特許第6043376号(P6043376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6043376電気部品を固定するための挿入ケーシング及び挿入ケーシングを対象物に固定する固定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043376
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】電気部品を固定するための挿入ケーシング及び挿入ケーシングを対象物に固定する固定方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/18 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   H02G3/18
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-16865(P2015-16865)
(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2015-177735(P2015-177735A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2015年6月1日
(31)【優先権主張番号】14159153.7
(32)【優先日】2014年3月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515028838
【氏名又は名称】ウルト エレクトロニク アイソス ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100077584
【弁理士】
【氏名又は名称】守谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
(72)【発明者】
【氏名】イェルク ハンチェル
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト フランク
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−126922(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0237673(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0053679(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02164143(EP,A2)
【文献】 特開2000−116444(JP,A)
【文献】 実開平6−17321(JP,U)
【文献】 実開昭64−34821(JP,U)
【文献】 実開昭59−119719(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のケーシング部(6)及び第1のケーシング部(6)に接続可能な第2のケーシング部(7)と、ケーシング部(6、7)によって規定され電気又は電子部品を収容する収容空間(8)とを備える電気又は電子部品を収容し、固定する挿入ケーシングにおいて、
ケーシング部(6、7)はロータリージョイント(12)を形成し、
少なくとも1つの拡開部材(14〜16)が第1のケーシング部(6)に一体に及び弾性的に配置され、
少なくとも1つの拡開部材(14〜16)は、ロータリージョイント(12)が閉成されるとき第2のケーシング部(7)によって拡開可能であることを特徴とする挿入ケーシング。
【請求項2】
第1のケーシング部(6)は、環状側壁(11)を中心長手方向軸線(m)と共に有し、
少なくとも1つの拡開部材(14〜16)は、側壁に配置され、中心長手方向軸線(m)に対し径方向に拡開可能であることを特徴とする請求項1記載の挿入ケーシング。
【請求項3】
第1のケーシング部(6)に設けた拡開部材(14〜16)に第1の端部(17)及び第2の端部(18)を有し、
少なくとも1つの拡開部材(14〜16)は、第2の端部(18)の方向に径方向に増加する壁厚(w)を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の挿入ケーシング。
【請求項4】
少なくとも1つの拡開部材(14〜16)は収容空間(8)に面する内壁(20)を内径(r)と共に有し、
内径(r)は少なくとも1つの拡開部材(14〜16)の第2の端部(18)の方向にテーパー付けされることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項記載の挿入ケーシング。
【請求項5】
少なくとも1つの拡開部材(14〜16)は収容空間(8)から離れた外壁(21)を外径(R)と共に有し、
外径(R)は側壁(11)の外径(R)に対応することを特徴とする請求項1乃至請求項4何れか1項記載の挿入ケーシング。
【請求項6】
少なくとも1つの拡開部材(14〜16)には、第1のケーシング部(6)を対象物(1)の凹部(3)内に固定するための収容空間(8)から離れた外壁(21)に外形(22、23、24)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5何れか1項記載の挿入ケーシング。
【請求項7】
外形(22、23、24)は、中心長手方向軸線(m)の周りで走行するリブ(23)を備えていることを特徴とする請求項6記載の挿入ケーシング。
【請求項8】
少なくとも2つの拡開部材(14〜16)は第1のケーシング部(6)を備え、拡開部材(14〜16)は中心長手方向軸線(m)の周りで例えば互いに均等に離隔されるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7何れか1項記載の挿入ケーシング。
【請求項9】
ケーシング部(6、7)は、少なくとも1つの拡開部材(14〜16)が拡開され開成しているとき互いにケーシング部(6、7)の回転運動を停止させるため少なくとも1つの停止部(33)及び組み合わされた対抗停止部(34)を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8何れか1項記載の挿入ケーシング。
【請求項10】
第2のケーシング部(7)は少なくとも1つの拡開部材(14〜16)を拡開する少なくとも1つの接触部材(29〜31)を有し、少なくとも1つの接触部材(29〜31)の長さLは少なくとも1つの拡開部材(14〜16)の長さLに対してL/L≧0.5、LA/LS≧0.6、及びL/L≧0.7の何れか1つであることを特徴とする請求項1乃至請求項9何れか1項記載の挿入ケーシング。
【請求項11】
少なくとも一つのケーシング部(6、7)は、中心長手方向軸線(m、m)に同心円状に配置された工具係合部材(35)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項10何れか1項記載の挿入ケーシング。
【請求項12】
少なくとも1つのケーシング部(6、7)は収容空間(8)内に少なくとも1つの貫通開口(36)を有し、少なくとも1つの貫通開口(36)は工具係合部材(35)と共にケーシング部(6、7)内に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項11何れか1項記載の挿入ケーシング。
【請求項13】
請求項1から請求項12の少なくとも1項にしたがう挿入ケーシング(5)を設けること、
第1のケーシング部(6)を対象物(1)の凹部(3)内に配置すること、
ロータリージョイント(12)を閉成することにより第2のケーシング部(7)を第1のケーシング部(6)と接続し、第2のケーシング部(7)は少なくとも1つの拡開部材(16〜14)を拡開し、挿入ケーシング(5)を凹部(3)内に固定することを特徴とする挿入ケーシングを対象物に固定する固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品を固定するための挿入ケーシングに関し、特に第1のケーシン
グ部及び第1のケーシング部に接続可能な第2のケーシング部とケーシング部によって規定され電気又は電子部品を収容する収容空間とを備える挿入ケーシングに関する。さらに、本発明は、この形式の挿入ケーシングを対象物に固定する固定方法に関する
【背景技術】
【0002】
電気装置をフロア凹部に取り付けるための挿入ケーシングは特許文献1から知られている。挿入ケーシングは、このケーシングをフロア凹部に固定するためのかかり係止片を備えた柔軟な保持脚部を有するブラケットを備えている。カバーがその上に載置されるとき、係止部を備える保持脚部が外方に拡開し、このケーシングが係止部によって確実にフロア凹部に固定される。上記挿入ケーシングの欠点は、複雑なデザインを有し、取付け及び取外しが困難であるということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US 2008/054 135 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、簡素なデザインを有し、取付け及び取外しが容易な電気部品を収容し、固定するための挿入ケーシングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明にしたがう挿入ケーシングによって達成される。電気部品のための収容空間を画定するケーシング部は、ロータリージョイントを形成し、このためにケーシング部はロータリージョイントを閉成することによって接続可能であり、ロータリージョイントを開成することによって解除可能である。第1のケーシング部はロータリージョイントを閉成するとき第2のケーシング部によって拡開されるのに適合された少なくとも1つの拡開部材が設けられている事実に因って、第2のケーシング部はロータリージョイントを閉成することによって第1のケーシング部に簡単に接続され、一方、少なくとも1つの拡開部材は同時に拡開され、換言すれば、径方向に偏位され、したがって挿入ケーシングを組み合わされた凹部内で締留め及び固定する簡単な形態を提供する。その結果、挿入ケーシングはシンプルなデザインを有し、容易、確実に固定することができる。
【0006】
挿入ケーシングを取外すために、ロータリージョイントは開成され、挿入ケーシングの締留め、換言すれば、固定を組み合わされた凹部内で解除する。その結果、挿入ケーシングが同様に容易に取り外し可能である。
【0007】
ロータリージョイントは、ねじ継手とバヨネット継手から成るグループから選択される。好ましくは、複数のケーシング部は雌ねじ及び組み合わされた雄ねじを形成し、したがって複数のケーシング部を一緒に螺合できるようにしている。好ましくは、雌ねじは第1のケーシング部に設けられ、一方、雄ねじは第2のケーシング部に設けられている。
【0008】
挿入ケーシングは、簡素なデザインを有し、簡単に取付け可能である。少なくとも1つの拡開部材が第1のケーシング部の環状側壁に配置されている事実に因り、上記拡開部材は、ロータリージョイントを閉成するとき第2のケーシング部を第1のケーシング部に対して長手方向軸線方向の周りに回転させることにより、容易に拡開でき、換言すれば、長手方向軸線方向における径方向に偏位可能である。好ましくは、第のケーシング部は、環状の側壁が固定されるケーシング底部を有する。好ましくは、ケーシング底部及び側壁は一体に形成されている。
【0009】
挿入ケーシングは、簡素なデザインを有している。少なくとも1つの拡開部材を第1のケーシング部と一体に形成することは、挿入ケーシングの製造を容易にし、弾性アセンブリを製造する簡素な技法を提供する。弾性アセンブリは、ロータリージョイントを開成するとき少なくとも1つの拡開部材が非拡開位置に自動的に戻って、挿入ケーシングを容易に取り外すことができる。
【0010】
挿入ケーシングは、少なくとも1つの拡開部材を容易に設けることができる。少なくとも1つの拡開部材は、径方向に増加する壁厚を有して少なくとも1つの拡開部材が非拡開位置における収容空間内に突出するようになる。ロータリージョイントを閉成するとき、少なくとも1つの拡開部材は、第2のケーシング部によって収容空間から押し出され、少なくとも1つの拡開部材を径方向に偏位させる。偏位された位置又は拡開位置において、少なくとも1つの拡開部材が第1のケーシング部の外周を越えて突出して挿入ケーシングは組み合わされた凹部内で締留められ、固定されるようになる。
【0011】
挿入ケーシングは、簡単に取付け及び取外し可能である。少なくとも1つの拡開部材はその自由端の方向にテーパー付けされた内径rを有して、少なくとも1つの拡開部材が非拡開位置にあるとき収容空間内に突出するようになっている。ロータリージョイントを閉成するとき少なくとも1つの拡開部材は、第2のケーシング部によって収容空間から押し出され、少なくとも1つの拡開部材を径方向に偏位させる。偏位された位置又は拡開位置において、少なくとも1つの拡開部材が第1のケーシング部の外周を越えて突出して挿入ケーシングは組み合わされた凹部内で締留められ、固定されるようになる。
【0012】
挿入ケーシングは、容易に取付け及び取外し可能である。拡開部材の非拡開位置において、少なくとも1つの拡開部材の外半径Rは第1のケーシング部の外径Rに対応する事実に因り、挿入ケーシングを容易に凹部内に挿入可能であり、凹部から取り外し可能である。少なくとも1つの拡開部材がロータリージョイントを閉成することによって拡開されるとき、少なくとも1つの拡開部材が第1のケーシング部の外周を越えて突出して挿入ケーシングは凹部内で締留められるようになる。外径Rは外径Rに対応するので、締留め部は凹部の大きな表面積を横切って延びる。
【0013】
挿入ケーシングは、容易かつ確実に固定することができる。少なくとも1つの拡開部材の外壁に設けられた外形は、収納空間を形成する対象物との接続を改善する。
【0014】
挿入ケーシングは、容易かつ確実に固定することができる。周方向に延びるリブは、挿入ケーシングが長手方向軸線方向に移動するのを効果的に防止する。
【0015】
挿入ケーシングは、容易かつ確実に固定することができる。複数の拡開部材は、異なる径方向に第1のケーシング部の外周を増加させ、したがって、挿入ケーシングを凹部内に均一かつ確実に固定することができるようになる。
【0016】
挿入ケーシングは、簡単に取付け可能である。ケーシング部が少なくとも1つの停止部及び組合わさった対抗停止部を形成する事実に因り、回転運動は、少なくとも1つの拡開部材が拡開位置に達するとき容易に停止される。これは、ケーシング部の過剰な回転を防止し、その結果、少なくとも1つの拡開部材を意図された拡開位置から意図しない非拡開位置に移動するのを防止する。
【0017】
挿入ケーシングは、容易かつ確実に固定することができる。少なくとも1つの接触部材は、少なくとも1つの拡開部材が特に大きな表面積にわたって確実に拡開することを保証する。
【0018】
挿入ケーシングは、簡単に取付け及び取外し可能である。工具係合部材は、ロータリージョイントを開成、閉成する簡便な技法、したがって少なくとも1つの拡開部材を拡開、解除する簡便な技法を提供する。工具係合部材は、特に、複数のケーシング部の1つに凹部として構成されている。工具係合部材は、好ましくは、第2のケーシング部に設けられている。
【0019】
挿入ケーシングは、簡単に取付け及び取外し可能である。収容空間に配置された(配置されるべき)電気又は電子部品のためのケーブルの接続は、挿入ケーシングの取付け及び取外しに妨害することなく少なくとも1つの貫通開口部を介して収容空間に容易に案内される。少なくとも1つの貫通開口部は、好ましくは、工具係合部材が設けられているケーシング部内に形成されている。その結果、上記ケーシング部は、工具係合部材のため露出して、同時に、少なくとも1つの貫通開口部を介してケーブル接続を導入、導出し案内するために使用することができる。好ましくは、少なくとも1つの貫通開口部及び工具係合部材は、第2のケーシング部に形成される。
【0020】
本発明の他の目的は、挿入ケーシングを容易かつ確実に対象物に固定することを可能にする方法を提供することである。
【0021】
この目的は、本発明にしたがう方法によって達成される。本発明による方法の利点は、本発明にしたがう挿入ケーシングの上述した利点に対応する。本発明による方法は、上述の特徴を有するように展開することができる。
【0022】
第1のステップでは、第1のケーシング部は対象物の凹部に配置される。次に、電気又は電子部品が配置される収容空間は第2のケーシング部によって閉成される。このために、複数のケーシング部は、ロータリージョイントを閉成することによって相互に接続され、第2のケーシング部を少なくとも1つの拡開部材によって拡開されるようにし、第1のケーシング部は、それに接続された第2のケーシングと一緒に対象物の凹部内に取付けることができる。ロータリージョイントが閉成されるとき、挿入ケーシングは同時に凹部内で閉成され、締留められる。
【0023】
挿入ケーシングを取外しするために、ロータリージョイントが開成されて、少なくとも1つの拡開部材によって設けられた締留めが解除される。
【0024】
本発明の他の特徴、利点及び詳細は、いくつかの例示的な実施例について以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の例示的な実施例にしたがう電子部品を収容し、固定するための挿入ケーシングの斜視図を示す。
図2図1における挿入ケーシングの第1のケーシング部の斜視図を示す。
図3図1における挿入ケーシングの第2のケーシング部の斜視図を示す。
図4】据え付けのために準備された、図1にしたがう挿入ケーシングの部分切断平面図を示す。
図5図4における断面線V-Vに沿った挿入ケーシングの軸線方向断面図を示す。
図6】固定された、図1にしたがう挿入ケーシングの部分切断平面図を示す。
図7図6における断面線VII-VIIに沿った挿入ケーシングの軸線方向断面図を示す。
図8】第2の例示的な実施例にしたがう挿入ケーシングの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の電気部品を固定するための挿入ケーシング、この形式の挿入ケーシングを固定する対象物及び挿入ケーシングを対象物に固定する固定方法における実施の形態について図面を参照して詳述する。
【0027】
以下の説明部分では、本発明の第1の例示的実施例を図1図7に基づいて説明する。一部の家具として構成された対象物1はベース本体2を有し、ベース本体2には凹部3が形成されている。凹部3は、円形の断面を有し、かつ中心長手方向軸線Mを有し、凹部3の境界となるベース本体側壁4は上記中心長手方向軸線Mから距離Rを有する。凹部3は止まり穴として構成されている。
【0028】
凹部3は、挿入ケーシング5の据え付けを許容するように構成されている。挿入ケーシング5は第1のケーシング部6及び第2のケーシング部7を含むもので、収容空間8を規定する。収容空間8は、電気又は電子部品9を収容するのに適しており、図5図7に概略図示されている。
【0029】
第1のケーシング部6は、底部10と、これに取付けられている環状側壁11とを有する。第1のケーシング部6は中心長手方向軸線mを有し、側壁11の内側は中心長手方向軸線mから距離rに配置され、一方、側壁11の外側は中心長手方向軸線mから距離Rに配置されている。ケーシング部6、7は、ロータリージョイント12によって互いに接続可能である。この目的のために、第1のケーシング部6には、底部10から離隔している側壁11の端部に雌ねじ13が設けられている。
【0030】
組み合わされた凹部3内に挿入ケーシング5を確保するために、第1のケーシング部6は3つの拡開部材14〜16を有する。拡開部材14〜16は、底部10と雌ねじ13との間で側壁11に形成されている。周方向に見て、拡開部材14〜16は中心長手方向軸線mの周りに均等に分布し、言い換えれば、それらは中心長手方向軸線mの周りで120°の開角を有している。拡開部材14〜16の各々は第1の端部17を有し、第1の端部17は側壁11と一体に形成される。それぞれの第1の端部17から始まり、拡開部材14〜16は、中心長手方向軸線mの周りで周方向に延在し、それぞれ第2の自由端部18が設けられている。したがって、拡開部材14〜16は、側壁11においてそれぞれのU字型突破口19により形成される。拡開部材16〜14は第1のケーシング部、厳密に言えば、その側壁11と一体に形成されて、これに弾性的に取付けられるようにされている。それらのデザイン及び配置に因り、拡開部材14〜16は、拡開可能であり、言い換えれば、中心長手方向軸線mに対して偏位可能である。
【0031】
拡開部材14〜16の各々は、収容空間8に対向する内壁20及び収容空間8から離隔している外壁21を有する。内壁20は平滑である。外壁21は、中心長手方向軸線mからの距離又は外径Rを有し、これは拡開部材14〜16が偏位されておらず、言い換えれば、拡開されていないときの距離又は外径Rに対応している。さらに、内壁20のそれぞれは中心長手方向軸線mからの距離又は内径rを有し、これは一定ではなく、それぞれの拡開部材14〜16の第1の端部17からその組み合わされている第2の端部18までテーパー付けされている。拡開部材14〜16の内壁20は、それらのそれぞれの自由端部18の方向にテーパー付けされている。第1の端部17において、内径rは距離又は内径rより僅かに小さく、r≒0.97rである。これと対照的に、拡開部材14〜16の自由端部18における内径rはr≦0.96r、特にr≦0.93r、特にr≦0.90rである。その結果、拡開部材14〜16は壁厚wを有し、これには一般的にw=R−rが適用される。壁厚wは拡開部材14〜16のそれぞれの自由端部18の方向に径方向に増加する。
【0032】
拡開部材14〜16の外壁21には周方向に延びる溝22が設けられ、これによって外壁21は周方向に延びるリブ23を形成する。言い換えると、外壁21は、外形が設けられる。さらに、拡開部材14〜16の自由端部18には、外壁21に配置され、確実な固定を保証する幾つかのかかり係止片が設けられる。かかり係止片は外形の一部である。
【0033】
ケーシング部6、7は、ロータリージョイント12を閉成するとき第2のケーシング部7によって、拡開部材14〜16が拡開され、換言すれば外側に偏位されるように構成される。第2のケーシング部7は実質的に円盤状の蓋25を中心長手方向軸線mと共に有する。ロータリージョイント12を閉成するために、蓋25にはその円周に雄ねじ26が設けられ、雄ねじ26は中心長手方向軸線mの周りの回転運動により組み合わされる雌ねじ13に螺合されるように適合されている。
ロータリージョイント12は、ロータリージョイント12を閉成するために、第2のケーシング部7が拡開部材14〜16の第1の端部17からその自由端部18まで延びる閉成方向27における第1のケーシング部6に対して回転されることを必要とするように、構成されている。逆に、開成方向28は拡開部材14〜16の自由端部18からその第1の端部17までに延びている。
【0034】
拡開部材14〜16を拡開するために、多数の接触部材29〜31が収容空間8に対向する蓋25の内側に配置され、その数は拡開部材14〜16の数に対応している。接触部材29〜31は中心長手方向軸線mの周りに配置されて、周方向に見たとき互いに均一に離間し、換言すれば、それらは互いに120°の開角を有している。接触部材29〜31の各々は、拡開部材14〜16の端部17において内径rに対応する中心長手方向軸線mからの距離又は外径Rを有する外壁32を有している。換言すれば、外壁32は湾曲しており、曲率半径が自由端部17において内径rに対応し、接触部材29〜31は組み合わされた拡開部材14〜16に対して当接する。接触部材29〜31は周方向に長さLAを有し、長さLAと拡開部材14〜16の長さLSの比率はLA/LS≧0.5、特にL/LS≧0.7である。これにより、拡開部材14〜16を大きな表面積にわたって組み合わされた接触部材29〜31
によって拡開させて、接触部材29〜31で大きな表面積にわたって延びる半径方向の接触圧力を発生させるのである。
【0035】
拡開位置にあるときケーシング部6、7の回転運動を互いに対して停止するために、ケーシング部6には複数の停止部33が設けられ、一方、ケーシング部7には対応する複数の対抗停止部34が設けられる。停止部33は、収納空間8において側壁11に配置されたウェブとして構成される。停止部33は、中心長手方向軸線Mに実質的に平行である。また、停止部33は、拡開部材14〜16の第1の端部17に隣接するように側壁11に配置されている。停止部33は、側壁11と一体に形成されている。停止部33の中心長手方向軸線Mからの距離Rは、拡開部材14〜16の端部17において距離rに実質的に対応している。
【0036】
対抗停止部34は蓋25の内側に配置される。対抗停止部34は実質的に中心長手方向軸線mの方向に延びるウェブとして構成される。対抗停止部34は中心長手方向軸線mから隔置されて、それらは停止部33と重なる。対抗停止部34は中心長手方向軸線mから最大距離Rを有し、最大距離Rは第1のケーシング部7の内径rに対応する。
【0037】
ロータリージョイント12を閉成し、開成するために、工具係合部材35は、収容空間8から離れているケーシング部7の外側に配置されている。工具係合部材35は、中心長手方向軸線mと同心円状に配置されている。工具係合部材35は、例えば六角形の形状を有する凹部として構成されている。第2のケーシング部7は、収容空間8に繋がる幾つかの開通開口36をさらに備えている。開通開口36は、電気又は電子部品9のケーブル接続(詳細には図示せず)を収容空間8内に導入するのに適している。
【0038】
挿入ケーシング5の機能は次のとおりである。
【0039】
第1のステップでは、電気又は電子部品9は収容空間8内に配置され、ケーブル接続は貫通開口36を通して導入される。その後、第2のケーシング部7は第1のケーシング部6上に配置され、ロータリージョイント12は未だ開成している。中心長手方向軸線m、mは合致している。第2のケーシング部7には第1のマーキング37を設け、第2ケーシング部7を第1のケーシング部6上で所望の位置に配置することを可能にする。
【0040】
挿入ケーシング5は、その中に収容された電気又は電子部品9と共に、今や、凹部3内に配置されている。この目的のために、凹部3の半径Rは、ケーシングの外径Rよりも僅かに大きい。図4及び図5は開成している挿入ケーシング5の説明図であり、言い換えれば、その拡開部材14〜16は外側に偏位されていない。
【0041】
ロータリージョイント12を閉成するために、工具係合部材35は工具によって第2のケーシング部7のために係合されて第2のケーシング部7が閉成方向27において中心長手方向軸線m、mの回りに回転される。第1のケーシング部6が凹部3内において共に回転することを防止するために、拡開部材14〜16が非拡開位置にある限りかかり係止片24が側壁11を僅かに超えて突出して上記かかり係止片24がベース本体側壁4と係合することを許容する。拡開部材14〜16はかかり係止片24の少量の突出量によって収容空間8の方向に弾力性であり、変位可能であるので、かかり係止片24の存在にもかかわらず、挿入ケーシング5は凹部3内に容易に導入可能である。
【0042】
ケーシング部品6、7の回転運動は、ロータリージョイント12を閉成させてケーシング部6、7が互いに接続される。第2のケーシング部7には接触部材29〜31が設けられているので、上記接触部材29〜31は、上記回転運動が行われるとき拡開部材14〜16の自由端部18の方向に変位される。接触部材29〜31が変位されているとき、その外壁32は拡開部材14〜16の組み合わされている内壁20に対し当接する。内壁20が閉成方向27にテーパー付けされ、したがって収納空間8内に突出する事実に因り、拡開部材14〜16は、回転運動が行われるとき径方向に偏位される。図6図7は、偏位位置、換言すれば拡開位置において挿入ケーシング5をその拡開部材14〜16と共に示している。拡開部材14〜16は、その外径が凹部3の外径Rよりも大きい程度に拡開する。拡開部材14〜16の外壁21はそれらの外形、換言すれば溝22及び組み合わされているリブ23並びにかかり係止片24でベース本体2の建材内に押圧される。周方向に延びるリブ23は、挿入ケーシング5が特に中心長手方向軸線m、mの方向に固定されることを確実にする。
【0043】
ケーシング部6、7の回転運動は、停止部33と組み合わされる対抗停止部34が互いに当接するに至るとき、停止するに至る。このことが生起したとき、接触部材29〜31の外壁32は、組み合わされる拡開部材14〜16の内壁20と面対面接触している。第2のケーシング部7には第2のマーキング38が設けられ、拡開部材14〜16の拡開位置を示すことができる。
【0044】
結論として、ロータリージョイント12を閉成するとき、ケーシング部6、7は、一方で、互いに接続され、拡開部材14〜16は同時に偏位され、したがって挿入ケーシング5を対象物1の凹部3内に固定する簡単な方法を提供することができる。その結果、挿入ケーシング5は容易かつ確実に固定することができる。
【0045】
挿入ケーシング5を取外すために、工具係合部材35は工具によって再係合されて開成方向28において第1のケーシング部6に対して第2のケーシング部7を回転する。偏位された拡開部材14〜16は、回転運動が行なわれるとき第1のケーシング部6が確実に固定されることを確実にする。開成方向28において回転運動は接触部材29〜31を拡開部材14〜16から離れて移動させ、拡開部材14〜16の弾性で拡開部材14〜16をそれらの原の非拡開位置に戻すことができる。したがって、挿入ケーシング5の凹部3との確実な接続は解除される。ケーシング部6、7間の接続は同様に同時に解除される。したがって、挿入ケーシング5を取外すことは同様に簡単である。ケーシング部6、7はそれぞれプラスチック材料で一体に製造することができる。ケーシング部6、7は、比較的簡素なデザインを有し、製造が容易である。
【0046】
挿入ケーシング5は、例えば携帯電話の無線充電のための電子部品9を収容し、固定するのに適している。このために、挿入ケーシング5は、例えば一部の家具、特にテーブルに固定される。
【0047】
以下の説明部分は、図8を参照して、本発明の第2の例示的実施例について説明する。第1の例示的実施例とは対照的に、第1のケーシング部6の底部10は、側壁11を越えて径方向に突出してリムを形成する。凹部3が貫通孔として構成されている場合、この実施例は有利である。それで、底部10によって形成されたリムは凹部3を完全にカバーしている。挿入ケーシング5の他のデザイン及び機能に関する詳細は、第1の例示的実施例の説明中に見出すことができる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・対象物
2・・・ベース
3・・・凹部
4・・・ベース本体側壁
5・・・挿入ケーシング
6・・・第1のケーシング部
7・・・第2のケーシング部
8・・・収容空間
9・・・電気又は電子部品
10・・・底部
11・・・環状側壁
12・・・ロータリージョイント
13・・・雌ねじ
14〜16・・・拡開部材
17・・・第1の端部
18・・・第2の端部(第2の自由端部)
19・・・突破口
20・・・内壁
21・・・外壁
22・・・溝
23・・・リブ
24・・・かかり係止片
(22、23、24・・・外形)
25・・・蓋
26・・・雄ねじ
27・・・閉成方向
28・・・開成方向
29〜31・・・接触部材
32・・・外壁
33・・・停止部
34・・・対抗停止部
35・・・工具係合部材
36・・・開通開口
37・・・第1のマーキング
38・・・第2のマーキング
M、M1、m、m・・・中心長手方向軸線
R、R、R、R・・・距離又は外径
、r・・・距離又は内径
、R・・・距離
w・・・壁厚
A、・・・長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8