(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043477
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】ブローバイガス還元装置及びブローバイガス還元装置の異常診断方法
(51)【国際特許分類】
F01M 13/00 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
F01M13/00 K
F01M13/00 G
F01M13/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-263856(P2011-263856)
(22)【出願日】2011年12月1日
(65)【公開番号】特開2013-117175(P2013-117175A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003908
【氏名又は名称】UDトラックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100167025
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100136227
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 玲子
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100184424
【弁理士】
【氏名又は名称】増屋 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
(72)【発明者】
【氏名】青山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】鴨田 祐二
(72)【発明者】
【氏名】下越 充
【審査官】
木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−038696(JP,A)
【文献】
特開平10−184336(JP,A)
【文献】
特開2004−257316(JP,A)
【文献】
特開2006−307861(JP,A)
【文献】
実開平05−027246(JP,U)
【文献】
特開平07−301165(JP,A)
【文献】
特開2004−071556(JP,A)
【文献】
特開2012−007589(JP,A)
【文献】
特開2004−156620(JP,A)
【文献】
特開2010−223125(JP,A)
【文献】
特開平11−148417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/00−13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンのブローバイガスを吸気管に環流させるブローバイガス通路と、
前記吸気管に対する前記ブローバイガス通路の接続部の下流における吸気の温度を検出する温度センサと、
コンピュータを内蔵したコントロールユニットと、
を有し、
前記コントロールユニットが、異なる2つのエンジン運転状態において、前記温度センサにより吸気の温度を夫々検出し、2つの吸気の温度の偏差が所定閾値以下である場合に、前記ブローバイガス通路に異常が発生していると診断する、ことを特徴とするブローバイガス還元装置。
【請求項2】
前記2つのエンジン運転状態の一方は、エンジン回転速度が第1の所定回転速度、かつ、エンジン負荷が第1の所定負荷である第1のエンジン運転状態であり、
前記2つのエンジン運転状態の他方は、エンジン回転速度が前記第1の所定回転速度よりも大きい第2の所定回転速度、かつ、エンジン負荷が前記第1の所定負荷よりも大きい第2の所定負荷である第2のエンジン運転状態である、
ことを特徴とする請求項1に記載のブローバイガス還元装置。
【請求項3】
前記第1のエンジン運転状態は、アイドリング状態であり、
前記第2のエンジン運転状態は、高負荷・高回転状態である、
ことを特徴とする請求項2に記載のブローバイガス還元装置。
【請求項4】
前記コントロールユニットが、2つの吸気の温度の偏差が所定閾値以下であることに加え、エンジン運転状態の変化に伴って、前記温度センサにより検出された吸気の温度が所定幅を超えて変動した場合に、前記ブローバイガス通路に異常が発生していると診断する、ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のブローバイガス還元装置。
【請求項5】
エンジンのブローバイガスを吸気管に環流させるブローバイガス通路と、
前記吸気管に対する前記ブローバイガス通路の接続部の下流における吸気の温度を検出する温度センサと、
コンピュータを内蔵したコントロールユニットと、
を有するブローバイガス還元装置の異常診断方法であって、
前記コントロールユニットが、異なる2つのエンジン運転状態において、前記温度センサにより吸気の温度を夫々検出し、2つの吸気の温度の偏差が所定閾値以下である場合に、前記ブローバイガス通路に異常が発生していると診断する、ことを特徴とするブローバイガス還元装置の異常診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブローバイガス還元装置の異常診断技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レシプロエンジンには、ピストンとシリンダとの隙間からクランクケースへと漏出したブローバイガスを処理するため、ブローバイガスを吸気系に導入して再燃焼させる、ブローバイガス還元装置が取り付けられている。ブローバイガス還元装置は、ブローバイガスを吸気系に導入するブローバイガス通路と、ブローバイガス通路の開度を制御するPCV(Positive Crankcase Ventilation)バルブと、を有する。
【0003】
ブローバイガス還元装置において、例えば、ブローバイガス通路に漏れ・配管外れなどの異常が発生すると、燃料ミストを含むブローバイガスが大気中に放出されてしまう。このため、特開2009−281225号公報(特許文献1)に記載されるように、PCVバルブの開度を強制的に変化させたときの吸気圧力、エンジン回転速度、空燃比フィードバック補正係数などの変化量に基づいて、ブローバイガス通路の異常診断を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−281225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、吸気系の負圧により開度が変化するPCVバルブを利用するブローバイガス還元装置では、PCVバルブの開度を強制的に変化させることができず、従来技術の適用によって異常診断を行うことができない。
【0006】
そこで、本発明は、PCVバルブの開度にかかわらず、ブローバイガス通路の異常診断を行うことができるブローバイガス還元装置及びその異常診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ブローバイガス還元装置は、エンジンのブローバイガスを吸気管に環流させるブローバイガス通路と、吸気管に対するブローバイガス通路の接続部の下流における吸気の温度を検出する温度センサと、コンピュータを内蔵したコントロールユニットと、を有する。そして、コントロールユニットは、
異なる2つのエンジン運転状態において、温度センサにより
吸気の温度を夫々検出し、2つの吸気の温度の偏差が所定閾値以下である場合に、ブローバイガス通路に異常が発生して
いると診断する。
【発明の効果】
【0008】
PCVバルブの開度にかかわらず、
吸気管を流れる吸気の温度に基づいて、ブローバイガス通路に異常が発生しているか否かを診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ブローバイガス還元装置が取り付けられたエンジンの概要図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1は、ブローバイガス還元装置が取り付けられたエンジンの概要を示す。
エンジン10のシリンダブロック12には、ピストン14が往復動可能に嵌挿されるシリンダ12Aが形成される。また、シリンダブロック12の下方に形成されたスカート部12Bの下面には、オイルパン16が締結される。そして、スカート部12B及びオイルパン16により、クランク軸18を回転可能に収容しつつ潤滑油を貯蔵するクランクケース20が形成される。
【0011】
一方、シリンダブロック12の上面には、吸気ポート22及び排気ポート24が夫々形成されたシリンダヘッド26が締結される。シリンダヘッド26には、燃焼室を臨む吸気ポート22及び排気ポート24の開口を所定タイミングで開閉すべく、軸方向に摺動可能な吸気弁28及び排気弁30が配設される。シリンダヘッド26の上面には、吸気弁28及び排気弁30を夫々開閉駆動する動弁機構32が収納されるヘッドカバー34が締結される。
【0012】
吸気ポート22に連通する吸気管36(吸気系)には、吸気流通方向に沿って、吸気中の埃などを濾過するエアクリーナ38、ターボチャージャ40のコンプレッサ40A、ターボチャージャ40を通過した吸気を冷却するインタークーラ42がこの順番で配設される。一方、排気ポート24に連通する排気管44には、ターボチャージャ40のタービン40Bが配設される。なお、タービン40Bの排気下流に位置する排気管44には、図示しない、公知の排気浄化装置が配設されている。
【0013】
インタークーラ42の下流に位置する吸気管36とタービン40Bの上流に位置する排気管44とは、EGR(Exhaust Gas Recirculation)通路46を介して連通され、ここに開度を連続的又は多段階に遠隔制御可能なEGRバルブ48が配設される。そして、エンジン運転状態に応じてEGRバルブ48の開度を増減することで、排気の一部が吸気系へと環流され、燃焼温度の低下を通して窒素酸化物(NOx)の排出量を低減する。
【0014】
また、シリンダブロック12及びシリンダヘッド26には、ピストン14とシリンダ12Aとの隙間を通ってクランクケース20へと漏出したブローバイガスを、ヘッドカバー34の内部空間へと導く連通路50が形成される。ヘッドカバー34の内部空間は、配管やチューブなどからなるブローバイガス通路52を介して、エアクリーナ38とターボチャージャ40のコンプレッサ40Aとの間に位置する吸気管36に連通接続される。ブローバイガス通路52には、ブローバイガスに含まれるオイルミストを分離するオイルミストセパレータ54が配設される。
【0015】
オイルミストセパレータ54には、吸気管36における吸気負圧により、ブローバイガス通路52の開度を増減するPCVバルブ機構が内蔵される。PCVバルブ機構は、アイドリング時のように吸気負圧が小さいときは開度が小さくなる一方、加速時のように吸気負圧が大きいときは開度が大きくなる。
【0016】
そして、オイルミストセパレータ54により分離されたオイルミストは、配管やチューブなどからなるオイル戻し通路56を介して、シリンダブロック12のスカート部12Bからオイルパン16へと戻される。
【0017】
エアクリーナ38とターボチャージャ40のコンプレッサ40Aとの間に位置する吸気管36であって、吸気管36に対するブローバイガス通路52の接続部には、ブローバイガスの環流状態を把握するために、吸気管36を流れる、吸気の温度(吸気温度)Tを検出する温度センサ58が取り付けられる。温度センサ58の出力信号は、コンピュータを内蔵したコントロールユニット60に入力される。また、コントロールユニット60には、エンジン10の回転速度Neを検出する回転速度センサ62、及び、エンジン10の負荷Qを検出する負荷センサ64からの出力信号も入力される。ここで、エンジン10の負荷Qとしては、例えば、吸気流量、吸気負圧、過給圧、燃料噴射量、アクセル開度、スロットル開度など、エンジントルクと密接に関連する状態量を適用することができる。なお、エンジン10の回転速度Ne及び負荷Qは、CAN(Controller Area Network)などで接続された他のコントロールユニットから読み込むようにしてもよい。
【0018】
そして、コントロールユニット60は、フラッシュROM(Read Only Memory)などの不揮発性メモリに格納された制御プログラムに従って、回転速度Ne及び負荷Qに基づいてEGRバルブ48を電子制御すると共に、回転速度Ne、負荷Q及び吸気温度Tに基づいてブローバイガス通路52の異常診断を行う。
【0019】
ここで、ブローバイガス通路52の異常診断原理について説明する。
ヘッドカバー34と吸気管36とを連通接続するブローバイガス通路52に、漏れ・配管外れなどの異常が発生していない場合には、クランクケース20のブローバイガスは、吸気管36の負圧を利用して、連通路50及びヘッドカバー34の内部空間を介して吸気管36へと環流される。この場合、
図2に示すように、吸気管36を流れる吸気(新気)にブローバイガスが混合するので、吸気管36に対するブローバイガス通路52の接続部に配置された温度センサ58は、ブローバイガスが混合した吸気温度を検出することとなる。ブローバイガスの流量はエンジン回転速度及び負荷の増加に伴って増えるので、吸気(新気)とブローバイガスとの混合比はエンジン回転速度及び負荷に応じて変化する。そして、吸気(新気)の温度TAは略一定であり、ブローバイガスの温度TBは吸気の温度TAより高いため、両者の混合比が変化することで、温度センサ58が検出する吸気温度が大きく変化する。
【0020】
一方、ブローバイガス通路52に漏れ・配管外れなどの異常が発生している場合には、クランクケース20のブローバイガスは、吸気管36へと環流されない。この場合、吸気管36を流れる吸気(新気)にブローバイガスが混合せず、吸気(新気)にブローバイガス通路52の異常発生箇所から導入されたエンジン周囲の外気が混合するので、温度センサ58は、エンジン周囲の外気が混合した吸気温度を検出することとなる。吸気(新気)とエンジン周囲の外気との混合比は、エンジン回転速度及び負荷によらず略一定であるため、エンジン運転状態が変化しても、温度センサ58が検出する吸気温度はあまり変化しない。
【0021】
従って、吸気管36に対するブローバイガス通路52の接続部における吸気温度Tに基づいて、ブローバイガス通路52に漏れ・配管外れなどの異常が発生しているか否かを診断することができる。
【0022】
図3は、エンジン10が始動されたことを契機として、コントロールユニット60が所定時間ごとに繰り返し実行する制御プログラムの内容を示す。
ステップ1(図では「S1」と略記する。以下同様。)では、コントロールユニット60が、初期化処理として、第1のエンジン運転状態(例えば、アイドリング状態)における吸気温度Tを検出したか否かを判定するためのFlag1と、第2のエンジン運転状態(例えば、高負荷・高回転状態)における吸気温度Tを検出したか否かを判定するためのFlag2と、を夫々0(未検出)に設定する。
【0023】
ステップ2では、コントロールユニット60が、エンジン10が第1のエンジン運転状態であり、かつ、Flag1が0(未検出)であるか否かを判定する。即ち、コントロールユニット60は、回転速度センサ62から回転速度Neを読み込むと共に、負荷センサ64から負荷Qを読み込み、回転速度Neが第1の所定回転速度A1、かつ、負荷Qが第1の所定負荷B1であるか否かを介して、エンジン10が第1のエンジン運転状態であるか否かを判定する。ここで、第1の所定回転速度A1及び第1の所定負荷B1は、第1のエンジン運転状態を特定する閾値であって、上限値及び下限値で画定される幅を有していてもよい。そして、コントロールユニット60は、エンジン10が第1のエンジン運転状態であり、かつ、Flag1が0であると判定すれば処理をステップ3へと進める一方(Yes)、それ以外であると判定すれば処理をステップ5へと進める(No)。
【0024】
ステップ3では、コントロールユニット60が、温度センサ58から吸気温度Tを読み込み、第1のエンジン運転状態における吸気温度を一時的に保存する変数C1に吸気温度Tを代入する。
【0025】
ステップ4では、コントロールユニット60が、第1のエンジン運転状態における吸気温度を検出したので、Flag1を1(検出済み)に設定する。
ステップ5では、コントロールユニット60が、エンジン10が第2のエンジン運転状態であり、かつ、Flag2が0(未検出)であるか否かを判定する。即ち、コントロールユニット60は、回転速度センサ62から回転速度Neを読み込むと共に、負荷センサ64から負荷Qを読み込み、回転速度Neが第2の所定回転速度A2、かつ、負荷Qが第2の所定負荷B2であるか否かを介して、エンジン10が第2のエンジン運転状態であるか否かを判定する。ここで、第2の所定回転速度A2及び第2の所定負荷B2は、第2のエンジン運転状態を特定する閾値であって、上限値及び下限値で画定される幅を有していてもよい。そして、コントロールユニット60は、エンジン10が第2のエンジン運転状態であり、かつ、Flag2が0であると判定すれば処理をステップ6へと進める一方(Yes)、それ以外であると判定すれば処理をステップ8へと進める(No)。
【0026】
ステップ6では、コントロールユニット60が、温度センサ58から吸気温度Tを読み込み、第2のエンジン運転状態における吸気温度を一時的に保存する変数C2に吸気温度Tを代入する。
【0027】
ステップ7では、コントロールユニット60が、第2のエンジン運転状態における吸気温度を検出したので、Flag2を1(検出済み)に設定する。
ステップ8では、コントロールユニット60が、Flag1及びFlag2が共に1であるか否か、要するに、第1のエンジン運転状態及び第2のエンジン運転状態における吸気温度を検出したか否かを判定する。そして、コントロールユニット60は、Flag1及びFlag2が共に1であると判定すれば処理をステップ9へと進める一方(Yes)、それ以外であると判定すれば処理をステップ2へと戻す(No)。
【0028】
ステップ9では、コントロールユニット60が、変数C1と変数C2との差の絶対値、即ち、第1のエンジン運転状態における吸気温度と第2のエンジン運転状態における吸気温度との差の絶対値が所定閾値より大きいか否かを判定する。ここで、所定閾値としては、前述した異常診断原理のように、ブローバイガス通路52に漏れ・配管外れなどの異常の有無を判別可能な値を適宜採用することができる。そして、コントロールユニット60は、変数C1と変数C2との差の絶対値が所定閾値より大きいと判定すれば処理をステップ10へと進める一方(Yes)、変数C1と変数C2との差の絶対値が所定閾値以下であると判定すれば処理をステップ11へと進める(No)。
【0029】
ステップ10では、エンジン10の運転状態が変化すると、吸気管36に対するブローバイガス通路52の接続部における吸気温度が大きく増減変化するので、コントロールユニット60が、ブローバイガス通路52は正常(異常なし)と診断する。
【0030】
ステップ11では、エンジン10の運転状態が変化しても、吸気管36に対するブローバイガス通路52の接続部における吸気温度がさほど増減変化しないので、コントロールユニット60が、ブローバイガス通路52は異常と診断する。なお、ブローバイガス通路52が異常であると診断された場合には、例えば、警告灯を点灯させることで、異常発生をドライバに知らせるようにしてもよい。
【0031】
かかるブローバイガス還元装置によれば、
図4に示すように、エンジン10の回転速度Neが第1の所定回転速度A1、負荷Qが第1の所定負荷B1となった第1のエンジン運転状態のときに、吸気管36に対するブローバイガス通路52の接続部における吸気温度Tが変数C1に保存される。また、エンジン10の回転速度Neが第2の所定回転速度A2、負荷Qが第2の所定負荷B2となった第2のエンジン運転状態のときに、吸気管36に対するブローバイガス通路52の接続部における吸気温度Tが変数C2に保存される。そして、第1のエンジン運転状態における吸気温度を示す変数C1と第2のエンジン運転状態における吸気温度を示す変数C2との差の絶対値(偏差)が所定閾値より大きければ、ブローバイガス通路52は正常であると診断される。一方、第1のエンジン運転状態における吸気温度を示す変数C1と第2のエンジン運転状態における吸気温度を示す変数C2との差の絶対値が所定閾値以下であれば、ブローバイガス通路52は異常であると診断される。
【0032】
このとき、第1のエンジン運転状態としてアイドリング状態を採用すると共に、第2のエンジン運転状態として高負荷・高回転状態を採用すれば、大きく異なる2つのエンジン運転状態での吸気温度の比較を通して、ブローバイガス通路52に異常が発生しているか否かを診断することができる。このため、異常診断精度を向上させることができる。
【0033】
また、吸気管36に対するブローバイガス通路52の接続部における吸気温度は、ブローバイガス通路52に異常が発生しているか否かに応じて、
図5に示すように、エンジン10の回転速度Ne及び負荷Qの変化に伴って変動する幅が大きく異なる。このため、異常診断精度をさらに向上させるべく、変数C1と変数C2との差の絶対値が所定閾値以下であることに加え、エンジン運転状態の変化に伴って吸気温度が所定幅を超えて変動した場合に、ブローバイガス通路52に異常が発生していると診断するようにしてもよい。
【0034】
さらに、ブローバイガス通路52の異常診断は、コントロールユニット60に限らず、例えば、エンジン10を電子制御するエンジンコントロールユニットなど、他のコントロールユニットにおいて行われるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 エンジン
36 吸気管(吸気系)
52 ブローバイガス通路
58 温度センサ
60 コントロールユニット
62 回転速度センサ
64 負荷センサ