【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の対象は、産業車両の運転室のホワイトボディに固定するのに適した計器パネルフレームであり、前記ホワイトボディは、前記運転室の下側前方部を画成するダッシュボード構造を備え、前記ダッシュボード構造は、少なくとも2つの主要開口部を有し、前記計器パネルフレームは、少なくとも2つの支持部材と連結部材とを備え、各支持部材は、前記産業車両の少なくとも一つのサブセットを支持するのに適している、計器パネルフレームであって、
−各支持部材は、前記連結部材に取り付けられ、
−各支持部材は、前記ダッシュボード構造の各固定エリアと組み合うように設計された固定接合面を有し、前記各固定エリアは、前記主要開口部のそれぞれ一つ少なくとも一部を囲み、
−前記計器パネルフレームを前記ダッシュボード構造に固定可能にするために、各固定接合面が各固定エリアと組み合うように、前記支持部材及び前記連結部材が配置される、計器パネルフレームである。
【0010】
本特許出願全体において、「産業車両」とは、例えば、トレーラ、セミトレーラ又は配達用トラックを輸送するトラックなど、重い荷物や重量物を輸送するのに適した車両を指す。
【0011】
運転室の「ホワイトボディ」は、その運転室の未加工の車体構造としても知られている。
【0012】
「ダッシュボード構造」は、ホワイトボディの接合パネルとしても知られている。ダッシュボード構造は、運転室のホワイトボディの正面に配置される。運転室が車両シャシフレームに搭載された状態のとき及び産業車両の車輪が水平面に配置された状態のとき、ダッシュボード構造は、略垂直方向に配置されている。
【0013】
「主要開口部」とは、ダッシュボード構造に形成される円形、矩形、台形又はその他の形状を有する開口部を指す。主要開口部は、少なくともワイヤーハーネスをダッシュボード構造の中を通過させることができる十分な大きさである。基本的に、このような主要開口部の形状は、その開口部の最小寸法(直径、幅など)が150mmよりも大きく、好ましくは300mmよりも大きくなるサイズである。
【0014】
したがって、このような計器パネルフレームは、そのデザインを多くの異なる運転室の仕様へ適合を可能し、運転室の他のコンポーネントのデザイン変更を回避する。運転室の仕様には、例えば、運転室の幅、高さ、右又は左ハンドル、計器パネルフレームが支持するサブセットの種類が含まれる。実際には、単に連結部材に対する支持部材の位置を変更することによって、支持部材の配置を適応させることができる。
【0015】
さらに、このような計器パネルフレームは、運転室のホワイトボディに固定する以前における、計器パネルフレーム及びそれが支持するサブセットの迅速かつ容易な組み立てを可能にする。実際には、連結部材は、運転室の外側に支持部材及びそれが支持するサブセットを正しい位置に設置することを可能にする。支持部材が計器パネルフレームをホワイトボディに固定するので、連結部材をホワイトボディ、例えば前側ピラーに固定する必要はない。
【0016】
本特許出願全体において、「サブセット」とは、運転室又は産業車両に対して特定の機能を果たす構成部品又はパーツの一群を指す。
【0017】
本特許出願全体において、「取り付けられた」とは、2つのパーツが直接又は間接的に取り付けられていることを意味する。言い換えると、これらの2つのパーツは、0個(直接的に)、一つ以上(間接的に)の中間パーツを介して互いに取り付けられる。
【0018】
一実施形態では、各支持部材は、前記産業車両の少なくとも一つのサブセットを支持するのに適しており、前記産業車両の前記サブセットは、好ましくは、ステアリングコラム装置、制御ペダル装置、冷暖房空調設備装置(HVAC)、電子制御装置(ECU)又はエアバッグ装置の中から選択される。
【0019】
このように、前記支持部材は、前記産業車両の少なくとも2つのサブセットを支持することができるので、前記運転室の前記ホワイトボディに固定する以前における、計器パネルフレーム及びそれが支持するサブセットの迅速かつ容易な組み立てを可能にする。あるいは、一つの支持部材は、前記産業車両の少なくとも一つのサブセットを支持可能であって、もう一方の支持部材は、どの支持部材を支持しない。つまり、支持部材は、前記産業車両のサブセットを一つだけ支持することができる。
【0020】
他の実施形態では、各固定接合面は、前記主要開口部のそれぞれ一つを完全に囲むように設計され、各固定接合面は、好ましくは、前記主要開口部のそれぞれ一つの周辺部に取り付けられるように設計される。
【0021】
このように、各固定接合面により、前記計器パネルフレームを前記ダッシュボード構造に堅固に固定することができ、前記計器パネルフレームが、前記産業車両のかなり重いサブセットを支持可能となる。
【0022】
さらに他の実施形態では、前記計器パネルフレームは、前記支持部材間の距離を調整可能に各支持部材を前記連結部材に取り付けるための可動式ファスナを備えている。
【0023】
したがって、このような可動式ファスナは、前記計器パネルフレームの異なる運転室のデザインへの適合性を向上させる。
【0024】
他の実施形態では、前記連結部材は、好ましくは中空断面を有する外形を成すビームを備え、前記可動ファスナは、前記の外形を成すビームに沿ってスライドするように設計される。
【0025】
したがって、このような外形を成すビーム及び可動式ファスナは、前記支持部材間の距離を調整可能にし、前記計器パネルフレームの適合性及び迅速な組み立てを向上させる。
【0026】
前記の外形を成すビームは、その全長に沿って、好ましくは一直線に延びている。変形形態では、前記の外形を成すビームは、湾曲していてもよい。例えば、前記の外形を成すビームをその中央で湾曲させる一方、前記支持部材が取り付けられている両端部は、一直線にさらに延びていてもよい。前記中央部分も一直線にであってもよいが、その中央部分は、前記支持部材が取り付けられている前記両端部に対してオフセットした位置にある。
【0027】
一実施形態では、前記連結部材は、好ましくはその中央部分が、前記産業車両の少なくとも一つのサブセットを支持するように設計される。
【0028】
したがって、前記計器パネルフレームは、複数のサブセット、例えば前記連結部材に一つ及び各支持部材に一つずつ、計3つのサブセットを支持することができる。
【0029】
他の実施形態では、前記支持部材が前記主要開口部に対して置き換えできるように、前記固定接合面は同様の形状を有する。
【0030】
このように、前記支持部材の置き換えが可能であることで、前記計器パネルフレームデザインの多くの異なる運転室への適合性が向上する。実際には、各支持部材は、それが支持するサブセットに関係なく、ホワイトボディ上の左側又は右側のいずれに搭載してもよい。
【0031】
さらに他の実施形態では、各固定接合面は矩形を有する。
【0032】
したがって、このような固定接合面により、前記計器パネルフレームを前記ダッシュボード構造に堅固に固定することが可能となる。
【0033】
他の実施形態では、前記計器パネルフレームを前記ダッシュボード構造に固定した状態のとき、前記連結部材が各固定接合面から上方にオフセットした位置にあるように、前記支持部材及び前記連結部材が配置される。
【0034】
具体的には、各支持部材の前記上端から上方にオフセットした位置にあるのは前記連結部材の前記下端である。好ましくは、前記連結部材の前記下端と各支持部材の前記上端との間の上方へのオフセット距離は、50mmから200mmの範囲内にあり、より好ましくは75mmから110mmの範囲内である。
【0035】
本特許出願全体において、「上方」、「下方」、及び「上側」とは、前記計器パネルフレームが前記ダッシュボードに固定された状態、前記運転室が車両シャシフレームに搭載された状態のとき及び前記産業車両の車輪が水平面に配置された状態のときに下方から上方へ略垂直方向の方向を指す。
【0036】
前記上方へのオフセットにより、特に上方へのオフセット距離の最小値(50mm及び好ましくは75mm)により、前記連結部材は、前記運転室の内部へ延びる前記ステアリングコラムと干渉しない。さらに、前記運転室が犬小屋形状の凹部(米国の従来のトラック)又はエンジントンネルを有する場合、この上方へのオフセットにより、前記連結部材が犬小屋形状の凹部又はエンジントンネルと干渉しないようにする。
【0037】
前記の上方へのオフセット距離が、最大値(200mm及び好ましくは110mm)に満たない場合、前記計器パネルフレームの全体的なコンパクト性及び前記運転室内部での前記計器パネルフレームの統合性が向上されるように、前記連結部材を前記ステアリングコラムの間近に置くことができる。
【0038】
その上、前記連結部材のこのような配置は、前記計器パネルフレームデザインの多くの異なる運転室への適合性、特に犬小屋形状の凹部(米国の従来のトラック)を有する運転室への適合性を向上させる。
【0039】
さらに他の実施形態では、前記計器パネルフレームを前記ダッシュボード構造に固定した状態のとき、前記連結部材が各固定接合面から後方にオフセットした位置にあるように、前記支持部材及び前記連結部材が配置される。
【0040】
したがって、前記連結部材のこのようなオフセット配置は、前記計器パネルフレームデザインの多くの異なる運転室への適合性、特に湾曲したフロントガラス・フレームを有する運転室への適合性を向上させる。実際には、前記連結部材が各固定接合面より前記運転室内部に向かって延びている場合、前記計器パネルフレーム、特に連結部材は、フロントガラス・フレーム又はフロントガラスと干渉しない。
【0041】
本特許出願全体において、「後方」とは、前記産業車両の後方への移動方向に相当する長さ方向を指す。前記計器パネルフレームが前記ダッシュボードに及び前記運転室内部に固定された状態であるとき、「後方」とは、前記ダッシュボードから前記運転室内部に向かう方向に相当する。
【0042】
ある特定の実施形態では、前記連結部材と各固定接合面との間の後方へのオフセット距離は、100mmから600mmの範囲内にあり、好ましくは100mmから350mmの範囲内である。
【0043】
したがって、このような後方へのオフセット距離を前記運転室の寸法の大部分に適合させ、その結果、前記計器パネルフレーム、特に前記連結部材と、フロントガラス・フレーム又はフロントガラスとの干渉が回避される。推奨の範囲100mmから350mmにより、前記運転室内部での前記計器パネルフレームの全体的なコンパクト性及び統合性をより向上させることができる。
【0044】
他の実施形態では、ワイヤーハーネスが前記連結部材に沿ってその内部に延びている。
【0045】
このように、前記連結部材により、前記ワイヤーハーネスのガイド及び保護機能も実現できる。
【0046】
さらに他の実施形態では、前記計器パネルフレームは更に、前記連結部材と各支持部材との間にそれぞれ位置する少なくとも2つの取付けアームを備えており、各取付けアームは、各支持部材を前記連結部材に取り付けるよう配置され、各取付けアームは、各支持部材又は前記連結部材と一体である。
【0047】
したがって、これらの取付けアームの外形及び長さを変更することで、前記支持部材上に同じ固定接合面を保持しながら運転室の寸法のいかなる変更も十分に補うことができるので、このような取付けアームは、計器パネルフレームデザインの適合性を向上させる。
【0048】
いくつかの他の変形形態によると、
−前記支持部材及び前記連結部材は、金属製又はプラスチック製であってもよい。
−前記支持部材は、クリップ、フランジ、溶接、収縮もしくは熱収縮又は同等の手段によって前記連結部材に取り付けてもよい。
−前記支持部材は金属板であり、もしくは延伸金属板から成る。
−前記連結部材は、弾性を有していてもよい。
−また前記計器パネルフレームは、前記連結部材に例えばその両端に取り付けられた振動ダンパを有していてもよい。前記ダッシュボードパネルをこれらの振動ダンパに固定することもできる。
【0049】
また本発明は、産業車両用運転室に関する。前記運転室は、その下側前方部を画成するダッシュボード構造を含むホワイトボディを備え、前記ダッシュボード構造は、少なくとも2つの主要開口部を有する、産業車両用運転室であって、前記運転室は更に、先行するいずれかの請求項に記載の計器パネルフレームを備え、前記計器パネルフレームは、前記ダッシュボード構造に固定される、産業車両用運転室である。
【0050】
したがって、このような運転室は、迅速に組み立てることができる。
【0051】
任意の特徴であるが発明の効果に準じて、それら自体又は技術的に可能な組み合わせにおいて検討すると、
・前記連結部材が、前記運転室のフロアから前記運転室の内部に向かって延びかつ前記フロアに対し略垂直である方向に沿って、各支持部材からオフセットした位置にあるように、前記支持部材及び前記連結部材が配置される。前記運転室が前記車両シャシフレームに搭載された状態のとき及び前記産業車両の車輪が水平面に配置された状態のとき、前記運転室の前記フロアは、略水平な面である。
・前記連結部材と各支持部材との間の前記オフセット距離は、前記運転室の前記フロアに略垂直である前記方向に沿って、50mmから200mmの範囲内にあり、好ましくは75mmから110mmの範囲内である。言い換えると、前記運転室が前記車両シャシフレームに搭載された状態のとき及び前記産業車両の車輪が水平面に配置された状態のとき、このオフセット距離は、前記連結部材の前記下端と各支持部材の前記上端との間における略垂直方向で測定することができる。
・前記連結部材が、前記ダッシュボード構造から前記運転室内部に向かって延びかつ前記ダッシュボード構造に略垂直である方向に沿って、各固定接合面からオフセットした位置にあるように、前記支持部材及び前記連結部材が配置される。
・前記連結部材と各固定接合面との間のオフセット距離は、前記ダッシュボード構造に略垂直である前記方向に沿って、100mmから600mmの範囲内にあり、好ましくは100mmから350mmである。言い換えると、前記運転室が前記車両シャシフレームに搭載された状態のとき及び前記産業車両の車輪が水平面に配置された状態のとき、このオフセット距離は、前記連結部材と各固定接合面との間における略水平方向で測定することができる。
【0052】
また、本発明は、請求項15に記載の運転室の組み立て方法に関する。前記方法は、
a)仮設構造物上に、前記産業車両の少なくとも一つのサブセットを好ましくは装備している少なくとも2つの支持部材を吊るすステップと、
b)前記計器パネルフレームを形成するために、前記連結部材を前記支持部材に取り付けるステップと、
c)例えばダッシュボード構成部品及びダッシュボードパネルのような構成部品を前記計器パネルフレームに固定するステップと、
d)前記構成部品を装備している前記計器パネルフレームを前記仮設構造物から取り外すステップと、
e)前記固定接合面の各々がそれぞれの固定エリアと組み合うように、前記支持部材及び前記連結部材を配置するステップと、
f)前記計器パネルフレームを前記ホワイトボディのダッシュボード構造に固定するステップとを有する。
【0053】
したがって、このような方法により、前記運転室の迅速かつ容易な組み立てが可能となる。
【0054】
これら及び他の特徴と効果は、限定されない例、本発明の排気装置の実施形態を示すここに添付された図面を考慮して以下の記載を読むと明白である。