特許第6043544号(P6043544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6043544入力デバイス、入力システム、電子機器、及び感覚提示方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043544
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】入力デバイス、入力システム、電子機器、及び感覚提示方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20161206BHJP
   G06F 3/0484 20130101ALI20161206BHJP
【FI】
   G06F3/01 560
   G06F3/0484 150
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-184042(P2012-184042)
(22)【出願日】2012年8月23日
(65)【公開番号】特開2014-41520(P2014-41520A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100170346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 望
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 鎮
(72)【発明者】
【氏名】川部 英雄
(72)【発明者】
【氏名】昆陽 雅司
【審査官】 松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/035100(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0021277(US,A1)
【文献】 特開平07−146751(JP,A)
【文献】 米国特許第05555894(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0065784(US,A1)
【文献】 特開2009−009412(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/038822(WO,A1)
【文献】 樋口篤史,振動刺激を用いた弾性感呈示に関する研究,ロボティクス・メカトロニクス講演会 ’11 講演論文集,日本,一般社団法人日本機械学会,2011年 5月26日,第3148-3150ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24
A63F 13/00 −13/98
G06F 3/01
G06F 3/048− 3/0489
G06F 3/14 − 3/153
G06T 11/00 −11/40
G06T 15/00 −17/00
G06T 17/10 −17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる入力操作を受ける操作部と、
前記操作部を振動させる振動部と、
前記入力操作を検出する検出部と、
前記検出部で検出された前記入力操作に基づいて前記振動部の振動条件を決定し、決定した前記振動条件で前記振動部を駆動することで、前記ユーザに弾性感を提示するように構成され、前記入力操作に基づいて画面に表示された操作対象の移動を制御し、前記画面に表示されたオブジェクトが前記操作対象によって変形させられるときに前記振動部の周波数を低下させる制御部と
を具備する入力デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の入力デバイスであって、
前記制御部は、前記操作対象によって変形させられた前記オブジェクトが元の形状に戻るときに前記振動部の周波数を増加させる
入力デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の入力デバイスであって、
前記制御部は、前記オブジェクトが前記操作対象によって変形させられるときに前記振動部の振幅を増加させる
入力デバイス。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の入力デバイスであって、
前記制御部は、前記操作対象によって変形させられた前記オブジェクトが元の形状に戻るときに前記振動部の振幅を低下させる
入力デバイス。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の入力デバイスであって、
前記オブジェクトは、弾性変形可能な弾性体を示した画像である
入力デバイス。
【請求項6】
請求項からのいずれか1項に記載の入力デバイスであって、
前記制御部は、前記操作対象と前記オブジェクト内にある所定の位置との間の距離と、前記操作対象の移動速度と、の少なくとも一方を変数とする関数を用いて、前記振動条件を決定する
入力デバイス。
【請求項7】
請求項からのいずれか1項に記載の入力デバイスであって、
前記制御部は、前記操作対象を停止した後、前記振動部の振幅を減衰させる
入力デバイス。
【請求項8】
ユーザによる入力操作を受ける操作部と、前記操作部を振動させる振動部と、を有する入力デバイスと、
前記入力操作を検出する検出部と、
前記検出部で検出された前記入力操作に基づいて前記振動部の振動条件を決定し、決定された前記振動条件で前記振動部を駆動することで、前記ユーザに弾性感を提示するように構成され、前記入力操作に基づいて画面に表示された操作対象の移動を制御し、前記画面に表示されたオブジェクトが前記操作対象によって変形させられるときに前記振動部の周波数を低下させる制御部と
を具備する入力システム。
【請求項9】
請求項に記載の入力システムであって、
前記検出部は、前記入力デバイスと一体に構成されている
入力システム。
【請求項10】
ユーザによる入力操作を受ける操作部と、
前記操作部を振動させる振動部と、
前記入力操作を検出する検出部と、
オブジェクトと、前記入力操作に基づいて移動可能な操作対象と、を表示する画面を有する表示部と
前記検出部で検出された前記入力操作に基づいて振動条件を決定し、決定した前記振動条件で前記振動部を駆動することで、前記ユーザに弾性感を提示するように構成され、前記操作対象の移動を制御し、前記オブジェクトが前記操作対象によって変形させられるときに前記振動部の周波数を低下させる制御部と
を具備する電子機器。
【請求項11】
オブジェクトと、ユーザの操作部への入力操作に基づいて移動可能な操作対象と、を画面に表示し、
前記入力操作を検出し、
検出した前記入力操作に基づいて前記操作部の振動条件を決定し、
決定した前記振動条件で前記操作部を振動させて、前記ユーザに弾性感を提示し、
前記オブジェクトが前記操作対象によって変形させられるときに前記操作部の振動の周波数を低下させる
感覚提示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ユーザが認識可能な感覚を提示可能な入力デバイス、入力システム、電子機器、及び感覚提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
入力デバイスには、ユーザの入力操作を出力するのみならず、ユーザの入力操作の際にユーザに何らかの感覚を提示可能なものがある。このような入力デバイスは、ユーザの入力操作の対象である操作対象が受けるであろう仮想的な刺激を再現し、その刺激をユーザに付与する。これにより、このような入力デバイスでは、あたかもユーザ自らの手や指などが操作対象であるかのような感覚をユーザに提示することができる。特許文献1には、ユーザに粘性や慣性を再現した感覚を提示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−159110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが実際に受ける感覚には様々なものがある。したがって、入力デバイスには、ユーザの入力操作に対応して粘性感や慣性感以外の感覚を提示することができることが望まれる。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、ユーザに対して弾性感を提示することが可能な入力デバイス、入力システム、電子機器、及び感覚提示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の問題を鑑み本技術の一形態に係る入力デバイスは、操作部と、振動部と、検出部と、制御部と、を具備する。
上記操作部はユーザによる入力操作を受ける。
上記振動部は上記操作部を振動させる。
上記検出部は上記入力操作を検出する。
上記制御部は、上記検出部で検出された上記入力操作に基づいて上記振動部の振動条件を決定し、決定された上記振動条件で上記振動部を駆動することで、上記ユーザに弾性感を提示するように構成されている。
【0007】
本技術の別の形態に係る入力システムは、入力デバイスと、検出部と、制御部と、を具備する。
上記入力デバイスは、ユーザによる入力操作を受ける操作部と、上記操作部を振動させる振動部と、を有する。
上記検出装置は上記操作部に対する入力操作を検出する。
上記制御装置は、上記検出部で検出された上記入力操作に基づいて上記振動部の振動条件を決定し、決定した上記振動条件で上記振動部を駆動することで、上記ユーザに弾性感を提示するように構成されている。
【0008】
本技術の別の形態に係る電子機器は、操作部と、振動部と、検出部と、画面と、制御部と、を具備する。
上記操作部はユーザによる入力操作を受ける。
上記振動部は上記操作部を振動させる。
上記検出部は上記入力操作を検出する。
上記画面は画像を表示する画面を有する。
上記制御部は、上記入力操作に基づいて上記画面に表示された操作対象の移動を制御し、上記画面に表示されたオブジェクトと上記操作対象との間の相対位置に基づいて上記振動条件を決定し、決定した上記振動条件で上記振動部を駆動することで、上記ユーザに弾性感を提示するように構成されている。
【0009】
本技術の別の形態に係る感覚提示方法は、ユーザの操作部への入力操作を検出する。検出された上記入力操作に基づいて上記操作部の振動条件を決定する。決定した上記振動条件で上記操作部を振動させて、上記ユーザに弾性感を提示する。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本技術によれば、ユーザに対して弾性感を提示することが可能な入力デバイス、入力システム、電子機器、及び感覚提示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本技術の第1の実施形態に係る入力システムの概略構成図である。
図2図1に示した入力システムの機能ブロック図である。
図3A図1に示した入力システムの動作を例示する図である。
図3B図1に示した入力システムの動作を例示する図である。
図3C図1に示した入力システムの動作を例示する図である。
図4図1に示した入力システムの制御部における処理の流れの一例を示したフローチャートである。
図5図1に示した入力システムの制御部における処理の流れの一例を示したフローチャートである。
図6図1に示した入力システムの制御部における処理の流れの一例を示したフローチャートである。
図7図1に示した入力システムの制御部における処理の流れの一例を示したフローチャートである。
図8】本技術の第2の実施形態に係る入力システムの概略構成図である。
図9図8に示した入力システムの機能ブロック図である。
図10A図8に示した入力システムの動作を例示する図である。
図10B図8に示した入力システムの動作を例示する図である。
図10C図8に示した入力システムの動作を例示する図である。
図11】本発明の第3の実施形態に係る電子機器の機能ブロック図である。
図12A図11に示した電子機器の動作を例示する図である。
図12B図11に示した電子機器の動作を例示する図である。
図12C図11に示した電子機器の動作を例示する図である。
図13】本発明の第4の実施形態に係る入力デバイスの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
[全体構成]
図1は本技術の第1の実施形態に係る入力システム10の概略構成図であり、図2図1に示した入力システム10の機能ブロック図である。入力システム10は操作部11と制御部12と検出部13と表示部14とを具備する。
【0014】
操作部11は、ユーザの手hによる入力操作を受ける。入力システム10は、操作部11の内部に、振動部17(図2参照)を有する。制御部12は振動部17を駆動するための信号を無線で発信するアンテナ19を有する。検出部13及び表示部14は有線で制御部12に接続されている。
【0015】
操作部11は入力デバイスとして構成され、ユーザは手hで操作部11を握り、操作部11を移動させることにより入力操作を行なう。検出部13は、操作部11の位置をユーザの入力操作として検出し、検出結果を制御部12に出力する。制御部12は検出部13から入力された検出結果に基づいて、表示部14の画面14aへの表示を行なう。
【0016】
[操作部の構成]
操作部11は、ユーザが手hで握りやすいように棒状に形成された筐体と、筐体内に配置された振動部17と、を有する。振動部17は振動可能であり、操作部11は振動部17の振動が筐体を介してユーザの手hに良好に伝達されるように構成されている。
【0017】
振動部17は、制御部12によってオン状態とオフ状態とに切り替えられる。オン状態は振動部17が振動可能な状態であり、オフ状態は振動部17が振動不能な状態である。
オン状態における振動部17の振動方向は等方的であっても異方的であってもよい。振動部17は、少なくとも一方向に振動可能であればよいが、複数の方向に振動可能であってもよい。複数の方向に振動可能な振動部17は、制御部12によってその振動方向を制御可能な構成を有していてもよい。振動部17としては、モータをはじめとする様々なアクチュエータを用いたものを採用することができる。
【0018】
操作部11には、その移動以外の入力操作がユーザによってなされることが可能なように構成されていてもよい。その場合、操作部11の筐体に露出した操作ボタンやスライドレバーなどの構成が適宜設けられる。
【0019】
[検出部の構成]
検出部13には、操作部11の位置を検出することが可能なCCD(Charge Coupled Device Image Sensor)イメージセンサが用いられている。検出部13に用いることが可能なセンサは、CCDイメージセンサに限らず、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサでもよい。
【0020】
検出部13における操作部11の位置を検出するタイミングは制御部12によって制御される。具体的には、検出部13は、制御部12から送信されるタイミング信号を受信するごとに操作部11の位置を検出する。なお、検出部13は、常に操作部11の位置をモニタリングする構成でもよいが、所定のタイミングで操作部11の位置を検出する構成の方が入力システム10全体としての消費電力が低減される。
【0021】
[制御部の構成]
制御部12には、一般的なパーソナルコンピュータが用いられる。制御部12は、検出部13から入力された検出結果(操作部11の位置情報)を処理し、表示部14及び操作部11に出力することができればよい。そのため、制御部12には、一般的なパーソナルコンピュータの全ての構成要素が含まれる必要はない。制御部12に搭載されたアンテナ19としては、制御部12による出力信号を操作部11に送信可能な構成を有するものであればよい。
【0022】
[表示部の構成]
表示部14には、一般的な画面14aを備えたディスプレイが用いられる。表示部14に用いられるディスプレイの方式に制限はない。そのようなディスプレイの方式としては、例えば、液晶、プラズマ、有機EL(Electroluminescence)が挙げられる。
【0023】
[入力システムの機能]
入力システム10では、制御部12が検出部13で検出されたユーザの手hによる操作部11の入力操作に基づいて振動部17をオフ状態からオン状態にするとともに所定の駆動を実行することで、ユーザの手hに弾性感を提示するように構成されている。
【0024】
図3A図3B、及び図3Cは、表示装置14における画面14aの表示と、操作部11の動作と、を模式的に示した図である。画面14aには、ユーザの手hによる操作部11への入力操作によって移動する操作対象であるおもちゃのハンマー5と、ハンマー5からの作用を受けるオブジェクトであるばねおもちゃ6と、が画像として表示されている。
【0025】
ハンマー5としては、樹脂で形成され、打撃部が蛇腹状である一般的なものを想定している。ばねおもちゃ6としては、下端部6aが固定されたばねSと、ばねSの上端部6bに取り付けられた球状の頭部6cと、を有するものを想定している。頭部6cは上下動可能であるものとし、ばねSは頭部6cの上下動に合わせて伸縮可能であるものとした。図3Aに示すように、ばねおもちゃ6のばねSの自然長(下端部6aと上端部6bとの間の距離)をaとした。
【0026】
制御部12は、検出部13の検出結果に基づいてハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cを叩く一連の動作を画面14aに表示するとともに、当該動作に伴ってハンマー5に加わるであろうばねSの弾性に応じた仮想的な刺激を再現するように構成されている。制御部12は、ハンマー5に加わるであろう仮想的な刺激を、操作部11内の振動部17を振動させることにより再現し、ユーザにばねSの弾性感を提示する。
【0027】
画面14aが図3Aに示す状態のときに、ユーザが操作部11を振り降ろす入力操作を行なうと、検出部13が操作部11の位置を逐次検出し、検出結果を制御部12に出力する。制御部12は、検出部13の検出結果に基づいて、操作部11の動作に対応するハンマー5の動作を画面14aに表示する。具体的には、制御部12は、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cまで移動し、さらにハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cを下方に押し下げるとともにばねおもちゃ6のばねSが収縮する動作を画面14aに表示する。
【0028】
また、反対に、画面14aが図3Bに示す状態のときに、ユーザが操作部11を上昇させる入力操作を行なうと、検出部13が操作部11の位置を逐次検出し、検出結果を制御部12に出力する。制御部12は、検出部13の検出結果に基づいて、操作部11の動作に対応するハンマー5の動作を画面14aに表示する。具体的には、制御部12は、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cとともに上昇し、ばねおもちゃ6のばねSが伸長する動作を画面14aに表示する。
【0029】
ここで、図3Bに示すように、画面14aに、ハンマー5がばねおもちゃ6のばねSを自然長aより短いaに収縮させている表示がなされている場合を想定する。
【0030】
実際のばねは、そのばね定数を比例定数として、収縮量が大きいほど弾性力が大きくなる。そのため、ユーザは、ハンマー5を移動させる際に、ばねSの収縮量が大きいほどハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cから受ける抵抗力も大きくなると予測する。制御部12は、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cから受ける抵抗力が大きくなる弾性感を、操作部11における振動部17の振動の振幅Aを大きくすることにより表現する。
【0031】
具体的には、ばねSが自然長aより短いaの場合に、制御部12は、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cをさらに押し下げるときの振幅Aを以下の関数で決定することが可能である。
【0032】
A=k×(a―a+l (k及びlは所定の定数である。) ・・・(1)
【0033】
ここで、長さ(a―a)がばねSの収縮量の大きさを表している。振動部17の振幅Aを表す関数は、収縮量(a―a)の2次関数(1)に限らず、収縮量(a―a)を変数とする他の関数であってもよい。そのような関数としては、例えば、収縮量(a―a)の1次関数や、収縮量(a―a)の3次関数が挙げられる。収縮量(a―a)の1次関数を用いる場合には関数(1)を用いる場合よりもばね定数の小さいばねSを表現することができ、収縮量(a―a)の3次関数を用いる場合には関数(1)を用いる場合よりもばね定数の大きいばねSを表現することができる。
【0034】
次に、図3Bに示すばねSが長さaの状態からばねSが自然長aの状態に戻ってから、さらにユーザが操作部11を上昇させる入力操作を行なう場合について説明する。
【0035】
本実施形態では、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cに接触すると、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cに吸着することとしている。したがって、画面14aにおいてばねSが長さaから自然長aに戻ってから、ユーザがさらに操作部11を上昇させる入力操作を行なうと、図3Cに示すように、制御部12は、ばねおもちゃ6の頭部6cがハンマー5とともに上昇し、ばねおもちゃ6のばねSが伸長する動作を画面14aに表示する。
【0036】
反対に、画面14aが図3Cに示す状態から、ユーザが操作部11を下降させる入力操作を行なうと、制御部12は、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cとともに下降し、ばねおもちゃ6のばねSが収縮する動作を画面14aに表示する。
【0037】
ここで、図3Cに示すように、画面14aに、ハンマー5がばねおもちゃ6のばねSを自然長aより長いaに伸長させている表示がなされている場合を想定する。
【0038】
実際のばねは、そのばね定数を比例定数として、伸長量が大きいほど弾性力が大きくなる。そのため、ユーザは、ハンマー5を移動させる際に、ばねSの伸長量が大きいほどハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cから受ける抵抗力も大きくなると予測する。制御部12は、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cから受ける抵抗力が大きくなる弾性感を、操作部11における振動部17の振動の振幅Aを大きくすることにより表現する。
【0039】
具体的には、ばねSが自然長aより長いaの場合に、制御部12は、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cを引き上げる際の振幅Aを以下の関数で決定することが可能である。
【0040】
A=k×(a―a)+l (k及びlは所定の定数である。) ・・・(2)
【0041】
ここで、長さ(a―a)がばねSの伸長量の大きさを表している。振動部17の振幅Aを表す関数は、伸長量(a―a)の2次関数(2)に限らず、伸長量(a―a)を変数とする他の関数であってもよい。そのような関数としては、例えば、長さ(a―a)の1次関数や、伸長量(a―a)の3次関数が挙げられる。伸長量(a―a)の1次関数を用いる場合には関数(2)を用いる場合よりもばね定数の小さいばねSを表現することができ、伸長量(a―a)の3次関数を用いる場合には関数(2)を用いる場合よりもばね定数の大きいばねSを表現することができる。
【0042】
また、本実施形態では、画面14aにおいてばねおもちゃ6のばねSが自然長aよりも伸長することにより所定の長さになったときに、ばねSの弾性力が、ハンマー5とばねおもちゃ6の頭部6cとの吸着力より大きくなり、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cから離れることとしている。このとき、制御部12は、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cから離れるとともにばねおもちゃ6のばねSが自然長aに戻る動作を表示し、再び画面14aの表示を図3Aの状態に戻す。
【0043】
なお、定数k、k、l、及びlの値は任意に決定可能である。定数l及びlがゼロである場合には、ばねSが自然長aである場合の振動部17の振幅Aはゼロとなる。一方、定数l及びlがゼロより大きい場合には、ばねSが自然長aである場合の振動部17の振幅Aはゼロより大きい。定数l及びlとしては、例えば、振動検出閾値の観点から数μmとすることができる。
また、振動部17がオン状態の場合には、振動部17の振幅Aは、関数(1)及び関数(2)によって制御される。一方、振動部17がオフ状態の場合には、振動部17の振幅Aは、関数(1)及び関数(2)に関わらずゼロである。
【0044】
なお、関数(1)と関数(2)とをまとめると、ばねSの長さxの場合に、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cを移動させるときの振幅Aは、以下の関数で表される。ここでは、k=k=k、かつl=l=lとしている。
【0045】
A=k×|a―x|+l (k及びlは所定の定数である。) ・・・(3)
【0046】
ここで、長さ|a―x|がばねSの変位量を示している。
【0047】
図4は、以上の記載に基づいた制御部12における処理の流れを示したフローチャートである。図4には、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cに接触した状態における制御部12の処理の流れを示している。
【0048】
まず、制御部12は、ユーザによる入力操作の有無を判断し、ユーザによる入力操作が無い場合には振動部17をオフ状態にしたまま処理を終了する。制御部12は、ユーザによる入力操作が有る場合には、振動部17をオン状態にし、ばねおもちゃ6のばねSが収縮状態か伸長状態かを判断する。なお、図4では、ばねSが自然長aである場合を伸長状態に含めたが、ばねSが自然長aである場合を収縮状態に含めてもよい。
【0049】
ばねSが自然長より短い収縮状態である場合、制御部12は、ユーザによる入力操作がばねSの収縮方向か伸長方向かを判断する。ユーザによる入力操作がばねSを収縮させる収縮方向である場合(ばねSが自然長よりもさらに収縮する場合)には、変位量を算出した結果に基づいて振動部17の振幅Aを増加させる。反対に、ユーザによる入力操作がばねSを伸長させる伸長方向である場合(ばねSが自然長に戻るように伸長する場合)には、変位量を算出した結果に基づいて振動部17の振幅Aを減少させる。
【0050】
一方、ばねSが自然長より長い伸長状態である場合、制御部12は、ユーザによる入力操作がばねSの伸長方向か収縮方向かを判断する。ユーザによる入力操作がばねSを伸長させる伸長方向である場合(ばねSが自然長よりもさらに伸長する場合)には、変位量を算出した結果に基づいて振動部17の振幅Aを増加させる。反対に、ユーザによる入力操作がばねSを収縮させる収縮方向である場合(ばねSが自然長に戻るように収縮する場合)には、変位量を算出した結果に基づいて振動部17の振幅Aを減少させる。
【0051】
そして、制御部12は、画面14aに表示される画像を、上記各場合における画像に更新する。
【0052】
また、制御部12は、ユーザに対してよりリアルな弾性感を提示するために、ばねSの長さxに加えて、他の変数を含む関数を用いて振動部17の振幅Aを決定してもよい。そのような他の変数としては、例えば、操作部11の入力操作に基づくハンマー5の移動速度や加速度が挙げられる。
【0053】
図5は、ハンマー5の移動速度を変数として含む関数を用いた制御部12における処理の流れを示したフローチャートである。図5には、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cに接触した状態における制御部12の処理の流れを示している。制御部12が、ばねおもちゃ6のばねSが収縮状態か伸長状態かを判断するまでの流れは図4と同様である。
【0054】
ばねSが自然長より短い収縮状態である場合、制御部12は、ユーザによる入力操作がばねSの収縮方向か伸長方向かを判断する。ユーザによる入力操作がばねSを収縮させる収縮方向である場合(ばねSが自然長よりもさらに収縮する場合)には、移動速度を算出した結果に基づいて振動部17の振幅Aを増加させる。反対に、ユーザによる入力操作がばねSを伸長させる伸長方向である場合(ばねSが自然長に戻るように伸長する場合)には、移動速度を算出した結果に基づいて振動部17の振幅Aを減少させる。
【0055】
一方、ばねSが自然長より長い伸長状態である場合、制御部12は、ユーザによる入力操作がばねSの伸長方向か収縮方向かを判断する。ユーザによる入力操作がばねSを伸長させる伸長方向である場合(ばねSが自然長よりもさらに伸長する場合)には、移動速度を算出した結果に基づいて振動部17の振幅Aを増加させる。反対に、ユーザによる入力操作がばねSを収縮させる収縮方向である場合(ばねSが自然長に戻るように収縮する場合)には、移動速度を算出した結果に基づいて振動部17の振幅Aを減少させる。
【0056】
そして、制御部12は、画面14aに表示される画像を、上記各場合における画像に更新する。
【0057】
次に、制御部12における振動部17の周波数fの制御について説明する。振動部17がオン状態の場合には、振動部17の周波数fは、制御部12によって所定の条件で制御される。一方、振動部17がオフ状態の場合には、振動部17の周波数fはゼロである。
オン状態において、制御部12は、振動部17の周波数fを一定としても、適宜変更してもよい。制御部12は、振動部17の周波数fを適宜変更することにより、ばねSの弾性感をよりリアルに表現することが可能である。
【0058】
例えば、制御部12は、振動部17の振幅Aを関数(3)で決定したことと同じ要領で、以下の関数(4)で振動部17の周波数fを決定することが可能である。
【0059】
f=m/|a―x|+n (m及びnは定数である。) ・・・(4)
【0060】
振動部17の周波数fを表す関数は、関数(4)に限らず、変位量|a―x|を変数とする他の関数であってもよい。そのような関数としては、関数(4)と同様に、変位量|a―x|が大きくなるにつれて、周波数fが小さくなるものであることが望ましい。
【0061】
関数(4)によると、ばねSの自然長aからのばねSの長さxに応じて振動部17の周波数fが一義的に決定される。これにより、ユーザは、ばねSの長さxに応じて、ばねSが自然長に戻ろうとする感覚を覚える。
【0062】
具体的には、ばねSの長さxが自然長aより短い場合、ばねSがさらに収縮するとき周波数fが低下する。これにより、ユーザはばねSの収縮が妨げられる感覚(減速感)を覚える。また、ばねSが伸長するとき周波数fが上昇する。これにより、ユーザはばねSの伸長が促進される感覚(加速感)を覚える。
【0063】
反対に、ばねSの長さxが自然長aより長い場合、ばねSがさらに伸長するとき周波数fが低下する。これにより、ユーザはばねSの伸長を妨げられる感覚(減速感)を覚える。また、ばねSが収縮するとき周波数fが上昇する。これにより、ユーザはばねSの収縮が促進される感覚(加速感)を覚える。
【0064】
なお、定数m及びnの値は任意に決定可能である。定数nがゼロである場合には、ばねSが自然長aである場合の振動部17の周波数fはゼロとなる。一方、定数nがゼロより大きい場合には、ばねSが自然長aである場合の振動部17の周波数fはゼロより大きい。定数nとしては、例えば100Hz程度とすることができる。
【0065】
図6は、以上の記載に基づいた制御部12における処理の流れを示したフローチャートである。図6には、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cに接触した状態における制御部12の処理の流れを示している。制御部12が、ばねおもちゃ6のばねSが収縮状態か伸長状態かを判断するまでの流れは図4と同様である。
【0066】
ばねSが自然長より短い収縮状態である場合、制御部12は、ユーザによる入力操作がばねSの収縮方向か伸長方向かを判断する。ユーザによる入力操作がばねSを収縮させる収縮方向である場合(ばねSが自然長よりもさらに収縮する場合)には、変位量|a―x|を算出した結果に基づいて振動部17の周波数fを低下させる。反対に、ユーザによる入力操作がばねSを伸長させる伸長方向である場合(ばねSが自然長に戻るように伸長する場合)には、変位量|a―x|を算出した結果に基づいて振動部17の周波数fを上昇させる。
【0067】
一方、ばねSが自然長より長い伸長状態である場合、制御部12は、ユーザによる入力操作がばねSの伸長方向か収縮方向かを判断する。ユーザによる入力操作がばねSを伸長させる伸長方向である場合(ばねSが自然長よりもさらに伸長する場合)には、変位量|a―x|を算出した結果に基づいて振動部17の周波数fを低下させる。反対に、ユーザによる入力操作がばねSを収縮させる収縮方向である場合(ばねSが自然長に戻るように収縮する場合)には、変位量|a―x|を算出した結果に基づいて振動部17の周波数fを上昇させる。
【0068】
そして、制御部12は、画面14aに表示される画像を、上記各場合における画像に更新する。
【0069】
また、周波数fを操作部11の入力操作の緩急によって変更してもよい。制御部12は、周波数fを、操作部11への入力操作に基づくハンマー5の移動速度vを変数とする以下の関数で決定することが可能である。
【0070】
f=pv+q (p及びqは定数である。) ・・・(5)
【0071】
振動部17の周波数fを表す関数は、関数(5)に限らず、操作部11への入力操作に基づくハンマー5の速度vを変数とする他の関数であってもよい。また、振動部17の周波数fを表す関数は、操作部11への入力操作に基づくハンマー5の加速度を変数とする関数であってもよい。
【0072】
なお、定数p及びqの値は任意に決定可能である。定数qがゼロである場合には、ハンマー5の移動速度vがゼロである場合の振動部17の周波数fはゼロとなる。一方、定数qがゼロより大きい場合には、ハンマー5の移動速度vである場合の振動部17の周波数fはゼロより大きい。定数qとしては、例えば100Hz程度とすることができる。
【0073】
また、制御部12は、周波数fの変化量Δfを、操作部11への入力操作に基づくハンマー5の移動速度vを変数とする以下の関数(6)で決定することも可能である。
【0074】
Δf=rv (rは定数である。) ・・・(6)
【0075】
Δfを表す関数は、関数(6)に限らず、操作部11への入力操作に基づくハンマー5の速度vを変数とする他の関数であってもよい。また、Δfを表す関数は、操作部11への入力操作に基づくハンマー5の加速度を変数とする関数であってもよい。なお、定数rの値は任意に決定可能である。
【0076】
図7は、以上の記載に基づいた制御部12における処理の流れを示したフローチャートである。図7には、ハンマー5がばねおもちゃ6の頭部6cに接触した状態における制御部12の処理の流れを示している。制御部12が、ばねおもちゃ6のばねSが収縮状態か伸長状態かを判断するまでの流れは図4と同様である。
【0077】
ばねSが自然長より短い収縮状態である場合、制御部12は、ユーザによる入力操作がばねSの収縮方向か伸長方向かを判断する。ユーザによる入力操作がばねSを収縮させる収縮方向である場合(ばねSが自然長よりもさらに収縮する場合)には、移動速度vを算出した結果に基づいて振動部17の周波数fをΔfだけ低下させる。反対に、ユーザによる入力操作がばねSを伸長させる伸長方向である場合(ばねSが自然長に戻るように伸長する場合)には、移動速度vを算出した結果に基づいて振動部17の周波数fをΔfだけ上昇させる。
【0078】
一方、ばねSが自然長より長い伸長状態である場合、制御部12は、ユーザによる入力操作がばねSの伸長方向か収縮方向かを判断する。ユーザによる入力操作がばねSを伸長させる伸長方向である場合(ばねSが自然長よりもさらに伸長する場合)には、移動速度vを算出した結果に基づいて振動部17の周波数fをΔfだけ低下させる。反対に、ユーザによる入力操作がばねSを収縮させる収縮方向である場合(ばねSが自然長に戻るように収縮する場合)には、移動速度vを算出した結果に基づいて振動部17の周波数fをΔfだけ上昇させる。
【0079】
そして、制御部12は、画面14aに表示される画像を、上記各場合における画像に更新する。
【0080】
以上述べたように、ユーザの操作部11への入力操作に基づいてハンマー5が移動する場合、制御部12がユーザにリアルな弾性感を提示するように振動部17の振動条件(振幅A及び周波数f)を決定することができる。具体的には、制御部12は、操作部11の入力操作に基づいて、関数(3)や関数(4)や関数(5)などを適宜組み合わせた関数を用いて振動部17の振動条件(振幅A及び周波数f)を決定することができる。
【0081】
また、上述したように、本実施形態に係る入力システム10は、ユーザが視認する画面14aにおけるばねおもちゃ6のばねSの伸縮に合致した振動を受けるように構成されている。これにより、ユーザは触覚的に弾性感を享受するとともに視覚的にも弾性感を享受する。そのため、入力システム10はユーザに対して実際のばねから受ける弾性感に非常に近い弾性感を提示することが可能である。
【0082】
なお、ユーザが操作部11を動かしていない場合(画面14aにおいてハンマー5が移動していない場合)には、制御部12が振動部17の振動条件を適宜決定することが可能である。この場合、制御部12は、振動部17の振動条件を一定にしてもよく、画面14aにおけるハンマー5の位置に基づいて振動部17の振動条件を変更してもよい。
【0083】
本実施形態では、制御部12は、ユーザが操作部11を動かしていない場合には、基本的に振動部17を振動させない。ただし、振動している振動部17の振動が突然停止すると、ユーザは違和感を覚える。これは、実際のばねが、弾性変形して停止した後にもしばらくその伸縮方向の振動が残留するというユーザの経験則に基づくものと考えられる。
【0084】
これを解決するために、制御部12は、操作部11が停止した後の所定時間Tの間に、振動部17を、操作部11が停止する直前の振幅Aから振幅Aがゼロになるまで、振幅Aを徐々に減衰させる。所定時間Tにおける振幅Aは、例えば、操作部11が静止状態になってからの経過時間tを用いて以下の関数で表すことができる。
【0085】
A=((T―t)/T)A
【0086】
<第2の実施形態>
[全体構成]
図8は本技術の第2の実施形態に係る入力システム10aの概略構成図であり、図9図8に示した入力システム10aの機能ブロック図である。本実施形態に係る入力システム10aは、以下に示す構成以外は、第1の実施形態に係る入力システム10と同様に構成されている。入力システム10aの検出部13aは、操作部11a内に配置されている。操作部11a及び表示部14はともに有線で制御部12に接続されている。
【0087】
[操作部及び検出部の構成]
操作部11aは、入力デバイスとして構成され、ユーザの手hに握られて入力操作を受けるレバー部11a1と、レバー部11a1がその下端部を支点として移動可能なようにレバー部11a1の下端部を支持する台座部11a2と、を有するジョイスティックである。振動部17はレバー11a1内に配置されており、検出部13aは台座部11a2内に配置されていている。
【0088】
検出部13aは、ユーザによる操作部11aのレバー11a1への入力操作を検出する。検出部13aは、レバー部11a1の動作を検出し、検出結果を制御部12に出力する。検出部13aは、レバー部11a1の下端部の動作を検出可能なセンサであればその種類は限定されない。そのような検出部13aの構成としては、変位センサ、速度センサ、加速度センサ、角度センサ、角速度センサなどを用いた構成が挙げられる。
【0089】
[操作部及び検出部の変形例]
操作部11aの形状は、第1の実施形態に係る操作部11と同様でもよい。つまり、操作部11aは、棒状に形成された筐体内に振動部17及び検出部13aが配置された構成であってもよい。したがって、検出部13aは操作部11aとともに動作する。したがって、検出部13aの構成としては、自らの動作を検出可能ものが用いられる。このような検出部13aの構成としては、例えば、3軸モーションセンサや6軸モーションセンサを用いた構成が挙げられる。
【0090】
[入力システムの機能]
入力システム10aでは、制御部12が検出部13aで検出されたユーザの手hによる操作部11aの入力操作に基づいて振動部17を駆動することで、ユーザの手hに弾性感を提示するように構成されている。
【0091】
図10A図10B、及び図10Cは、表示装置14における画面14aの表示と、操作部11aの動作と、を模式的に示した図である。画面14aには、ユーザの手hによる操作部11aへの入力操作によって移動する操作対象である人差し指を延ばした手の形のポインタ15と、ポインタ15からの作用を受けるオブジェクトであるゴムボール16と、が画像として表示されている。
【0092】
ゴムボール16としては、中心部16aが固定され、ゴム製の外周部16bによって空気が密閉された中心部16aを中心とする球状体を想定している。ゴムボール16の外周部16bは中心部16aを基準として弾性変形可能である。図10Aに示すように、ゴムボール16の定常状態における半径(中心部16aと外周部16bとの間の距離)をbとした。
【0093】
制御部12は、検出部13aの検出結果に基づいてポインタ15(人差し指の先端部)がゴムボール16を突っつく一連の動作を画面14aに表示するとともに、当該動作に伴ってポインタ15に加わるであろうゴムボール16の弾性に応じた仮想的な刺激を再現するように構成されている。制御部12は、ポインタ15に加わるであろう仮想的な刺激を、操作部11a内の振動部17を振動させることにより再現し、ユーザにゴムボール16の弾性感を提示する。
【0094】
画面14aが図10Aに示す状態のときに、ユーザが操作部11aのレバー部11a1をポインタ15がゴムボール16の中心部16aに近づくように動かす入力操作を行なうと、検出部13aが操作部11aの動作を検出し、検出結果を制御部12に出力する。制御部12は、検出部13aの検出結果に基づいて、操作部11aのレバー部11a1の動作に対応するポインタ15の動作を画面14aに表示する。具体的には、制御部12は、ポインタ15がゴムボール16の外周部16bまで移動し、さらにポインタ15がゴムボール16の外周部16bを中心部16aに向けて弾性変形させる動作を画面14aに表示する。
【0095】
また、反対に、画面14aが図10Bに示す状態のときに、ユーザが操作部11aのレバー部11a1をポインタ15がゴムボール16の中心部16aから遠ざかるように動かす入力操作を行なうと、検出部13aが操作部11aのレバー部11a1の動作を検出し、検出結果を制御部12に出力する。制御部12は、検出部13aの検出結果に基づいて、操作部11aの動作に対応するポインタ15の動作を画面14aに表示する。具体的には、制御部12は、ポインタ15がゴムボール16の外周部16bとともに中心部16aから離れ、ゴムボール16が球状に戻る動作を画面14aに表示する。
【0096】
ここで、図10Bに示すように、画面14aに、ポインタ15がゴムボール16を定常状態の半径bより小さい半径bに収縮させている表示がなされている場合を想定する。
【0097】
実際のゴムボールは、収縮量が大きいほど内圧が大きくなるため外向きに働く弾性力が大きくなる。そのため、ユーザは、ポインタ15を移動させる際に、ゴムボール16の収縮量が大きいほど、ポインタ15がゴムボール16から受ける抵抗力も大きくなると予測する。制御部12は、ポインタ15がゴムボール16から受ける抵抗力が大きくなる弾性感を、操作部11aにおける振動部17の振動の振幅Aを大きくすることにより表現する。
【0098】
次に、図10Cに示すように、画面14aに、ポインタ15がゴムボール16を定常状態の半径bより大きい半径bに伸長させている表示がなされている場合を想定する。
【0099】
実際のゴムボールは、伸長量が大きいほど内圧が低くなるため内向きに働く弾性力が大きくなる。そのため、ユーザは、ポインタ15を移動させる際に、ゴムボール16の伸長量が大きいほど、ポインタ15がゴムボール16から受ける抵抗力も大きくなると予測する。制御部12は、ポインタ15がゴムボール16から受ける抵抗力が大きくなる弾性感を、操作部11aにおける振動部17の振動の振幅Aを大きくすることにより表現する。
【0100】
<第3の実施形態>
[全体構成]
図11は本技術の第3の実施形態に係る電子機器20の機能ブロック図である。本実施形態に係る電子機器20は、以下に示す構成以外は、第1の実施形態に係る入力システム10と同様に構成されている。電子機器20は筐体28を具備する。電子機器20では、第1の実施形態に係る入力システム10とは異なり、操作部21、制御部22、検出部23、表示部24、及び振動部27が全て筐体28と一体に構成されている。
【0101】
図12A図12B、及び図12Cは、電子機器20の表示部24における画面24aの表示と、操作部21の動作と、を模式的に示した図である。電子機器20の筐体28はユーザが手で持つことを前提とする大きさに形成されている。電子機器20はユーザが手に持った状態でユーザの指f(親指)によって操作部21への入力操作を受ける。筐体28には操作部21と画面24aとが同一の面に露出している。したがって、電子機器20では、ユーザが画面24aを見ながら指fで操作部21に入力操作を行なうことができる。
【0102】
[操作部及び検出部の構成]
操作部21は、ユーザの指fによって操作される小型のジョイスティックとして構成される。振動部27は操作部21に隣設されている。したがって、振動部27の振動は操作部21を介してユーザの指fに良好に伝達される。
【0103】
検出部23は、ユーザによる操作部21への入力操作を検出する。検出部23は、操作部21の動作を検出し、検出結果を制御部22に出力する。検出部23は、操作部21の動作を検出可能なセンサであればその種類は限定されない。そのような検出部23の構成としては、変位センサ、速度センサ、加速度センサ、角度センサ、角速度センサなどを用いた構成が挙げられる。
【0104】
[電子機器の機能]
電子機器20では、制御部22が検出部23で検出されたユーザの指fによる操作部21の入力操作に基づいて振動部27を駆動することで、ユーザの指fに弾性感を提示するように構成されている。
【0105】
画面24aには、ユーザの指fが操作部21に入力操作を行なうことによって移動する操作対象であるボクシンググローブ25と、ボクシンググローブ25からの作用を受けるオブジェクトであるばねおもちゃ26と、が画像として表示されている。
【0106】
ボクシンググローブ25としては、画面24aの右端から中央に向かって延びる棒の先端にボクシンググローブを取り付けたものを想定している。ばねおもちゃ26としては、画面24aの左端から中央に向かって延び、左端部26aが固定されたばねSと、ばねSの右端部26bに取り付けられた球状のパンチングボール26cと、を有するものを想定している。パンチングボール26cは左右に動作可能であるものとし、ばねSはパンチングボール26cの動作に合わせて伸縮可能であるものとした。図12Aに示すように、ばねおもちゃ26のばねSの自然長(左端部26aと右端部26bとの間の距離)をcとした。
【0107】
制御部22は、検出部23の検出結果に基づいてボクシンググローブ25がパンチングボール26cにパンチを加える一連の動作を画面24aに表示するとともに、当該動作に伴ってボクシンググローブ25に加わるであろうばねSの弾性に応じた仮想的な刺激を再現するように構成されている。制御部22は、ボクシンググローブ25に加わるであろう仮想的な刺激を、操作部21内の振動部27を振動させることにより再現し、ユーザにばねSの弾性感を提示する。
【0108】
画面24aが図12Aに示す状態のときに、ユーザの指fが操作部21をボクシンググローブ25がパンチングボール26cを左側へ動かす入力操作を行なうと、検出部23が操作部21の動作を検出し、検出結果を制御部22に出力する。制御部22は、検出部23の検出結果に基づいて、操作部21の動作に対応するボクシンググローブ25の動作を画面24aに表示する。具体的には、制御部22は、ボクシンググローブ25がパンチングボール26cまで移動し、さらにボクシンググローブ25がパンチングボール26cを左方向に押し動かすとともにばねおもちゃ26のばねSが収縮する動作を画面24aに表示する。
【0109】
また、反対に、画面24aが図12Bに示す状態のときに、ユーザが操作部21を右側に移動させる入力操作を行なうと、検出部23が操作部21の動作を検出し、検出結果を制御部22に出力する。制御部22は、検出部23の検出結果に基づいて、操作部21の動作に対応するボクシンググローブ25の動作を画面24aに表示する。具体的には、制御部22は、ボクシンググローブ25がパンチングボール26cとともに右方向に移動し、ばねおもちゃ26のばねSが伸長する動作を画面24aに表示する。
【0110】
ここで、図12Bに示すように、画面24aに、ボクシンググローブ25がばねおもちゃ26のばねSを自然長cより小さい長さcに収縮させている表示がなされている場合を想定する。
【0111】
実際のばねは、そのばね定数を比例定数として、収縮量が大きいほど弾性力が大きくなる。そのため、ユーザは、ボクシンググローブ25を移動させる際に、ばねSの収縮量が大きいほどボクシンググローブ25がばねおもちゃ26のパンチングボール26cから受ける抵抗力も大きくなると予測する。制御部22は、ボクシンググローブ25がばねおもちゃ26のパンチングボール26cから受ける抵抗力が大きくなる弾性感を、操作部21における振動部27の振動の振幅Aを大きくすることにより表現する。
【0112】
次に、図12Cに示すように、画面24aに、ボクシンググローブ25がばねおもちゃ26のばねSを自然長cより大きい長さcに伸長させている表示がなされている場合を想定する。
【0113】
実際のばねは、そのばね定数を比例定数として、伸長量が大きいほど弾性力が大きくなる。そのため、ユーザは、ボクシンググローブ25を移動させる際に、ばねSの伸長量が大きいほどボクシンググローブ25がばねおもちゃ26のパンチングボール26cから受ける抵抗力も大きくなると予測する。制御部22は、ボクシンググローブ25がばねおもちゃ26のパンチングボール26cから受ける抵抗力が大きくなる弾性感を、操作部21における振動部27の振動の振幅Aを大きくすることにより表現する。
【0114】
<第4の実施形態>
[全体構成]
図13は本技術の第4の実施形態に係る入力デバイス30の機能ブロック図である。本実施形態に係る入力デバイス30は、以下に示す構成以外は、第1の実施形態に係る入力システム10と同様に構成されている。入力デバイス30は、第1の実施形態に係る入力システム10とは異なり、画面などのユーザが視認できる構成要素を含まない。また入力デバイス30は筐体31を具備する。入力デバイス30では、制御部32、検出部33、及び振動部37が全て筐体31と一体に構成されている。入力デバイス30では、筐体31自体がユーザの手によって入力操作を受ける操作部を構成する。
【0115】
[筐体及び検出部の構成]
筐体31はユーザが手で握りやすいように棒状に形成されている。検出部33は筐体31とともに動作する。検出部33の構成としては、自らの動作を検出可能ものが用いられる。このような検出部33の構成としては、例えば、3軸モーションセンサや6軸モーションセンサを用いた構成が挙げられる。
【0116】
[入力デバイスの機能]
入力デバイス30では、制御部32が検出部33で検出されたユーザによる筐体31への入力操作に基づいて筐体31の振動部37を駆動することで、ユーザに弾性感を提示するように構成されている。
【0117】
入力デバイス30は、仮想空間において、ユーザが操作対象を移動させるためのものである。操作対象は、仮想空間内に存在していれば、ユーザによって視認可能であっても視認不可能であってもよい。仮想空間における操作対象としては、例えば、ヘッドマウントディスプレイ(不図示)を装着したユーザが視認可能なポインタが挙げられる。
【0118】
検出部33は、操作対象の位置を検出し、検出結果を制御部32に出力する。制御部32は、操作対象と、予め決定される空間内の第1の位置と、の位置関係を把握する。制御部32は、操作対象の第1の位置に対する位置関係に基づいて、振動部37を振動させることによって、基準位置にあたかも変形可能な物体があるかのような弾性感をユーザに提示する。
【0119】
一例として、仮想空間において、第1の位置にばねSの一方の端部が固定されており、ばねSの他方の端部が第2の位置にあることを想定し、操作対象が第2の位置にある場合について説明する。ばねSは、ユーザによって視認可能であっても視認不可能であってもよい。この場合、制御部32は、例えば、入力デバイス30へのユーザによる入力操作によって、操作対象が第1の位置に近づく場合に振動部37の振幅を大きくし、操作対象が第1の位置から離れる場合には振動部37の振幅を小さくする。
【0120】
以上、本技術の実施形態について説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0121】
例えば、ユーザによる入力操作によって移動する操作対象の形状や、操作対象の作用を受けるオブジェクトの形状は、任意である。また、本明細書で説明した各構成の接続方法はいずれも有線であっても無線であってもよい。
【0122】
また、本技術は、ユーザに対して振動により弾性感以外の感覚も提示する構成とすることができることは勿論である。提示可能な感覚としては、例えば、粘性感や慣性感や摩擦感や衝突感が挙げられる。このような感覚に対応する振動条件が関数で表される場合には、制御部はそれらの関数と上記の関数(3)(4)(5)等を適宜組み合わせて振動条件を決定することができる。
【0123】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)ユーザによる入力操作を受ける操作部と、
上記操作部を振動させる振動部と、
上記入力操作を検出する検出部と、
上記検出部で検出された上記入力操作に基づいて上記振動部の振動条件を決定し、決定した上記振動条件で上記振動部を駆動することで、上記ユーザに弾性感を提示するように構成された制御部と、
を具備する入力デバイス。
(2)上記(1)に記載の入力デバイスであって、
上記制御部は、上記入力操作に基づいて画面に表示された操作対象の移動を制御し、上記画面に表示されたオブジェクトと上記操作対象との間の相対位置に基づいて上記振動条件を決定する
入力デバイス。
(3)上記(2)に記載の入力デバイスであって、
上記オブジェクトは、上記操作対象との相対位置に応じて変形可能な画像である
入力デバイス。
(4)上記(3)に記載の入力デバイスであって、
上記オブジェクトは、弾性変形可能な弾性体を示した画像である。
入力デバイス。
(5)上記(2)から(4)のいずれか1つに記載の入力デバイスであって、
上記制御部は、上記操作対象と上記オブジェクトとの間の距離と、上記操作対象の移動速度と、の少なくとも一方を変数とする関数を用いて、上記振動条件を決定する
入力デバイス。
(6)上記(2)から(5)のいずれか1つに記載の入力デバイスであって、
上記制御部は、予め決定される第1の位置と上記操作対象との距離と、上記操作対象の移動速度と、の少なくとも一方を変数とする関数を用いて、上記振動条件を決定する
入力デバイス。
(7)上記(2)から(6)のいずれか1つに記載の入力デバイスであって、
上記制御部は、上記操作対象が予め決定される第1の位置とは異なる第2の位置から上記第1の位置に近づくにつれて、上記振動部の振幅と周波数との少なくとも一方を大きくする
入力デバイス。
(8)上記(2)から(7)のいずれか1つに記載の入力デバイスであって、
上記制御部は、上記操作対象が予め決定される第1の位置とは異なる第2の位置より上記第1の位置から遠ざかるにつれて、上記振動部の振幅と周波数との少なくとも一方を大きくする
入力デバイス。
(9)上記(2)から(8)のいずれか1つに記載の入力デバイスであって、
上記制御部は、上記操作対象を停止した後、上記振動部の振幅を減衰させる
入力デバイス。
(10)ユーザによる入力操作を受ける操作部と、上記操作部を振動させる振動部と、を有する入力デバイスと、
上記入力操作を検出する検出部と、
上記検出部で検出された上記入力操作に基づいて上記振動部の振動条件を決定し、決定した上記振動条件で上記振動部を駆動することで、上記ユーザに弾性感を提示するように構成された制御部と、
を具備する入力システム。
(11)上記(10)に記載の入力システムであって、
上記検出部は、上記入力デバイスと一体に構成されている
入力システム。
(12)ユーザによる入力操作を受ける操作部と、
上記操作部を振動させる振動部と、
上記入力操作を検出する検出部と、
画像を表示する画面を有する表示部と
上記入力操作に基づいて上記画面に表示された操作対象の移動を制御し、上記画面に表示されたオブジェクトと上記操作対象との間の相対位置に基づいて上記振動条件を決定し、決定した上記振動条件で上記振動部を駆動することで、上記ユーザに弾性感を提示するように構成された制御部と、
を具備する電子機器。
(13)ユーザの操作部への入力操作を検出し、
検出した上記入力操作に基づいて上記操作部の振動条件を決定し、
決定した上記振動条件で上記操作部を振動させて、上記ユーザに弾性感を提示する
感覚提示方法。
【符号の説明】
【0124】
10…入力システム
11…操作部
12…制御部
13…検出部
14…表示部
17…振動部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図12C
図13