(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、
図1ないし
図5を用いて説明する。
図1及び
図2に示すように、パラレルリンクロボット100は、固定部材としてのベース部材100Aと、出力部材103と、複数のモータ107、108、111と、複数のアーム109、110、112と、を有する。第1モータ107は第1アクチュエータに、第2モータ108は第2アクチュエータに、第3モータ111は第3アクチュエータに、それぞれ相当する。また、109は第1アームに、110は第2アームに、112は第3アームに、それぞれ相当する。
【0011】
ベース部材100Aは、略水平方向に配置された水平板101と、水平板101から略鉛直方向に設けられた鉛直板102とから構成され、上述の複数のモータ107、108、111を支持する。複数のモータ107、108、111は、それぞれ鉛直板102の所定位置に固定されている。本実施形態では、鉛直板102の幅方向中央の鉛直方向上側に第3モータ111を、鉛直板102の鉛直方向中間部で、幅方向中央を挟んだ両側に、それぞれ第1モータ107、第2モータ108を配置している。水平板101上には、ワークなどが配置される。
【0012】
出力部材103は、ワークの把持や移動を行うロボットハンド等のエンドエフェクタ104を装着するためのマニピュレータである。出力部材103には、後述する複数のアームを構成するリンク機構が結合され、エンドエフェクタ104を支持する出力軸(出力軸部)105が同軸上に設けられている。
【0013】
出力軸105には、連結部材131がノックピンなどで固定され、更に連結部材131には、出力軸105の軸線上から外れ、且つ、出力軸105と平行な第1軸(第1軸部)132及び第2軸133(第2軸部)がノックピンなどで固定されている。これにより、出力軸105と第1軸132及び第2軸133は、それぞれ所定の間隔(オフセット)を置いて常に平行が確保されている。第1軸132及び第2軸133の出力軸105からのオフセット量(それぞれの軸間距離)は、互いに同じとしている。言い換えれば、第1軸132と第2軸133とは、出力軸105を中心として対称に配置されている。
【0014】
また、連結部材131には、出力軸105と交差する第3軸(第3軸部)106がノックピンなどで固定さている。本実施形態では、第3軸106は、鉛直板102と略平行に配置されると共に出力軸105に直交する。また、出力軸105、第1軸132及び第2軸133は略鉛直方向に、第3軸106は略水平方向に、それぞれ配置される。また、出力軸105の鉛直方向上端が、連結部材131を介して第3軸106の水平方向中央部に結合されている。出力軸105と第3軸106は直接結合されていても良い。なお、出力軸105は軸状の形態を有することが好適であるが、実際に軸状の形態を有さなくてもよく、連結部材131と一体となった形状としても良い。
【0015】
[出力部材の位置決め]
まず、パラレルリンクロボット100による出力部材103の位置決めの構成について、
図1ないし
図3を用いて説明する。第1アーム109及び第2アーム110は、出力部材103と第1モータ107との間、及び、出力部材103と第2モータ108との間にそれぞれ配設される。第1アーム109及び第2アーム110は、出力部材103をその両側から保持する。そして、第1モータ107及び第2モータ108の駆動により出力部材103を出力軸105に交差する方向(略水平方向)に移動させる。なお、厳密に言えば第3モータ111を停止している場合は、第1モータ107及び第2モータ108によって出力部材103は仮想的な球面上を移動することになる。
【0016】
第3アーム112は、出力部材103と第3モータ111との間に設けられている。第3アーム112は、出力部材103を鉛直方向上方側から保持する。そして、第3モータ111の駆動により出力部材103を出力軸105と略平行な方向に移動させる。厳密に言えば、第1モータ107と第2モータ108を停止している場合は、第3モータ111の駆動により出力部材103は仮想的な円弧上を移動することになる。そして、第1モータ107、第2モータ108及び第3モータ111の駆動により、所定の空間内で出力部材103を位置決め可能としている。これら第1アーム109、第2アーム110及び第3アーム112は、出力部材103の姿勢を保持する保持手段を構成する。また、このような保持手段及び出力部材103とでパラレルリンク構造体を構成する。以下、より具体的に説明する。
【0017】
第1アクチュエータとしての第1モータ107は、第1回転アーム107aを略水平方向に回動させて第1リンク軸107bを位置決めする回転型アクチュエータである。第2アクチュエータとしての第2モータ108は、第2回転アーム108aを略水平方向に回動させて第2リンク軸108bを位置決めする回転型アクチュエータである。本実施形態では、第1回転アーム107aの長さと第2回転アーム108aの長さとを同じとしている。また、第1回転アーム107aと第2回転アーム108aとの出力軸105と平行な方向に関する位置も同じとしている。
【0018】
第1リンク軸107b、第2リンク軸108bは、それぞれ第1モータ107の回転軸、第2モータ108の回転軸に略平行となるように、且つ、傾動不能に、第1回転アーム107a及び第2回転アーム108aの先端に設けられている。本実施形態では、第1モータ107及び第2モータ108の回転軸は、出力軸105と略平行に配置されているため、第1リンク軸107b及び第2リンク軸108bも、出力軸105と略平行に配置される。
【0019】
第1アーム109は、出力軸105と平行な方向に離間して互いに平行に配設される複数の第1リンク109aからなる。本実施形態では、同じ長さの2本の第1リンク109aにより第1アーム109を構成している。このような第1アーム109は、一端が出力部材103に対して、出力軸105に平行な軸(第1軸132)を中心とする回動、及び、第1軸132と第1アーム109の配設方向とに直交する軸を中心とする回動が可能な2自由度を有する状態で接続される。また、他端が、第1モータ107の駆動部としての第1回転アーム107aに傾動不能に設けられた第1リンク軸107bに接続される。これにより、第1アーム109は、平行リンク機構を構成している。
【0020】
具体的には、2本の第1リンク109aは、それぞれ、一端はエンドエフェクタ104を支持する出力軸105に平行な第1軸132に2自由度のジョイント部109bで接続され、他端は第1リンク軸107bに2自由度のジョイント部109cで接続されている。ここで、ジョイント部109cは、第1リンク軸107bを中心とする回動、及び、第1リンク軸107bと第1リンク109aの配設方向とに直交する軸を中心とする回動が可能である。即ち、2本の第1リンク109aは、両端を第1軸132上と第1リンク軸107b上に、それぞれ2自由度で接続している。そして、第1軸132、第1リンク軸107b、2本の第1リンク109aで平行リンク機構を構成している。
【0021】
第2アーム110は、出力軸105と平行な方向に離間して互いに平行に配設される複数の第2リンク110aからなる。本実施形態では、同じ長さの2本の第2リンク110aにより第2アーム110を構成している。また、2本の第2リンク110aの長さは、第1アーム109の2本の第1リンク109aの長さと同じとしている。このような第2アーム110は、一端が出力部材103に対して、出力軸105に平行な軸(第2軸133)を中心とする回動、及び、第2軸133と第2アーム110の配設方向とに直交する軸を中心とする回動が可能な2自由度を有する状態で接続される。また、他端が、第2モータ108の駆動部としての第2回転アーム108aに傾動不能に設けられた第2リンク軸108bに接続される。
【0022】
具体的には、2本の第2リンク110aは、それぞれ、一端はエンドエフェクタ104を支持する出力軸105に平行な第2軸133に2自由度のジョイント部110bで接続され、他端は第2リンク軸108bに2自由度のジョイント部110cで接続されている。ここで、ジョイント部110cは、第2リンク軸108bを中心とする回動、及び、第2リンク軸108bと第2リンク110aの配設方向とに直交する軸を中心とする回動が可能である。即ち、2本の第2リンク110aは、両端を第2軸133上と第2リンク軸108b上に、それぞれ2自由度で接続している。そして、第2軸133、第2リンク軸108b、2本の第2リンク110aで平行リンク機構を構成している。また、2本の第2リンク110aを第2軸133に接続するジョイント部110bは、第1アーム109の2本の第1リンク109aを第1軸132に接続するジョイント部109bと、出力軸105と平行な方向に関して同じ位置に配置している。
【0023】
このように構成することで、エンドエフェクタ104を支持する出力軸105と、傾動不能に設けられた第1リンク軸107b及び第2リンク軸108bとは、常に平行が保たれる。そして、第1回転アーム107a及び第2回転アーム108aがどの位置に回動しても、エンドエフェクタ104の姿勢(傾き)が一定(略鉛直方向)に保持される。
【0024】
第3アクチュエータとしての第3モータ111は、第3回転アーム111aを略垂直方向に回動させて第3リンク軸111bを位置決めする回転型アクチュエータである。第3リンク軸111bは、第3モータ111の回転軸に略平行となるように、且つ、傾動不能に、第3回転アーム111aの先端に設けられている。本実施形態では、第3モータ111の回転軸は、第3軸106と略平行に配置されているため、第3リンク軸111bも、第3軸106と略平行に配置される。
【0025】
第3アーム112は、第3軸106と平行な方向に離間して互いに平行に配設される複数の第3リンク112aからなる。本実施形態では、同じ長さの2本の第3リンク112aにより第3アーム112を構成している。このような第3アーム112は、一端が出力部材103に対して、第3軸106を中心とする回動、及び、第3軸106と第3アーム112の配設方向とに直交する軸を中心とする回動が可能な2自由度を有する状態で接続される。また、他端が第3モータ111の駆動部としての第3回転アーム111aに傾動不能に設けられた第3リンク軸111bに接続される。これにより、第3アーム112は、平行リンク機構を構成している。
【0026】
具体的には、2本の第3リンク112aは、それぞれ、一端は第3軸106に2自由度のジョイント部112bで接続され、他端は第3リンク軸111bに2自由度のジョイント部112cで接続されている。ここで、ジョイント部112cは、第3リンク軸111bを中心とする回動、及び、第3リンク軸111bと第3リンク112aの配設方向とに直交する軸を中心とする回動が可能である。また、第3アーム112の一対の第3リンク112aは、第3軸106の出力軸105が接合された部分から水平方向の対称位置で接続されている。
【0027】
即ち、2本の第3リンク112aは、両端を第3軸106上と第3リンク軸111b上に、それぞれ2自由度で接続している。そして、第3軸106、第3リンク軸111b、2本の第3リンク112aで平行リンク機構を構成している。これにより、エンドエフェクタ104を支持する第3軸106と、傾動不能に設けられた第3リンク軸111bとは、常に平行が保たれる。そして、第3回転アーム111aがどの位置に回動しても、エンドエフェクタ104の出力軸105の軸周りの回転が拘束され、向きが一定に保たれる。
【0028】
図1、
図2に円形のジョイントとして図示されている2自由度のジョイント部109b、109c、110b、110c、112b、112cは、
図3(a)に例示する構造のものが好適である。
図3(a)のジョイント部では、矢印Aに示す支持軸の周りに1回転以上回転する自由度と、この支持軸に垂直な軸を回転軸として矢印Bに示す所定の角度範囲内で回動する自由度を有する。これらのジョイント部は、少なくともこの2自由度を有していれば機能的に問題ないが、ボールジョイントやロッドエンドジョイント等の3自由度を有するジョイントを使用しても良い。これにより、ジョイント部自体をコンパクトにすることが可能である。但し、この場合には、
図3(b)に示すように、平行リンク機構のねじれを防止するために、リンクの軸周りの回転を規制する規制部材としてのブリッジ部材201、202が必要となる。
【0029】
ブリッジ部材201、202は、2本のリンク203、204の両端寄りに、それぞれ2本のリンク203、204に掛け渡されるように配置される。このようなブリッジ部材201、202は、それぞれ、リンク203、204に直交する軸を有し、この軸にリンク203、204をそれぞれ回転自在に支持することで、リンク203、204と接続される。これにより、リンクの軸回りの回転を防止すると共に、2本のリンク同士が配設方向に相対移動可能としている。そして、2本のリンクが3自由度のジョイント部で接続されても、リンクの軸回りの自由度を拘束して、結果的に、2本のリンクにより構成されるアームを2自由度で接続することができる。なお、2本のリンク同士が配設方向に相対移動可能としているため、2本のリンクが平行状態を維持したまま、2本のリンクが接続される軸とリンクの配設方向とに直交する軸を中心とする回動が可能である。
【0030】
例えば、第3アーム112を構成する2本の第3リンク112aを、それぞれが、出力部材103に対して、上述の2自由度に加えて第3リンク112aの軸回りの回動が可能な3自由度を有する状態で接続する。この場合、2本の第3リンク112a同士が第3アーム112の配設方向に相対移動可能に、且つ、それぞれの第3リンクの軸回りの回転を不能に、2本の第3リンクにブリッジ部材201、202を掛け渡す。これにより、第3アーム112が出力部材103や第3リンク軸111bに対して2自由度で接続される。第1アーム109及び第2アーム110についても同様である。
【0031】
なお、本実施形態では、出力軸105と第3軸106との成す角度が90度で互いに直交するように設けられているが、立体的に直交するようにしても良いし、90度に限らず所定の角度を成すように配置しても良い。
【0032】
このように、本実施形態では、第1アーム109及び第2アーム110の形成する平行リンク機構と、第3アーム112の形成する平行リンク機構とによって、出力部材103に装着されたエンドエフェクタ104は一定の姿勢(傾き)と向きとの両方を保つように支持される。
【0033】
このように構成される本実施形態の場合、第1モータ107による第1回転アーム107aの駆動と、第2モータ108による第2回転アーム108aの駆動とを行うことで、出力部材103は略水平方向に移動する。また、第3モータ111により第3回転アーム111aを駆動することで、出力部材103を上下方向に移動させると、第1アーム109と第2アーム110は水平からずれる。このため、出力部材103の3次元空間内(所定の空間内)の位置は、第1アーム109と第2アーム110の傾斜を考慮して、第1、第2、第3回転アームの駆動量から幾何学的に算出することが可能である。また、逆運動学の計算により、出力部材103の空間位置座標から第1、第2、第3モータの駆動量を算出することが可能である。
【0034】
[ステッピングモータ]
また、本実施形態の場合、上述の第1モータ107(第1アクチュエータ)、第2モータ108(第2アクチュエータ)、第3モータ111(第3アクチュエータ)をステッピングモータとしている。即ち、出力部材103を駆動する全てのアクチュエータを、ステッピングモータとしている。本実施形態のステッピングモータは、回転子が永久磁石から形成され、固定子が巻線から形成される。そして、巻線に所定のパルスで電流を印加することで、回転子を回転させる。
【0035】
このような本実施形態のステッピングモータについて、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4において、11は、パラレルリンクロボットの出力部材103を駆動するためのステッピングモータであり、第1モータ107、第2モータ108、第3モータ111に相当する。12は、ステッピングモータ11に動作指令を出力する制御装置であり、モータドライバ13を介してステッピングモータ11に接続される。モータドライバ13は、ステッピングモータ11を駆動するためのパワートランジスタ15と、制御装置12からの指令を受けて所定のタイミングでパルス信号を出力する信号出力ポート14とから構成されている。
【0036】
ステッピングモータ11は、制御装置12からの指令に応じて
図5に示すパルス信号p1〜p4が信号出力ポート14から出力されると、パルス信号p1〜p4を受けたパワートランジスタ15により、ステップ角を単位として回転駆動される。このように駆動されるステッピングモータ11は、回転量下降時にハンチングせず、停止時に高保持トルクで位置を保つことができる。
【0037】
図1及び
図2を参照しつつ、より具体的に説明する。パラレルリンクロボット100は、出力部材103を並進運動させるために、第1モータ107、第2モータ108、第3モータ111の回転量を協調させて制御すれば良い。
【0038】
例えば、出力部材103の位置を現在位置Xnから目標位置Xn+1に移動させる作業の場合、第1、第2、第3モータ107、108、111を必要量駆動させると、第1、第2、第3アーム109、110、112は協調して出力部材103の位置を移動させる。出力部材103の位置が目標位置Xn+1に到達すると同時に第1、第2、第3モータ107、108、111の駆動量は0とならなければ作業は遂行できない。したがって、第1モータ107、第2モータ108、第3モータ111をステッピングモータとすることで、回転量下降時にハンチングせず、第1、第2、第3モータ107、108、111の駆動量に影響を受けずに、出力部材の位置を要求に即して静定させることができる。よってパラレルリンクロボットにおいて出力部材の位置を保持しつつ姿勢を変える微小な動作を含む、精密な作業の信頼性を高める効果がある。
【0039】
このように、本実施形態の場合、出力部材103を駆動する第1モータ107、第2モータ108、第3モータ111をステッピングモータとしている。ステッピングモータは、回転量下降時にハンチングせず、停止時に高保持トルクで位置を保つことができる。このため、モータの駆動量に影響を受けずに、出力部材103の位置や姿勢を要求に即して静定させることができ、位置を保持しつつ姿勢を変える微小な動作及び姿勢を保持しつつ位置を移動させる微小な動作を含む、精密な作業の信頼性を高めたパラレルリンクロボットを提供することができる。
【0040】
なお、上述の説明では、パラレルリンクロボットの制御系は、オープンループ制御として説明したが、セミクローズド又はクローズドループ制御として、更に適宜組み合わせて実現してもよい。また、パルス信号は2相励磁方式に限定されない。
【0041】
本実施形態の場合、出力部材103を鉛直方向に移動させる第3モータ111を、回転子が永久磁石により構成されるステッピングモータとしている。このため、第3モータ111への通電が遮断されても、コギングにより出力部材103の落下を抑制できる。即ち、第3モータ111への通電が遮断された場合でも、回転子を構成する永久磁石と固定子との間に作用する磁力によりコギングが発生して、少なくとも出力部材103が落下する速度を遅くできる、或いは、落下を防止できる。この結果、電磁ブレーキを設けることなく、出力部材103が急激に落下することを防止でき、出力部材103に保持されたワークなどがステージなどに衝突して破損することを防止できる。本実施形態では、このように電磁ブレーキを設ける必要がなく、また、安価なステッピングモータを使用しているため、パラレルリンクロボットの低コスト化を図れる。
【0042】
なお、本実施形態の場合、出力部材103を駆動する全てのモータをステッピングモータとしているが、通電が遮断された場合の出力部材103の落下を抑制するためには、少なくとも第3モータ111がステッピングモータであれば良い。また、各モータの配置等を変更し、複数のモータにより出力部材を鉛直方向に移動させる場合には、これら複数のモータをステッピングモータとする。要は、駆動を停止することで出力部材の鉛直方向の移動を支えられるモータをステッピングモータとする。
【0043】
このように構成される本実施形態の場合、上述したように、出力部材103の移動位置に拘らず、出力部材103の姿勢と向きを一定に保つことができる。言い換えれば、上述の構成で出力部材103の位置決め制御を行うことで、出力部材103に装着されたエンドエフェクタ104の姿勢(傾き)と向きを保持したまま、エンドエフェクタ104を移動させることができる。
【0044】
また、本実施形態の場合、第1アーム109及び第2アーム110の形成する2つの平行リンク機構を出力軸105の軸線上から外れた位置で出力部材103に接続するため、出力部材103のコンパクト化を図れる。特に本実施形態では、2本の第1リンク109aを第1軸132に接続するジョイント部109bと、2本の第2リンク110aを第2軸133に接続するジョイント部110bとは、出力軸105と平行な方向に関して同じ位置に配置されている。このため、出力軸105と平行な方向の寸法をより短くでき、出力部材103のコンパクト化を図れる。
【0045】
即ち、第1アーム109及び第2アーム110の形成する2つの平行リンク機構を出力軸105の軸線上で接続した場合、それぞれのジョイント部を軸方向にずらす必要があるため、出力軸105が長くなってしまう。この結果、出力部材103に装着されるエンドエフェクタも含めてロボット本体が大型化してしまい、エンドエフェクタによるロボットの作業性も低下する。
【0046】
これに対して本実施形態の場合、第1アーム109及び第2アーム110を出力軸105の軸線上から外れた第1軸132及び第2軸133にそれぞれ接続するため、出力部材103のコンパクト化を図れる。そして、ロボットの作業性を向上させ、コンパクトなパラレルリンクロボットを提供することができる。
【0047】
更に本実施形態の場合、第1軸132と第2軸133とを出力軸105を中心として対称に配置し、第1回転アーム107aの長さと第2回転アーム108aの長さとを同じとし、2本の第2リンク110aの長さと第1アーム109の2本の第1リンク109aの長さとを同じとしている。このため、第1モータ107及び第2モータ108から出力部材103にバランス良く駆動を伝達でき、位置決め精度をより向上させられる。
【0048】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、
図6ないし
図10を用いて説明する。なお、上述の第1の実施形態との相違は、各アーム109、110、112と出力部材103とのジョイント部の構成にある。このため、第1の実施形態と共通する構成要素には、同一符号を付して、その説明を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0049】
出力部材103には、エンドエフェクタを支持する出力軸105aが同軸上に設けられている。出力部材103の出力軸105aの所定位置には、それぞれ、複数の第1突出部としてのジョイント軸134、135、複数の第2突出部としてのジョイント軸136、137が、圧入などにより装着固定されている。なお、ジョイント軸134、135、136、137は、出力軸105aと一体に形成しても良い。
【0050】
2本の第1突出部としてのジョイント軸134、135は、出力軸105aから出力軸105aに直交する方向に、且つ、互いに平行に突出するように設けられている。ジョイント軸134、135は、同じ長さで、同じ方向に突出形成している。2本の第2突出部としてのジョイント軸136、137は、出力軸105aから、出力軸105aに直交し、ジョイント軸134、135とは異なる方向に、且つ、互いに平行に突出するように設けられている。ジョイント軸136、137は、同じ長さで、同じ方向に突出形成している。また、ジョイント軸134、135とジョイント軸136、137とは、互いに同じ長さで、且つ、出力軸105aの軸方向に関して同じ位置に、出力軸105aの軸周りの位相が90°互いにずれた位置に配置されている。
【0051】
また、本実施形態の場合、出力軸105aと平行で且つ出力軸105aを含む仮想平面αの一方面側(
図7(b)の上側)に、第1アクチュエータとしての第1モータ107、第2アクチュエータとしての第2モータ108及び第3アクチュエータとしての第3モータ111が、配置されている。一方、ジョイント軸134、135、136、137は、仮想平面αの他方面側(
図7(b)の下側)に突出する。
【0052】
第1アーム109は、平行リンク機構を形成する2本の第1リンク109aからなり、一端はジョイント軸134、135にジョイント部109B
(第2ジョイント部)を介して接続され、他端は第1リンク軸107b
(リンク軸部)にジョイント部109C
(第1ジョイント部)を介して接続されている。即ち、第1アーム109は、仮想平面αの一方面側から出力軸105aに向かって延設され、出力部材103の出力軸105の仮想平面αよりも他方面側に突出した突出部としてのジョイント軸134、135に接続されている
。2個のジョイント部109Bは、出力軸105aと平行な仮想軸上(仮想軸β上)で、ジョイント軸134、135と2本の第1リンク109aとをそれぞれ接続する。
【0053】
第2アーム110は、平行リンク機構を形成する2本の第2リンク110aからなり、一端はジョイント軸136、137にジョイント部110B
(第2ジョイント部)を介して接続され、他端は第2リンク軸108b
(リンク軸部)にジョイント部110C
(第1ジョイント部)を介して接続されている。即ち、第2アーム110は、仮想平面αの一方面側から出力軸105aに向かって延設され、出力部材103の出力軸105aの仮想平面αよりも他方面側に突出した突出部としてのジョイント軸136、137に接続されている。即ち、出力軸105aは、第1アーム109及び第2アーム110の先端部の間に隙間をもって配置され、前記出力軸の径方向一側面部において出力軸105aの径方向両側から接続されている。言い換えれば、出力軸105aの径方向一方面側から他方面側の一端面(
図7(b)の下側)に向かって第1アーム109と第2アーム110が延設されている
。2個のジョイント部110Bは、出力軸105aと平行な仮想軸上(仮想軸γ上)で、ジョイント軸136、137と2本の第2リンク110aとをそれぞれ接続する。
【0054】
また、第1アーム109を構成する2本の第1リンク109aと、第2アーム110を構成する2本の第2リンク110aとには、それぞれ、前述の
図3(b)と同様に、ブリッジ部材201a、202a、201b、202bを設けている。即ち、第1ブリッジ部材としてのブリッジ部材201a、202aは、2本の第1リンク同士が第1アーム109の配設方向に相対移動可能に、且つ、第1リンク109aの軸回りの回転を防止するように、2本の第1リンク109aに掛け渡される。また、第2ブリッジ部材としてのブリッジ部材201b、202bは、2本の第2リンク同士が第2アーム110の配設方向に相対移動可能に、且つ、第2リンク110aの軸回りの回転を防止するように、2本の第2リンク110aに掛け渡される。
【0055】
また、本実施形態の場合、出力軸105aの上端部に、出力軸105aと直交する第3軸に相当するジョイント軸138、139が、出力軸105aと一体に形成されている。なお、別の部材としてのジョイント軸138、139を出力軸105aに圧入などにより装着固定しても良い。ジョイント軸138、139は、出力軸105aの上端部から互いに逆方向に、且つ、同軸上に突出形成されており、第1の実施形態の第3軸に相当する。
【0056】
第3アーム112は、平行リンク機構を形成する2本の第3リンク112aからなり、一端はジョイント軸138、139にジョイント部112Bを介して接続され、他端は第3リンク軸111bにジョイント部112Cを介して接続されている。また、第3アーム112を構成する2本の第3リンク112aについても、第1アーム109及び第2アーム110と同様に、ブリッジ部材201c、202cを設けている。即ち、ブリッジ部材201c、202cは、2本の第3リンク112a同士が第3アーム112の配設方向に相対移動可能に、且つ、第3リンク112aの軸回りの回転を防止するように、2本の第3リンク112aに掛け渡される。
【0057】
上述の各ジョイント部は、それぞれ、
図8及び
図9に示すように、3自由度を有する、ロッドエンドベアリング210により構成される。ロッドエンドベアリング210は、各ジョイント軸を通すために穴を開けたリングボール211とハウジングホルダ212を球面で接触させた構造となっている。
【0058】
即ち、リングボール211は、外周面が部分球面上に形成され、ハウジングホルダ212は、リングボール211に回転自在に外嵌されると共に、リングボール211の外周面と摺接する内周面が部分球面状に形成されている。ハウジングホルダ212には、ネジ部212aが形成されていて、各アームの各リンクの先端に設けたネジ孔に螺合されることで、ハウジングホルダ212が各リンクに固定される。このようなロッドエンドベアリング210は、構造上、
図9に示すように、リングボール211に挿入した軸213(各ジョイント軸に相当)とハウジングホルダ212とが干渉することにより傾斜角度θの制限が存在する。
【0059】
各ジョイント部について、
図6、
図7及び
図10を用いて説明する
。ジョイント部109Bは、リングボール211を、それぞれ、ジョイント軸134、135の先端に外嵌固定すると共に、ハウジングホルダ212を第1リンク109aの一端に固定している。このジョイント部109Bにより、各第1リンク109aは、出力軸105aに平行な軸としての仮想軸βを中心とする回動、仮想軸βと第1アーム109の配設方向とに直交する軸(ジョイント軸134、135)を中心とする回動、及び、第1リンク109aの軸回りの回動の3自由度で出力軸105aに接続される。
【0060】
ジョイント部109Cは、リングボール211を、それぞれ、第1リンク軸107bの両端に外嵌固定すると共に、ハウジングホルダ212を第1リンク109aの他端に固定している。このジョイント部109Cにより、各第1リンク109aは、第1リンク軸107bを中心とする回動、第1リンク軸107bと第1アーム109の配設方向とに直交する軸を中心とする回動、及び、第1リンク109aの軸回りの回動の3自由度で第1リンク軸107bに接続される。
【0061】
但し、上述したように、2本の第1リンク109aには、ブリッジ部材201a、202aが掛け渡されている。このため、2本の第1リンク109aからなる第1アーム109は、出力軸105aに対して、仮想軸βを中心とする回動及びジョイント軸134、135を中心とする回動の2自由度で接続されることになる。また、第1アーム109は、第1リンク軸107bに対して、第1リンク軸107bを中心とする回動及び第1リンク軸107bと第1アーム109の配設方向とに直交する軸を中心とする回動を中心とする回動の2自由度で接続されることになる。
【0062】
ジョイント部110Bは、リングボール211を、それぞれ、ジョイント軸136、137の先端に外嵌固定すると共に、ハウジングホルダ212を第2リンク110aの一端に固定している。このジョイント部110Bにより、各第2リンク110aは、出力軸105aに平行な軸としての仮想軸γを中心とする回動、仮想軸γと第2アーム110の配設方向とに直交する軸(ジョイント軸136、137)を中心とする回動、及び、第2リンク110aの軸回りの回動の3自由度で出力軸105aに接続される。
【0063】
ジョイント部110Cは、リングボール211を、それぞれ、第2リンク軸108bの両端に外嵌固定すると共に、ハウジングホルダ212を第2リンク110aの他端に固定している。このジョイント部110Cにより、各第2リンク110aは、第2リンク軸108bを中心とする回動、第2リンク軸108bと第2アーム109の配設方向とに直交する軸を中心とする回動、及び、第2リンク110aの軸回りの回動の3自由度で第2リンク軸108bに接続される。
【0064】
但し、上述したように、2本の第2リンク110aには、ブリッジ部材201b、202bが掛け渡されている。このため、2本の第2リンク110aからなる第2アーム110は、出力軸105aに対して、仮想軸γを中心とする回動及びジョイント軸136、137を中心とする回動の2自由度で接続されることになる。また、第2アーム110は、第2リンク軸108bに対して、第2リンク軸108bを中心とする回動及び第2リンク軸108bと第2アーム110の配設方向とに直交する軸を中心とする回動を中心とする回動の2自由度で接続されることになる。
【0065】
ジョイント部112Bは、リングボール211を、それぞれ、ジョイント軸138、139の先端に外嵌固定すると共に、ハウジングホルダ212を第3リンク112aの一端に固定している。このジョイント部112Bにより、各第3リンク112aは、出力軸105aに直交する軸(ジョイント軸138、139)を中心とする回動、ジョイント軸138、139と第3アーム110の配設方向とに直交する軸を中心とする回動、及び、第3リンク112aの軸回りの回動の3自由度で出力軸105aに接続される。
【0066】
ジョイント部112Cは、リングボール211を、それぞれ、第3リンク軸111bの両端に外嵌固定すると共に、ハウジングホルダ212を第3リンク112aの他端に固定している。このジョイント部112Cにより、各第3リンク112aは、第3リンク軸111bを中心とする回動、第3リンク軸111bと第3アーム112の配設方向とに直交する軸を中心とする回動、及び、第3リンク112aの軸回りの回動の3自由度で第3リンク軸111bに接続される。
【0067】
但し、上述したように、2本の第3リンク112aには、ブリッジ部材201c、202cが掛け渡されている。このため、2本の第3リンク112aからなる第3アーム112は、出力軸105aに対して、ジョイント軸138、139を中心とする回動及びジョイント軸138、139と第3アーム110の配設方向とに直交する軸を中心とする回動の2自由度で接続されることになる。また、第3アーム112は、第3リンク軸111bに対して、第3リンク軸111bを中心とする回動及び第3リンク軸111bと第3アーム112の配設方向とに直交する軸を中心とする回動を中心とする回動の2自由度で接続されることになる。
【0068】
ところで、このような各ジョイント部を構成するロッドエンドベアリング210は、
図9に示したように、傾斜角度θの制限が存在する。したがって、この傾斜角度θの制限内でマニピュレータが必要な可動範囲を移動することができるようにジョイント部(ロッドエンドベアリング)の構成配置を考慮する必要がある。
【0069】
このため、第1アーム109の2本の平行リンクにおいて、ジョイント軸134、135に接続するジョイント部(ロッドエンドベアリング)109Bは、第1リンク軸107bに接続するジョイント部(ロッドエンドベアリング)109Bに対して、ハウジングホルダの位相角度を90度相違させて取り付けている。第2アーム110についても同様である。
【0070】
即ち、ジョイント部109Bのリングボール211の回転中心の方向(ジョイント軸134、135の軸方向)と、ジョイント部109Cのリングボール211の回転中心の方向(第1リンク軸107bの軸方向)とは、第1リンク109aを中心とする回転方向に関して90度位相が異なる。また、ジョイント部110Bのリングボール211の回転中心の方向(ジョイント軸136、137の軸方向)と、ジョイント部110Cのリングボール211の回転中心の方向(第2リンク軸108bの軸方向)とは、第2リンク110aを中心とする回転方向に関して90度位相が異なる。これにより、ロッドエンドベアリングの角度制限による影響を極力排し、エンドエフェクタの鉛直方向及び水平方向で、より広い移動範囲を得ることが可能である。
【0071】
なお、ジョイント部112Bのリングボール211の回転中心の方向(ジョイント軸138、139の軸方向)と、ジョイント部112Cのリングボール211の回転中心の方向(第3リンク軸111bの軸方向)とは、第3リンク112aと直交する方向に互いに平行としている。但し、これらの方向を、第3リンク112aを中心とする回転方向に関して90度位相が異ならせても良い。
【0072】
このように構成される本実施形態の場合、上述の第1の実施形態と同様に、第1アーム109及び第2アーム110の形成する2つの平行リンク機構と、第3アーム112の形成する平行リンク機構とによって、出力部材103に装着されるエンドエフェクタは一定の姿勢(傾きと向きの両方)を保つように支持される。
【0073】
また、各ジョイント部をロッドエンドベアリングとしているため、ジョイント部の小型化を図れる。この結果、出力部材103をよりコンパクトに構成でき、ロボットの作業性を向上させ、コンパクトなパラレルリンクロボットを提供することができる。
【0074】
更に、本実施形態の場合、第1モータ107、第2モータ108及び第3モータ111を、仮想平面αの一方側(
図7(b)の上側)に配置すると共に、ジョイント軸134、135、136、137を、仮想平面αの他方側(
図7(b)の下側)に突出させている。そして、第1アーム109及び第2アーム110を仮想平面αの一方側から出力軸105aに向かって配置し、出力軸105aの仮想平面の他方側に突出したジョイント軸134、135、136、137に接続している。このため、第1アーム109と第2アーム110とのなす角度を大きくして出力部材103を支持でき、出力部材103及びエンドエフェクタの支持の安定性を向上させられる。具体的には、出力部材103が第1モータ107及び第2モータ108から遠い位置に移動しても、第1アーム109と第2アーム110とのなす角度を大きくでき、安定して出力部材103及びエンドエフェクタを支持することができる。即ち、ジョイント軸134〜137を仮想平面αに対して各モータ107、108と同じ側に配置した場合(第1アーム109及び第2アーム110を出力軸105aの仮想平面αの一方側で接続した場合)、出力部材103が第1モータ107及び第2モータ108から遠い位置に移動すると、第1アーム109と第2アーム110とのなす角度が狭くなってしまう。第1アーム109と第2アーム110とのなす角度が狭くなると出力部材103が不安定になり易い。このため、本実施形態では、ジョイント軸134〜137を仮想平面αに対して各モータ107、108と反対側に配置して、出力部材103を安定して支持するようにしている。
【0075】
なお、第3モータ111に関しては、仮想平面αに対してジョイント軸134〜137と同じ側に設けても良いが、装置全体のコンパクト化を図る上では、第3モータ111は、第1モータ107及び第2モータ108と同じ側に設けることが好ましい。また、第3アーム112の2本の平行リンクにおけるジョイント部112B、112Cは、ロッドエンドベアリングではなく、
図3に示した2自由度のジョイントでも良い。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様である。
【0076】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、
図11ないし
図14を用いて説明する。なお、上述の第2の実施形態との相違は、第1、第2、第3アクチュエータをそれぞれ直動型のリニアアクチュエータに変更した点と、第1アーム109及び第2アーム110のアクチュエータ側のジョイント部の構成を変更した点にある。このため、第2の実施形態と共通する構成要素には、同一符号を付して、その説明を省略又は簡略にし、以下、第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0077】
第1アクチュエータ及び第2アクチュエータである第1リニアアクチュエータ141及び第2リニアアクチュエータ142は、それぞれが出力部材103を所定の空間内で移動させるための駆動源となる直動型のアクチュエータの一例である。これら第1リニアアクチュエータ141及び第2リニアアクチュエータ142は、それぞれレール(固定子)141a、142aを出力軸105aと略平行な方向(鉛直方向)に配置している。レール141a、142aは、
図11に示すように、それぞれベース部材100Aの鉛直板102の鉛直方向中間部ないし下端寄りに固定されている。そして、
図12に示すように、第1リニアアクチュエータ141のレール141aに駆動部としての第1移動子141bを、第2リニアアクチュエータ142のレール142aに駆動部としての第2移動子142bを、それぞれレールに沿って移動自在に配置している。
【0078】
第1移動子141b、第2移動子142bには、それぞれアーム支持部材143、144が固定されている。第1アーム支持部材143及び第2アーム支持部材144には、
図13に示すように、それぞれジョイント軸145、146及びジョイント軸147、148が圧入などにより装着固定されている。即ち、ジョイント軸145、146は、第1アーム支持部材143を介して駆動部としての第1移動子141bに設けられ、ジョイント軸147、148は、第2アーム支持部材144を介して駆動部としての第2移動子142bに設けられている。ジョイント軸145とジョイント軸146、及び、ジョイント軸147とジョイント軸148は、それぞれ平行に設けられている。また、ジョイント軸145、146は、同じ長さで、ジョイント軸134、135と平行に突出形成され、ジョイント軸147、148は、同じ長さで、ジョイント軸136、137と平行に突出形成されている。
【0079】
出力部材103には、
図14に示すように、エンドエフェクタ104を支持する出力軸105aが同軸上に設けられている。出力部材103の出力軸105aの所定位置には、上述の第2の実施形態と同様に、それぞれ、複数の第1突出部としてのジョイント軸134、135、複数の第2突出部としてのジョイント軸136、137が、圧入などにより装着固定されている。
【0080】
第1アーム109は、平行リンク機構を形成する2本の第1リンク109aからなり、一端はジョイント軸134、135にジョイント部109Bを介して接続され、他端は第1アーム支持部材143のジョイント軸145、146にジョイント部109Cを介して接続されている
。2個のジョイント部109Bは、出力軸105aと平行な仮想軸上で、ジョイント軸134、135と2本の第1リンク109aとをそれぞれ接続する
。2個のジョイント部109Cは、出力軸105aと平行な仮想軸上で、ジョイント軸145、146と2本の第1リンク109aとをそれぞれ接続する。本実施形態では、2個のジョイント部109Cが配置される仮想軸が、第1リンク軸に相当する。
【0081】
第2アーム110は、平行リンク機構を形成する2本の第2リンク110aからなり、一端はジョイント軸136、137にジョイント部110Bを介して接続され、他端は第2アーム支持部材144のジョイント軸147、148にジョイント部110Cを介して接続されている
。2個のジョイント部110Bは、出力軸105aと平行な仮想軸上で、ジョイント軸136、137と2本の第2リンク110aとをそれぞれ接続する
。2個のジョイント部110Cは、出力軸105aと平行な仮想軸上で、ジョイント軸147、148と2本の第2リンク110aとをそれぞれ接続する。本実施形態では、2個のジョイント部110Cが配置される仮想軸が、第2リンク軸に相当する。
【0082】
第3アクチュエータである第3リニアアクチュエータ149は、出力部材103を所定の空間内の概ね出力軸105aと略平行な方向に移動させるための駆動源となる直動型アクチュエータの一例である。この第3リニアアクチュエータ149も、第1リニアアクチュエータ141及び第2リニアアクチュエータ142と同様に、レール(固定子)149aを出力軸105aと略平行な方向(鉛直方向)に配置している。レール149aは、鉛直板102の鉛直方向中間部ないし上端寄りで、水平方向に関してレール141aとレール142aとの間に固定されている。そして、第3リニアアクチュエータ149のレール149aに駆動部としての第3移動子149bをレールに沿って移動自在に配置している。
【0083】
第3移動子149bには、第3アーム支持部材150が固定されている。第3アーム支持部材150は、
図13に示すように、ジョイント軸151がノックピンなどで固定されている。即ち、ジョイント軸151は、第3アーム支持部材150を介して駆動部としての第3移動子149bに設けられている。ジョイント軸138、139は、出力軸105aの上端部から互いに逆方向に、且つ、同軸上に突出形成されており、第1の実施形態の第3軸に相当する。また、ジョイント軸151は、ジョイント軸138、139と平行に配設されている。
【0084】
また、
図14に示すように、出力軸105aの上端部に、出力軸105aと直交する方向に配設されたジョイント軸138、139が、出力軸105aと一体に形成されている。本実施形態では、ジョイント軸138、139は、出力軸105aと同一の平面上から外れた位置に配置している。具体的には、ジョイント軸138、139と出力軸105aとを、前後(
図11(b)の左右方向)にオフセットした2つの平面で(ねじれの位置で)、立体的に直交する構成としている。
【0085】
第3アーム112は、平行リンク機構を形成する2本の第3リンク112aからなり、一端はジョイント軸138、139にジョイント部112Bを介して接続され、他端は第3アーム支持部材150のジョイント軸151にジョイント部112Cを介して接続されている。2個のジョイント部112Bは、出力軸105aと直交する第3軸上で、ジョイント軸138、139と2本の第3リンク112aとをそれぞれ接続する。2個のジョイント部112Cは、第3軸と平行なジョイント軸151の両端と2本の第3リンク112aとをそれぞれ接続する。本実施形態では、2個のジョイント部112Cが配置されるジョイント軸151が、第3リンク軸に相当する。
【0086】
また、本実施形態の場合も、図示は省略するが、第1アーム109を構成する2本の第1リンク109aと、第2アーム110を構成する2本の第2リンク110aとに、第3アーム112を構成する2本の第3リンク112aとは、それぞれ、前述の
図3(b)と同様に、ブリッジ部材を設けている。
【0087】
また、本実施形態の場合も、上述の各ジョイント部は、第2の実施形態と同様に、それぞれ、3自由度を有するロッドエンドベアリング210により構成される。但し、2本の第1リンク109a及び2本の第2リンク110aの他端を、それぞれジョイント軸145、146及びジョイント軸147、148に接続する、ジョイント部109C及びジョイント部110Cのハウジングホルダの位相角度を、第2の実施形態と異ならせている。
【0088】
即ち、ジョイント部109Cのリングボールの回転中心の方向は、2本の第1リンク109aの一端をジョイント軸134、135に接続するジョイント部109Bのリングボールの回転中心の方向とは、出力軸105aと直交する方向に互いに平行としている。同様に、ジョイント部110Cのリングボール211の回転中心の方向は、2本の第2リンク110aの一端をジョイント軸136、137に接続するジョイント部110Bのリングボールの回転中心の方向とは、出力軸105aと直交する方向に互いに平行としている。
【0089】
このように、第1アーム109及び第2アーム110の形成する2つの平行リンク機構と、第3アーム112の形成する平行リンク機構とによって、出力部材103に装着されるエンドエフェクタは一定の姿勢(傾き)と向きの両方を保つように支持される。第1、第2、第3リニアアクチュエータ141、142、149により、第1、第2、第3アーム支持部材143、144、150がそれぞれ鉛直方向のどの位置に移動しても、この姿勢は維持される。
【0090】
図12は、第1、第2、第3リニアアクチュエータ141、142、149を駆動して、第1、第2、第3アーム支持部材143、144、150を移動することで、出力部材103を同一の平面内で所定の方向に移動させた状態を示すものである。出力部材103の2次元平面内の位置は、各アームの長さと傾斜を考慮して、第1、第2、第3アーム支持部材の移動量から幾何学的に算出することが可能である。また、逆運動学の計算により、出力部材103の平面位置中心座標から第1、第2、第3アーム支持部材143、144、150の移動量及び第1、第2、第3アクチュエータの駆動量を算出することが可能である。
【0091】
更に、出力部材103の鉛直方向の移動に関しては、第1、第2、第3アーム支持部材143、144、150をそれぞれ同一の量だけ移動させることで容易に行うことができる。以上により、出力部材103の3次元空間内の移動位置を制御することが可能である。
【0092】
このように構成される本実施形態では、第1、第2、第3リニアアクチュエータは、移動子の移動ガイド部材を備えたボールねじと、このボールねじを回転させる回転型モータとを備えた、モータの回転運動を直線運動に変換する直動機構である。但し、直動機構としては、これに限らずベルトやワイヤーによる直動機構やリニアモータ等のアクチュエータを使用しても良い。
【0093】
また、本実施形態では、各ジョイント部を3自由度を有するロッドエンドベアリングとしたが、これらのジョイント部は、少なくとも2自由度を有していれば機能的に問題はなく、
図3に示したような2自由度を有する構造のジョイントでも良い。
【0094】
また、本実施形態では、出力軸105aに直交するジョイント軸138、139を同一の平面上ではなく、前後にオフセットした2つの平面で立体的に直交する構成としているため、出力軸105aと第3アーム112との干渉を極力防止することが可能である。その他の構造及び作用は、上述の第2の実施形態と同様である。
【0095】
<他の実施形態>
なお、上述の各実施形態は、適宜組み合わせて実施可能である。例えば、第1の実施形態で、各モータを第3の実施形態のようなリニアアクチュエータとしても良い。