(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂供給装置内で溶融された熱可塑性樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの樹脂吐出面に形成された小孔から直接冷却媒体中に押し出し、前記ダイの樹脂吐出面に押圧された状態で設けられたカッターによって押出物を切断するとともに、押出物を冷却媒体との接触により冷却固化して熱可塑性樹脂粒子を得る、溶融押出法による熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、
冷却媒体の流量(L1)と樹脂吐出量(L2)との質量比(L1/L2)が40〜250の範囲であり、樹脂吐出面に対するカッターの押圧力が0.10〜1.2MPaの範囲であり、ダイ温度(T1)と樹脂温度(T2)との関係が、T1>T2となる条件下で熱可塑性樹脂粒子を得ることを特徴とする熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
樹脂供給装置内で溶融された熱可塑性樹脂に発泡剤を加えて混練し、発泡剤含有溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの樹脂吐出面に形成された小孔から直接冷却媒体中に押し出し、前記ダイの樹脂吐出面に押圧された状態で設けられたカッターによって押出物を切断するとともに、押出物を冷却媒体との接触により冷却固化して発泡性熱可塑性樹脂粒子を得る、溶融押出法による発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、
冷却媒体の流量(L1)と樹脂吐出量(L2)との質量比(L1/L2)が40〜250の範囲であり、樹脂吐出面に対するカッターの押圧力が0.10〜1.2MPaの範囲であり、ダイ温度(T1)と樹脂温度(T2)との関係が、T1>T2となる条件下で発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従来技術には、次のような問題があった。
特許文献1に開示された製造方法は、ダイとカッターが接触していないため、カット不良により異形粒子が発生し易く、また樹脂粒子同士の合着が発生しやすいという問題がある。
特許文献2に開示された製造方法は、ダイ温度が樹脂温度よりも低いため、樹脂が詰まりやすく、ダイの小孔の開孔率が低くなるという課題が残されている。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、溶融押出法による熱可塑性樹脂粒子及び発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造において、開孔率が高くなって生産効率が高く、異形粒子の発生も抑制でき、均一で略球状の樹脂粒子を得ることができ、さらに発泡剤含有樹脂の押出時のプレ発泡及び樹脂粒子同士の合着を抑制し得る、熱可塑性樹脂粒子及び発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するため、本発明は、樹脂供給装置内で溶融された熱可塑性樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの樹脂吐出面に形成された小孔から直接冷却媒体中に押し出し、前記ダイの樹脂吐出面に押圧された状態で設けられたカッターによって押出物を切断するとともに、押出物を冷却媒体との接触により冷却固化して熱可塑性樹脂粒子を得る、溶融押出法による熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、冷却媒体の流量(L1)と樹脂吐出量(L2)との質量比(L1/L2)が40〜250の範囲であり、樹脂吐出面に対するカッターの押圧力が0.05〜2.0MPaの範囲となる条件下で熱可塑性樹脂粒子を得ることを特徴とする熱可塑性樹脂粒子の製造方法を提供する。
【0009】
本発明の熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、冷却媒体の温度が20〜80℃の範囲であることが好ましい。
【0010】
本発明の熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、冷却媒体の圧力が0.1〜2.0MPaの範囲であることが好ましい。
【0011】
また本発明は、樹脂供給装置内で溶融された熱可塑性樹脂に発泡剤を加えて混練し、発泡剤含有溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの樹脂吐出面に形成された小孔から直接冷却媒体中に押し出し、前記ダイの樹脂吐出面に押圧された状態で設けられたカッターによって押出物を切断するとともに、押出物を冷却媒体との接触により冷却固化して発泡性熱可塑性樹脂粒子を得る、溶融押出法による発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、冷却媒体の流量(L1)と樹脂吐出量(L2)との質量比(L1/L2)が40〜250の範囲であり、樹脂吐出面に対するカッターの押圧力が0.05〜2.0MPaの範囲となる条件下で発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法を提供する。
【0012】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、冷却媒体の温度が20〜80℃の範囲であることが好ましい。
【0013】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、冷却媒体の圧力が0.1〜2.0MPaの範囲であることが好ましい。
【0014】
また本発明は、前記熱可塑性樹脂粒子の製造方法によって得られた熱可塑性樹脂粒子を提供する。
【0015】
また本発明は、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法によって得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子を提供する。
【0016】
また本発明は、前記発泡性熱可塑性樹脂粒子を加熱し発泡させて得られた予備発泡粒子を提供する。
【0017】
また本発明は、前記予備発泡粒子を成形型のキャビティに充填し、加熱して型内発泡成形して得られた発泡成形体を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の熱可塑性樹脂粒子の製造方法は、樹脂供給装置内で溶融された熱可塑性樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの樹脂吐出面に形成された小孔から直接冷却媒体中に押し出し、前記ダイの樹脂吐出面に押圧された状態で設けられたカッターによって押出物を切断するとともに、押出物を冷却媒体との接触により冷却固化して熱可塑性樹脂粒子を得る際に、冷却媒体の流量(L1)と樹脂吐出量(L2)との質量比(L1/L2)が40〜250の範囲であり、樹脂吐出面に対するカッターの押圧力が0.05〜2.0MPaの範囲となる条件下で熱可塑性樹脂粒子を得ることによって、ダイ小孔の開孔率を高率で維持することができ、熱可塑性樹脂粒子の生産効率を高く維持することができる。
また、異形粒子の発生及び樹脂粒子同士の合着を抑制し得るので、均一で略球状の熱可塑性樹脂粒子を効率よく生産することができる。
【0019】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法は、樹脂供給装置内で溶融された熱可塑性樹脂に発泡剤を加えて混練し、発泡剤含有溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの樹脂吐出面に形成された小孔から直接冷却媒体中に押し出し、前記ダイの樹脂吐出面に押圧された状態で設けられたカッターによって押出物を切断するとともに、押出物を冷却媒体との接触により冷却固化して発泡性熱可塑性樹脂粒子を得る際に、冷却媒体の流量(L1)と樹脂吐出量(L2)との質量比(L1/L2)が40〜250の範囲であり、樹脂吐出面に対するカッターの押圧力が0.05〜2.0MPaの範囲となる条件下で発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることによって、ダイ小孔の開孔率を高率で維持することができ、発泡性熱可塑性樹脂粒子の生産効率を高く維持することができる。また、異形粒子の発生及び樹脂粒子同士の合着を抑制し得るので、均一で略球状の発泡性熱可塑性樹脂粒子を効率よく生産することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本発明の熱可塑性樹脂粒子の製造方法は、樹脂供給装置内で溶融された熱可塑性樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの樹脂吐出面に形成された小孔から直接冷却媒体中に押し出し、前記ダイの樹脂吐出面に押圧された状態で設けられたカッターによって押出物を切断するとともに、押出物を冷却媒体との接触により冷却固化して熱可塑性樹脂粒子を得る、溶融押出法による熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、冷却媒体の流量(L1)と樹脂吐出量(L2)との質量比(L1/L2)が40〜250の範囲であり、樹脂吐出面に対するカッターの押圧力が0.05〜2.0MPaの範囲となる条件下で熱可塑性樹脂粒子を得ることを特徴とする。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂粒子の製造方法により得られた熱可塑性樹脂粒子は、ほぼ均一な粒径や質量を持った略球状の樹脂粒子であり、様々な用途において使用することができる。例えば、本発明の熱可塑性樹脂粒子は、シード重合法などによって発泡性熱可塑性樹脂粒子を製造する際のシード(核)材料などとして好適に用いられる。
【0023】
また、本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法は、樹脂供給装置内で溶融された熱可塑性樹脂に発泡剤を加えて混練し、発泡剤含有溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの樹脂吐出面に形成された小孔から直接冷却媒体中に押し出し、前記ダイの樹脂吐出面に押圧された状態で設けられたカッターによって押出物を切断するとともに、押出物を冷却媒体との接触により冷却固化して発泡性熱可塑性樹脂粒子を得る、溶融押出法による発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、冷却媒体の流量(L1)と樹脂吐出量(L2)との質量比(L1/L2)が40〜250の範囲であり、樹脂吐出面に対するカッターの押圧力が0.05〜2.0MPaの範囲となる条件下で発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることを特徴とする。
【0024】
本発明において、熱可塑性樹脂の種類は限定されないが、例えばポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂等を単独もしくは2種類以上混合して使用することができる。さらに樹脂製品として一旦使用されてから回収して得られた熱可塑性樹脂の回収樹脂を使用することもできる。特に非晶性であるポリスチレン(GPPS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)などのポリスチレン系樹脂が好適に用いられる。
【0025】
ポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体又はこれらの共重合体等が挙げられ、スチレンを50質量%以上含有するポリスチレン系樹脂が好ましく、ポリスチレンがより好ましい。また、前記ポリスチレン系樹脂としては、前記スチレンモノマーを主成分とする、前記スチレン系モノマーとこのスチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体であってもよく、このようなビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートの他、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの二官能性モノマーなどが挙げられる。
【0026】
また、ポリスチレン系樹脂が主成分であれば、他の樹脂を添加してもよく、添加する樹脂としては、例えば、発泡成形体の耐衝撃性を向上させるために、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体などのジエン系のゴム状重合体を添加したゴム変性ポリスチレン系樹脂、いわゆるハイインパクトポリスチレンが挙げられる。あるいは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などが挙げられる。また、原料となるポリスチレン系樹脂としては、市販されている通常のポリスチレン系樹脂、懸濁重合法などの方法で新たに作製したポリスチレン系樹脂などの、リサイクル原料でないポリスチレン系樹脂(バージンポリスチレン)を使用できる他、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られたリサイクル原料を使用することができる。このリサイクル原料としては、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体、例えば、魚箱、家電緩衝材、食品包装用トレーなどを回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したリサイクル原料を用いることができる。また、使用することができるリサイクル原料は、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られたもの以外にも、家電製品(例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)や事務用機器(例えば、複写機、ファクシミリ、プリンターなど)から分別回収された非発泡のポリスチレン系樹脂成形体を粉砕し、溶融混練してリペレットしたものを用いることができる。
【0027】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子に用いられる発泡剤は、特に限定されないが、例えばプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール等の各種アルコール類、炭酸ガス、窒素、水等が使用可能である。この内、脂肪族炭化水素が好適であり、更には、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン単独もしくはこれらの混合物がより好適である。また、炭素数5の炭化水素であるノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン単独もしくはこれらの混合物が特に好適である。その中でもイソペンタンとノルマルペンタンとの一方又は両方の混合物であることが好ましい。また、前記炭素数5の炭化水素を主体とし、沸点が20℃以下であり、炭素数5の炭化水素以外の発泡剤(例えばノルマルブタン、イソブタン、プロパン、炭酸ガス等)を含んでいてもよい。
この発泡剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し1〜15質量部の範囲が好ましく、1〜10質量部の範囲がより好ましく、2〜8質量部の範囲が特に好ましい。
【0028】
本発明において、前記熱可塑性樹脂には、発泡核剤として、タルク、珪酸カルシウム、合成あるいは天然に産出される二酸化ケイ素、エチレンビスステアリン酸アミド、メタクリル酸エステル系共重合体等の無機又は有機微粉末を添加することが望ましい。前記発泡核剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し1.5質量部以下が好ましく、0.1〜1.0質量部の範囲がより好ましい。
【0029】
本発明において、前記熱可塑性樹脂には、発泡剤及び発泡核剤の他に、得られる予備発泡粒子の物性を損なわない範囲内において、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等の添加剤を添加してもよい。
【0030】
図1は、本発明の熱可塑性樹脂粒子の製造方法、及び発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す構成図である。本例の製造装置は、樹脂供給装置としての押出機1と、押出機1の先端に取り付けられ多数の小孔を有するダイ2と、押出機1内に樹脂原料等を投入する原料供給ホッパー3と、押出機1内の溶融樹脂に発泡剤供給口5を通して発泡剤を圧入する高圧ポンプ4と、ダイ2の小孔が穿設された樹脂吐出面に冷却水を接触させるように設けられ、室内に冷却水等の冷却媒体(以下、冷却水と記す)が循環供給されるカッティング室7と、ダイ2の小孔から押し出された樹脂を切断できるようにカッティング室7内に回転可能に設けられたカッター6と、カッティング室7から冷却水の流れに同伴して運ばれる樹脂粒子を冷却水と分離すると共に脱水乾燥して樹脂粒子を得る固液分離機能付き脱水乾燥機10と、固液分離機能付き脱水乾燥機10にて分離された冷却水を溜める水槽8と、この水槽8内の冷却水をカッティング室7に送る高圧ポンプ9と、固液分離機能付き脱水乾燥機10にて脱水乾燥された樹脂粒子を貯留する貯留容器11とを備えて構成されている。
図1に示す製造装置を用い、熱可塑性樹脂粒子の製造方法を実施する場合は、高圧ポンプ4を使用せず、押出機1内の溶融樹脂に発泡剤供給口5を通して発泡剤を圧入しない。一方、発泡性熱可塑性樹脂の製造方法を実施する場合は、高圧ポンプ4を使用して、押出機1内の溶融樹脂に発泡剤供給口5を通して発泡剤を圧入する。
【0031】
なお、押出機1としては、スクリュを用いる押出機またはスクリュを用いない押出機のいずれも用いることができる。スクリュを用いる押出機としては、例えば、単軸式押出機、多軸式押出機、ベント式押出機、タンデム式押出機などが挙げられる。スクリュを用いない押出機としては、例えば、プランジャ式押出機、ギアポンプ式押出機などが挙げられる。また、いずれの押出機もスタティックミキサーを用いることができる。これらの押出機のうち、生産性の面からスクリュを用いた押出機が好ましい。また、カッター6を収容したカッティング室7も、樹脂の溶融押出による造粒方法において用いられている従来周知のものを用いることができる。
【0032】
図2は、
図1に示す製造装置におけるダイ2及びカッティング室7の部分を拡大・断面視した要部拡大断面図である。
押出機1の先端に取り付けられたダイ2は、複数本の樹脂流路22が形成され、それぞれの樹脂流路22の先端部には、多数の小孔21が形成されており、押出機1から送られた溶融樹脂20がダイ2に圧入され、各樹脂流路22を通り、さらに多数の小孔21を通過して、ダイ2の樹脂吐出面23側から押し出されるようになっている。
小孔21から溶融樹脂20が押し出される樹脂吐出面23は、室内に冷却水が循環供給されるカッティング室7につながっている。このカッティング室7には、カッター6が回転可能に配置されている。このカッター6の切刃先端は、樹脂吐出面23に接触し、且つ押圧力Pをもって押圧された状態になっている。
ダイ2の樹脂吐出面23の適所、例えば中心部には、断熱材24を設け、冷却水によってダイ2が過度に冷却されて小孔21が固化した樹脂によって塞がれ、開孔率が低下してしまうことを防ぐことが好ましい。また、ダイ2には、複数のヒータ25,26,27,28と温度センサ29とが挿入され、ダイ2を所定温度に保温できるようになっている。
【0033】
図1及び
図2に示す製造装置を用い、発泡性熱可塑性樹脂粒子を製造するには、まず、原料のポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂、発泡核剤、必要に応じて添加される難燃剤などの所望の添加剤を秤量し、原料供給ホッパー3から押出機1内に投入する。原料の熱可塑性樹脂は、ペレット状や顆粒状にして事前に良く混合してから1つの原料供給ホッパーから投入してもよいし、あるいは例えば複数のロットを用いる場合は各ロットごとに供給量を調整した複数の原料供給ホッパーから投入し、押出機内でそれらを混合してもよい。また、複数のロットのリサイクル原料を組み合わせて使用する場合には、複数のロットの原料を事前に良く混合し、磁気選別や篩分け、比重選別、送風選別などの適当な選別手段により異物を除去しておくことが好ましい。
【0034】
押出機1内に熱可塑性樹脂、発泡助剤、その他の添加剤を供給後、樹脂を加熱溶融し、その溶融樹脂をダイ2側に移送しながら、発泡剤供給口5から高圧ポンプ4によって発泡剤を圧入して溶融樹脂20に発泡剤を混合し、押出機1内に必要に応じて設けられる異物除去用のスクリーンを通して、溶融樹脂20をさらに混練しながら先端側に移動させ、溶融樹脂20を押出機1の先端に付設したダイ2の小孔21から押し出す。
【0035】
ダイ2の小孔21が穿設された樹脂吐出面23は、室内に冷却水が循環供給されるカッティング室7内に配置され、且つカッティング室7内には、小孔から押し出された樹脂を切断できるようにカッター6が回転可能に設けられている。発泡剤添加済みの溶融樹脂20を押出機1の先端に付設したダイ2の小孔から押し出すと、溶融樹脂20は粒状に切断され、冷却水と接触して急冷され、発泡性熱可塑性樹脂粒子となる。
【0036】
本発明の熱可塑性樹脂粒子の製造方法、及び発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、冷却水の流量(L1)と樹脂吐出量(L2)との質量比(L1/L2)は、40〜250の範囲とする。この質量比(L1/L2)は、50〜150の範囲とすることが好ましく、60〜120の範囲とすることがより好ましい。この質量比(L1/L2)が40未満であると、切断された樹脂粒子の冷却状態が悪くなって、樹脂粒子同士が合着し易くなってしまう。この質量比(L1/L2)が250を超えると、ダイ2の樹脂吐出面23が過度に冷却されることにより、小孔21が固化した樹脂によって塞がれ、開孔率が低下してしまう。
【0037】
本発明の熱可塑性樹脂粒子の製造方法、及び発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、樹脂吐出面23に対するカッター6の押圧力Pは、0.05〜2.0MPaの範囲とする。この押圧力Pは、0.10〜1.2MPaの範囲が好ましく、0.2〜0.8MPaの範囲がより好ましい。この押圧力Pが0.05MPa未満であると、冷却水の供給水圧や樹脂供給圧力などによってカッター6が樹脂吐出面23から離れ易くなり、押出物の安定した切断ができなくなり、異形粒子や合着粒子の発生率が高くなる。この押圧力Pが2.0MPaを超えると、樹脂吐出面23に対するカッター6の摩擦抵抗が大きくなり、カッター6の回転が不安定となり、得られる樹脂粒子の大きさにバラツキを生じ易くなる。
【0038】
本発明の熱可塑性樹脂粒子の製造方法、及び発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、冷却水の温度は、20〜80℃の範囲とすることが好ましく、25〜70℃の範囲がより好ましく、30〜60℃の範囲がさらに好ましい。
【0039】
本発明の熱可塑性樹脂粒子の製造方法、及び発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、冷却水の圧力は、0.1〜2.0MPaの範囲とすることが好ましく、0.15〜1.8MPaの範囲がより好ましく、0.2〜1.6MPaの範囲がさらに好ましい。
【0040】
本発明の熱可塑性樹脂粒子の製造方法、及び発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法において、ダイ温度(T1)が、樹脂温度(T2)よりも高い(T1>T2)ことが好ましく、樹脂温度よりも5〜150℃高くすることがより好ましく、30〜120℃高くすることがさらに好ましい。
【0041】
形成された発泡性熱可塑性樹脂粒子は、カッティング室7から冷却水の流れに同伴して固液分離機能付き脱水乾燥機10に運ばれ、ここで発泡性熱可塑性樹脂粒子を冷却水と分離すると共に脱水乾燥する。乾燥された発泡性熱可塑性樹脂粒子は、貯留容器11に貯留される。
【0042】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法は、樹脂供給装置内で溶融された熱可塑性樹脂に発泡剤を加えて混練し、発泡剤含有溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの樹脂吐出面に形成された小孔から直接冷却媒体中に押し出し、前記ダイの樹脂吐出面に押圧された状態で設けられたカッターによって押出物を切断するとともに、押出物を冷却媒体との接触により冷却固化して発泡性熱可塑性樹脂粒子を得る際に、冷却媒体の流量(L1)と樹脂吐出量(L2)との質量比(L1/L2)が40〜250の範囲であり、樹脂吐出面に対するカッターの押圧力が0.05〜2.0MPaの範囲となる条件下で発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることによって、ダイ小孔の開孔率を高率で維持することができ、発泡性熱可塑性樹脂粒子の生産効率を高く維持することができる。また、異形粒子の発生及び樹脂粒子同士の合着を抑制し得るので、均一で略球状の発泡性熱可塑性樹脂粒子を効率よく生産することができる。
【0043】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、発泡樹脂成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、水蒸気加熱等により加熱して予備発泡し、予備発泡粒子とする。この予備発泡粒子は、製造するべき発泡成形体の密度と同等の嵩密度となるように予備発泡される。本発明において、その嵩密度は限定されないが、通常は0.010〜0.10g/cm
3の範囲内とし、0.015〜0.050g/cm
3の範囲内とするのが好ましい。
【0044】
なお、本発明において予備発泡粒子の嵩密度とは、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。
<予備発泡粒子の嵩密度>
先ず、予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させ、メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積Vcm
3をJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいて予備発泡粒子の嵩密度を測定する。
嵩密度(g/cm
3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
【0045】
<予備発泡粒子の嵩発泡倍数>
また、予備発泡粒子の嵩発泡倍数は、次式により算出される数値である。
嵩発泡倍数=1/嵩密度(g/cm
3)
【0046】
前記予備発泡粒子は、発泡樹脂成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、該予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、水蒸気加熱等により加熱して型内発泡成形し、熱可塑性樹脂発泡成形体(以下、発泡成形体と記す)を製造する。
本発明の発泡成形体の密度は特に限定されないが、通常は0.010〜0.10g/cm
3の範囲内とし、0.015〜0.050g/cm
3の範囲内とするのが好ましい。
【0047】
なお、本発明において発泡成形体の密度とは、JIS K7122:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した発泡成形体密度のことである。
<発泡成形体の密度>
50cm
3以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm
3以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm
3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
3)
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
【0048】
<発泡成形体の発泡倍数>
また、発泡成形体の発泡倍数は次式により算出される数値である。
発泡倍数=1/密度(g/cm
3)
【実施例】
【0049】
[実施例1]
(発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造)
熱可塑性樹脂として重量平均分子量(Mw)20万のポリスチレン樹脂(東洋スチレン社製、商品名「HRM10N」)100質量部に対し、微粉末タルク0.3質量部を加え、これらを口径90mmの単軸押出機に、連続供給した。押出機内温度としては、最高温度210℃に設定し、樹脂を溶融させた後、発泡剤として樹脂100質量部に対して5質量部のペンタン(イソペンタン:ノルマルペンタン=20:80(質量比))を押出機の途中から圧入した。押出機内で樹脂と発泡剤を混練するとともに冷却し、押出機の先端からダイに流入してきた溶融樹脂の温度を180℃、ダイの温度を溶融樹脂の温度より105℃高い温度とし、ダイの樹脂導入部の圧力を12MPaに保持して、直径0.6mmでランド長さが3.0mmの小孔が200個配置されたダイより、このダイの吐出側に連結され、冷却水の温度40℃、冷却水の圧力0.5MPa、冷却水の流量18000(kg/hr)の冷却水が循環するカッティング室内に、発泡剤含有溶融樹脂を樹脂吐出量170(kg/hr)で押し出すと同時に、円周方向に10枚の刃を有する高速回転カッターにて押出物を切断した。冷却水の流量/樹脂吐出量の質量比は106であった。カッターの樹脂吐出面に対する押圧力は、0.4MPaに設定した。溶融樹脂の温度は
図2に示す押出機1の出口からダイ2の入口までの間で測定し、ダイの温度は
図2に示すダイ2の厚みの約1/2厚み部分に設けた熱電対の温度センサ29の先端部で測定した。切断した粒子を循環する冷却水で冷却しながら、粒子分離器に搬送し、粒子を冷却水と分離した。さらに、捕集した粒子を脱水・乾燥して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、変形、ヒゲ等の発生もなく、ほぼ完全な球体であり、平均粒径は約1.1mmであった。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、ポリエチレングリコール0.03質量部、ステアリン酸亜鉛0.15質量部、ステアリン酸モノグリセライド0.05質量部、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.05質量部を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面全面に均一に被覆した。
【0050】
(発泡成形体の製造)
前記の通り製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、15℃の保冷庫中に入れ、72時間に亘って放置した後、円筒型バッチ式予備発泡機に供給して、吹き込み圧0.05MPaの水蒸気により加熱し、予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子は、嵩密度0.020g/cm
3(嵩発泡倍数50倍)であった。
続いて、得られた予備発泡粒子を室温雰囲気下、24時間に亘って放置した後、長さ400mm×幅300mm×高さ50mmの長方形状のキャビティを有する成形型内に予備発泡粒子を充填し、その後、成形型のキャビティ内を水蒸気でゲージ圧0.08MPaの圧力で20秒間に亘って加熱し、その後、成形型のキャビティ内の圧力が0.01MPaになるまで冷却し、その後成形型を開き、長さ400mm×幅300mm×高さ50mmの長方形状の発泡成形体を取り出した。得られた発泡成形体は、密度0.020g/cm
3(発泡倍数50倍)であった。
前述した通りの方法で製造した実施例1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時、以下の<開孔率>、<合着粒子の割合>についての評価試験を行い、それぞれの結果に基づいて<総合評価の判定基準>に基づいて評価した。その結果を表1に記す。
【0051】
<開孔率>
発泡性樹脂粒子の製造開始から1時間経過後、ダイの樹脂吐出面を調べ、小孔の開孔率を次のように算出した。
開孔率(ダイ表面の小孔の押出時開孔率)=開孔数/ダイ全小孔数×100(%)
吐出量(kg/hr)=1時間当たり、カッターで切り出される全発泡性樹脂粒子の総質量
=開孔数×切り出し個数×1粒質量
=開孔数×カッター刃数×カッター回転数×1粒質量
よって開孔数は、
開孔数=吐出量(kg/hr)/〔カッター刃数×カッター回転数(rph)×1粒質量(kg/個)となるため、開孔率は次式で算出できる。
開孔率(E)=開孔数/全小孔数×100(%)
=〔Q/(N×R×60×(M/100)/1000)〕/H×100(%)
(式中、Qは吐出量(kg/hr)、Nはカッター刃の枚数、Rはカッター回転数(rpm)、Mは100粒質量(g)(発泡性樹脂粒子から任意の100粒を選び、最小目盛0.000lgの電子天秤で計量した100粒質量とした、Hはダイの全小孔数をそれぞれ表す。)
開孔率は以下の基準で評価した。
良好(○) : 70%以上
やや良好(△) : 50%以上70%未満
不良(×) : 50%未満
【0052】
<合着粒子の割合>
任意に選んだ発泡性樹脂粒子約1gを電子天秤にて精秤し質量を求めた(W1)。そのなかから2個以上合着している粒子を選別し、同様に電子天秤にて精秤して質量(W2)を求めて次式により算出した。
合着粒子率=W2/W1×100(%)
合着粒子は以下の基準で評価した。
良好(○) : 0.5%未満
やや良好(△) : 0.5以上、1.0%未満
不良(×) : 1.0%以上
【0053】
<総合評価の判定基準>
特に良好(◎) : 開孔率、合着率の両方が○
良好(○) : 開孔率、合着率のいずれか一つが○又は△或いは両方とも△
不良(×) : 開孔率、合着率のいずれか一つが×或いは両方とも×
【0054】
[実施例2]
冷却水圧力を1.0MPaに変更した以外は実施例1と同様に実施した。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時、実施例1と同様に開孔率、合着粒子の割合について評価試験を行い、それぞれの結果に基づいて総合評価した。その結果を表1に記す。
【0055】
[実施例3]
冷却水圧力を1.7MPaに変更した以外は実施例1と同様に実施した。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時、実施例1と同様に開孔率、合着粒子の割合について評価試験を行い、それぞれの結果に基づいて総合評価した。その結果を表1に記す。
【0056】
[実施例4]
カッターの押圧力を0.1MPaに変更した以外は実施例1と同様に実施した。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時、実施例1と同様に開孔率、合着粒子の割合について評価試験を行い、それぞれの結果に基づいて総合評価した。その結果を表1に記す。
【0057】
[実施例5]
カッターの押圧力を0.2MPaに変更した以外は実施例1と同様に実施した。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時、実施例1と同様に開孔率、合着粒子の割合について評価試験を行い、それぞれの結果に基づいて総合評価した。その結果を表1に記す。
【0058】
[実施例6]
カッターの押圧力を1.2MPaに変更した以外は実施例1と同様に実施した。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時、実施例1と同様に開孔率、合着粒子の割合について評価試験を行い、それぞれの結果に基づいて総合評価した。その結果を表1に記す。
【0059】
[実施例7]
カッターの押圧力を0.8MPaに変更した以外は実施例1と同様に実施した。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時、実施例1と同様に開孔率、合着粒子の割合について評価試験を行い、それぞれの結果に基づいて総合評価した。その結果を表1に記す。
【0060】
[実施例8]
発泡剤を使用しないこと以外は、実施例1と同様に実施し、発泡剤を含まないポリスチレン系樹脂粒子を得た。このポリスチレン系樹脂粒子の製造時、実施例1と同様に開孔率、合着粒子の割合について評価試験を行い、それぞれの結果に基づいて総合評価した。その結果を表2に記す。
【0061】
[実施例9]
熱可塑性樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(旭化成ケミカルズ社製、製品名「サンテックEF0510」)を使用し、樹脂温度を250℃、冷却媒体の温度を60℃に変更したこと以外は、実施例8と同様に実施し、熱可塑性樹脂粒子を得た。この熱可塑性樹脂粒子の製造時、実施例1と同様に開孔率、合着粒子の割合について評価試験を行い、それぞれの結果に基づいて総合評価した。その結果を表2に記す。
【0062】
[実施例10]
熱可塑性樹脂としてポリプロピレン(プライムポリマー社製、製品名「F−744NP」)を使用し、樹脂温度を260℃、冷却媒体の温度を60℃に変更したこと以外は、実施例8と同様に実施し、熱可塑性樹脂粒子を得た。この熱可塑性樹脂粒子の製造時、実施例1と同様に開孔率、合着粒子の割合について評価試験を行い、それぞれの結果に基づいて総合評価した。その結果を表2に記す。
【0063】
[比較例1]
冷却水の流量を6000kg/hrとし、冷却水の流量/樹脂吐出量の質量比を35に変更した以外は実施例1と同様に実施した。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時、実施例1と同様に開孔率、合着粒子の割合について評価試験を行い、それぞれの結果に基づいて総合評価した。その結果を表3に記す。
【0064】
[比較例2]
カッターの押圧力を0.04MPaに変更した以外は実施例1と同様に実施した。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時、実施例1と同様に開孔率、合着粒子の割合について評価試験を行い、それぞれの結果に基づいて総合評価した。その結果を表3に記す。
【0065】
[比較例3]
カッターの押圧力を2.5MPaに変更した以外は実施例1と同様に実施した。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時、実施例1と同様に開孔率、合着粒子の割合について評価試験を行い、それぞれの結果に基づいて総合評価した。その結果を表3に記す。
比較例3では、カッターの押圧力による負荷により、押出機が停止し、連続運転が困難であった。
【0066】
[比較例4]
冷却水の流量を44200kg/hrとし、冷却水の流量/樹脂吐出量の質量比を260に変更した以外は実施例1と同様に実施した。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造時、実施例1と同様に開孔率、合着粒子の割合について評価試験を行い、それぞれの結果に基づいて総合評価した。その結果を表3に記す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
表1〜表3の結果より、冷却水の流量/樹脂吐出量との質量比が40〜250の範囲であり、樹脂吐出面に対するカッターの押圧力が0.05〜2.0MPaの範囲となる条件下で熱可塑性樹脂粒子を製造した、本発明に係る実施例1〜10は、ダイ小孔の開孔率を高率で維持することができ、熱可塑性樹脂粒子の生産効率を高く維持することができた。
また、異形粒子の発生及び樹脂粒子同士の合着を抑制し得るので、均一で略球状の熱可塑性樹脂粒子を効率よく生産することができた。
【0071】
一方、冷却水の流量/樹脂吐出量との質量比が本発明の範囲を下回る、35とした条件下で樹脂粒子の製造を行った比較例1は、合着粒子率が高くなり、総合評価は不良となった。
また、カッターの押圧力が本発明の範囲を下回る、0.04MPaとした条件下で樹脂粒子の製造を行った比較例2は、合着粒子率が実施例1〜10よりも高くなり、総合評価は不良となった。
また、カッターの押圧力が本発明の範囲を上回る、2.5MPaとした条件で樹脂粒子の製造を行った比較例3は、合着粒子率が高く、且つ開孔率が低くなり、総合評価は不良となった。さらに、比較例3では、カッターの押圧力による負荷により、押出機が停止し、連続運転が困難であった。
また、冷却水の流量/樹脂吐出量との質量比が本発明の範囲を上回る、260とした条件下で樹脂粒子の製造を行った比較例4は、開孔率が非常に低くなり、総合評価は不良となった。