(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の携帯電話には、風景や自画像を撮像するカメラモジュール、通信や人感用等の赤外線モジュール、報知用のLEDモジュール等の光モジュールが搭載されているものがある。このような光モジュールを備える携帯電話においては、筐体に光モジュール用の光透過部が形成されている。
【0006】
一方、携帯電話は、バックの中や衣類のポケットに入れて携帯されることが多く、また、屋外で使用されることが多い。そのため、光モジュールを備える場合は、光透過部表面に糸屑や埃等のゴミが付着して、所望の波長帯域の光透過率が低下することがある。その結果、例えばカメラモジュールの場合は、撮像画像が暗くなったり、撮像画像にゴミの陰影が移り込まれたりして、光モジュールの機能が十分発揮できない場合がある。
【0007】
本発明の目的は、上述した点に鑑みてなされたもので、光透過部に付着したゴミを除去でき、光モジュールの機能低下を防止できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る電子機器は、
筐体と、当該
筐体を振動させる圧電素子と、光モジュールと、前記
筐体に取り付けられた前記光モジュール用の光透過部と、を備え、
前記
筐体により、気導音と人体の一部を振動させて伝える振動音とを発生させるとともに、前記光透過部を振動させる、電子機器において、
前記圧電素子は、前記
筐体の一方側の主面部に配置され、前記光透過部は、前記一方側の主面部と対向する他方側の主面部に配置されて
いる、ことを特徴とする。
【0016】
前記圧電素子が配置されている前記
筐体の一方側の主面部から、前記光透過部が配置されている前記他方側の主面部に振動を伝達する振動伝達部をさらに有してもよい。
【0017】
前記圧電素子は、前記光透過部を超音波振動させてもよい。
【0018】
前記筐体は、平面視における形状が矩形状を成し、対向する一方の2辺の長さが、対耳珠から対耳輪下脚までの長さ以上であってもよい。
【0019】
前記筐体は、対向する他方の2辺の長さが、耳珠から対耳輪までの長さ以上であってもよい。
【0020】
前記圧電素子は、前記筐体に接合部材により接合されて固定されてもよい。
【0021】
前記接合部材は、非加熱型硬化性の接着材であってもよい。
【0022】
前記接合部材は、両面テープであってもよい。
【0026】
前記筐体は、表示部、入力部、前記表示部のカバー、充電池を取り外し可能とするためのリッドのうちいずれかの一部または全部を構成してもよい。
【0027】
前記筐体における前記圧電素子の固定部分は、当該筐体の平面視における
前記表示部との重複領域の外部に位置させてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る電子機器によれば、光透過部に付着したゴミを除去することができるので、光モジュールの機能低下を防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器1の要部の機能ブロックを示す図である。電子機器1は、例えば携帯電話(スマートフォン)であって、無線通信部5と、パネル10と、表示部20と、圧電素子30と、入力部40と、光モジュール100と、制御部50と、を備える。無線通信部5は、公知の構成からなり、基地局等を介して通信ネットワークに無線接続される。
【0031】
パネル10は、接触を検出するタッチパネル、または表示部20を保護するカバーパネル等であり、電子機器1の筐体の一部を構成する。パネル10は、例えばガラス、またはアクリル等の合成樹脂により形成される。パネル10の形状は板状であるとよい。パネル10は、タッチパネルである場合、利用者の指、ペン、又はスタイラスペン等の接触を検出する。タッチパネルの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(又は超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式を用いることができる。
【0032】
表示部20は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は無機ELディスプレイ等の表示デバイスである。表示部20は、パネル10の背面側に設けられる。表示部20は、接合部材(例えば接着剤)によりパネル10の背面に配設される。表示部20は、パネル10と離間して配設され、電子機器1の筐体により支持されてもよい。
【0033】
圧電素子30は、電気信号(電圧)を印加することで、構成材料の電気機械結合係数に従い伸縮または湾曲する素子である。これらの素子は、例えばセラミック製や水晶からなるものが用いられる。圧電素子30は、ユニモルフ、バイモルフまたは積層型圧電素子であってよい。積層型圧電素子には、バイモルフを積層した(例えば16層または24層積層した)積層型バイモルフ素子が含まれる。積層型の圧電素子は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる複数の誘電体層と、該誘電体層間に配置された電極層との積層構造体から構成される。ユニモルフは、電気信号(電圧)が印加されると伸縮し、バイモルフは、電気信号(電圧)が印加されると湾曲する。
【0034】
圧電素子30は、パネル10の背面(電子機器1の内部側の面)に配置される。圧電素子30は、接合部材(例えば両面テープ)によりパネル10に取り付けられる。圧電素子30は、中間部材(例えば板金)を介してパネル10に取り付けられてもよい。圧電素子30は、パネル10の背面に配置された状態で、筐体の内部側の表面と所定の距離だけ離間している。圧電素子30は、伸縮または湾曲した状態でも、筐体の内部側の表面と所定の距離だけ離間しているとよい。すなわち、圧電素子30と筐体の内部側の面との間の距離は、圧電素子30の最大変形量よりも大きいとよい。また、圧電素子は、
筐体の角部に配置されてもよい。これにより角部を中心に振動音を伝えることができ、耳に
筐体の角部を当てがって振動音を聞くこともできる。
【0035】
入力部40は、利用者からの操作入力を受け付けるものであり、例えば、操作ボタン(操作キー)から構成される。なお、パネル10がタッチパネルである場合には、パネル10も利用者からの接触を検出することにより、利用者からの操作入力を受け付けることができる。
【0036】
光モジュール100は、例えばカメラモジュール、赤外線モジュール、LEDモジュール等からなる。光モジュール100は、一種又は複数種が搭載されてもよい。カメラモジュールは、電子機器1の筐体の背面側の被写体を撮像するメインカメラモジュールと、筐体の前面側の被写体(自画像)を撮像するサブカメラモジュールとが搭載されてもよい。メインカメラモジュール及びサブカメラモジュールは、それぞれCCD等の固体撮像素子と、撮像レンズとを有して構成され、撮像モードにおいて、利用者によりいずれか一方が選択されて、被写体の撮像に供される。
【0037】
また、赤外線モジュールは、例えば赤外線の受光センサあるいは発光素子を備え、赤外線により通信を行うものや、自ら赤外線を発光させるか否かを問わず、赤外線の物体での反射を受光して、物体の存在を確認する赤外線人感センサが挙げられる。LEDモジュールは、着信報知や、バッテリの充電開始や完了の報知、簡易な照明としての機能や撮像時の盗撮防止として用いられる。電子機器1の筐体には、光モジュール100に対応して、所望の波長帯域の光を透過する光透過部(窓部)が形成される。
【0038】
制御部50は、電子機器1を動作モードに応じて制御するプロセッサである。制御部50は、圧電素子30を可聴モード又は清掃モードで駆動する。可聴モードでは、圧電素子30に所定の電気信号(通話相手の音声または着信メロディもしくは音楽を含む楽曲等の音声信号に応じた電圧)を印加する。なお、音声信号は、内部メモリに記憶された音楽データに基づくものでもよいし、外部サーバ等に記憶されている音楽データがネットワークを介して再生されるものであってもよい。また、清掃モードでは、可聴モードにおける電気信号の周波数帯域(可聴周波数帯域)以外の周波数帯域、好ましくは可聴周波数帯域以上の超音波周波数の電気信号を圧電素子43に印加する。この場合の超音波周波数は、例えば40KHz前後とすることができる。また、振幅は、一定でも変化させてもよい。なお、清掃モードにおける電気信号のデータは、例えば内部メモリに記憶される。
【0039】
圧電素子30に電気信号が印加されると、圧電素子30は長手方向に伸縮又は湾曲する。このとき、圧電素子30が取り付けられたパネル10は、圧電素子30の伸縮又は湾曲にあわせて変形し、パネル10が湾曲振動する。ここで、制御部50から圧電素子30に印加する電気信号の最大電圧は、可聴モードの場合、例えば、振動音を伝えない気導音による音の伝導を目的とした所謂パネルスピーカの印加電圧である±5Vよりも高い、±15Vが印加されてもよい。これにより、利用者が例えば3N以上の力(例えば5N〜10Nの力)で自身の体にパネル10を押し付けた場合であっても、パネル10に十分な湾曲振動を発生させ、利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を介する振動音を発生させることができる。尚、どの程度の印加電圧を用いるかは、パネルの固定強度や素子の性能等を加味して適宜調整可能である。また、清掃モードの場合は、例えば、±15V以上の電圧が圧電素子30に印加される。
【0040】
パネル10は、圧電素子30が取り付けられた取付領域だけでなく、取付領域から離れた領域も湾曲振動する。パネル10は、振動する領域において、当該パネル10の主面と交差する方向に振動する箇所を複数有し、当該複数の箇所の各々において、振動の振幅の値が、時間とともにプラスからマイナスに、あるいはその逆に変化する。パネル10は、ある瞬間において、振動の振幅が相対的に大きい部分と振動の振幅が相対的に小さい部分とが一見パネル10のほぼ全体にランダムにあるいは周期的に分布した振動をする。即ちパネル10全域にわたって、複数の波の振動が検出される。利用者が例えば5N〜10Nの力で自身の体にパネル10を押し付けた場合であっても、パネル10の上述したような振動が減衰しないためには、制御部50が圧電素子30に対して印加する電圧は、±15Vであってよい。そのため、利用者は、上述した圧電素子30の取付領域から離れた領域に耳を接触させて音を聞くことができる。
【0041】
ここで、パネル10は、利用者の耳とほぼ同じ大きさであってよい。また、パネル10は、
図2に示すように、利用者の耳よりも大きいものであってもよい。この場合、利用者が、音を聞く際、電子機器1のパネル10により耳全体が覆われやすいことから、周囲音(ノイズ)を外耳道に入りにくくできる。パネル10は、対耳輪下脚(下対輪脚)から対耳珠までの間の距離に相当する長さと、耳珠から対耳輪までの間の距離に相当する幅とを有する領域よりも広い領域が振動すればよい。パネル10は、好ましくは、耳輪における対耳輪上脚(上対輪脚)近傍の部位から耳垂までの間の距離に相当する長さと、耳珠から耳輪における対耳輪近傍の部位までの間の距離に相当する幅を有する領域が振動すればよい。かかる長さおよび幅を有する領域は、長方形状の領域であってもよいし、上記の長さを長径、上記の幅を短径とする楕円形状であってもよい。日本人の耳の平均的な大きさは、社団法人 人間生活工学研究センター(HQL)作成の日本人の人体寸法データベース(1992−1994)等を参照すれば知ることができる。尚、パネル10が日本人の耳の平均的な大きさ以上の大きさであれば、パネル10は概ね外国人の耳全体を覆うことができる大きさであると考えられる。上記のような寸法や形状を有することで、パネル10は、ユーザの耳を覆うことができ、耳に当てたときの位置ずれに対して寛容になる。
【0042】
上記の電子機器1は、パネル10の振動により、気導音と、利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を介する振動音とを利用者に伝えることができる。そのため、従来のダイナミックレシーバと同等の音量の音を出力する場合、パネル10が振動することで空気の振動により電子機器1の周囲へ伝わる音は、ダイナミックスピーカと比較して少ない。したがって、例えば録音されたメッセージを電車内等で聞く場合等に適している。
【0043】
また、上記の電子機器1は、パネル10の振動によって振動音を伝えるため、例えば利用者がイヤホンまたはヘッドホンを身につけていても、それらに電子機器1を接触させることで、利用者はイヤホンまたはヘッドホンおよび体の一部を介して音を聞くことができる。
【0044】
上記の電子機器1は、パネル10の振動により利用者に音を伝える。そのため、電子機器1が別途ダイナミックスピーカを備えない場合、音声伝達のための開口部(放音口)を筐体に形成する必要がなく、電子機器1の防水構造が簡略化できる。尚、電子機器1がダイナミックスピーカを備える場合、放音口は、気体は通すが液体は通さない部材によって閉塞されるとよい。気体は通すが液体は通さない部材は、例えばゴアテックス(登録商標)である。
【0045】
(第1の実施形態)
図3は、第1の実施形態に係る電子機器1の実装構造の要部を概略的に示す図である。
図3(a)は正面図、
図3(b)は
図3(a)におけるb−b線に沿った断面図、
図3(c)は背面図である。
図3に示す電子機器1は、パネル10として長方形状のガラス板を有するタッチパネルが、筐体60(例えば金属や樹脂のケース)の前面に配されたスマートフォンである。筐体60は、パネル10と、該パネル10を保持する本体部61とを備える。ここで、パネル10を有する筐体60の前面部が、圧電素子30が固定される筐体60の「一方側の主面部」であり、本体部61のリアケース62が設けられる背面部が「一方側の主面部に対向する他方側の主面部」である。また、電子機器1は、光モジュールとして、メインカメラモジュール110とサブカメラモジュール120とを備える。
【0046】
パネル10は、例えば静電容量方式のタッチパネルを構成するもので、接合部材70を介して本体部61に接合される。パネル10には、長手方向(一方向)の一端側(上部)を除く背面に、接合部材70を介して表示部20が接合されている。表示部20は、回路基板130に接続されて、回路基板130に支持されている。回路基板130は、本体部61に支持されている。また、パネル10の一方向における一端側である上部背面には、圧電素子30が接合部材70を介して接合されている。圧電素子30は、長方形状を成し、その長辺がパネル10の短辺に沿うように接合される。なお、接合部材70は、熱硬化性あるいは紫外線硬化性等を有する接着剤や両面テープ等であり、例えば無色透明のアクリル系紫外線硬化型接着剤である光学弾性樹脂でもよい。
【0047】
パネル10の圧電素子30よりも上部には、サブカメラモジュール120のための光透過部であるサブカメラ窓部12が形成されている。パネル10は、
図3(a)に破線で示す表示部20の表示領域20a及びサブカメラ窓部12が可視光線に対して透明となっており、その他の領域は、有害光の入射を防止するため、不透明なベゼルや不透明な防水シート等による遮光されている。
【0048】
本体部61のリアケース62には、上部に開口部63が形成され、この開口部63を覆うように、ガラスやアクリルから成るリアプレート64が接着等により接合されている。リアプレート64には、メインカメラモジュール110のための光透過部であるメインカメラ窓部65が形成されている。リアプレート64は、メインカメラ窓部65が可視光線に対して透明となっており、その他の領域は、有害光の入射を防止するため、不透明シート等による遮光処理が施されて不透明となっている。つまり、メインカメラ窓部65は、他方側の主面部に設けられている。
【0049】
メインカメラモジュール110及びサブカメラモジュール120は、回路基板130に支持されて、電子機器1に内蔵される。メインカメラモジュール110は、その撮像レンズがリアプレート64のメインカメラ窓部65と対向するように配置される。サブカメラモジュール120は、その撮像レンズがパネル10のサブカメラ窓部12と対向するように配置される。
【0050】
入力部40は、パネル10の長手方向の他端部(下部)側において、回路基板130を介して本体部61に支持される。また、入力部40には、破線で示すように、マイクの送話口41が形成されている。つまり、長方形状の筐体60の上部側に圧電素子30が配置され、下部側に送話口41が形成されている。
【0051】
図4は、第1の実施形態に係る電子機器1のパネル10の振動の一例を示す図である。第1の実施形態に係る電子機器1では、表示部20がパネル10に取り付けられている。このため、パネル10の下部の剛性が上がり、圧電素子30が取り付けられたパネル10の上部の振動をパネル10の下部に比して大きく振動させることが可能となる。そのため、パネル10の下部において、パネル10の下部が振動することによる音漏れが低減できる。
【0052】
次に、本実施形態に係る電子機器1による圧電素子30の制御の一例について、
図5に示すフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、圧電素子30は、使用者において、アクティブ状態(動作可能状態)又はノンアクティブ状態(動作不能状態)のいずれかに設定されるものとする。
【0053】
制御部50は、圧電素子30がアクティブ状態に設定されているか否かを判定し(ステップS51)、アクティブ状態に設定されていれば、圧電素子30の動作モードを可聴モードとする(ステップS52)。可聴モードでは、制御部50は、利用者が聴取すべき音声信号が生じると、当該音声信号に応じた電気信号で圧電素子30を駆動してパネル10を振動させる。制御部50は、圧電素子30が可聴モードにある状態で、電子機器1の動作モードとして撮像モードか選択されたか否かを判定する(ステップS53)。
【0054】
その結果、撮像モードが選択されていないと判定すると、制御部50は、処理をステップS51に移行し、撮像モードが選択されたと判定すると、制御部50は、圧電素子30の駆動を清掃モードに切り換える(ステップS54)。清掃モードでは、制御部50は、圧電素子30を、超音波周波数の電気信号で所定時間駆動してパネル10を振動させる。なお、この場合の駆動周波数は、上述したように、好ましくは超音波周波数とする。超音波周波数は、一定周波数でも、所定範囲でスイープする周波数でもよく、振幅も一定でも、変化させてもよい。また、圧電素子30の駆動は、例えば撮像モードが選択された際に、所定時間連続駆動してもよいし、所定時間内で複数回パルス駆動してもよい。
【0055】
その後、制御部50は、利用者の操作に応じた撮像モードの処理を実行しながら(ステップS55)、撮像モードの選択が解除されたか否かを判定する(ステップS56)。その結果、撮像モードの選択が解除されたと判定すると、制御部50は、ステップS51に移行し、圧電素子30がアクティブ状態に設定されていれば、上記の動作を繰り返し、圧電素子30がノンアクティブ状態に設定されていれば、圧電素子30の制御を終了する。
【0056】
このように、本実施形態に係る電子機器1によれば、パネル10は、該パネル10の背面に取り付けられた圧電素子30の変形に起因して変形して、圧電素子30が接着された長手方向の一端側から中央部近傍まで十分に振動する。したがって、可聴モードにおいて、利用者は、パネル10の中央部から上部の領域の少なくとも一部に、利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を接触させることにより、パネル10の振動による気導音及び振動音を聞くことができる。すなわち、筐体60の一部であるパネル10が振動して、気導音と振動音とを発生させる。これにより、振動体を筐体60の外面に突出させることなく気導音と振動音とを利用者に伝えることができるため、筐体に比べて非常に小さな振動体を人体に接触させる特許文献1に記載の電子機器よりも使い勝手が向上する。また、圧電素子自体に利用者の耳を当てる必要がないので圧電素子30そのものが破損しにくい。また、パネル10ではなく、筐体60を変形させる場合には、振動を発生させる際に、利用者が端末を落としてしまいやすいのに対して、パネル10を振動させた場合には、このようなことが起きにくい。
【0057】
また、本実施形態において、表示部20及び圧電素子30は、パネル10に接合部材70により接合されている。これにより、表示部20及び圧電素子30の変形の自由度を阻害しにくい状態で、表示部20及び圧電素子30をパネル10に取り付けることができる。また、接合部材70は、非加熱型硬化性の接着剤とすることができる。これにより、硬化時に、表示部20及び圧電素子30とパネル10との間に熱応力収縮が発生しにくいという利点がある。また、接合部材70は、両面テープとすることができる。これにより、表示部20及び圧電素子30とパネル10との間に接着剤使用時のような収縮応力がかかりにくいという利点がある。また、パネル10も、接合部材70により筐体60の本体部61に接合されているので、同様の効果が得られる。
【0058】
また、撮像モードが選択されると、その選択時点で、圧電素子30が清掃モードで所定時間駆動される。清掃モードでは、圧電素子30は、超音波周波数の電気信号で駆動されるので、パネル10も超音波周波数で振動する。これにより、パネル10のサブカメラ窓部12に付着したゴミが振るい落とされる。したがって、サブカメラモジュール120を選択して被写体(例えば、自画像)を撮像する場合、撮像画像の画質を向上させることが可能となる。また、パネル10が高周波数で振動することにより、表示部20の表示領域20aに対応するパネル領域のゴミも振るい落とされる。したがって、表示部20に表示されるサブカメラモジュール120によるライブ画像や、アプリケーションによる表示画面等の表示画像の画質を向上させることが可能となる。
【0059】
特に、清掃モード時において、圧電素子を駆動する電気信号の最大電圧を可聴モード時の最大電圧以上として、パネル10をより大きい振幅で振動させたり、電気信号の振幅を変化させてパネル10の振動を変化させたりすることで、ゴミの除去効果をより大きくでき、より画質の向上が期待される。また、圧電素子30及びサブカメラ窓部12が、筐体60の一端側に配置されているので、サブカメラ窓部12に圧電素子30の振動の影響が及び易く、サブカメラ窓部12に付着したゴミを効率的に除去することが可能となる。このように、本実施形態に係る電子機器1は、圧電素子30を共用して、圧電素子30を可聴モード又は清掃モードで選択的に駆動するので、簡単な構成でサブカメラ窓部12及びパネル10に付着したゴミを除去することができる。
【0060】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る電子機器1の実装構造の要部を概略的に示す図である。
図6(a)は正面図、
図6(b)は
図6(a)におけるb−b線に沿った断面図、
図6(c)は背面図である。
図6に示す電子機器1は、第1の実施形態の構成において、パネル10とリアプレート64とを、電子機器1の内部において振動伝達部140により結合したものである。振動伝達部140は、パネル10の振動をリアプレート64に伝達できるような比較的剛性の高い金属や樹脂等で構成され、一端部がパネル10に接着固定され、他端部がリアプレート64のメインカメラ窓部65の近傍に接着固定される。その他の構成及び動作は、第1の実施形態と同様である。
【0061】
本実施形態に係る電子機器1によれば、パネル10が振動すると、その振動が振動伝達部140を介してリアプレート64に伝達されて、リアプレート64も振動する。したがって、パネル10が清掃モードで振動した場合、リアプレート64のメインカメラ窓部65の近傍も高周波数・高振幅で振動するので、メインカメラ窓部65に付着したゴミも振るい落とされる。これにより、第1の実施形態の効果に加えて、メインカメラモジュール110を選択して被写体を撮像する場合、撮像画像の画質を向上することが可能となる。また、表示部20に表示されるメインカメラモジュール110によるライブ画像の画質を向上させることが可能となる。
【0062】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0063】
例えば、圧電素子30は複数個搭載してもよい。また、撮像部100は、一台のカメラで構成されてもよい。例えば、第1の実施形態においてサブカメラモジュール120が省略されてもよい。この場合、圧電素子30とメインカメラ窓部65とが、筐体60の対向する主面部に配置されることになるので、振動音を発生させるための振動が適度に低減された状態となり、リアケース62側に配置されるメインカメラモジュール110や電子部品が損傷しにくくなる利点がある。また、第1の実施形態においてメインカメラモジュール110が省略されてもよいし、メインカメラモジュール110に代えて赤外線モジュール等の他の光モジュールが配置されてもよい。更に、第2の実施形態においてサブカメラモジュール120が省略されてもよいし、サブカメラモジュール120に代えてLEDモジュール等の他の光モジュールが配置されてもよい。
【0064】
また、圧電素子30の清掃モードの駆動は、撮像モード等の光モジュールの動作選択時に限らず、適宜のタイミングで実行することができる。例えば、可聴モードの電気信号に清掃モードの電気信号を一定時間重畳して、可聴モードと同時に実行することも可能である。また、電子機器1が防水構造からなる場合は、電子機器1を洗浄液中に浸漬した状態で、圧電素子30を清掃モードで駆動することにより、パネル10や、パネル10及びリアプレート64の表面を洗浄して、ゴミ及び油脂を除去することも可能である。さらに、本発明は、スマートフォンに限らず、折りたたみ式の携帯電話や、PDA(Personal Digital Assistants)等の他の電子機器にも有効に適用することができる。
【0065】
なお、第1の実施形態および第2の実施形態では、パネル10と圧電素子30とを接着する接合部材およびパネル10と筐体60とを接着する接合部材等を同一の符号を有する接合部材70として説明した。しかしながら、第1実施形態および第2実施形態で用いられる接合部材は、接合する対象である部材に応じて適宜異なるものが用いられてよい。