特許第6043401号(P6043401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043401
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】有機発光素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/10 20060101AFI20161206BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20161206BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20161206BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20161206BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H05B33/10
   H05B33/04
   H05B33/26 Z
   H05B33/14 A
   H05B33/22 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-87383(P2015-87383)
(22)【出願日】2015年4月22日
(62)【分割の表示】特願2013-518280(P2013-518280)の分割
【原出願日】2011年7月8日
(65)【公開番号】特開2015-156391(P2015-156391A)
(43)【公開日】2015年8月27日
【審査請求日】2015年4月23日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0065710
(32)【優先日】2010年7月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジュン−ヒョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン−ブン・キム
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−327215(JP,A)
【文献】 特開2011−181405(JP,A)
【文献】 特開2005−332773(JP,A)
【文献】 特開2005−070295(JP,A)
【文献】 特開2010−080310(JP,A)
【文献】 特開2010−027210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/10
H01L 51/50
H05B 33/04
H05B 33/22
H05B 33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、
前記基板上に形成された共通電極である第1電極、
前記第1電極上に形成された有機物層、
前記有機物層上に形成された個別電極である第2電極、
前記第1電極上に形成され、前記第2電極の隔壁となるスペーサ(spacer)パターン、
前記第2電極および前記有機物層を覆う封止薄膜、および
前記封止薄膜上に広がっており、前記第1電極に電気的に接続される補助電極
を含み、
前記補助電極が、スペーサとスペーサとの間の領域で前記第1電極と電気的に接続されているとともに、前記スペーサ上に存在して前記第2電極から離間した前記第2電極と同じ材料の層と電気的に接続されていることを特徴とする有機発光素子。
【請求項2】
前記第1電極は、金属、金属酸化物およびこれらの合金からなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項記載の有機発光素子。
【請求項3】
前記補助電極は、導電性シーラント(sealant)および金属からなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする請求項または記載の有機発光素子。
【請求項4】
前記有機発光素子は、照明用有機発光素子であることを特徴とする請求項からのいずれか1項記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明電極層の電圧下降を最小化し、素子の輝度均一性および安定性を確保可能な優れた有機発光素子およびその製造方法に関するものである。本出願は、2010年7月8日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2010−0065710号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は、2つの対向電極と、その間に存在する多層の半導体的性質を有する有機物の薄膜とから構成されている。このような構成の有機発光素子は、有機物質を用いて電気エネルギーを光エネルギーに転換させる現象、すなわち、有機発光現象を利用する。具体的には、正極と負極との間に有機物層を位置させた構造において、2つの電極の間に電圧をかけると、正極からは正孔が、負極からは電子が有機物層に注入される。注入された正孔と電子が出会った時にエキシトン(exciton)が形成され、このエキシトンが再び基底状態に落ちる際に光を発するようになる。
【0003】
前記のような有機発光素子では、有機物層で生成された光が光透過性電極を通して放出され、有機発光素子は、通常、前面発光(top emission)、後面発光(bottom emission)、および両面発光型に分類することができる。前面または後面発光型の場合は、2つの電極のうちの1つが光透過性電極でなければならず、両面発光型の場合は、2つの電極がいずれも光透過性電極でなければならない。
【0004】
前記のような有機発光素子については、多層構造を用いる場合に低電圧で駆動できるというコダック社の発表以来多くの研究が集中してきており、最近では、有機発光素子を用いた天然色ディスプレイが携帯用電話機に取り付けられて商用化されている。
【0005】
また、最近の有機発光素子は、既存の蛍光物質を用いる代わりに、燐光物質の使用に関する研究が進むにつれ、効率が急激に向上しており、近い将来には既存の照明を代替できるという予想も出ている。
【0006】
有機発光素子が照明に用いられるためには、既存の天然色ディスプレイとは異なり、高輝度で素子を駆動しなければならず、既存の照明のように一定の輝度を維持しなければならない。有機発光素子の輝度を十分に向上させるためには、広い面積で発光が行われなければならず、このように広い面積で発光が行われるようにするためには、高い駆動電流を利用しなければならない。また、広い面積で一定の輝度を維持するためには、前記高い電流が広い面積の素子に均一に注入されなければならない。
【0007】
一般的に、有機発光素子の正極物質としては、主に仕事関数の大きい金属酸化物が使用される。しかし、金属酸化物は電気伝導度が比較的高くない。したがって、このような金属酸化物が表示面積の小さい有機ELやLCDに用いられる場合には問題はないが、照明機器に用いるための大面積の有機ELに用いられる場合には高い電流による電圧降下が大きく、電流が発光面に均一に注入されないため、素子の発光が均一にならない。例えば、電極を駆動回路と電気的に結線させた部分の近傍でのみ発光し、残りの領域では弱い発光が生じるか発光が生じないことがある。
【0008】
一方、有機発光素子の負極物質としては、主に仕事関数の小さい金属またはこれらの合金が使用される。このような金属は、物質自体の電気伝導度は高いことがあるが、有機発光素子の特性上、電極の透明性が要求される場合に薄膜として形成されると、電気伝導度が減少する。したがって、この場合にも、電流が発光面に均一に注入されないため、素子の発光が均一にならないことがある。
【0009】
したがって、有機発光素子を照明機器に用いるためには、電極の抵抗を低減し、広い面積の素子で高輝度の発光を均一にすることが必要である。
【0010】
また、電極の抵抗を低減することは、大面積の有機発光素子のみならず、受動駆動型(passive matrix)ディスプレイ素子の製造にも有用に使用できる。受動駆動型ディスプレイは、能動駆動型(active matrix)のように、非晶質あるいは多結晶シリコン薄膜トランジスタ(amorphous or poly−silicon transistor)の背面板(back plate)が要らないため、製造コストが極めて安価である。しかし、今のところ、受動駆動型有機ELディスプレイが様々な問題を抱えているため、受動駆動型有機ELディスプレイよりは、能動駆動型有機ELディスプレイの方が商用化候補に浮上している。受動駆動型有機ELディスプレイの主な問題の1つは、受動駆動型有機ELディスプレイ素子の製造には、優れた光透過性および電気伝導度を有する電極を製造することが必須の技術であるが、現在用いられている電極の抵抗が大きく、これにより、ディスプレイの大きさが増加すると、電極における電圧降下が深刻で、ディスプレイ映像の実現が困難であることである。
【0011】
そのため、有機発光素子分野では、電極の抵抗を低減する技術の開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、透明電極層の電圧下降を最小化し、素子の輝度均一性および安定性を確保し、簡単な工程で形成可能な補助電極を有する有機発光素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのために、本発明は、
1)基板上に形成された第1電極上にスペーサ(spacer)パターンを形成するステップと、
2)有機物層および第2電極を形成するステップと、
3)封止(encapsulation)薄膜を形成した後、前記封止薄膜の少なくとも一部分をエッチングして第1電極を露出させるステップと、
4)前記ステップ3)の露出した第1電極に電気的に接続された補助電極を形成するステップとを含む有機発光素子の製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記製造方法によって製造されることを特徴とする有機発光素子を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、基板、第1電極、有機物層および第2電極を含む有機発光素子において、
前記第1電極上にスペーサ(spacer)パターンを含み、
前記第1電極に電気的に接続される補助電極を含み、
前記第2電極および補助電極の間に封止薄膜を含むことを特徴とする有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる有機発光素子は、透明電極において長手方向の電極の抵抗による電圧降下およびこれに伴う素子の輝度不均衡の問題を解決することができる。また、本発明にかかる有機発光素子は、第1電極上に補助電極を形成可能なため、より優れた透明電極を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一具体例による有機発光素子を示す図である。
図2】本発明の一具体例による有機発光素子を示す図である。
図3】本発明の一具体例による有機発光素子の製造方法を示す図である。
図4】本発明の一具体例による有機発光素子の製造方法を示す図である。
図5】本発明の一具体例による有機発光素子の製造方法を示す図である。
図6】本発明の一具体例による有機発光素子の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
一般的に、有機発光素子は、広い面積を有する2つの電極が互いに対向しており、その間に電流によって光を発光する有機物層が形成されている構造を有する。前記電極の縁部分から電流が印加されて電極の中心部側に流れながら、有機物を通過して対向する電極を抜けるようになり、この時、電極の縁部分から中心部に電流が流れながら、電極の抵抗に比例して電圧降下が発生する。このような電極の抵抗によって電圧降下が発生しただけエネルギーを消耗し、有機発光素子のエネルギー効率を低下させてしまう。
【0020】
また、前記2つの電極の間に形成される電場が異なるため、電極の位置に応じて有機物の発光量が異なるが、このような位置に応じた明るさの差は、外見上でも良くないだけでなく、素子の安定性にも良くない影響を与える。したがって、有機発光素子では、このような問題を最小化するための設計が必要である。
【0021】
有機発光素子は、2つの透明電極、または透明電極と金属電極が対向する構造となっている。前述した電極における電圧下降の問題は、相対的に面抵抗が高い透明電極の方で問題となる。前記透明電極としては、ITO(indium tin oxide)などを使用するが、前記ITOを含む透明電極の面抵抗値は10〜30Ω/□の水準であって、Alなどを100nm蒸着して製造した金属電極の面抵抗値である0.3Ω/□の水準より約100倍近くの差がある。前記透明電極の面抵抗値を低くするために、金属補助電極を透明電極上に形成する方法が一般的に利用されているが、発光領域面の開口率を低下させることなく、均一に面抵抗値を低くするためには、微細な金属電極を形成しなければならず、このためにはフォトリソグラフィー法が利用される。
【0022】
しかし、このような工程は、工程費用が高いという欠点がある。また、前記金属補助電極の上にも有機物層と共に金属電極層が蒸着されるが、この時、透明電極上の金属補助電極と金属電極との短絡の危険性のため、金属補助電極を形成する時、その上に絶縁層を追加的に形成しなければならないという問題もあった。
【0023】
そこで、本発明は、極めて微細な補助電極を形成しなくても、透明電極層の電圧下降を最小化し、素子の輝度均一性および安定性を確保可能な有機発光素子を提供しようとする。
【0024】
そのために、本発明にかかる有機発光素子の製造方法は、1)基板上に形成された第1電極上にスペーサ(spacer)パターンを形成するステップと、2)有機物層および第2電極を形成するステップと、3)封止(encapsulation)薄膜を形成した後、前記封止薄膜の少なくとも一部分をエッチングして第1電極を露出させるステップと、4)前記ステップ3)の露出した第1電極に電気的に接続された補助電極を形成するステップとを含む。
【0025】
本発明にかかる有機発光素子の製造方法において、前記ステップ1)は、基板上に形成された第1電極上にスペーサ(spacer)パターンを形成するステップである。
【0026】
前記ステップ1)の基板は、当該技術分野において知られたものを制限なく使用することができ、より具体的には、ガラス基板、プラスチック基板などを挙げることができるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0027】
前記ステップ1)の第1電極は、スパッタリング(sputtering)や電子ビーム蒸発(e−beam evaporation)のようなPVD(physical vapor deposition)法を用い、基板上に、金属、導電性を有する金属酸化物、これらの合金などを蒸着させて形成することができる。
【0028】
特に、前記ステップ1)の第1電極は、ITO(indium tin oxide)、IZO、ZnO、SnOなどの透明な導電性物質を含むことがより好ましいが、これらにのみ限定されるものではない。
【0029】
本発明では、前記ステップ1)において、基板上に絶縁層パターンを形成するステップをさらに含むことができる。前記絶縁層パターンは、大面積の有機発光素子において画素区分の役割を果たすことができ、当該技術分野において知られた材料および方法を用いて形成することができる。
【0030】
本発明において、前記ステップ1)のスペーサ(spacer)パターンは、当該技術分野において知られた材料および方法を用いて形成することができる。前記スペーサパターンは、有機発光素子内の隔壁の役割、支持体の役割などを果たすことができ、前記スペーサパターンの形成後、一部分をエッチングして第1電極に電気的に接続される補助電極の形成のためのコンタクトホールを形成することができる。
【0031】
本発明にかかる有機発光素子の製造方法において、前記ステップ2)は、有機物層および第2電極を形成するステップである。
【0032】
前記ステップ2)において、有機物層および第2電極は、前記ステップ1)の第1電極およびスペーサの上部の全領域にわたって形成できる。
【0033】
前記ステップ2)の有機物層および第2電極の具体的な物質、形成方法は、特に限定されるものではなく、当該技術分野において広く知られた物質および形成方法を利用することができる。
【0034】
前記第2電極は、金属電極であり得る。より具体的には、前記第2電極は、Al、Ca、Mg、Agなどを1種以上含むことができるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0035】
本発明にかかる有機発光素子において、有機物層は、多様な高分子素材を用い、蒸着法でない溶媒工程(solvent process)、例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディング、スクリーンプリンティング、インクジェットプリンティングまたは熱転写法などの方法によってより少ない数の層に製造することができる。
【0036】
本発明にかかる有機物層は、発光層を含み、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および電子注入層の中から選択された1つ以上を含む積層構造であり得る。
【0037】
本発明にかかる有機発光素子において、前記正孔注入層を形成可能な物質としては、通常、有機物層への正孔の注入が円滑にできるように仕事関数の大きい物質が好ましい。本発明で使用可能な正孔注入物質の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金; 亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物; ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物との組み合わせ; ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](PEDT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0038】
本発明にかかる有機発光素子において、前記電子注入層を形成可能な物質としては、通常、有機物層への電子の注入が容易となるように仕事関数の小さい物質であることが好ましい。電子注入物質の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属またはこれらの合金; LiF/AlまたはLiO/Alのような多層構造物質などがあり、正孔注入電極物質と同一の物質を使用することもできるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0039】
本発明にかかる有機発光素子において、前記発光層を形成可能な物質としては、正孔輸送層および電子輸送層から正孔と電子をそれぞれ受けて結合させることによって可視光線領域の光を発し得る物質であって、蛍光や燐光に対する量子効率の良い物質が好ましい。具体例としては、8−ヒドロキシ−キノリンアルミニウム錯体(Alq);カルバゾール系化合物; 二量体化スチリル(dimerized styryl)化合物; BAlq;10−ヒドロキシベンゾキノリン−金属化合物; ベンゾオキサゾール、ベンズチアゾールおよびベンズイミダゾール系の化合物; ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)系の高分子; スピロ(spiro)化合物; ポリフルオレン、ルブレン; 燐光ホストCBP[[4,4’−bis(9−carbazolyl)biphenyl];などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0040】
また、前記発光物質は、蛍光または燐光特性を向上させるために、燐光ドーパントまたは蛍光ドーパントをさらに含むことができる。前記燐光ドーパントの具体例としては、ir(ppy)(3)(fac tris(2−phenylpyridine)iridium)またはF2Irpic[iridium(III)bis(4,6−di−fluorophenyl−pyridinato−N,C2)picolinate]などがある。蛍光ドーパントとしては、当該技術分野において知られたものを使用することができる。
【0041】
本発明にかかる有機発光素子において、前記電子輸送層を形成可能な物質としては、電子注入層から電子を適切に受けて発光層に移すことが可能な物質であって、電子に対する移動性の大きい物質が好適である。具体例としては、8−ヒドロキシキノリンのAl錯体; Alqを含む錯体; 有機ラジカル化合物; ヒドロキシフラボン−金属錯体などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0042】
本発明にかかる有機発光素子の製造方法において、前記ステップ3)は、封止薄膜を形成した後、前記封止薄膜の少なくとも一部分をエッチングして第1電極を露出させるステップである。すなわち、前記ステップ3)では、薄膜で全領域を封止した後、前記薄膜をエッチングして前記第1電極と接触可能なコンタクトホールを形成することができる。
【0043】
前記ステップ3)において、薄膜のエッチングは、レーザエッチングなどを利用することができるが、これにのみ限定されるものではない。
【0044】
本発明にかかる有機発光素子の製造方法において、前記ステップ4)は、ステップ3)の露出した第1電極に電気的に接続された補助電極を形成するステップである。
【0045】
前記補助電極は、第1電極の抵抗を改善するためのものであって、前記補助電極は、導電性シーラント(sealant)および金属からなる群より選択される1種以上を蒸着して形成することができる。より具体的には、前記補助電極は、Cr、Mo、Al、Cu、これらの合金などを含むことができるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0046】
すなわち、前記ステップ4)では、封止薄膜およびコンタクトホール上に導電性シーラント(sealant)または金属を蒸着することにより、第1電極に電気的に接続可能な補助電極を形成することができる。
【0047】
また、本発明にかかる有機発光素子の製造方法において、前記第1電極は透明電極であり、前記第2電極は金属電極であり得るが、これにのみ限定されるものではない。
【実施例】
【0048】
以下、図面を通じて、本発明にかかる有機発光素子をより具体的に説明する。しかし、下記の図面は説明のためのものであって、本発明の範囲が下記の図面によって限定されるものではない。
【0049】
本発明の一具体例による有機発光素子を、下記の図1および図2に示した。
【0050】
また、本発明の一具体例による有機発光素子の製造方法を、下記の図3ないし図6に示した。
【0051】
図3ないし図6に示すように、本発明にかかる有機発光素子の製造方法は、1)基板10上に形成された第1電極20上にスペーサ(spacer)50パターンを形成するステップと、2)有機物層30および第2電極40を形成するステップと、3)封止薄膜60を形成した後、前記封止薄膜60の少なくとも一部分をエッチングして第1電極20を露出させるステップと、4)前記ステップ3)の露出した第1電極20に電気的に接続された補助電極70を形成するステップとを含む。
【0052】
また、本発明は、前記有機発光素子の製造方法によって製造されることを特徴とする有機発光素子を提供する。
【0053】
本発明にかかる有機発光素子は、照明用有機発光素子により好適に適用することができる。
【0054】
また、本発明は、基板、第1電極、有機物層および第2電極を含む有機発光素子において、前記第1電極上にスペーサ(spacer)パターンを含み、前記第1電極に電気的に接続される補助電極を含み、前記第2電極および補助電極の間には封止薄膜を含むことを特徴とする有機発光素子を提供する。
【0055】
特に、従来の有機発光素子では、透明電極の第1電極は伝導度が低く、大面積の素子の実現時、第1電極パッドの端子から素子の中心部まで長手方向の電極の抵抗による電圧降下が発生し、これにより、素子の輝度不均衡がもたらされていた。
【0056】
しかし、本発明にかかる有機発光素子は、上述のように特定の方法で補助電極を形成することにより、前記電極の抵抗による電圧降下を防止することができ、これにより、素子の輝度不均衡などを防止することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 基板
20 第1電極
30 有機物層
40 第2電極
50 スペーサ
60 封止薄膜
70 補助電極
80 絶縁層
図1
図2
図3
図4
図5
図6