(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
触媒がフッ素化アルミナ、フッ素化クロミア(chromia)、フッ素化活性炭またはグラファイトカーボンの中から選択される担体上に担持されている請求項5に記載の方法。
触媒がフッ素化アルミナ、フッ素化クロミア(chromia)、フッ素化活性炭またはグラファイトカーボンの中から選択される担体上に担持されている請求項8に記載の方法。
1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンが異性体1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンを40モル%以下まで含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
具体例は以下である。
(1)上記段階(b)が下記(i)〜(iii)を含む:
(i)2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−l−プロペン(1233xf)をフッ素化触媒の存在下で、反応混合物を得るのに十分な条件下に、フッ化水素HEと気相で接触させ、
(ii)上記反応混合物をHC1と2,2,2,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)とから成る第の流と、HFと、未反応の2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−l−プロペン(1233xf)と、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)とから成る第2流とに分離し、
(iii)上記第2流れの少なくとも一部を段階(i)の少なくとも一部へ再循環する。
【0012】
(2)第1流をHClと2,2,2,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)にさらに分離する、好ましくは蒸留段階で分離する。
【0013】
(3)上記段階(b)が下記(i)〜(iv)を含む:
(i)2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233xf)を、反応混合物を得るのに十分な条件下で、フッ素化触媒の存在下で気相でフッ化水素HFと接触させ、
(ii)反応混合物をHC1とフッ素化製品を含む流れとに分離し、
(iii)フッ素化製品を含む上記流れを2,2,2,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)から成る第1流と、HFと、未反応の2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(1233xf)と、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(245cb)とから成る第2流とに分離し、
(iv)第2流の少なくとも一部を段階(i)の少なくとも一部へ再循環する。
【0014】
(4)段階(b)をNi−Crから成る触媒、好ましくは担持触媒の存在下で実行する。
(5)触媒がフッ素化アルミナ、フッ素化クロミア(chromia)、フッ素化活性炭またはグラファイトカーボンの中から選択される担体上に担持されている。
【0015】
(6)段階(a)を液相で実行する。
(7)段階(a)を有機媒体中で実行する。
【0016】
(8)上記方法を溶剤中で実行する。この溶剤を1,2−ジクロロエタン、1,2,3−トリクロロプロパン、1−クロル−1−フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジクロロエタン、1,3−ジクロロ−1−フルオロブタン、テトラクロロフルオロプロパン異性体、トリクロロジフルオロプロパン異性体、ジクロロトリフルオロプロパン異性体、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,2−トリクロロ−2,2−ジフルオロエタン、ニトロメタンとニトロベンゼンを含むニトレート化溶剤、スルホランおよびジメチル・スルホンを含むスルホン、1,1,2−トリクロロ−2−フルオロエタン、テトラクロロエチレンまたはこれらの混合物の中から選択し、好ましくは1,1,2−トリクロロ−2,2−ジフルオロエタンにする。
【0017】
(9)触媒をイオン性液体にする。
(10)反応生成物を気体の状態で取り出す。
【0018】
(11)上記方法は下記(i)と(ii)の段階を含む:
(i)1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンまたは/および1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンを、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンから成る反応混合物を形成するのに充分な条件下で、有機媒体中で液相でフッ化水素と接触させ、
(ii)反応混合物をHC1から成る第1流と、HFと2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとから成る第2流とに分離する。
【0019】
(12)段階(a)を気相で実行する。
(13)上記方法を酸素の存在下で実行する。
【0020】
(14)段階(a)をNi−Crから成る触媒、好ましくは担持触媒の存在下で実行する。この触媒はフッ素化アルミナ、フッ素化クロミア(chromia)、フッ素化活性炭またはグラファイトカーボンの中から選択される担体上に担持されている。
【0021】
(15)段階(b)の温度を段階(a)の温度より少なくとも30℃高くする。
(16)1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンが異性体1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンを40モル%以下まで含む。
(17)上記方法は連続法である。
【0022】
本発明はさらに、上記の本発明方法の上記段階で得られる製品、特に主として1234yfと、不純物および/または未反応の出発材料および/または共生成物とを含む混合物にある。
【0023】
1233xfを気相反応で1234yfにする。
1234yfの上記製造方法の第2段階は、前段階で得られた2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロピレン(1233xf)をフッ素化反応で所望する製品の2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンにする段階である。
【0024】
これら2つの段階は連続して実行でき、または、1233xfを中間貯蔵する不連続方法で実行できる。第2段階はHFの存在下で気相でフッ素化触媒上で直接実施できる。この気相反応はフッ素化触媒の存在下で実行される。反応は単一の気相反応装置で実行される。温度、圧力および接触時間は当業者が簡単に決定できる。以下に典型的な条件を示す。
【0025】
所望の製品の転化率および選択率のレベルはプロセス条件に従って変化する。触媒は固定床または流動床、好ましくは固定床のような任意の適切な形にすることができる。流れ方向は下流方向でも上昇方向でもよい。
【0026】
触媒は例えば遷移金属酸化物またはこの種の金属の誘導体またはハロゲン化物またはオキシハロゲン化物をベースにした金属触媒である。触媒は例えばFeC1
3、クロムオキシフルオライド、酸化クロム(必要に応じてフッ素化処理されていてもよい)、フックロムおよびこれらの混合物である。他の触媒としては炭素に担持された触媒、アンチモンベロスの触媒、アルミニウムベースの触媒(A1F
3およびAl
2O
3およびアルミナのオキシフルオライドおよびフッ化アルミニウム等)である。一般に使用可能な触媒はクロムオキシフルオライド(フッ化アルミニウムおよびオキシフルオライド)と、Cr、Ni、Fe、Zn、Ti、V、Zr、Mo、Ge、Sn、Pb、Mg、Sbのような金属を含む担持または非担持の触媒である。特許文献3の第7頁、第1〜5行目および第28〜32行目、特許文献4のパラグラフ[0022]、特許文献5の第9頁、第22行目〜第10頁第34行目、特許文献6のクレーム1を参照することができる。これらの内容は本目の一部を成す。
【特許文献3】国際公開特許公開第WO2007/079431号公報
【特許文献4】欧州特許第EP−A−939071号公報
【特許文献5】国際公開特許公開第WO2008/054781号公報
【特許文献6】国際公開特許公開第WO2008/040969号公報
【0027】
触媒は使用前に賦活する。典型的には特許文献7に記載のような高圧力下(一般には気相法で使用する圧力は約10バール以上の圧力)でHFで賦活する。この特許の内容は本願明細書の一部を成す。他の任意の適切な条件も適している。
【特許文献7】米国特許第US−A−7485598号明細書
【0028】
好ましい実施例では特定の触媒を使用する。この触媒クロムとニッケルを含む混合触媒である。金属元素に対するCr:Niのモル比は一般に0.5〜5の間、例えば0.7と2の間、ほぼ1に近い。触媒は重量で0.5〜20%のクロムと、0.5〜20%のニッケルとを含むことができ、好ましくは各金属が2〜10%の間である。
【0029】
金属は、金属の形をしいるか、その酸化物、ハロゲン化物またはオキシハロゲン化物を含む誘導体の形にすることができる。ハロゲン化物およびハロゲン化物オキサイドを含む上記誘導体は触媒金属の賦活によって得られる。金属の賦活は必要ではないが、好ましい。
【0030】
担体はアルミニウムから成るのが好ましい。アルミナ、活性アルミナまたはアルミニウム誘導体等のいくつかの担体も可能である。これらの誘導体は例えば特許文献8に記載のようなアルミニウムのハロゲン化物、アルミニウムのハロゲン化酸化物を含み、また、後記の賦活方法で得ることができる。
【特許文献8】米国特許第US−P−4902838号明細書
【0031】
触媒は活性化された形または非活性化状態の担体上の賦活した、または、賦活していないクロムおよびニッケルを含むことができる。特許文献9に記載の触媒、特に、その第4頁第30行目〜第7頁第16行に記載の触媒を参照できる。このとの内容は本明細書の一部を成す。
【特許文献9】国際特許公開第W02009/118628号公報
【0032】
賦活段階はフッ素化物、一般にはHFを用いて実行できるということは公知である。本発明方法のこの段階およびその全プロセスは連続運転で行うのが好ましい。
【0033】
1233xfのフッ素化プロセスには、1233xfを1234yfおよび245cbを含むフッ素化製品に変換するのに十分な条件下で、1233xfとHFとを気相で反応帯域で接触させることが含まれる。その条件は以下で記載する。また、未反応の1233xfと、マイナーな量で存在する他の副生成物の下位フッ素化中間体は反応装置に再循環する。この再循環流には蒸留段階で分離された反応流中の重質留分も含まれる。
【0034】
この段階は一般にHF:1233xfのモル比を3:1から150:1、好ましくは4:1から70:1、より好ましくは5:1〜50:1にして実行される。この段階は一般に1〜20バール、好ましくは5〜15バール、より好ましくは7〜10バールの圧力で実行される。また、この段階は一般に200〜450℃、好ましくは300〜430℃、より好ましくは320〜420℃の温度で実行される。反応装置のベッドの温度は実質的に均一にするか、流れ方向に沿って調節でき、流れ方向に沿って減少または増加させることができる。
【0035】
接触時間(運転圧および温度に合わせて、触媒容積を反応物および同フィード物の合計流速で割ったもの)は一般に6〜100秒、好ましくは10〜80秒、より好ましくは15〜50秒である。触媒寿命を延すために酸素の共フィード物または塩素の共フィード物を用いることができ、その量は1233xaに対して一般に0.05〜15モル%、好ましくは0.5〜20モル%の酸素または塩素である。酸素は空気のような酸素−含有ガス、純酸素または酸素/窒素混合気として導入できる。塩素は純粋塩素のような塩素−含有ガスまたは塩素/窒素混合気として導入でできる。
【0036】
各反応物は反応装置の同じ位置、異なる位置または反応装置に沿った所定位置でのフィードを使用して供給できる。好ましいフィードシステムは反応装置の底部にガス状反応物を吹き込むことである。再循環は反応装置の入口または反応装置の中間段階に行うことができ、好ましくは反応装置の入口に行う。
【0037】
本発明の他の具体例では、気相反応装置を出た反応流の一部を、第1の軽質流と第2の重質流とに分離する前に、反応装置に再循環できる。再循環比は0.7程度にすることができる。この再循環で非常に反応性のある233xfを希釈して、重合を避けることができる。
【0038】
この段階は[
図1]または[
図2]に示す装置で実行できる。[
図1]は本発明の一実施例で実行されるプロセスを表し、気相反応装置には1233xfとHFとが供給される。反応装置を出る反応混合物はHC1と、未反応1233xfと、未反応HFと、1234yf、245cbと、マイナー量の244bbとから成る。この反応流は蒸留によってHC1と、1234yf(少量のHFと共沸混合物を形成している)とから成る第1流(軽質産物)と、マイナー量の245cbおよび1233xfとに分離される。蒸留塔の底部で得られる第2流(重質産物)はHFと、1233xfと、245cbと、マイナー量の244bbとから成る。HClと、1234yf(HFと一緒)と、マイナー量の他の製品とを含む軽質フラクションは再度蒸留される。その頂部流はHC1から成り、その底部流は1234yfとHFとから成り、これは適当な公知の方法を使用して再び分離できる。公知方法の中ではデカンテーションが使用でき、そこでHFリッチな流れを作って気相反応装置へ再循環できる。デカンターを出た流れは水洗およびガス洗浄および蒸留を含む公知方法に従って処理される。
【0039】
[
図2]は他の具体化を表す。この場合には有機フッ素化製品の蒸留をする前に、最初の段階でHC1を除去する。気相反応装置には1233xfとHFとが供給される。反応装置を出た反応混合物は1233xfと、未反応HClと、未反応HFと、1234yfと、245cbと、マイナー量の244bbとから成る。この反応流は第1蒸留塔でHC1を主として含む流れと、その他の製品を含む他の流れとに分離される。この他の流れは蒸留によって1234yf(少量のHFと一緒に共沸混合物を形成している)と、マイナー量の245cbおよび1233xfから成る第1流(軽質産物)とに分離される。蒸留塔の底部で得られる第2流(重質産物)はHFと、1233xfと、245cbと、マイナー量の244bbとから成る。第2の蒸留塔の頂部からは1234yf(HFと一緒)と、マイナー量の他の製品とを含む軽質フラクションとが得られる。この頂部流は公知の適当な方法を使用して再び分離できる。公知方法の中でデカンテーションを用いることで、HFリッチ流を作って、それを気相反応装置へ再循環できる。デカンターを出た流れは水洗およびガス洗浄および蒸留を含む公知の方法に従って処理される。
【0040】
段階(a)と(b)の圧力を同にする必要はない。第2の反応装置の圧力は第1の反応装置の圧力以下にしてユニットのポンプに関するゲインを得るのが好ましい。他のプロセス条件も段階(a)と(b)で同じにする必要はない。
【0041】
240の液相反応による1233xfの製造
本発明は、240db/240aaを液相フッ素化することで1233xfにすることができ、そのプロセス条件は所望製品へ実質的な選択性を有するように反応を実施できるように選択できるという発見に基づいている。
【0042】
本発明の好ましい実施例では、液相プロセスは有機相で実行される。1233xfへの反応はHF相より有機相を使用することによって有利に進む。上記の従来例では実質的にHFから成る反応混合物(従って酸性相)が開示されている。この酸性相では飽和した製品だけが製造される。驚くことに、本発明者は1233xfへのフッ素化を可能にする条件が存在するということを発見した。特に、(出発材料の240および/または溶剤から成る)有機相で反応を実行した時に1233xfが形成できる。初期媒体にHFを加えた場合にはそれが反応するため媒体中に残らない。HFの量(または濃度)は他の製品と比較して余りにも少ない。
【0043】
「有機相」という用語は触媒と、出発材料と、必要に応じて用いる溶剤とから成り、HFは実質的に含まない反応相と定義できる。「有機相」で実行されるプロセスとは、従来方法とは対照的に、初期材料中にHFを含まないプロセスを意味する。
【0044】
特定の操作条件であるので、ガス状の1233xfは重合反応を低レベルに維持して、気相で反応装置から除去できる。
240db/240aaの1233xfへの液相フッ素化は触媒の存在下で実行される。
【0045】
反応は液状の溶媒中で実行でき、反応帯域に開始時に有機(出発材料)の出発量および/または必要な量の溶剤を供給するか、この量の溶剤(可能な場合には材料と混合して)を連続的に供給する。溶剤中で実施する場合には、溶剤を最初に入れるのが好ましく、必要に応じて溶剤を注入して量を調節することができる。
【0046】
反応条件(特に圧力)は、反応物が液体となるような条件である。一つの実施例では反応生成物がガスで、反応物は液体である。反応生成物がガスであるという事実から、反応帯域の出口で気相でそれを回収できる。中間生成物、特に化合物242(トリクロロジフルオロプロパン)はガス流でストリップで除去できる場合でも反応条件下で液体であるのが好ましい。
【0047】
本発明ではこの段階は特に2バール以上の圧力下で実行される。この圧力は4〜50バールの間、有利には5〜25バールの間にある。例えば、反応は30℃〜200℃の間、好ましくは40℃〜170℃の間、有利には50℃〜150℃の温度で実行できる。
【0048】
HF:出発化合物のモル比は一般に0.5:1〜50:1の間、好ましくは3:1〜20:1の間である。5:1の値を有利に使うことができる。加えるHFの量は反応(3)の化学量論量に、通常は共沸混合物である流出物(HFと有機溶剤)中に存在するHFの量を加えた量に対応する。
【0049】
他の反応条件(特に流速)は通常の一般的な知識に従って、温度、圧力、触媒、反応物比等に従って、当業者が決定できる。得られる主製品が1233xfとなる(中間生成物のない)ように、更なるフッ素化反応を避けるように注意する。
【0050】
溶剤(使用する場合)は反応条件下で非活性な有機溶剤である。この溶剤は付加反応を避けるために、一般に飽和した、好ましくはC2〜C6の溶剤であるのが有利である。この溶剤は例えば特許文献10に記載されている。
【特許文献10】フランス特許第FR2733227号公報
【0051】
この溶剤は例えば40℃以上、有利には50℃以上、より好ましくは60℃以上の沸点(大気圧下)を有するのが有利である。反応温度が高くなると圧力もより高くし、反応条件下での溶剤の沸点が反応を実施する温度より高くする。
【0052】
溶剤としては特に塩素およびフッ素の中から選択されるハロゲンで少なくとも2つの原子を置換したエタン、プロパンまたはブタンの飽和化合物またはその混合物を挙げることができる。例としては1,2−ジクロロエタン、l,23−トリクロロプロパン、1−クロロ−1−フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジクロロエタン、1,3−ジクロロ−l−フルオロブタン、テトラクロロフルオロプロパン異性体、トリクロロジフルオロプロパン異性体、ジクロロトリフルオロプロパン異性体、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,2−トリクロロ−2,2−ジフルオロエタンまたはこれらの混合物が挙げられる。ニトロメタンまたはニトロベンゼンのようなニトロ化溶剤およびテトラメチレンスルホン(スルホランとして公知)のようなスルホランまたはジメチルのスルホンを使用できる。好ましい溶剤は1,1,2−トリクロロ−2,2−ジフルオロエタン(F122)である。また、反応生成物が非反応溶剤である限り、反応性溶剤も使用できる。例えばF122の先駆体すなわちF121(CC1
2F−CHC1、1,1,2−トリクロロ−2−フルオロエタンまたはテトラクロロエチレン)を使用できる。
【0053】
溶剤は少なくとも20%、好ましくは20%〜80%の間、有利には40%〜60%の間の希釈率の量で存在できる。反応は触媒作用で起こる。触媒は液相で当業者に公知のフッ素化触媒にすることができる。
【0054】
ルイス酸、ハロゲン化金属を含む触媒、アンチモン、錫、タンタル、チタン、遷移金属、特にモリブデン、ニオブ、ハロゲン化鉄、セシウムのような遷移金属のハロゲン化物を含むハロゲン化金属、遷移金属のオキサイド、IVb族金属のハロゲン化物、Vb族金属のハロゲン化物、ハロゲン化フッ素化クロム、フッ素化酸化クロムまたはその両方の混合物を使用できる。金属塩化物およびフッ化物を有利に使用できる。この種の触媒の例にはSbC1
5、SbC1
3、TiC1
4、SnC1
4、TaCl
5、NbC1
5、TiC1
4、FeC1
3、MoC1
6、CsClおよびこれらの対応フッ素化誘導体が含まれる。5価のハロゲン化金属が適している。
【0055】
イオン性液体を含む触媒を使用するのが有利である。このイオン性液体は液相でのHFによるフッ素化に特に重要である。イオン性液体は特許文献11(特にその第4頁第1行目〜第6頁第15行)、本出願人の特許文献12および非特許文献1に記載されている。
【特許文献11】国際特許公開第W02008/149011号公報
【特許文献12】国際特許公開第W001/81353号公報
【非特許文献1】"Liquid-phase HF Fluorination",Multiphase Homogeneous Catalysis, Ed., Wiley-VCH (2002) 535
【0056】
種々の触媒/有機物(溶剤を含む)比で運転できるが、このモル比は一般に2モル%〜90モル%の間、好ましくは4モル%〜80モル%の間、より好ましくは6モル%〜75モル%の間であるのが好ましい。
【0057】
出発材料は実質的に純粋な240dbおよび/または実質的に純粋な240aaにするか、これら2つの混合物にすることができる。一つの実施例では、出発材料は実質的に純粋な240dbである。他の具体化では出発材料は典型的な240dbのフィードすなわち240aa異性体を40%まで、典型的には最高で20%含むものである。
【0058】
触媒寿命を延ばすために塩素流を用いることができ、その量は出発化合物の240db/240aaの1モル当たり一般に0.05〜20モル%、好ましくは0.5〜15モル%である。塩素は純粋のままか、希ガス、例えば窒素と一緒に混合して導入できる。イオン性触媒を使用することで塩素の量を使用量にすることができる。
【0059】
必要に応じて材料の安定剤を使うことができる、その使用量は一般に5〜1000ppm、好ましくは10〜500ppmである。この安定剤は一般に重合禁止剤である。
【0060】
反応物の製品をその移動を可能にする軽質ガスを用いて機械的エントレインメントによってストリップすることもできる。液相反応装置から1233xfのガスを除去することで重合反応と副反応(1233xfの二重結合への付加)を低レベルに維持できる(媒体中の重合性材料の量が低下するため)。ガス状化合物の添加は反応に有利であり、例えば攪拌(バブリング)を良くする上でも好ましい。
【0061】
このガスは窒素またはヘリウム等の不活性ガスにするか、HC1ガスにするのも好ましい。HC1を使用した時には、反応生成物であるHC1の媒体中に添加しても反応は進む。
【0062】
この添加ガスは無水の塩化水素であるのが有利である。ストリッピングガス流は操作条件に従って決定される。例えば出発材料の流れと比較して、HC1流はHC1:出発材料のモル比が0.5:1〜5:1の間、有利には1:1〜3:1の間となるようにする。
【0063】
本発明の液相でのフッ素化プロセスは連続的または半連続的に実行できる。好ましい実施例ではプロセスは連続で行う。
【0064】
反応物(出発材料およびHF)および反応で使用するその他の化合物(塩素、無水HC1)は同じ場所または反応装置の異なる場所から反応装置へ供給される。本発明の好ましい実施例では機械的なストリッピングと混合を改良するためにガスの化合物を反応装置の底部から注入する。
【0065】
再循環を行う場合には、直接反応装置の入口へ再循環するか、分離したディップ・パイプに再循環することができる。
【0066】
[
図4]は本発明方法の概念図で、液相反応用の反応装置(図示していない触媒ストリップ塔を備えている)には触媒と、ペンタクロロプロパンと、必要に応じて用いる溶剤とが入れられ、それからペンタクロロプロパンと、HFとが連続的に供給される。無水HC1流も注入できる。
【0067】
反応帯域から抜き出した流れはガスの形をしており、主として1233xf、HCl、HF、ストリップされた痕跡量の溶剤122(使用した場合)および242の異性体と、場合によっては243(ジクロロトリフルオロプロパン)、特に243db(1,1,1−トリフルオロ−2,3−ジクロロプロパン)とを含むその他の副産物とから成る。この流れはHC1の蒸留塔に送られる。HC1流はこのカラムの頂部から抜き出され、カラム底部からは1233xfと、242と、HFと、痕跡量の122および243dbとを含む流れが抜き出される。この底部流は一般に30〜70モル%の1233xfと、30〜70モル%のHFと、マイナー量、一般には10モル%以下、好ましくは5モル%以下の242、243系列の化合物(特に243db)とから成る。この流れはデカンテーションによる分離段階へ送られる。このデカンテーションで2つの流れに分離され、その第1流はHFと、可溶性有機物と、溶剤(使用した場合)とから成る。このHFがリッチな流れはフッ素化反応へ返される。第2流は1233xfと、242と、残ったHFと、痕跡量の122および243dbから成る。この流れは蒸留塔へ送られ、そこで分離される。底部で回収される痕跡量の122および243dbはフッ素化反応装置へ返される。
【0068】
242製品(一般には240系列の高級飽和フッ素化物)は中間化合物であるので増やさない。HFと1233xfとを含む流れは頂部で抜き出す。この頂部流は更に分離するか、次の段階へ直接送ることができる。242異性体および/または243dbは本発明プロセス中で再循環できる。
【0069】
液相反応装置の底部から重質分を含む流を抜き出す。この重質分はC
6F
6H
2Cl
2タイプのオリゴマーから成ると考えられるが、これに拘束されるものではない。フッ素化反応装置の底部流は重質分の蓄積を避けるような周期と流れでパージされる(流れ、頻度として定義されるパージ比率は当業者が簡単に決定できる)。この流れは重質分の回収カラムで処理され、このカラムの底部から除去される。HFと、122と、242異性体と、243dbとを含むカラム頂部流は回収され、この流れはフッ素化反応装置へ再循環される。
【0070】
240の気相反応による1233xfの製造
本発明は、240db(および/または240aa)は気相での触媒フッ素化で1233xfにすることができるという発見に基づいている。本発明実施例では、酸素を240と一緒に共供給(cofed)した時には、改良された触媒寿命で反応が実行できるようにプロセス条件を選択することができる。本発明で使われる触媒は例えば上記の段階(b)で開示の触媒と同じタイプにすることができる。
【0071】
本発明のフッ素化プロセスは240dbを主として1233xfから成るフッ素化製品へ変換するのに十分な条件下で、反応帯域中で気相で240dbをHFと接触させる段階を含む。本発明のこのプロセスは一般にHF:240のモル比を3:1から150:1、好ましくは4:1から70:1、より好ましくは5:1から50:1にして実行される。
【0072】
本発明のこのプロセスは一般に、1〜20バール、好ましくは3〜15バール、より好ましくは5〜10バールの圧力で実行される。本発明のこのプロセスは一般に200〜450℃、好ましくは300〜430℃、より好ましくは320〜420℃の温度で実行される。ベッドの温度は反応装置が実質的に均一になるか、流れ方向に沿って減少または増加するように流路に沿って調節することができる。
【0073】
この段階(a)の温度は一般に段階(b)の温度以下、好ましくは少なくとも30℃だけ以下にする。接触時間(触媒容積を運転圧および温度に合わせた反応物と共フィード物の合計流速で割った値)は一般に6〜100秒、好ましくは10〜80秒、より好ましくは15〜50秒である。
【0074】
触媒寿命を延すために酸素共フィードを用いる。ペンタクロロプロパンの1分子当たり酸素または塩素の量を一般に0.05〜15モル%、好ましくは0.5〜10モル%にする。酸素は空気のような酸素含有ガス、純酸素または酸素/窒素混合気として供給できる。共供給(cofed)される酸素の代わりに共供給される塩素を用いることもできる(同じ操作条件で)。
【0075】
各反応物は反応装置へ同じ位置、異なる位置または反応装置に沿って配置された各位置で段階的に供給することができる。好ましい供給システムは反応装置の底部へガス状反応物を吹き込む方法である。再循環は反応装置の入口または反応装置の中間段階に行うことができ、好ましくは反応装置の入口に行う。反応装置を出た流れの一部を再循環することもできる。
【0076】
触媒寿命を延すために本発明プロセスの任意の段階で重合禁止剤を使うことができる。その量は一般に約50〜1000ppm、好ましくは100〜500ppmである。重合禁止剤はp−メトキシフェノール、t−アミルフェノール、リモネン、d,l−リモネン、キノン類、ヒドロキノン誘導体、エポキシド、アミンおよびこれらの混合物にすることができる。好ましい重合禁止剤はp−メトキシフェノールまたはt−アミルフェノールである。重合禁止剤を低レベルで共供給することでクロロオレフィンの重合を制御でき、特許文献13に記載のように触媒寿命を延すことができる(このとの内容は本明細書の一部を成す)。
【特許文献13】米国特許第US5714651号明細書
【0077】
最終生成物および中間生成物は当業者に公知の任意の手段、例えばガス洗浄、水洗、抽出、デカンテーション、好ましくは蒸留によって容易に回収できる。各流れは蒸留によって更に精製できる。
【0078】
反応はハロゲンを含む反応に専用の反応装置で実行される。この種の反応装置は当業者に公知で、ライニング、例えば、Hastelloy(登録商標)、Inconel(登録商標)、Monel(登録商標)またはフルオロポリマーをベースにした反応装置にすることができる。反応装置は必要に応じて熱交換手段を有するすることができる。
【0079】
特に断らない限り、百分比はモル%である。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0080】
この実施例は1233xfから出発して1234yfを製造する。以下の実施例では下記のようにして得られるNi−Cr/A1F
3触媒を使用する。使用する触媒はアルミナフッ化物に担持したNi/Crの原子比が1のニッケル/クロム混合触媒で、ニッケルと無水クロム酸(CrO
3)の溶液を含浸させて製造される。含浸および乾燥後、固形物をフッ化水素酸と窒素の混合物の存在下で320℃〜390℃の間の温度で処理する(窒素中の酸の濃度は5〜10容積%)。触媒床は反応装置の下端に溶接した格子上に配置される。反応装置の3つの位置で触媒床に沿って温度を測定した。
【0081】
実施例1
1233xfのフッ素化
反応装置に150mlの触媒Ni−Cr/A1F
3を入れる。反応装置にHFを16.4g/時で、1233xfを4.1グラム/時で供給する。反応温度は352℃、大気圧である。HF/1233xfのモル比は26.9、接触時間は4.9秒である。変換率は10.3%である。選択率(一つの製品の量を全ての反応製品で割ったもの、これは1233xfを含まないことを意味する)は1234yfで71.4%、245cbで22.7%である。検出された他のマイナーな化合物は244bb、1234zeおよび245faである(出口ガス流は89.13のモル%の1233xf、7.75モル%の1234yf、2.47モル%の245cbおよび0.65モル%のその他化合物を含む)。
【0082】
実施例2〜6
1233xfのフッ素化反応を実施例1に従って実行したHF流および1233xf流のHF/1233xfモル比が5の近くなるように接触時間を変えて9.5、18.8、26.7、37.9および39秒にした。主として得られた製品は1234yfと245cbである(1233xfを除いて、完全に変換されていない)。1234yfおよび245cbのモル組成を[表1]にまとめた。
【0083】
【表1】
【0084】
実施例7
1233xfのフッ素化反応を実施例1に従って実行した。60m1反応装置に60m1の触媒を入れた。フィードに245cbを加えた。245cbの流速は2.1g/時、1233xfの流速は4.5g/時、HF流の流速16.2g/時である。従って、100モルの1233xfに対して47モルの245cbを使用した。HF/1233xfのモル比は24.5で、接触時間は4.8秒である。触媒寿命を延ばすために空気を連続的に加えた。導入した酸素の量はO
2/(1233xf+245cbのモル比で表して0.5%に等しい。出口ガスのモル組成をガスクロマトグラフで分析した:1233xf:60.6%、1234yf:26.6%、245cb:12.4%、他の不純物(1233xf:89.08モル、1234yf:39.07モル、245cb:18.17モル、その他:0.72モル)。
【0085】
この実施例では液相で240から出発して1233xfを製造する。使用した装置は[
図3]に記載のもので、磁気攪拌機を備えたジャケット付きの1リットル容積のステンレス鋼316Lで作られたオートクレーブから成る。さらに圧力計と温度計とを備えている。反応物の導入および脱気はオートクレーブの頂部の孔からでき、頂部には圧力制御弁と凝縮器とを有する。凝縮器の温度は独立したサーモスタット浴を使用して制御した。
【0086】
反応中に反応生成物を連続的に抜き取ってスクラバーを入れ、水素酸HFおよびHClを回収し、液体窒素中にコールドトラップした。スクラバーの重量変化およびトラップの増加から質量収支を計算できる。
【0087】
反応期間の終わりに、反応媒体を脱気して残留HFを排気する。この脱気中に同時に抜出されるであろう有機物を、HFとHC1をガス流から除去するために常にスクラバーを通した後に、トラップする。最後の段階にオートクレーブを開き、排出し、触媒を加水分解および塩酸溶液で抽出した後に、有機相のサンプルを分析する。
【0088】
次いで、液体サンプルを気相クロマトグラフィで分析した。クロマトグラフィ分析はカラムCP Sil8(寸法50m・0.32mm・5μm)を使用して実行した。炉の温度は40℃で10分間、それから4℃/分の勾配で200℃になるようにプログラミングした。xiを材料の初期モル量、xfを材料の全モル利卯とすると、転化率(%)は(xi−xf)/xi*100になる。生成物の選択性はこの生成物の回収されたモル量と反応した生成物のモル量の合計と比から計算される。
【0089】
実施例8、9
0.5モルの240dbまたは1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンと、0.2モルの触媒(0.2モルのエチルメチルイミダゾリウムクロライドと、0.4モルのSbC1
5とを組合せて、0.2モルのフッ素化錯体触媒emim
+Sb
2F
11-emimclにしたもの)をオートクレーブに導入した。一つの実施例では、溶剤として151gのF122または1,1,2−トリクロロ−2,2−ジクロロエタンをオートクレーブに加えた。次いで、HFを1モル/時の定常流で5時間、連続的に加えた。温度は133℃で、絶対圧は9バールである。凝縮器は常に90℃に設定した。両方の実施例で、攪拌と生成物のストリッピングを助けるために、HC1をオートクレーブに流した。240dbに対するHC1のモル比は2:1に近い。
【0090】
【表2】
【0091】
1233xfが相当な量製造されたことが分かる。これは酸性媒体ではなくむしろ有機媒体中で得られた。
【0092】
実施例10、11
上記と同じ装置を使用した。0.5モルの材料サンプル(240dbまたは10%の240aaを含む240db)、0.2モルの触媒(0.2モルのエチルメチルイミダゾリウムクロライドと、0.4モルのSbC1
5とを組み合わせたもの、0.2モルのフッ素化錯体触媒emim
+Sb
2F
11-emimclともよばれる)と、2モルのF122とをオートクレーブに導入する。次いで、HFを1モル/時の定常流で5時間、連続的に加える。温度は135℃、絶対圧は9バールである。凝縮器の設定点は常に90℃にした。両方の実施例で、攪拌と生成を助けるために、ヘリウム流をオートクレーブに流した。ヘリウムの流速は5リットル/時である。
【0093】
【表3】
【0094】
これらの実施例は気相で240から出発して1233xfを製造したものである。使用した装置は、管状オーブンで囲まれたINCONEL(登録商標)合金600から成る内径が19mmの管型反応装置で、圧力計および温度調節装置を備えている。反応物は加熱器で予め蒸発させて気相にして反応装置の頂部から導入した。反応装置の出口で反応生成物のサンプルを採り、プレカラムで洗浄し、低極性キャピラリーカラムを備えた気相クロマトグラフィでオンライン分析した。クロマトグラフィ分析は上記と同様に実行した。
【0095】
実施例12
240db(1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン)のフッ素化を、A1F
3に担持させた79.4cm
3のNi−Cr触媒を用いて上記反応装置で実行した。使用した装置は実施例1と同じものである。
反応装置には無水のHFを15g/時で、また、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを4.5g/時で、86時間、大気圧下に連続的に供給した。接触時間は7.4秒で、240に対するHFのモル比は36である。反応温度は340℃で、240dbに対する酸素の量は約4モル%である。結果は[表4]に示した。
【0096】
実施例13
65.9%の240dbまたは1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンと、34.9%240aaまたはl,1223−ペンタクロロプロパンとの混合物のフッ素化を実施例1に記載の方法で実行した。反応装置には無水のHFを16g/時、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンを5.1g/時で、大気圧で連続的に供給した。接触時間は6.9秒、モル比は34である。反応温度は340℃からであり、酸素の量は1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパンおよび1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンの全モル数に対して約4モル%である。結果は[表4]に示した。
【0097】
実施例14、15
[表4]に記載の異なる温度で実施例13を繰り返した。
【0098】
【表4】