(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ドアパネルの表裏両側において回動自在とされる一対のハンドルを連結し、かつ該一対のハンドルの回動操作を伴い、該ドアパネルに埋め込まれるように配設されるラッチ錠のラッチを出没させるハンドル軸が挿通される開口をそれぞれに設けた一対の台座を備えたハンドル用台座であって、
これら一対の台座は、前記ドアパネルの表面及び裏面のそれぞれに沿うように配設される台座本体と、これら台座本体の対向側からそれぞれに対向する方向に突出し、かつ対向方向に見た状態で、前記ハンドル軸の軸心を通る線を対称軸として線対称位置となるように設けられた凸状嵌合部及び凹状嵌合部と、を備え、互いの凸状嵌合部と凹状嵌合部とが嵌め合わされて結合固定される構造とされ、かつ互いに略同寸同形状とされており、
前記凸状嵌合部は、柱状基部と該柱状基部の先端に設けられた球状嵌合部とを有し、前記凹状嵌合部は、周壁部にスリットが設けられ該球状嵌合部の嵌め込みを伴い拡縮する筒状嵌合部を有していることを特徴とするハンドル用台座。
ドアパネルと、このドアパネルに埋め込まれるように配設されるラッチ錠と、このラッチ錠のラッチを出没させるハンドル軸を介して連結され、前記ドアパネルの表裏両側において回動自在とされる一対のハンドルと、請求項1乃至7のいずれか1項に記載されたハンドル用台座と、を備えていることを特徴とするドア装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜
図3は、本実施形態に係るハンドル用台座及びこれを備えたドア装置の一例を模式的に示す図である。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また、以下の実施形態では、ドア装置が施工された状態を基準として上下方向等の方向を原則的に説明する。
【0012】
本実施形態に係るドア装置1は、
図1に示すように、ドアパネル10と、このドアパネル10に埋め込まれるように配設されるラッチ錠13と、を備えている。また、ドア装置1は、ドアパネル10の表裏両側において回動自在とされる一対のハンドル19,19と、これら一対のハンドル19,19を連結し、一対のハンドル19,19の回動操作を伴い、ラッチ錠13のラッチ14を出没させるハンドル軸18と、を備えている。また、ドア装置1は、このハンドル軸18が挿通される開口23,23をそれぞれに設けた一対の台座20,20を備えた本実施形態に係るハンドル用台座2を備えている。
このドア装置1は、例えば、住居等の建物の壁体に形成された開口部に取り付けられたドア枠等に開閉自在に建て付けられる。
【0013】
ドアパネル10は、略矩形平板状とされ、そのパネル幅方向一端部が吊元側端部としてドア枠の吊元側縦枠等に、蝶番等の回動連結具を介して回動自在に連結される。
また、このドアパネル10のパネル幅方向他端部の戸先側端部には、戸先側端面10cにおいて開口し、かつパネル幅方向外方側に向けて開口するラッチ収容凹部11が設けられている。このラッチ収容凹部11は、後記するラッチ錠13を収容可能なように、ラッチ錠13に応じて形成されている。
また、ドアパネル10の戸先側端部には、当該ドアパネル10の表面10a及び裏面10bにおいて開口し、かつドアパネル10の厚さ方向にそれぞれ形成されてラッチ収容凹部11に連通する取付孔12,12が設けられている。
【0014】
ラッチ錠13は、錠本体としてのラッチケースに収容され、ドアパネル10のパネル幅方向に出没されるラッチ14を備えている。このラッチ錠13のラッチ14は、ドア枠の戸先側縦枠等に設けられたラッチ受けに挿入されて当該ドア装置1の閉鎖状態を維持する突出位置と該ラッチ受けとの係合が解除されて当該ドア装置1の開放が可能となる没入位置との間を変位自在とされている。また、このラッチ錠13には、図示は省略しているが、ラッチ14を突出方向に付勢する付勢部材等が内蔵されている。また、このラッチ錠13に、開錠方向へ回動されたハンドル19,19を通常状態に復帰させる方向へ付勢する復帰付勢部材や、通常状態とされたハンドル19,19の反開錠方向への回動を規制するストッパー部等を必要に応じて設けるようにしてもよい。
また、このラッチ錠13は、
図1に示すように、ラッチケースの戸先側のカバープレート13aに設けられた止具挿通孔等を介して挿通されたねじ等の止具4,4によってドアパネル10の戸先側端部に固定されるものとしてもよい。
【0015】
また、このラッチ錠13には、ハンドル19,19の回動操作に伴い、ラッチ14を突出方向に付勢する付勢部材の付勢力に抗してラッチ14を没入位置に変位させる作動部15が設けられている。この作動部15には、
図1に示すように、一対のハンドル19,19を連結するハンドル軸18が嵌め込まれるように挿通される四角孔15aが設けられている。この作動部15は、四角孔15aに挿通されたハンドル軸18の回動に連動して回動するいわゆるハブ15とされている。このハブ15には、図示は省略しているが、ラッチ14の基端部(ラッチ軸)の係合部等に係合し、当該ハブ15の回動に伴いラッチ14を没入させる作動片等が設けられている。
また、ラッチ錠13には、後記するハンドル用台座2が係合する係合部16,17が設けられている。本実施形態では、ハブ15の四角孔15aのパネル幅方向両側に、係合部16,17をそれぞれに設けている。
【0016】
一対のハンドル19,19は、本実施形態では、それぞれの握部19a,19aが細長棒状とされたレバーハンドルとされている。また、これらハンドル19,19のそれぞれの対向側(ドアパネル10側)には、略円柱状の回動基部19b,19bが設けられている。
これら一対のハンドル19,19を連結するハンドル軸18は、ドアパネル10の厚さ方向に軸方向を沿わせ、上記したラッチ錠13のハブ15の四角孔15aに挿通される略四角柱形状とされている。また、このハンドル軸18は、その一端部が一方側(図示ドアパネル10の表面10a側)のハンドル19の回動基部19bに固定的に連結されている。
【0017】
また、ハンドル軸18の他方端部側の一側面には、係止凹溝18aが設けられている。他方側(図示ドアパネル10の裏面10b側)のハンドル19の対向側部位には、回動基部19bの対向方向に開口し、ハンドル軸18の他端部が嵌め込まれるように挿入される軸受凹所19cが設けられている。また、この他方側のハンドル19の対向側部位には、軸受凹所19cの開口方向に略直交する方向に開口し、軸受凹所19cに連通する止具孔19dが設けられている。
これら一対のハンドル19,19及びハンドル軸18は、合成樹脂系材料や金属系材料から形成されたものとしてもよい。本実施形態では、強度的な観点や質感等の観点等から、これら一対のハンドル19,19及びハンドル軸18を、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金、ステンレス、炭素鋼等の金属系材料から形成されたものとしている。
【0018】
また、一方側のハンドル19の回動基部19bに固定的に連結されたハンドル軸18を、表裏両側の台座20,20の各開口23,23、ドアパネル10の表裏両側の取付孔12,12及びラッチ錠13のハブ15の四角孔15aに挿通させる。そして、このハンドル軸18の他端部を、他方側のハンドル19の軸受凹所19cに嵌め込み、止具孔19dを介して挿通させたねじ等の止具4をハンドル軸18の係止凹溝18aに圧接させて連結する態様としてもよい(
図2及び
図3(b)も参照)。なお、一対のハンドル19,19とハンドル軸18との連結態様としては、このような態様に限られない。例えば、表裏両側のハンドル19,19に軸受凹所をそれぞれに設け、これら軸受凹所にハンドル軸18の各側端部を上記と略同様に嵌め込み、連結する態様としてもよい。また、ハンドル軸18とハンドル19とは止具4によって固定する態様に限られず、接着剤やその他の固定手段等によって固定する態様としてもよい。
【0019】
本実施形態に係るハンドル用台座2の一対の台座20,20は、各ハンドル19,19の回動基部19b,19bを覆い、ドアパネル10の表裏両側の各取付孔12,12を覆うように、ドアパネル10の表裏両側にそれぞれ取り付けられる。
これら台座20,20は、
図1、
図2及び
図3(b)に示すように、ドアパネル10の表面10a及び裏面10bのそれぞれに沿うように配設される台座本体21,21をそれぞれに備えている。また、これら台座20,20は、それぞれの台座本体21,21の対向側からそれぞれに対向する方向(ドアパネル10の厚さ方向に沿う方向)に突出する凸状嵌合部26,26及び凹状嵌合部27,27をそれぞれに備えている。また、これら台座20,20は、互いの凸状嵌合部26,26と凹状嵌合部27,27とが嵌め合わされて結合固定される構造とされ、かつ互いに略同寸同形状とされている。
【0020】
また、本実施形態では、これら台座20,20の台座本体21,21と凸状嵌合部26,26及び凹状嵌合部27,27とを、合成樹脂系材料から一体に形成されたものとしている。合成樹脂系材料としては、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂や、PP(ポリプロピレン)樹脂、PE(ポリエチレン)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂等の硬質の合成樹脂系材料等としてもよい。
また、これら台座20,20は、本実施形態では、対向方向に見た状態で略円形状とされたいわゆる丸座とされている。
【0021】
これら台座20,20の台座本体21,21は、ドアパネル10の表裏面10a,10bに略平行に形成された座表面部22,22と、各座表面部22,22の外周縁に一連に形成された側周面部25,25と、を有した略円盤状の外郭形状とされている。なお、これら台座20,20がドアパネル10に取り付けられた状態で、少なくとも表面側に露出する台座本体21,21の座表面部22,22や側周面部25,25等に、適宜、塗装等を施すようにしてもよい。
また、これら台座本体21,21には、厚さ方向(ドアパネル10の厚さ方向と同方向)に貫通し、上記したハンドル軸18が挿通される開口23,23がそれぞれに設けられている。これら台座本体21,21の各開口23,23は、
図2及び
図3(b)に示すように、本実施形態では、一対のハンドル19,19の各回動基部19b,19bを受入可能なように形成されている。図例では、各台座本体21,21の開口23,23に、各ハンドル19,19の回動基部19b,19bが嵌め込まれるように挿通される構成とされている。また、これら台座本体21,21の各開口23,23は、外郭形状が略円盤状とされた当該台座本体21,21の略円心に設けられ、対向方向に見た状態で、ハンドル軸18と略同軸状の略円形状とされている。
【0022】
また、本実施形態では、これら台座本体21,21の各開口23,23の各ハンドル19,19側(反対向側)の周縁に、各ハンドル19,19に当接される凸部24,24をそれぞれ一体に設けている。本実施形態では、これら台座本体21,21の各凸部24,24を、各台座本体21,21の座表面部22,22から反対向側に突出し、各開口23,23の周縁の全周に亘って環状(リング状)に設けられた環状凸部24,24としている。
これら台座本体21,21の環状凸部24,24に、
図3(b)に示すように、各ハンドル19,19の回動基部19b,19bとの境界に形成された握部19a,19aの基端面(互いに対向する面)が当接(摺接)される。
【0023】
なお、これら環状凸部24,24の突出寸法は、余りにも大きければ各台座本体21,21と各ハンドル19,19の握部19a,19aの基端との隙間が目立ち易くなるため、比較的に小さい寸法としてもよい。また、これら環状凸部24,24の幅寸法(開口23の径方向に沿う寸法)は、余りにも大きければ各ハンドル19,19の握部19a,19aの基端面との当接面積が大きくなるため、比較的に小さい寸法としてもよい。例えば、これら環状凸部24,24の突出寸法や幅寸法を、0.5mm〜3mm程度としてもよい。図例では、これら環状凸部24,24の突出寸法を、1mm程度とし、幅寸法を、2mm程度とした例を示している。
【0024】
また、本実施形態では、台座本体21,21を、
図1及び
図3(a)に示すように、互いに対向する方向に開口する中空を設けた中空構造とし、各座表面部22,22を底部、側周面部25,25を周壁部とした扁平で有底の略円筒形状としている。このように、台座本体21,21を中空構造とすることで、ハンドル用台座2の低コスト化及び軽量化を図ることができる。
また、図例では、各台座本体21,21の中空に、開口23,23の周囲を区画するように略円筒形状のリブを設け、該略円筒形状のリブの外周面から放射方向に該外周面と側周面部25,25の内周面とを接続するように複数の平板状のリブを設けた構造としている。なお、台座本体21,21をこのような中空構造とせずに、中実構造としてもよい。
【0025】
また、各台座本体21,21のそれぞれに設けられた凸状嵌合部26,26及び凹状嵌合部27,27は、
図3(a)に示すように、対向方向に見た状態で、ハンドル軸18の軸心を通る線を対称軸3として線対称位置となるように設けられている。換言すれば、これら凸状嵌合部26,26及び凹状嵌合部27,27は、ハンドル軸18と略同軸状に設けられた各開口23,23の円心を通る線を対称軸3として線対称位置に設けられている。
つまり、凸状嵌合部26と凹状嵌合部27とは、この対称軸3を境に折り返した(反転させた)際に互いに重なる位置となるように設けられている。
【0026】
また、本実施形態では、対向方向に見た状態で、ハンドル軸18の軸心を通り、かつ上下に延びる垂線を対称軸3として線対称位置となるように凸状嵌合部26と凹状嵌合部27とを設けている。つまり、対称軸3を挟んで、ドアパネル10のパネル幅方向に沿う両側の均等位置に、凸状嵌合部26と凹状嵌合部27とを設けている。
また、本実施形態では、凸状嵌合部26と凹状嵌合部27とを、対向方向に見た状態で、ハンドル軸18の軸心を通り、かつドアパネル10のパネル幅方向に沿う線上に位置するように設けている。つまり、
図3(a)に示すように、ハンドル軸18(つまりは、開口23)のドアパネル10のパネル幅方向両側に、ハンドル軸18の軸心を対称点として点対称位置となるように凸状嵌合部26と凹状嵌合部27とを設けている。
【0027】
また、本実施形態では、これら台座本体21,21のそれぞれに設けられた凸状嵌合部26,26及び凹状嵌合部27,27を、ラッチ錠13に設けられた係合部16,17に係合可能なように設けている。図例では、ラッチ錠13のハブ15の四角孔15aのパネル幅方向両側に設けられた係合部16,17のうちのパネル幅方向外方側の係合部16を、ドアパネル10の厚さ方向に貫通する丸孔状の係合孔16とした例を示している。また、パネル幅方向内方側の係合部17を、ラッチケースのパネル幅方向内方側端部を切り欠くような形状で、ドアパネル10の厚さ方向に見て係合孔16と略同径で略半円状の係合凹湾部17とした例を示している。
【0028】
また、本実施形態では、凸状嵌合部26を、柱状基部26aとこの柱状基部26aの先端(台座本体21からの突出方向先端)に設けられた球状嵌合部26cとを有したものとしている。
柱状基部26aは、
図1及び
図3(a)に示すように、本実施形態では、ラッチ錠13の係合孔16及び係合凹湾部17に係合可能なように、これら係合孔16及び係合凹湾部17の径に応じた径とされた略円柱形状とされている。なお、この柱状基部26aの形状は、係合孔16及び係合凹湾部17に係合可能な形状とすればよい。例えば、ドアパネル10の厚さ方向に見て、係合孔16が略楕円状、係合凹湾部17が略半楕円状とされている場合には、これらの形状に応じて、柱状基部26aを略楕円柱形状としてもよい。
この柱状基部26aの台座本体21の裏面(ドアパネル10との当接面)からの突出寸法は、
図3(b)に示すように、ラッチ錠13の係合孔16及び係合凹湾部17の略全体と係合可能な寸法とされている。図例では、柱状基部26aの突出寸法を、当該柱状基部26aが係合孔16または係合凹湾部17に係合した状態で、柱状基部26aの先端面がラッチ錠13の係合方向先側の側面と略同一平面状となるような寸法としている。なお、柱状基部26aが係合孔16または係合凹湾部17に係合した状態で、柱状基部26aの先端面がラッチ錠13の係合方向先側の側面よりも突出するような寸法としてもよく、または、ラッチ錠13の厚さ内に留まる寸法としてもよい。
【0029】
また、本実施形態では、この柱状基部26aの先端に、先側に向かうに従い先細り状の略円錐台状で、柱状基部26aよりも小径状の絞り部26bを設け、この絞り部26bの先端に球状嵌合部26cを設けている。これら柱状基部26a、絞り部26b及び球状嵌合部26cは、互いに略同心上に一連に形成されている。
球状嵌合部26cは、ラッチ錠13の係合孔16及び係合凹湾部17よりも小径状とされ、絞り部26b側に少なくとも括れ部が形成されるように絞り部26bの先端に設けられている。この球状嵌合部26cと絞り部26bとは、
図3(b)に示すように、凹状嵌合部27に嵌め入れ可能なように形成されている。
【0030】
凹状嵌合部27は、凸状嵌合部26の球状嵌合部26cが嵌め込まれる凹所を設けた形状とされている。本実施形態では、凹状嵌合部27の凹所を、凸状嵌合部26の球状嵌合部26c及び絞り部26bが嵌め込まれる構造としている。
この凹状嵌合部27の台座本体21の裏面(ドアパネル10との当接面)からの突出寸法は、
図3(b)に示すように、一対の台座20,20が組み付けられた状態で、その先端面が他方の凸状嵌合部26の柱状基部26aの先端面に近接対面または当接する寸法とされている。
また、本実施形態では、凹状嵌合部27を、対向方向に開口する中空で略円筒形状とされた筒状嵌合部27としている。なお、凹状嵌合部27の全体を筒状嵌合部とせずに、少なくとも上記凹所を設けるように突出方向先端側に筒状嵌合部27を有した構造としてもよい。
【0031】
また、本実施形態では、この筒状嵌合部27の凹所の開口内周縁に、先側に向かうに従い拡開状の傾斜面状または凹湾曲面状の面取り部を設けている。この面取り部は、凸状嵌合部26の球状嵌合部26cが筒状嵌合部27の凹所に嵌め入れられる際における誘いとして機能する。
また、筒状嵌合部27の凹所内側面には、凸状嵌合部26の球状嵌合部26cを係止する係止部27bが設けられている。図例では、球状嵌合部26cの上記括れ部に対応させて筒状嵌合部27の凹所を絞るような形状とされた係止部27bを例示している。
【0032】
また、本実施形態では、筒状嵌合部27は、その周壁部にスリット27cを設け、凸状嵌合部26の球状嵌合部26cの嵌め込みを伴い拡縮する構造とされている。
スリット27cは、当該筒状嵌合部27の突出方向先側において開口するように当該筒状嵌合部27の突出方向に沿って長尺に形成されている。図例では、スリット27cを、筒状嵌合部27の突出方向の略全体に亘って設けた例を示している。
また、本実施形態では、筒状嵌合部27の周壁部に、割溝状に等間隔を空けて複数本(図例では、4本)のスリット27cを設けている。
【0033】
筒状嵌合部27は、これら複数本のスリット27cによって複数に分割されて複数本(図例では、4本)の嵌合片27aによって上記凹所を区画する周壁部を形成している。これら嵌合片27aは、凸状嵌合部26の球状嵌合部26cが筒状嵌合部27に嵌め入れられる際に、その弾性変形を伴い径方向に拡開する構造とされている(
図3(a)参照)。また、これら嵌合片27aは、凸状嵌合部26の球状嵌合部26c及び絞り部26bが嵌め込まれれば、その復元力により径方向に縮小し、その係止部27bに凸状嵌合部26の球状嵌合部26cが係止する構造とされている(
図3(b)参照)。
【0034】
上記構成とされたハンドル用台座2の一対の台座20,20は、以下のように組み付けられる。まず、
図1及び
図2に示すように、それぞれの凸状嵌合部26,26及び凹状嵌合部27,27を対向させてドアパネル10の表裏両側に配置する。そして、ドアパネル10の表裏両側に設けられた各取付孔12,12にそれぞれの凸状嵌合部26,26及び凹状嵌合部27,27を挿入する。また、ドアパネル10に配設されたラッチ錠13の係合孔16及び係合凹湾部17にそれぞれの凸状嵌合部26,26を係合させながら互いの凸状嵌合部26,26と凹状嵌合部27,27とを上記のように嵌め合わせることで結合固定される。この状態では、各台座20,20は、それぞれの台座本体21,21の裏面がドアパネル10の表裏面10a,10bに当接され、それぞれの凸状嵌合部26,26とラッチ錠13の係合部16,17との係合により、ドアパネル10の厚さ方向及び面域方向への移動が規制される。
また、このようにハンドル用台座2を組み付け、上記のように適宜、一対のハンドル19,19及びハンドル軸18を組み付けてドア装置1を組み付けるようにしてもよい。
【0035】
上記構成とされた本実施形態に係るハンドル用台座2及びこれを備えたドア装置1によれば、組付け性を向上させながらも部品の共通化を図ることができる。
つまり、ハンドル用台座2の一対の台座20,20を、互いの凸状嵌合部26,26と凹状嵌合部27,27とが嵌め合わされて結合固定される構造としているので、ねじ等によって結合するものと比べて、組付け性を向上させることができる。また、これにより、台座20,20の表面側にねじ等が露出せず、見栄えを向上させることもできる。
また、一対の台座20,20の凸状嵌合部26,26及び凹状嵌合部27,27を、対向方向に見た状態でハンドル軸18の軸心を通る線を対称軸3として線対称位置となるように設けた構造とし、これら台座20,20を、互いに略同寸同形状としている。従って、これら一対の台座20,20同士を同一部品とすることができ、製造コストや管理コスト等を削減することができ、低コスト化を図ることができる。また、これにより、ドアパネル10の表裏両側に各台座20,20を区別なく取り付けることもでき、組付け性をより向上させることもできる。
【0036】
また、本実施形態では、各台座20,20の凸状嵌合部26,26と凹状嵌合部27,27とを、対向方向に見た状態で、ハンドル軸18の軸心を通り、かつドアパネル10のパネル幅方向に沿う線上に位置するように設けている。従って、これら凸状嵌合部26,26と凹状嵌合部27,27とが、ハンドル軸18のパネル幅方向両側に離間して位置することとなる。これにより、例えば、上方側や下方側等の偏った位置にこれらを設けた場合と比べて、一対の台座20,20同士を安定的に結合固定することができる。
【0037】
また、本実施形態では、各台座20,20の台座本体21,21と凸状嵌合部26,26及び凹状嵌合部27,27とを、合成樹脂系材料から一体に形成しているので、より低コスト化を図ることができる。また、例えば、これら台座本体21,21と凸状嵌合部26,26及び凹状嵌合部27,27とを、別体とした場合と比べて、それぞれの凸状嵌合部26,26及び凹状嵌合部27,27を各台座本体21,21に精度良く設けることができ、一対の台座20,20同士の結合固定をスムーズにかつ確実に行うことができる。
【0038】
また、本実施形態では、各台座本体21,21の開口23,23の各ハンドル19,19側の周縁に、ハンドル19,19に当接される凸部24,24をそれぞれに設けている。従って、このような凸部24,24を設けない場合と比べて、ハンドル19,19との当接面積を減少させることができ、ハンドル19,19の回動操作をスムーズに行うことができる。
また、本実施形態では、ハンドル19,19を金属系材料から形成されたものとし、一対の台座20,20を合成樹脂系材料から形成されたものとしている。従って、例えば、ハンドル19,19を合成樹脂系材料から形成されたものとした場合と比べて、ハンドル19,19の強度や質感等を向上させることができる。また、ハンドル19,19の回動操作時に各台座20,20の凸部24,24との当接(摺接)によって生じることが考えられる異音等の発生を抑制することができ、金属系材料からなるハンドル19,19の回動操作をよりスムーズに行うことができる。
【0039】
また、本実施形態では、各台座本体21,21の凸部24,24を、各開口23,23の周縁の全周に亘って環状に設けられた環状凸部24,24としている。従って、例えば、各開口23,23の周縁の周方向に沿って間隔を空けて複数の凸部を設けた場合と比べて、変形等を抑制でき、ハンドル19,19との当接(摺接)が安定的になされる。なお、このような環状凸部24,24に代えて、各開口23,23の周縁の周方向に沿って間隔を空けて複数の凸部を設けるようにしてもよい。さらには、このような凸部を設けないようにしてもよい。この場合は、ハンドル19,19側に、各台座20,20の台座本体21,21の座表面部22,22に当接(摺接)する上記と略同様の凸部を設けるような態様としてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、各台座20,20の凸状嵌合部26,26を、柱状基部26a,26aの先端に球状嵌合部26c,26cを設けた構造としている。また、各台座20,20の凹状嵌合部27,27を、周壁部にスリット27c,27cを設け、凸状嵌合部26,26の球状嵌合部26c,26cの嵌め込みを伴い拡縮する筒状嵌合部27,27を有した構造としている。従って、凸状嵌合部26,26の球状嵌合部26c,26cが、凹状嵌合部(筒状嵌合部)27,27に嵌め込まれて互いの抜けを防止することが可能でありながらも、一対の台座20,20同士を結合固定する際に、互いの凸状嵌合部26,26と筒状嵌合部27,27とをスムーズに嵌め合わせることができる。
【0041】
なお、各台座20,20のそれぞれの凸状嵌合部26及び凹状嵌合部27は、上記した例に限られない。互いの凸状嵌合部26,26と凹状嵌合部27,27とが嵌め合わされて一対の台座20,20同士が結合固定される構造とされたものであればよい。
また、本実施形態では、各台座20,20の凸状嵌合部26,26と凹状嵌合部27,27とを、対向方向に見た状態で、ハンドル軸18の軸心を通り、かつドアパネル10のパネル幅方向に沿う線上に位置するように設けた例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、各台座20,20の凸状嵌合部26,26及び凹状嵌合部27,27を、上方側や下方側に偏った位置等に設けるようにしてもよい。また、上記のように垂線を対称軸3としないようにしてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、各台座20,20を、合成樹脂系材料から形成されたものとしているが、金属系材料から形成されたものとしてもよい。
また、本実施形態では、各台座20,20の台座本体21,21と凸状嵌合部26,26及び凹状嵌合部27,27とを、一体に形成した例を示しているが、これらを別体とし、止具や接着剤、溶接、かしめ等の適宜の固定手段で一体化したものとしてもよい。
また、本実施形態では、各台座20,20を、対向方向に見た状態で略円形状とされたいわゆる丸座とした例を示しているが、対向方向に見た状態で略矩形状とされたいわゆる角座としてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、一対のハンドル19,19を、レバーハンドルとした例を示しているが、丸ノブ(握玉)等、その他の形状のハンドルとしてもよい。
また、本実施形態では、略矩形箱状のラッチケースを有したラッチ錠13を例示しているが、ドアパネル10のパネル幅方向に長尺の筒形状とされたいわゆるチューブラ錠をラッチ錠13としてもよい。
また、本実施形態では、ラッチ錠13を、空錠とした例を示しているが、デッドボルト(サムターンロック)等のロック機構を備えたものとしてもよい。この場合は、適宜、ドアパネル10等にロック用取付孔等を設けるようにしてもよい。
また、本実施形態に係るドア装置1は、建具として建物の壁体の開口部に取り付けられたドア枠等に開閉自在に建て付けられるものに限られず、例えば、収納家具等の開口部に設置されるものとしてもよい。