特許第6043539号(P6043539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6043539フルフェイスマスクのレギュレーター固定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043539
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】フルフェイスマスクのレギュレーター固定方法
(51)【国際特許分類】
   B63C 11/14 20060101AFI20161206BHJP
   B63C 11/22 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B63C11/14
   B63C11/22
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-175641(P2012-175641)
(22)【出願日】2012年8月8日
(65)【公開番号】特開2014-34254(P2014-34254A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】308028016
【氏名又は名称】日本潜水機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】服部 清次
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 拓也
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−224141(JP,A)
【文献】 特開2012−132480(JP,A)
【文献】 実公昭46−021790(JP,Y1)
【文献】 米国特許第03521626(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 11/14
B63C 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウスピースを固定できる部位として管状に形成されたマウスピース管部を備える呼吸用レギュレーターを、軟質素材で形成されたフルフェイスマスクに固定する手段として、フルフェイスマスクのレギュレーター取付け部の内側部と、レギュレーター本体のマウスピース管部の内側部に板状部材を配し、該板状部材を、マウスピース管内部を連通した連結部材で締結するものであって、
前記フルフェイスマスクのレギュレーター取付け部に前記マウスピース管部が挿入されて固定され、前記フルフェイスマスクのレギュレーター取付け部が前記板状部材によって挿入長さ方向に圧縮されるように、前記マウスピース管部の長さは前記フルフェイスマスクのレギュレーター取付け部の長さと同等以下であることを特徴とするフルフェイスマスクのレギュレーター固定方法。
【請求項2】
前記板状部材には呼吸用空気を通過させる開口部を設け、前記連結部材を前記マウスピース管内部の左右端2箇所に配したことを特徴とする請求項1に記載のフルフェイスマスクのレギュレーター固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜水において着用する潜水用フルフェイスマスクおける、呼吸用レギュレーターの固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在実用化されている潜水用フルフェイスマスクにおける呼吸用レギュレーター(以下レギュレーターという)の固定方法は、通常ではマウスピースを取り付けて口に咥えて使用するレギュレーターを固定する場合においては、マウスピースを外し、レギュレーターのマウスピース固定部をフルフェイスマスクのレギュレーター取付け部に差込み、ナイロンバンド等で締め付けて固定している。
【0003】
しかしながら、この方式ではゴム等の軟質素材で形成されたフルフェイスマスクの該レギュレーター取付け部において、素材の経年劣化や使用時の外部からの過剰加重により根元部に亀裂が入り、最悪の場合使用中にレギュレーターがフルフェイスマスクから離脱するというきわめて重大な事故が発生するなどの問題があった。
【0004】
また、現在実用化されている潜水用ヘルメットにレギュレーターを固定する場合は、先行技術文献のようにレギュレーターの一部を特殊な形状とし、該ヘルメット専用とすることで確実な取り付けを実現している。しかしながら、この方式では汎用の呼吸用レギュレーターが使用できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−216949号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
汎用のレギュレーターが使用でき、フルフェイスマスクの素材が劣化した際や、レギュレーターに外部から過剰荷重が加わった際にもレギュレーターが離脱することが無い、フルフェイスマスクのレギュレーター固定方法の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために次の構成を備える。
本発明に係るフルフェイスマスクのレギュレーター固定方法の一形態によれば、潜水時にダイバーが顔面に装着する眼部、鼻部および口部を一体に覆い、レギュレーターが装着されていてダイバーが呼吸することが出来るようにしたフルフェイスマスクにおいて、ダイバーの口部近傍にレギュレーターが固定できるように取り付け部が軟質素材にて略長円断面の円筒状に形成されている。
【0008】
また、本発明に係るフルフェイスマスクのレギュレーター固定方法の一形態によれば、該レギュレーター取付け部はレギュレーター本体の管状に形成されたフルフェイスマスクとの連結部が挿入可能に形成されている。該管状部は通常はマウスピースを固定するための部位である(以後マウスピース管又はマウスピース管部という)。
【0009】
また、本発明に係るフルフェイスマスクのレギュレーター固定方法の一形態によれば、該レギュレーター取付け部のフルフェイスマスク内側部に接するように、板状部材が配されている。また、この板状部材には、該レギュレーター本体のマウスピース管からの呼吸用空気の流通を確保する開口部が形成されていることを特徴とする事ができる。
【0010】
また、本発明に係るフルフェイスマスクのレギュレーター固定方法の一形態によれば、該レギュレーター本体内側部のマウスピース管に接するように、板状部材が配されている。また、この板状部材には、該レギュレーター本体の管状に形成されたマウスピース管からの呼吸用空気の流通を確保する開口部が形成されていることを特徴とする事ができる。
【0011】
また、本発明に係るフルフェイスマスクのレギュレーター固定方法の一形態によれば、該フルフェイスマスク内部および該レギュレーター内部に配された板状部材には、これらを連通し締結する連結部材がマウスピース管内部に配され、これを締結することにより該板状部材が固定されレギュレーターがフルフェイスマスクから離脱しないように構成されていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るフルフェイスマスクのレギュレーター固定方法の一形態によれば、汎用のレギュレーターを少ない構成部品において確実にフルフェイスマスクに固定でき、容易には離脱することが無いという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るフルフェイスマスクおよびレギュレーターの外観図である。
図2図1の形態例の従来技術によるレギュレーター固定部横断面図である。
図3図1の形態例の本発明によるレギュレーター固定部横断面図である。
図4図1の形態例の本発明による背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
汎用のレギュレーターを少ない構成部品において確実にフルフェイスマスクに固定でき、容易には離脱することが無いという固定方法の手段として、フルフェイスマスクのレギュレーター取付け部の内側部と、レギュレーター本体のマウスピース管部の内側部に板状部材を配し、該板状部材を、マウスピース管内部を連通した連結部材で締結することで確実に固定することができる。
【0015】
該マウスピース管は該フルフェイスマスクのレギュレーター取付け部に挿入される。該マウスピース管の長さは該フルフェイスマスクのレギュレーター取付け部の長さと同等以下であることが望ましい。これにより、該フルフェイスマスクのレギュレーター取付け部は該板状部材により圧縮され、防水性能が向上する。
【0016】
該板状部材の中央部には、該マウスピース管からの呼吸用空気の流路として開口部が設けられている。また、該開口部には、該板状部材を固定するための連結部材であるネジ部材を連通あるいはネジ締結するための穴もしくはタップ穴が設けられている。連結部材はネジ部材以外にもラチェットやプッシュナット式の締結機構など様々な手法が考えられる。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明に係るフルフェイスマスクのレギュレーター固定方法の実施例を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1はフルフェイスマスクおよびレギュレーターの外観図である。1フルフェイスマスクには4レンズが形成されている。また、3レギュレーターには5空気ホースにより通常0.7〜1MPaの空気が供給されている。3レギュレーターはこの空気を周囲圧と同等に減圧してダイバーへ呼吸動作により供給する。1フルフェイスマスクはダイバーの頭部へ2ストラップによって固定される(詳細は図示せず)。
【0018】
図2はフルフェイスマスクとレギュレーターの従来の固定方法を示した横断面図である。3レギュレーターの3aマウスピース管を1フルフェイスマスクの1aレギュレーター取付け部に挿入し、21ナイロンバンドで締め付ける。
【0019】
図3は本発明によるフルフェイスマスクとレギュレーターの固定方法を示した横断面図である。1フルフェイスマスクの1aレギュレーター取付け部には、3レギュレーターの3aマウスピース管が挿入されている。
【0020】
31板状部材は1フルフェイスマスクの内側に配されている。また、32板状部材は3レギュレーターの内部の3aマウスピース管部に配されている。31板状部材および21板状部材にはそれぞれ31a開口部および32a開口部が設けられている。また、31板状部材には31b穴が左右2箇所に設けられている。さらに32板状部材には32bタップ穴が左右2箇所に設けられている。
【0021】
33ネジ部材は31b穴を貫通し32bタップ穴に締結される。このネジ部材は34マウスピース管内部を貫通せしめることで、1フルフェイスマスクと3レギュレーターを強固に固定する。また、33ネジ部材が34マウスピース管内部の左右端部に配されることで、呼吸時の空気抵抗の増加を最小に押さえることができる。また、このように連結部材である33ネジ部材が配されることで、34マウスピース管内部が略長円断面の筒状に形成されているため、板状部材31、32が、ずれないように位置決めされて強固に固定される効果もある。
【0022】
以上の構成により、汎用のレギュレーターを少ない構成部品において確実にフルフェイスマスクに固定でき、容易には離脱することが無いフルフェイスマスクのレギュレーター固定方法を実現できるものである。
【0023】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0024】
1 フルフェイスマスク
1a レギュレーター取付け部
2 ストラップ
3 レギュレーター
3a マウスピース管
4 レンズ
5 空気ホース
21 ナイロンバンド
31 板状部材
31a 開口部
31b 穴
32 板状部材
32a 開口部
32b タップ穴
33 ネジ部材
34 マウスピース管内部
図1
図2
図3
図4