(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天面に取出口を有する容器本体と、当該容器本体に取り付けられ、前記取出口をスライド開閉する上蓋とを有し、積層された状態のウェットティシューを収納し、前記取出口からウェットティシューをポップアップ取出しするウェットティシュー収納容器であって、
前記取出口を囲む所定の閉エリアの第1境界部と、前記上蓋を閉じた際に前記第1境界部と対向する前記上蓋における第2境界部との少なくとも一方にパッキンを設け、
該パッキンは、前記上蓋がスライドして閉まることで前記第1境界部と前記第2境界部との間を気密状態にし、
前記取出口から前記上蓋が閉じる向きの側にある前記第1境界部までの距離は、前記取出口から前記上蓋が開く向きの側にある前記第1境界部までの距離に比べて長いことを特徴とするウェットティシュー収納容器。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態であるウェットティシュー収納容器について詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0017】
≪実施形態1≫
<ウェットティシュー収納容器の構成>
まず、本実施形態のウェットティシュー収納容器の構成について説明する。
なお、以下の説明では、ウェットティシュー収納容器の平面視長手方向を左右方向、平面視短手方向を前後方向、高さ方向を上下方向とする。
【0018】
本実施形態に係るウェットティシュー収納容器1は、例えば、
図1(a)に示すように、上蓋20を閉じた状態で前後方向の側面視にて上側の角が丸みを帯びた略長方形状に形成されており、内部にウェットシートやウェットティシュー等のウェットタイプの家庭用薄葉紙Pを収納可能に構成されている。なお、ウェットティシュー収納容器1には、ティシューペーパーやキッチンペーパーやペーパータオル等のドライタイプの家庭用薄葉紙Pを収納しても良い。
具体的には、ウェットティシュー収納容器1は、例えば、
図1(a),(b)、
図2、
図3に示すように、上面に家庭用薄葉紙Pを取り出すための取出口11を有するとともに下面に家庭用薄葉紙Pが積層された薄葉紙積層体Qを詰め替えるための底面開口12を有し、内側の収納空間部Sに薄葉紙積層体Qを収納する容器本体10と、容器本体10の上面にスライド移動自在に設けられ、取出口11を開閉させる蓋体としての上蓋20と、上蓋20を容器本体10に取り付けるためのシャーシ30と、容器本体10の底面開口12を塞ぐ底蓋40と、上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材50と、等を備えて構成される。
【0019】
ここで、容器本体10及びシャーシ30が、上面に取出口11を有し、内側に家庭用薄葉紙Pを収納するケース体として機能する。すなわち、ケース体は、容器本体10と、当該容器本体10の上面に固定されるシャーシ30と、を備えており、上蓋20は、ケース体のうちシャーシ30に取り付けられている。
また、容器本体10、上蓋20、シャーシ30及び底蓋40は、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)等の熱可塑性樹脂から形成されている。
また、本実施形態においては、付勢部材50として、引張コイルばねを用いることとする。
【0020】
また、薄葉紙積層体Qは、例えば、複数枚の家庭用薄葉紙Pが積層された詰替え用の薄葉紙積層体であって、ケース体(本実施形態の場合、容器本体10)に形成された取出口11から家庭用薄葉紙Pを継続して取り出せるように交互に折り重ねられた状態で積層されている。すなわち、家庭用薄葉紙Pを取出口11からケース体の外側へ引き出したときに、次の家庭用薄葉紙Pの上端が取出口11よりも突出する位置まで収納空間部Sから引き出されるようになっている。
なお、薄葉紙積層体Qを、包装体によって内包することとしても良い。特に、ウェットティシュー収納容器1に収納する家庭用薄葉紙Pが、本実施形態のようにウェットタイプの家庭用薄葉紙Pである場合には、薄葉紙積層体Qを防湿性の包装体によって内包することが好ましい。
【0021】
容器本体10は、例えば、
図1(a),(b)に示すように、当該容器本体10の上面を構成する上面部10aと、当該容器本体10の前後左右の周面を構成する周面部10bと、からなり、容器本体10の下面は平面視にて角のとれた略長方形状を呈する底面開口12となっている。そして、この底面開口12を塞ぐように取り付けられた底蓋40と、容器本体10の上面部10a及び周面部10bと、によって囲まれた空間が、薄葉紙積層体Qを収納するための収納空間部Sとなる。
なお、本実施形態では、下面が開口した容器本体10を用い、薄葉紙積層体Qを容器本体10の下面側から詰め替えるように構成したが、これに限ることはなく、例えば、下面は閉口して前後左右の何れかの面が開口した容器本体10を用い、薄葉紙積層体Qを容器本体10の前後左右の何れかの面側から詰め替えるように構成することも可能である。
【0022】
容器本体10の上面部10aには、例えば、
図3(a)、
図3(b)に示すように、下側に向けて陥没する凹部13が設けられており、この凹部13の底面部13aに取出口11が形成され、さらにそれを取り囲むより広い所定の閉エリアを形成するパッキン部分(第1境界部)が形成されている。なお、本実施形態では、底面部13aのうち左右方向(容器本体10の平面視長手方向)中央よりも一側(本実施形態の場合、右側)にずれた位置にパッキン14で囲われた第1境界部を設けて、その第1境界部の中央部よりも左に寄った位置に取出口11を形成したが、これに限ることはなく、例えば、底面部13aの左右方向略中央に取出口11を形成することも可能である。
取出口11は、容器本体10の内部の収納空間部Sに収納された家庭用薄葉紙Pを取り出すための、平面視にて角のとれた略長方形状に形成された開口である。
取出口11は、上蓋20が開放状態(
図1(b)、
図3(b)参照)となった場合に開放され、このとき家庭用薄葉紙Pは、取出口11を通じて一枚毎に収納空間部Sから外部に引き出すことができるようになっている。
また、取出口11は、上蓋20が閉塞状態(
図1(a)、
図2(a)、
図3(a)参照)となった場合に閉塞されるようになっている。
【0023】
例えば、
図1(a)、
図2(b)、
図3に示すように、第1境界部の周縁には、シリコンゴム等のゴムやオレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーなどの弾性体から形成されたケース側パッキン14が装着されている。また、取出口11の周縁には、シリコンゴム等のゴムやオレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーなどの弾性体から形成されたパッキンが装着され、取出口周縁の気密性を高めている。
また、上蓋20の下面にも、シリコンゴム等のゴムやオレフィン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーなどの弾性体から形成された蓋側パッキン21が取り付けられている。
蓋側パッキン21は、上蓋20の下面のうち上蓋20の閉塞状態においてケース側パッキン14に対応する位置(第2境界部)に設けられており、ケース側パッキン14と蓋側パッキン21とは、上蓋20が閉塞状態となった場合に互いに密着して(
図5(a)参照)、収納空間部S内の気密性を保持するように構成されている。すなわち、ケース側パッキン14及び蓋側パッキン21が、取出口11を含む容器本体部分と上蓋20との隙間を封止する気密手段として機能する。
これにより、ウェットティシュー収納容器1に収納する家庭用薄葉紙Pが、本実施形態のようにウェットタイプの家庭用薄葉紙Pである場合には、家庭用薄葉紙Pに含浸した薬液の蒸発を防止できるようになっている。
【0024】
また、ケース側パッキン14には、例えば、
図3(a)、(b)に示すように、当該ケース側パッキン14の下端部から内側に向けて(取出口11を塞ぐ方向側に向けて)延出する複数の舌片部(舌状体)14aが設けられており、舌片部14a同士の隙間から家庭用薄葉紙Pが引き出されるように構成されている。これにより、家庭用薄葉紙Pを一枚ずつ引き出しやすくなっている。
なお、本実施形態では、容器本体10にケース側パッキン14を設けて上蓋20に蓋側パッキン21を設けた、すなわち、容器本体10と上蓋20との双方に気密手段を設けたが、これに限ることはなく、気密手段によって取出口11の周縁と上蓋20との隙間を封止できるのであれば、例えば、容器本体10だけに気密手段を設けても良いし、上蓋20だけに気密手段を設けても良い。また、シャーシ30に取出口11が設けられている場合には、シャーシ30に気密手段を設けても良い。
【0025】
シャーシ30は、容器本体10の凹部13内に収容された状態で容器本体10の上面部10aに固定されており、上蓋20は、シャーシ30を介して容器本体10に取り付けられている。
シャーシ30は、例えば、
図3(a)に示すように、凹部13の底面部13a上に載置され、取出口11を取り囲む枠部31と、閉塞状態の上蓋20と略面一となるよう枠部31に支持される上壁部32と、を備えて構成される。
ここで、本実施形態では、上蓋20と上壁部32とを合わせると、平面視にて略楕円形状の板状部材を構成するようになっている。また、上蓋20及び上壁部32は、前後方向(短手方向)に下方へ凸となるよう湾曲した形状をなしている。
【0026】
シャーシ30の枠部31(具体的には、枠部31の連結部31c(
図3(b)参照))の上面には、例えば、
図2(d)に示すように、付勢部材50の一端と係合する固定側係合部33が設けられている。
また、上蓋20の下面のうち前後方向略中央の位置には、例えば、
図2(c)、
図3(a)に示すように、付勢部材50の他端と係合する可動側係合部22が設けられている。
ここで、例えば、
図2、
図3に示すように、本実施形態において、ウェットティシュー収納容器1は、付勢部材50である引張コイルばねを2本備えている。また、シャーシ30の枠部31は、固定側係合部33を2つ備えている。この2つの固定側係合部33は、上蓋20とシャーシ30とが組み合わされた状態で所定の直線(具体的には、左右方向(長手方向)に平行で可動側係合部22を通る直線)に対して互いに線対称となる位置に配置され、かつ、上蓋20の閉塞状態における可動側係合部22との間隔が、上蓋20の開放状態における可動側係合部22との間隔よりも長くなるように、枠部31に設けられている。そして、2本の付勢部材50のうち一方の一端が、2つの固定側係合部33のうちの一方に掛止されるとともに、2本の付勢部材50のうち他方の一端が、2つの固定側係合部33のうちの他方に掛止され、2本の付勢部材50の双方の他端が、上蓋20に設けられた可動側係合部22に掛止されている。
【0027】
上蓋20が右側(すなわち、上壁部32側)へとスライド移動して開放状態から閉塞状態に移行すると、付勢部材50の一端に係合する固定側係合部33と、付勢部材50の他端に係合する可動側係合部22と、の間隔が長くなるので、付勢部材50は左側(すなわち、上壁部32とは反対側)に付勢された状態になる。すなわち、付勢部材50は、上蓋20の閉塞状態において、当該上蓋20を開放状態となる方向に付勢している。そして、付勢部材50の付勢力に抗する力が解除されると、付勢部材50の付勢力によって上蓋20が左側(すなわち、上壁部32とは反対側)に引っ張られて、取出口11が開放される。
ここで、付勢部材50は、伸縮部材により構成され、シャーシ30の固定側係合部33が、ケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)に設けられ付勢部材50の一端と係合する固定点として機能し、上蓋20の可動側係合部22が、上蓋20に設けられ付勢部材50の他端と係合する可動点として機能する。
そして、付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22が、上蓋20を開放状態となる方向にスライド移動させる可動機構として機能する。
なお、本実施形態では、固定側係合部33(固定点)をシャーシ30に設けたが、これに限ることはなく、固定側係合部33(固定点)は、容器本体10に設けても良い。
【0028】
また、本実施形態では、付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22は、上蓋20が、開放状態である場合も、閉塞状態である場合も、開放状態から閉塞状態に移行する途中の状態である場合も、閉塞状態から開放状態に移行する途中の状態である場合も、凹部13内に配置された状態で上蓋20に上方から覆われているので、ウェットティシュー収納容器1の外部から視認することができない。
すなわち、上蓋20は、当該上蓋20の状態にかかわらず、外部から視認不能に付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22を遮蔽している。これにより、ウェットティシュー収納容器1の美観が向上するとともに、付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22が触られることを防止できるようになっている。
【0029】
さらに、本実施形態では、凹部13の底面部13aが、容器本体10の内側(収納空間部S側)から視認不能に付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22を遮蔽しているので、付勢部材50、シャーシ30の固定側係合部33及び上蓋20の可動側係合部22が、容器本体10の内側から触られることも防止できるようになっている。
【0030】
例えば、
図3に示すように、上蓋20の右端部(すなわち、上壁部32側の端部)には、下側に向けて突出する爪部23が設けられている。
また、シャーシ30には、上壁部32の一部を操作面34aとしたスイッチ部34が設けられている。スイッチ部34は、前後方向に沿って延設された軸部34bを回動軸として回動可能に構成されており、左端側(すなわち、上蓋20側)に爪部23が上方から進入して係合する爪受部34cを有している。また、スイッチ部34は、図示しない付勢部材によって、押圧されて回動する方向とは逆方向に付勢されている。
【0031】
上蓋20が開放状態である際に、付勢部材50の付勢力に抗する力を作用させて上蓋20を右側(すなわち、上壁部32側)へとスライド移動させると、まず、上蓋20の爪部23がスイッチ部34の爪受部34cに当接する。さらに上蓋20を右側へとスライド移動させると、爪受部34cが爪部23に押されてスイッチ部34の付勢部材の付勢力に抗する力が作用し、爪受部34cが下側へと移動するようにスイッチ部34が回動する。そして、上蓋20が閉塞状態になってスイッチ部34の付勢部材の付勢力に抗する力が解除されると、スイッチ部34の付勢部材の付勢力によって爪受部34cがもとの位置に戻るよう(すなわち、操作面34aが上壁部32の表面と略面一の状態となるよう)にスイッチ部34が回動して、爪部23と爪受部34cとが係合する。これにより、上蓋20の閉塞状態を維持できるようになっている。
【0032】
また、爪部23と爪受部34cとが係合している際に、スイッチ部34の操作面34aが押圧されてスイッチ部34の付勢部材の付勢力に抗する力が作用すると、爪受部34cが下側へと移動するようにスイッチ部34が回動する。そして、スイッチ部34の回動に伴い爪部23と爪受部34cとの係合が解除されると、付勢部材50の付勢力によって上蓋20が左側(すなわち、上壁部32とは反対側)へとスライド移動して開放状態になる。
すなわち、爪部23及び爪受部34cが、付勢部材50の付勢力に抗して上蓋20が閉塞状態となるように係止するとともに、当該係止を解除可能な係止手段として機能する。
なお、本実施形態では、係止手段による係止を解除する際に押圧されるスイッチ部34をシャーシ30に設けたが、これに限ることはなく、スイッチ部34は、容器本体10に設けても良い。
【0033】
本実施形態においては、シャーシ30の枠部31の一部が、上蓋20を直線的にスライド移動するようガイドするレール部31aになっている。具体的には、例えば、
図3(c)に示すように、シャーシ30の枠部31は、左右方向に沿って延設され、前後方向に並ぶレール部31a,31aと、レール部31a,31aの右端部(すなわち、上蓋20の閉塞状態となる方向側の端部)同士を連結するとともに上壁部32を支持する支持部31bと、レール部31a,31aの左端部(すなわち、上蓋20の開放状態となる方向側の端部)同士を連結する連結部31cと、からなる。
また、例えば、
図3(c)に示すように、上蓋20には、レール部31aに対してスライド移動可能に係合するスライド部24が設けられている。スライド部24は、例えば、上蓋20とシャーシ30とが組み合わされた状態で、当該スライド部24の下面が、対応するレール部31aの上面に当接するように、上蓋20の下面から垂下する垂壁部(図示省略)の下端に接続されている。
これにより、上蓋20をスムーズかつ確実に開閉できるようになっている。
なお、本実施形態では、上蓋20のスライド移動をガイドするためのレール部31aをシャーシ30に設けたが、これに限ることはなく、レール部31aは、容器本体10に設けても良い。
【0034】
ここで、例えば、
図3(c)に示すように、スライド部24の左端部(すなわち、上蓋20の開放状態となる方向側の端部)には、上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収するダンパー24aが設けられている。
また、例えば、
図3(c)に示すように、容器本体10の凹部13の周縁のうち、上蓋20の閉塞状態においてスライド部24の左端側(ダンパー24aを含む)に対応する位置には、上蓋20が閉塞状態から開放状態へと移行する際にスライド部24が入り込む横穴部15が形成されており、上蓋20の開放状態において、横穴部15内でスライド部24のダンパー24aが容器本体10に当接するように構成されている。すなわち、スライド部24が容器本体10に衝突することによって、付勢部材50の付勢力による上蓋20のスライド移動が停止するように構成されており、当該衝突の際の衝撃を、ダンパー24aによって吸収できるようになっている。
なお、本実施形態では、撓むことで衝撃を吸収できるようにダンパー24aを左方へ凸となるよう内側から外側に向けて湾曲した弓状に形成したが、これに限ることはなく、ダンパー24aの形状は、上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収できるのであれば、適宜任意に変更可能である。
【0035】
例えば、
図1、
図3に示すように、上蓋20には、上蓋20を閉める際等に指を掛けるための可動側指掛部25が設けられている。具体的には、上蓋20には、可動側指掛部25として、当該上蓋20の右端部(すなわち、上蓋20の閉塞状態となる方向側の端部)を上側に向けて起立させることによって形成された突起部が設けられている。また、上蓋20には、可動側指掛部25に掛けた指を載置するための指載置部26として、当該上蓋20の上面を下側に向けて窪ませることによって形成された凹部が設けられている。
また、ケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)のうち係止手段(本実施形態の場合、爪受部34c)よりも右側(すなわち、上蓋20の閉塞状態となる方向側)には、上蓋20を閉める際等に指を掛けるための固定側指掛部35が設けられている。具体的には、シャーシ30には、固定側指掛部35として、シャーシ30の端部(本実施形態の場合、上壁部32の右端部)を上側に向けて起立させることにより形成された突起部が設けられている。
【0036】
すなわち、可動側指掛部25の左側(すなわち、固定側指掛部35とは反対側)に指を掛けて上蓋20を閉める際に、固定側指掛部35の右側(すなわち、可動側指掛部25とは反対側)に指を掛けて容器本体10に左方向の力(上蓋20に作用させる力とは逆方向の力)を作用させて容器本体10が滑らないように容器本体10を固定しておくことができるように構成されている。これにより、片手で上蓋20を閉めることができるようになっている。
また、本実施形態の場合、固定側指掛部35は、スイッチ部34に離間してケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)に設けられている。これにより、固定側指掛部35に掛けた指でスイッチ部34を誤操作してしまうことを防止できるようになっている。
なお、本実施形態では、固定側指掛部35をシャーシ30に設けたが、これに限ることはなく、固定側指掛部35は、容器本体10に設けても良い。
【0037】
例えば、
図3(b)に示すように、上蓋20の下面には、先端が左側(すなわち、上蓋20の開放状態となる方向側)を向くよう前後方向の側面視略逆L字状に突出する突片部27が設けられている。
また、例えば、
図3に示すように、容器本体10の凹部13の周縁のうち、上蓋20の閉塞状態において突片部27の先端側(ダンパー27a(後述)を含む)に対応する位置には、上蓋20が閉塞状態から開放状態へと移行する際に突片部27が入り込む横穴部16が形成されており、上蓋20が開放状態になると、上蓋20の突片部27の先端側が容器本体10の横穴部16に入り込んで、突片部27の上下方向の移動が規制されるように構成されている。これにより、上蓋20の開放状態において、上蓋20の左端側が上方向へと移動して上蓋20が起き上がってしまうことを防止できるようになっている。
【0038】
ここで、例えば、
図3に示すように、突片部27の先端部には、上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収するダンパー27aが設けられており、上蓋20の開放状態において、横穴部16内で突片部27のダンパー27aが容器本体10に当接するように構成されている。すなわち、突片部27が容器本体10に衝突することによっても、付勢部材50の付勢力による上蓋20のスライド移動が停止するように構成されており、当該衝突の際の衝撃を、ダンパー27aによって吸収できるようになっている。
【0039】
なお、本実施形態では、撓むことで衝撃を吸収できるようにダンパー27aを左方へ凸となるよう上側から下側に向けて湾曲した弓状に形成したが、これに限ることはなく、ダンパー27aの形状は、上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収できるのであれば、適宜任意に変更可能である。
また、本実施形態では、突片部27にダンパー27aを設けてスライド部24にダンパー24aを設けた、すなわち、突片部27とスライド部24との双方にダンパーを設けたが、これに限ることはなく、ダンパーによって上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収すること(衝撃を緩めること)ができるのであれば、例えば、突片部27だけにダンパーを設けても良いし、スライド部24だけにダンパーを設けても良いし、突片部27及びスライド部24以外の部分にダンパーを設けても良い。また、ダンパーは、上蓋20側ではなく、ケース体(容器本体10やシャーシ30)側に設けても良いし、上蓋20側とケース体側との双方に設けても良い。突片部27にダンパーを設けない場合は、上蓋20の開放状態において、突片部27が横穴部16内で容器本体10に当接しないように構成することが好ましい。また、スライド部24にダンパーを設けない場合は、上蓋20の開放状態において、スライド部24が横穴部15内で容器本体10に当接しないように構成することが好ましい。
【0040】
なお、本実施形態では、スライド部24の左端側が入り込む横穴部15の上方が上面部10aによって塞がれるように構成したが、これに限ることはなく、横穴部15は上方に開口していてもよい。
また、突片部27は、上蓋20が起き上がってしまうことを防止するために設けられているが、本実施形態のように、スライド部24の左端側が入り込む横穴部15の上方が上面部10aによって塞がれている場合には、スライド部24によって、上蓋20が起き上がってしまうことを防止することができる。具体的には、この場合には、上蓋20が開放状態になると、上蓋20のスライド部24の左端側が容器本体10の横穴部15に入り込んで、スライド部24の上下方向の移動が規制され、上蓋20が起き上がってしまうことを防止することができるので、突片部27を設けなくてもよい。
【0041】
<ウェットティシュー収納容器の製造方法>
次に、本実施形態のウェットティシュー収納容器の製造方法の一例について、
図2,3を参照して説明する。
まず、シャーシ30に、付勢部材50と上蓋20とを組み付けてアセンブリ体Aを形成する。
次いで、アセンブリ体Aを容器本体10に取り付ける。具体的には、シャーシ30の下面に設けられた複数(本実施形態の場合、5個)の嵌合凸部(図示略)と、容器本体10の凹部13の底面部13aに嵌合凸部に対応させて設けられた嵌合孔部(図示略)と、が嵌合するよう、アセンブリ体Aを、容器本体10の凹部13内に当該凹部13の上方から嵌め込むことによって、容器本体10に取り付ける。すなわち、付勢部材50と上蓋20とは、シャーシ30に組み付けられて一体に構成されたアセンブリ体Aの状態で、容器本体10に取り付けられている。これにより、上蓋20と付勢部材50とシャーシ30とを別々に容器本体10に取り付ける手間を省くことができるようになっている。
なお、本実施形態では、シャーシ30に設けられた嵌合凸部と、容器本体10に設けられた嵌合孔部と、を嵌合させることによって、アセンブリ体Aを容器本体10に固定するよう構成したが、これに限ることはなく、例えば、ねじ等によってアセンブリ体Aを容器本体10に固定しても良い。
【0042】
≪上蓋のスライド開閉機構について≫
本願発明の実施形態と実施例とでは、取出口11、上蓋20を含む容器本体10の天面における構成は、同様のものを用いて説明している。ここで、
図3(b)の上蓋が開いている状態を示す断面図と、
図3(a)の上蓋が閉じている状態を示す平面図とを参照しつつ、上蓋20の開閉を実現する構成について板状のアセンブリシャーシを用いた例を挙げて説明する。
付勢部材50、パッキン14、21を除く部品(容器本体10、上蓋20、スイッチ部34、シャーシ30、アセンブリシャーシ60など)は、合成樹脂の成型品として作製することができる。
容器本体10は、ここでは天面に長手方向に延びる長円状の凹部13を有しており、その凹部13に上蓋20のスライド開閉機構、開いた状態に付勢する付勢部材50、閉じた状態に固定する爪受部34c、爪受部34cの固定を解除するためのスイッチ部34などを収容する。
取出口11及びそれを取り囲むように設けられたパッキン14は、上述した実施形態における本体容器10に設けることもできるが、別の部材として板状の部材60(ここで、アセンブリシャーシと呼ぶ)に設けて、例えば容器本体10の裏側(内側)から嵌めこまれることとしてもよい。嵌め込むための形状としては貫通しない凹み部分とそれに嵌合する突起とをもって嵌合させ、一度嵌め込めば、外すのが困難であるように成型品の設計をすることができる。貫通しない凹み部分とするのは、容器の密閉性(気密性)を確保するためである。
【0043】
上蓋20をスライド開閉させる機構について、固定部分と可動部分とに分けて説明する。
固定部分及び可動部分は、アセンブリシャーシ60に取り付ける。実際の工場の作業にあっては、容器本体10に取り付ける前のアセンブリシャーシ60に固定部分及び可動部分を取り付けてから、上蓋20が閉じた状態にして、アセンブリシャーシ60を容器本体10の裏側(内側)から容器本体10の長円状の孔に固定部分及び可動部分が嵌るようにし、かつ容器本体10の裏側の凹み部分(リブ)にアセンブリシャーシ側の突起が嵌合するように嵌めこむことができる。その後、容器本体10の天面側からスイッチ部34を押すことにより、爪受部34cの引っかかりを解除し、上蓋20を開いた状態にする。この状態がサブアセンブリ状態(組み立て途中)、すなわちウェットティシュー積層体を収納する前の状態である。
【0044】
アセンブリシャーシ60に取り付ける固定部分は、スイッチ部34、固定側指掛部35、レール部31a,31aを含む部分である。これらは、それぞれを成型品として製造したのちに、アセンブリシャーシに嵌め込むことにより組み上げることができる。また、これらのうちの一部(例えば、固定側指掛部35、レール部31a,31a)をアセンブリシャーシと一体成型する変形例も可能である。スイッチ部34については、ユーザにより動かして上蓋20の閉まっている状態を解除するものであるので、動く部分を含むので、アセンブリシャーシとの一体成型にはなじまない。
スイッチ部34の動く部分については、別の部品として作製して、後から嵌め込む。
【0045】
固定側指掛部35は、動かない部分であり、アセンブリシャーシ60に取り付ける固定部分(上蓋20が閉じている状態において、上蓋20の延長された面となる部分)と一体的に成型され得る。固定側指掛部35を容器本体10との一体成型又はアセンブリシャーシ60との一体成型することも可能である。
不側指掛部35は、上蓋20が開いている状態から、閉じようとするときに、ユーザの手指のうちの例えば人差し指が掛かる部分である。そのときユーザの手指のうちの例えば親指が可動側指掛部25に掛かる。そして、親指と人差し指とを使って、上蓋20を閉じる。
【0046】
レール部31a,31aは、取出口11の前後両側にそれぞれ一つずつ設けられる。レール部31a,31aは、固定部分に設けられて、動かない部分である。レール部31a,31aは、スライド部24を滑らせる。レール部31aを例えば、溝として構成し、スライド部24をその溝内を滑る突起状の部材として構成することができる。また、レール部31aを金属棒として構成し、スライド部24を当該金属棒の周りに設けた円筒状(又は円筒から一部を欠いた形状として金属棒を嵌め込むことを可能とした形状)の部材として滑らすように構成してもよい。
【0047】
可動部分は、上蓋20とその裏側に設けられ、上蓋20が閉じた状態で取出口11の周囲のケース側パッキン14と合わさって密閉度を高める蓋側パッキン21と、レール部31a,31aを摺動するスライド部24、24とを有する(
図3(b)、
図5(b)では、上蓋20の裏側に設けられた部材は破線で描いてある)。また、付勢部材を取り付ける可動側係合部22が設けられている(
図3(b)に描いた蓋側パッキン21の左側で前後における中央部分)。
組み立て工程にあっては、アセンブリシャーシに上述した固定部分を取り付けてから、コイルばね(付勢部材)50、50を固定部分の
図3(b)の左端の上下2箇所に設けた固定側係合部33、33に取り付ける。付勢部材50,50(二つのバネ)の他端は、可動側係合部22に取り付けられる。当該取り付けを行ってからスライド部24,24をレール部31a,31aに摺動可能に取り付ける(またはスライド部24、24をレール部31a、31aに摺動可能に取り付けてから付勢部材50、50を取り付ける)。
【0048】
付勢部材50は、ここでは金属を材料とするつるまきバネを使うことができる。ゴム、エラストマーなどの弾性部材を引っ張りバネ、又は板バネのようにして用いて、必要な動力伝達機構とともに用いて、コイルばねの代わりに用いてもよい。
付勢部材50は、上蓋20が開く方向に付勢される。つまり、上蓋20が開いている状態では、付勢部材50は自然長に近い状態すなわち負荷のかからない状態にある。それに対して上蓋20が閉じている状態では、付勢部材50は伸びており負荷の掛かる状態にある。上述したように、上蓋20が開いている状態から閉じるには、ユーザが手指を用いて付勢部材50に抗して上蓋20をスイッチ部34に近づける。上蓋20のスイッチ部34に近い側には、爪受部34cに引っかかる部材である爪部23があり、爪受部34cに引っかかることにより上蓋20が閉じた状態で固定される。スイッチ部34をユーザが押すと、爪受部34cにおける引っ掛かりが解除されて、上蓋20は、付勢部材50により引っ張られて開く。
【0049】
次に、本願発明の実施形態1―8について述べる。これらの実施形態は、いずれも本願発明の主眼である「ポップアップしたウェットティシューの噛みこみを防止することで気密性を保つパッキン」という目的に沿ったものである。実施形態1−8のそれぞれに特徴的な構成のほかは、上述した構成と同じであってよいので、同一の部材については同一の符号を用いて説明する。しかし、上蓋20、取出口11を含む容器本体10の天面の構成は、上蓋20がスライド開閉のものであって、開閉の際にパッキンを用いて気密性を高めるようなものであれば他の構成であってもよい。したがって、容器本体10の天面についての構成は、そのような条件を充足するような変形例を許容する。このことは、実施形態1から8までに共通する。
【0050】
本願発明の実施形態1−8に共通して「第1境界部」、「第2境界部」の語を用いたが、「第1境界部」と「第2境界部」とは、上蓋20が閉まっている状態において嵌合することにより、ポップアップしているウェットティシューを収納する密閉空間を形成する部分である。そして、ケース側パッキン14と蓋側パッキン21とが上蓋20が閉まっている状態において嵌合するときに、当該密閉空間を形成するので、通常は第1境界部にケース側パッキン14が設けられ、第2境界部に蓋側パッキン21が設けられる。
しかし、O字型パッキンとC字型パッキンの例(後述)のように閉領域を構成しないパッキンを用いる場合でも双方を嵌合させた状態では閉領域を形成し得る。そこで、パッキンが設けられない場合には、対向する箇所にパッキンが設けられる部分となる部分を概括して「第1境界部」、「第2境界部」ということとしたものである。
【0051】
≪実施形態1:ウェットティシュー包装袋天面取出口の位置とウェットティシュー収納容器の取出口との位置をずらす≫
本発明の実施形態1として、ウェットティシュー包装袋天面取出口の位置とウェットティシュー収納容器の取出口との位置をずらすことにより、ポップアップしたウェットティシューを収納するスペースを稼ぎ、上蓋を閉めるときの噛みこみを防止することを提案する。
図4は、ウェットティシュー包装袋天面の取出口と、ウェットティシュー収納容器の取出口との位置関係を示す模式図である。ウェットティシュー収納容器1の容器本体10には取出口11が設けられている。そして、ウェットティシュー包装袋70にも包装袋天面取出口71が設けられている。
図4(a)は、取出口11の真下に包装袋天面取出口71を設けた例であり、取出口11の長手方向の中央線と包装袋天面取出口71の長手方向との中央線とは平面視において重なっている。
【0052】
それに対して、
図4(b)においては、取出口11と包装袋天面取出口71とをずらして設けた例であり、
図4(c)においては、さらに大きくずらした例である。
図4(b)、(c)を見てわかるように、取出口11の長手方向中央線と包装袋天面取出し口71の長手方向の中央線との平面視におけるずれが大きければ大きいほど、ポップアップしたウェットティシューを収納するスペースを稼ぐことができる。それにより噛みこみを防止できる。上述した実施形態では、当該ずれを平面視8ミリメートルとしている。
【0053】
≪実施形態2:取出口よりも外側にパッキンを設ける≫
図5は、ウェットティシュー収納容器の取出口と、パッキン部分との位置関係を示す模式図である。ここでは、従来からある回動軸を中心として回動する開閉蓋を備えたウェットティシュー収納容器について適用した場合について説明する。従来のその種の容器では、取出口を含む比較的小さい領域をパッキン部分として、開閉蓋のうら側に設けたパッキン部分と嵌合するようにして密閉空間を構成し、その空間にポップアップしたウェットティシューを収納することとしていた。
しかし、ポップアップしたウェットティシューをユーザの手により折りたたんでその空間に入れ込まなければならないこともあったため、手間が掛かるのみならず、当該折りたたみの動作により雑菌が入り込むことにもなった。
そこで、実施形態2にあっては、パッキン部分85を取出口81を含むより広い空間として、ユーザが折りたたまずにポップアップしたウェットティシューを収納できる広さとする。当該パッキン部分を構成するには、取出口81を囲む所定のエリアの第1境界部と、上蓋を閉じた際に第1境界部と対向する上蓋における第2境界部との少なくとも一方にパッキンを設ける。そして、当該パッキンは上蓋が閉まることで第1境界部と第2境界部との間を気密状態にする。
この実施形態2を説明するに当たって、回動軸を中心として回動する開閉蓋を備えたウェットティシュー収納容器についての適用することとしたが、パッキン部分を広くとることによりポップアップするウェットティシューを収納する部分を広く確保することはスライド開閉についての適用もできる。
【0054】
≪実施形態3:取出口をパッキン部のうちの開ける方向に寄せる≫
図6は、スライド開閉する上蓋を有するウェットティシュー収納容器においてウェットティシューのポップアップした部分の収納を示す図である。
図6(a)では、取出口11を含むパッキン部分は、上蓋20の裏側に設けられた蓋側パッキン21と容器本体10側に設けられたケース側パッキン14との嵌合により構成される。そして、この嵌合は上蓋20のスライド開閉の移動において、スライドして閉まることで気密状態にするようにパッキン形状、構造が設けられている。
ここで、ケース側パッキン14が設けられている容器本体10側のエリアが第1境界部であり、蓋側パッキン21の設けられている上蓋20のエリアが第2境界部である。第1境界部と第2境界部との双方にパッキンを設けた例を
図6(a)には示してあるが、一方のみに設ける例、双方に開いた形状のパッキンを設けて上蓋20が閉じた状態で閉じた領域が完成する形状にする例などが可能である。
【0055】
図6(b)では、取出口11を設ける位置を上蓋20の閉じる位置から長い距離を確保した位置としている。これによりポップアップしたウェットティシューを収納する空間を確保できる。このとき取出口11からポップアップするウェットティシューの高さよりも、取出口から上蓋が閉じる向きの側にある第1境界部までの距離が長いようにすることで、ポップアップしたウェットティシューにユーザが触れることなく、上蓋20を閉めるだけで、噛み込むことなくポップアップしたウェットティシューを収納できる。
また、
図6(b)では、上蓋20の開く方向に取出口11を寄せて設けているともいえる。つまり、取出口から上蓋が閉じる向きの側にある第1境界部までの距離は、取出口から上蓋が開く向きの側にある第1境界部までの距離に比べて長い。そのように取出口と上蓋との位置関係を定めることにより、ポップアップしたウェットティシューを収納するスペースをより大きく確保できる。ここで閉じる向きとは、上蓋20がスライド移動して閉じる際に動いていく先の方向を意味し、開く向きとは上蓋20がスライド移動して開く際に動いていく先の方向を意味する。
上蓋20がスライド移動して閉じる際には、蓋側パッキン21はポップアップしたウェットティシューと接触しつつ移動するので、パッキンが薬液を取り込み濡れることでパッキン同士の密着度を高める。パッキンが軟質材からなる場合には、その効果がより高い。
【0056】
≪実施形態4:取出口の位置を包装袋取出口の位置からずらすことで待機スペースを確保する≫
図7(a)は、ウェットティシュー収納容器の取出口と、ウェットティシュー包装袋の取出口との位置をずらしていることを示す図である。
図7(a)では、上蓋20が開いている状態を示している。ここでは、容器本体10の側の取出口11を包装袋天面取出口71の位置から所定の距離(例えば8ミリメートル)だけスイッチ方向にずらして設けている。
図7(a)では、包装袋天面取出口71が透けて見えるように描いてある。容器本体10の当該箇所の部材を透明にすることで、上蓋20の開放時に包装袋天面取出口71がユーザから見えるようにすることができる。その場合に、積層されたウェットティシューの最上部の一枚目を取りやすいのは無論であるが、不透明の場合であっても、数ミリメートル程度のずれであれば、ユーザが指を入れて探ることで最初の一枚目を掴んで引き出すことが可能である。
【0057】
このように、包装袋天面取出口71を容器本体の取出口11から平面視において所定の距離を設けることで、包装袋と取出口11との間にポップアップしたウェットティシューの収納スペースを確保することができる。
なお、ここでは、数ミリメートルというわずかの距離としたが、
図4(b)、(c)に描いたように比較的大きな隔たりを設けた場合には、包装袋を容器本体に収納する際にあらかじめ最上部の一枚目を引き出して容器本体の取出口11から指が届く範囲に一枚目のポップアップしたウェットティシューが位置するようにして収納することにより使用が可能となる。
【0058】
図7(b)は、取出口11を含む広い範囲をパッキン14で囲む様子を示している。上蓋20は、スライド移動することでパッキン14と嵌合してウェットティシューを密閉する空間を形成する。
図7(c)は、横から見た模式図である。取出口11を形成する部材の高さはパッキン14の高さよりも低い。ポップアップしたウェットティシューはパッキンにより形成された空間に十分に収納され得る。
図7(d)は、包装袋に収納されたウェットティシューの積層体Qを示している。Z字型に折られた構造となっており、当該折り幅がポップアップの高さを決定する。折り幅を工夫してポップアップの高さをコントロールすることについては実施形態8において後述する。
図7(d)では、包装袋を描いてはいないが、包装袋の天面には包装袋天面取出口71が設けられる。
【0059】
図7(e)は、上述したパッキン部分(第1境界部と第2境界部とが嵌合することにより形成される密閉空間)を構成するパッキン以外の部材、すなわち上蓋20の裏側と容器本体10の一部の部材の断面形状を示したものである。
図7(e)に示すような吸盤形状又は凸形状とすることにより、ウェットティシューに浸透された薬液を保持しやすい形状とする。これにより、パッキンが薬液を含み濡れやすくなり、パッキン同士の嵌合をより密着度の高いものとする。
図7(f)は、パッキン14又はパッキン21の表面形状をその断面により示したものである。パッキン14又はパッキン21も
図7(f)に描く吸盤形状又は凸形状とすることでウェットティシューに浸透している薬液を取り込みやすくなる。それによりパッキン同士の密着性を高める。
【0060】
≪実施形態5:取出口にフィルムを取り付ける≫
図8は、取出口11のフィルム形状を示す図である。
図8(g)に示すように、容器本体10の取出口11の下側にフィルム90を設ける。容器本体10の内部にウェットティシュー積層体Qを収納し、その最上部の一枚であるPがフィルム90を通り抜けてポップアップしている状態が描かれている。このフィルム90には、例えば
図8(a)に描かれるように直線状のスリットが設けられる。
図8(b)に描かれているフィルムは中心部の小円形の孔が設けられ、その周りに伸縮性のフィルムを設けた例である。
図8(c)は星型の形状のスリットを設けている。
図8(d)は波型形状である。
図8(e)は、中心部において、前後からの二枚のフィルムが一定幅で重なっている状態のものである。それを横から見た図が
図8(f)である。
【0061】
これらのフィルムは、安定したポップアップをもたらすものである。すなわち、ポップアップする方向や、ポップアップするウェットティシューの高さなどを安定させる役割を果たす。フィルムは取出しがし易いように透明にして中の様子が見えるようにしてもよい。フィルム素材はPP等のもの(ドライタイプのBOXティシューで使用しているもの)などを使用できる。フィルムは容器本体10の取出口11の部分に裏側(内側)から接着することができる。容器本体10に直接接着してもよいし、上述したアセンブリシャーシに接着してもよい。フィルムの接着は熱接着のほか、ホットメルト接着、超音波接着が可能であり、また容器成型時のインモールド成型等により接着することもできる。
容器本体10に設けずに、包装袋天面取出口71にフィルム90を設けることとしてもよい。
【0062】
≪実施形態6:ウェットティシュー取出口の方向、ウェットティシュー積層体の折方向と開閉方向との関係≫
図9は、上蓋の開閉方向と取出口の長手方向(ウェットティシュー積層体の折り方向)との関係を示す図である。
図9(a)は容器本体10の天面に設けられた取出口11を上蓋20がスライド移動して塞ぐ様子を模式的に示している。今、取出口11にはその長手方向に沿った直線状のスリットがはいっているものとすると、ポップアップしたウェットティシューは
図9(c1)に示すように取出口11の短手方向に倒れやすい。そして、
図9(c2)に示すように取出口11の長手方向には倒れにくい、あるいは倒れる長さが短い。
【0063】
ここで、ウェットティシュー積層体の折り方向は、折り目が延びる方向(エッジの方向)とする。
図9(b1)に描かれたように、ウェットティシュー積層体の折り方向が上蓋の開閉方向に垂直であると上蓋20の開閉時に上蓋20のスライドによりポップアップしたウェットティシューが全面的に倒れることで噛み込みが起きる。
それに対して、ウェットティシュー積層体の折り方向が上蓋の開閉方向に対して平行であると上蓋20の開閉時に上蓋のスライドによりポップアップしたウェットティシューが開閉方向には倒れにくいので噛み込みが起きにくい。
【0064】
図10は、ウェットティシュー積層体の折り方向と、取出口方向と、蓋の開閉方式との関係を評価したことを示す図である。
図10(a)は、容器本体10の天面に設けられた取出口11と上蓋20、そして上蓋20のスライド開閉する方向を示している。
図10(b)は、ウェットティシュー積層体Qを示しており、折り方向は、折り目の方向(エッジの方向)と一致する。
図10(c)は取出口11の長手方向が開閉方向と平行な向きである様子を示している。
図10(d)は取出口11の長手方向が開閉方向と垂直な向きである様子を示している。
図10(e)の表に示すように、取出口方向の向きの如何にかかわらず、ウェットティシュー積層体の折り方向が上蓋20の開閉方向と平行であれば、スライド開閉蓋における噛み込みを効果的に防止できることがわかった。また、オープン式(回動蓋)の場合には、折り方向を垂直にしても、噛み込み防止の効果はみられなかった。
【0065】
≪実施形態7:舌片部(舌状体)を設ける≫
図11は、ケース側パッキン14の形状(舌片部を含む)を示す図である。
図11(a)、(b)は横から見た形状を示し、
図11(c),(d),(e)は平面図で示したものである。舌片部(舌状体)14aは、ケース側パッキン14と一体成型して形成しているが、ケース側パッキン14とは別体として形成して容器本体10の裏側に設けてもよい。
舌片部(舌状体)14aは、
図11(a),(b)に示すように、弓なり形状をするものとして構成できる。また、
図3に示したようにまっすぐ延びるものであってもよい。また、舌片部14aを設ける個数は、1個でもよいし、2個、3個などの複数でもよい。
図11(c)、(d)の例では1個設けた例を示し、
図11(e)では2個設けた例を示している。また、
図2,3に示した例では3個である。
【0066】
この舌片部(舌状体)が存在することにより、ポップアップするウェットティシューは、噛み込みや巻き込みをせずに、その通り道を効果的に規定される。また、舌片部がウェットティシューに接触することによりパッキンに薬液が転写されて、パッキンが濡れることによりパッキンの気密性が向上する。
【0067】
≪実施形態8:ウェットティシュー積層体の折り幅を変える≫
図12は、ウェットティシュー積層体の折り方を説明する概念図である。
図12(a)は、ウェットティシュー積層体Qのうちの三つの高さA,B,Cを示している。高さAは、使い始めから間もない時期における高さである。高さBは半分ほど使った後の高さである。高さCは残り少なくなったときの高さである。
図12(b1)、(b2)、(b3)は、ウェットティシュー積層体における折方が全体にわたって同一であり、ポップアップするウェットティシューの高さが最上面から同一の高さとなっている様子を示している。この場合、容器本体10の天面からポップアップしたウェットティシューの高さは、変化する。すなわち、使いはじめでは取出口11から飛び出るウェットティシューの長さが長く、使い終わりに近づくにつれて短くなる。
【0068】
ポップアップする高さがウェットティシュー積層体Qの最上部からどれだけの長さ(高さ)になるかは、折り幅により決定される。したがって、使いはじめではポップアップする高さが短く、使い終わりに近づくにつれて長くなるような折り方が可能である。
図12(b4)、(b5)、(b6)はそのような折り方をしたウェットティシュー積層体Qのようすを示している。このような折り方をしたウェットティシュー積層体Qを用いれば、容器本体10の取出口11から飛び出るウェットティシューの高さ(長さ)をコントロールでき、その結果、噛み込みを防止することができる。
【0069】
以上説明したウェットティシュー収納容器1によれば、上面に取出口11を有し、内側に家庭用薄葉紙Pを収納するケース体(容器本体10及びシャーシ30)と、ケース体に対してスライド移動することで取出口11を開閉させる蓋体としての上蓋20と、上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材50を有し、当該上蓋20を開放状態となる方向にスライド移動させる可動機構(付勢部材50、固定側係合部33及び可動側係合部22)と、付勢部材50の付勢力に抗して上蓋20が閉塞状態となるように係止するとともに、当該係止を解除可能な係止手段(爪部23及び爪受部34c)と、を備えている。
すなわち、係止手段(爪部23及び爪受部34c)による係止を解除すると、付勢部材50の付勢力によって、取出口11を閉塞していた上蓋20がスライド移動して開放状態となり、取出口11が開放されることとなる。
したがって、係止手段(爪部23及び爪受部34c)による係止を解除するだけで付勢部材50の付勢力によって自動的に上蓋20が開くので、上蓋20の開放動作が行いやすく、利便性が高い。
【0070】
具体的には、付勢部材50は、伸縮部材により構成され、可動機構は、ケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)に設けられ付勢部材50の一端と係合する固定点としての固定側係合部33と、上蓋20に設けられ付勢部材50の他端と係合する可動点としての可動側係合部22と、を備えている。
なお、ウェットティシュー収納容器1に備える付勢部材50の個数(本数)は、2つ(2本)に限ることはなく、適宜任意に変更可能であり、1つ(1本)であっても良いし、3つ(3本)以上あってもよい。また、固定側係合部33や可動側係合部22の個数は、付勢部材50の個数に応じて、適宜任意に変更可能である。
また、上蓋20が、ケース体の外側でスライド移動するように構成したが、これに限ることはなく、上蓋20が、ケース体の内側でスライド移動して、上蓋20の開放状態において上蓋20の大部分(例えば、可動側指掛部25を除く部分)がケース体内に収まるように構成することも可能である。
【0071】
また、以上説明したウェットティシュー収納容器1によれば、上蓋20は、当該上蓋20の状態にかかわらず、外部から視認不能に付勢部材50を遮蔽している。したがって、ウェットティシュー収納容器1の美観が向上する。
また、付勢部材50が触られることを防止することができるので、付勢部材50に汚れが付きにくく、付勢部材50に指等が挟まる心配もなく、衛生的に安全に使用することができるとともに、付勢部材50が、取り外されてしまったり、取り外されて誤飲されてしまったりすることを防止することができる。
【0072】
また、以上説明したウェットティシュー収納容器1によれば、上蓋20が開放状態となる際の衝撃を吸収するダンパー24a,27aを備えている。
すなわち、上蓋20は付勢部材50の付勢力によって自動的に開くが、その際の衝撃がダンパー24a,27aによって吸収されるので、上蓋20が開放状態となる際の衝撃に伴う上蓋20やケース体(本実施形態の場合、主に容器本体10)の磨耗を抑制したり、上蓋20が開放状態となる際に生じる衝突音を軽減したりすることができる。
【0073】
また、以上説明したウェットティシュー収納容器1によれば、ケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)には、上蓋20のスライド移動をガイドするためのレール部31aが設けられ、上蓋20には、レール部31aに対してスライド移動可能に係合するスライド部24が設けられている。
すなわち、上蓋20はスライド移動することによって取出口11を開閉させるが、そのスライド移動がレール部31aによってガイドされるので、上蓋20をスムーズかつ確実に開閉することができる。
【0074】
また、以上説明したウェットティシュー収納容器1によれば、上面に取出口11を有し、内側に家庭用薄葉紙Pを収納するケース体(容器本体10及びシャーシ30)と、ケース体に対してスライド移動することで取出口11を開閉させる蓋体としての上蓋20と、上蓋20が閉塞状態となるように係止するとともに、当該係止を解除可能な係止手段(爪部23及び爪受部34c)と、を備え、上蓋20には、可動側指掛部25が設けられ、ケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)のうち係止手段(本実施形態の場合、爪受部34c)よりも上蓋20の閉塞状態となる方向側には、固定側指掛部35が設けられている。
すなわち、可動側指掛部25に指を掛けて上蓋20に閉塞状態となる方向(本実施形態の場合、右方向)の力を加えることができるだけでなく、上蓋20を閉める際に、閉塞状態となる方向の力が上蓋20だけでなくケース体(容器本体10及びシャーシ30)に加わってしまっても、固定側指掛部35に指を掛けてケース体に逆方向の力を作用させてケース体を固定しておくことができるので、ケース体が滑ってしまうことがない。
したがって、片手で上蓋20を閉めることができ、上蓋20の閉塞動作が行いやすい。
【0075】
特に、上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材50を備えているので、上蓋20を閉める際に、上蓋20の閉塞状態となる方向の力として、付勢部材50の付勢力に抗する力を上蓋20に加えることとなる。その際に、付勢部材50の付勢力によって、付勢部材50の付勢力に抗する力と同じ方向の力がケース体に加わるので、ケース体は上蓋20の閉塞状態となる方向側に滑りやすいが、固定側指掛部35を設けることで、ケース体が滑らないように、固定側指掛部35に指を掛けてケース体を固定しておくことができる。
なお、ウェットティシュー収納容器1に上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材50を設けたが、これに限ることはなく、ウェットティシュー収納容器1に付勢部材50を設けなくてもよい。ウェットティシュー収納容器1に付勢部材50を設けない場合には、可動側指掛部25と固定側指掛部35との双方に指を掛けて上蓋20を開閉することができる。したがって、片手で上蓋20を開閉することができ、上蓋20の開閉動作が行いやすい。
【0076】
また、以上説明したウェットティシュー収納容器1によれば、ケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)は、係止手段(爪部23及び爪受部34c)による係止を解除する際に押圧されるスイッチ部34を備え、固定側指掛部35は、スイッチ部34に離間してケース体(本実施形態の場合、シャーシ30)に設けられた突起部である。
具体的には、ケース体は、容器本体10と、当該容器本体10の上面に固定されるシャーシ30と、を備え、上蓋20は、シャーシ30に取り付けられ、固定側指掛部35は、シャーシ30の端部(本実施形態の場合、上壁部32の右端部)を上側に向けて起立させることにより形成された突起部である。
したがって、固定側指掛部35がスイッチ部34に離間して設けられているので、固定側指掛部35に掛けた指でスイッチ部34を誤操作してしまうことを防止することができ、上蓋20を片手で確実に閉めることができる。
なお、スイッチ部34を回動可能に構成したが、これに限ることはなく、スイッチ部34を押圧することで係止手段(爪部23及び爪受部34c)による係止を解除できるのであれば、スイッチ部34の構成は適宜任意に変更可能であり、例えば、スイッチ部34は上下方向に揺動可能に構成しても良い。
また、スイッチ部34や固定側指掛部35を設ける箇所は、スイッチ部34や固定側指掛部35が容器本体10の平面(上面)視外形からはみ出さないのであれば、適宜任意に変更可能である。
【0077】
また、以上説明したウェットティシュー収納容器1によれば、上面に取出口11を有し、内側に家庭用薄葉紙Pを収納するケース体と、ケース体に対してスライド移動することで取出口11を開閉させる蓋体としての上蓋20と、上蓋20を開放状態となる方向に付勢する付勢部材50と、を備え、ケース体は、容器本体10と、当該容器本体10の上面に固定されるシャーシ30と、を備え、付勢部材50と上蓋20とは、シャーシ30に組み付けられて一体に構成されたアセンブリ体Aの状態で、容器本体10に取り付けられている。
具体的には、本実施形態において、容器本体10は、上面に凹部13を有し、取出口11は当該凹部13に設けられ、アセンブリ体Aは、凹部13内に当該凹部13の上方から嵌め込まれている。
また、以上説明したウェットティシュー収納容器1の製造方法によれば、シャーシ30に、付勢部材50と上蓋20とを組み付けてアセンブリ体Aを形成し、次いで、アセンブリ体Aを容器本体10に取り付けるようになっている。
したがって、上蓋20と付勢部材50とを別々に容器本体10に取り付ける必要がないので、組み立てやすい。
【0078】
なお、取出口11の下側には、ケース側パッキン14につながる部分として舌片部14aが設けられて、ウェットティシューのポップアップを調整する役目を果たす。
図2に示す例では、この舌片部14aは取出口11のプッシュボタンに近い側と遠い側とでは向きを異ならせて設けている。すなわち、プッシュボタンに近い側は、水平に設けているのに対し、遠い側では舌片部の先が下に降りるように延びている。ウェットティシューのポップアップした部分がプッシュボタンからは遠い側になびくように工夫したものである。これにより、ウェットティシューを噛み込むことを防止している。上蓋20が閉じる際に、ウェットティシューを噛み込むと、当該ウェットティシューを使えなくなる場合があるのみならず、密閉性が悪くなり、内部のウェットティシューに浸透している薬液の揮発が生じる可能性があるからである。
【0079】
なお、本発明は、上記実施形態1〜8に限定されるものではなく、具体的な構造について適宜変更可能であるのは勿論である。