特許第6043596号(P6043596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043596
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】パルス発生装置および数値制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/414 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   G05B19/414 Q
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-247237(P2012-247237)
(22)【出願日】2012年11月9日
(65)【公開番号】特開2014-96029(P2014-96029A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】東芝機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】富永 昌登
(72)【発明者】
【氏名】四條 弘次
(72)【発明者】
【氏名】船木 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】金子 裕司
【審査官】 牧 初
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第2520993(EP,A2)
【文献】 特開2012−234549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18 −19/416
G05B 19/42 −19/46
B23Q 15/00 −15/28
G06F 3/048−3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮影する撮影部と、
前記撮影部で撮影した対象物の動作に応じて、計算されたパルス量だけ手動パルス発生器の代わりにパルスを発生するパルス発生部と、
を有することを特徴とするパルス発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパルス発生装置において、
前記撮影部で撮影する対象物の動作は、人のジェスチャであることを特徴とするパルス発生装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のパルス発生装置において、
前記撮影部で撮影する対象物の動作は、人の体の一部の部位の回転動作、人の体の一部の部位の往復動作のうちの少なくともいずれかであることを特徴とするパルス発生装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパルス発生装置において、
前記撮影部で撮影する対象物の動作は、人の腕から先の部分の動作、もしくは、人の手首から先の部分の動作であることを特徴とするパルス発生装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のパルス発生装置と、情報を表示する情報表示部とを備えた数値制御装置であって、
前記撮影部が、前記情報表示部が設けられている数値制御装置の本体部から分離されていることを特徴とする数値制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の数値制御装置は、複数の駆動軸を備えた制御対象を制御するものであって、駆動軸選択部を備えており、
前記駆動軸選択部は、前記撮影部で撮影した対象物そのもの、前記撮影部で撮影した対象物の動作の少なくともいずれかに応じて、前記各駆動軸のうちのいずれの駆動軸を制御するかの選択をするように構成されており、
前記駆動軸選択部で選択された駆動軸が、前記パルス発生装置が発生したパルス数に応じて動作するよう構成されていることを特徴とする数値制御装置。
【請求項7】
複数の駆動軸を備えた制御対象を制御する数値制御装置であって、
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のパルス発生装置と、情報を表示する情報表示部と、駆動軸選択部とを備えており、
前記駆動軸選択部は、前記撮影部で撮影した対象物そのもの、前記撮影部で撮影した対象物の動作の少なくともいずれかに応じて、前記各駆動軸のうちのいずれの駆動軸を制御するかの選択をするように構成されており、
前記駆動軸選択部で選択された駆動軸が、前記パルス発生装置が発生したパルス数に応じて動作するよう構成されていることを特徴とする数値制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス発生装置および数値制御装置に係り、特に、工作機械の駆動軸等を制御するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械等の機械の制御に使用される数値制御装置のHMI(Human Machine Interface)表示器は、オペレータに数値制御装置内の情報を伝達したり、オペレータが情報を入力するために使用される。
【0003】
上記表示器の表示画面の操作は、たとえば次に示す1.2.3.の態様でなされる。
【0004】
1.HMI上のディスクリートキーもしくはファンクションキーを押す。2.HMIの表示画面上に表示されたキーをHMIの表示画面のタッチパネルで選択して操作する。3.機械の微調整をおこなう際には、MPG(手動パルス発生器;先行技術文献1の第5図の参照符号62で示しているものを参照)を、たとえば加工対象であるワークの付近まで搬送して操作する。
【0005】
なお、手動パルス発生器をポータブルタイプ(可搬式)にして、数値制御装置本体部(CNC本体部)から離れた場所からでも、無線通信によって手動パルス送りをすることができる技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
そして、無線通信によって数値制御装置本体部に送られたパルス数に応じて、工作機械の駆動軸におけるテーブルが所定の距離だけ移動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平03−166606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記1.の態様では、表示したい画面を選択するキーを捜して押す必要があり、表示画面から目を離す必要がある。また、大型機械ではワークから表示器までの距離が長く、オペレータが移動するか、可般式のペンダントを別途設ける必要がある。
【0009】
また、上記2.の態様では、油で汚れた手や手袋で表示画面に触れることになり、画面が汚れてしまう。
【0010】
また、上記3.の態様では、手動パルス発生器等が必要であるので、装置の構成が煩雑になりコストが上昇してしまうという問題がある。また、MPGをオペレタータが加工対象であるワークの付近まで搬送する必要があり、オペレータに疲労が蓄積してしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡素な構成でしかもオペレータに疲労が蓄積することを防止することができるパルス発生装置および数値制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、対象物を撮影する撮影部と、前記撮影部で撮影した対象物の動作に応じて、計算されたパルス量だけ手動パルス発生器の代わりにパルスを発生するパルス発生部とを有するパルス発生装置である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパルス発生装置において、前記撮影部で撮影する対象物の動作は、人のジェスチャであるパルス発生装置である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のパルス発生装置において、前記撮影部で撮影する対象物の動作は、人の体の一部の部位の回転動作、人の体の一部の部位の往復動作のうちの少なくともいずれかであるパルス発生装置である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパルス発生装置において、前記撮影部で撮影する対象物の動作は、人の腕から先の部分の動作、もしくは、人の手首から先の部分の動作であるパルス発生装置である。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のパルス発生装置と、情報を表示する情報表示部とを備えた数値制御装置であって、前記撮影部が、前記情報表示部が設けられている数値制御装置の本体部から分離されている数値制御装置である。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の数値制御装置は、複数の駆動軸を備えた制御対象を制御するものであって、駆動軸選択部を備えており、前記駆動軸選択部は、前記撮影部で撮影した対象物そのもの、前記撮影部で撮影した対象物の動作の少なくともいずれかに応じて、前記各駆動軸のうちのいずれの駆動軸を制御するかの選択をするように構成されており、前記駆動軸選択部で選択された駆動軸が、前記パルス発生装置が発生したパルス数に応じて動作するよう構成されている数値制御装置である。
【0018】
請求項7に記載の発明は、複数の駆動軸を備えた制御対象を制御する数値制御装置であって、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のパルス発生装置と、情報を表示する情報表示部と、駆動軸選択部とを備えており、前記駆動軸選択部は、前記撮影部で撮影した対象物そのもの、前記撮影部で撮影した対象物の動作の少なくともいずれかに応じて、前記各駆動軸のうちのいずれの駆動軸を制御するかの選択をするように構成されており、前記駆動軸選択部で選択された駆動軸が、前記パルス発生装置が発生したパルス数に応じて動作するよう構成されている数値制御装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡素な構成でしかもオペレータに疲労が蓄積することを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る数値制御装置の正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る数値制御装置の本体部の概略構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る数値制御装置の動作を示す図である。
図4】人の動作を示す図である。
図5】変形例に係る数値制御装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態に係る数値制御装置1は、たとえば、CPUを用いて、複数の駆動軸を備えた制御対象(ワークを加工する工作機械等;図示せず)を制御するものであり、パルス発生装置3と情報表示部(LCD等で構成された情報表示部)4とを備えて構成されている。
【0022】
パルス発生装置3は、撮影部5とパルス発生部7とを備えて構成されている。撮影部5は、CCDカメラ、CMOSセンサを使用したカメラ等のカメラで構成されている。
【0023】
パルス発生部7は、撮影部5で撮影した対象物(撮影対象)の動作の映像に応じてパルス(たとえば、三角波状や矩形波状等の信号のように、時刻の経過にともなって一定パターンの急峻な変化を短い周期で繰り返す信号)を発生するものである。
【0024】
撮影部5で撮影する対象物の動作として、人(たとえばオペレータ)Pのジェスチャ(Gesture;他の人に何かを伝えるためにする身振り手振りのことであり、人間の意志の伝達方法として、たとえば言葉とともに使用されるものである。)が採用されるようになっている。
【0025】
また、撮影部5で撮影する対象物の動作として、人Pの体の一部の部位の回転動作(回転運動)、人Pの体の一部の部位の往復動作(往復運動)のうちの少なくともいずれかが採用されるようになっている。
【0026】
さらに、撮影部5で撮影する対象物の動作として、人Pの腕から先の部分の動作(運動)、もしくは、人Pの手首から先の部分の動作(運動)が採用されるようになっている。
【0027】
また、数値制御装置1には、駆動軸選択部9が設けられている。駆動軸選択部9は、たとえば、撮影部5で撮影した対象物そのもの、撮影部5で撮影した対象物の動作の態様の少なくともいずれかに応じて、工作機械の各駆動軸のうちのいずれの駆動軸を制御するかの選択をするように構成されている。
【0028】
そして、駆動軸選択部9で選択された駆動軸が、パルス発生装置3が発生したパルス数に応じて動作するよう構成されている。
【0029】
なお、数値制御装置1において、パルス発生部7が発生したパルスによって駆動軸を駆動する前に、パルス発生部7が発したパルスに応じた駆動軸における移動体(たとえば工作機械のX軸テーブル)の移動量を、情報表示部4で表示するように構成されていてもよい。
【0030】
そして、駆動軸における移動体の移動量を情報表示部4で表示した後、撮影部5で撮影した対象物そのもの(動作には関係ない撮影対象。たとえば、手、腕、さらには、ボールペンやレンチ等の工具そのもの;撮影された対象物の種類の映像)、撮影部5で撮影した対象物の動作の態様(たとえば、指の回転、往復運動等の映像)の少なくともいずれかに応じて、移動体を実際に移動するようにしてもよい。
【0031】
なお、パルス数を発生させる対象物の動作と、駆動軸を選択する対象物やその動作と、移動体の動作を開始する対象物やその動作とは、当然のこととして、お互いが異なっている。
【0032】
数値制御装置1について例を掲げてさらに詳しく説明する。
【0033】
数値制御装置1は、数値制御装置の本体部11と撮影部5とを備えて構成されている。撮影部5は、数値制御装置の本体部11の筐体17の前面に設けられおり、筐体17前方の対象物(たとえば、人P)を撮影するようになっている(図1参照)。
【0034】
なお、図1に参照符号19で示されているものは、ファンクションキーであり、参照符号21で示されているものは、テンキーやアルファベットキーである。
【0035】
また、数値制御装置1には、図2で示すようにサーボアンプ13(13A,13B)とサーボモータ15(15A,15B)とが接続されている。
【0036】
そして、数値制御装置1から送られてきた制御信号がサーボアンプ13を介してサーボモータ15に入力され、サーボモータ15が駆動するようになっている。サーボモータ15には、ロータリエンコーダ(図示せず)が設けられており、サーボモータ15の回転出力軸の回転角度を示す信号が、ロータリエンコーダから数値制御装置1に入力され、サーボモータ15でのフィードバック制御がされるようになっている。
【0037】
数値制御装置の本体部11には、動画撮影処理部23と動画メモリ25と動画解析部27と軸駆動パルス計算部29と補間・分配処理部31と加工プログラムメモリ33と加工プログラム解析部35とサーボ制御部37(37A,37B)と駆動軸選択部9とが設けられている。
【0038】
なお、上記説明では、駆動軸選択部9が、撮影部5で撮影した対象物等に応じて、駆動軸を選択するようにしているが、撮影部5を用いない別のもので駆動軸選択部9を構成してもよい。すなわち、図1に示すキー21によって、駆動軸選択部9を構成してもよい。
【0039】
所定のワークの切削加工を自動で行うとき、数値制御装置1は、加工プログラムメモリ33に予め格納されている加工プログラムの信号を加工プログラム解析部35に送り、加工プログラム解析部35から、加工プログラムに対応した信号を補間・分配処理部31に送り、補間・分配処理部31から、加工プログラムに対応した信号をサーボ制御部37とサーボアンプ13とを介してサーボモータ15に送り、サーボモータ15が、加工プログラム対応した動作をするようになっている。
【0040】
一方、手動モード等において、パルス発生装置3によって、駆動軸(サーボモータ15)を動かすときには、カメラ5で人Pの動作を撮影し、この撮影された映像に応じた信号を動画撮影処理部23に送るようになっている。
【0041】
動画撮影処理部23で画像処理された信号は、動画メモリ25に一旦格納されるようになっている。動画メモリ25に一旦格納された信号は動画解析部27に送られて、人Pの動作の解析がなされるようになっている。
【0042】
解析がなされた信号が、軸駆動パルス計算部29に送られ軸駆動パルス計算部29でパルス(パルス数)の計算がなされるようになっている。
【0043】
軸駆動パルス計算部29で計算されたパルスの信号が補間・分配処理部31とサーボ制御部37とサーボアンプ13とを介してサーボモータ15に送られ、サーボモータ15が、パルスに対応した動作をするようになっている。
【0044】
なお、駆動軸選択部9で、駆動軸(サーボモータ15)の選択が予めなされているので、実際には、選択されたサーボモータ(たとえばサーボモータ15A)のみが、パルスに対応して駆動するようになっている。
【0045】
ところで、数値制御装置1では、パルス発生装置3による駆動軸(サーボモータ15)の送りにおいて、送り倍率を設定することができるようになっている。送り倍率を設定すると、たとえば、元来10個の三角波のパルスが連続して出力されるべきであったにもかかわらず、10倍の100個、もしくは100倍の1000個の三角波のパルスが連続して出力されるようになっている。
【0046】
送り倍率を設定は、たとえば、図示しないキーやロータリスイッチによってなされるようになっている。
【0047】
なお、駆動軸を選択する場合等と同様にして、撮影部5で撮影した対象物等に応じて、送り倍率を設定するようにしてもよい。
【0048】
すなわち、撮影部5で撮影した対象物そのもの(動作には関係ない撮影対象。たとえば、手、腕、さらには、ボールペンやレンチ等の工具そのもの;撮影された対象物の種類の映像)、撮影部5で撮影した対象物の動作の態様(たとえば、指の回転、往復運動等の映像)の少なくともいずれかに応じて、パルス発生部7で発生するパルスの倍率(信号の振動回数)が変化するように構成されていてもよい。
【0049】
また、パルス発生部7で発生したパルスの倍率を変えるパルス倍率変換部を設け、パルス発生部7が発生したパルスの倍率を、上記パルス倍率変換部で変えるように構成されていてもよい。
【0050】
次に、パルス発生装置3によって駆動軸を駆動するときの数値制御装置1の動作について、図3を参照しつつ説明する。
【0051】
まず、MPG送りモードに設定されているか否かを判断する(S1)。MPG送りモードになっていない場合には、処理を終了し(S3)、MPG送りモードに設定されている場合には、駆動軸の選択がなされているが否かを判断する(S5)。
【0052】
駆動軸の選択がなされている場合には、撮影部(カメラ)5により撮影対象の動作(人Pの動作)を撮影しながら、撮影した画像(映像)を解析し(S7)、この解析結果に基づいてパルス発生動作をするのかいないのかを判断する(S9)。
【0053】
パルス発生動作をする場合には、パルス量を計算する(S11)。たとえば、図4(a)で示すように、右手(右腕)を右肩を中心にして上下動で1往復させることで、1パルスを発生する(n往復でnパルス)。これにより、たとえば、X軸(駆動軸)のテーブルが1パルスに応じた距離だけプラス方向(たとえば右方向)に移動する。また、図4(b)で示すように、左手を上下動で1往復させることで、1パルスを発生する。これにより、たとえば、X軸(駆動軸)のテーブルが1パルスに応じた距離だけマイナス方向(たとえば左方向)に移動する。
【0054】
なお、腕を上下動することに代えてもしくは加えて、腕を回動させることでパスルを発生させてもよいし、手首を上下動や回動させることでパスルを発生させてもよいし、指の折り曲げ動作や回動動作によってパルスを発生させてもよい。さらに、腕を上下動すると同時に首を回動される等の組み合わせ動作で、パルスを発生させてもよい。
【0055】
続いて、ステップS11でパルス量を計算した後、別途設定されたMPG送り倍率を乗じて、駆動パルス量を算出する(S13)。
【0056】
ステップS13で算出した駆動パルス量を駆動指令として、補間・分配処理部31へ出力し(S15)、選択された駆動軸を指令された量だけ移動する(S17)。
【0057】
ところで、数値制御装置1において、図5で示すように、撮影部5が、情報表示部4が設けられている数値制御装置の本体部11から分離されており、数値制御装置の本体部11に対して移動自在になっていてもよい。
【0058】
この場合、数値制御装置1の制御対象である工作機械の非常停止スイッチが、撮影部5と一体化されている。これにより、想定外の動作が発生した場合、工作機械を緊急停止することができ、人Pの安全を確保することができる。
【0059】
なお、撮影部(カメラ)5と、数値制御装置の本体部11とは有線でお互いが接続されているが、無線通信や赤外線通信でお互いが接続されていてもよい。
【0060】
図5で示すように数値制御装置1を構成した場合についてさらに説明する。
【0061】
図5で示すような構成にした場合、撮影部5で対象物の動作を撮影するのであるが、撮影部5が数値制御装置の本体部11から分離されていることで、対象物が動作していなくても(静止していても)、対象物に対してカメラ5が相対的に移動や回動をする(カメラ5が動く)ことで対象物が動作したと認識されてしまう場合がある。
【0062】
このようにカメラ5が動いた場合であっても、カメラ5が静止状態にあって対象物が動作したものとみなしてもよい。換言すれば、対象物を動作させることに代えてもしくは加えてカメラ5を移動したり回動したりして対象物を撮影し、この撮影した映像を対象物が動作したときの映像とみなし、対象物の動作を認識してもよい。
【0063】
または、上述したようにカメラ5が動いた場合、対象物が動作したものとみなさなくてもよい。この場合、対象物の基準部位(たとえば人Pの胴体)を予め決めおき、この基準部位に対して、対象物の動作部位(基準部位から離れる部位;たとえば人Pの腕)の位置がどうのように動いたかで、対象物の動作を認識してもよい。
【0064】
さらには、カメラ5に加速度センサを取り付けることで、カメラ5が動いた場合でも、カメラ5が静止状態にあったとするような補正をしてもよい。
【0065】
パルス発生装置3によれば、ロータリエンコーダ(たとえば、光学式のロータリエンコーダ)の代わりに、撮影部5で撮影した対象物Pの動作に応じてパルスを発生するパルス発生部7を備えているので、装置の構成が簡素になって装置が軽量化されて搬送しやすくなっており、オペレータに疲労が蓄積することを防止することができる。
【0066】
また、ロータリエンコーダを備えて構成された手動パルス発生器を用い手動操作で機械の軸を駆動する代わりに、カメラ5と動画解析技術により機械の軸を駆動するので、パルス発生装置3の構成が簡素になっており、製造コストを低減することができる。
【0067】
また、オペレータ(操作者)の動作を認識することができる距離の範囲内(撮影部の撮影範囲内)であれば、手ぶらでワークの加工位置までオペレータが近づき、軸を駆動することができるので、オペレータに疲労が蓄積することを防止することができる。
【0068】
さらに、図5に示す構成では、手動パルス発生装置3が光学式のロータリエンコーダ等を使用している従来のものよりも軽くなっているので、オペレータ(操作者)の動作を認識することができる距離の範囲外であっても、軽量化された手動パルス発生装置3を搬送すればよいので、オペレータに疲労が蓄積することを防止することができる。
【0069】
また、数値制御装置1によれば、撮影部5で撮影した対象物に応じて、パルス発生部7で発生するパルスの倍率を変えるように構成されているので、機械の軸を早送りしたい場合や微速送りしたい場合、これらの要求に対応することが容易になる。
【0070】
また、パルス発生装置3によれば、撮影部5で撮影する対象物の動作が人のジェスチャであるので、器具等を別途用いることなく、手ぶらの状態でパルスを発生することができ、機械の軸を駆動することができる。
【0071】
また、パルス発生装置3によれば、撮影部5で撮影する対象物の動作が、人Pの体の一部の部位の回転動作や人Pの体の一部の部位の往復動作であるので、訓練を受けていないオペレータのありきたりの運動でパルスを発生することができ、機械の軸を駆動することができる。
【0072】
さらに、パルス発生装置3によれば、撮影部5で撮影する撮影対象が、人Pの腕から先の部分、もしくは、人Pの手首から先の部分の動作(運動)であるので、オペレータにとって正確な運動をすることができる部位によってパルスを発生することができ、機械の軸をより正確に駆動することができる。
【0073】
また、数値制御装置1において、図5で示すように、撮影部5が、情報表示部4が設けられている数値制御装置の本体部11から分離されている構成にすれば、より広い範囲で機械の軸を駆動することができる。
【0074】
この場合、対象物Pの基準部位を予め決めおき、この基準部位に対して、対象物Pの動作部位の位置がどのように動いたかで、対象物Pの動作を認識するようにすれば、撮影部5が数値制御装置の本体部11から分離されている構成においてカメラ5が動いた場合であっても、人の動作を的確に認識することで、誤作動を回避することができる。
【0075】
また、数値制御装置1によれば、撮影部5で撮影した対象物Pに応じて、各駆動軸のうちのいずれの駆動軸を制御するかの選択をする駆動軸選択部9を備えているので、複数の駆動軸を備えた制御対象を制御する場合であっても、駆動する軸の選択をすることが容易になっている。
【0076】
また、数値制御装置1によれば、駆動軸における移動体の移動量を情報表示部4で表示した後、撮影部5で撮影した対象物に応じて、駆動軸を移動するように構成されているので、オペレータPの動作(所望のパスルを発生させるための動作)が誤ってなされた場合であっても、実際に軸を駆動する前に、上記誤りをしたまま軸を動かしてしまうという事態を無くすことができ、事故の発生等を回避することができる。
【0077】
さらに、数値制御装置1において、駆動軸を選択する場合等と同様にして、撮影部5で撮影した対象物等に応じて、情報表示部(表示画面)4で表示する内容を切り換えるようにしてもよい。この場合、人Pのジェスチャを認識するので、人Pの動作と切り替え画面の関係とを表現することが容易になる。
【符号の説明】
【0078】
1 数値制御装置
3 パルス発生装置
4 情報表示部
5 撮影部
7 パルス発生部
9 駆動軸選択部
P 対象物
図1
図2
図3
図4
図5