特許第6043532号(P6043532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6043532電力供給装置、電力供給システム及び電力供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043532
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】電力供給装置、電力供給システム及び電力供給方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   H02M3/155 N
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-166697(P2012-166697)
(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公開番号】特開2014-27794(P2014-27794A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100122910
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 広之
(72)【発明者】
【氏名】松井 重錦
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−117730(JP,A)
【文献】 特開2012−130188(JP,A)
【文献】 特開2002−281744(JP,A)
【文献】 特開2010−011650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00 − 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧に接続され、電力供給のオン/オフ動作を行うドライバと、
一定周期毎に発振器信号を出力する発振器と、
前記発振器により出力された発振器信号に基づいて、前記ドライバのオン/オフ制御を行うデジタル制御回路と、
前記発振器による発信器信号をカウントするカウンタと
を備え、
前記デジタル制御回路は、
前記カウンタによりカウントされるカウント値の上限を示す閾値を設定し、前記カウンタによりカウントされたカウント値が、前記設定された閾値を越えた場合に、前記発振器による発振器信号の出力動作を停止する電力供給装置であって、
前記デジタル制御回路は、
前記発振器による発振器信号の出力動作と前記ドライバのオン/オフ動作とを連続的に動作させる通常制御モードと、前記発振器による発振器信号の出力動作と前記ドライバのオン/オフ動作とを間欠的に動作させる低電力制御モードとを有し、前記カウンタによりカウントされるカウント値の上限を示す閾値を設定され、かつ前記低電力制御モードが設定されている場合に、前記カウンタによりカウントされたカウント値が、前記設定された閾値を越えると、前記発振器による発振器信号の出力動作を停止し、
前記発振器による発振器信号の出力動作が連続して停止された回数が、予め定められた連続繰返回数に達した場合に、出力動作を起動し、通常制御モードを設定する
ことを特徴とする電力供給装置。
【請求項2】
前記ドライバによって電流制御されるコイル及び前記コイルに接続されたコンデンサの接続ノードより出力される出力電圧と、予め設定された閾電圧とを比較する比較器を備え、
前記デジタル制御回路は、
前記比較器による比較結果により前記出力電圧が前記閾電圧以下となった場合に、前記発振器による発振器信号の出力動作を開始することを特徴とする請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
外部入力から設定された前記閾値を記憶する記憶手段を更に備え、
前記デジタル制御回路は、
前記記憶手段に記憶された閾値を読み出し、前記カウンタによりカウントされたカウント値が前記読み出された閾値を越えた場合に、前記発振器による発振器信号の出力動作を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記閾値が記憶された外部端末と通信する通信インタフェースを更に備え、
前記デジタル制御回路は、
前記通信インタフェースを介して前記外部端末から前記閾値を受信し、前記カウンタによりカウントされたカウント値が前記受信した閾値を越えた場合に、前記発振器による発振器信号の出力動作を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記ドライバの出力電流を検出する電流検出器を更に備え、
前記デジタル制御回路は、
前記電流検出器により検出された電流に基づいて、前記通常制御モードと前記低電力制御モードとを切り替え設定することを特徴とする請求項に記載の電力供給装置。
【請求項6】
前記請求項1〜項のいずれかに記載された電力供給装置と、
前記電力供給装置から電力が供給される負荷と
を備えたことを特徴とする電力供給システム。
【請求項7】
前記負荷は、携帯電話、スマートフォン、PDA、光ディスク装置、デジタルカメラ、又は無線通信装置のうちいずれかであるモバイル機器、又はこれらの構成部品であることを特徴とする請求項に記載の電力供給システム。
【請求項8】
一定周期毎に発振器信号を出力する発振ステップと、
前記発振ステップにより出力された発振器信号に基づいて、電力供給のオン/オフ動作を行うデジタル制御ステップと、
前記発振ステップによる発信信号をカウントするカウントステップと
を有し、
前記デジタル制御ステップは、
前記カウントステップによりカウントされるカウント値の上限を示す閾値を設定し、前記カウントステップによりカウントされたカウント値が、前記設定された閾値を越えた場合に、前記発振ステップによる発振器信号の出力動作を停止する電力供給方法であって、
前記デジタル制御ステップは、
前記発振ステップによる発振器信号の出力動作と前記電力供給のオン/オフ動作とを連続的に動作させる通常制御モードと、前記発振ステップによる発振器信号の出力動作と前記電力供給のオン/オフ動作とを間欠的に動作させる低電力制御モードとを有し、前記カウントステップによりカウントされるカウント値の上限を示す閾値を設定され、かつ前記低電力制御モードが設定されている場合に、前記カウントステップによりカウントされたカウント値が、前記設定された閾値を越えると、前記発振ステップによる発振器信号の出力動作を停止し、
前記発振ステップによる発振器信号の出力動作が連続して停止された回数が、予め定められた連続繰返回数に達した場合に、出力動作を起動し、通常制御モードを設定する
ことを特徴とする電力供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給装置、電力供給システム及び電力供給方法に関し、供給電力が少ない状態においても、効率を下げず、低電力で制御できる機構を持ち、かつ供給先の機器や、使用環境に応じて容易に調整可能な電力供給装置、電力供給システム及び電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電力変換装置、特に、直流変換を行う装置において、内部に備えたスイッチング素子のオン/オフ制御によって負荷に供給する電力量を制御する電力供給装置がよく知られている。
【0003】
この電力供給装置は、アナログ回路方式およびデジタル回路方式が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−71978号公報
【特許文献2】特表2005−512493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のスイッチング電源では、アナログ回路により実現されているので、設定変更が困難であった。そのため、電力供給先の機器の仕様に応じて、リップル電圧やスイッチング周波数を調整することが困難になるという課題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載の高周波数電圧調整器用のデジタル制御器では、変換器出力電圧と比較する基準電圧は固定値であるので、電力供給先の機器の仕様に応じて、基準電圧を調整することができなかった。
【0007】
本発明の目的は、供給電力が少ない状態においても効率を下げることなく、供給先の機器の仕様や使用環境の変化に応じて、調節設定がデジタル設定(パラメータやソフト変更)のみで実行可能であり、再設計や他部品を用いた合わせこみを不要にした電力供給装置、電力供給システム及び電力供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、電源電圧に接続され、電力供給のオン/オフ動作を行うドライバと、一定周期毎に発振器信号を出力する発振器と、前記発振器により出力された発振器信号に基づいて、前記ドライバのオン/オフ制御を行うデジタル制御回路と、前記発振器による発信器信号をカウントするカウンタとを備え、前記デジタル制御回路は、前記カウンタによりカウントされるカウント値の上限を示す閾値を設定し、前記カウンタによりカウントされたカウント値が、前記設定された閾値を越えた場合に、前記発振器による発振器信号の出力動作を停止する電力供給装置であって、前記デジタル制御回路は、前記発振器による発振器信号の出力動作と前記ドライバのオン/オフ動作とを連続的に動作させる通常制御モードと、前記発振器による発振器信号の出力動作と前記ドライバのオン/オフ動作とを間欠的に動作させる低電力制御モードとを有し、前記カウンタによりカウントされるカウント値の上限を示す閾値を設定され、かつ前記低電力制御モードが設定されている場合に、前記カウンタによりカウントされたカウント値が、前記設定された閾値を越えると、前記発振器による発振器信号の出力動作を停止し、前記発振器による発振器信号の出力動作が連続して停止された回数が、予め定められた連続繰返回数に達した場合に、出力動作を起動し、通常制御モードを設定することを特徴とする電力供給装置が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、一定周期毎に発振器信号を出力する発振ステップと、前記発振ステップにより出力された発振器信号に基づいて、電力供給のオン/オフ動作を行うデジタル制御ステップと、前記発振ステップによる発信信号をカウントするカウントステップとを有し、前記デジタル制御ステップは、前記カウントステップによりカウントされるカウント値の上限を示す閾値を設定し、前記カウントステップによりカウントされたカウント値が、前記設定された閾値を越えた場合に、前記発振ステップによる発振器信号の出力動作を停止する電力供給方法であって、前記デジタル制御ステップは、前記発振ステップによる発振器信号の出力動作と前記電力供給のオン/オフ動作とを連続的に動作させる通常制御モードと、前記発振ステップによる発振器信号の出力動作と前記電力供給のオン/オフ動作とを間欠的に動作させる低電力制御モードとを有し、前記カウントステップによりカウントされるカウント値の上限を示す閾値を設定され、かつ前記低電力制御モードが設定されている場合に、前記カウントステップによりカウントされたカウント値が、前記設定された閾値を越えると、前記発振ステップによる発振器信号の出力動作を停止し、前記発振ステップによる発振器信号の出力動作が連続して停止された回数が、予め定められた連続繰返回数に達した場合に、出力動作を起動し、通常制御モードを設定することを特徴とする電力供給方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、供給電力が少ない状態においても効率を下げることなく、供給先の機器の仕様や使用環境の変化に応じて、調節設定がデジタル設定(パラメータやソフト変更)のみで実行可能であり、再設計や他部品を用いた合わせこみを不要にした電力供給装置、電力供給システム及び電力供給方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態に係る電力供給システムの構成を示した図。
図2】第1の実施の形態に係る電力供給システムの電力供給装置が備えるA/D変換器17の構成を示した図。
図3】第1の実施の形態に係る電力供給システムの電力供給装置の処理手順を示したフローチャート。
図4】第1の実施の形態に係る電力供給システムの電力供給装置のタイミングチャート。
図5】第2の実施の形態に係る電力供給システムの構成を示した図。
図6】第2の実施の形態に係る電力供給システムの電力供給装置における処理手順を示したフローチャート。
図7】第2の実施の形態に係る電力供給システムの電力供給装置のタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0013】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
[第1の実施の形態]
(電力供給システムの概要)
第1の実施の形態に係る電力供給システム100の構成は、図1に示すように、例えば、スイッチング電源装置である電力供給装置10と、電力供給装置10に接続されるコイルLと、コイルLに接続されるコンデンサCoおよび負荷16とを備える。電源電圧Vccが入力電源電圧であり、コンデンサCoとコイルLとの接続ノードより出力される出力電圧VOUTが得られる。
【0015】
電力供給装置10に接続され、電力供給装置10から電力が供給される負荷16としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、PDA、光ディスク装置、デジタルカメラ、無線通信装置などのモバイル機器や、これらを構成する構成部品などである。
【0016】
電力供給装置10は、電源電圧に接続され、電力供給のオン/オフ動作を行うドライバ11と、ドライバ11のオン/オフ制御を行うデジタル制御回路13と、例えば1MHzといった安定したクロック周期などの一定周期毎にドライバ11のオン/オフ制御するための発振器信号をデジタル制御回路13に出力する発振器15と、ドライバ11の出力電流を検出するコンパレータ21とを備えている。
【0017】
ここで、発信器15は出力をオン/オフできる機構を有し、通常モードは、安定したクロック周期を連続(常にEN信号オン)で出力し、かつ低電力モードは、発振器15のEN信号オンにより、即座に安定したクロック周期を出力、EN信号オフでクロック停止となり、間欠動作を可能とするものである。つまり、発信器15はドライバ11をオン/オフするための一定のクロック周期(一定周期)信号をデジタル制御回路13に出力する。
【0018】
デジタル制御回路13は、発振器15による発振器信号の出力動作とドライバ11のオン/オフ動作とを連続的に動作させる通常制御モードと、発振器15による発振器信号の出力動作とドライバ11のオン/オフ動作とを間欠的に動作させる低電力制御モードとを有している。
【0019】
デジタル制御回路13は、コンパレータ21により検出された電流に基づいて、通常制御モードと低電力制御モードとを切り替え設定し、設定されたモードに基づいて、ドライバ11及び発振器15を制御する。
【0020】
また、デジタル制御回路13は、通常制御モードから低電力制御モードに切り替えられたときに、発振器15による発振器信号の出力動作とドライバ11のオン/オフ動作とを停止させる。具体的には、デジタル制御回路13は、連続動作状態から必要なときのみ動作させる間欠動作状態へ切り替えられる。
【0021】
電力供給装置10は、ドライバ11によって電流制御されるコイルL、及びコイルLに接続されたコンデンサCoの接続ノードより出力される出力電圧VOUTと、予め設定された閾電圧VTHとを比較するA/D変換器17を備えている。
【0022】
デジタル制御回路13は、低電力制御モードが設定されており、A/D変換器17による比較結果により出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下となった場合に、ドライバ11のオン/オフ動作を開始させる。
【0023】
デジタル制御回路13は、低電力制御モードが設定されている場合に、発振器15による発振器信号の出力動作の停止後、出力動作を予め設定された時間だけ起動する。
【0024】
具体的には、発信器15の発振信号は停止されており、検出器(1ビットA/D変換器17)により、電圧低下状態を検出した場合、即座にオンし、予め設定された時間だけ起動し、検出器(1ビットA/D変換器17)が反転(所定電圧以上を検出)で停止する。すなわち、デジタル制御回路13は、出力動作を予め設定された時間だけ起動し、A/D変換器17による比較結果により出力電圧VOUTが閾電圧VTH以上となった場合、デジタル制御回路13は、出力動作を停止する。それまで、所定時間のオンオフを繰り返す。
【0025】
デジタル制御回路13は、低電力制御モードが設定されている場合に、発振器15による発振器信号の出力動作が連続して停止された回数が、予め定められた連続繰返回数に達した場合に、出力動作を起動し、通常制御モードを設定する。即ち、連続回数を予め設定された回数以上繰り返した場合、通常モードに切り替わり、連続動作となる。
【0026】
(電力供給装置の詳細構成)
第1の実施の形態に係る電力供給システムの電力供給装置10の構成について、詳細に説明する。
【0027】
電力供給装置10は、図1に示すように、電源電圧Vccに接続され、オン/オフ動作を行うドライバ11と、ドライバ11のオン/オフ制御を行うデジタル制御回路13と、ドライバ11に流れる電流量が制御されるコイルLと、コイルLに接続されコイルLとともに整流動作を行うコンデンサCoと、例えば1MHzといった安定したクロック周期などの一定周期毎にドライバ11をオン/オフ制御するための発振器信号をデジタル制御回路13に出力する発振器(OSC)15と、コンデンサCoとコイルLとの接続ノードより出力される出力電圧VOUTと、予め設定された閾電圧VTHとを比較するA/D変換器17と、A/D変換器17に閾電圧VTHを供給するメモリ19と、ドライバ11の出力電流を検出するコンパレータ21とを備える。
【0028】
なお、ドライバ11は、図示しないが、スイッチング素子を有しており、スイッチング素子のオン/オフを行う。例えば、スイッチング素子は、ドレインがコイルLに接続されソースが電源電圧Vccに接続されたpチャネルMOSFETQPと、ドレインがコイルLに接続されソースが接地電位に接続されたnチャネルMOSFETQNとからなるCMOSFETで構成されている。
【0029】
デジタル制御回路13は、制御モードとして、発振器15による発振器信号の出力動作とドライバ11のオン/オフ動作とを連続的に動作させる通常制御モードと、発振器15による発振器信号の出力動作とドライバ11のオン/オフ動作とを間欠的に動作させる低電力制御モードとを有している。低電力制御モードは、間欠的に動作させるので、その分、通常制御モードと比較して、消費電力は小さくなる。
【0030】
デジタル制御回路13は、コンパレータ21により検出された電流に基づいて、通常制御モードと低電力制御モードとを切り替え設定し、設定された制御モードに基づいて、ドライバ11及び発振器15を制御する。
【0031】
具体的には、デジタル制御回路13は、通常制御モードから低電力制御モードに切り替えられたときに、発振器15による発振器信号の出力動作とドライバ11のオン/オフ動作とを停止させ、低電力制御モードが設定されており、A/D変換器17による比較結果により出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下となった場合に、ドライバ11のオン/オフ動作を開始させる。
【0032】
A/D変換器17も通常モードから低電力モードでnビット変換から1ビット変換へ切り替えられる低電力機能を備える。すなわち、A/D変換器17は、後述するように、10ビットでA/D変換する10ビットモードと、1ビットで出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較する1ビットモードを有しており、通常制御モードが設定されている場合、10ビットモードで動作し、低電力制御モードが設定されている場合、1ビットモードで動作する。即ち、A/D変換器17は、1ビットモードでは、比較器となる。
【0033】
また、デジタル制御回路13は、低電力制御モードが設定されている場合に、発振器15による発振器信号の出力動作の停止後、出力動作を予め設定された時間だけ起動させる。
【0034】
具体的には、発信器15の発振信号は停止されており、検出器(1ビットA/D変換器17)により、電圧低下状態を検出した場合、即座にオンし、予め設定された時間だけ起動し、検出器(1ビットA/D変換器17)が反転(所定電圧以上を検出)で停止する。すなわち、デジタル制御回路13は、出力動作を予め設定された時間だけ起動し、A/D変換器17による比較結果により出力電圧VOUTが閾電圧VTH以上となった場合、デジタル制御回路13は、出力動作を停止する。それまで、所定時間のオンオフを繰り返す。
【0035】
デジタル制御回路13は、低電力制御モードが設定されている場合に、発振器15による発振器信号の出力動作の停止後、出力動作が連続して停止された回数が、予め定められた連続繰返回数予め定められた連続繰返回数に達した場合に、出力動作を起動し、通常制御モードを設定する。即ち、連続回数を予め設定された回数以上繰り返した場合、通常モードに切り替わり、連続動作となる。
【0036】
第1の実施の形態に係る電力供給システム100の電力供給装置10が備えるA/D変換器17の構成は、図2に示すように表される。
【0037】
A/D変換器17は、nビットで動作するnビットモードと、1ビットで動作する1ビットモードとを有し、低電力制御モードが設定されている場合に、1ビットモードでコンデンサC0とコイルLとの接続ノードより出力される出力電圧VOUTと、予め設定された閾電圧VTHとを比較する。
【0038】
具体的には、図2に示すように、A/D変換器17は、出力電圧VOUTを一時的に保存するBUF(buffer)51と、BUF51から供給された出力電圧VOUTを保存するS/H回路と、入力値を比較するコンパレータユニット55と、コンパレータユニット55から供給された比較結果を一時的に記憶すると共に、メモリ19から供給された閾電圧VTHをDAC(digital to analog converter)59へ供給するSAR(Successive Approximation Register)ロジック回路57と、デジタル信号をアナログ信号へ変換するDAC(digital to analog converter)59と、パルスカウントを発生させるPULSCNT61と、バイアス回路63とを備えている。
【0039】
A/D変換器17は、10ビットでA/D変換する10ビットモードと、1ビットで出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較する1ビットモードを有している。A/D変換器17は、通常制御モードが設定されている場合、10ビットモードで動作し、低電力制御モードが設定されている場合、1ビットモードで動作する。
【0040】
具体的には、A/D変換器17は、通常制御モードが設定されている場合(10ビットモードで動作する場合)、コンパレータユニット55と、SARロジック回路57と、DAC59とを10回ループさせることにより、閾電圧VTHをA/D変換する。
【0041】
一方、低電力制御モードが設定されている場合(1ビットモードで動作する場合)、A/D変換器17は、コンパレータユニット55と、DAC59と、PULSCNT61と、バイアス回路63とを用いて、出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較する。具体的には、閾電圧VTHがDAC59を介して、コンパレータユニット55に供給されると共に、出力電圧VOUTが、BUF51からコンパレータユニット55に供給される。
【0042】
コンパレータユニット55が、出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較し、出力電圧VOUTが閾電圧VTHを越えている場合は、デジタル制御回路13にオフ信号を供給し、出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下である場合は、デジタル制御回路13にオン信号を供給する。
【0043】
このように、A/D変換器17は、10ビットでA/D変換する10ビットモードと、1ビットで出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較する1ビットモードとを切り替えて使用するので、A/D変換器17内部の構成部品を共用し、A/D変換機能と比較機能とを切り替える仕様を実現することで、ハードウェア資源を節約している。
【0044】
(電力供給装置の動作)
次に、第1の実施の形態に係る電力供給システムの電力供給装置10の動作を説明する。
【0045】
第1の実施の形態に係る電力供給システムの電力供給装置10による処理手順を示したフローチャートは、図3に示すように表される。
【0046】
(a)図3に示すように、電力供給装置10は通電されると、まず、通常制御モードが設定される(ステップS101)。これにより、発振器15による発振器信号の出力動作や、ドライバ11のオン/オフ動作等の電力供給装置10が備える各構成部の各種動作が連続的に実行される。
【0047】
(b)そして、電圧値確認制御処理を実行する(ステップS103)。ここでは、通常制御モードが設定されているので、A/D変換器17は10ビットモードで電圧値を確認、即ち、アナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換する。
【0048】
(c)次に、コンパレータ21によりドライバ11の出力電流が検出されたか否かが判定される(ステップS105)。
【0049】
(d)ステップS105において、コンパレータ21によりドライバ11の出力電流が検出されると、処理がステップS103に移行される。
【0050】
(e)一方、ドライバ11の出力電流が検出されなくなる、即ち、電流値が“0”(A)まで低下すると、デジタル制御回路13は、制御モードとして、低電力制御モードを設定する(ステップS107)。これにより、以降、発振器15による発振器信号の出力動作と、ドライバ11のオン/オフ動作とが間欠的に動作されることになる。
【0051】
(f)まず、発振器15による発振器信号の出力動作が停止される(ステップS109)。
【0052】
そして、コンパレータ21によりドライバ11の出力電流が検出されたか否かが判定される(ステップS111)。
【0053】
(g)ステップS111において、コンパレータ21によりドライバ11の出力電流が検出されなくなる、即ち、電流値が“0”(A)まで低下すると(NOの場合)、デジタル制御回路13は、ドライバ11のオン/オフ動作を停止する(ステップS113)。
【0054】
(h)そして、出力電圧VOUTが閾電圧VTHを越えたか否かが判定される(ステップS115)。具体的には、低電力制御モードが設定されているので、A/D変換器17は、1ビットモードで動作し、コンパレータユニット55と、DAC59と、PULSCNT61と、バイアス回路63とを用いて、出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較し、出力電圧VOUTが閾電圧VTHを越えている場合は、デジタル制御回路13にオフ信号を供給し、出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下である場合は、デジタル制御回路13にオン信号を供給する。
【0055】
(i)一方、ステップS111において、ドライバ11の出力電流が検出されると、ステップS113をパスして、処理がステップS115に移行される。
【0056】
(j)ステップS115において、出力電圧VOUTが閾電圧VTHを越えていると判定されると(YESの場合)、即ち、デジタル制御回路13にオフ信号が供給されると、処理がステップS111に移行される。
【0057】
(k)一方、ステップS115において、出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下であると判定されると(NOの場合)、即ち、デジタル制御回路13にオン信号が供給されると、デジタル制御回路13は、出力動作が連続して停止された回数が、連続繰返回数に達したか否かを判定する(ステップS117)。ここで、連続繰返回数とは、低電力制御モードが設定されている場合において、間欠的に動作される発振器15による発振器信号の出力動作が、実行される回数の上限値であり、例えば、予め設定されている。即ち、設定された時間オンする回数が連続で繰り返される回数を意味する。この連続繰返回数により、低電力制御モードの設定期間が決定される。ここでは、連続繰返回数は、“3”回と設定されているとする。
【0058】
(l)ステップS117において、出力動作が連続して停止された回数が、連続繰返回数に達したと判定された場合(YESの場合)、発振器15による発振器信号の出力動作と、ドライバ11のオン/オフ動作とが開始される(ステップS119)。
【0059】
(m)一方、ステップS117において、出力動作が連続して停止された回数が、連続繰返回数を以下であると判定された場合(NOの場合)、発振器15による発振器信号の出力動作と、ドライバ11のオン/オフ動作とが開始された後(ステップS121)、設定時間が経過したか否かが判定される(ステップS123)。この設定時間は、低電力制御モードが設定されている場合において、発振器15による発振器信号の出力動作が開始されてから停止されるまでの時間であり、予め設定されている。
【0060】
第1の実施の形態に係る電力供給システム100の電力供給装置10のタイミングチャートは、図4に示すように表される。
【0061】
図4に示すように、時刻t1において、コンパレータ21によりドライバ11の出力電流が検出されなくなる、即ち、コンパレータ21からの出力信号がローレベルになると、時刻t3において、通常制御モードから、低電圧制御モードへ切り替えられる。
【0062】
これにより、発振器15による発振器信号の出力動作と、ドライバ11のオン/オフ動作とが、停止される。ドライバ11のオン/オフ動作が停止されることにより、電力供給が停止するので、コンデンサCoから自然放電が開始する。また、時刻t3において、A/D変換器17は、10ビットでA/D変換する10ビットモードから、1ビットで出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較する1ビットモードへ切り替わる。
【0063】
また、時刻t5において、出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下となり、1ビットモードで比較器として動作するA/D変換器17からの出力信号がローレベルになると、発振器15による発振器信号の出力動作と、ドライバ11のオン/オフ動作とが、開始される。これにより電力供給が再開するので、コンデンサCoの充電が開始する。オンが開始されると、カウントアップのオーバーフラグで発信器15、ドライバ11がオフ(Nch:オフ)となる。
【0064】
時刻t5から所定時間が経過した時刻t7において、発振器15による発振器信号の出力動作が停止される。
【0065】
そして、時刻t9において、コンパレータ21からの出力信号がローレベルになり、かつ、出力電圧VOUTが閾電圧VTHを越えている、即ち、A/D変換器17からの出力信号がハイレベルであるので、ドライバ11のオン/オフ動作が停止される。
【0066】
ここでは、連続繰返回数は、“3”回と設定されているので、時刻t11において、出力動作が連続して停止された回数が、連続繰返回数に達したと判定され、発振器15による発振器信号の出力動作と、ドライバ11のオン/オフ動作とが、開始される。
【0067】
その後、時刻t13において、低電圧制御モードから通常制御モードへ切り替えられる。これにより、発振器15による発振器信号の出力動作や、ドライバ11のオン/オフ動作等の電力供給装置10が備える各構成部の各種動作が連続的に実行される。
【0068】
このように、第1の実施の形態に係る電力供給装置10によれば、通常制御モードと、低電力制御モードとを有し、コンパレータ21により検出された電流に基づいて、通常制御モードと低電力制御モードとを切り替え設定し、設定されたモードに基づいて、ドライバ11及び発振器15を制御するので、低電力制御モードで制御している期間について消費電力を低減することができる。例えば、通常モードにおける消費電力が、1(mA)であるとすると、低電力制御モードで制御することにより、100(μA)程度まで節電することができる。
【0069】
また、負荷16の消費電力が小さいときには、低電力制御モードにて制御を行い、負荷16の消費電力に応じて電力供給装置10の消費電力の割合を低減することができる。
【0070】
さらに、デジタル制御回路13により、各制御が実行されるので、負荷16の仕様に応じて、リップル電圧やスイッチング周波数等の各種設定を容易に調整することができる。
【0071】
第1の実施の形態によれば、供給電力が少ない状態においても効率を下げることなく、供給先の機器の仕様や使用環境の変化に応じて、調節設定がデジタル設定(パラメータやソフト変更)のみで実行可能であり、再設計や他部品を用いた合わせこみを不要にした電力供給装置、電力供給システム及び電力供給方法を提供することができる。
【0072】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、10ビットで動作する10ビットモードと、1ビットで動作する1ビットモードとを切り替えるA/D変換器を備える電力供給装置10を例に挙げて説明したが、これに限らない。
【0073】
第2の実施の形態では、コンパレータにより出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較し、さらに、スイッチング周波数の調整を行う電力供給装置10Aを例に挙げて説明する。
【0074】
(電力供給システムの構成)
第2の実施の形態に係る電力供給システム100は、図5に示すように、例えば、スイッチング電源装置である電力供給装置10Aと、電力供給装置10Aに接続されるコイルLと、コイルLに接続されるコンデンサCoおよび負荷16とを備える。電源電圧Vccが入力電源電圧であり、コンデンサCoとコイルLとの接続ノードより出力される出力電圧VOUTが得られる。
【0075】
電力供給装置10Aに接続され、電力供給装置10Aから電力が供給される負荷16としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、PDA、光ディスク装置、デジタルカメラ、無線通信装置などのモバイル機器や、これらを構成する構成部品などである。
【0076】
電力供給装置10Aは、電源電圧に接続され、電力供給のオン/オフ動作を行うドライバ11と、一定周期毎に発振器信号を出力する発振器15と、発振器15により出力された発振器信号に基づいてドライバ11のオン/オフ制御を行うデジタル制御回路13Aと、発振器15による発信器信号をカウントするデジタルカウンタ131cと、を備え、デジタル制御回路13Aは、デジタルカウンタ131cによりカウントされるカウント値の上限を示す閾値を設定し、デジタルカウンタ131cによりカウントされたカウント値が、設定された閾値を越えた場合に、発振器15による発振器信号の出力動作を停止する。
【0077】
また、電力供給装置10Aは、ドライバ11によって電流制御されるコイルL、及びコイルLに接続されたコンデンサCoの接続ノードより出力される出力電圧VOUTと、予め設定された閾電圧VTHとを比較するコンパレータ23を新たに備え、デジタル制御回路13Aは、コンパレータ23による比較結果により出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下となった場合に、発振器15による発振器信号の出力動作を開始する。
【0078】
電力供給装置10Aは、外部入力から設定された閾値CTHを記憶するメモリ25を、更に備え、デジタル制御回路13Aは、メモリ25に記憶された閾値CTHを読み出し、デジタルカウンタ131cによりカウントされたカウント値が読み出された閾値CTHを越え、さらにコンパレータ23による比較結果により出力電圧VOUTが閾電圧VTH以上である場合に、発振器15による発振器信号の出力動作を停止する。
【0079】
(電力供給装置10Aの詳細構成)
第2の実施の形態に係る電力供給システム100の電力供給装置10Aの構成について、詳細に説明する。
【0080】
電力供給装置10Aは、図5に示すように、電源電圧Vccに接続され、オン/オフ動作を行うドライバ11と、ドライバ11のオン/オフ制御を行うデジタル制御回路13Aと、ドライバ11に流れる電流量が制御されるコイルLと、コイルLに接続されコイルLとともに整流動作を行うコンデンサCoと、一定周期毎にドライバ11をオン/オフ制御するための発振器信号をデジタル制御回路13Aに出力する発振器(OSC)15と、コンデンサCoとコイルLとの接続ノードより出力される出力電圧VOUTと、予め設定された閾電圧VTHとを比較するコンパレータ23と、コンパレータ23に閾電圧VTHを供給するメモリ25と、ドライバ11の出力電流を検出するコンパレータ21とを備える。
【0081】
これらの構成のうち、メモリ25と、コンパレータ23と、デジタル制御回路13A以外の構成については、第1の実施の形態に係る電力供給装置10と同一であるので、説明を省略する。
【0082】
メモリ25は、コンパレータに供給する閾電圧VTHと、後述するように、充放電のスイッチング周波数を決定するための閾値CTHを記憶する。
【0083】
コンパレータ23は、コンデンサCoとコイルLとの接続ノードより出力される出力電圧VOUTと、メモリ19から供給される閾電圧VTHとを比較し、出力電圧VOUTが閾電圧VTHを越えている場合は、デジタル制御回路13Aにオフ信号を供給し、出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下である場合は、デジタル制御回路13Aにオン信号を供給する。
【0084】
デジタル制御回路13Aは、その機能上、演算部131と、変調部132とを備える。
【0085】
変調部132は、演算部131から供給される信号を変調して制御信号を生成し、ドライバ11へ供給する。
【0086】
演算部131は、さらに、演算処理部131aと、状態管理部131bと、デジタルカウンタ131cとを備える。
【0087】
演算処理部131aは、各種判断処理を含む演算処理を実行する。この判断処理には、出力(VOUT、供給)安定化処理(通常モード)がある。
【0088】
状態管理部131bは、各構成要素の状態を管理する。具体的には、以下(1)〜(3)の状態を管理する。
【0089】
(1)コンパレータ21の検出により、通常制御モード→低電力制御モードの管理を行う。
【0090】
(2)低電力モード時、カウントUP/OVER時、コンパレータ21により発信器継続か停止モードの状態かの管理、カウント状態の連続繰り返し管理を行う。
【0091】
(3)低電力制御モード→通常制御モードの管理を行う。
【0092】
(4)自然放電モードでの、コンパレータ21検出状態でドライバ11の状態を完全オフモードに管理する。(充電モード Pch:オン Nch:オフ、放電モード Pch:オフ Nch:オン、但し、コンパレータ21検出でPch:オフ Nch:オフ)+各モードにおけるドライバ11のオン/オフ状態管理を行う。
【0093】
より具体的には、状態管理部131bは、デジタルカウンタ131cによりカウントされたカウント値Cの上限を示す閾値CTHを、メモリ19から読み出し、読み出した閾値CTHを設定する。状態管理部131bは、デジタルカウンタ131cによりカウントされたカウント値Cが、設定された閾値CTHを越えたか否かを判定する。ここで、閾値CTHは、予め設定することができ、この閾値CTHにより、充放電のスイッチング周波数が決定される。
【0094】
さらに、状態管理部131bは、コンパレータ21により検出された電流に基づいて、通常制御モードと低電力制御モードとを切り替え設定する。また、状態管理部131bは、デジタルカウンタ131cによるカウントアップの管理を行う。
【0095】
また、状態管理部131bは、カウント値Cが設定された閾値CTHを越え、さらにコンパレータ23による比較結果により出力電圧VOUTが閾電圧VTH以上である場合に、発振器15による発振器信号の出力動作を停止し、カウント値Cが設定された閾値CTHを越え、コンパレータ23による比較結果により出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下である場合に、発振器15による発振器信号の出力動作を継続し、カウント値Cをリセットさせる。
【0096】
また、状態管理部131bは、発振器15による発振器信号の出力動作を停止し、ドライバ11のオン/オフ動作を停止する(Pch:オフ、Ncn:オン)。これにより、自然放電状態(コイルLの放電状態)となり、負荷16による消費電力が少ないモードであるため、コイルLによる逆起電力により、電流が低下し、コンパレータ21により電流値が“0”Aであることが検出されると、ドライバ11のオン/オフ動作を完全停止(Pch:オフ、Ncn:オフ)する。
【0097】
デジタルカウンタ131cは、発振器15から供給される発振器信号をカウントする。
【0098】
(電力供給装置の動作)
第2の実施の形態に係る電力供給システム100の電力供給装置10Aの動作を説明する。
【0099】
第2の実施の形態に係る電力供給システム100の電力供給装置10Aの処理手順を示したフローチャートは、図6に示すように表される。
【0100】
(a)電力供給装置10Aは、図6に示すように、オフ制御させているとする(ステップS201)。具体的には、発振器15による発振器信号の出力動作が停止している。
【0101】
(b)そして、デジタル制御回路13Aの状態管理部131bは、出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下か否かを判定する(ステップS203)。ステップS203において、出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下であると判定された場合(YESの場合)、デジタル制御回路13Aの状態管理部131bは、オン制御を実行する。具体的には、状態管理部131bは、発振器15による発振器信号の出力動作、デジタルカウンタ131cのカウント動作、ドライバ11のオン/オフ動作が開始される。
【0102】
(c)次に、デジタル制御回路13Aの状態管理部131bは、デジタルカウンタ131cによりカウントされたカウント値Cが閾値CTHを越えたか否かを判定する(ステップS207)。
【0103】
(d)ステップS207によりカウント値Cが閾値CTHを越えたと判定された場合(YESの場合)、状態管理部131bは、出力電圧VOUTが閾電圧VTH以上か否かを判定する(ステップS208)。
【0104】
(e)ステップS208において、出力電圧VOUTが閾電圧VTH以上と判定された場合(YESの場合)、状態管理部131bは、オフ処理を実行する(ステップS209)。具体的には、発振器15による発振器信号の出力動作を停止し、ドライバ11のオン/オフ動作を停止する(Pch:オフ、Ncn:オン)。これにより、自然放電状態(コイルLの放電状態)となり、負荷16による消費電力が少ないモードであるため、コイルLによる逆起電力により、電流が低下し、“0”となると、コンパレータ21によりこれを検出することにより、ドライバ11のオン/オフ動作が完全停止(Pch:オフ、Ncn:オフ)し、コンデンサCoの完全自然放電状態となる。
【0105】
第2の実施の形態に係る電力供給システム100の電力供給装置10Aのタイミングチャートは、図7に示すように表される。
【0106】
図7に示すように、時刻t11において、出力電圧VOUTが閾電圧VTH以下となると、時刻t13において、発振器15による発振器信号の出力動作等が開始される。即ち、安定出力動作が即座に行われる。これにより、コンパレータ21により電流が検出され、また、コンデンサCoの充電が開始される。
【0107】
時刻t13から、デジタルカウンタ131cは、発振器15から供給される発振器信号のカウントを開始する。
【0108】
時刻t15において、状態管理部131bにより、カウント値Cが閾値CTHを越えたと判定されると、速やかに、状態管理部131bは、発振器15による発振器信号の出力動作を停止する。
【0109】
これにより、ドライバ11が停止するので、ドライバ11の出力電流が低下し、t17時点において、“0”(A)になると、コンデンサCoの自然放電が開始する。
【0110】
このように、閾値CTHが、予め設定されることにより、充放電のスイッチング周波数が決定される。
【0111】
以上のように、第2の実施の形態に係る電力供給システム100の電力供給装置10Aによれば、デジタル制御回路13Aが、デジタルカウンタ131cによりカウントされたカウント値の上限値を設定し、デジタルカウンタ131cによりカウントされたカウント値が設定された閾値を越えた場合に、発振器15による発振器信号の出力動作を停止するので、この閾値の値を設定変更することにより、充放電パルス間隔、即ち、スイッチング周波数を変更することができる。
【0112】
これにより、負荷16の仕様に応じて、スイッチング周波数等の各種設定を容易に調整することができるので、例えば、電力供給装置10Aの実装後においても、閾値の値等の設定変更を行うことで、電力供給先の機器の仕様に応じて、要求される電力供給ができるように容易に調整することができる。そのため、アナログ回路にて実装された従来技術である電力供給装置のように、電力供給先の機器の仕様変更があった場合に、再設計や新たに別デバイスの開発を行う必要がなくなるという有利な効果を奏する。
【0113】
また、第2の実施の形態に係る電力供給システム100の電力供給装置10Aによれば、デジタルカウンタ131cによりカウントされたカウント値が設定された閾値を越えた場合に、発振器15による発振器信号の出力動作を停止するので、ドライバ11の消費電力を低減するだけでなく、発振器15の消費電力も低減することができる。
【0114】
なお、第2の実施の形態では、スイッチング周波数を調整する電力供給装置10Aを例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、リップル電圧等のようなデジタル制御において設定可能なものであれば何でも良い。
【0115】
また、第2の実施の形態では、コンパレータ23により出力電圧VOUTと閾電圧VTHとを比較し、また、スイッチング周波数の調整を行う電力供給装置10Aを例に挙げて説明したが、これに替えて、第1の実施の形態に示したA/D変換器17を備える構成としてもよい。
【0116】
さらに、第1の実施の形態に示したように、通常制御モードと低電力制御モードとを切り替えるようにしてもよい。具体的には、電源電圧に接続され、電力供給のオン/オフ動作を行うドライバ11と、一定周期毎に発振器信号を出力する発振器15と、発振器15により出力された発振器信号に基づいて、ドライバ11のオン/オフ制御を行うデジタル制御回路13Aと、発振器15による発信器信号をカウントするデジタルカウンタ131cと、ドライバ11の出力電流を検出するコンパレータ21とを備え、デジタル制御回路13Aは、発振器15による発振器信号の出力動作とドライバ11のオン/オフ動作とを連続的に動作させる通常制御モードと、発振器15による発振器信号の出力動作とドライバ11のオン/オフ動作とを間欠的に動作させる低電力制御モードとを有し、デジタルカウンタ131cによりカウントされるカウント値Cの上限を示す閾値CTHを設定され、かつ低電力制御モードが設定されている場合に、デジタルカウンタ131cによりカウントされたカウント値が、設定された閾値を越えると、発振器15による発振器信号の出力動作を停止するようにしてもよい。
【0117】
これにより、低電力制御モードが設定されている場合に、発振器15による発振器信号の出力動作を停止するので、消費電力を低減することができると共に、この閾値の値を設定変更することにより、充放電パルス間隔、即ち、スイッチング周波数を変更することができるので、電力供給先の機器の仕様に応じて、要求される電力供給ができるように容易に調整することができる。
【0118】
また、デジタル制御回路13Aは、コンパレータ21により検出された電流に基づいて、通常制御モードと低電力制御モードとを切り替え設定し、設定されたモードに基づいて、ドライバ11及び発振器15を制御するようにしてもよい。
【0119】
さらに、第2の実施の形態では、メモリ25に記憶された閾値CTHを読み出し、デジタルカウンタ131cによりカウントされたカウント値Cが読み出された閾値CTHを越えた場合に、発振器15による発振器信号の出力動作を停止するデジタル制御回路13Aを備える電力供給装置10Aを例に挙げて説明したが、これに限らない。
【0120】
閾値CTHが記憶された外部端末と通信する通信インタフェースを備え、デジタル制御回路13Aが、通信インタフェースを介して外部端末から閾値CTHを受信し、デジタルカウンタ131cによりカウントされたカウント値Cが、受信した閾値CTHを越えた場合に、発振器15による発振器信号の出力動作を停止するようにしてもよい。
【0121】
第2の実施の形態によれば、一定周期毎に発振器信号を出力する発振ステップと、発振ステップにより出力された発振器信号に基づいて、電力供給のオン/オフ動作を行うデジタル制御ステップと、発振ステップによる発信信号をカウントするカウントステップとを有し、デジタル制御ステップは、カウントステップによりカウントされるカウント値の上限を示す閾値を設定し、カウントステップによりカウントされたカウント値が、設定された閾値を越えた場合に、発振ステップによる発振器信号の出力動作を停止する電力供給方法を提供できる。
【0122】
第2の実施の形態によれば、供給電力が少ない状態においても効率を下げることなく、供給先の機器の仕様や使用環境の変化に応じて、調節設定がデジタル設定(パラメータやソフト変更)のみで実行可能であり、再設計や他部品を用いた合わせこみを不要にした電力供給装置、電力供給システム及び電力供給方法を提供することができる。
【0123】
以上説明したように、本発明によれば、供給先の機器に応じて容易に調整可能な電力供給装置、電力供給システム及び電力供給方法を提供することができる。
【0124】
(その他の実施の形態)
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0125】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の電力供給装置は、直流変換を行う装置において、内部に備えたスイッチング素子のオン/オフ制御によって負荷に供給する電力量を制御するスイッチング電源装置等の電力変換装置に適用される。
【符号の説明】
【0127】
10,10A…電力供給装置
11…ドライバ
13,13A…デジタル制御回路
15…発振器
16…負荷
17…A/D変換器(比較器)
19…メモリ
21…コンパレータ(電流検出器)
23…コンパレータ(比較器)
51…BUF
55…コンパレータユニット
57…SARロジック回路
59…DAC
61…PULSCNT
63…バイアス回路
100…電力供給システム
131…演算部
131a…演算処理部
131b…状態管理部
131c…デジタルカウンタ
132…変調部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7