特許第6043497号(P6043497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043497
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】自動製氷機の運転方法
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/22 20060101AFI20161206BHJP
   F25C 5/10 20060101ALI20161206BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   F25C1/22 303B
   F25C5/10
   F25B1/00 351E
   F25B1/00 101H
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-87806(P2012-87806)
(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公開番号】特開2013-217555(P2013-217555A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢二
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−257915(JP,A)
【文献】 特開平10−281603(JP,A)
【文献】 特開2001−027466(JP,A)
【文献】 特開平06−341720(JP,A)
【文献】 特開2001−317844(JP,A)
【文献】 特開2008−175439(JP,A)
【文献】 特開平07−103624(JP,A)
【文献】 特開2009−180475(JP,A)
【文献】 特開2008−298414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00
F25B 1/00
F25C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷運転時は、圧縮機(CM)から凝縮器(CD)および膨張手段(EV)を介して蒸発器(14)へ冷媒を供給し、該蒸発器(14)により冷却された製氷部(12)へ製氷水を供給して氷塊を生成し、除氷運転時は、前記圧縮機(CM)からホットガス弁(HV)を介して蒸発器(14)へホットガスを供給し、該蒸発器(14)の加熱により前記製氷部(12)から氷塊を離脱させるようにした自動製氷機の初期運転に際し、前記圧縮機(CM)の起動前に保護時間を設け、前記保護時間の経過により圧縮機(CM)を起動して除氷運転を開始する運転方法において、
前記圧縮機(CM)の保護時間中に前記ホットガス弁(HV)を開放して、前記圧縮機(CM)における高圧側と低圧側との冷媒の圧力が略平衡したところで該圧縮機(CM)を起動して前記除氷運転を開始し、
前記開放中のホットガス弁(HV)を閉成させると共に、前記除氷運転時における圧縮機(CM)の起動直後しばらく該ホットガス弁(HV)の閉成を継続させた後に開放させるようにした
ことを特徴とする自動製氷機の運転方法。
【請求項2】
前記開放中のホットガス弁(HV)は、前記圧縮機(CM)が起動した後に閉成され、次いで前記除氷運転中に開放される請求項1記載の自動製氷機の運転方法。
【請求項3】
前記開放中のホットガス弁(HV)は、前記圧縮機(CM)の起動と同時に閉成され、次いで前記除氷運転中に開放される請求項1記載の自動製氷機の運転方法。
【請求項4】
前記開放中のホットガス弁(HV)は、前記圧縮機(CM)の保護時間中に閉成され、次いで前記除氷運転中に開放される請求項1記載の自動製氷機の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動製氷機を初めて運転したり、運転を長時間停止した後に改めて製氷運転を開始したりする初期運転に際し、起動時に圧縮機に加わる負荷を軽減させ得る自動製氷機の運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下向きに開口する多数の製氷小室に製氷水を下方から噴射供給して、氷塊を連続的に製造する噴射式自動製氷機が、喫茶店やレストラン等の施設、その他の厨房で好適に使用されている。図7に示すように、前記自動製氷機の製氷機構10は、本体内に水平に配置した製氷室(製氷部)12に、下方に開口する製氷小室12aが碁盤目状に多数画成されている。また前記製氷室12の上面には、蒸発器14が蛇行配置され、該蒸発器14は、圧縮機CM,凝縮器CD,膨張手段EV,凝縮器を冷却する冷却ファンモータFM等から成る冷凍回路24に連通している。更に製氷室12の直下には、支軸16aを介して水皿16が傾動可能に枢支されると共に、該水皿16の下部には製氷水タンク18が一体的に設けられている。
【0003】
前記製氷機構10では、前記製氷小室12aを下方から水皿16で閉成した状態で製氷運転に入ると、前記冷凍回路24から膨張手段EVを介して気化冷媒を蒸発器14へ循環供給して製氷小室12aを強制的に冷却すると共に、製氷水タンク18に設けられたポンプモータ19により該製氷水タンク18内の製氷水を水皿16から該製氷小室12aに噴射供給する。これにより前記製氷小室12a内に氷塊Mが徐々に生成される。そして、製氷室12に配設した温度検知手段THが氷塊Mの生成を検知すると製氷運転から除氷運転に移行し、常には閉成しているホットガス弁HVを開放して前記蒸発器14にバイパス回路26を介してホットガスを供給し、該製氷室12を加熱する。また、水皿開閉モータAMを駆動して前記水皿16を支軸16aを中心として斜め下方へ傾動させ、前記製氷小室12aを開放する。この除氷運転で、前記製氷室12はホットガスにより加熱されて、製氷小室12aと氷塊Mとの氷結部が融解する。そして該氷塊Mは自重により製氷小室12aから離脱落下し、斜めに開放している水皿16上を滑落してストッカ22に貯蔵される。このストッカ22には、満氷を検知する貯氷スイッチSWが設けられ、該貯氷スイッチSWが検知状態となると、製氷運転および除氷運転を繰り返す製氷サイクルを停止する。そして、ストッカ22内の氷塊Mが減り貯氷スイッチSWが非検知状態となると、製氷サイクルが再開されるようになっている。前記製氷室12からの氷塊Mの離脱完了は前記温度検知手段THにより検出され、これにより除氷運転は製氷運転に移行して、前記水皿開閉モータAMが逆駆動して水皿16を再び閉成位置にまで復帰させる。
【0004】
例えば、ホットガスにより除氷を行う製氷装置としては、蒸発器にホットガスを供給するバイパス回路に並列に一対のホットガス弁を介挿し、除氷運転の開始時には一方のホットガス弁を開き、ホットガスを少量だけ蒸発器に供給して水皿と氷塊の氷結部分を融解させた後、所定時間経過後に他方のホットガス弁を開くことで多量のホットガスを蒸発器に供給し、製氷小室と氷塊との氷結部分を融解するよう構成したもの等が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−8579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した自動製氷機では、その運転を開始すると、前記圧縮機CMが起動して前記冷凍回路24に冷媒を循環させる。起動時における圧縮機CMの負荷を軽減させるために、図8(1)に示す如く、該圧縮機CMに一定の保護時間を与え、電源投入後直ちに起動しないようにしてある。また前記保護時間中にホットガス弁HVを開放して、圧縮機CMにおける冷媒の高圧側と低圧側との圧力平衡を図り、これが略達成された後に、該圧縮機CMを起動するようにしている。なお、前回の除氷運転に際して、前記水皿16に氷塊が残留しているようなことがある。この場合に、製氷機を起動して直ちに製氷運転に移行すると、傾動姿勢から水平姿勢に移行復帰する水皿16が、前記残留した氷塊を製氷室12との間で噛み込んでしまう虞れがある。
【0007】
このような氷噛みを回避するために、製氷機を起動すると先ず最初に除氷運転から入るモードに予め設定されている。そして圧縮機CMの起動と同時に前記温度検知手段THが製氷室12の温度監視を行い、該製氷室12の上昇温度が或る設定値(例えば10℃)に到達したことを検出すると、ホットガス弁HVを閉成し、前記水皿開閉モータAMを駆動して水皿16を閉成位置まで復帰させ、製氷運転に入る制御を行っている。
【0008】
ところで、工場から出荷された自動製氷機を厨房等に据付けて初めて運転したり、長時間に亘り製氷運転を停止した後に改めて電源を投入したりする場合、また前記貯氷スイッチSWがストッカ22の満氷を検知してONし、電源が入ったままで製氷機を長時間停止した後に該貯氷スイッチSWがOFFして製氷サイクルを再開する場合(以下「初期運転」という)では、前記圧縮機CMの保護時間中にホットガス弁HVを開放すると、起動後の圧縮機CMに大きな負荷が加わることになる。すなわちホットガス弁HVの開放による冷媒の圧力平衡により、図8(2)に示すように、圧縮機CMの低圧側圧力は高くなる。そして除氷運転中にも低圧側の圧力は上昇し続けると共に、高圧側の圧力も漸次高くなる。このような状態で前記製氷運転に移行して製氷室12への製氷水の噴射が開始されると、圧縮機CMの低圧側および高圧側の圧力はかなり高いために、該圧縮機CMが内蔵しているピストンに過大な機械的負荷が加わり、圧縮機用モータへの負荷が大きくなる。
【0009】
このような過負荷運転を継続すると、既に製氷運転において前記製氷室12へ循環供給される製氷水と該製氷室12との間で熱交換がなされるために、前記蒸発器14を流通する冷媒の温度は上昇する。すなわち図8(2)に示すように、圧縮機CMにおける冷媒の低圧側圧力は更に徐々に上昇するため、該圧縮機CMの駆動モータに加わる負荷はその後も上昇することになる。そして、場合によっては、負荷の増大に伴い圧縮機CMが緊急停止することがあり、これは絶対に回避すべき事象である。なお、冷蔵庫の場合は、冷却対象が水でなく空気であって熱容量負荷が小さいので、このような問題は発生しない。
【0010】
そこで前記の不都合を防止するために、圧縮機CMにおける駆動モータのトルクを増大させて前記のピーク負荷を乗り切ることが考えられる。しかし、この場合は、駆動モータの容量が大きいものを採用する必要があり、圧縮機CMの単価が増大したり、消費電力が嵩む等の不都合を生じる。
【0011】
そこで本発明は、従来の自動製氷機の初期運転に内在している前記課題に鑑み、これを好適に解決するために提案されたものである。すなわち本発明の目的は、自動製氷機の初期運転に際して、製氷室へ循環供給される比較的高い温度の製氷水により冷凍回路中の冷媒温度が上昇するような場合であっても、圧縮機の低圧側圧力の上昇を防止し、これにより該圧縮機に加わる負荷を低減させて、緊急停止の虞れをなくした運転方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願請求項1に係る自動製氷機の運転方法は、
製氷運転時は、圧縮機から凝縮器および膨張手段を介して蒸発器へ冷媒を供給し、該蒸発器により冷却された製氷部へ製氷水を供給して氷塊を生成し、除氷運転時は、前記圧縮機からホットガス弁を介して蒸発器へホットガスを供給し、該蒸発器の加熱により前記製氷部から氷塊を離脱させるようにした自動製氷機の初期運転に際し、前記圧縮機の起動前に保護時間を設け、前記保護時間の経過により圧縮機を起動して除氷運転を開始する運転方法において、
前記圧縮機の保護時間中に前記ホットガス弁を開放して、前記圧縮機における高圧側と低圧側との冷媒の圧力が略平衡したところで該圧縮機を起動して前記除氷運転を開始し、
前記開放中のホットガス弁を閉成させると共に、前記除氷運転時における圧縮機の起動直後しばらく該ホットガス弁の閉成を継続させた後に開放させるようにしたことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、圧縮機の起動直後しばらくホットガス弁の閉成が継続されるので、圧縮機における冷媒の低圧側の圧力が低下する。このため、圧縮機への負荷が軽減されて起動後の負荷ピークを容易に乗り切ることができる。また、除氷運転では製氷部に製氷水の供給がなされておらず、ホットガス弁の閉成中に蒸発器へ供給された冷媒が圧縮機に帰還し易く、また帰還する冷媒による圧縮機の温度上昇も僅かになるので、圧縮機の運転負荷が軽減できる。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記開放中のホットガス弁は、前記圧縮機が起動した後に閉成され、次いで前記除氷運転中に開放されることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、圧縮機の起動後に圧縮機における冷媒の低圧側の圧力を低下させることができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、前記開放中のホットガス弁は、前記圧縮機の起動と同時に閉成され、次いで前記除氷運転中に開放されることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、ホットガス弁が圧縮機の起動と同時に閉成されるので、圧縮機を起動させた際に圧縮機の低圧側の圧力が上昇せず、圧縮機の負荷をより軽減できる。
【0015】
請求項4に係る発明は、前記開放中のホットガス弁は、前記圧縮機の保護時間中に閉成され、次いで前記除氷運転中に開放されることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、圧縮機が起動する前にホットガス弁が閉成されているので、圧縮機を起動させた際に圧力平衡による冷媒の流れがなく、起動時の圧縮機に過大な負荷が加わらず、圧縮機の安定性が増大する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る自動製氷機の運転方法によれば、製氷機を初めて運転したり、比較的長い運転停止期間を経た後に製氷機を再起動したりする所謂初期運転に際しても、圧縮機に加わる負荷を低減させて、該圧縮機の緊急停止の虞れを回避することができる。従って圧縮機を駆動するモータに過大のトルクが加わることがなく、電力消費の低減を図ると共に、モータ焼損等の危険をなくすことができる。更に、圧縮機を駆動するモータの容量・仕様を低く設定することも可能になるので、該モータに要するコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(1)は、実施例1に係る噴射式製氷機の初期運転時におけるタイミングチャート図であり、(2)は、冷媒の高圧側および低圧側の経時的な変化を示すダイアグラムである。
図2】実施例1の噴射式製氷機における圧縮機およびホットガス弁の初期運転時の運転手順を示すフローチャート図である。
図3】(1)は、実施例2に係る噴射式製氷機の初期運転時におけるタイミングチャート図であり、(2)は、冷媒の高圧側および低圧側の経時的な変化を示すダイアグラムである。
図4】実施例2の噴射式製氷機における圧縮機およびホットガス弁の初期運転時の運転手順を示すフローチャート図である。
図5】(1)は、実施例3に係る噴射式製氷機の初期運転時におけるタイミングチャート図であり、(2)は、冷媒の高圧側および低圧側の経時的な変化を示すダイアグラムである。
図6】実施例3の噴射式製氷機における圧縮機およびホットガス弁の初期運転時の運転手順を示すフローチャート図である。
図7】実施例に係る噴射式製氷機の製氷機構と冷凍回路とを概略的に示す説明図である。
図8】(1)は、従来技術に係る噴射式製氷機の初期運転時におけるタイミングチャート図であり、(2)は、冷媒の高圧側および低圧側の経時的な変化を示すダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る自動製氷機の運転方法について、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下に説明する。なお、実施例では、製氷室に下方から製氷水を噴射供給し、除氷に際して前記水皿が斜め下方へ傾動する型式の噴射式製氷機を示すが、その製氷方法はこれに限られるものではない。例えば直立配置または傾斜配置した製氷板に上方から製氷水を循環供給して、板氷や三日月形氷を生成する流下式製氷機等であってもよい。
【0019】
本発明に係る自動製氷機の運転方法が実施される噴射式製氷機の概略は、図7で説明したところである。また本発明の運転方法が実施されるのは、前述した製氷機の初期運転の場合である。すなわち、工場で試験運転を終え梱包された自動製氷機が、レストラン等に設置されて初めて電源を投入される場合や、何等かの事情により前回の製氷運転から或る程度時間を経た後に電源を投入したりする場合、またストッカの満氷が検知され、電源が入ったまま製氷サイクルを長時間停止した後に製氷サイクルが再開される場合を、ここでは「初期運転」という。このような初期運転に際して、製氷機の電源を投入したり運転を再開したりする場合には、圧縮機の保護時間を経過した後に該圧縮機を駆動することや、最初に除氷運転から開始されることも、前述した通りである。
【0020】
本発明は、前記初期運転に際して、圧縮機の保護時間が経過する前に冷凍回路のホットガス弁を開放し、その後に所要のタイミングで該ホットガス弁を閉成する制御を好適に行って、圧縮機に過剰な負荷が加わるのを防止するものである。本発明では、前記ホットガス弁を開放・閉成するタイミングについて3つの実施例が考えられるので、以下に各実施例を経時的に説明する。
【実施例1】
【0021】
図7に示す噴射式製氷機において、前記初期運転を実行するため電源を投入したものとする。このとき、図1(1)のタイミングチャートに示すように、圧縮機CMには例えばタイマにより遅延させる保護時間が設定されているので、該圧縮機CMの駆動は遮断(OFF)されている。また冷凍回路24中のホットガス弁HVは閉成(OFF)しており、凝縮器CDの冷却ファンモータFMも停止(OFF)している。更に水皿開閉モータAMは、水皿16を製氷室12を下方から閉成する上昇位置で停止(OFF)している。
【0022】
電源投入後の経時的な動作を、図2のフローチャートを参照して説明する。ステップS1で電源を投入して製氷機を起動させると、ステップS2で圧縮機CMの保護時間が開始する。閉成中にあるホットガス弁HVは、例えば電源投入から2分30秒で開放するよう時間設定してあるので、圧縮機CMの保護時間に入った後、ステップS3では該ホットガス弁HVが所定の設定時間を経過したか否かを確認し、肯定(YES)であればステップS4に進んでホットガス弁HVを開放する。
【0023】
このホットガス弁HVの開放により、図1(2)に示す如く、圧縮機CMにおける冷媒の高圧側は低下し、また低圧側は上昇して両者の圧力は略平衡するに到る。そして前記圧縮機CM保護時間は、例えばタイマで3分間の遅延時間として設定されるので、ステップS5で、圧縮機CMの保護時間が経過したか否かを確認し、肯定(YES)であればステップS6に進んで圧縮機CMを起動させると共に、水皿開閉モータAMを駆動して水皿16を製氷室12から下降させることで除氷運転を開始する。
【0024】
このように製氷機が除氷運転に入った後に、次のステップS7でホットガス弁HV開放後に一定時間(例えば、除氷運転が開始されてから数秒〜10秒程度)が経過したか否かを確認し、肯定(YES)であればステップS8へ進んでホットガス弁HVを閉成する。このときは、図1(2)に示すように、先に圧力平衡して低下していた高圧Pdは圧縮機CMの駆動により若干上昇し、また圧力平衡により上昇していた低圧Psも若干上昇するが、該圧縮機CMに負担が加わる程度のものではない。次いでステップS9において、ホットガス弁HVが閉成した後に一定時間(例えば、数秒〜30秒)が経過したか否かを確認し、肯定(YES)であればステップS10でホットガス弁HVを開放する。すなわち、圧縮機CMの起動後しばらくホットガス弁HVの閉成が継続される。
【0025】
前記ステップS8からステップS10に到るホットガス弁HVが閉成している間における冷媒の挙動を、図1(2)に示す。すなわち、この間に高圧Pdは更に上昇するが、圧縮機CMの運転により蒸発器14は冷却されるため圧力低下に転じる。また低圧Psは、圧縮機CMの運転により低下するに到る。なお、ホットガス弁HVの開閉を制御する指標としては、前述した一定時間の経過に限られず、製氷室12の温度を検知して、該製氷室12の温度が所定値(例えば0℃)になったことを制御指標としてもよい。また、ホットガス弁HVを開閉する制御指標としては、圧縮機CMの低圧側冷媒管路に圧力センサを設け、これにより圧縮機CMの低圧Psが所定の値まで下がったことを検知したり、更に圧縮機CMの低圧側冷媒管路に温度センサを設け、これにより冷媒温度が所定の値まで下がったことを検知したりするようにしてもよい。
【0026】
前記ステップS10でホットガス弁HVを開放することにより、蒸発器14には圧縮機CMからのホットガスが直接供給されて加温される。この蒸発器14の温度上昇を前記温度検知手段THが監視し、所要の設定温度まで達したことを検知すると、ホットガス弁HVを閉成する。すなわちステップS11で蒸発器14が所要の設定温度に達したかを確認し、肯定(YES)であればステップS12に進んでホットガス弁HVを閉成する。また同時に、水皿開閉モータAMを駆動して水皿16を上昇させると共に、凝縮器CDの冷却ファンモータFMを回転駆動させる。これによりステップS13の製氷運転が開始される。この製氷運転の開始と同時に、前記ポンプモータ19を駆動して製氷室12へ製氷水の噴射供給が開示される。なお、ステップS11の判断指標は、蒸発器14における交換熱量の積算による除氷完了検知としてもよい。
【0027】
このように実施例1に係る本発明では、図1(1)および(2)に示すように、圧縮機CMの起動直後にホットガス弁HVが短時間ではあるが閉成するので、圧縮機CMにおける低圧側の圧力が低下する。このため、従来であれば、圧縮機CMの低圧側の圧力が上昇して圧縮機駆動モータに過負荷が加わっていた現象が解消され、圧縮機CMへの負荷が軽減されて起動後の負荷ピークを容易に乗り切ることができる。また、製氷室12には冷却対象である製氷水の噴射が未だなされていないため、冷凍回路24における冷媒は圧縮機CMに戻り易くなる。また蒸発器14での冷媒の熱交換は活発でないため、圧縮機CMに帰還する冷媒により該圧縮機CMの温度上昇も僅かになり、全体として製氷運転における負荷が低減される。なお、仮に製氷室12に氷塊が残留している場合があっても、氷塊はマイナス温度であるために該製氷室12の温度は充分に低下している。従って、前述した場合と同様に圧縮機CMに冷媒が帰還し易くなる。
【実施例2】
【0028】
次に、本発明の実施例2について説明する。先に説明した実施例1の発明は、圧縮機CMの保護時間中にホットガス弁HVが開放し、該圧縮機CMが起動した後にしばらくしてから該ホットガス弁HVを閉成する運転制御を行うものであった。これに対し実施例2の発明では、図3(1)に示すように、圧縮機CMの保護時間が終了して該圧縮機CMが起動し、除氷運転に入ったと同じタイミングで、ホットガス弁HVを閉成する制御を行う。図4は、この実施例2におけるホットガス弁HVの制御フローを示すもので、1点鎖線で囲んだ部分だけが、前述した図2の制御フローと相違している。すなわちステップS5で圧縮機CMの保護時間が経過したか否かを確認し、肯定(YES)である場合はステップS6に進んで圧縮機CMを起動させて除氷運転を開始すると共に、ステップ7でホットガス弁HVを閉成する。次いでステップS8において、ホットガス弁HVを閉成してから一定時間が経過したかを確認し、肯定(YES)であればステップS9でホットガス弁HVを開放する。
【0029】
このときは、実施例2の図3(2)と、実施例1の図1(2)との対比から判明する如く、冷媒の低圧Psを実施例1の場合よりも更に低下させることができる。これは、ホットガス弁HVが圧縮機CMの起動時まで開放されるので、圧縮機CMの起動直後における冷媒の低圧Psが上昇しないためである。これにより除氷運転が開始されてからも低圧Psを低く抑えることができ、製氷運転に入る際の圧縮機CMの負荷をより軽減させることが可能である。
【実施例3】
【0030】
更に本発明の実施例3を、図5および図6を参照して説明する。この実施例では、圧縮機CMの保護時間中におけるホットガス弁HVの開放タイミングを、他の実施例よりも約30秒間程前倒しに設定して、該圧縮機CMにおける冷媒の圧力平衡を早めるものである。また、前記保護時間の間に、開放しているホットガス弁HVを一定時間経過後に閉成する。これは、圧縮機CMの起動時に冷凍回路24に冷媒が流れないようにして、該圧縮機CMの起動を容易にして安定化させるためである。
【0031】
図6は、実施例3におけるホットガス弁HVの制御フローであって、2点鎖線で囲んだ部分が、図2の制御フローと相違している。すなわち実施例3では、圧縮機CMの保護時間中にホットガス弁HVを開放させる所定の時間経過が、他の実施例よりも30秒前倒しした2分に設定してある。このため図6のステップS3でホットガス弁HVが起動後に所定時間(2分)を経過したか否かを確認し、肯定(YES)であればステップS4でホットガス弁HVを開放する。次いでステップS5に進み、ホットガス弁HVが開放後に一定時間を経過したかを確認する。ここでホットガス弁HVが開放している時間は前記保護時間よりも充分短くなるように設定してある。そしてステップS5が肯定(YES)であれば、ステップS6でホットガス弁HVを閉成する。次いでステップS7で圧縮機CMの保護時間が経過したか否かを確認し、肯定(YES)であればステップS8に進んで圧縮機CMを起動させると共に、水皿開閉モータAMを駆動して水皿16を製氷室12から下降させて除氷運転を開始する。
【0032】
すなわち先の実施例2では、除氷運転に入って圧縮機CMを起動すると同時に開放中のホットガス弁HVは閉成されるが、このホットガス弁HVを開放していたことで圧力平衡により冷凍回路24中を冷媒が流れている。すなわちホットガス弁HVは同時的に閉成しているものの、冷媒は流れているので、圧縮機CMの起動負荷が大きくなってしまう。しかるに実施例3では、図5(2)に示すように、圧縮機CMが起動する前に、ホットガス弁HVが閉じている時間A(例えば、約20秒間)が充分に確保されているので、除氷運転に入って該圧縮機CMを起動させても冷媒は流れていないから、起動時の圧縮機CMに過大な負荷が加わることはない。すなわち、実施例2の場合よりも、圧縮機CMの起動時における安定性が増大する。
【0033】
(変更例)
(1) 実施例では、製氷機の初期運転に際して、圧縮機の起動直後にホットガス弁をしばらく閉成する運転方法を例に挙げて説明したが、初期運転に際して、圧縮機の低圧側圧力が高い場合や、製氷部の温度が高い場合等の条件に合致するときのみ、本発明の運転方法を実施するようにしてもよい。
(2) 実施例では、製氷機の初期運転に際し、一定時間が経過すると圧縮機の保護時間が終了し除氷運転に入る運転方法を例に挙げて説明したが、圧縮機の高圧側と低圧側との冷媒圧力が平衡に達したことを圧力センサが検知すると保護時間を終了して除氷運転に入るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
12 製氷室(製氷部),14 蒸発器,CD 凝縮器,CM 圧縮機,EV 膨張手段,
HV ホットガス弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8