1H, s), 4.73-4.77(2H, m),4.06 (2H, s), 2.72-2.77 (2H, m), 2.14-2.48(1H,m),2.47 (3H, s), 2.00-2.15(2H, m),1.61 (2H, t, J=6.4), 1.03 (6H, d, J=1.6).
【実施例38】
【0319】
化合物S38の合成
合成経路:
【0320】
【化78】
【0321】
S1(425mg、1.0mmol)、KOH(112mg、2.0mmol)を精確に秤量して10mlのジクロロメタン/アセトニトリル(2:1)に溶解した。次に、ヨードメタン(170mg、1.2mmol)をゆっくりと滴加し、室温で終夜撹拌した。反応の終了をTLCによって観察した。次いで、5mLの水を添加し、混合物をジクロロメタン(20mL×3)によって抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水溶液で洗浄した。次に、これを無水硫酸ナトリウムによって乾燥し、濃縮した。得られた生成物を、シリカゲルカラムを使用したクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=4:1)によって分離して、122.9mgの淡黄色の油状生成物S38を、収率28%で得た。
【0322】
ESI−MS:440.1[M+H]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ7.36(1H,dd,J=1.6 , 7.6),7.31(1H , dd,J=1.6,8.0), 7.14-7.21(2H, m), 5.29 (1H, s), 5.18 (2H, s), 3.98-4.02 (2H, m), 3.49(3H, s),2.57-2.63(2H, m), 2.58(3H, s), 1.99-2.15(2H, m), 1.49 (2H, t,6.4), 1.14(3H, t, J=6.8), 0.93 (6H, s).
【実施例39】
【0323】
パッチクランプ技法によって検出された本化合物のL型Ca2+チャネル遮断活性
パッチクランプ技法に基づいて、ラットの後根神経節細胞におけるカルシウム電流を以下の方法に従って測定し、これにより、本発明の実施例1〜38中の一部の化合物のL型カルシウムチャネルに対する阻害活性を測定した。
【0324】
実験方法:
後根神経節細胞の培養
試薬:D−MEM/F−12培地、Gibco;ウシ胎児血清(すなわち、FBS)、Gibco;コラゲナーゼ、Sigma:ポリL−リシン、Sigma;トリプシン、Invitrogen;トリプシン阻害剤、Sigma;後根神経節細胞の培養液:90%D−MEM/F−12、10%FBS、P/S100U/Ml;消化溶液、実験前に新たに調製した:5MlのD−MEM/F−12、5mgのコラゲナーゼ、2.5mgのトリプシン。
【0325】
機器:マルチクランプ700B増幅器、Molecular Devices、米国;DigiData1440A/D D/A変換器、MDC、米国;Pclamp10ソフトウェア、Molecular Devices、米国;倒立顕微鏡、Nikon Ti−S、日本;プログラム制御式マイクロピペットメーカーDMZ−Universal Puller、ドイツ;プログラム制御式マイクロピペットメーカーDMZ−Universal Puller、ドイツ。
【0326】
ラット後根神経節細胞を調製する方法:2匹のウィスターラット(体重140g)をペントバルビタール麻酔下で断首した。腰椎のL4〜L6後根神経節を脊椎から速やかに分離し、PBS解剖溶液中に入れた。結合組織および隔膜を神経節から除去し、次に、神経節を数個の小片に切断した。神経節の小片を消化溶液中で37℃、5%COで25〜30分間処理し、その後、トリプシン阻害剤を添加して消化を停止させた。消化後、細胞懸濁液を1000rpmで2分間遠心分離した。上清を除去し、培養液を添加した。均一に混合することによって処理した後、混合物を1000rpmで2分間再び遠心分離した。上清を除去し、培養液を添加した。次いで、細胞を25μg/MlのポリL−リシンでコーティングされた35mm培養皿に移した。2時間のインキュベーションの後、パッチクランプ実験のための後根神経節細胞が調製された。
【0327】
10mmolおよび100mmolのS1、S19、S27、S29をそれぞれ秤量することによって、100mmol/Lおよび1000mmol/Lの溶液を調製し、次いで、100%の濃度でDMSOに溶解した。上記のDMSO溶液を1:1000の比で希釈することによって、最終的な試験溶液を得た。
【0328】
パッチクランプ実験のための試験溶液を細胞外溶液とピペット溶液とに分割した。それらの組成は表1および表2に見ることができる。
【0329】
【表1】
【0330】
【表2】
【0331】
パッチクランプ試験:Pclamp10ソフトウェアの制御下でマルチクランプ700B増幅器、DigiData1440A/D D/A変換器および1kHzフィルタを使用して、全細胞パッチクランプ技法によって、室温で試験を実施した。試験細胞は灌流系(高速生物溶液変換器、RSC−160、1〜2Ml洗浄溶液/分の灌流速度)中を連続的に移動した。このプロセスは倒立顕微鏡下で実施され、灌流部は手作業で挿入した。ホウケイ酸ガラスキャピラリ(BF150−86−10、Sutter Instrument Co.)をプログラム制御式マイクロピペットメーカーを使用して引き出した。ピペットの先端における抵抗は、2〜4MΩの範囲であった。電圧制御手順は以下のようであった:300ミリ秒以内で−60Mv〜0Mvの保持電位から、次いで、60ミリ秒以内に−60Mvに戻した。試験プロセスの間、電圧制御手順を10秒ごとに繰り返した。最初の記録中、5〜10個の記録点でピーク電流が安定したとき(すなわち、5%未満の変化)、再び5個の記録点でピーク電流が安定するまで、試験する化合物を低濃度で添加した。ピーク電流に変化が生じなかった場合、5分間待つ。必要な場合、試験する化合物を高濃度で添加した。各化合物を2個の細胞について試験した。
【0332】
Clampfit(V10.2、Molecular Devices)、Excel2003(Microsoft)およびSigmaPlotを使用して、データの分析およびフィッティングを行った。化合物について阻害率を試験し、以下の式に基づいて計算した:
[(対照の電流−化合物添加後の残留電流)/対照の電流]×100%
100nmol/Lおよび1μmol/Lの化合物の阻害効果を、表3に列挙した:
【0333】
【表3】
【0334】
結果は、本発明で提供される化合物のL型Ca2+チャネルを阻害する顕著な活性を示した。活性の一部は陽性対照であるニフェジピンの活性よりも良好である。
【実施例40】
【0335】
ハイコンテントスクリーニングアナライザーによって検出された本化合物のL型Ca2+チャネル遮断活性
ハイコンテントスクリーニングアナライザー(HSC)プラットフォーム上でリアルタイム蛍光法によって検出される、KClによって誘導されるSH−SY5Y細胞電位開口型カルシウムイオン流入に対する化合物(@10Mm、@50Mm)の阻害活性によって、本発明の実施例1〜38で調製された一部の化合物のカルシウムチャネルに対する阻害活性を評価した。
【0336】
実験では、Fluo−4−AMカルシウムイオンプローブを生理的条件下でSH−SY5Y細胞に添加した。その後、KClによって誘導された電位開口型カルシウムチャネルの開口後に細胞膜カルシウムチャネルを通じて細胞に流入したカルシウムイオンと蛍光プローブとの間の結合によって、蛍光シグナルが発生した。これと同時に、カルシウムイオン流入の強度を反映するリアルタイム細胞内蛍光シグナルの、ハイコンテントレコーディングを行った。Fluo−4−AM自体が励起後に蛍光を発生することはできない。しかし、Fluo−4−AMが細胞に入ると、細胞質内でエステラーゼによって切断されてFluo−4となり、これがカルシウムイオンとの結合後、488nmでの励起後に強い緑色蛍光を発する。電位開口型カルシウムチャネルに対するアゴニストとして、KClが使用される:K+がある濃度に達したとき、電位開口型カルシウムチャネルが開口し、よって、カルシウムイオンが細胞に流入し、色素と結合して蛍光を発する。カルシウムチャネルが化合物によって阻害される場合、細胞に流入するカルシウムイオンの数は減少し、これにより、蛍光強度は低減する。低減の程度は、化合物によるカルシウムチャネルの阻害と相関する。L型カルシウムチャネルは、電位開口型カルシウムチャネルに属する。この実験では、細胞膜の表面の電位開口型カルシウムチャネルが主にL型である、SH−SY5Y細胞を使用した。よって、KClによって誘導されるカルシウムフラックスシグナルの大半は、L型カルシウムチャネルシグナルである。
【0337】
材料および機器:
1640+10%FBS+1%P/S培養液およびトリプシンは、すべてGibicoから購入した。
【0338】
SH−SY5Y細胞は、南京医科大学の細胞生物学研究室から得た。
【0339】
Fluo−4Direct(商標)カルシウムアッセイキット:Invitrogen、カタログ番号F10471。
【0340】
ハイコンテントスクリーニングアナライザー(HCS):Molecular Devices Company、モデル:Imagexpress。
【0341】
96ウェル黒色プレート:Corning3603。
【0342】
無機薬剤KCl(分析用)をSigmaから購入し、これを1Mの原液として調製し、適用のために250Mmに希釈した。
【0343】
実験手順
色素の調製:
Fluo−4Direct(商標)カルシウムアッセイキット(Invitrogen、カタログ番号F10471)の取扱説明書に完全に従い、色素溶液を調製した。構成品(Component)A(固体色素)1ボトルを10Mlの構成品C(緩衝溶液)に手早く溶解し、構成品B(プロベネシド)1チューブを1Mlの構成品C(緩衝溶液)に添加した。次に、溶解した構成品Aの溶液に200μLの構成品Bを添加し、2×Fluo−4−AM適用溶液を得た。次いで、100μLの色素溶液を細胞ウェルに対応する新しい96ウェルプレート(Corning3599)の各ウェルに添加し、96ウェルプレートをさらなる検出のためにHCS内に置いた。
【0344】
2×化合物溶液の配合:
この実験では、すべての化合物のカルシウムチャネルに対する阻害率を、50μMの高濃度と10μMの低濃度の両方で検出した。両溶液の具体的な調製法は、以下の通りであった:最初に、すべての化合物をDMSO中の0.01M原液として調製し、次いで、各化合物の原液を、DMSOを使用して5000μMおよび1000μMに希釈した。各濃度に対し、1640完全培養液を使用して50倍に希釈することによって、2×化合物溶液を得た(DMSOを純水溶媒対照として使用した)。
【0345】
細胞操作手順:
およそ90%の集密度に達したSH−SY5Y細胞を、トリプシンによって消化した。1ウェルあたり20000個の細胞を96ウェル黒色プレートに入れた。24時間の培養後、培養液を除去して、45μLの上記した2×化合物溶液(DMSOを純水溶媒対照として使用した)をさまざまな濃度で添加した。各濃度に対して、実験を4連で行った。96ウェルプレート内のウェルの具体的な配置を表4に示した:
【0346】
【表4】
【0347】
HCSによる自動試料添加のためのプログラムセットに基づいて、取扱説明書に従って調製された45μLの2×Fluo−4−AM溶液を、各ウェルに自動で逐次的に添加した。パラメータ設定によって、各ウェルについて、色素添加の時間および検出に要する時間を同一に維持した。一方、色素添加の完了に要する時間および色素インキュベーションの時間もまた、すべてのウェルについて同一に維持した(実験では、色素インキュベーションに要する時間は30分であった)。
【0348】
HCSプログラムを設定した。250MmのKCl溶液30μLを、色素添加の順序に基づいて、各ウェルに逐次的に添加した(各ウェルのインキュベーション時間は同じであったことを確認されたい)。蛍光強度の変化を、各ウェルについてリアルタイムでスキャンした。KCl添加前に、10時点での蛍光強度、F1、F2、F3、・・・、F10をスキャンした。KCl添加後に、40時点での蛍光強度、F11、F12、F13、・・・、F50もスキャンした。
【0349】
結果を表5に列挙した。
【0350】
F1、F2、・・・、F10の平均F0を計算し、F11、F12、F13、・・・、F50の最大値を選択した。Δ=Fmax−F0を記録した。
【0351】
阻害率=100%(Δ対照群−Δ投与群)/Δ対照群
【0352】
【表5】
【0353】
結果は、本発明で提供される化合物のL型Ca2+チャネルを阻害する顕著な活性の存在を示した。活性の一部は陽性対照であるニモジピンの活性よりも良好である。
【実施例41】
【0354】
本化合物のアセチルコリンエステラーゼ阻害活性の検出
試料:実施例1〜38で調製された一部の化合物
材料および機器:AmplexR Redアセチルコリン/アセチルコリンエステラーゼアッセイキット、A12217、invitrogen;96ウェル黒色プレート、Costar#3925;Infinite M200プレートリーダー、Tecan Company。
【0355】
キット用の原液の配合:
Amplex Red試薬1チューブ(構成品A)を200MlのDMSO(構成品B)に添加し、−20℃で保存して、光から保護した。所望の体積に従って、脱イオン水を使用して5×緩衝液(構成品E)を1×(すなわち、1×反応緩衝液)に希釈した。hrp1チューブ(構成品C)を1Mlの1×反応緩衝液に添加して、アリコートに分割し、−20℃で保存した。5Mlの3.3%H(構成品D)を234.1Mlの脱イオン水に添加して、20mmol/LのH希釈標準溶液を得、これを使用前に新たに調製した。コリンオキシダーゼ1チューブを600Mlの1×反応緩衝液に添加して、アリコートに分割し、−20℃で保存した。5mgのAch−cl(構成品G)を275Mlの脱イオン水に添加して、100mmol/LのAch適用溶液を得、これを使用前に新たに調製した。AchE1チューブを600Mlの1×反応緩衝液に添加して、アリコートに分割し、−20℃で保存した。
【0356】
化合物の配合:化合物の質および分子量に基づいて、DMSOを使用して0.01mol/Lの化合物の原液を調製した。100×化合物の調製:DMSOを使用して、化合物の原液を、1000μmol/L、200μmol/L、40μmol/L、8μmol/L、1.6μmol/L、0.32μmol/Lおよび0.064μmol/Lを含む濃度勾配に希釈した。
【0357】
4×AchE適用溶液の配合:所望に従って、ある体積のAchE原液を、1×反応緩衝液で1:250の比で希釈した。
【0358】
2×希釈標準溶液の配合:所望に従って、各原液を、200μLのAmplex Red試薬:100Μlのセイヨウワサビペルオキシダーゼ:100Μlのコリンオキシダーゼ:10ΜlのAch:9590Μlの1×反応緩衝液の比で混合することによって、2×希釈標準溶液を調製した。
【0359】
手順:最初に、48Mlの1×反応緩衝液を配列された96ウェル黒色プレート中の各化合物試験ウェルに添加し、続いて、2Mlの100×化合物溶液を添加した。各濃度に対する試験を2連で行った。陽性対照ウェルに、2MlのDMSOと48Mlの1×反応緩衝液を添加した。一方、陽性検証ウェルに、100Mlの20Mm H希釈標準溶液を直接添加した。陰性対照ウェルに、2MlのDMSOと98Mlの1×反応緩衝液を添加し、各試験を2連で行った。50Mlの4×AchE適用溶液を各化合物試験ウェルおよび陽性対照ウェルの各々に添加した。100Mlの2×希釈標準溶液をすべてのウェルの各々に添加し、均一になるまで混合した。酵素反応を開始して全体の反応系の体積が200Mlに到達し、これにより、10μmol/L、2μmol/L、0.4μmol/L、0.08μmol/L、0.016μmol/L、0.0032μmol/Lおよび0.00064μmol/lの化合物溶液の最終濃度を得た。系を室温で30〜45分間インキュベートした。
【0360】
蛍光の検出:ゲイン値を最適に設定したInfinite M200プレートリーダーによって、各ウェルの蛍光値を540nmの励起波長および590nmの放出波長で検出した。
【0361】
データ分析:すべての投与群および対照群について平均値を計算し、以下の式に従って阻害率を計算した:
【0362】
【数1】
【0363】
投与濃度のLog10値を計算してX軸に設定し、阻害率をY軸に設定した。データを原点を6.0としてプロットし、薬理学的用量−効果関係のS曲線にフィッティングして、これによって、50%阻害率に対応する濃度、すなわち、これらの化合物のアセチルコリンエステラーゼ阻害活性についてのIC50値を計算した。化合物によるアセチルコリンエステラーゼ阻害活性の結果を、表6に列挙した。
【0364】
【表6-1】
【0365】
【表6-2】
【0366】
結果は、1,4−ジヒドロ−ナフチリジン誘導体がアセチルコリンエステラーゼの活性を阻害することが可能であることを示した。
【実施例42】
【0367】
一次ニューロン毒性、ニューロンの形態およびタウタンパク質リン酸化に対する本化合物の効果
実験試薬:
完全ニューロン培地:Neurobasal培地+B27(2%)+L−グルタミン(0.5mM)+P/S(1%)
【0368】
【表7】
【0369】
機器:
ゲル撮影装置(Fluor Chem(商標)):Alpha Innotech
プレートリーダー(PHERAstar FS):BMG LABTECH
プレート:12ウェルプレート、Costa#3513
顕微鏡:Olmpus IX70
【0370】
実験方法:
一次皮質神経細胞の調製
18日齢の妊娠したSDラットを頸椎脱臼によって屠殺した。大脳皮質をE18胎児ラットから分離し、1mm未満の粒子に切断し、あらかじめ冷却しておいたDMEMで洗浄した。混合物を1000rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。ペレットをあらかじめ37℃に加温しておいたトリプシンによって消化した。消化を20%FBSによって停止させた。消化懸濁液を1000rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。ペレットを完全ニューロン培地に再懸濁し、1000rpmで5分間遠心分離し、上清を廃棄した。ペレットを完全ニューロン培地に再懸濁し、200メッシュ細胞ストレーナーに通した。細胞ストレーナーを通過した細胞懸濁液を、完全ニューロン培地で2×105細胞/mLに希釈した。1mLの細胞懸濁液をPDLであらかじめコーティングされた12ウェルプレートに播種した。次の日、培地の半分を交換し、その後1日おきにこれを繰り返した。分化して成熟ニューロンになるまでインビトロ培養を7日間維持し、この材料について実験のための準備が整った。
【0371】
比較化合物:
公知の化合物A1、A2、A3およびA4の合成法は、J.Med.Chem.2009年、52巻、2724〜2732頁に見出すことができる。
【0372】
【化79】
【0373】
化合物の配合
化合物をDMSO中に溶解して0.01Mの濃度の原液を調製し、次いで、これを−20℃で保存した。使用前に、まずDMSOを使用して原液を適切な濃度に希釈し、その後、完全ニューロン培地によって0.01、0.1および1μMの各濃度に希釈した(DMSO含有量:0.1%)。
【0374】
ニューロンの形態に対する化合物の効果
7日間のニューロンのインビトロ培養の後、培養液を廃棄し、上述のように調製された1mL/ウェルの化合物溶液を添加した(12ウェルプレート)。次いで、プレートを24時間インキュベートした(DMSO対照群も同時に行った)。ニューロンの形態を顕微鏡下で観察して撮影した。
【0375】
ニューロン毒性試験
化合物と共に24時間インキュベーションした後、celltiter−Gloの取扱説明書に従って100μL試薬/ウェルを添加した。次に、プレートを10分間振とうし、PHERAstar FSプレートリーダーによって化合物の化学発光値を読み取った。以下の式に基づいて、相対ニューロン活性を計算した:
相対ニューロン活性(%)=(投与群の活性−バックグラウンド群の活性)/(DMSO群の活性−バックグラウンド群の活性)×100%
【0376】
ウェスタンブロット用の試料の調製および検出
化合物と共に24時間インキュベーションした後、培養培地を廃棄した。次に、これをあらかじめ冷却しておいたPBSによって1回洗浄し、続いて、細胞溶解した。SDSローディングバッファーを添加した後、これを水中で10分間煮沸し、後の使用のために遠心分離した。SDS−PAGE電気泳動を上記の集めた試料に対して行い、次に、試料をNC膜に転写し、室温で1時間、5%の脱脂乳によってブロッキングした。膜をTBSTによって、それぞれ5分間、3度洗浄した。次いで、膜を一次抗体(1:1000)と共に終夜インキュベートし、TBSTによって、それぞれ5分間、3度洗浄した。次に、膜を二次抗体(1:5000)と共に終夜インキュベートし、TBSTによって、それぞれ5分間、3度洗浄した。最後に、ゲルをAlphaゲル撮影システム(Fluor Chem(商標))によってECLで撮影した。
【0377】
結果:
ニューロンに対する化合物の毒性
表7より、化合物S15が一次ニューロンに対してわずかな毒性を有していたが、これは1μMで細胞毒性を示しただけであり、S1、S3、S6、S8およびS32については、試験した濃度において顕著な毒性は観察されなかったこと、A1、A2、A3およびA4はより強い毒性を有しており、その中でA2、A3およびA4は、0.01μMという濃度においてでさえ既に非常に強いニューロン毒性を示したことがわかる。
【0378】
【表8】
【0379】
ニューロンの形態に対する化合物の効果
図1より、ニューロン細胞毒性を持たない化合物(S1など)は、0.01〜1μMの範囲の濃度ではニューロンの形態に対する効果を有さなかったこと、一方、より強い細胞毒性を持つ化合物(A2など)については、0.1および1μMの濃度で、ニューロンの軸索/樹状突起が分解され、投与の24時間後には細胞が収縮したこと、および1μMの濃度ではニューロンの形態が観察されなかったことがわかる。
【0380】
【表9】
【0381】
ニューロンの細胞内タウリン酸化に対する本化合物の効果
ウェスタンブロットの結果により、S1、S3、S6、S8、S15(1μMの濃度でわずかな毒性を示したことは例外とする。表1を参照)およびS32などの、ニューロン細胞毒性を持たない化合物によって、ニューロンの細胞内タウタンパク質リン酸化を低減することができることが示唆された(図2、S1およびS15を参照)。A2、A3およびA4などの非常に強い毒性を持つ化合物については、1μMの濃度では、ニューロンに対する非常に強い毒性に起因して、大半の細胞が死滅して、細胞内タンパク質が急激に減少した(図2−A1を参照)。
【0382】
【表10】
【0383】
結論:上記の実験結果に基づくと、本発明の化合物は、アセチルコリンエステラーゼの活性を阻害できるだけでなく、カルシウムチャネルを通じた細胞への細胞外カルシウムイオンの流入を遮断することもでき、すなわち、二重活性を有する。本発明の化合物は、一次ニューロン毒性の面において、既に公知の化合物に対して顕著な利点を有し、老人性認知症の重要なバイオマーカーであるタウタンパク質リン酸化を著しく下方制御する。よって、本発明の化合物は、潜在的な治療薬として大きな価値を有する。
【0384】
上述の内容は本発明の好ましい実施形態にすぎず、いくつかの改善および改変が、本発明の原理から逸脱せずに、当業者によって行われ得ることに留意されたい。これらの改善および改変もまた、本発明の範囲内であるとみなされるべきである。